特許第6790816号(P6790816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790816
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ポリイミド系接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 179/08 20060101AFI20201116BHJP
   C09J 157/02 20060101ALI20201116BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20201116BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20201116BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   C09J179/08
   C09J157/02
   C09J11/06
   C09J11/04
   H05K1/03 650
   H05K1/03 610N
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-253765(P2016-253765)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2017-119865(P2017-119865A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2019年8月5日
(31)【優先権主張番号】特願2015-255860(P2015-255860)
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田崎 崇司
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 淳
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】▲杉▼本 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 太陽
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−199645(JP,A)
【文献】 特開2015−117278(JP,A)
【文献】 特開2013−155329(JP,A)
【文献】 特開2015−127370(JP,A)
【文献】 特開2006−342287(JP,A)
【文献】 特開2000−086888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族テトラカルボン酸無水物(a1)、及びダイマージアミンを30モル%以上含むジアミン(a2)を構成成分とするポリイミド(A)と、
水素化石油樹脂(B)と、
架橋剤(C)と、
有機溶剤(D)と、
を含むポリイミド系接着剤。
【請求項2】
(a1)成分が下記構造で示されるものである、請求項1のポリイミド系接着剤。
【化1】
(式中、Xは単結合、−SO−、−CO−、−O−、−O−C−C(CH−C−O−又は−COO−Y−OCO−(Yは−(CH−(l=1〜20)若しくは−HC−HC(−O−C(=O)−CH)−CH−を示す。)を表す。)
【請求項3】
(a2)成分がジアミノポリシロキサンを70モル%未満の範囲で含む、請求項1又は2のポリイミド系接着剤。
【請求項4】
(B)成分が、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂及びC5/C9系石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の水素化物である、請求項1〜3のいずれかのポリイミド系接着剤。
【請求項5】
(B)成分に含まれる芳香環の含有量が50重量%未満である、請求項1〜4のいずれかのポリイミド系接着剤。
【請求項6】
(C)成分が、エポキシ化合物、ベンゾオキサジン化合物、ビスマレイミド化合物及びシアネートエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれかのポリイミド系接着剤。
【請求項7】
更に一般式:Z−Si(R(OR3−a(式中、Zは酸無水物基と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表される反応性アルコキシシリル化合物(E)を含有する、請求項1〜6のいずれかのポリイミド系接着剤。
【請求項8】
更に難燃剤(F)を含む、請求項1〜7のいずれかのポリイミド系接着剤。
【請求項9】
更に無機フィラー(G)を含む、請求項1〜8のいずれかのポリイミド系接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリイミド系接着剤に関する。本接着剤は、フレキシブルプリント配線板及びプリント回路板並びにそれらを用いた多層配線板等の製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板(FPWB:Flexible Printed Wiring Board)及びプリント回路板(PCB:Printed Circuit Board)並びにそれらを用いた多層配線板(MLB:Multi-Layer Board)は、携帯電話やスマートフォン等のモバイル型通信機器やその基地局装置、サーバー・ルーター等のネットワーク関連電子機器、大型コンピュータ等の製品で使用されている。
【0003】
近年、それらの製品においては、大容量の情報を高速で伝送・処理するため高周波の電気信号が使用されているが、高周波信号は非常に減衰しやすいため、前記多層配線板等にも伝送損失を抑える工夫が求められる。
【0004】
伝送損失は、誘電体即ち導体(銅回路)周囲の絶縁材料に由来する“誘電体損失”と、銅回路自体に由来する“導体損失”とに区別でき、双方を抑制する必要がある。
【0005】
誘電体損失は、周波数と、銅回路周囲の絶縁材料の誘電率及び誘電正接とに依存する。そして、周波数が高いほど、該絶縁材料としては、低誘電率且つ低誘電正接の材料を用いる必要がある。
