特許第6790762号(P6790762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790762
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】カール補正装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20201116BHJP
   B65H 7/06 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B65H29/70
   B65H7/06
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-228586(P2016-228586)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-83702(P2018-83702A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝一
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−080157(JP,A)
【文献】 特開2016−128345(JP,A)
【文献】 特開2005−096892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/70
B65H 7/00 − 7/20
B65H 43/00 − 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙部ごとに設定されたカール補正値である設定カール補正値、及び、給紙部ごとのジョブの開始前のカール補正値を保持する記憶部と、
画像が形成された用紙を給紙した前記給紙部の現在の設定カール補正値に基づいて、前記用紙のカールを補正するカール補正部と、
前記給紙部ごとにカール補正値の入力が可能な操作部と、
ジョブの開始の指示を受けた場合に、前記設定カール補正値を前記ジョブの開始前のカール補正値としてバックアップする処理を行い、前記ジョブを実行中に前記操作部により前記設定カール補正値が変更された場合には次に画像が形成される用紙に変更後の設定カール補正値を適用し、前記ジョブが終了後に、前記記憶部に保持された前記設定カール補正値を前記ジョブの開始前のカール補正値で上書きする処理を行う制御部と、を備える
カール補正装置。
【請求項2】
給紙部ごとに設定されたカール補正値である設定カール補正値、及び、給紙部ごとのジョブの開始前のカール補正値を保持する記憶部と、
画像が形成された用紙を給紙した前記給紙部の現在の設定カール補正値に基づいて、前記用紙のカールを補正するカール補正部と、
前記給紙部ごとにカール補正値の入力が可能な操作部と、
ジョブを実行中に前記操作部により前記設定カール補正値が変更された場合には次に画像が形成される用紙に変更後の設定カール補正値を適用し、前記ジョブが終了後も予約ジョブがある場合には、全ての前記予約ジョブが終了後に、前記記憶部に保持された前記設定カール補正値を前記ジョブの開始前のカール補正値で上書きする処理を行う制御部と、を備える
カール補正装置。
【請求項3】
前記設定カール補正値を変更された前記給紙部が前記ジョブ又は前記予約ジョブで使用された場合には、前記制御部は、全ての前記予約ジョブが終了後に、前記記憶部に保持された前記設定カール補正値のうち使用された前記給紙部に対する設定カール補正値のみを前記ジョブの開始前のカール補正値で上書きする
請求項に記載のカール補正装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ジョブが実行中である場合には、前記操作部により変更可能な前記設定カール補正値の変更量を、予め設定されている前記カール補正値の変更可能な範囲のうち現在の前記設定カール補正値を含む所定の範囲内に制限する
請求項1乃至のいずれかに記載のカール補正装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ジョブを実行中、且つ、前記設定カール補正値を変更しようとする給紙部が使用された給紙部である場合に、前記給紙部に対して前記操作部により変更可能な前記設定カール補正値の変更量を、予め設定されている前記カール補正値の変更可能な範囲のうち現在の前記設定カール補正値を含む所定の範囲内に制限する
請求項1乃至のいずれかに記載のカール補正装置。
【請求項6】
給紙部から給紙された用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記給紙部ごとに設定されたカール補正値である設定カール補正値、及び、前記給紙部ごとのジョブの開始前のカール補正値を保持する記憶部と、
画像が形成された用紙を給紙した前記給紙部の現在の設定カール補正値に基づいて、前記用紙のカールを補正するカール補正部と、
前記給紙部ごとにカール補正値の入力が可能な操作部と、
ジョブの開始の指示を受けた場合に、前記設定カール補正値を前記ジョブの開始前のカール補正値としてバックアップする処理を行い、前記ジョブを実行中に前記操作部により前記設定カール補正値が変更された場合には次に画像が形成される用紙に変更後の設定カール補正値を適用し、前記ジョブが終了後に、前記記憶部に保持された前記設定カール補正値を前記ジョブの開始前のカール補正値で上書きする処理を行う制御部と、を備える
画像形成システム。
【請求項7】
給紙部から給紙された用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記給紙部ごとに設定されたカール補正値である設定カール補正値、及び、前記給紙部ごとのジョブの開始前のカール補正値を保持する記憶部と、
画像が形成された用紙を給紙した前記給紙部の現在の設定カール補正値に基づいて、前記用紙のカールを補正するカール補正部と、
前記給紙部ごとにカール補正値の入力が可能な操作部と、
ジョブを実行中に前記操作部により前記設定カール補正値が変更された場合には次に画像が形成される用紙に変更後の設定カール補正値を適用し、前記ジョブが終了後も予約ジョブがある場合には、全ての前記予約ジョブが終了後に、前記記憶部に保持された前記設定カール補正値を前記ジョブの開始前のカール補正値で上書きする処理を行う制御部と、を備える
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カール補正装置及び画像形成システムに関し、特にカール補正の技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙部から用紙を給紙し、搬送された用紙に電子写真方式により画像を形成(印刷処理)する画像形成装置では、感光ドラムで形成されたトナー像を給紙部から給紙された用紙に転写し、用紙上のトナー像を定着器によって用紙に定着させるようにしている。この定着器は、用紙上に形成されたトナー像を、加圧及び加熱することにより用紙に定着させるが、トナー像を用紙に定着させる際に用紙が物理的にカール(湾曲、変形)することがある。用紙にカールが発生した場合、成果物としての品質が悪くなるばかりか、排紙トレイに排紙される用紙の積載性が悪化してしまうことがある。
【0003】
大量出力時に経時的に変化する用紙のカール量(定着温度変化、印字率、用紙のロットが変わることでの特性変化等に起因)を、プリントしながら調整したいという要望がある。しかし、現状、カールの補正量を予め給紙トレイ設定機能により用紙(給紙部)ごとに設定し、プリントを行うようになっているため、上記のようなプリント中に微小にカール量が変化した際には、途中でカール補正量を設定変更することができない。
【0004】
