特許第6790771号(P6790771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790771
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】コンデンサの実装構造
(51)【国際特許分類】
   H01G 2/06 20060101AFI20201116BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20201116BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H01G2/06 Z
   H01G4/30 550
   H01G4/30 541
   H01L23/12 B
   H05K1/14 F
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-233870(P2016-233870)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2018-93011(P2018-93011A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年6月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 大介
【審査官】 小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−274036(JP,A)
【文献】 実開平01−093772(JP,U)
【文献】 実開昭59−138229(JP,U)
【文献】 特表2003−503855(JP,A)
【文献】 特開2001−189544(JP,A)
【文献】 実開平02−013760(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/00−2/06
4/12−4/30
H01L 23/12−23/15
H05K 1/14
3/36
3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路と、
マザー基板と、
前記半導体集積回路と前記マザー基板との間を中継するインターポーザと、
前記半導体集積回路の電源−グランド間に電気的に接続されるコンデンサと、
を備え、
前記コンデンサは、誘電体層を挟んで第1内部電極と第2内部電極とが交互に積層される積層体と、前記積層体の一方の端面に設けられ、前記第1内部電極に接続される第1外部電極と、前記積層体の前記一方の端面に対向する他方の端面に設けられ、前記第1内部電極に接続される第2外部電極と、前記積層体の対向する一対の側面に設けられ、前記第2内部電極に接続される第3外部電極と、を有し、前記第1外部電極側の一部が前記インターポーザの内部に埋設され、前記第2外部電極側が前記インターポーザの外部に突出し、
前記第1外部電極は、前記インターポーザの内部に設けられたビアを介して前記半導体集積回路の電源端子に電気的に接続され、
前記第2外部電極は、前記マザー基板の電源パターンに直接接続され、
前記第3外部電極は、前記インターポーザの内部又は下面に設けられたグランドパターンに電気的に接続されることを特徴とするコンデンサの実装構造。
【請求項2】
半導体集積回路と、
マザー基板と、
前記半導体集積回路と前記マザー基板との間を中継するインターポーザと、
前記半導体集積回路の電源−グランド間に電気的に接続されるコンデンサと、
を備え、
前記コンデンサは、誘電体層を挟んで第1内部電極と第2内部電極とが交互に積層される積層体と、前記積層体の一方の端面に設けられ、前記第1内部電極に接続される第1外部電極と、前記積層体の前記一方の端面に対向する他方の端面に設けられ、前記第1内部電極に接続される第2外部電極と、前記積層体の対向する一対の側面に設けられ、前記第2内部電極に接続される第3外部電極と、を有し、前記第1外部電極側の一部が前記インターポーザの内部に埋設され、前記第2外部電極側が前記インターポーザの外部に突出し、
前記第1外部電極は、前記インターポーザの内部に設けられたビアを介して前記半導体集積回路のグランド端子に電気的に接続され、
前記第2外部電極は、前記マザー基板のグランドパターンに直接接続され、
前記第3外部電極は、前記インターポーザの内部又は下面に設けられた電源パターンに電気的に接続されることを特徴とするコンデンサの実装構造。
【請求項3】
前記コンデンサの前記第1内部電極及び前記第2内部電極は、前記マザー基板の上面に対して略垂直に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンデンサの実装構造。
