(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、例えばナノインプリント装置におけるテンプレートのパターン面に付着したレジストの除去処理や、液晶用のガラス基板やシリコンウエハなどの洗浄処理などにおいては、ドライ洗浄方法が広く利用されている。このようなドライ洗浄方法としては、紫外線を用いた光洗浄方法が知られている。特に、エキシマランプなどから放射される真空紫外線により生成されるオゾンや酸素ラジカル等の活性種を利用した光洗浄方法は、より効率良く短時間で所定の処理を行うことができることから、好適に利用されている。
【0003】
図3は、ナノインプリント装置において用いられるテンプレート表面の光洗浄処理に用いられる従来の紫外線処理装置の一構成例を概略的に示す断面図である。この紫外線処理装置は、例えば特許文献1に開示されている。
この紫外線処理装置は、上壁に開口部を有する外形が略直方体状の筐体60を備えており、この筐体60における開口部には、例えば石英ガラスよりなる紫外線透過窓61が枠状の固定板62によって固定されて設けられている。
【0004】
筐体60の内部には、例えばエキシマランプよりなる紫外線ランプ65が紫外線透過窓61と対向して配置されている。また、筐体60の内部には、冷却用ガスが流通される2つの矩形の筒状のガス流路部材66が設けられている。具体的に説明すると、各々のガス流路部材66は、その上壁に互いに離間して長さ方向に並ぶよう形成された複数のガス流通口67を有し、筐体60の上壁内面および筐体60の側壁内面に接する状態で配置されて固定されている。各々のガス流通口67は、筐体60の上面における紫外線透過窓61の周囲に開口するガス流通路63に連続している。
【0005】
この紫外線処理装置は、紫外線透過窓61が、テンプレート保持機構70によって保持されたテンプレート75のパターン面に間隙を介して対向するよう配置されて使用される。
この紫外線処理装置においては、冷却用ガスがガス流路部材66に供給されることによって、ガス流通路63を介して筐体60の外部に排出された冷却用ガスが紫外線透過窓61とテンプレート75の間の間隙に流通される。この状態で、紫外線ランプ65を点灯させることにより、紫外線ランプ65からの真空紫外線が紫外線透過窓61を介してテンプレート75のパターン面に照射され、テンプレート75の光洗浄処理が行われる。
ここで、冷却用ガスに酸素が含まれていると、真空紫外線が照射されることによりオゾンが発生する。発生したオゾンをそのまま放置しておくと安全上問題があるため、光洗浄処理が行われる処理空間内のガスは、通常、オゾン除去手段を介して排気装置によって排気される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
而して、例えば液晶基板などの製造ラインにおいては、省スペース化のため、被処理物の光洗浄処理が行われる処理室がシャッターなどで密閉された構成とされていることは少ない。このため、処理室内の雰囲気は通常不活性ガスで置換されているものの、酸素濃度は高濃度のうえ、濃度がコントロールされておらず、処理室内で生成されるオゾンの量は多くなりがちである。
また、周囲へのオゾンの拡散防止のため、処理室内を負圧状態に維持する必要がある。このため、周囲からの処理室内への大気の流れ込みが発生しやすく、処理室の酸素濃度が上がる傾向が強く、ますます処理室内で発生するオゾンの量は増えることになる。
前述のように、処理室内のガスは、オゾン除去手段を介して排気装置により排気される。しかしながら、処理室内から排気されるガスに含まれるオゾンの濃度が高くなると、オゾン除去手段として、大掛かりなオゾン除去装置等を付設して対処しなければならず、紫外線処理装置全体が大型化することになる。
一方、排出されるオゾンの量を低減するために、処理室内の酸素濃度を低くしすぎると、被処理物の処理に生成されるオゾンによる作用が十分に得られなくなるため、処理効率が低下してしまう。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、オゾンによる作用を十分に得ることができて被処理物の光照射処理を高い効率で行うことができるものでありながら、排出されるオゾンの量を可及的に低減することのできる紫外線処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の紫外線処理装置は、非密閉型の処理室と、