【0006】
一方、導体損失は、表皮効果、即ち、銅回路表面の交流電流密度が高くなりその抵抗が大きくなる現象に起因しており、周波数がGHzを超えた場合に顕著となる。導体損失の主な対策は、銅回路表面の平滑化である。
【0007】
誘電体損失を抑制するには、前記したように、絶縁材料として低誘電率且つ低誘電損失の材料を用いるのがよく、そのようなものとしては、従来、特定のポリイミドが使用されてきた(特許文献1及び2を参照)。
【0008】
しかし、そうした絶縁材料は、極性基、即ち水酸基、カルボキシル基及びニトリル基などの官能基を有しないか、有していても少量であるため、平滑な銅回路には密着し難い。逆に、そうした官能基を多く有する材料は、密着性は高くても誘電率及び誘電正接が共に高くなる傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−299040号公報
【特許文献2】特開2014−045076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、誘電率及び誘電正接(以下、両者を誘電特性と総称することがある。)が共に低く、かつ、銅、特に平滑表面を備える銅に対する密着性(以下、単に銅密着性ともいう。)が良好である、新規なポリイミド系接着剤を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は鋭意検討の結果、ダイマージアミンを構成成分とするポリイミドと水素化石油樹脂を組み合わせることにより前記課題を解決可能な接着剤が得られることを見出した。
【0012】
即ち本発明は、芳香族テトラカルボン酸無水物(a1)、及びダイマージアミンを30モル%以上含むジアミン(a2)を構成成分とするポリイミド(A)と、水素化石油樹脂(B)と、架橋剤(C)と、有機溶剤(D)とを含むポリイミド系接着剤に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポリイミド系接着剤は相溶性が良好であり、不溶物のない均質なワニスとして利用可能である。また、該接着剤からなる接着層は、低誘電特性と銅密着性の双方に優れ、また、はんだ耐熱性も良好である。
【0014】
本発明の接着剤は、フレキシブルプリント配線板及びプリント回路板並びにそれらを用いた多層配線板の製造に供することができる。これらは、スマートフォンや携帯電話に代表されるモバイル型通信機器やその基地局装置、サーバー・ルーター等のネットワーク関連電子機器、大型コンピュータ等の高周波信号を扱う製品に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のポリイミド系接着剤は、所定のポリイミド(A)(以下、(A)成分ともいう。)と、水素化石油樹脂(B)(以下、(B)成分ともいう。)と、架橋剤(C)(以下、(C)成分ともいう。)と、有機溶剤(D)(以下、(D)成分ともいう。)とを含む組成物である。
【0016】
(A)成分は、芳香族テトラカルボン酸無水物(a1)(以下、(a1)成分ともいう。)、及びダイマージアミンを30モル%以上含むジアミン(a2)(以下、(a2)成分ともいう。)を構成成分とする重合体である。
【0017】
(a1)成分としては、各種公知の芳香族テトラカルボン酸無水物を使用できる。具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、及び4,4’−[プロパン−2,2−ジイルビス(1,4−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。これらの中でも、耐熱接着性及び低誘電特性のバランスの点で、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−[プロパン−2,2−ジイルビス(1,4−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、及び4,4’−オキシジフタル酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。1つの実施形態において、(a1)成分は下記構造
【化1】
(式中、Xは単結合、−SO−、−CO−、−O−、−O−C−C(CH−C−O−又は−COO−Y−OCO−(Yは−(CH−(l=1〜20)若しくは−HC−HC(−O−C(=O)−CH)−CH−を示す。)を表す。)で表わされるものである。
【0018】
(a2)成分の必須成分であるダイマージアミンは、オレイン酸等の不飽和脂肪酸の二量体であるダイマー酸から誘導される化合物であり(特開平9−12712号公報等参照)、各種公知のダイマージアミンを特に制限なく使用できる。(a2)成分の市販品としては、例えばバーサミン551(BASFジャパン(株)製)、バーサミン552(コグニクスジャパン(株)製;バーサミン551の水添物)、PRIAMINE1075、PRIAMINE1074(いずれもクローダジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0019】
(a2)成分における前記ダイマージアミンの含有量は、本発明の接着剤の低誘電特性、銅密着性及びはんだ耐熱性、並びに後述の(D)成分に対する(A)成分の溶解性等の点で、通常30モル%以上、好ましくは50〜100モル%程度である。
【0020】
(a2)成分には、70モル%未満の範囲で各種公知のジアミノポリシロキサンを含めてよい。具体例としては、α,ω−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(5−アミノペンチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(2−アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(4−アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。(a2)成分に該ジアミノポリシロキサンを含めることで、接着層の柔軟性と塗膜の表面平滑性が良好になり、本発明の接着剤の銅に対する密着力が向上する。かかる観点で、(a2)成分における該ジアミノポリシロキサンの含有量は、好ましくは0.1〜10.0モル%程度である。
