特許第6790815号(P6790815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790815
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20201116BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201116BHJP
【FI】
   F21S8/08 111
   F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-253732(P2016-253732)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-106990(P2018-106990A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮窪 翔平
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 慎平
(72)【発明者】
【氏名】川尻 兼史
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−175074(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0114271(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体の一端を支持体に支持させた照明器具において、
前記器具本体には、当該器具本体の天面に開口する開口部を覆う蓋体が備えられ、
前記蓋体は、開閉軸によって前記器具本体に開閉自在に軸支され、
前記器具本体には、前記開閉軸を上下に移動可能に受ける軸受けが設けられている
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記器具本体は、前記一端の側の結線室と、他端の側の光源室とに仕切られており、
前記蓋体は、前記器具本体の天面に開口する前記結線室の開口部を覆うことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記開閉軸は、前記蓋体の内側に設けられ、前記蓋体の閉状態で、前記蓋体に覆われる位置に備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記軸受けは、前記器具本体の天面に開放するU字状の溝を備え、前記開閉軸は、前記軸受けのU字状の溝に落とし込まれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の照明器具。
【請求項5】
前記蓋体は、前記開閉軸を挟んで前記結線室を覆う部分と、反対側に延びる延長部とを備え、
前記器具本体の天面には、前記蓋体を開いて、前記開閉軸を前記軸受けの下端部に移動させた際に、前記延長部が嵌め込まれる凹部を備えていることを特徴とする請求項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記延長部には、前記開閉軸を前記軸受けの上端部に移動させずに前記蓋体を閉じた際に、前記軸受けに引っ掛かり、前記蓋体が閉じるのを防止する段差が形成されていることを特徴とする請求項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記器具本体の天面には、前記結線室の周りを囲む堰止壁が立設されていることを特徴とする請求項2,5,または6に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路脇や街路脇などの屋外に立設された支柱の上端に器具本体を支持し、路面を照明する道路灯として用いられる照明器具が知られている。近年では、道路灯においても、LEDを光源としたものが一般的になった。このような、LEDを光源とした照明器具では、光源の交換が不要であることから、光源を収めた光源部分を封止し、器具本体を支柱に取り付けるためのクランプが取り付けられる結線室を開閉自在な蓋体で覆っているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、結線室での作業時の作業スペースを十分に確保するために、蓋体を結線室の背面側に大きく開放する構成とした照明器具が知られている(例えば、特許文献2参照)。このような照明器具では、蓋体の過開放を防ぐとともに、手を離しても蓋体を開いた状態で支持する支持棒が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−038671号公報