【請求項4】
前記第3外部電極は、前記一対の側面、及び、前記一対の側面に直交しかつ前記一対の端面に直交する一対の面、に連続して設けられる電極であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のコンデンサの実装構造。
【請求項5】
前記第1外部電極は、前記インターポーザの内部に配置され、
前記第2外部電極は、前記インターポーザの外部に配置されるとともに前記マザー基板の上面に沿って配置され、
前記第3外部電極の少なくとも一部は、前記インターポーザの内部に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のコンデンサの実装構造。
【請求項6】
前記第1外部電極は、前記インターポーザの上面に対して略平行に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のコンデンサの実装構造
【請求項7】
前記インターポーザは、シリコンで形成されることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載のコンデンサの実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の電源−グランド間に実装されるコンデンサの実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ICなどの半導体集積回路が実装された基板には、半導体集積回路の動作中の電圧変動の抑制やノイズの除去などのために、例えば、半導体集積回路の電源−グランド間にバイパスコンデンサ(デカップリングコンデンサ)が実装される。バイパスコンデンサが実装された場合、電圧変動を抑制する観点から、電源インピーダンスが低いことが望ましい。
【0003】
バイパスコンデンサを実装する技術として、半導体集積回路の直近にバイパスコンデンサを配置させるために、バイパスコンデンサを基板に内蔵させる技術がある。この技術の一例として、特許文献1には、複数の積層チップコンデンサが一体化されたコンデンサユニットが基板本体に埋め込まれる配線基板が開示されている。積層チップコンデンサは、誘電体セラミック層と内部電極層とが交互に積層されたチップ本体と、チップ本体の端面に形成され、内部電極層に電気的に接続される外部電極と、を備えている。この各積層チップコンデンサの外部電極同士が接続されることで、3つの端子を有するコンデンサユニットが形成される。このコンデンサユニットの各端子(外部電極)は、配線基板内に設けられたビアがそれぞれ接続され、各ビアを介して配線基板の各配線にそれぞれ電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−81183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、コンデンサユニット(積層チップコンデンサ)の積層方向が配線基板の厚み方向(ビアが延在する方向)と同じ方向であるので、各外部電極におけるビアに接続される箇所の面積が小さい。そのため、コンデンサユニットの各外部電極には、小径のビアを少数本(例えば、特許文献1の図5に示す例ではビアが1本)しか接続することができない。これにより、各外部電極に接続されるビア全体の断面積が小さいので、インダクタンスが高くなる。このようにバイパスコンデンサが基板に内蔵された場合、要求される電源インピーダンスを満たさず、半導体集積回路に安定した電源を供給できないおそれがある。
【0006】
ところで、半導体集積回路がインターポーザを介してマザー基板に接続され、このインターポーザにバイパスコンデンサを内蔵させる場合がある。インターポーザにバイパスコンデンサを内蔵すると、バイパスコンデンサの大きさに応じてインターポーザの厚みが増大する。しかしながら、半導体集積回路が用いられる各種電子機器の小型化や薄型化に伴って、インターポーザの薄型化が望まれている。