特許第6790783号(P6790783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6790783ステータユニット、モータ、およびステータユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790783
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ステータユニット、モータ、およびステータユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/08 20060101AFI20201116BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20201116BHJP
   H02K 15/12 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H02K5/08 A
   H02K5/22
   H02K15/12 E
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-240082(P2016-240082)
(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公開番号】特開2018-98870(P2018-98870A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】青井 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 和洋
(72)【発明者】
【氏名】北村 順平
(72)【発明者】
【氏名】松山 純也
(72)【発明者】
【氏名】野上 栄
(72)【発明者】
【氏名】道下 愛望
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−008579(JP,A)
【文献】 特開平06−178484(JP,A)
【文献】 特開平05−056611(JP,A)
【文献】 特開平06−153448(JP,A)
【文献】 特開平06−178514(JP,A)
【文献】 特開昭58−123354(JP,A)
【文献】 特開2015−089173(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/053368(WO,A1)
【文献】 特開昭60−210142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/08
H02K 5/22
H02K 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに用いられるステータユニットであって、 上下に延びる中心軸に対して略垂直に拡がるベース部材と、 前記ベース部材の上側に位置する電機子と、 前記ベース部材の上側に位置し、前記電機子と電気的に接続された回路基板と、 前記電機子および前記回路基板を覆うモールド樹脂部と、を備え、 前記ベース部材は、平面視において、前記回路基板よりも径方向外側に弾性部材を有し、 前記ベース部材は、円板部を有し、 前記ベース部材の上面は、前記円板部の径方向外側の端部から、上側へ向けて環状に突出する外側壁部を有し、 前記弾性部材は、前記外側壁部の上面に位置するステータユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のステータユニットであって、 前記弾性部材の少なくとも一部は、前記ベース部材の上面から突出しているステータユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のステータユニットであって、 前記弾性部材は、前記中心軸を中心とする環状であり、 前記モールド樹脂部は、前記弾性部材の外縁よりも径方向内側に形成され、平面視において、前記モールド樹脂部の外周部は前記弾性部材の少なくとも一部と重なるステータユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のステータユニットであって、 前記ベース部材は、複数の前記弾性部材を有し、 複数の前記弾性部材は、前記中心軸を中心とし、かつ、互いに径が異なるステータユニット。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のステータユニットであって、 前記弾性部材は、リング状の樹脂製の部材であるステータユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のステータユニットであって、 前記ベース部材は、上面のうち前記回路基板よりも径方向外側に溝部を有し、 前記弾性部材の一部が、前記溝部に収容されるステータユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のステータユニットであって、 前記ベース部材の上面と前記弾性部材との間に介在する接着剤をさらに有するステータユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のステータユニットであって、 前記弾性部材は、前記ベース部材の上面の周縁部よりも径方向内側に位置するステータユニット。
