特許第6790801号(P6790801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790801
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】キャブチルトのステーロック装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/07 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   B62D33/07 U
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-246956(P2016-246956)
(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公開番号】特開2018-99987(P2018-99987A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年11月28日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 いすゞ自動車首都圏株式会社内(東京都江東区新木場1−18−14)で平成28年10月21日に開催された林孝一郎、山本和昭、及び宮澤忠彦が発明したステーロック装置の技術説明の発表会
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 孝一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 和昭
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 忠彦
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−183928(JP,A)
【文献】 特開2004−17796(JP,A)
【文献】 特開平11−310168(JP,A)
【文献】 特開2008−62684(JP,A)
【文献】 特開平7−329834(JP,A)
【文献】 特開平11−59506(JP,A)
【文献】 特開2000−6853(JP,A)
【文献】 特開平10−59221(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203612083(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0103183(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0054331(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チルト時に屈曲状態から直線状に展開して、キャブのチルト状態を保持する一対のステーと、チルト時に前記ステーの背部から立ち上げられて、直線状に展開した一対の前記ステーを固定する回転レバーと、を備えるキャブチルトのステー構造に装着可能なステーロック装置であって、
第1の面に形成された前記ステーの背部と嵌合する第1の嵌合溝と、前記第1の面と反対側の第2の面に形成された前記回転レバーの底部と嵌合する第2の嵌合溝と、を備えると共に、
前記ステーの背部と当該ステーの背部側から立ち上げられた前記回転レバーの底部とが対向する空間領域の輪郭形状に沿うように、前記第1の嵌合溝と前記第2の嵌合溝とを配した形状を呈
前記ステー又は前記回転レバーに対して吸着力を作用させる吸着体を更に備え、
前記吸着体は、前記第2の嵌合溝を形成する溝壁面の内部に埋設された、
ステーロック装置。
【請求項2】
前記第1の嵌合溝は、前記ステーの背部の両側面の幅以上の幅を有し、
前記第2の嵌合溝は、前記回転レバーの底部の両側面の幅以上の幅を有する、
請求項1に記載のステーロック装置。
【請求項3】
前記第1の嵌合溝は、当該第1の嵌合溝を形成する溝壁面の両側が、前記ステーの背部の両側面に当接する形状を呈し、
前記第2の嵌合溝は、当該第2の嵌合溝を形成する溝壁面の両側が、前記回転レバーの底部の両側面に当接する形状を呈する、
請求項2に記載のステーロック装置。
【請求項4】
前記ステーロック装置は、樹脂製素材を含んで構成される、
請求項1乃至のいずれか一項に記載のステーロック装置。
【請求項5】
前記ステーロック装置は、当該ステーロック装置の表面の彩度が、前記回転レバーの彩度よりも明るい素材を含んで構成される、