このような微小なカールを補正したい場合には、プリントを一時中断して、設定したカール補正量(カール補正値)を変更する必要がある。また、上記のように、一時的にカールを補正した場合、ユーザーの判断で元のカール補正量に戻す必要がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、複数の給紙部のいずれかの給紙部から給紙されたシートのカールを検知するカール検知手段と、カールが検知されたシートを給紙した給紙部をユーザーに通知する通知手段とを備えるシート搬送装置が開示されている。このシート搬送装置は更に、給紙部ごとにカール補正量を入力可能な入力手段と、給紙部ごとに入力されたカール補正量に従って該当シートのカールを補正するカール補正手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−203067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のシート搬送装置は、給紙部ごとにカール補正量を設定することが可能であるが、カール補正量を入力可能な期間はジョブ停止中である。また、このシート搬送装置は、カール補正量を変更すると、カール補正量は変更後の値のままである。ユーザーの判断で元のカール補正量に戻したり戻さなかったりすると、毎ジョブで安定したカール補正が行えない。
【0008】
上記の状況から本発明の目的の一つは、ジョブを実行中に用紙のカール量が変化した場合に、ジョブを停止することなくカール補正値を変更可能とすることである。また、本発明の他の目的は、毎ジョブで安定したカール補正を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様のカール補正装置は、給紙部ごとに設定されたカール補正値である設定カール補正値、及び、給紙部ごとのジョブの開始前のカール補正値を保持する記憶部と、画像が形成された用紙を給紙した給紙部の現在のカール補正値に基づいて、用紙のカールを補正するカール補正部と、給紙部ごとにカール補正値の入力が可能な操作部と、ジョブを実行中に操作部により設定カール補正値が変更された場合には次に画像が形成される用紙に変更後の設定カール補正値を適用し、規定の条件が成立したら設定カール補正値をジョブの開始前のカール補正値で上書きする処理を行う制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の少なくとも一態様によれば、ジョブを実行中に用紙のカール量が変化した場合に、ジョブを止めることなく、カール補正値を調整可能とする。また、変更したカール補正値は、規定条件が成立したらジョブ開始前のカール補正値で上書きされることにより、一時的なカール補正値でカール補正を行いたい場合の戻し忘れが防止され、毎ジョブで安定したカール補正が行われる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの全体構成例を示す概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの機能的構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るカール補正部によるカール補正の説明図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るカール補正設定画面の例を示す説明図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る用紙に対するカール補正処理の例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施形態に係るジョブ開始時の給紙トレイ設定データの例を示す説明図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るジョブ実行中の給紙トレイ設定データの例を示す説明図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るジョブ終了時の給紙トレイ設定データの例を示す説明図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係るカール補正値変更のタイミングを示す説明図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る用紙に対するカール補正処理の例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第3の実施形態に係る用紙に対するカール補正処理の例(その1)を示すフローチャートである。
図12】本発明の第3の実施形態に係る用紙に対するカール補正処理の例(その2)を示すフローチャートである。
図13】本発明の第3の実施形態に係るジョブ開始時の給紙トレイ設定データの例を示す説明図である。
図14】本発明の第3の実施形態に係るジョブ実行中の給紙トレイ設定データの例を示す説明図である。
図15】本発明の第3の実施形態に係るジョブ終了時の給紙トレイ設定データの例を示す説明図である。
図16】本発明の第3の実施形態に係るカール補正値の変更例を示す説明図である。
図17】本発明の第4の実施形態に係るカール補正値の変更方法を示すフローチャートである。
図18】本発明の第4の実施形態に係るカール補正設定画面の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。各図において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0013】
<1.第1の実施形態>
[画像形成システムの全体構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの全体構成例を示す概略図である。
【0014】
画像形成システム1は、画像形成装置10の前段側に大量の用紙を給紙する大容量給紙ユニット40が接続され、画像形成装置10の後段側に後処理装置(図中「FNS」)50が接続されている。図1では、後処理装置50として、デカーラユニット20と、後処理ユニット30とが直列的に連なって接続されている。画像形成装置10及びデカーラユニット20は、カール補正装置の一例である。画像形成システム1では、各装置間で用紙の搬送が可能になっているとともに、互いに通信可能になっている。本実施の形態例では、デカーラユニット20、後処理ユニット30はインライン処理を行う。
【0015】
なお、デカーラユニット20、後処理ユニット30は、画像形成装置10に内蔵されているものであってもよい。また、本発明としては画像形成システムの全体構成がこれに限定されるものではなく、画像形成装置のみで画像形成システムが構成されているものであってもよい。
【0016】
画像形成装置10は、上部側に自動原稿給送装置(ADF:Auto Document Feeder)135が設けられており、自動原稿給送装置135で給送される原稿はスキャナー部130で画像読取が可能になっている。なお、原稿は、不図示のプラテンガラス上で読み込むこともできる。
【0017】
また、画像形成装置10又は後処理装置50の上部側で、プラテンガラスが位置しない箇所に、操作部140(図2参照)のLCD141が設置されている。LCD141はタッチパネルで構成されており、操作者による操作及び情報の表示が可能になっている。LCD141は、操作部と表示部を兼用している。なお、操作部をマウスやタブレット等で構成し、表示部とは別体で構成することも可能である。また、LCD141は移動可能となっているものであってもよい。
【0018】