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、インターポーザの内部にバイパスコンデンサを実装する構成において、電源インピーダンスを低減しつつ、インターポーザを薄型化することが可能なコンデンサの実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンデンサの実装構造は、半導体集積回路と、マザー基板と、半導体集積回路とマザー基板との間を中継するインターポーザと、半導体集積回路の電源−グランド間に電気的に接続されるコンデンサと、を備え、コンデンサは、誘電体層を挟んで第1内部電極と第2内部電極とが交互に積層される積層体と、積層体の一方の端面に設けられ、第1内部電極に接続される第1外部電極と、積層体の一方の端面に対向する他方の端面に設けられ、第1内部電極に接続される第2外部電極と、積層体の対向する一対の側面に設けられ、第2内部電極に接続される第3外部電極と、を有し、第1外部電極側の一部がインターポーザの内部に埋設され、第1外部電極は、インターポーザの内部に設けられたビアを介して半導体集積回路の電源端子に電気的に接続され、第2外部電極は、マザー基板の電源パターンに電気的に接続され、第3外部電極は、インターポーザの内部又は下面に設けられたグランドパターンに電気的に接続されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るコンデンサの実装構造では、半導体集積回路の電源―グランド間のバイパスコンデンサとして第1〜第3外部電極を備える3端子のコンデンサ(積層コンデンサ)を用い、このコンデンサの第1外部電極側の一部をインターポーザの内部に埋設し、第2外部電極側の残部をインターポーザの外部に出している。そして、本発明に係るコンデンサの実装構造では、このコンデンサの一端側の第1外部電極がインターポーザ内のビアを介して半導体集積回路の電源端子に電気的に接続され、他端側の第2外部電極がマザー基板の電源パターンに電気的に接続され、中間部の第3外部電極がインターポーザの内部又は下面に形成されたグランドパターンに電気的に接続されることで、コンデンサがインターポーザの内部とマザー基板に実装される。このように実装されることで、コンデンサの第1外部電極及び第2外部電極がインターポーザの厚み方向(ビアが延在する方向)に対して略直交して配置されるので、第1外部電極におけるビアに接続される箇所の面積が大きい。したがって、第1外部電極に接続されるビア全体の断面積を大きくすることができ、ビアのインダクタンスを低減することができる。また、コンデンサの第2外部電極側をインターポーザの外部に出すことで、第2外部電極をマザー基板の電源パターンに直接接続することができる。また、第3外部電極をインターポーザのグランドパターンに接続することができる。また、コンデンサを半導体集積回路の直近に配置させることができ、配線のインダクタンスを低減することができる。これらにより、半導体集積回路の電源−グランド間のループのインダクタンスを低減することができる。また、コンデンサが3端子コンデンサとして構成されているので、インダクタンスを低減することができる。これにより、本発明に係るコンデンサの実装構造によれば、インターポーザの内部にバイパスコンデンサを実装する構成において、電源インピーダンスを低減することができ、半導体集積回路に安定した電源を供給することができる。また、本発明に係るコンデンサの実装構造によれば、コンデンサの一部をインターポーザの内部に入れ、コンデンサの残部をインターポーザの外部に出すので(インターポーザにコンデンサ全体を内蔵しないので)、インターポーザを薄型化することができる。
【0010】
本発明に係るコンデンサの実装構造は、半導体集積回路と、マザー基板と、半導体集積回路とマザー基板との間を中継するインターポーザと、半導体集積回路の電源−グランド間に電気的に接続されるコンデンサと、を備え、コンデンサは、誘電体層を挟んで第1内部電極と第2内部電極とが交互に積層される積層体と、積層体の一方の端面に設けられ、第1内部電極に接続される第1外部電極と、積層体の一方の端面に対向する他方の端面に設けられ、第1内部電極に接続される第2外部電極と、積層体の対向する一対の側面に設けられ、第2内部電極に接続される第3外部電極と、を有し、第1外部電極側の一部がインターポーザの内部に埋設され、第1外部電極は、インターポーザの内部に設けられたビアを介して半導体集積回路のグランド端子に電気的に接続され、第2外部電極は、マザー基板のグランドパターンに電気的に接続され、第3外部電極は、インターポーザの内部又は下面に設けられた電源パターンに電気的に接続されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るコンデンサの実装構造では、上述したコンデンサの実装構造と同様に、3端子のコンデンサの第1外部電極側の一部をインターポーザの内部に埋設し、第2外部電極側の残部をインターポーザの外部に出している。そして、本発明に係るコンデンサの実装構造では、このコンデンサの一端側の第1外部電極がインターポーザ内のビアを介して半導体集積回路のグランド端子に電気的に接続され、他端側の第2外部電極がマザー基板のグランドパターンに電気的に接続され、中間部の第3外部電極がインターポーザの電源パターンに電気的に接続されることで、コンデンサがインターポーザの内部とマザー基板に実装される。