【特許文献2】特開2014−59984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、結線室の蓋体の開放保持、及び、過開放防止を支持棒で行う構成では、部品点数が多く、機構が複雑であるため加工工程も多く、さらには、開閉作業の作業性も悪いという問題があった。
そこで本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、蓋体の開放保持及び過開放防止を行うことができる開閉機構を備えた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、器具本体の一端を支持体に支持させた照明器具において、前記器具本体には、当該器具本体の天面に開口する開口部を覆う蓋体が備えられ、前記蓋体は、開閉軸によって前記器具本体に開閉自在に軸支され、前記器具本体には、前記開閉軸を上下に移動可能に受ける軸受けが設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、上記照明器具において、前記器具本体は、前記一端の側の結線室と、他端の側の光源室とに仕切られており、前記蓋体は、前記器具本体の天面に開口する前記結線室の開口部を覆うことを特徴としても良い。
【0008】
また、上記照明器具において、前記開閉軸は、前記蓋体の内側に設けられ、前記蓋体の閉状態で、前記蓋体に覆われる位置に備えられていることを特徴としても良い。
【0009】
また、上記照明器具において、前記軸受けは、前記器具本体の天面に開放するU字状の溝を備え、前記開閉軸は、前記軸受けのU字状の溝に落とし込まれていることを特徴としても良い。
【0010】
また、上記照明器具において、前記蓋体は、前記開閉軸を挟んで前記結線室を覆う部分と、反対側に延びる延長部とを備え、前記器具本体の天面には、前記蓋体を開いて、前記開閉軸を前記軸受けの下端部に移動させた際に、前記延長部が嵌め込まれる凹部を備えていることを特徴としても良い。
【0011】
また、上記照明器具において、前記延長部には、前記開閉軸を前記軸受けの上端部に移動させずに前記蓋体を閉じた際に、前記軸受けに引っ掛かり、前記蓋体が閉じるのを防止する段差が形成されていることを特徴としても良い。
【0012】
また、上記照明器具において、前記器具本体の天面には、前記結線室の周りを囲む堰止壁が立設されていることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、器具本体の天面に開口する開口部を覆う蓋体が備えられ、前記蓋体は、開閉軸によって前記器具本体に開閉自在に軸支され、前記器具本体には、前記開閉軸を上下に移動可能に受ける軸受けが設けられている。このため、蓋体の開閉軸を軸受け内で上下に移動させるという簡単な構成で、蓋体の開放保持及び過開放防止を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る照明器具を下方からみた斜視図である。
図2】照明器具を上方からみた斜視図である。
図3】照明器具を下方から見た平面図である。
図4】蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
図5】蓋体を器具本体から取り外した状態を示す斜視図である。
図6】蓋体を示す図であり、(A)は平面図、(B)は背面図、(C)は側面図である。
図7】蓋体の断面図であり、図6のA−A断面図である。
図8】器具本体を幅の略中央で切断した断面図であり、(A)は蓋体を閉じた状態を示す図であり、(B)は蓋体を開いた状態を示す図である。
図9】器具本体を幅の略中央で切断した断面図であり、(A)は開いた蓋体の延長部が係止溝に嵌め込まれている状態を示す図であり、(B)は蓋体の延長部が引掛部に引っ掛かっている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る照明器具1を下方からみた斜視図であり、図2は照明器具1を上方からみた斜視図である。図3は照明器具1を下方から見た平面図であり、照明器具1の内部を示すために、前面カバー12及び前面枠13を取り外した状態の照明器具1を示している。
【0016】
照明器具1は、屋外に設置して、例えば道路照明として用いられる。図1図3に示すように、照明器具1は、器具本体10を備え、器具本体10の長手の一端である基端10Aを、道路脇、街路脇、駐車場、公園などの屋外に立設された不図示のポール型の支柱の上端部に支持させて設置される。照明器具1は、例えば、器具本体10の基端10Aから先端10B(他端)に向かう長さLの方向を道路の幅員方向に合わせて、幅Wの方向を道路の車線軸方向に合わせて、道路脇に設置される。また、照明器具1は、構造物の壁面からアーム状に延びる不図示の支持部材に器具本体10の基端10Aを支持させて設置されても良い。器具本体10の基端10Aの側には、照明器具1を支柱や支持部材に支持させるためのクランプ5が取り付けられている。