画像形成装置10の下部側には、複数の給紙トレイ12(図では3段)が配置されている。画像形成装置10には、いずれかの給紙トレイ12から給紙された用紙を搬送する搬送路13が設けられており、搬送路13の途中に、プリンター部150が設けられている。プリンター部150は、画像形成部151、給紙トレイ12、搬送路13、反転搬送路16、反転部17等によって構成されている。感光体ドラム154の下流側の搬送路13には定着器157が配置されている。
【0019】
定着器157の用紙搬送方向の下流側において、搬送路13が伸長してデカーラユニット20の搬送路に接続されている。また、搬送路13には、定着器157の下流側で分岐して、プリンター部150の上流側の搬送路13に合流する反転搬送路16が接続されている。反転搬送路16には、用紙を反転させる反転部17が設けられている。反転部17で反転された用紙は、反転搬送路16を通してプリンター部150の上流側で搬送路13に返すことができ、また、経路の切り替えによって反転した用紙を定着器157の下流側の搬送路13に戻してそのままデカーラユニット20に搬送することもできる。
【0020】
画像形成部151が用紙に画像を形成する処理は後述する。プリンター部150によって画像が形成された用紙は、定着器157に搬送される。定着器157は、搬送された用紙を加熱することにより用紙の表面側に転写されたトナー画像を出力画像として定着する。定着処理が施された用紙は、搬送路13によってデカーラユニット20に搬送されるか、反転搬送路16を通して反転部17により表裏が反転された後、プリンター部150の上流側で搬送路13に返される。表裏反転された用紙は、プリンター部150によって裏面への画像形成が行われる。
【0021】
デカーラユニット20は、搬入ローラー22、排出ローラー23、並びに、搬入ローラー22と排出ローラー23の間の搬送路13に配置されたカール補正部21を備える。カール補正部21は、画像形成装置10から搬送された用紙のカールを補正する機能を有する。カール補正後の用紙は、排出ローラー23により後処理ユニット30へ搬送される。
【0022】
後処理ユニット30は、デカーラユニット20から搬送された用紙に所定の後処理を行う後処理部31を備える。後処理部31で後処理を施された用紙は、排紙トレイ32に排紙される。後処理部31は、例えばステープル部、中綴じ部、パンチ部、折り部、くるみ綴じ製本部等の機構を備える。なお、後処理実行の設定がなされていない場合には、後処理ユニット30は、後処理を行うことなく用紙を排紙トレイ32又は排紙部33に排出する。
【0023】
本実施形態の画像形成システム1は、画像形成装置10と、デカーラユニット20、後処理ユニット30と、及び大容量給紙ユニット40とで構成されているが、画像形成システム1を構成する装置は、画像形成装置10の他にはその数や種別、構成が特に限定されるものではない。例えば画像形成装置10とデカーラユニット20の間に、後処理ユニット30又は他の装置が配置されてもよい。
【0024】
以下の説明において、給紙トレイには、給紙トレイ12、大容量給紙ユニット40の他に、不図示のPI(Post Inserter)部や手差用紙トレイも含まれる。PI部は、例えば他の画像形成装置によって画像が形成された用紙(例えば、くるみ表紙、本身の用紙など)を搬送路に挿入するものであり、用紙挿入部の一例として用いられる。PI部又は手差用紙トレイを使用する場合には、ユーザーはPI部又は手差用紙トレイから挿入する用紙の情報を予め給紙トレイ情報として設定し、メモリに保持するものとする。
【0025】
[画像形成システムの機能的構成]
次に、画像形成システム1の機能的構成について説明する。
図2は、画像形成システム1の機能的構成例を示すブロック図である。
【0026】
画像形成装置10は、本体制御部100と、スキャナー部130と、操作部140と、プリンター部150とを備える。さらに、画像形成装置10は、LAN2を通して端末PC等の外部機器60から入力される画像データを処理し、又はスキャナー部130で得た画像データを、LAN2を通して外部機器60に転送可能にするプリントコントローラ160を備えている。
【0027】
本体制御部100は、プリントコントローラ160に接続されたPCIバス114を有しており、PCIバス114にDRAM制御IC115が接続されている。DRAM制御IC115には、画像メモリ120が接続されている。画像メモリ120として、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)が用いられる。画像メモリ120は、圧縮画像データを格納するための圧縮メモリ121と、画像形成前にプリント対象の非圧縮画像データを一時的に格納するためのページメモリ122とを有している。
【0028】
また、PCIバス114には、HDD(Hard Disk Drive)123が接続されており、HDD123には、スキャナー部130が取得した画像データやプリントコントローラ160に接続された外部機器60等により生成された画像データ等が保存される。
プリントコントローラ160で取得される画像データやHDD123に格納された画像データは、プリント動作に伴ってPCIバス114を通してDRAM制御IC115へと送信される。
【0029】
また、本体制御部100は、制御CPU110を備えている。制御CPU110には、DRAM制御IC115が接続されている。
また、制御CPU110には、プログラムメモリ111、システムメモリ112(記憶部の一例)、及び不揮発メモリ113が接続されている。プログラムメモリ111は、ROM(Read Only Memory)で構成され、制御CPU110を動作させるためのプログラム等が格納されている。システムメモリ112は、RAM(Random Access Memory)で構成され、ワークエリア等として使用される。不揮発メモリ113は、フラッシュメモリ等により構成される。不揮発メモリ113には、画像形成装置10の初期印刷設定情報や、プロセス制御パラメーター等の機械設定情報、出力設定の初期データ、後処理設定等が読み出し可能に格納されている。
【0030】
図2の説明に戻る。制御CPU110は、不揮発メモリ113の不揮発データを読み取り可能であり、また、所望のデータを不揮発メモリ113に書き込むことが可能である。
制御CPU110は、プログラムメモリ111に格納されたプログラムにより動作し、不揮発メモリ113から読み出した機械設定情報や印刷設定情報、出力設定等に従って画像形成装置10の各部を動作制御する。
制御CPU110は、プログラムメモリ111、システムメモリ112、不揮発メモリ113等とともに制御部を構成し、ジョブの実行、ジョブの中止等を制御することができる。
制御CPU110は、ジョブの出力設定や操作指示等を、操作部140を通して行うことができる。
【0031】
この制御CPU110は、ジョブの実行可否を判断する手段、給紙トレイを空にすることを促すか否かの設定を保存する手段、及び各給紙トレイが使用済みか否かの情報を保持する手段である。
【0032】
スキャナー部130は、光学読み取りを行うCCD131と、スキャナー部130全体の制御を行うスキャナー制御部132とを備えている。スキャナー制御部132は、制御CPU110とシリアル通信可能に接続されている。また、CCD131は、CCD131で読み取った画像データを処理する読み取り処理部116に接続され、読み取り処理部116は、DRAM制御IC115に制御可能に接続されている。
【0033】
読み取り処理部116は、CCD131から入力されたアナログ画像信号に、アナログ信号処理、A/D(Analog to Digital)変換処理、シェーディング処理等の各種処理を施し、デジタル画像データを生成して、圧縮IC117に出力する。
また、制御CPU110には、ADF制御部136が制御可能に接続されており、ADF制御部136によって自動原稿給送装置135が制御される。