このように実装することで、上述したコンデンサの実装構造と同様に、第1外部電極に接続されるビア全体の断面積を大きくすることができ、ビアのインダクタンスを低減することができる。また、コンデンサの第2外部電極側をインターポーザの外部に出すことで、第2外部電極をマザー基板のグランドパターンに直接接続することができる。さらに、第3外部電極をインターポーザの内部などの電源パターンに接続することができる。これにより、半導体集積回路の電源−グランド間のループのインダクタンスを低減することができる。また、コンデンサが3端子コンデンサとして構成されているので、インダクタンスを低減することができる。これにより、本発明に係るコンデンサの実装構造によれば、インターポーザの内部にバイパスコンデンサを実装する構成において、電源インピーダンスを低減することができ、半導体集積回路に安定した電源を供給することができる。また、本発明に係るコンデンサの実装構造によれば、コンデンサの一部をインターポーザの内部に入れ、コンデンサの残部をインターポーザの外部に出すので、インターポーザを薄型化することができる。
【0012】
本発明に係るコンデンサの実装構造では、コンデンサの第1内部電極及び第2内部電極は、マザー基板の上面に対して略垂直に配置されることが好ましい。このように構成することで、積層体の一端面に設けられる第1外部電極を半導体集積回路側に配置させると共に積層体の他端面に設けられる第2外部電極をマザー基板側に配置させ易く、また、第3外部電極をその中間部に配置させ易い。
【0013】
本発明に係るコンデンサの実装構造では、第3外部電極は、一対の側面、及び、一対の側面に直交しかつ一対の端面に直交する一対の面、に連続して設けられる電極であると好ましい。このように構成することで、積層体の全周に第3外部電極が配置されるので、第3外部電極の接続先の自由度が高くなり、第3外部電極とインターポーザのグランドパターン又は電源パターンとを接続する際の作業性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係るコンデンサの実装構造では、第1外部電極は、インターポーザの内部に配置され、第2外部電極は、インターポーザの外部に配置されるとともにマザー基板の上面に沿って配置され、第3外部電極の少なくとも一部は、インターポーザの内部に配置されると好ましい。このように構成することで、第1外部電極、第2外部電極、及び、第3外部電極を上述したように接続することができる。
【0015】
本発明に係るコンデンサの実装構造では、第1外部電極は、インターポーザの上面に対して略平行に配置されると好ましい。このように構成することで、第1外部電極にインターポーザ内のビアを容易に接続することができる。
【0016】
本発明に係るコンデンサの実装構造では、インターポーザは、シリコンで形成されることが好ましい。このように構成することで、薄いインターポーザを形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インターポーザの内部にバイパスコンデンサを実装する構成において、電源インピーダンスを低減しつつ、インターポーザを薄型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るコンデンサの実装構造の構成を示す断面図である。
図2】実施形態に係るコンデンサの実装構造で用いられるコンデンサの斜視図である。
図3図2に示すコンデンサの平断面図であり、(a)が第1内部電極が配置される箇所での平断面図であり、(b)が第2内部電極が配置される箇所での平断面図である。
図4】実施形態に係るコンデンサの実装構造が適用されたPDNの等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
図1を参照して、実施形態に係るコンデンサの実装構造1について説明する。図1は、実施形態に係るコンデンサの実装構造1の構成を示す断面図である。なお、図1の断面図では、見易くするために、ハッチングを省略している。
【0021】
実装構造1は、シリコンダイ10(特許請求の範囲に記載の半導体集積回路に相当)と、インターポーザ20と、マザー基板30と、コンデンサ40と、を備えている。コンデンサ40は、シリコンダイ10の電源−グランド間に電気的に接続されるバイパスコンデンサである。なお、図1ではコンデンサ40を1個示しているが、実際にはシリコンダイ10のバイパスコンデンサとして必要な所定個のコンデンサが実装される。
【0022】