【請求項9】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のステータユニットであって、 前記モールド樹脂部の外周面は、ゲート痕を有するステータユニット。
【請求項10】
請求項に記載のステータユニットであって、 前記ゲート痕は、前記回路基板よりも軸方向下側、かつ、前記ベース部材よりも軸方向上側に位置するステータユニット。
【請求項11】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のステータユニットであって、 前記モールド樹脂部の下面は、前記ゲート痕を有するステータユニット。
【請求項12】
請求項11に記載のステータユニットであって、 前記ベース部材は、軸方向に貫通する貫通孔を有し、 前記ゲート痕は、前記モールド樹脂部の前記貫通孔内に位置する部分の下面に位置するステータユニット。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のステータユニットであって、 前記中心軸に沿って延びる円筒状の軸受ハウジングをさらに備え、 前記電機子は、前記軸受ハウジングの外周面に固定され、 前記ベース部材は、前記電機子よりも下側において、前記軸受ハウジングの外周面に固定されるステータユニット。
【請求項14】
請求項13に記載のステータユニットであって、 前記軸受ハウジングは金属製であるステータユニット。
【請求項15】
請求項13に記載のステータユニットであって、 前記軸受ハウジングは樹脂製であるステータユニット。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載のステータユニットと、 前記中心軸を中心として回転可能に支持され、前記電機子と径方向に対向する磁極面を有するロータユニットと、を備えたモータ。
【請求項17】
上下に延びる中心軸に対して略垂直に拡がるベース部材と、前記ベース部材の上側に位置する電機子および回路基板と、前記電機子および前記回路基板を覆うモールド樹脂部と、を備えるステータユニットの製造方法であって、 a)第1金型で前記ベース部材を支持する工程と、 b)前記第1金型と第2金型とを組み合わせて、前記第1金型と前記第2金型との間に空洞を形成する工程と、 c)前記空洞に溶融樹脂を流し込む工程と、を備え、 前記工程b)では、前記ベース部材は、円板部を有し、前記ベース部材の上面は、前記円板部の径方向外側の端部から、上側へ向けて環状に突出する外側壁部を有し、前記弾性部材は、前記外側壁部の上面に位置し、前記ベース部材の上面のうち、平面視において、前記回路基板よりも径方向外側に、弾性部材を介して、前記第2金型が押し付けられるステータユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータユニット、モータ、およびステータユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステータを覆うモールド樹脂部を備えた、いわゆるモールドモータが知られている。モールドモータは、防水性や、駆動時の防振性および防音性に優れている。特に、モールドモータは、モールド樹脂部により、ステータに含まれるコイルなどの通電箇所に、水滴が浸入することを抑制できる。従来のモールドモータについては、例えば、特開平6−178484号公報に記載されている。
【特許文献1】特開平6−178484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
モールド樹脂部の成型時には、ステータとステータを支持するベース部材とを含むアセンブリが、一対の金型の間に収容される。そして、一対の金型の間に形成される空洞に、溶融樹脂が流し込まれる。このとき、ベース部材の一部分は、一対の金型の間に挟まれる。このため、一対の金型の締め付け圧力が強過ぎると、金型からの荷重で、ベース部材が破損する虞がある。
【0004】