請求項1乃至のいずれか一項に記載のステーロック装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャブチルトのステーロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャブマウント車輌においては、キャブ下に配設されたエンジン等をメンテナンスし得るように、キャブを車輌前方へ傾けてチルト状態にすることが可能となっている。そして、キャブマウント車輌には、チルト状態を保持するためのステー構造が設けられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図1は、キャブマウント車輌において、キャブをチルトしたときの状態を示す図である。図2は、キャブをチルト状態で保持するためのステー構造の一例を示す図である。
【0004】
キャブマウント車輌は、通常、車輌フレームbの前方で、キャブaを回動可能に支持するチルト軸支部sを有し、キャブaは、当該チルト軸支部sを回動中心としてチルト状態にされる。
【0005】
又、ステー構造は、一対のステー(キャブaに回動自在に連結されたキャブ側ステーc、及び車輌フレームbに回動可能に連結されたフレーム側ステーd)と、回転レバーfとを含んで構成される。そして、チルト時には、一対のステーc、dが直線状に展開されると共に、回転レバーfによって固定されることで、キャブaがチルト状態で保持される。
【0006】
より詳細には、回転レバーfは、一対のステーc、dが直線状に展開されたときにキャブ側ステーcの背部から立ち上げられる(図2中の矢印方向)。そして、回転レバーfは、背面側の爪状の係止部により、一対のステーc、dの重なり部iにおいて、直線状に展開した一対のステーc、dを固定する。尚、回転レバーfの下部には、スプリングeが連結されており、回転レバーfの背面の係止部は、当該スプリングeの付勢力によって、一対のステーc、dの重なり部iを押圧固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−329834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、整備作業等のため、作業者がチルトしたキャブaと車輌フレームbとの間に体をいれた際に、作業者の上半身が回転レバーfに当たる場合がある。かかる場合に、何らロック装置が設けられていなければ、回転レバーfが降下し、一対のステーc、dの固定状態が解除されて、チルトしたキャブaが落下するおそれがある。
【0009】
そのため、通常、意図せずに回転レバーfが降下することを防止するためのロック装置が設けられている。尚、図2中では、ピン状のロック部材gをピン穴hに挿入すると、回転レバーfの降下が規制されてロックが達成される構成となっている。
【0010】
しかしながら、実際には、ロック部材gの装着状態(未装着を含む)や他の部品の損傷等に起因して、回転レバーfの降下を規制するロック(以下、「ステーロック」と称する)が達成されていない状態が生じ得る。そのため、ステーロックが達成されていない場合には、作業者等が、早期に、その状態を把握できるようにするのが望ましい。
【0011】
この点、従来技術に係るステーロック装置においては、ステーロックの状態が視認し難く、作業者等に、確実にステーロックが達成されているか不安を抱かせるおそれがある。
【0012】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、確実なステーロックを可能としつつ、ステーロックの状態の視認性を向上させ得るキャブチルトのステーロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した課題を解決する主たる本開示は、チルト時に屈曲状態から直線状に展開して、キャブのチルト状態を保持する一対のステーと、チルト時に前記ステーの背部から立ち上げられて、直線状に展開した一対の前記ステーを固定する回転レバーと、を備えるキャブチルトのステー構造に装着可能なステーロック装置であって、第1の面に形成された前記ステーの背部と嵌合する第1の嵌合溝と、前記第1の面と反対側の第2の面に形成された前記回転レバーの底部と嵌合する第2の嵌合溝と、を備えると共に、前記ステーの背部と当該ステーの背部側から立ち上げられた前記回転レバーの底部とが対向する空間領域の輪郭形状に沿うように、前記第1の嵌合溝と前記第2の嵌合溝とを配した形状を呈する、ステーロック装置である。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係るステーロック装置によれば、確実なステーロックを可能としつつ、ステーロックの状態の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】キャブマウント車輌においてキャブをチルトしたときの状態を示す図