【0017】
器具本体10は、平面視略矩形状を成している。また、器具本体10は、長さLが幅Wよりも大きい縦長形状であり、上下方向の厚さTが、長さLや幅Wに対して薄い、薄型の器具である。
器具本体10は、筐体11と、前面カバー12と、前面枠13と、を備えている。筐体11と、前面カバー12と、前面枠13と、は屋外使用に十分に耐え得る耐食性、及び強度を有する部材から形成されている。筐体11は、高い熱伝導性を有する材料から形成され、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等から成る鋳造物(所謂ダイキャスト製)であるのが望ましい。筐体11は、その内部が器具本体10の基端10Aの側の結線室21と、先端10Bの側の光源室58とに仕切り56で仕切られている(図4参照)。結線室21には後述するクランプ5が配設され、光源室58には後述する光源部50が配設されている。
【0018】
前面カバー12は、耐食性、及び強度を有するガラスやポリカーボネート等の材料から形成され、光透過性を有している。前面枠13は、アルミニウムやアルミニウム合金等から成る鋳造物であっても良いし、耐食性、及び強度を有する強化プラスチック等の金属以外の材料から形成されていても良い。
器具本体10は、基端10Aの側に、基部20を備えている。基部20は、筐体11に一体に形成されている。基部20には、器具本体10を支柱や支持部材に取り付けるためのクランプ5が取り付けられている。
【0019】
筐体11は、設置状態で被照射面に対向する面である下面11Aが開放した箱型に形成されている。光源室58は、筐体11の開放した下面11Aによって外部に露出される。前面カバー12は、筐体11の開放した下面11Aを覆い、光源室58の内部の防水を図るように構成されている。前面カバー12には、外輪の全周に沿ってパッキン18が取り付けられ、当該パッキン18によって前面カバー12と光源室58の内面との間が水密にシールされる。
【0020】
前面枠13は、筐体11の下面11Aに前面カバー12を固定するために用いられ、外輪形状が筐体11の外輪形状と略同一の枠状に形成されている。前面枠13には、前面カバー12を被照射面に臨ませる出射開口14が設けられている。パッキン18は、前面カバー12の外輪と、筐体11の内面との間に介在すると共に、筐体11の下面11Aと、前面枠13との間に介在するように構成された断面略U字状に形成されている。これにより、筐体11は、前面カバー12を前面枠13によって下面11Aに固定することで、下面11Aが閉塞され、光源室58の内部が防水される。
【0021】
器具本体10内には、図3に示すように光源部50が収められている。光源部50は、発光素子の一例であるLED53を光源として複数備えている。また、光源部50は、複数のLED53が実装された実装基板51と、LED53の光を制御する光学部材55とを備えている。光学部材55には、各LED53を覆って配置されるレンズ54が、各LED53に対応させて複数設けられている。光源部50は、発光面側を前面カバー12に対向させて配置されている。これによって、照明器具1は、光源部50からの光が前面カバー12を通して出射開口14から出射され、被照射面を照射するように構成されている。
【0022】
また、筐体11の内部には、光源部50に並べて、電源部60が収められている。電源部60は、照明器具1の外部から供給される商用電力を、光源部50の規格に合せて電力変換する機器である。なお、電源部60は器具本体10の内部に収められている構成に限らず、図示は省略するが、照明器具1を支持する支柱などの支持部材の内部に収められている構成であっても良い。
【0023】
筐体11の天面11Bには、複数の放熱フィン16が設けられている。放熱フィン16は、天面11Bにおいて、天面11Bの裏面である筐体11の内側の面で、光源部50が熱的に接続されて取り付けられている位置に対応させて設けられている。これによって、光源部50からの熱が、筐体11から放熱フィン16に伝えられて、放熱フィン16から雰囲気に放熱される。よって、光源部50が高温となることが無く、LED53が熱影響を受けにくい構成とすることができる。
【0024】
図4は、基部20の内部構成を示す図である。図4に示すように、基部20は、中空箱型に形成され、内部空間が結線室21として構成されている。結線室21には、光源室58に連通する配線孔23が設けられている。結線室21の内部では、クランプ5を通して基部20内に引き込まれた配線が、光源室58に収容された光源部50及び電源部60から配線孔23を介して結線室21に引き込まれた配線と結線される。配線孔23には、配線孔23をシールするための不図示のブッシングが嵌合されていても良い。