【0021】
(a2)成分には、更に、前記ダイマージアミン及び前記ジアミノポリシロキサン以外のジアミンを含めることができる。具体例としては、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチル−ジアミノジシクロヘキシルメタン、テトラメチル−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等のビスアミノフェノキシフェニルプロパン類;3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミノジフェニルエーテル類;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン類;3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド等のジアミノジフェニルスルフィド類;3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等のジアミノジフェニルスルホン類;3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン類;3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミノジフェニルメタン類;2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン等のジアミノフェニルプロパン類;2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のジアミノフェニルヘキサフルオロプロパン類; 1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン等のジアミノフェニルフェニルエタン類;1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等のビスアミノフェノキシベンゼン類;1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン等のビスアミノベンゾイルベンゼン類;1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン等のビスアミノジメチルベンゼン類;1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン等のビスアミノジトリフルオロメチルベンジルベンゼン類;2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル等のアミノフェノキシビフェニル類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン等のアミノフェノキシフェニルケトン類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド等のアミノフェノキシフェニルスルフィド類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のアミノフェノキシフェニルスルホン類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル等のアミノフェノキシフェニルエーテル類;2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のアミノフェノキシフェニルプロパン類;その他、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エ−テル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロポキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコ−ルビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコ−ルビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコ−ルビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。(a2)成分におけるこれら他のジアミンの含有量は特に限定されないが、通常、50モル%未満である。
【0022】
(a1)成分と(a2)成分のモル比〔(a1)/(a2)〕は特に限定されないが、本発明の接着剤の低誘電特性及び銅密着性のバランス、並びに相溶性等の点で、通常1.0〜1.5程度である。
【0023】
(A)成分は、各種公知の方法により製造できる。具体的には、例えば、(a1)成分及び(a2)成分並びに必要に応じて他の反応成分、を通常60〜120℃程度(好ましくは80〜100℃)の温度において、通常0.1〜2時間程度(好ましくは0.1〜0.5時間)、重付加反応させる。次いで、得られた重付加物を更に80〜250℃程度、好ましくは100〜200℃の温度において、0.5〜50時間程度(好ましくは1〜20時間)、イミド化反応、即ち脱水閉環反応させればよい。また、それらの反応の際には、後述する(D)成分、特に非プロトン性極性溶剤を反応溶剤として使用することができる。
【0024】
イミド化反応においては、各種公知の反応触媒、脱水剤、及び後述する溶剤を使用できる。反応触媒としては、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物や無水安息香酸等の芳香族酸無水物等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。
【0025】
(A)成分のイミド閉環率は特に限定されないが、通常70%以上、好ましくは85〜100%である。ここに「イミド閉環率」とは、(A)成分における環状イミド結合の含有量を意味し(以下、同様。)、例えばNMRやIR分析等の各種分光手段により決定できる。
【0026】