本発明の目的は、モールド樹脂部の成型時に、金型からの荷重でベース部材が破損することを防止できる構造および製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の例示的な第1発明は、モータに用いられるステータユニットであって、上下に延びる中心軸に対して略垂直に拡がるベース部材と、前記ベース部材の上側に位置する電機子と、前記ベース部材の上側に位置し、前記電機子と電気的に接続された回路基板と、前記電機子および前記回路基板を覆うモールド樹脂部と、を備え、前記ベース部材は、平面視において、前記回路基板よりも径方向外側に弾性部材を有し、前記ベース部材は、円板部を有し、前記ベース部材の上面は、前記円板部の径方向外側の端部から、上側へ向けて環状に突出する外側壁部を有し、前記弾性部材は、前記外側壁部の上面に位置する。
【0006】
本願の例示的な第2発明は、上下に延びる中心軸に対して略垂直に拡がるベース部材と、前記ベース部材の上側に位置する電機子および回路基板と、前記電機子および前記回路基板を覆うモールド樹脂部と、を備えるステータユニットの製造方法であって、a)第1金型で前記ベース部材を支持する工程と、b)前記第1金型と第2金型とを組み合わせて、前記第1金型と前記第2金型との間に空洞を形成する工程と、c)前記空洞に溶融樹脂を流し込む工程と、を備え、前記工程b)では、前記ベース部材は、円板部を有し、前記ベース部材の上面は、前記円板部の径方向外側の端部から、上側へ向けて環状に突出する外側壁部を有し、前記弾性部材は、前記外側壁部の上面に位置し、前記ベース部材の上面のうち、平面視において、前記回路基板よりも径方向外側に、弾性部材を介して、前記第2金型が押し付けられる。
【発明の効果】
【0007】
本願の例示的な第1発明および第2発明によれば、モールド樹脂部の成型時に、ベース部材の上面と第2金型との間に弾性部材を介在させて、弾性部材を圧縮することで、ベース部材に加わる荷重を抑制できる。したがって、金型からの圧力によりベース部材が破損することを、防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係るモータの縦断面図である。
図2図2は、モールド樹脂部の成型手順を示したフローチャートである。
図3図3は、モールド樹脂部の成型時の様子を示した図である。
図4図4は、モールド樹脂部の成型時の様子を示した図である。
図5図5は、モールド樹脂部の成型時の様子を示した図である。
図6図6は、ベース部材、回路基板、第1金型、および第2金型の部分縦断面図である。
図7図7は、ベース部材、回路基板、第1金型、および第2金型の部分縦断面図である。
図8図8は、モータの部分縦断面図である。
図9図9は、ベース部材の上面図および縦断面図である。
図10図10は、変形例に係るモータの部分縦断面図である。
図11図11は、変形例に係るベース部材の上面図および縦断面図である。
図12図12は、変形例に係るベース部材およびOリングの部分縦断面図である。
図13図13は、変形例に係るベース部材、回路基板、第1金型、および第2金型の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、ステータユニットを含むモータの中心軸と平行な方向を「軸方向」、モータの中心軸に直交する方向を「径方向」、モータの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、軸方向を上下方向とし、ベース部材に対して電機子側を上として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、この上下方向の定義により、本発明に係るモータの製造時および使用時の向きを限定する意図はない。
【0010】
<1.モータの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ1を含む軸流ファン100の縦断面図である。この軸流ファン100は、例えば、複数の電子機器が配置された通信基地局において、冷却用の空気流を供給する装置として、使用される。ただし、本発明のステータユニットおよびモータは、家電製品または車載部品等の他の用途に用いられてもよい。
【0011】
図1に示すように、モータ1は、ステータユニット2およびロータユニット3を有する。ステータユニット2は、モータ1が搭載される装置の枠体に固定される。ロータユニット3は、上軸受部26および下軸受部27を介して、ステータユニット2に対して回転可能に支持される。
【0012】
ステータユニット2は、ベース部材21、軸受ハウジング22、ステータ23、回路基板24、およびモールド樹脂部25を有する。
【0013】
ベース部材21は、ステータ23よりも下側において、中心軸9に対して略垂直に拡がる。ベース部材21の材料には、樹脂が用いられる。ベース部材21は、軸流ファン100の風洞を構成する筒状のケーシング(図示省略)と、複数のリブを介して接続される。ベース部材21、複数のリブ、およびケーシングは、単一の部材であってもよく、別個の部材であってもよい。
【0014】