スキャナー部130は、画像形成装置10のプラテンガラス(図示略)に置かれた原稿や、自動原稿給送装置135で自動搬送される原稿の画像を読み取る。
【0034】
操作部140は、LCD141と、操作部全体を制御する操作部制御部142とを備えており、操作部制御部142は制御CPU110にシリアル通信可能に接続されている。
操作部140では、制御CPU110の制御を受けて、LCD141によって、画像形成装置10における出力条件設定や動作制御条件等の機械設定入力、各給紙トレイの用紙属性(サイズ、紙種など)の設定入力、オフライン作業の追加で所定の後処理出力物が得られる設定や、設定内容の表示、メッセージ等の所望の情報等の表示等が可能になっている。
【0035】
この操作部140は、給紙トレイを空にすることを促す情報を表示する手段、及び給紙トレイを空にしたことを入力する手段である。
【0036】
DRAM制御IC115には、画像データを圧縮することができる圧縮IC117、及び、画像データを伸長することができる伸長IC124が接続されている。DRAM制御IC115は、制御CPU110からの指示に従って、圧縮IC117による画像データの圧縮処理、及び、伸長IC124による圧縮画像データの伸長処理を制御するとともに、画像メモリ120への画像データの入出力制御を行う。
書込み処理部125は、LD153等を備える画像形成部151に接続され、画像データに基づいてLD153の動作に用いられる書き込みデータを生成する。
【0037】
プリンター部150は、プリンター部150の全体動作(給紙、画像形成等)を制御するプリンター制御部158を備えており、プリンター制御部158は制御CPU110にシリアル通信可能に接続されている。プリンター制御部158は制御CPU110の制御指令に従って動作して、プリンター部150を制御し、用紙搬送、画像形成等を行う。プリンター制御部158は、制御CPU110等を含む制御部の一部を構成することがある。
【0038】
また、プリンター制御部158には、大容量給紙ユニット40における給紙処理を制御する大容量給紙ユニット制御部171が制御可能に接続されている。プリンター制御部158は、制御CPU110の指令に基づいて大容量給紙ユニット制御部171に給紙処理の指示を行うことができ、また、大容量給紙ユニット制御部171から大容量給紙ユニット40における状態情報を取得することができる。
【0039】
また、プリンター制御部158には、後処理装置50を構成する各ユニットの処理を制御するFNS制御部181(後処理装置制御部)が制御可能に接続されている。プリンター制御部158は、制御CPU110の指令に基づいてFNS制御部181に後処理の指示を行うことができる。FNS制御部181は、一例としてデカーラユニット20に設けることができる。
【0040】
FNS制御部181は、プリンター制御部158の指令に基づいて、デカーラユニット20のカール補正部21、及び、後処理ユニット30の後処理部31の動作を制御する。また、FNS制御部181は、後処理装置50の各ユニットの状態情報を取得し、プリンター制御部158に出力することができる。
【0041】
また、DRAM制御IC115が接続されたPCIバス114には、プリントコントローラ160のDRAM制御IC161が接続されている。プリントコントローラ160は、画像形成装置10をネットワークプリンタやネットワークスキャナーとして使用する場合に、LAN2に接続される外部機器60等から画像データ等を画像形成装置10で受信したり、スキャナー部130で取得した画像データをLAN2に接続される端末PC等の外部機器60等に送信したりするものである。
【0042】
プリントコントローラ160では、DRAM制御IC161に、DRAM等で構成される画像メモリ162が接続されている。また、プリントコントローラ160では、共通バスにDRAM制御IC161と、プリントコントローラ160全体の制御を行うコントローラ制御CPU163、LANインターフェース165が接続されている。LANインターフェース165は、LAN2に接続されている。
【0043】
さらに、制御CPU110には、IO部118が接続されている。IO部118は、画像形成装置10内の各部と制御CPU110との間で情報の授受を行うインターフェースとして動作する。
【0044】
外部機器60は、表示を行う端末表示部61と、ユーザー操作の受け付けが行われる端末操作部62とを有している。端末表示部61は、本発明における表示部として機能し、端末操作部62は、本発明における操作部として機能することができる。
外部機器60は、VNCクライアント等を介して端末操作部62上で、画像形成装置10に関する操作の入力が可能になっているものでもよく、また、端末表示部61で画像形成装置に関する表示を行えるものであってもよい。端末操作部62と端末表示部61とは、例えばタッチパネルで構成することができるが、これに限定されるものではなく、LCDやマウス等の操作部とディスプレイ等の表示部とが別に構成されているものであってもよい。
【0045】
次に、画像形成装置10の基本的動作について説明する。
先ず、画像形成装置10において画像データを蓄積する手順について説明する。
スキャナー部130は、CCD131により原稿から画像を光学的に読み取って画像データを生成する。この際には、制御CPU110から指令を受けるスキャナー制御部132によってCCD131の動作制御を行う。原稿の読み取りは、自動原稿給送装置135によって原稿を自動給送しつつ行ってもよく、また、プラテンガラス上に原稿を置いて行ってもよい。
【0046】
制御CPU110はプログラムによって動作し、操作部140による操作(読み取り指示やコピー指示)に基づいてスキャナー部130への指令を発行する。CCD131で読み取られた画像は、読み取り処理部116でデータ処理がなされ、データ処理された画像データは、DRAM制御IC115を介して圧縮IC117に送られて所定の方法によって圧縮される。圧縮されたデータは、DRAM制御IC115を介して画像メモリ120に格納される。HDD123に格納する場合は、圧縮メモリ121に一旦格納したデータを、DRAM制御IC115を介してHDD123に送る。
【0047】
この他に画像データは、LAN2を介して画像形成装置10に入力されることもある。画像データとしては、例えば外部機器60等のアプリケーションプログラム等により生成されたプリントファイルを展開したプリントデータ等が挙げられる。画像データの生成方法は特に限定されるものではない。
【0048】
この画像データは、LAN2、LANインターフェース165を介してプリントコントローラ160で受信され、コントローラ制御CPU163で展開されたプリントデータがDRAM制御IC161によって画像メモリ162に一旦格納される。画像メモリ162に格納されたデータは、PCIバス114を介してDRAM制御IC115に転送され、ページメモリ122に一旦格納される。ページメモリ122に格納されたデータは、DRAM制御IC115を介して圧縮IC117に送られて圧縮処理され、DRAM制御IC115を介して圧縮メモリ121に格納される。HDD123に格納する場合は、圧縮メモリ121に一旦格納したデータを、DRAM制御IC115を介してHDD123に送る。
【0049】
画像データの蓄積に際しては、画像データの蓄積前又は蓄積後に出力設定がなされる。この出力設定は、操作部140に設定画面を表示して、操作者による操作入力によって行うことができる。また、初期設定において出力設定項目が選択されており、操作者による設定入力がなされない場合にも初期設定によって出力設定がなされる。また、操作者は、設定画面により後処理設定を行うことができる。
【0050】