(A)成分の物性は特に限定されないが、相溶性、低誘電特性及び銅密着性のバランスの点で、通常、数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値をいう。以下、同様。)が5000〜50000程度であり、また、軟化点が通常30〜160℃程度である。
【0027】
(A)成分の末端酸無水物基濃度は特に限定されないが、通常、2000〜40000eq/g程度である。また、本発明に係る接着剤の接着層の耐熱性や、該接着層の溶融粘度を調整する目的で、該末端酸無水物基に各種公知の一級アルキルモノアミンをイミド反応させてもよい。該アミンの具体例としては、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、イソデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−ラウリルアミン、n−セチルアミン、n−ステアリルアミン等が挙げられ、これらの中でもアルキル基の炭素数が4〜15程度のものが好ましい。
【0028】
(B)成分としては、各種公知の水素化石油樹脂を使用できる。具体的には、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂及びC5/C9系石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の水素化物が挙げられる。該C5系石油樹脂は、ナフサのC5留分から得られる石油樹脂であり、C5留分としては、例えばシクロペンタジエン、ペンテン、ペンタジエン及びイソプレン等が挙げられる。該C9系石油樹脂は、ナフサのC9留分から得られる石油樹脂であり、C9留分としては、例えばインデン、メチルインデン、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等が挙げられる。該C5/C9系石油樹脂は、前記C5留分及び前記C9留分より得られる石油樹脂である。これら石油樹脂は、他にも、クマロンやジシクロペンタジエン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ブタジエン、ペンタジエン、シクロペンタジエン、オクタジエン等のオレフィン類を構成成分としてよい。
【0029】
石油樹脂は、原料となる前記留分を、塩化アルミニウムや三フッ化ホウ素等のフリーデルクラフト触媒の存在下でカチオン重合させることにより得られる。そして、得られたカチオン重合物を各種公知の水素化触媒の存在下で水素化することにより、目的とする(B)成分が得られる。水素化触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、コバルト、ルテニウム、白金及びロジウム等の金属や、該金属の酸化物が挙げられる。また、水素化条件は特に限定されず、通常、温度が200〜300℃程度、圧力が10〜300kg/cm程度である。(B)成分は市販品であってよく、例えば、荒川化学工業(株)製のアルコンPシリーズやアルコンMシリーズ等が挙げられる。
【0030】
(B)成分の物性は特に限定されないが、相溶性や銅密着性等の観点で、通常、軟化点が80〜160℃程度のものが好ましい。
【0031】
また、本発明者の検討により、(B)成分に含まれる芳香環の含有量が、本発明の接着剤の銅密着性と低誘電特性に影響することが判った。そして、該含有量を50重量%未満、好ましくは30重量%未満にすることで、銅密着性を維持しつつ低誘電特性を下げることができるようになる。該含有量は、(B)成分の水素化率の逆数であり、該水素化率は、(B)成分のH−NMRの7ppm付近に現れる芳香環のH−スペクトル面積を用い、以下の式を通じて求めることができる。
【0032】
(数1)
水素化率=[1−〔(B)成分のスペクトル面積/原料石油樹脂のスペクトル面積〕]×100(%)
【0033】
(B)成分の使用量は特に限定されないが、本発明の接着剤の相溶性、並びに低誘電特性、銅密着性及びはんだ耐熱性等の点で、通常、前記(A)成分100重量部に対して1〜30重量部程度である(固形分換算)。
【0034】
(C)成分としては、ポリイミドの架橋剤として機能するものであれば、各種公知の熱硬化性樹脂を特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、エポキシ化合物、ベンゾオキサジン化合物、ビスマレイミド化合物及びシアネートエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0035】
エポキシ化合物としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物、スチルベン型エポキシ化合物、トリアジン骨格含有エポキシ化合物、フルオレン骨格含有エポキシ化合物、線状脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、トリフェノールメタン型エポキシ化合物、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物、アリールアルキレン型エポキシ化合物、テトラグリシジルキシリレンジアミン、これらエポキシ化合物をダイマー酸で変性してなる変性エポキシ化合物、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、市販品としては例えば、三菱化学(株)製の「jER828」や「jER834」、「jER807」、新日鐵化学(株)製の「ST−3000」、ダイセル化学工業(株)製の「セロキサイド2021P」、新日鐵化学(株)製の「YD−172−X75」、三菱ガス化学(株)製の「TETRAD−X」等が挙げられる。これらの中でも、本発明の接着剤の相溶性、並びに低誘電特性、銅密着性及びはんだ耐熱性のバランス等の点でビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、特に下記構造のテトラグリシジルキシリレンジアミンが好ましい。
【0036】
【化2】
【0037】