【0025】
筐体11の天面11Bには、結線室21の内部を露出する開口24が形成されている。開口24は、結線室21の天井に対応する箇所の天面11Bに亘る範囲を露出するように形成されている。筐体11の天面11Bには、開口24を覆う蓋体22が設けられている。筐体11は、蓋体22を開いた際には、結線室21の天井に対応する箇所の全体が開放され、結線室21での作業が容易となるように構成されている。
図4は蓋体22を開いた状態を示し、図5は蓋体22を取り外した状態を示す、器具本体10の斜視図である。
図4図5に示すように、蓋体22は、筐体11の天面11Bに開閉軸27によって開閉自在に取り付けられている。蓋体22の開閉側端部2B及び、器具本体10の基端10Aには、蓋体22と器具本体10とをねじ止めするねじが螺入される螺子孔6が形成されている。
【0026】
蓋体22は、結線室21の開口24を閉塞するものであり、閉じられた際には、結線室21の内部を防水構造とするように構成されている。筐体11の天面11Bには、開口24の縁に沿って堰止壁25が設けられている。堰止壁25は、天面11Bから上方に突設され、開口24の全周囲を囲む堤防状に設けられている。
蓋体22には、堰止壁25を外側から囲み、蓋体22の底面22Bと、筐体11の天面11Bとの間から雨水等の水が結線室21内に入り込むのを防ぐ止水部26が設けられている。
【0027】
蓋体22は、筐体11の天面11Bの略中央に設けた軸受け19に、開閉軸27が軸支されて、筐体11に取り付けられる。より正確には、軸受け19は、結線室21と光源室58との境界付近に設けられている。このように、蓋体22は、器具本体10の基端10A側から開閉できるように構成され、蓋体22を開いた場合には、蓋体22が天面11Bの上に移動する。開閉軸27は、蓋体22の内側に設けられ、器具本体10の幅方向に沿って延びている。また、軸受け19は、天面11Bに突設され、開閉軸27が上方から差し込み可能な、U字状の溝19Aを有している。
【0028】
開閉軸27は、蓋体22の内側に突設されたボス部28間に橋架され、蓋体22の天面22Aからは離れた位置に配設される。この部分の構造については後で詳述する。
軸受け19は、ボス部28間に収まる幅寸法に形成され、ボス部28間に橋架された開閉軸27を上方からU字状の溝19Aに収めることができるように構成されている。開閉軸27は、軸受け19の溝19Aの内側に落とし込まれる。軸受け19には、上方からねじ9がねじ込まれ、このねじ9の座面、又は、当該座面に設けたワッシャーによって軸受け19の上端開放部19Bが、軸受け19の溝19Aの内側に落とし込まれた開閉軸27が軸受け19の上端開放部19Bから抜け出ないように閉じられる。図示しない金具を追加して、軸受け19の上端開放部19Bが完全に覆われるようにしてもよい。
【0029】
図6図7を蓋体22の構成を示す図である。図6(A)は蓋体22を天面22A側から示す平面図、図6(B)は蓋体22を開閉側端部2B側から示す背面図、図6(C)は蓋体22の側面図である。図7(A)は、図6(A)のB−B断面図であり、蓋体22の幅の略中央の断面図である。図7(B)は、図6(A)のA−A断面図であり、蓋体22のボス部58の位置での断面図である。図6図7を用いて、以下に、蓋体22の構成について説明する。
【0030】
図6図7に示すように、蓋体22は、軸支側端部2Aに、蓋体22の天面22Aを外側に張り出させて形成した延長部31を備えている。延長部31は、蓋体22の軸支側端部2Aの幅に亘って設けられている。
【0031】
蓋体22の軸支側端部2Aには、天面22Aから蓋体22の内側に突出するボス部28が設けられている。ボス部28は、軸支側端部2Aの幅の両端部にそれぞれ設けられている。一対のボス部28の端面28Aには、開閉軸27が中に入るような軸保持溝29が設けられている。軸保持溝29の開口端29Aは、ボス部28にねじ込まれたねじ8の座面、又は、座面に設けられたワッシャーによって塞がれる。このように軸保持溝29の開口端29Aをねじ8で塞ぐことで、開閉軸27は、軸保持溝29から抜け出せない状態で、蓋体22に保持される。本実施例では加工及び組立を容易にするため、開閉軸27の直径を4.0mmとし、軸保持溝29の幅を4.4mmとすることで、多少の加工誤差があっても開閉軸27が確実に軸保持溝29の中に入るように設計されている。開閉軸27が軸方向に移動すると、蓋体22の側面内壁にぶつかり、それ以上は移動できない。もちろんねじ8を締め付けることで、開閉軸27が軸保持溝29に押し付けられて動かなくなるような構成としても良い。
【0032】