画像形成装置10で画像出力を行う場合、すなわち複写機やプリンターとして使用する場合、圧縮メモリ121に格納された画像データを、DRAM制御IC115を介して伸長IC124に送出してデータを伸長し、伸長したデータを書込み処理部125に送出し、帯電部で帯電した感光体ドラム154へLD153によって書き込みを行う。なお、HDD123に格納された画像データを用いる場合は、HDD123に格納された画像データを、DRAM制御IC115を介して一旦、圧縮メモリ121に格納し、圧縮メモリ121に格納された画像データを、DRAM制御IC115を介して伸長IC124に送出してデータを伸長し、伸長したデータを上記と同様に書込み処理部125に送出する。
【0051】
プリンター部150では、制御CPU110の指令を受けたプリンター制御部158によって各部の制御が行われる。画像形成部151では感光体ドラム154に書き込まれた潜像が現像器(図示略)でトナー像として現像され、トナー像が転写部(図示略)で搬送路13によって供給される用紙に転写され、定着器157で定着がなされる。感光体ドラム154では、トナー像が用紙転写された後、図示しないクリーニング部によって残留トナーが除去される。このようにプリンター制御部158の制御により、画像形成部151が用紙に画像を形成することを、本明細書では「印刷」又は「プリント」と呼ぶことがある。
【0052】
なお、本実施形態例では、モノクロの画像形成を前提にして説明したが、各色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)ごとに感光体等を備える画像形成装置としたものであってもよい。
【0053】
画像形成がなされた用紙は、搬送路13を経てデカーラユニット20で必要に応じてカール補正が行われた後、後処理ユニット30に送られる。そして、後処理ユニット30に送られた用紙は、後処理設定に従って後処理ユニット30で所定の後処理が行われる。後処理が行われない場合、そのまま後処理ユニット30から用紙が排出される。
【0054】
[デカーラユニット]
次に、デカーラユニット20について説明する。
図3は、デカーラユニット20によるカール補正の説明図である。
【0055】
図3に示すように、デカーラユニット20のカール補正部21は、不図示の駆動部と、駆動部により上下方向に移動可能な上部材及び下部材とで構成される。駆動部としては、モーターと各種の機構を組み合わせたものや、各種のアクチュエーターを採用することができる。
【0056】
カール補正部21は、搬送されてきた用紙を、上部材と下部材との間に形成されるニップ部によって挟持しつつ搬送する。例えば、上方向に湾曲した用紙を矯正する場合、即ち用紙に対して下方向に補正力を加える場合には、用紙の通過タイミングに合わせてカール補正部21のニップ部を、搬入ローラー22と排出ローラー23を結ぶ搬送路よりも下側に移動させる(図3左側)。逆に、下方向に湾曲した用紙を矯正する場合、即ち用紙に対して上方向に補正力を加える場合には、用紙の通過タイミングに合わせてカール補正部21のニップ部を、搬入ローラー22と排出ローラー23を結ぶ搬送路よりも上側に移動させる(図3右側)。
【0057】
なお、カール補正部21は、この例に限定されない。例えばスポンジローラーなどの表面が柔らかな第1のローラーと、この第1のローラーに食い込んだ状態で圧接する第2のローラーにより構成してもよい。
【0058】
図4は、カール補正設定画面の例を示す説明図である。
カール補正設定画面70は、プログラムメモリ111に格納されたプリンタードライバーが提供するUI(User Interface)の一つである。ユーザーは、LCD141に表示されたカール補正設定画面70に対して操作部140により入力操作することにより、カール補正力の強さを表すパラメーターであるカール補正値を設定及び変更することが可能である。
【0059】
カール補正設定画面70は、トレイ設定部71とカール補正設定部72を有する。トレイ設定部71は、給紙トレイなどのカール補正値を設定する給紙部を設定する機能を有する。図4では、トレイ1〜5が記載されているが、給紙トレイ12に限らず、大容量給紙ユニット40、PI部、手差トレイも設定対象となる。カール補正設定画面70には、「全トレイ」ボタンと「複数トレイ」ボタンが表示され、また、給紙トレイごとに「カール補正値」、「自動設定又は手動設定」、「紙種」、「坪量」の情報が表示される。「カール補正値」には、現在設定されているカール補正値が表示される。
【0060】
操作部140により「全トレイ」ボタンを選択すると全ての給紙トレイ(トレイ1〜5)のカール補正値を同時に設定可能となり、「複数トレイ」ボタンを選択すると選択した給紙トレイ(図中、トレイ2を選択)のカール補正値を設定可能となる。なお、本実施形態では、給紙トレイに収納された用紙の坪量が異なる場合には、それらの給紙トレイを同時に選択できない設定となっており、トレイ設定部71にその旨を表すメッセージが表示される。
【0061】
カール補正設定部72は、ユーザーの指示に基づき、トレイ設定部71で選択された給紙トレイのカール補正値を設定する。「ON」ボタンを選択すると、該当給紙トレイから給紙された用紙のカール補正が実施され、「OFF」ボタンを選択すると、カール補正は実施されない。カール補正オンの場合には、カール補正値を−10〜+10の間で設定可能である。カール補正値は、カール補正部21の制御値に変換され、制御値に基づいてカール補正部21によるカール補正が行われる。例えばカール補正値がプラスの場合には、下方向にカールした用紙を矯正するカール補正が行われ、カール補正値がマイナスの場合には、上方向にカールした用紙を矯正するカール補正が行われる。カール補正値の絶対値が大きいほど、カール補正力が大きい。
【0062】
図4の例では、選択されたトレイ2に対するカール補正値が‘+2’に設定されている。カール補正設定画面70において設定された各給紙トレイのカール補正値及びその他の設定情報は、不揮発メモリ113又はHDD123にASCII又はバイナリー形式のデータとして保存される。ジョブ実行時に、不揮発メモリ113又はHDD123に保存された該当給紙トレイのカール補正値がシステムメモリ(RAM)に展開される。
【0063】
[カール補正処理の流れ]
次に、ジョブ実行中(プリント中)のカール補正処理の流れを説明する。
図5は、用紙に対するカール補正処理の例を示すフローチャートである。制御CPU110がプログラムメモリ111に記録されたプログラムを実行することにより、本フローチャートの処理が実現される。
【0064】
まず制御CPU110は、プリントジョブ開始の指示がなされたか否かを判定する(S1)。例えば制御CPU110は、外部機器60からプリントジョブを受け付けた場合や予め画像形成装置10内に蓄積されたプリントジョブを実行する指示を受けた場合等に、プリントジョブを開始する。制御CPU110は、プリントジョブ開始の指示がない場合には(S1のNo)、プリントジョブ開始の判定処理を継続する。
【0065】
次に、制御CPU110は、プリントジョブ開始の指示を受けた場合には(S1のYes)、カール補正設定画面70で設定された全ての給紙トレイのカール補正値をバックアップする(S2)。ここで、給紙トレイごとのカール補正値が登録された給紙トレイ設定データについて説明する。
【0066】
(給紙トレイ設定データ)
図6は、ジョブ開始時の給紙トレイ設定データの例を示す説明図である。
給紙トレイ設定データ80は、カール補正設定画面70(図4)で設定された給紙トレイごとのカール補正値を保持する。給紙トレイ設定データ80は、給紙部領域81、設定補正値領域82、及びバックアップ領域83のフィールドを有する。
【0067】