当該処理室内に配置される被処理物に紫外線を照射する紫外線光源と、
当該処理室内に処理ガスを供給するガス供給系と、
当該処理室内のガスを排気するガス排気系と、
前記ガス排気系を流通されるガスに含まれる酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、
当該酸素濃度検出手段によって検出される酸素濃度値が0.8〜10vol%の範囲内となるよう、前記処理ガスの供給量および前記処理室から排気されるガスの排気量のいずれか一方または両方を制御する制御手段と
を備
え、
前記ガス排気系は、オゾン除去フィルターよりなるオゾン除去手段を備えており、
前記酸素濃度検出手段は、ガス流通方向におけるオゾン除去手段の下流側の位置に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の紫外線処理装置においては、前記ガス排気系は、前記処理室内のガスを排気する排気装置として、アスピレーターを備えた構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の紫外線処理装置によれば、紫外線照射処理が非密閉型の処理室内の酸素濃度が制御された状態で行われるので、紫外線照射により生成されるオゾンの作用を十分に得ることができて紫外線照射処理を高い効率で行うことができるものでありながら、排出されるオゾンの量を可及的に低減することができる。
また、排出されるオゾンの量が少ないので、ガス排気系に設けられるオゾン除去手段として大掛かりなオゾン除去装置を用いる必要がなく、オゾン除去フィルターで対処することができるため、装置自体が大型化することを回避することができる。
【0013】
また、ガス排気系が、処理室内のガスを排気する排気装置として、アスピレーターを備えた構成とされていることにより、処理室から排気されるガスの排気量の微調整が可能であるため、処理室内の酸素濃度を正確に制御することができて、上記効果を一層確実に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の紫外線処理装置の一構成例を概略的に示す断面図である。
図2は、
図1に示す紫外線処理装置における処理室の構成を概略的に示す、被処理物の搬送方向に沿った平面で切断した断面図である。
この紫外線処理装置は、例えば側方に開口する被処理物搬入・搬出口12が形成された筐体10を備えており、例えば平板状の被処理物Wが水平状態を保って、当該被処理物搬入・搬出口12を介して筐体10の内部に搬入または筐体内部から搬出される(
図1において被処理物Wの搬送方向を白抜きの矢印で示す。)。筐体10には、被処理物搬入・搬出口12を開閉する例えば平板状のシャッター部材25が設けられている。シャッター部材25は、筐体10の内部空間を外気(装置外部の雰囲気)から完全に密閉するものではなく、閉状態において、その内面と筐体10の外面との間に隙間が形成されるよう設けられており、これにより、非密閉型の処理室11が筐体10の内部に形成されている。この例においては、シャッター部材25は図示しない駆動機構によって上下方向に駆動されて開閉される。
【0016】
この例においては、筐体10の内部空間は、被処理物搬入・搬出口12の上方位置において水平に延びる状態で設けられた板状の窓部材18によって区画されており、下部空間部が処理室11とされると共に上部空間部が紫外線光源が配置される光源配置室15とされている。紫外線光源としては、例えば棒状の紫外線ランプ20が用いられている。紫外線ランプ20は、その中心軸が水平に延びる姿勢で配置されており、紫外線ランプ20からの紫外線が窓部材18を介して被処理物Wに向かって照射される。窓部材18は、紫外線ランプ20からの紫外線を透過する材料、例えば合成石英ガラスよりなる。
なお、本発明の紫外線処理装置においては、例えば紫外線ランプ20からの紫外線が直接的に被処理物Wに照射される構成とされていてもよい。すなわち、窓部材18を有さない構成とされていてもよく、この場合には、紫外線ランプ20は、処理室11内に配置される被処理物Wとの離間距離が例えば1〜10mmとなる位置に配置された構成とされる。