延長部31は、蓋体22の軸支側端部2Aに固定された開閉軸27を覆って、開閉軸27より後方に張り出している。蓋体22は、延長部31と、開閉軸27との間に隙間Gを有して、開閉軸27を保持している。蓋体22は、詳細については後述するが、この隙間Gに軸受け19の外側壁19Cが挿入されて支持されるように構成されている。
【0033】
蓋体22の開閉側端部2Bには、底面22Bに、蓋体22の開閉時に取っ手として用いられる取っ手凹部3が設けられている。取っ手凹部3は、止水部26の外側に設けられている。器具本体10の基端10Aには、この取っ手凹部3の下方に対応する位置に切り欠き部4が設けられている(図4参照)。蓋体22を開く際には、まず、蓋体22と器具本体10とを固定するねじ(不図示)を外す。次に、蓋体22の取っ手凹部3に器具本体10の切欠き部4から手をかけて、蓋体22を上方向に持ち上げる。これにより、蓋体22が器具本体10の上方に移動し、結線室21の内部が露出される。
【0034】
図8図9は、蓋体22の開閉動作を示す断面図である。
図8(A)は蓋体22が閉じられている状態の器具本体10の断面図である。図8(A)に示すように、延長部31は、蓋体22が閉じられている状態で、軸受け19の後方(先端11B側)に出張るように形成されている。
図8(B)は蓋体22を開いた状態の器具本体10を示す断面図である。図8(B)に示すように、筐体11の天面11Bには、軸受け19の光源室58の側の縁に沿って係止溝35が形成されている。係止溝35は、少なくとも、蓋体22の延長部31の幅と同じ長さを有する。また、係止溝35は、開閉軸27が軸受け19の溝19Aの内側に軸支され、溝19Aの上端部に位置している状態で、蓋体22が開閉した際に、延長部31と干渉しない開口幅を有している。
【0035】
図9(A)は、蓋体22が開位置で支持されている状態を示す器具本体10の断面図である。図9(A)に示すように、軸受け19は、U字状の溝19Aの深さが開閉軸27の直径よりも数倍長く、溝19Aの内側で上下に移動可能に開閉軸27を受けている。蓋体22は、開閉軸27が軸受け19の溝19Aの上部に軸支された状態の際に、開閉軸27を中心に回転し、開閉するように構成されている。そして、蓋体22は、開閉軸27を中心に回転して開いた後、開閉軸27を軸受け19の溝19Aの下部に下げることで、延長部31が係止溝35の下端の嵌合部36に入り込むように構成されている。嵌合部36は、延長部31の先端部32が嵌り込み、蓋体22の開閉方向への回転移動を制止するように構成されている。
【0036】
蓋体22は、このように、開閉軸27を軸受け19内で下方に移動させるだけで、延長部31を、筐体11の天面11Bに設けられた係止溝35に入れ込んで係止することができ、簡単に開位置で開放保持することができる。
また、蓋体22は、開位置では、延長部31が係止溝35に係止されて、それ以上開く方向への回転移動が禁止される。よって、蓋体22は、開位置からさらに開くことが無く、過開放を簡単に防止することができる。
【0037】
図9(B)は、蓋体22を開位置から閉じる方向に回転させている状態を示す図であり、開閉軸27を軸受け19の上端部まで移動させずに、開閉軸27が溝19Aの略中間位置にある状態で、蓋体22を閉じる方向に回転させている状態を示している。図7(A)に示したように、延長部31には、蓋体22の内側に段差を形成する係止凸部31Aが設けられている。蓋体22は、開閉軸27を軸受け19の溝19Aの上端部まで移動させる前に、閉じる方向への回転を行った場合には、係止凸部31Aが軸受け19の外側壁19Cの上辺に引っ掛かり、蓋体22の回転が制止される。つまり、蓋体22は、開位置と、係止凸部31Aが軸受け19の上辺に引っ掛る位置との2カ所で止まるように構成されている。このように、蓋体22には、2段階の閉じ防止機構が備えられている。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、器具本体10の基端10Aを支持体に支持させた照明器具1において、器具本体10には、当該器具本体10の天面11Bに開口する開口部24を覆う蓋体22が備えられ、蓋体22は、開閉軸27によって器具本体10に開閉自在に軸支され、器具本体10には、開閉軸27を上下に移動可能に受ける軸受け19が設けられている。
この構成によれば、開閉軸27を、器具本体10に設けられた軸受け19内で上下に移動させるという簡単な構成で、支持棒などの部材を用いることなく、蓋体22の開放保持、及び、過開放防止を行うことができる。
【0039】
また、本実施形態では、器具本体10は、基端10Aの側の結線室21と、先端10Bの側の光源室58とに仕切られており、蓋体22は、器具本体10の天面11Bに開口する結線室21の開口部24を覆う。この構成によれば、結線室21の内部への作業を行う際には、蓋体22を開いた器具本体10の天面11Bに設けられた開口部24から行うことができる。蓋体22は、簡単な構成で開放保持、及び、過開放防止を行うことができる構成であるため、結線室21での作業の安全性、及び、作業性を向上することができる。