シリコンダイ10は、半導体集積回路が形成されたチップである。シリコンダイ10は、例えば、APU(Application Processing Unit)のシリコンダイである。シリコンダイ10は、基板11(所謂「ゲタ」)を介してインターポーザ20に実装される。基板11の下面には、インターポーザ20に実装するために、例えば、格子状に並べられた略半球形のはんだボール11a(バンプ)が設けられている。シリコンダイ10は、インターポーザ20がマザー基板30に実装されることで、インターポーザ20を介してマザー基板30に電気的に接続される。シリコンダイ10は、例えば、マザー基板30に設けられた電源回路(図示省略)から給電される。シリコンダイ10及び基板11は、例えば、樹脂などの封止材12により封止され、パッケージ化される。
【0023】
インターポーザ20は、シリコンダイ10(基板11)を支持しつつ、シリコンダイ10とマザー基板30との間を中継する基板である。インターポーザ20は、シリコンダイ10の基板11とマザー基板30との間の端子間隔を変換し、マザー基板30に実装されることでシリコンダイ10とマザー基板30とを電気的に接続する。インターポーザ20は、シリコンからなるシリコンインターポーザである。
【0024】
インターポーザ20は、複数の配線層(配線パターン)と複数の絶縁体層とが積層された多層の配線基板である。インターポーザ20の上面(頂面)20aには、基板11を介してシリコンダイ10が実装される。シリコンダイ10を実装するために、例えば、インターポーザ20の上面20aには銅箔などからなるプリント配線パターンが形成されており、このプリント配線パターンに基板11のはんだボール11aが電気的に接続される。インターポーザ20の下面(底面)20bには、格子状に並べられた略半球形のはんだボール21が設けられている。このように、インターポーザ20は、例えば、BGA(Ball Grid Array)タイプの基板である。
【0025】
インターポーザ20の内部には、コンデンサ40の一部が埋設され、コンデンサ40が実装される。このコンデンサ40の一部を実装するために、インターポーザ20には、下面20b側に開口したキャビティ20cが形成されている。また、インターポーザ20の内部には、配線パターン(電源パターン、グランドパターン、信号パターン)やビアが設けられている。コンデンサ40は、例えば、シリコンダイ10の直下に配置される。このコンデンサ40の実装方法については、後で詳細に説明する。
【0026】
マザー基板30は、複数の配線層(配線パターン)と複数の絶縁体層とが積層された多層の配線基板である。マザー基板30の上面30aには、例えば、銅箔などからなるプリント配線パターンが形成されている。上述したインターポーザ20のはんだボール21は、このプリント配線パターンに電気的に接続される。このインターポーザ20とマザー基板30とが接続される箇所は、例えば、アンダーフィル50により封止されている。マザー基板30の内部には、配線パターン(電源パターン、グランドパターン、信号パターン)やビアが設けられている。
【0027】
マザー基板30の上面30aには、コンデンサ40の一端側が実装される。また、マザー基板30の上面30aには、バルクコンデンサ31、ボードコンデンサ32などが実装されている。バルクコンデンサ31は、低周波域のインピーダンスをカバーするコンデンサである。ボードコンデンサ32は、バルクコンデンサ31よりも高周波域のインピーダンスをカバーするコンデンサである。なお、図1で図示を省略しているが、マザー基板30には電源回路が実装されている。
【0028】
図2及び図3を参照して、コンデンサ40について説明する。図2は、実施形態に係るコンデンサの実装構造1で用いられるコンデンサ40の斜視図である。図3は、図2に示すコンデンサ40の平断面図であり、(a)が第1内部電極46が配置される箇所での平断面図であり、(b)が第2内部電極47が配置される箇所での平断面図である。
【0029】
コンデンサ40は、上述したようにバイパスコンデンサである。コンデンサ40は、シリコンダイ10の動作中の電源の電圧変動を抑制する機能、ノイズ(例えば、電源−グランド間に入るノイズ、シリコンダイ10の動作により発生するノイズ)を除去する機能などを有している。
【0030】
コンデンサ40は、チップ型の積層セラミックコンデンサであり、略直方体形状である。コンデンサ40は、積層体41と、第1外部電極42と、第2外部電極43と、第3外部電極44と、を備えている。
【0031】