熱硬化性樹脂としてエポキシ化合物を用いる場合には、各種公知のエポキシ化合物用硬化剤を併用できる。具体的には、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、3−ドデセニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物等の酸無水物系硬化剤;ジシアンジアミド(DICY)、芳香族ジアミン(商品名「LonzacureM−DEA」、「LonzacureM−DETDA」等。いずれもロンザジャパン(株)製)、脂肪族アミン等のアミン系硬化剤;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂、フェノール性水酸基含有ホスファゼン(大塚化学(株)製の商品名「SPH−100」等)等のフェノール系硬化剤、環状ホスファゼン系化合物、マレイン酸変性ロジンやその水素化物等のロジン系架橋剤等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。これらの中でもフェノール系硬化剤、特にフェノール性水酸基含有ホスファゼン系硬化剤が好ましい。これら硬化剤の使用量は特に制限されないが、通常、本発明の接着剤の固形分を100重量%とした場合において0.1〜120重量%程度であり、好ましくは10〜40重量%程度である。
【0038】
前記エポキシ化合物を用いる場合、これと硬化剤の反応を促進するための触媒を使用することもできる。具体的には、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾ−ル類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、当該触媒の使用量は特に制限されないが、通常、本発明の接着剤の固形分を100重量%とした場合において0.01〜5重量%程度である。
【0039】
ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、6,6−(1−メチルエチリデン)ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−2H−1,3−ベンゾオキサジン)、6,6−(1−メチルエチリデン)ビス(3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−1,3−ベンゾオキサジン)等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。オキサジン環の窒素にはフェニル基、メチル基、シクロヘキシル基等が結合していてもよい。また、市販品としては例えば、四国化成工業(株)社製の「ベンゾオキサジンF−a型」や「ベンゾオキサジンP−d型」、エア・ウォ−タ−社製の「RLV−100」等が挙げられる。
【0040】
ビスマレイミド化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、市販品としては例えば、JFEケミカル(株)社製の「BAF−BMI」等が挙げられる。
【0041】
シアネートエステル化合物としては、例えば、2−アリルフェノールシアネートエステル、4−メトキシフェノールシアネートエステル、2,2−ビス(4−シアナトフェノール)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアネートエステル、ジアリルビスフェノールAシアネートエステル、4−フェニルフェノールシアネートエステル、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、4−クミルフェノールシアネートエステル、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、4,4’−ビスフェノールシアネートエステル、及び2,2‐ビス(4‐シアナトフェニル)プロパン等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、市販品としては例えば、「PRIMASET BTP−6020S(ロンザジャパン(株)製)」等が挙げられる。
【0042】
(C)成分の使用量は特に限定されないが、本発明の接着剤の相溶性、並びに低誘電特性、銅密着性及びはんだ耐熱性のバランス等の点で、通常、前記(A)成分100重量部に対して1〜30重量部程度である(固形分換算)。
【0043】
本発明のポリイミド系接着剤には、更に有機溶剤(D)(以下、(D)成分ともいう。)を含めてよい。具体的には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルカプロラクタム、メチルトリグライム、メチルジグライム等の非プロトン性極性溶剤や、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等の脂環式溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、クレゾ−ル等のアルコール系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤等が挙げられる。
【0044】
(D)成分の使用量は特に限定されないが、通常、本発明の接着剤の相溶性の点で、(A)成分100重量部に対して1〜500重量部程度である。
【0045】
本発明の接着剤には、更に一般式:Z−Si(R(OR3−a(式中、Zは酸無水物基と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表される反応性アルコキシシリル化合物(E)(以下、(E)成分ともいう。)を含めることができる。(E)成分により、本発明の接着剤からなる接着層の低誘電特性を維持しつつ、その溶融粘度を調節できる。結果、該接着層と基材との界面密着力(所謂アンカー効果)を高めながら、該基材端から生ずる該硬化層の滲みだしを抑制することができるようになる。
【0046】
一般式のZに含まれる反応性官能基としては、アミノ基、エポキシ基及びチオール基等が挙げられる。Zがアミノ基を含む化合物としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。Zがエポキシ基を含む化合物としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。Zがチオール基を含む化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランや、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、(A)成分と速やかに反応し、かつ前記フローコントロールの効果が良好であることから、Zがアミノ基を含む化合物が好ましい。