図2】キャブをチルト状態で保持するためのステー構造の一例を示す図
図3】実施形態に係るキャブチルトのステー構造の一例を示す図
図4】実施形態に係るステーロック装置をステー構造に装着した状態を示す図
図5】実施形態に係るステーロック装置の斜視図
図6】実施形態に係るステーロック装置の側面図
図7】実施形態に係るステーロック装置の正面図
図8】実施形態に係るステーロック装置の平面図
図9】実施形態に係るステーロック装置をステー構造に装着する方法について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、一実施形態に係るキャブチルトのステーロック装置の構成について説明する。
【0017】
図3は、本実施形態に係るキャブチルトのステー構造A(チルト時の状態を表す)の一例を示す図である。図4は、本実施形態に係るステーロック装置10をステー構造Aに装着した状態を示す図である。尚、図中に示すX方向、Y方向、Z方向は、それぞれ、車輌の前方、車幅方向、車輌の上方を表す。
【0018】
本実施形態に係るステー構造Aは、図2を参照して上記したステー構造と同様の構成を有しており、一対のステー1、2、回転レバー3、スプリング4、及び軸支部5、6を含んで構成される。
【0019】
一対のステー1、2は、キャブに回動自在に連結されたキャブ側ステー1と、車輌フレームに回動可能に連結されたフレーム側ステー2と、を有している。そして、キャブ側ステー1とフレーム側ステー2とは、軸支部6を介して回動可能に連結されている。
【0020】
キャブ側ステー1は、背面板1c、一方の側面板1a及び他方の側面板1b(図示せず)を有し、これらにより、断面がU字状に形成されている。
【0021】
フレーム側ステー2は、同様に、背面板2c、一方の側面板2a及び他方の側面板2b(図示せず)を有し、これらにより、断面がU字状に形成されている。又、フレーム側ステー2の背面板2cは、キャブ側ステー1の背面板1c側まで延在する延在部2cLを有し、一対のステー1、2が直線状に展開されたときには、当該延在部2cLが、キャブ側ステー1の背面板1cの一部(図3中の重なり部L)と重なるようになっている。
【0022】
キャブ側ステー1とフレーム側ステー2とは、軸支部6を回動中心にして、キャブが通常時(キャブがチルトされていない状態を表す。以下同じ)には折り畳まれ、チルト時には直線状に展開される。キャブ側ステー1とフレーム側ステー2とは、折り畳み状態から直線状に展開された後は、重なり部Lにおいて、互いに他方の部材に規制されて、それ以上は回動しない状態となる。尚、軸支部6は、キャブ側ステー1の側面板1a、1bとフレーム側ステー2の側面板2a、2bとを連通するように配設されている。
【0023】
回転レバー3は、キャブ側ステー2に配設された軸支部5に回動可能に軸支され、チルト時にキャブ側ステー2の背部側から立ち上げられて、キャブ側ステー1とフレーム側ステー2とを固定する。
【0024】
回転レバー3は、軸支部5を配する基部3b、基部3bからフレーム側ステー2とは離間する方向に延出するレバー摘み部3a、及び基部3bから重なり部L側に延出する係止部3cを備えている。尚、軸支部5は、キャブ側ステー2の両側の側面板2a、2bを連通するように配設され、回転レバー3を立ち上がり方向(図3中の矢印)に回動可能に支持している。
【0025】
レバー摘み部3aは、レバー背面板、一方のレバー側面板、他方のレバー側面板(図示せず)を有し、これらにより、断面がU字状に形成されている。尚、回転レバー3のレバー摘み部3aは、キャブ側ステー2の背部側から立ち上げられたとき、図3に示すように、軸支部5に対して上方に向かって延出する状態となる。
【0026】
係止部3cは、基部3bから重なり部L側に突出する爪状の部位である。係止部3cは、チルト時に重なり部Lにおいてフレーム側ステー2の背面板2c(延在部2cL)に引っ掛かるようにして、フレーム側ステー2に係合し、当該フレーム側ステー2とキャブ側ステー1とを固定する。尚、係止部3cの突出する爪状の部位は、背面側に傾斜面3cLを有し、チルト時には、当該傾斜面3cLがフレーム側ステー2の延在部2cLの回動により案内されて、重なり部Lにおいてフレーム側ステー2の背面板2cに引っ掛かる構成となっている。
【0027】