【0040】
また、本実施形態では、開閉軸27は、蓋体22の内側に設けられ、蓋体22の閉状態で、蓋体22に覆われる位置に備えられているこの構成によれば、開閉軸27、及び、軸受け19を蓋体22の内側に収めることができる。よって、開閉軸27、軸受け19、及び、その周辺部材を外側から見えないようにすることができ、美観が向上する。また、開閉軸27、軸受け19、及び、その周辺部材は、蓋体22の開閉によって互いに擦れて、塗装などの表面処理が剥がれる場合がある。本実形態では、開閉軸27、軸受け19、及び、その周辺部材を蓋体22の閉状態で、蓋体22に覆われる位置に備えているため、外側から見えないように蓋体22の内側に収めることができる。これにより、蓋体22の開閉によって塗装などが剥がれた場合でも、美観を保つことができ、開閉軸27に直接風雨や鳥の糞が当たる事が無く、開閉軸27の腐食が無い。
【0041】
また、本実施形態では、軸受け19は、器具本体10の天面11Bに開放するU字状の溝19Aを備え、開閉軸27は、軸受け19のU字状の溝19Aに落とし込まれている。ている。この構成によれば、軸受け19のU字状の溝19Aに、器具本体10の天面11B側から開閉軸27を落とし込むだけで、蓋体22を器具本体10に簡単に軸支させることができる。また、軸受け19をU字状の溝19Aを有する構成とすることで、簡単に開閉軸27を軸受け19内で上下に移動可能に受ける構成とすることができる。
【0042】
また、本実施形態では、蓋体22は、軸受け19の後方に出張る延長部31を備え、器具本体10の天面11Bには、蓋体22を開いて、開閉軸27を軸受け19の溝19Aの下端部に移動させた際に、延長部31が嵌め込まれる係止溝35が備えられている。この構成によれば、蓋体22を開いて、開閉軸27を軸受け19の溝19A内で下方に移動させることで、延長部31が器具本体10の天面11Bの係止溝35に嵌め込まれる。これによって、蓋体22を開いた状態で安定して保持することができる。よって、蓋体22を開放している状態で突風が吹いたりした場合でも、蓋体22の開放保持と、過開放防止と安全に行うことができる。また、照明器具1は、高所に取り付けられて用いられる場合が多く、蓋体22を開閉しての作業も高所で行われることとなる。本実施形態によれば、蓋体22を開けての延長部31を器具本体10の天面11Bに設けられた係止溝35に嵌め込むように、開閉軸27を溝19A内で下方に移動させるだけで、蓋体22の開放保持と、過開放防止とを行うことができる。よって、高所の作業であっても、簡単に、且つ、安全に、蓋体22の開閉を行うことができる。
【0043】
また、本実施形態では、延長部31には、開閉軸27を軸受け19の溝19Aの上端部に移動させずに蓋体22を閉じた際に、軸受け19に引っ掛かり、蓋体22が閉じるのを防止する段差31Aが形成されている。この構成によれば、蓋体22が閉じる方向に動いている途中一旦止まる。よって、蓋体22の閉じ防止を2段階で行うことができ、より安全に蓋体22を閉じ防止構造とすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、器具本体10の天面11Bには、結線室21の周りを囲む堰止壁25が立設されている。この構成によれば、器具本体10の天面11Bと、蓋体22との間の隙間から、雨水等の水が結線室21内に入り込むのを防ぐことができる。よって、結線室の防水構造とすることができる。
【0045】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0046】
例えば、上述した実施形態において、照明器具1を道路照明として用いる場合を例に説明したが、これに限らず、任意の照明器具に適用できる。
【0047】
また、上述した実施形態において、光源部50が備える発光素子の一例としてLED53を例示したが、発光素子は、LED53ではなく有機EL素子などの他の素子でもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 照明器具
2A 軸支側端部
5 クランプ
10 器具本体
10A 基端
10B 先端
11 筐体
11B 天面
19 軸受け
19A 溝
19B 上端開放部
19C 外側壁
21 結線室
22 蓋体
22A 天面
22B 底面
24 開口
25 堰止壁
27 開閉軸
31 延長部
31A 係止凸部(段差)
35 係止溝
50 光源部
58 光源室
G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9