給紙部領域81には、給紙トレイ等の給紙部を示す情報が登録される。設定補正値領域82には、給紙トレイごとのカール補正の設定値であるカール補正値(設定カール補正値)が登録される。デフォルト設定では、カール補正設定画面70により設定され、不揮発メモリ113に保存されたカール補正値が給紙トレイごとに登録される。ジョブ実行中にカール補正値が変更された場合には、設定補正値領域82の該当給紙トレイに変更後のカール補正値が反映される。
【0068】
バックアップ領域83には、ジョブ開始時に、設定補正値領域82の各給紙トレイのカール補正値がコピーされる。即ち、バックアップ領域83には、ジョブ開始前のカール補正値が登録される。ジョブ開始前のカール補正値は、用紙の条件(用紙情報、湿度等)を加味して、用紙ごとに最も適切な値に設定されている。この給紙トレイ設定データ80の各レコードの情報は、ジョブ開始後に一時的にシステムメモリ112に記録される。
【0069】
図5の説明に戻る。ステップS2の処理が終了後、制御CPU110は、ジョブ実行中に、カール補正値の変更指示があるか否かを判定する(S3)。例えば制御CPU110は、カール補正設定画面70において、カール補正値が変更され、且つ、「OK」ボタンが選択された場合に、カール補正値が変更されたと判定する。カール補正値の変更がない場合には(S3のNo)、制御CPU110は、ステップS5の処理に移行する。
【0070】
ステップS3においてカール補正値の変更があると判定した場合には(S3のYes)、制御CPU110は、該当する給紙トレイに対して設定されていたカール補正値を変更する(S4)。即ち、制御CPU110は、給紙トレイ設定データ80における対象給紙トレイの設定補正値領域82のカール補正値を変更する。図7に、ジョブ実行中にトレイ2及びトレイ3の設定補正値領域82のカール補正値が‘+2’から‘+1’に変更された例を示す。バックアップ領域83のカール補正値はそのままである。
【0071】
次に、ステップS4の処理が終了後、又はステップS3のNoの場合には、制御CPU110は、ジョブで指定された用紙を給紙する給紙トレイのカール補正値を、給紙トレイ設定データ80の設定補正値領域82から取得する(S5)。
【0072】
次に、制御CPU110は、ジョブで指定された用紙を給紙する給紙トレイのカール補正値をセットする(S6)。例えば、制御CPU110は、プリンター制御部158を通じてFNS制御部181に対し、該当カール補正値とともにカール補正指令を出力する。
【0073】
次に、制御CPU110は、プリンター制御部158に給紙処理実行を指示する。指示を受けたプリンター制御部158は、ジョブで指定された用紙を給紙可能な給紙トレイを選択し、選択した給紙トレイから搬送路13へ用紙を給紙する(S7)。そして、給紙された用紙に対しプリンター部150で画像形成が行われた後、デカーラユニット20のカール補正部21で当該用紙のカール補正が行われる。
【0074】
次に、制御CPU110は、実行中のジョブの全ての給紙が終了したか否かを判定する(S8)。そして、制御CPU110は、全ての給紙が終了していない場合には(S8のNo)、ステップS3の処理に戻り、ステップS3〜S7の処理を実行して次の用紙を給紙する。
【0075】
一方、実行中の全ての給紙が終了した場合には(S8のYes)、制御CPU110は、各給紙トレイのカール補正値をバックアップデータの内容に戻す(S9)。即ち、制御CPU110は、ジョブ終了時に、図8に示すように給紙トレイ設定データ80における設定補正値領域82のカール補正値を、バックアップ領域83のカール補正値で上書き処理する。これにより、ジョブ終了時に、設定補正値領域82のカール補正値が、ジョブ開始時のカール補正値に復帰する。このステップS9の処理は、カール補正値の変更の有り無しにかかわらず実施される。ステップS9の処理が終了したら、本フローチャートの処理を終了する。
【0076】
(カール補正値変更のタイミング)
図9は、カール補正値変更のタイミングを示す説明図である。
3枚目の用紙に対するプリント処理を実行中にトレイ2のカール補正値が‘+2’から‘+1’に変更された場合(S3のYesに対応)を想定する。この場合、制御CPU110は、3枚目と4枚目の紙間でカール補正値の変更処理を行い(S4、図7に対応)、4枚目から変更後のカール補正値‘+1’を適用する(S5,S6に対応)。このように、制御CPU110は、ジョブを実行中に操作部140によりカール補正値が変更された場合には、次に画像が形成される用紙に変更後の最新のカール補正値を適用する。
【0077】
[第1の実施形態の効果]
上述した第1の実施形態によれば、給紙する用紙の1枚ごとにカール補正値を設定することにより(S3〜S7に相当)、プリントジョブを実行中にカール補正値を変更した場合においても、変更後のカール補正値がすぐに次の用紙のカール補正に適用される。それゆえ、例えばジョブを実行中に用紙のカール量が変化した場合などに、ジョブを止めることなく、カール補正値を調整可能である。
【0078】
また、第1の実施形態では、変更したカール補正値を、一時的に有効な値として利用し、規定条件(本実施形態ではジョブ終了)が成立したらジョブ開始前のカール補正値へ戻す(リセットする)。これにより、ユーザーが一時的なカール補正値でカール補正を行いたい場合における戻し忘れを防止することができる。また、ジョブが終了する度に、給紙トレイごとのカール補正値がジョブ開始前のカール補正値(一般的な条件下で最も適切な値)に復帰するので、毎ジョブで安定したカール補正が行える。
【0079】
<2.第2の実施形態>
第2の実施形態は、ジョブが終了後もジョブの予約が入っている場合には、予約ジョブが終了した後に、給紙トレイ設定データ80のカール補正値をバックアップデータの内容(ジョブ開始時のカール補正値)に戻す例である。
【0080】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る用紙に対するカール補正処理の例を示すフローチャートである。図中の波線は、図5のフローチャートに対する主な相違点を表す。
【0081】
まず制御CPU110は、プリントジョブ開始の指示がなされたか否かを判定し(S11)、プリントジョブ開始の指示がない場合には(S11のNo)、プリントジョブ開始の判定処理を継続する。このステップS11の処理は、図5のステップS1の処理と同じである。なお、ステップS11の判定対象に予約ジョブも含まれ得る。
【0082】
次に、制御CPU110は、プリントジョブ開始の指示を受けた場合には(S11のYes)、カール補正設定画面70で設定された全ての給紙トレイのカール補正値、即ち給紙トレイ設定データ80の設定補正値領域82のカール補正値をバックアップ済みであるか否かを判定する(S12)。
【0083】
全ての給紙トレイのカール補正値をバックアップ済みである場合には(S12のYes)、制御CPU110は、ステップS14の処理に移行する。一方、全ての給紙トレイのカール補正値をバックアップ済みではない場合には(S12のNo)、制御CPU110は、全ての給紙トレイのカール補正値をバックアップする(S13)。このステップS13の処理は、図5のステップS2の処理と同じである。
【0084】
このように本実施形態では、ジョブ開始時(予約ジョブ含む)に既にカール補正値のバックアップが行われているかどうかを確認する。既にバックアップ領域83にバックアップデータ(ジョブ開始前のカール補正値)が存在する場合には、バックアップ処理は行われない。例えば、既にカール補正値が変更された後の予約ジョブの開始タイミングでは、バックアップ処理が行われない。
【0085】
次に、制御CPU110は、ステップS14〜S19の処理を実行する。このステップS14〜S19の処理は、図5のステップS3〜S8の処理と同じである。
【0086】