【0047】
(E)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分100重量部に対して0.01〜5重量部程度、好ましくは0.1〜3重量部程度である。
【0048】
本発明のポリイミド系接着剤には、更に難燃剤(F)(以下、(F)成分ともいう。)を含めてよい。具体的には、例えば、ポリリン酸やリン酸エステル等のリン系難燃剤、及び/又は、ホスファゼン系難燃剤等が挙げられる。該リン系難燃剤としては、例えば、クラリアントジャパン株式会社製のExolit OP935が、また、該ホスファゼン系難燃剤としては、例えば、伏見製薬所(株)製のラビトルFP−300等が挙げられる。
【0049】
(F)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分100重量部に対して1〜100重量部程度である。
【0050】
本発明のポリイミド系接着剤には、更に無機フィラー(G)(以下、(G)成分ともいう。)を含めてよい。具体的には、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、黒鉛粉、ベーマイト等が挙げられる。
【0051】
(G)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分100重量部に対して1〜300重量部程度である。
【0052】
また、本発明の接着剤には、必要に応じ、前記開環エステル化反応触媒や脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤等を配合できる。
【0053】
本発明のポリイミド系接着剤は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分と、必要に応じて前記(E)成分、(F)成分及び(G)成分からなる群より選ばれる少なくとも一種とを混合し、ワニス状の溶液としたものである。
【0054】
本発明のポリイミド系接着剤は、後述する支持フィルムに塗工して半硬化させた後、該支持フィルムから剥離することによって、フィルム状接着材(接着フィルム)として使用できる。該接着材の厚みは特に限定されないが、通常、0.5〜80μm程度である。
【0055】
本発明のポリイミド系接着剤及び前記フィルム状接着材は、多層配線板の製造に用いることができる。具体的には、該接着剤又は該接着材をコア基材であるプリント配線板の少なくとも一面に接触させ、その上に他のプリント配線板又はプリント回路板を積層した後、加熱及び加圧下に圧着すればよい。加熱温度及び圧着時間は特に限定されないが、通常、(ア)本発明のポリイミド系接着剤又はフィルム状接着材をコア基材であるプリント配線板の少なくとも一面に接触させた後、通常70〜200℃程度に加熱し、1〜10分間程度かけて硬化反応させてから、(イ)硬化反応を進行させるために、更に通常150℃〜250℃程度、10分〜3時間程度加熱処理するのがよい。また、圧力も特に限定されないが、工程(ア)及び(イ)を通じて通常0.5〜20MPa程度、好ましくは1〜8MPa程度である。
【0056】
前記ポリイミド系接着剤は、これを支持フィルムに塗工して、接着シートに加工することもできる。該支持フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリイミド、ポリイミド−シリカハイブリッド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレンテレフタレートやフェノール、フタル酸、ヒドロキシナフトエ酸等とパラヒドロキシ安息香酸とから得られる芳香族系ポリエステル樹脂(所謂液晶ポリマー;(株)クラレ製、「ベクスター」等)等のプラスチックフィルムが挙げられる。また、塗工手段も特に限定されず、カーテンコーター、ロールコーター、ラミネーター等が挙げられる。また、塗工層の厚みも特に限定されないが、乾燥後の厚みが通常1〜100μm程度、好ましくは3〜50μm程度となる範囲であればよい。また、該接着シートの接着層は各種保護フィルムで保護してもよい。
【0057】
前記ポリイミド系接着剤又はフィルム状接着材は、それらを銅箔に塗工又は貼り合わせて、樹脂付銅箔に加工することもできる。該銅箔としては、例えば、圧延銅箔や電解銅箔が挙げられる。また、その厚みも特に限定されず、通常は1〜100μm程度、好ましくは2〜38μm程度である。また、該銅箔は、各種表面処理(粗化、防錆化等)が施されたものであってよい。防錆化処理としては、例えば、Ni,Zn,Sn等を含むメッキ液を用いたメッキ処理や、クロメート処理等の、所謂鏡面化処理が挙げられる。また、塗工手段としては前記した方法が挙げられる。また、該樹脂付銅箔の接着層は未硬化であってもよく、また加熱下に部分硬化ないし完全硬化させたものであってもよい。部分硬化の接着層は、いわゆるBステージと呼ばれる状態にある。また、接着層の厚みも特に限定されず、通常、0.5〜30μm程度である。また、該樹脂付銅箔の接着面に更に銅箔を貼り合わせ、両面樹脂付銅箔にすることもできる。
【0058】
前記銅張積層板は、本発明の樹脂付銅箔と、銅箔又は絶縁性シートとを貼り合わせてなる物品であり、CCL(Copper Clad Laminate)とも呼ばれる。具体的には、各種公知の絶縁性シートの少なくとも片面又は両面に、本発明の樹脂付銅箔を、加熱下に圧着させたものである。また、片面の場合には、他方の面に本発明の樹脂付銅箔とは異なるものを圧着させてもよい。また、当該銅張積層板における樹脂付銅箔と絶縁シートの枚数は特に制限されない。また、該絶縁性シートとしては、プリプレグが好ましい。プリプレグとは、ガラス布等の補強材に樹脂を含浸させBステージまで硬化させたシート状材料のことをいい(JIS C 5603)、該樹脂としては、通常、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、液晶ポリマー、アラミド樹脂等の絶縁性樹脂が使用される。また、該プリプレグの厚みは特に限定されず、通常、20〜500μm程度である。また、加熱・圧着条件は特に限定されず、通常150〜280℃程度(好ましくは170℃〜240℃程度)、及び0.5〜20MPa程度(好ましくは1〜8MPa程度)である。