本実施形態のベース部材21は、円板部211、内側壁部212、および外側壁部213を有する。円板部211は、軸受ハウジング22の周囲において、環状かつ中心軸9に対して垂直に拡がる。内側壁部212は、円板部211の径方向内側の端部から、上側へ向けて環状に突出する。内側壁部212は、軸受ハウジング22の外周面に固定される。外側壁部213は、円板部211の径方向外側の端部から、上側へ向けて環状に突出する。
【0015】
軸受ハウジング22は、中心軸9に沿って上下方向に延びる円筒状の部材である。軸受ハウジング22は、ベース部材21、ステータ23、および回路基板24の径方向内側、かつ、上軸受部26および下軸受部27の径方向外側に位置する。軸受ハウジング22の材料には、例えば、真鍮または鉄などの金属が用いられる。軸受ハウジング22の下端部は、ベース部材21の内周部に固定される。
【0016】
ベース部材21は、予め軸受ハウジング22が収容された金型の内部に、溶融樹脂を流し込んで、硬化させることにより得られる。すなわち、ベース部材21は、射出成型によって軸受ハウジング22と一体とされた樹脂成型品である。ベース部材21は、成型と同時に軸受ハウジング22に固定される。ただし、ベース部材21は、接着剤等の他の方法で、軸受ハウジング22に固定されてもよい。
【0017】
以上のように、本実施形態では、軸受ハウジングが金属製であり、ベース部材が樹脂製であることを前提として説明しているが、本発明はこれに限られない。すなわち、軸受ハウジングおよびベース部材が、樹脂製の単一部材であってもよい。この場合、軸受ハウジングおよびベース部のそれぞれが別部材の場合と比較して、部品点数が少ないため、生産性が向上する。
【0018】
ステータ23は、駆動電流に応じて回転磁界を発生させる電機子である。ステータ23は、ベース部材21および回路基板24の上側かつ軸受ハウジング22の径方向外側に位置する。ステータ23は、ステータコア41、インシュレータ42、および複数のコイル43を有する。ステータコア41は、磁性体である積層鋼板からなる。ステータコア41は、円環状のコアバック411と複数のティース412とを有する。コアバック411の内周面は、軸受ハウジング22の外周面に固定される。各ティース412は、コアバック411から径方向外側へ向けて突出する。
【0019】
インシュレータ42は、ステータコア41に装着される。各ティース412の上面、下面、および周方向の両側面は、インシュレータ42に覆われる。インシュレータ42の材料には、絶縁体である樹脂が用いられる。コイル43は、ティース412の周囲にインシュレータ42を介して巻かれた導線からなる。インシュレータ42は、ステータコア41とコイル43との間に介在して、ステータコア41とコイル43とが電気的に短絡することを防止する。
【0020】
回路基板24は、ステータ23の下側かつベース部材21の上側に位置する。また、回路基板24は、軸受ハウジング22の周囲において、環状かつ中心軸9に対して垂直に拡がる。回路基板24の上面および下面の少なくとも一方には、電気回路が実装されている。コイル43を構成する導線の端部は、図示を省略した端子ピンを介して、回路基板24の当該電気回路と、電気的に接続される。外部電源から回路基板24に電力が供給されると、回路基板24の当該電気回路から複数のコイル43に、駆動電流が供給される。
【0021】
モールド樹脂部25は、ステータコア41、インシュレータ42、複数のコイル43、および回路基板24を覆う。モールド樹脂部25の材料には、例えば、熱硬化性の不飽和ポリエステル樹脂が用いられる。モールド樹脂部25は、ベース部材21、軸受ハウジング22、ステータ23、および回路基板24が収容された金型内の空洞に、溶融樹脂を流し込んで、硬化させることにより得られる。すなわち、モールド樹脂部25は、樹脂成型によって、ベース部材21、軸受ハウジング22、ステータ23、および回路基板24と一体とされた樹脂成型品である。
【0022】
このように、ステータ23および回路基板24をモールド樹脂部25で覆うことにより、ステータ23および回路基板24に水滴が付着することを抑制できる。したがって、モータ1内の通電部分が、水滴の付着により故障することを抑制できる。なお、ステータ23の表面の一部分は、モールド樹脂部25から露出していてもよい。例えば、ティース412の径方向外側の端面と、インシュレータ42の内周面とは、モールド樹脂部25から露出していてもよい。その場合、ティース412の径方向外側の端面、およびインシュレータ42の内周面は、絶縁被膜により覆われていればよい。そうすれば、モールド樹脂部25から露出していても、水滴の付着により故障することを抑制できる。
【0023】