次に、制御CPU110は、実行中のジョブの全ての給紙が終了したと判定した場合には(S19のYes)、予約ジョブがあるか否かを判定する(S20)。予約ジョブがある場合には(S20のYes)、制御CPU110は、本フローチャートの処理を一旦終了し、予約ジョブの開始を監視する(S11)。即ち、給紙トレイ設定データ80の設定補正値領域82のカール補正値はそのままである。
【0087】
一方、予約ジョブがない場合には(S20のNo)、制御CPU110は、各給紙トレイのカール補正値をバックアップデータ(バックアップ領域83のカール補正値)の内容に戻す(S21)。このステップS21の処理は、図5のステップS9の処理と同じである。
【0088】
次に、制御CPU110は、カール補正値のバックアップデータ(バックアップ領域83のカール補正値)をリセット(初期化)する(S22)。ステップS22の処理が終了したら、本フローチャートの処理を終了する。
【0089】
上述した第2の実施形態によれば、ジョブが終了後も予約ジョブがある場合には、全ての予約ジョブが終了した後に(S20のNoに相当)、設定補正値領域82に保持されたカール補正値が、バックアップ領域83のカール補正値に戻される。これにより、ジョブが終了後も予約ジョブがある場合には、引き続き設定補正値領域82に保持された最新のカール補正値を利用して、カール補正を行うことができる。それゆえ、画像形成装置10が複数のジョブを受け付けた場合に、ユーザーがジョブごとにカール補正値を逐一設定しなくてもよい。また、画像形成装置10は、テンポラリーな状態(ジョブが連続する一時的な状態など)を反映したカール補正を実現できる。
【0090】
<3.第3の実施形態>
第3の実施形態は、カール補正値を変更された給紙トレイがジョブで使用された場合には、全てのジョブが終了後に、使用された給紙トレイのカール補正値のみを、バックアップデータ(ジョブ開始前のカール補正値)に戻す例である。
【0091】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る、用紙に対するカール補正処理の例(その1)を示すフローチャートである。図12は、第3の実施形態に係る、用紙に対するカール補正処理の例(その2)を示すフローチャートである。図中の波線は、図10のフローチャートに対する主な相違点を表す。
【0092】
図11のフローチャートが開始されると、まず制御CPU110は、ステップS31〜S37の処理を実行する。このステップS31〜S37の処理は、図10のステップS11〜S17の処理と同じである。
【0093】
次に、制御CPU110は、使用した給紙トレイの設定情報に給紙済みフラグ(後述する図14参照)をセットする(S38)。使用した給紙トレイには、今回のジョブで使用する給紙トレイ、及び今回以前のジョブで使用した給紙トレイを含む。画像形成装置10は、ジョブを実行すると、不揮発メモリ113又はHDD123に印刷履歴を記録するため、その印刷履歴から対象ジョブで使用された給紙トレイの情報を得ることができる。
【0094】
ここで、給紙済みフラグについて図13及び図14を参照して説明する。
図13は、第3の実施形態に係るジョブ開始時の給紙トレイ設定データの例を示す説明図である。図14は、第3の実施形態に係るジョブ実行中の給紙トレイ設定データの例を示す説明図である。
【0095】
図13に示すように、給紙トレイ設定データ80Aを、給紙部領域81、設定補正値領域82、バックアップ領域83、及び給紙済みフラグ84のフィールドで構成する。給紙済みフラグは、給紙トレイごとにジョブで使用されたかどうかを示す情報であり、ジョブで使用された場合には使用済みフラグが付与される。給紙トレイが用紙を給紙すると、該当給紙トレイのレコードに給紙済みを表すフラグが付与される。
【0096】
図14は、トレイ2,3のカール補正値が‘+1’に変更され、トレイ4,5のカール補正値が‘−1’に変更された例を示す。図14の給紙トレイ設定データ80Aでは、トレイ2,3に給紙済みフラグ84が付与され、‘ON’となっている。即ち、図14では、トレイ4,5のカール補正値が変更されているが、トレイ4,5は使用されていない。
【0097】
図11の説明に戻る。ステップS38の処理が終了後、制御CPU110は、ステップS39,S40(図11)の処理を実行する。このステップS39,S40の処理は、図10のステップS18,S19の処理と同じである。
【0098】
次に、制御CPU110は、実行中のジョブの全ての給紙が終了したと判定した場合には(S40のYes)、予約ジョブがあるか否かを判定する(図12のS41)。予約ジョブがある場合には(S41のYes)、制御CPU110は、予約ジョブを解析し、予約ジョブで使用される給紙トレイが直前のプリントジョブのものと同じであるか否かを判定する(S42)。ここで、予約ジョブで使用される給紙トレイが直前のプリントジョブのものと同じである場合には(S42のYes)、制御CPU110は、本フローチャートの処理を一旦終了し、予約ジョブの開始を監視する(S31)。
【0099】
一方、ステップS41のNoの場合、又は、ステップS42のNoの場合には、制御CPU110は、カール補正値のバックアップデータに給紙済みフラグがあるか否かを判定する(S43)。
【0100】
カール補正値のバックアップデータに給紙済みフラグがある場合には(S43のYes)、制御CPU110は、給紙済みフラグが付与された給紙トレイのカール補正値を、バックアップデータ(バックアップ領域83のカール補正値)の内容に戻す(S44)。これにより、給紙した給紙トレイのカール補正値のみが、一連のジョブを開始時のカール補正値に戻る。
【0101】
このように本実施形態では、各給紙トレイについてジョブ実行中に使用されたかどうかを確認する。未使用の給紙トレイについては、設定補正値領域82のカール補正値はリセットされない。例えば、ジョブ実行中に次のジョブのためにカール補正値の変更が行われた場合には、該当給紙トレイのカール補正値は、ジョブ開始前のカール補正値に戻らない。
【0102】
次に、ステップS44の処理が終了後、又は、給紙済みフラグがない場合には(S43のNo)、制御CPU110は、バックアップデータ(バックアップ領域83のカール補正値)及び給紙済みフラグをリセットする(S45)。例えば、図15に示すように、図14のトレイ2,3の設定補正値領域82のカール補正値のみが、ジョブ開始時のカール補正値‘+2’に復帰し、トレイ4,5のカール補正値は‘−1’に変更されたままである。ステップS45の処理が終了したら、本フローチャートの処理を終了する。
【0103】
図16は、第3の実施形態に係るカール補正値の変更例を示す説明図である。
図16は、複数のジョブ(J1〜J3)を実行した場合における、給紙トレイ(トレイ1〜3)ごとのカール補正値の遷移例を表す。トレイ1〜3のジョブ開始時のカール補正値はそれぞれ、+1、+2、+2である。ジョブJ1〜J3の「補正」は設定補正値領域82(図13)のカール補正値、「保存」はバックアップ領域83(図13)のカール補正値を表す。また図中の枠は、給紙トレイが給紙を行ったことを表す。
【0104】
トレイ1は、ジョブJ2を実行中にカール補正値が‘+3’に変更され、ジョブJ3で給紙している。またトレイ2は、ジョブJ1を実行中にカール補正値が‘+1’に変更され、ジョブJ2,J3で給紙している。またトレイ3は、カール補正値の変更も給紙も行われない。
【0105】
図16に示すように、まずジョブJ1において、ジョブ開始時に、トレイ1〜3のカール補正値(+1、+2、+2)がバックアップされる。ジョブJ1,J2においてトレイ2を使用するため、ジョブJ2ではカール補正値はジョブJ1で変更された‘+1’のままである(S42のYesに相当)。
【0106】
トレイ1はジョブJ3で初めて使用されるため、ジョブJ2で変更されたトレイ1のカール補正値‘+3’は、ジョブJ3のトレイ1のカール補正値として引き継がれる(S42のNo、S43のNoに相当)。