コンデンサ40は、電源用端子となる第1外部電極42及び第2外部電極43と、グランド用端子となる第3外部電極44と、からなる3端子コンデンサである。第1外部電極42は、積層体41の対向する一対の端面41a,41bのうちの一方の端面41aに設けられる。第2外部電極43は、他方の端面41bに設けられる。第1外部電極42及び第2外部電極43は、積層体41の端面41a,41bだけでなく、積層体41の主面41e,41fの一部及び側面41c,41dの一部まで設けられる。第3外部電極44は、積層体41の対向する一対の側面41c,41d、及び、一対の主面41e,41fに連続して設けられる電極である。
【0032】
積層体41は、複数の誘電体層45と、複数の第1内部電極46と、複数の第2内部電極47と、を有している。積層体41には、誘電体層45を挟んで第1内部電極46と第2内部電極47とが交互に積層されている。積層体41は、直方体形状であり、対向する一対の主面41e,41fの間に対向する一対の端面41a,41bと対向する一対の側面41c,41dとが配置されている。
【0033】
誘電体層45は、長方形状の膜状に形成されている。誘電体層45は、例えば、BaTiO、CaTiO、SrTiO、CaZrOなどを主成分とする誘電体セラミックからなる。なお、これらの主成分には、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分が添加されていてもよい。
【0034】
内部電極46,47は、薄膜状に形成されている。内部電極46,47は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどが用いられる。第1内部電極46と第2内部電極47とは、誘電体層45を介して互いに対向するように、交互に積層されている。
【0035】
第1内部電極46は、図3(a)に示すように、本体部46aと、引き出し部46bと、引き出し部46cとからなる。本体部46aは、長方形状である。本体部46aは、誘電体層45を介して第2内部電極47の本体部47aに対向する。引き出し部46bは、本体部46aの一方の端部(積層体41の端面41a側の端部)に設けられている。引き出し部46bは、本体部46aの幅と同じ幅である。引き出し部46bは、第1外部電極42に接続されている。引き出し部46cは、本体部46aの他方の端部(積層体41の端面41b側の端部)に設けられている。引き出し部46cは、本体部46aの幅と同じ幅である。引き出し部46cは、第2外部電極43に接続されている。
【0036】
第2内部電極47は、図3(b)に示すように、本体部47aと、一対の引き出し部47b,47bとからなる。本体部47aは、誘電体層45を介して第1内部電極46の本体部46aと対向し、本体部46aと同様の長方形状である。引き出し部47b,47bcは、本体部47aの対向する各端部(積層体41の対向する側面41c,41d側の各端部)にそれぞれ設けられている。引き出し部47bは、第3外部電極44の幅よりも狭い幅であり、所定の長さを有している。引き出し部47b,47bは、第3外部電極44に接続されている。
【0037】
第1〜第3外部電極42,43,44は、例えば、Cu電極と、Cu電極を覆うように形成されたメッキ層(例えば、ニッケルメッキ層とこのニッケルメッキ層を覆うスズメッキ層)と、を有している。第1外部電極42は、複数の第1内部電極46の引き出し部46bに接続されている。第2外部電極43は、複数の第1内部電極46の引き出し部46cに接続されている。第3外部電極44は、複数の第2内部電極47の一対の引き出し部47b,47bに接続されている。
【0038】
図1に戻って、このコンデンサ40の実装方法について説明する。コンデンサ40の第1外部電極42側の一部は、インターポーザ20のキャビティ20c内に埋設される。キャビティ20cは、少なくとも第3外部電極44の一部分までを収容する深さを有している。コンデンサ40の第2外部電極43側の残部は、インターポーザ20の外側(マザー基板30側)に出ている。コンデンサ40の第2外部電極43は、マザー基板30の上面30aに沿うように配置される。
【0039】
このようにコンデンサ40が配置されることで、コンデンサ40の積層方向Dがマザー基板30の上面30aと略平行となる。したがって、コンデンサ40の第1内部電極46及び第2内部電極47は、マザー基板30の上面30aに対して略垂直に配置される。また、コンデンサ40の積層体41の端面41a,41bは、マザー基板30の上面30aに対して略平行に配置され、インターポーザ20の厚み方向に対して略直交して配置される。したがって、コンデンサ40の第1外部電極42(端面41aに設けられる部分)及び第2外部電極43(端面41bに設けられる部分)は、インターポーザ20の上面20aやマザー基板30の上面30aに対して略平行に配置される。また、この第1外部電極42及び第2外部電極43は、インターポーザ20の厚み方向(インターポーザ20内のビアが延在する方向)に対して略直交して配置される。このように配置されるので、第1外部電極42におけるビアに接続される箇所の面積が大きくなる。