【0059】
前記銅張積層板は、その銅箔面に回路パターンを形成して、プリント配線板にすることができる。パターニング手段としては、例えばサブトラクティブ法やセミアディティブ法が挙げられる。セミアディティブ法としては、例えば、前記銅張積層板の銅箔面に、レジストフィルムでパターニングした後、電解銅メッキを行い、レジストを除去し、アルカリ液でエッチングする方法が挙げられる。また、該プリント配線板における回路パターン層の厚みは特に限定されない。また、該プリント配線板をコア基材とし、その上に同一のプリント配線板や他の公知のプリント配線板又はプリント回路板を積層することによって、多層基板を得ることもできる。積層の際には本発明のポリイミド系接着剤のみならず、他の公知のポリイミド系接着剤を使用することもできる。また、多層基板における積層数は特に限定されない。また、積層の都度、ビアホールを挿設し、内部をメッキ処理してもよい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明するが、それらによって本発明の範囲が限定されることはない。また、各例中、部及び%は特記しない限り重量基準である。
【0061】
数平均分子量は、市販の測定機(「高速GPC HLC−8220」、TOSOH社製)を用いて得られた値である。
【0062】
軟化点は、市販の測定器(「ARES−2KSTD−FCO−STD」、Rheometric Scientfic社製)を用いて測定した粘弾性プロファイルにおいて、剛性率が低下開始する温度である。
【0063】
製造例1
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、市販の芳香族テトラカルボン酸二無水物(商品名「BTDA−UP」、エボニックジャパン(株)製;3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の含有量が99.9%以上)210.0g、シクロヘキサノン1008.0g、メチルシクロヘキサン201.6gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、水添ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE 1075」、クローダジャパン(株)製)341.7gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、ポリイミド樹脂(A−1)の溶液(不揮発分30.2%)を得た。なお、酸成分/アミン成分のモル比は1.03であった。また、該(A−1)成分の数平均分子量は、15,000、軟化点は約80℃だった。
【0064】
製造例2
製造例1と同様の反応容器に、市販の芳香族テトラカルボン酸二無水物(商品名「BisDA1000」、エボニックジャパン(株)製;4,4’−[プロパン−2,2−ジイルビス(1,4−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物の含有量が98.0%) 297.8g、シクロヘキサノン818.95g、メチルシクロヘキサン136.49gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、PRIAMINE 1075 200.28g、及び1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン24.83gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、ポリイミド(A−2)の溶液(不揮発分29.7%)を得た。該ポリイミド樹脂の酸成分/アミン成分のモル比は1.05であった。また、該(A−2)成分の数平均分子量は15,000、軟化点は約100℃であった。
【0065】
製造例3
製造例1と同様の反応容器に、BisDA1000を200.00g、シクロヘキサノン700.00g、メチルシクロヘキサン175.00gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、PRIAMINE 1075 190.54gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、ポリイミド(A−3)の溶液(不揮発分30.1%)を得た。該ポリイミド樹脂の酸成分/アミン成分のモル比は1.09であった。
【0066】
製造例4
製造例1と同様の反応容器に、(商品名「BTDA−PF」、エボニックジャパン(株)製;3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の含有量が98%)190.0g、シクロヘキサノン277.5g、メチルシクロヘキサン182.4gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、PRIAMINE 1075 277.5g、及び市販のα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(商品名「KF−8010」、信越化学工業(株)製。)23.8gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、ポリイミド(A−4)の溶液(不揮発分30.5%)を得た。該ポリイミド樹脂の酸成分/アミン成分のモル比は1.09であった。また、該(A−4)成分の数平均分子量は10,000、軟化点は約70℃であった。
【0067】
比較製造例1