【0017】
紫外線ランプ20としては、真空紫外線(波長200nm以下の紫外線)を放射するものを用いることが好ましい。具体的には例えば、185nmの真空紫外線を放射する低圧水銀ランプ、中心波長が172nmの真空紫外線を放射するキセノンエキシマランプ、あるいは、発光管内にキセノンガスが封入されると共に、発光管の内面に例えば190nmの真空紫外線を出射する蛍光体が塗布されてなる蛍光エキシマランプなどを例示することができる。
【0018】
処理室11には、筐体10に形成された処理ガス供給口13を介して処理室11内に処理ガスを供給するガス供給系30と、処理室11内のガスを排気するガス排気系40とが接続されている。
【0019】
ガス供給系30は、処理ガス供給管31がその一端が筐体10に形成された処理ガス供給口13に配管接続され、処理ガス供給管31の他端に処理ガス供給源32が流量制御手段33を介して接続されて構成されている。
【0020】
処理ガスは、処理室11内の酸素濃度を希釈するために導入されるものであって、例えば、不活性ガスまたは不活性ガスに酸素を混合したガスが用いられる。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガスなどを用いることができる。
【0021】
流量制御手段33としては、例えばマスフローコントローラを用いることができる。
【0022】
ガス排気系40は、例えば、処理室11内における被処理物搬入・搬出口12の近傍位置に設けられた、矩形筒状の排気用ガス流路部材41と、この排気用ガス流路部材41の長さ方向一端側の位置において筐体10に形成されたガス排出口14に配管接続されたガス排出管42と、このガス排出管42にオゾン除去手段43を介して接続されたガス排気装置とにより構成されている。
【0023】
排気用ガス流路部材41は、例えば底壁に例えば複数のガス流入口41aが互いに離間して長さ方向に並んで形成されたものであって、例えば被処理物搬入・搬出口12の上方位置に設けられている。排気用ガス流路部材41の各々のガス流入口41aを介して排気用ガス流路部材41の内部に流入する処理室11内のガスは、長さ方向一端側に向かって流れてガス排出口14から排出される(
図1および
図2において黒く塗りつぶした矢印で示す。)。このように、排気用ガス流路部材41が被処理物搬入・搬出口12の近傍位置に設けられた構成とされていることにより、外部から取り込まれる大気を、直接的に排気用ガス流路部材41内に流入させることができるため、外部から処理室11内へのパーティクルの侵入が防ぎやすくなる。
【0024】
オゾン除去手段43としては、例えば、無機繊維ペーパーにより形成されたハニカム構造体からなる基体に、例えば二酸化マンガンよりなるオゾン除去用触媒が担持されてなるオゾン除去フィルターを用いることができる。
【0025】
ガス排気装置としては、例えば、減圧状態を作り出して処理室11内のガスを排気するものが用いられている。この例においては、ガス排気装置としては、アスピレーター45、特にドライエアーまたはクリーンドライエアー(CDA)などの駆動ガスを利用したもの(エジェクター)が用いられている。ガス排気装置としては、例えばポンプなどを用いることができるが、駆動ガスの供給量の制御によって処理室11から排出されるガスの排気量の微調整が可能であることから、アスピレーター45を用いることが好ましい。
図2において、46は、アスピレーター45の駆動ガス供給源、47は、アスピレーター45の駆動ガスの供給量を制御する流量制御手段である。
【0026】
而して、上記の紫外線処理装置においては、処理室11内の酸素濃度またはガス排気系40を流通されるガスに含まれる酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段50が設けられていると共に、処理ガスの供給量または処理室11から排気されるガスの排気量を酸素濃度検出手段50によって検出される酸素濃度値に基づいて制御する制御手段55を備えている。
【0027】