上軸受部26および下軸受部27は、後述するシャフト31を回転可能に支持する機構である。下軸受部27は、シャフト31の下端部と軸受ハウジング22との間に介在する。上軸受部26は、下軸受部27よりも上側において、シャフト31と軸受ハウジング22との間に介在する。上軸受部26および下軸受部27には、例えば、内輪と外輪とを球体を介して相対回転させるボールベアリングが用いられる。上軸受部26の外輪および下軸受部27の外輪は、軸受ハウジング22の内周面に固定される。上軸受部26の内輪および下軸受部27の内輪は、シャフト31の外周面に固定される。これにより、軸受ハウジング22に対してシャフト31が、中心軸9を中心として回転可能に支持される。
【0024】
ただし、上軸受部26および下軸受部27に、ボールベアリングに代えて、他の方式の軸受が用いられてもよい。
【0025】
ロータユニット3は、シャフト31、ロータホルダ32、および複数のマグネット33を有する。
【0026】
シャフト31は、中心軸9に沿って延びる柱状の部材である。シャフト31の材料には、例えば、ステンレス等の金属が用いられる。シャフト31の下端部を含む一部分は、軸受ハウジング22の径方向内側に収容される。シャフト31の上端部は、軸受ハウジング22およびステータ23よりも上側へ突出する。シャフト31は、上軸受部26および下軸受部27によって、回転可能に支持される。
【0027】
ロータホルダ32は、シャフト31とともに回転する部材である。ロータホルダ32の材料には、例えば、磁性体である鉄等の金属が用いられる。ロータホルダ32は、ホルダ天板部321およびホルダ円筒部322を有する。ホルダ天板部321は、中心軸9に対して略垂直に拡がる。ホルダ天板部321の中央部は、シャフト31に固定される。ホルダ円筒部322は、ホルダ天板部321の外周部から下側へ向けて、円筒状に延びる。
【0028】
複数のマグネット33は、ホルダ円筒部322の内周面に固定される。各マグネット33の径方向内側の面は、N極またはS極の磁極面である。複数のマグネット33は、N極の磁極面とS極の磁極面とが交互に並ぶように、周方向に配列される。ティース412の径方向外側の端面と、マグネット33の径方向内側の面とは、径方向に対向する。
【0029】
モータ1の駆動時には、回路基板24から端子ピンを介してコイル43へ、駆動電流が供給される。そうすると、ステータコア41の複数のティース412に、回転磁界が生じる。これにより、ティース412とマグネット33との間に、周方向のトルクが発生する。その結果、ロータユニット3が、中心軸9を中心として回転する。
【0030】
また、軸流ファン100は、インペラ5を有する。インペラ5は、インペラカップ51と、複数の羽根52とを有する。インペラカップ51は、ロータホルダ32に固定される。複数の羽根52は、インペラカップ51の外周面から径方向外側へ拡がる。モータ1を駆動させると、ロータユニット3とともに、インペラ5も回転する。これにより、軸流ファン100の周囲に、上から下へ向かう気流が発生する。
【0031】
<2.モールド樹脂部の成型について>
続いて、モールド樹脂部25の成型について、より詳細に説明する。図2は、モールド樹脂部25の成型手順を示したフローチャートである。図3図5は、モールド樹脂部25の成型時の様子を示した図である。
【0032】
まず、ベース部材21、軸受ハウジング22、ステータ23、および回路基板24を含むアセンブリ20を用意する。そして、第1金型61および第2金型62の内部に、当該アセンブリ20を収容する。具体的には、まず、図3のように、ベース部材21の下面および外周面を、第1金型61に嵌め込む。これにより、第1金型61でベース部材21を支持する(ステップS1)。そして、図4のように、アセンブリ20の上部を第2金型62で覆い、一対の金型61,62を閉じる(ステップS2)。これにより、組み合わされた第1金型61と第2金型62との間に、空洞60が形成される。アセンブリ20は、当該空洞60に収容される。
【0033】
続いて、空洞60に溶融樹脂が流し込まれる(ステップS3)。図4および図5中に破線で示すように、第2金型62には、溶融樹脂の供給口となるゲート63が設けられている。溶融樹脂は、第1金型61および第2金型62の外部から、ゲート63を通って空洞60に流し込まれる。やがて、図5のように、空洞60の全体に溶融樹脂が行き渡ると、続いて、加熱等による溶融樹脂の硬化が行われる(ステップS4)。溶融樹脂は、硬化することにより、モールド樹脂部25となる。溶融樹脂は射出成型機を用いて、所定の圧力で空洞60に流し込まれる。所定の圧力で流し込むことによって、溶融樹脂は空洞60内で均一に行き渡らせることができる。なお、注入方法はこの限りではなく、溶融樹脂は射出成型機以外の手段によって空洞60内に注入してもよい。
【0034】
その後、第1金型61と第2金型62とを開いて、モールド樹脂部25が形成されたアセンブリ20を、第1金型61および第2金型62から取り出す(ステップS5)。