製造例1と同様の反応容器に、BisDA1000 1300.0g、メチルシクロヘキサン364.0gおよびジエチルアセトアミド2184.0gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。ついで、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン323.27gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、ポリイミド(A−5)の溶液(不揮発分37.7%)を得た。なお、酸成分/アミン成分のモル比は1.10であった。
【0068】
比較製造例2
製造例1と同様の反応容器に、BisDA1000 297.8g、シクロヘキサン818.95g、メチルシクロヘキサン136.49gおよびジエチルアセトアミド245.63gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。ついで、PRIAMINE1075 73.51gおよび1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン58.19gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、ポリイミド(A−6)の溶液(不揮発分37.7%)を得た。なお、酸成分/アミン成分のモル比は1.10であった。
【0069】
実施例1
(A−1)成分の溶液3.93g、(A−2)成分の溶液4.00g、(A−3)成分の溶液1.95g、(B)成分として水素化石油樹脂(商品名「アルコンP−100」、荒川化学工業(株)製、軟化点100℃、芳香環含有量10重量%)0.17g、(C)成分としてN,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン(商品名「jER630」、三菱化学(株)製)0.08g及びフェノールノボラック樹脂(商品名「タマノル759」荒川化学工業(株)製)0.08g、(D)成分としてトルエンを0.67g、メチルエチルケトンを0.08g、並びに(E)成分として市販のアミノ基含有シランカップリング剤(商品名「KBM603」、信越化学工業(株)製;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.01gを混合し、不揮発分30.1%の樹脂組成物(接着剤組成物)を得た。
【0070】
実施例2〜10および比較例1〜7
組成を表1に記載のものに変更した以外は実施例1と同様にして製造した。
【表1】
【0071】
<接着シートの作製>
実施例1の接着剤を、ポリイミドフィルム(商品名「カプトン100EN」、膜厚25μm)に、乾燥後の厚みが12μmとなるようギャップコーターにて塗布した後、150℃で5分間乾燥させることによって接着シートを得た。比較例1の接着剤組成物についても同様にして接着シートを得た。
【0072】
<銅張積層板の作製>
次いで、各接着シートの接着面に、12μm厚の圧延銅箔(商品名「GHF5―93F―HA―V2」、JX金属(株)製、十点平均粗さ(Rz):0.45μm)の鏡面側を重ね合わせ、圧力5MPa、170℃及び30分間の条件で加熱プレスすることにより、積層体を作製した。比較例1の接着剤組成物についても同様にして積層体を得た。
【0073】
<接着層の誘電率及び誘電正接の測定>
実施例及び比較例の接着剤をそれぞれ、フッ素樹脂PFA平皿(直径75mm,(株)相互理化学硝子製作所製)に約7g注ぎ、30℃×10時間、70℃×10時間、100℃×6時間、120℃×6時間、150℃×6時間、180℃×12時間の条件で硬化させることによって、膜厚約300μmの硬化物シートを得た。次いで、該硬化物シートについて、JIS C2565に準じ、10GHzにおける誘電率及び誘電正接を、市販の誘電率測定装置(空洞共振器タイプ、エーイーティー製)を用いて測定した。
【0074】
<接着性試験>
実施例及び比較例の各積層体について、JIS C−6481(フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法)に準じ、引き剥がし強さ(N/cm)を測定した。
【0075】
<はんだ耐熱試験>
実施例及び比較例の各積層体について、硬化後、288℃のはんだ浴に銅箔側を下にして30秒浮かべ、外観変化の有無を確認した。変化無しを○、発泡、膨れがある場合を×とした。
【0076】
【表2】
【0077】
<ボンディングシートの作製>
実施例1の接着剤を、離型フィルム(商品名「WH52−P25CM(白)」、サンエー化研(株)製)に、乾燥後の厚みが約25μmとなるようギャップコーターにて塗工後、150℃で5分間乾燥させることによってボンディングシートを得た。他の実施例及び比較例の接着剤組成物についても同様にしてボンディングシートを得た。
【0078】
<プリント配線板の作製>
実施例1に係る銅張積層板の両面の銅箔に、ライン/スペース=0.2/0.2(mm)のレジストパターンを形成したものを、濃度40%の塩化第二鉄水溶液に浸漬することによってエッチングし、銅回路を形成した。このようにして、プリント配線板が得られた。
【0079】
<多層配線板の作製>
得られたプリント配線板をコア材とし、その両面に、実施例1に係る樹脂付銅箔を重ね、圧力4.5MPa、200℃及び30分間の条件で圧着させたものの外層の未処理銅箔に、ライン/スペース=0.2/0.2(mm)のレジストパターンを形成した。次いで、得られた基板を濃度40%の塩化第二鉄水溶液への浸漬によってエッチングすることにより、銅回路を形成した。この銅回路が形成された表層の上に、前記接着シートを重ね合わせ、圧力1MPa、180℃及び30分間の条件で加熱プレスすることにより、積層した。このようにして、回路パターン層を4つ備える多層配線板が得られた。
【0080】
<多層配線板の作製2>
実施例1に係る片面銅張積層板の銅箔に、ライン/スペース=0.2/0.2(mm)のレジストパターンを形成したものを、濃度40%の塩化第二鉄水溶液に浸漬することによってエッチングし、銅回路を形成した。同じものを用意し、銅回路の無い基材側同士に前記ボンディングシートを挟み込み、圧力1MPa、180℃及び30分間の条件で加熱プレスすることにより、積層した。その後、積層体の銅回路が形成された表層の上に、前記接着シートを重ね合わせ、圧力1MPa、180℃及び30分間の条件で加熱プレスすることにより、積層した。このようにして、回路パターン層を4つ備える多層配線板が得られた。