スプリング4は、一端が回転レバー3の基部3bの末端側に取り付けられ、他端がキャブ側ステー2の背面板2cに取り付けられている。スプリング4は、キャブ側ステー1とフレーム側ステー2とが直線状に展開された状態においては、軸支部5を回動中心として、回転レバー3を立ち上がり方向に付勢する。換言すると、スプリング4は、チルト時には、回転レバー3の係止部3cをフレーム側ステー2の背面板2cに係合する方向に付勢し、キャブ側ステー1とフレーム側ステー2の固定状態を安定させる。
【0028】
本実施形態に係るステーロック装置10は、チルト時に、キャブ側ステー1の背部と当該キャブ側ステー1の背部から立ち上げられた状態の回転レバー3の底部とが対向する領域に形成される空間(以下、「対向領域M」と称する)に装着されて、回転レバー3の降下を物理的に規制するストッパー部材である。尚、「回転レバー3の底部」とは、回転レバー3のレバー摘み部3aが、キャブ側ステー1の背面板1cと対向する部分を表す。又、「キャブ側ステー1の背部」とは、キャブ側ステー1の両側の側面板1a、1b及び背面側1cが、回転レバー3の底部と対向する部分を表す。
【0029】
図5図6図7図8は、それぞれ、本実施形態に係るステーロック装置10の斜視図、側面図、正面図、平面図である。尚、図5図8中に示すP方向、Q方向、R方向は、それぞれ、ステーロック装置10の正面方向、ステーロック装置10の側面方向、ステーロック装置10の上面方向を表すものとする。
【0030】
ステーロック装置10は、対向領域Mに嵌め合う外形を呈している。具体的には、ステーロック装置10は、下面11にキャブ側ステー1の背部を嵌合する下面側嵌合溝11a(「第1の嵌合溝」に相当)を有すると共に、上面12に回転レバー3の底部を嵌合する上面側嵌合溝12a(「第2の嵌合溝」に相当)を有している。そして、ステーロック装置10は、キャブ側ステー1の背部と当該キャブ側ステー1の背部側から立ち上げられた回転レバー3の底部とが対向する空間領域(対向領域M)の輪郭形状に沿うように、下面側嵌合溝11a及び上面側嵌合溝12aを配した形状を呈する。
【0031】
これにより、ステーロック装置10は、下面側嵌合溝11aがキャブ側ステー1の背部と嵌め合うと共に、上面側嵌合溝12aが回転レバー3の底部と嵌め合うように、対向領域Mに挿入されることになる。
【0032】
より詳細には、下面側嵌合溝11aは、下面11の一端側から他端側まで直線状に貫通するように形成され、当該下面側嵌合溝11aの両側の溝壁面11al、11arが、キャブ側ステー1の背部の側面(側面板1a、1b)と当接する形状を呈する。尚、下面側嵌合溝11aは、二重溝の形状を呈し、これによって、ステーロック装置10を装着する際に、キャブ側ステー1の背面板1cから突出するスプリング4の取り付け部位により、移動が阻害されないようにしている。
【0033】
又、上面側嵌合溝12aは、同様に、上面12の一端側から他端側まで直線状に貫通するように形成され、当該上面側嵌合溝12aの両側の溝壁面12al、12arが、回転レバー3のレバー摘み部3aの底部の両側面(両側の側面板)と当接する形状を呈する。
【0034】
上記溝形状とすることによって、ステーロック装置10をステー構造Aに容易に装着することが可能となると共に、ステーロック装置10がステー構造Aから脱落することを確実に防止することができる。
【0035】
尚、ここでは、ステーロック装置10は、直方体の一部を斜め方向に切断した形状を示すが、対向領域Mに対して装着可能であれば、当該形状は、任意である。
【0036】
又、ステーロック装置10は、下面側嵌合溝11aの中にマグネット13を埋設する。マグネット13は、ステーロック装置10をステー構造Aに装着した際に、キャブ側ステー1の背面板1c(ここでは、鉄材)に磁力を作用させ、当該ステーロック装置10をキャブ側ステー1に固定する。より詳細には、マグネット13は、下面側嵌合溝11aを形成する溝底面11abから突出しないように、当該マグネット13の上端(R方向マイナス側の先端に相当する)が溝底面11abよりも窪む位置に埋設されている。これによって、ステーロック装置10を装着する際に、マグネット13が、移動を阻害しないようにしている。
【0037】
尚、マグネット13は、ステーロック装置10をキャブ側ステー1又は回転レバー3に対して吸着させる吸着体の一例であって、吸着体としては、吸盤等が用いられてもよい。
【0038】
ステーロック装置10を構成する素材としては、樹脂性素材(例えば、MCナイロン(登録商標))が用いられ、軽量で持ち運びやすいものとしている。又、ステーロック装置10を構成する素材は、彩度がキャブ側ステー1よりも明るいもの(例えば、蛍光色)が用いられ、作業者等が、ステーロック装置10がステー構造Aに装着された状態を視認しやすい構成としている。尚、ステーロック装置10の表面に彩度が明るい材料を塗布する構成としてもよい。