【0035】
図6および図7は、ベース部材21、回路基板24、第1金型61、および第2金型62の部分縦断面図である。図6は、第1金型61と第2金型62とが接触する前の状態を示している。図7は、第1金型61と第2金型62とが接触した後の状態を示している。図8は、製造後のモータ1の部分縦断面図である。図9は、製造後のベース部材21の上面図および縦断面図である。
【0036】
図6図9に示すように、ベース部材21の外側壁部213の上面には、Oリング70が設けられている。Oリング70は、ベース部材21および第2金型62よりも弾性変形しやすいリング状の樹脂製の部材(弾性部材)である。Oリング70の材料には、例えばエラストマーが用いられる。図9に示すように、Oリング70の形状は、中心軸9を中心とする環状である。
【0037】
本実施形態では、ベース部材21が、外側壁部213の上面に溝部214を有する。Oリング70の下部は、溝部214に収容される。このように、Oリング70の一部が溝部214に収容されることによって、Oリング70の位置ずれが抑制される。また、製造時において、Oリング70の位置決めが容易となる。溝部214の表面とOリング70とは、例えば接着剤で固定される。Oリング70の上部は、外側壁部213の上面から上方へ突出する。溝部214およびOリング70は、平面視において、回路基板24よりも径方向外側に位置する。
【0038】
第1金型61と第2金型62とを組み合わせる際には、外側壁部213の上面と第2金型62の下面との間に、Oリング70が介在する。これにより、外側壁部213の上面に、Oリング70を介して、第2金型62が押し付けられる。そうすると、図7のように、Oリング70が軸方向に圧縮される。このように、ベース部材21よりも弾性変形しやすいOリング70を、意図的に変形させることで、ベース部材21に加わる荷重を低減できる。したがって、ベース部材21の円板部211、内側壁部212、または外側壁部213が、第2金型62からの荷重で破損することを、抑制できる。
【0039】
特に、本実施形態では、ベース部材21の上面に、環状の外側壁部213が設けられている。このため、外側壁部213が無い場合よりも、ベース部材21の周縁部の剛性が高い。したがって、第2金型62からの荷重で、ベース部材21が破損することを、より抑制できる。
【0040】
また、Oリング70は、回路基板24と軸方向に重ならない位置に設けられる。また、Oリング70を支持する外側壁部213と回路基板24とは、直接繋がっていない。このため、第2金型62からOリング70に加わる荷重は、回路基板24に伝達しにくい。したがって、第2金型62からの荷重により、回路基板24が変形することを抑制できる。
【0041】
また、上述したステップS3において、Oリング70は、溶融樹脂の径方向外側への漏れ出しを防止する役割も果たす。モールド樹脂部25は、Oリング70の外縁よりも径方向内側に形成される。図6に示すように、本実施形態では、第2金型62の下端面の内周部621と軸方向に重なる位置に、Oリング70が設けられている。したがって、成型後のモールド樹脂部25の外周部は、平面視において、Oリング70の少なくとも一部と重なる。すなわち、Oリング70の少なくとも一部は、モールド樹脂部25よりも径方向外側に位置する。
【0042】
仮に、Oリング70の全体が、第2金型62の下端面の内周部621よりも径方向外側に位置していたとすると、Oリング70の径方向内側において、第1金型61と第2金型62との間に、僅かな隙間が生じる。このため、製造後のモータ1において、Oリング70の径方向内側に、樹脂の薄膜が形成される。このような薄膜は、ベース部材21から剥離しやすい。しかしながら、本実施形態の構造では、Oリング70の径方向内側に、そのような樹脂の薄膜は形成されない。
【0043】
また、図6に示すように、本実施形態では、ベース部材21の上面の周縁部215から、間隔をあけて径方向内側に、Oリング70が位置する。仮に、ベース部材21の上面の最外端部に、Oリング70が設けられていたとすると、圧縮されたOリング70の一部が、第1金型61と第2金型62との間に入り込む虞がある。そうすると、第1金型61と第2金型62とが完全に面接触せず、モールド樹脂部25の成型精度が低下する要因となり得る。しかしながら、本実施形態の構造では、Oリング70が圧縮されることによって多少径方向外側へ拡がったとしても、第1金型61と第2金型62との間に、圧縮されたOリング70の一部が入り込みにくい。したがって、第1金型61の上端面と、第2金型62の下端面とを、精度よく面接触させることができる。
【0044】