【0040】
第1外部電極42は、インターポーザ20の内部に設けられた複数本のビア20dに電気的に接続される。この複数本のビア20dは、コンデンサ40の第1外部電極42とインターポーザ20の上面20aに形成された電源パターン20fとを電気的に接続するビアである。電源パターン20fは、シリコンダイ10の基板11の電源端子用のはんだボール11aに電気的に接続される。
【0041】
第2外部電極43は、マザー基板30の上面30aに設けられた電源パターン30bに電気的に接続されている。この電源パターン30bは、マザー基板30のビアや電源パターンなどを介して電源回路に接続されている。
【0042】
第3外部電極44は、インターポーザ20の内部に設けられたグランドパターン20eに電気的に接続される。このグランドパターン20eは、インターポーザ20内のビアなどを介して、マザー基板30のグランド及びシリコンダイ10の基板11のグランド端子用のはんだボール11aに接続されている。
【0043】
インターポーザ20の内部に設けられるビアは、全て同じ径である。第1外部電極42に接続されるビア20dの本数は、ビアの径(断面積)と第1外部電極42における端面41a側の面積を考慮して、出来る限り多いことが望ましい。ビア20dの本数を多くするほど、並列に接続されるビア20d全体の断面積を大きくすることができる。また、ビア20dの軸方向の長さは、短いことが望ましい。
【0044】
この実装構造1の作用について説明する。実装構造1では、コンデンサ40の一部をインターポーザ20の内部に入れ、コンデンサ40の残部をインターポーザ20の外部に出す構造である。そのため、コンデンサ40全体をインターポーザ20の内部に収容する必要がないので、インターポーザ20を薄型化することができる。特に、シリコンからなるインターポーザ20を用いているので、ガラスエポキシなどからなるインターポーザよりも薄型化が可能である。
【0045】
実装構造1では、上述したようにコンデンサ40の第1外部電極42におけるビアに接続される箇所の面積が大きいので、第1外部電極42に接続されるビア20dの本数を多くできる。したがって、この多くの本数のビア20d全体の断面積を大きくすることができ、第1外部電極42に並列に接続されるビア20d全体のインダクタンスを低減することができる。さらに、ビア20dの長さを短くすることで、インダクタンスを低減することができる。
【0046】
また、実装構造1では、コンデンサ40の第2外部電極43側をインターポーザ20の外部に出し、第2外部電極43をマザー基板30の上面30aに沿って配置させることができる。これによって、コンデンサ40の第2外部電極43をマザー基板30の上面30aの電源パターン30bに直接接続することができ、配線のインダクタンスを低減することができる。
【0047】
また、実装構造1では、コンデンサ40の第3外部電極44の少なくとも一部をインターポーザ20の内部に配置させることで、第3外部電極44をインターポーザ20の内部のグランドパターン20eに接続することができる。これによって、グランド側の配線を短くでき、配線のインダクタンスを低減することができる。
【0048】
また、実装構造1では、コンデンサ40をインターポーザ20の内部におけるシリコンダイ10の直下に配置させることで、シリコンダイ10の直近にコンデンサ40を配置させることができる。これによって、シリコンダイ10の電源−グランド間のループ全体における配線を短くできる。
【0049】
これらにより、実装構造1では、シリコンダイ10の電源−グランド間のループにおけるインダクタンスを低減することができ、電源インピーダンスを低減することができる。また、実装構造1では、コンデンサ40が3端子コンデンサとして構成されているので、インダクタンスを低減することができる。
【0050】
図4には、実施形態に係るコンデンサの実装構造1が適用された電源分配網(PDN(Power Distribution Network))全体の等価回路を示す。符号M1で示す破線で囲まれる等価回路は、マザー基板30に設けられるバルクコンデンサ31の等価回路である。符号M2で示す破線で囲まれる等価回路は、マザー基板30の配線などの等価回路である。符号M3で示す破線で囲まれる等価回路は、マザー基板30に設けられるボードコンデンサ32の等価回路である。符号M4で示す破線で囲まれる等価回路は、マザー基板30の配線などの等価回路である。
【0051】