酸素濃度検出手段50としては、特に限定されるものではないが、例えば、応答速度が速く、例えばCO
2 ガスなどの影響を受けないことなどの理由から、ジルコニア式酸素センサを用いることが好ましい。
ガス排気系40を流通されるガスに含まれる酸素濃度を検出する場合にあっては、酸素濃度検出手段50は、オゾン除去手段43を通過したガスに含まれる酸素濃度を検出するものであることが好ましい。すなわち、酸素濃度検出手段50は、ガス流通方向におけるオゾン除去手段43の下流側(排出側)の位置に設けられていることが好ましい。このような構成とされていることにより、酸素濃度検出手段50に導入(サンプリング)されるガスは、オゾンが除去またはオゾン濃度が低減された状態のものであるため、酸素濃度検出手段50の劣化を低減することができる。
また、処理室11内の酸素濃度を検出する場合にあっては、処理室11内における被処理物Wの近傍のガスをサンプリングすることが好ましい。
【0028】
制御手段55は、酸素濃度検出手段50によって検出される酸素濃度値が0.8〜10vol%の範囲内となるよう、処理ガスの供給量および処理室11から排気されるガスの排気量のいずれか一方または両方を制御する機能を有する。また、処理室11内の酸素濃度値は、1〜10vol%の範囲内とされることが好ましい。
具体的には、制御手段55は、酸素濃度検出手段50から出力される酸素濃度に応じた検出信号が、上記範囲内において設定される特定の酸素濃度値に応じたものとなるよう、処理ガス供給量およびガス排気量のいずれか一方または両方をフィードバック制御する機能を有することが望ましい。
なお、処理ガス供給量およびガス排気量は、酸素濃度検出手段50によって検出される酸素濃度値に基づいて設定される、ガス供給系30およびガス排気系40の動作条件を制御手段55に入力するなどして手動で制御してもよい。
【0029】
処理室11内の酸素濃度が0.8vol%より低いと、紫外線ランプ20からの真空紫外線が酸素に照射されることにより生成されるオゾンによる作用が十分に得られず、被処理物Wの処理効率が低下する。一方、処理室11内の酸素濃度が10vol%より高いと、紫外線ランプ20からの真空紫外線が酸素に吸収されて、被処理物Wに照射される真空紫外線の光量が減少するため、被処理物Wの処理効率が低下する。
【0030】
また、上記の紫外線処理装置においては、処理室11から排気されるガスの排気量が処理ガスの供給量よりわずかに大きい状態、すなわち、処理室11内が外気に対して負圧状態が得られるよう、ガス供給系30およびガス排気系40の動作が制御手段55によって制御されることが好ましい。これにより、処理室11内の酸素濃度を上記濃度範囲内におけるより低い濃度に制御することができて、後述する実験例の結果に示されるように、高い処理効率が得られる。
具体的な一例を示すと、例えば容積が2リットルである処理室11に対する処理ガスの供給量を20リットル/minとしたとき、処理室11から排気されるガスの排気量は、例えば22〜30リットル/minである。
【0031】
上記の紫外線処理装置の動作について説明すると、先ず、処理室11内に被処理物Wが搬入されてシャッター部材25が閉状態とされた状態において、処理ガスが流量制御手段33によって制御された供給量で処理室11内に供給されると共にアスピレーター45が駆動されて処理室11内に存在するガスが排気用ガス流路部材41を介して処理室11から制御された排気量で排気される。これにより、処理室11内の雰囲気が置換されると共に例えば所定の負圧状態に維持される。
【0032】
この状態において、酸素濃度検出手段50によって、例えばガス排気系40を流通されるガスに含まれる酸素濃度が検出される。なお、
図2において破線で示すように、酸素濃度検出手段50によって、処理室11内の酸素濃度が検出されてもよい。そして、酸素濃度検出手段50によって検出される酸素濃度値が所定の濃度範囲内の値となるよう、制御手段55によって、処理ガスの供給量および処理室11から排気されるガスの排気量のいずれか一方または両方がフィードバック制御される。
【0033】