上述の通り、本実施形態では、図4および図5中に破線で示すように、第2金型62にゲート63が設けられている。ゲート63は、第2金型62の周方向の一部において、外周面から内周面に向けて延びている。このため、図1および図8に示すように、成型後のモールド樹脂部25は、外周面の一部分に、ゲート63の痕跡であるゲート痕251を有する。ゲート痕251は、回路基板24よりも軸方向下側、かつ、ベース部材21よりも軸方向上側に位置する。
【0045】
このような位置にゲート63を配置することによって、回路基板24に実装されている多くの電子部品の近傍に気泡を発生させることなく、空洞60に樹脂を充填できる。また、ゲート痕251は、ロータユニット3およびインペラ5よりも下側に位置する。このため、ゲート痕251がロータユニット3またはインペラ5と接触することを防止できる。
【0046】
なお、ゲートは、第1金型61に設けられていてもよい。例えば、ベース部材21に、軸方向に貫通する貫通孔を設け、第1金型61のうち、当該貫通孔と軸方向に対向する位置に、ゲートを設けてもよい。この場合、モールド樹脂部25のうち、ベース部材21の貫通孔内に位置する部分の下面に、ゲート痕が形成される。
【0047】
<3.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態には限定されない。
【0048】
図10は、変形例に係るモータ1Aの部分縦断面図である。図11は、変形例に係るベース部材21Aの上面図および縦断面図である。図10および図11の例では、ベース部材21Aが、2つのOリング70Aを有する。2つのOリング70Aは、いずれも、中心軸9Aを中心とする環状である。また、2つのOリング70Aは、互いに径が異なる。このように、径が異なる環状のOリング70Aを径方向に複数配置すれば、モールド樹脂部25Aの成型時における溶融樹脂の径方向外側への漏れ出しを、さらに抑制できる。
【0049】
図12は、他の変形例に係るベース部材21BおよびOリング70Bの部分縦断面図である。図12の例では、ベース部材21Bの外側壁部213Bの上面が、溝部のない平坦面となっている。そして、当該外側壁部213Bの上面に、Oリング70Bが、接着剤71Bで固定されている。このように、ベース部材21Bは、Oリング70Bを保持する溝部を有していなくてもよい。接着剤71Bは、外側壁部213Bの上面とOリング70Bとの間に介在することによって、ベース部材21Bに対するOリング70Bの位置ずれを抑制する。
【0050】
図13は、他の変形例に係るベース部材21C、回路基板24C、第1金型61C、および第2金型62Cの部分縦断面図である。図13の例では、Oリング70Cが、ベース部材21Cではなく、第2金型62Cに設けられている。具体的には、第2金型62Cの下端面の内周部に、弾性部材であるOリング70Cが固定されている。Oリング70Cの下部は、第2金型62Cの下端面より下方へ突出する。このような形態でも、第1金型61Cと第2金型62Cとを組み合わせる際に、ベース部材21Cの上面と第2金型62Cの下面との間に、Oリング70Cを介在させることができる。したがって、第2金型62Cからの荷重で、ベース部材21Cが破損することを抑制できる。
【0051】
また、図13のように、第2金型62CにOリング70Cを設ければ、製造後のステータユニットからOリングを排除できる。このため、大量に製造されるモータ毎に、Oリングを準備する必要はない。
【0052】
また、上記の実施形態では、弾性部材としてOリングが用いられていた。しかしながら、ベース部材と第2金型との間に介在させる弾性部材は、いわゆるOリングとして市場に流通する部品以外の、弾性を有する部材であってもよい。また、弾性部材は、少なくとも製造時に弾性を有していればよい。したがって、弾性部材は、モータの製造後の経年劣化等により弾性を失ってもよい。
【0053】
また、各部材の細部の形状については、本願の各図に示された形状と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ステータユニット、モータ、およびステータユニットの製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A モータ
2 ステータユニット
3 ロータユニット
5 インペラ
9,9A 中心軸
20 アセンブリ
21,21A,21B,21C ベース部材
22 軸受ハウジング
23 ステータ
24,24C 回路基板
25,25A モールド樹脂部
26 上軸受部
27 下軸受部
31 シャフト
32 ロータホルダ
33 マグネット
41 ステータコア
42 インシュレータ
43 コイル
61,61C 第1金型
62,62C 第2金型
63 ゲート
70,70A,70B,70C Oリング
71B 接着剤
100 軸流ファン
211 円板部
212 内側壁部
213,213B 外側壁部
214 溝部
251 ゲート痕
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13