符号I1で示す破線で囲まれる等価回路は、インターポーザ20の内部に実装されるコンデンサ40の等価回路である。符号I2で示す破線で囲まれる等価回路は、インターポーザ20の配線などの等価回路である。
【0052】
符号S1で示す破線で囲まれる等価回路は、シリコンダイ10をインターポーザ20に実装するための基板11などの等価回路である。符号S2で示す破線で囲まれる等価回路は、シリコンダイ10の等価回路である。
【0053】
実施形態に係る実装構造1を適用することで、この電源分配網全体の等価回路において符号I2で示す破線で囲まれる等価回路及び符号S1で示す破線で囲まれる等価回路におけるインピーダンスを低減することができる。また、3端子のコンデンサ40を用いているので、符号I1で示す破線で囲まれる等価回路におけるインピーダンスを低減することができる。
【0054】
実施形態に係る実装構造1によれば、インターポーザ20の内部にコンデンサ40に実装する構成において、上述したようにインダクタンスを低減できるので、シリコンダイ10の電源−グランド間における電源インピーダンスを低減することができる。これによって、シリコンダイ10に安定した電源を供給することができる。
【0055】
実施形態に係る実装構造1によれば、コンデンサ40の一部をインターポーザ20の内部に入れ、その残部をインターポーザ20の外部に出すので(インターポーザ20にコンデンサ40全体を内蔵しないので)、インターポーザ20を薄型化することができる。特に、大容量のコンデンサ40を用い、コンデンサ40を小型化できない場合でも、インターポーザ20を薄型化することができる。実施形態に係る実装構造1によれば、シリコンからなるインターポーザ20を適用しているのでので、薄いインターポーザ20を形成することができる。
【0056】
実施形態に係る実装構造1では、コンデンサ40の第1内部電極46及び第2内部電極47をマザー基板30の上面30aに対して略垂直に配置している。このように配置することで、コンデンサ40の第1外部電極42をシリコンダイ10側に配置させると共に第2外部電極43をマザー基板30側に配置させ易く、また、第3外部電極44をその中間部に配置させ易い。
【0057】
実施形態に係る実装構造1では、第3外部電極44を積層体41の側面41c,41d及び主面41e,41fに連続して設けることで、積層体41の全周に第3外部電極44が配置される。このように全周の第3外部電極44とすることで、全周の何れの箇所でも接続できるので、第3外部電極44の接続先の自由度が高くなり、第3外部電極44とインターポーザ20内のグランドパターン20eとを接続する際の作業性を向上させることができる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態では第1外部電極42がビア20dを介して基板11の電源端子に接続され、第2外部電極43がマザー基板30の電源パターン30bに接続され、第3外部電極44がインターポーザ20内のグランドパターン20eに接続される構成とした。コンデンサの第1〜第3外部電極の接続先の構成としては、他の構成としてもよい。例えば、コンデンサの第1外部電極(グランド用端子)は、インターポーザの内部のビアを介してシリコンダイの基板のグランド端子に接続される。コンデンサの第2外部電極(グランド用端子)は、マザー基板の上面のグランドパターンに接続される。コンデンサの第3外部電極(電源用端子)は、インターポーザの内部の電源パターンに接続される。このように構成した場合でも、実施形態に係る実装構造1と同様の効果を有する。
【0059】
上記実施形態ではコンデンサ40の第3外部電極44がインターポーザ20の内部のグランドパターン20eに電気的に接続される構成としたが、インターポーザ20の下面に設けられるグランドパターンに接続される構成としてもよい。
【0060】
上記実施形態ではコンデンサ40の第3外部電極44を積層体41の側面41c,41d及び主面41e,41fに設けられる全周の電極としたが、コンデンサ40の一対の側面41c,41dにそれぞれ設けられる対向する一対の第3外部電極としてもよい。
【0061】
上記実施形態ではシリコンで形成されるインターポーザ20に適用したが、ガラスエポキシなどの他の材料で形成されるインターポーザに適用することもできる。
【符号の説明】
【0062】
1 コンデンサの実装構造
10 シリコンダイ
11 基板
20 インターポーザ
20d ビア
20e グランドパターン
30 マザー基板
30b 電源パターン
40 コンデンサ
41 積層体
42 第1外部電極
43 第2外部電極
44 第3外部電極
45 誘電体層
46 第1内部電極
47 第2内部電極
図1
図2
図3
図4