処理室11内の酸素濃度が所定の大きさに維持された状態において、紫外線ランプ20が点灯されることにより、紫外線ランプ20からの真空紫外線が窓部材18を介して被処理物Wに向かって照射される。これにより、被処理物Wに到達する真空紫外線の作用、並びに、真空紫外線が処理室11内の酸素に照射されることにより生成される活性種およびオゾンの作用によって、被処理物Wの処理例えば洗浄処理が行われる。
一方、生成されたオゾンを含む処理室11内のガスは、排気用ガス流路部材41を介して処理室11から排気される。そして、当該ガスに含まれるオゾンがオゾン除去手段43によって除去された後、装置外部に排出される。
【0034】
而して、上記の紫外線処理装置によれば、紫外線照射処理が非密閉型の処理室11内の酸素濃度が特定の範囲内の大きさに制御された状態で行われるので、紫外線照射により生成されるオゾンの作用を十分に得ることができて紫外線照射処理を高い効率で行うことができるものでありながら、排出されるオゾンの量を可及的に低減することができる。
また、排出されるオゾンの量が少ないので、ガス排気系40に設けられるオゾン除去手段43として大掛かりなオゾン除去装置を用いる必要がなく、オゾン除去フィルターで対処することができるため、紫外線処理装置自体が大型化することを回避することができる。
【0035】
また、ガス排気系40が、処理室11内のガスを排気する排気装置として、アスピレーター45を備えた構成とされていることにより、処理室11から排気されるガスの排気量の微調整が可能であるため、処理室11内の酸素濃度を正確に制御することができて、上記効果を一層確実に得ることができる。
【実施例】
【0036】
〔実施例1〕
図1および
図2に示す構成に従って、以下に示す仕様を有する紫外線処理装置を作製した。
処理室(11)の寸法(縦×横×高さ):210mm×280mm×32mm、処理室(11)の容積:約2リットル
被処理物(W)の材質:合成石英ガラス、被処理物(W)の寸法(縦×横):152mm×152mm
紫外線ランプ(20):出力が50Wのキセノンエキシマランプ
窓部材(18)と被処理物(W)との離間距離:3mm
ガス排気装置:クリーンドライエアを駆動ガスとするアスピレーター
オゾン除去手段(43):無機繊維ペーパーにより形成されたハニカム構造体からなる基体に、二酸化マンガンよりなるオゾン除去用触媒が担持されてなるオゾン除去フィルター、寸法:50×50×75mm
酸素濃度検出手段(50):ジルコニア式酸素センサ
処理ガス:窒素ガス
【0037】
上記の紫外線処理装置において、処理室への処理ガス供給量および処理室内から排出されるガスの排気量(アスピレーターに対する駆動ガスの供給量)の一方または両方を適宜制御することにより、処理室内の酸素濃度を下記表1に従った濃度値に制御した状態において、キセノンエキシマランプを点灯させて被処理物に対する紫外線照射処理を行った。
例えば、処理室への処理ガス供給量を20リットル/minに制御すると共にアスピレーターに対する駆動ガスの供給量を38リットル/minとして処理室内から排出されるガスの排気量を22リットル/minに制御すると、ジルコニア式酸素センサにより検出される処理室内の酸素濃度を3vol%に制御することができた。
紫外線照射処理において、紫外線照射時間は120secとした。
【0038】
そして、紫外線照射処理後における被処理物の表面の純水との接触角θ
1 を測定し、紫外線照射処理前における被処理物の表面の純水との接触角θ
0 との差(Δθ=θ
1 −θ
0 )を処理性能として、処理室内の酸素濃度と処理性能との関係を調べた。結果として、酸素濃度が0.8〜10vol%の範囲内に制御された状態においては、Δθが10°以上の大きさとなり、高い洗浄性能が得られることが確認された。
また、紫外線照射処理中において処理室から排出されるガスに含まれるオゾンの濃度を測定したところ、酸素濃度が0.8〜10vol%の範囲内に制御された状態においては、オゾン濃度は0.2〜3.3ppmの範囲内であった。
【0039】
【表1】
【0040】
以上の結果から明らかなように、紫外線照射処理が非密閉型の処理室内の酸素濃度が0.8〜10vol%の範囲内の大きさに制御された状態で行われる場合には、紫外線照射処理を高い効率で行うことができるものでありながら、排出されるオゾンの量を可及的に低減することができることが確認された。