【0107】
トレイ2はジョブJ2で使用されたが、ジョブJ3では使用されないため(S42のNo、S43のYesに相当)、トレイ2のカール補正値は、ジョブJ3の開始時にバックアップデータ‘+2’に戻る。
【0108】
ジョブJ3の後に予約ジョブはないがジョブJ3でトレイ1を使用したため(S41のNo、S43のYesに相当)、トレイ1のカール補正値は、ジョブJ3が終了したらバックアップデータ‘+1’に戻る。仮に、ジョブJ3の予約が入っていない場合には、トレイ1のカール補正値は‘+3’のままである(S41のNo、S43のNoに相当)。
【0109】
上述した第3の実施形態によれば、カール補正値を変更された給紙トレイがジョブで使用された場合には、全てのジョブが終了後に、使用された給紙トレイのカール補正値のみを、バックアップデータの内容(ジョブ開始前のカール補正値)に戻す。即ち、ジョブで使用されない給紙トレイのカール補正値が変更された場合には、その給紙トレイのカール補正値は、当該ジョブが終了した後も変更後のカール補正値のままとなる。これにより、例えば現在は使用しないが予約したジョブで使用する給紙トレイのカール補正値を現在のジョブに基づくプリントの実行中に変更した場合には、該当給紙トレイのカール補正値のみを予約ジョブに引き継ぐことができる。
【0110】
それゆえ、予約ジョブを含む全てのジョブが終了した後も、未使用の給紙トレイに対して行ったカール補正値の変更が有効となる。したがって、ユーザーはプリントの実行と並行して、現ジョブ以降で実行される予約ジョブのカール補正値の設定を行うことができるため、時間を節約できる。例えば、業務用の画像形成システムにおいて、トレイ1にA社用のジョブAで使用する用紙を収納し、トレイ2にB社用のジョブBで使用する用紙を収納しておき、ジョブAを実行中にジョブBで使用するトレイ2のカール補正値を設定することが可能となる。
【0111】
<4.第4の実施形態>
第4の実施形態は、ジョブが実行中である場合に、操作部140により変更可能なカール補正値の変更量に制限を設けた例である。
【0112】
図17は、第4の実施形態に係るカール補正値の変更方法を示すフローチャートである。制御CPU110がプログラムメモリ111に記録されたプログラムを実行することにより、本フローチャートの処理が実現される。
【0113】
まず制御CPU110は、カール補正設定画面の表示が指示されたときに、プリントジョブが実行中であるか否かを判定する(S51)。
【0114】
プリントジョブが実行中である場合には(S51のYes)、制御CPU110は、カール補正設定画面において表示している給紙トレイ即ち選択された給紙トレイは給紙済みフラグ(図13参照)がオンであるか否かを判定する(S52)。ここで、給紙済みフラグがオンである場合には(S52のYes)、制御CPU110は、例えば現設定値の±3の範囲内での入力を有効にする(S53)。
【0115】
ステップS53の処理が終了後、ステップS51のNoの場合、又はステップS52のNoの場合には、制御CPU110は、カール補正値の変更指示があるか否かを判定する(S54)。ステップS53を経た場合には、ユーザーは、制限された範囲内で、カール補正値の変更が可能である。そして、カール補正値の変更指示がある場合には(S54のYes)、制御CPU110は、指示に基づきカール補正値を更新する(S55)。
【0116】
そして、ステップS55の処理が終了後、又は、ステップS54のNoの場合、制御CPU110は、本フローチャートの処理を終了する。
【0117】
図18は、第4の実施形態に係るカール補正設定画面の例を示す説明図である。
ステップS53の処理により、図18のカール補正設定画面70が表示される。例えばカール補正設定部72Aにおいて、トレイ2の現在のカール補正値が‘+2’である場合には、現設定値から±3の範囲として‘+5’〜‘−1’の範囲で設定可能とし、それ以外の値を設定不可能に表示する。
【0118】
なお、プリントジョブ停止中(ステップS51のNo)、又は未使用の給紙トレイ(ステップS52のNo)の場合には、図4に示すような入力制限のないカール補正設定画面70が表示される。
【0119】
上述した第4の実施形態によれば、プリントジョブ実行中、且つ表示している給紙トレイの給紙済みフラグがオンになっている場合には、該当給紙トレイのカール補正値を変更可能な範囲を制限する。このように、プリントジョブ停止中と比較して、プリントジョブ実行中の変更可能なカール補正値の変更量に制限を設けることにより、カール補正値の急激な変更が禁止されるため、誤設定が防止される。
【0120】
なお、第4の実施形態において、ステップS52の判定処理を省略することも可能である。ステップS52の判定処理を省略した場合には、プリントジョブ実行中のカール補正値の変更に対して、選択された給紙トレイに拘わらず一律に変更可能な範囲を制限することができる。一方、変更可能な範囲を制限する条件を、プリントジョブ実行中に加え、対象給紙トレイの給紙済みフラグがオンであるときとした場合には、使用中ではない給紙トレイのカール補正値を自由に変更することができるため、使い勝手が向上する。
【0121】
また、第4の実施形態では、上記条件が成立している場合に該当給紙トレイのカール補正値を変更可能な範囲を制限したが、この例に限定されない。少なくともユーザーが円滑にカール補正値を変更できない構成であればよい。例えば、上記条件が成立している場合でも図4のようなカール補正設定画面70を表示するが、変更前にユーザーに判断を促す。例えば、カール補正設定画面70によりユーザーは選択した給紙トレイのカール補正値を自由に変更できるが、上記のような予め設定された許容範囲(例えば現設定値から±3)を超えて変更しようとしたときにはLCD141の画面上に確認もしくは警告のメッセージを表示する。これにより、ユーザーにカール補正値の大幅な変更を思い留まらせることができ、カール補正値の急激な変更が抑制される。
【0122】
<5.その他>
デカーラユニット20単体で、カール補正装置を構成してもよい。また、デカーラユニット20のカール補正部21が、画像形成装置10に内蔵されてもよい。即ち画像形成装置10単体でカール補正装置を構成してもよい。また、後処理ユニット30の後処理機能によっては、カール補正部21が、後処理ユニット30よりも下流側に配置されてもよい。
【0123】
上述した第1〜第4の実施形態において、制御CPU110がカール補正処理を制御する例を示したが、プリンター制御部158又はFNS制御部181がカール補正処理を制御するようにしてもよい。
【0124】
さらに、本発明は上述した各実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0125】
例えば、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0126】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。
【0127】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【符号の説明】
【0128】
1…画像形成システム、 10…画像形成装置、 12…給紙トレイ、 20…デカーラユニット、 21…カール補正部、 70…カール補正設定画面、 71…トレイ設定部、 72…カール補正設定部、 80…給紙トレイ設定データ、 81…給紙部領域、 82…設定補正値領域、 83…バックアップ領域、 83…給紙済みフラグ、 110…制御CPU、 140…操作部、 141…LCD、 150…プリンター部、181…FNS制御部
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