【0039】
図9は、本実施形態に係るステーロック装置10をステー構造Aに装着する方法について説明する図である。尚、図9中には、上記図5図8で示したステーロック装置10のP方向、Q方向、R方向に対応する方向を併せて図示している。
【0040】
まず、キャブが通常の状態からチルト状態に傾動するとき、キャブ側ステー1とフレーム側ステー2とは、これにあわせて直線状になる方向に回動する。そして、キャブ側ステー1とフレーム側ステー2が直線状となる直前において、フレーム側ステー2の延在部2cLが、回転レバー3の係止部3cに当接する。
【0041】
このとき、回転レバー3は、フレーム側ステー2の延在部2cLの回動により、係合部3cの傾斜面3cLに沿って案内されるように立ち上げられる。そして、フレーム側ステー2が更に回動して、延在部2cLが傾斜面3cLの突出位置を越えたとき、回転レバー3は、再び下方に降ろされ、これによって係合部3cが延在部2cLに引掛け係合を行う。このようにして、回転レバー3は、重なり部分Lにおいて、キャブ側ステー1とフレーム側ステー2とを直線状に固定する。
【0042】
ステーロック装置10は、上記のようにして固定されたステー構造Aの対向領域Mに対して上方(Z方向プラス側)から挿入される。そして、ステーロック装置10は、下面側嵌合溝11aをキャブ側ステー1の背部と嵌め合わせると共に、上面側嵌合溝12aを回転レバー3の底部と嵌め合わせるようにして、ステー構造Aに対して装着される。
【0043】
このとき、ステーロック装置10は、キャブ側ステー1の背部及び回転レバー3の底部に各方位から支持されることになるため、仮に、作業者が当該ステーロック装置10に当たった場合でも、安定して装着状態が保持されることになる。更に、ステーロック装置10は、マグネット13がキャブ側ステー1の背部に吸着した状態になっているため、より安定した装着状態で保持される。
【0044】
一方、ステーロックを解除し、一対のステー1、2を屈曲させて折り畳んだ状態にする際には、まず、ステーロック装置10を装着時とは反対方向に持ち上げて、当該ステーロック装置10を取り外す。そして、回転レバー3のレバー摘み部3aをキャブ側ステー1の背面板1cへ向けて降下させるように回動し、係合部3cをキャブ側ステー1とフレーム側ステー2の重なり部Lから外し、キャブ側ステー1とフレーム側ステー2の固定を解除する。
【0045】
以上、本実施形態に係るステーロック装置10によれば、チルト時に、下面側嵌合溝11aをキャブ側ステー1の背部と嵌め合わせると共に、上面側嵌合溝12aを回転レバー3の底部と嵌め合わせるように、キャブ側ステー1の背部と回転レバー3の底部の対向領域Mに対して装着することが可能である。これによって、回転レバー3が降下することを確実に規制して、ステーロックを達成することができる。
【0046】
又、本実施形態に係るステーロック装置10は、ステー構造Aに装着している状態が外部から容易に視認し得るため、作業者等にステーロックが達成されているか否かの確認を容易に行わせることができる。
【0047】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、ステーロック装置10を適用するステー構造Aの一例として、チルト時に、回転レバー3が直線状に展開したキャブ側ステー1とフレーム側ステー2の重なり部Lに係止して、キャブ側ステー1とフレーム側ステー2を固定する態様を示した。但し、上記したステーロック装置10は、他の態様で直線状に展開した当該一対のステー1、2を固定するステー構造に対しても適用することができる。換言すると、上記したステーロック装置10は、チルト時に一方のステー1、2の背部から立ち上げられて、直線状に展開した当該一対のステー1、2を固定する回転レバー3の降下防止用として、種々のステー構造に適用することができる。
【0048】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示に係るステーロック装置は、キャブチルトのステーロックに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 キャブ側ステー
2 フレーム側ステー
3 回転レバー
4 スプリング
5 軸支部
6 軸支部
10 ステーロック装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9