(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一回転実行部は、前記アームの回転加速度及び前記開閉扉の内側への進入時における前記アームの回転速度に基づいて定まる起立した状態の前記アームに対する角度まで前記アームの回転を実行すること
を特徴とする請求項2に記載のワーク交換装置。
前記開閉扉の開動作が完了した時又は直後に、前記アームが前記開閉扉の内側に前記回転速度で進入するように、前記第二回転実行部は前記アームの回転を所定時点で開始すること
を特徴とする請求項3に記載のワーク交換装置。
台座に一端部を回転可能に支持したアームを備え、工作機械の開閉扉の隣に配置してあり、前記開閉扉の内外を移動してワークを交換するワーク交換装置で実行可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記ワーク交換装置に、
前記開閉扉の内側のワークを交換する場合、前記開閉扉の開動作を開始し且つ前記開閉扉の開動作中に前記開閉扉の外側への前記アームの回転を実行し、
前記アームの回転を実行した後、前記開閉扉の開動作によって前記アームが進入可能な開口面積が形成される前に、前記開閉扉の内側への前記アームの回転を開始する
処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉扉が開いた後、ロボットのアームは、開閉扉の内側に進入すべく、動作を開始する。開閉扉が開くまでロボットは動作を開始しないので、ワークの交換に長時間を要する。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ワークの交換時間を短縮することができるワーク交換装置、ワーク交換方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るワーク交換装置は、工作機械の開閉扉の隣に配置してあり、前記開閉扉の内外を移動してワークを交換するワーク交換装置において、台座に一端部を回転可能に支持したアームと、該アームの駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記開閉扉の内側のワークを交換する場合、前記開閉扉の開動作を開始し且つ前記開閉扉の開動作中に前記開閉扉の外側への前記アームの回転を実行する第一回転実行部と、該第一回転実行部にて前記アームの回転を実行した後、前記開閉扉の開動作が完了する前に、前記開閉扉の内側への前記アームの回転を開始する第二回転実行部とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るワーク交換装置は、前記制御部は、前記第一回転実行部による前記アームの回転を実行する前に、前記アームを起立した状態に配置することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るワーク交換装置は、前記第一回転実行部は、前記アームの回転加速度及び前記開閉扉の内側への進入時における前記アームの回転速度に基づいて定まる起立した状態の前記アームに対する角度まで前記アームの回転を実行することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るワーク交換装置は、前記開閉扉の開動作が完了した時又は直後に、前記アームが前記開閉扉の内側に前記回転速度で進入するように、前記第二回転実行部は前記アームの回転を所定時点で開始することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るワーク交換装置は、前記回転加速度は前記アームの最大回転加速度であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るワーク交換装置は、前記アームは、台座に一端部を回転可能に支持した第一アームと、該第一アームの他端部に一端部を回転可能に支持し、他端部にワークを把持する把持部を設けた第二アームとを有し、前記第一回転実行部及び第二回転実行部は前記第一アームの回転を実行することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るワーク交換方法は、工作機械の開閉扉の隣に配置したワーク交換装置を使用し、前記開閉扉の内外を移動してワークを交換するワーク交換方法において、前記ワーク交換装置は台座に一端部を回転可能に支持したアームを備え、前記開閉扉の内側のワークを交換する場合、前記開閉扉の開動作を開始し且つ前記開閉扉の開動作中に前記開閉扉の外側への前記アームの回転を実行し、前記アームの回転を実行した後、前記開閉扉の開動作が完了する前に、前記開閉扉の内側への前記アームの回転を開始することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るコンピュータプログラムは、台座に一端部を回転可能に支持したアームを備え、工作機械の開閉扉の隣に配置してあり、前記開閉扉の内外を移動してワークを交換するワーク交換装置で実行可能なコンピュータプログラムにおいて、前記ワーク交換装置に、前記開閉扉の内側のワークを交換する場合、前記開閉扉の開動作を開始し且つ前記開閉扉の開動作中に前記開閉扉の外側への前記アームの回転を実行し、前記アームの回転を実行した後、前記開閉扉の開動作が完了する前に、前記開閉扉の内側への前記アームの回転を開始する処理を実行させることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、開閉扉の開動作を開始する時、開閉扉の外側へアームを回転する。また開閉扉の開動作が完了する前に、開閉扉の内側へアームを回転する。開閉扉の開動作が完了する前に、アームは開閉扉側に移動を開始する。
【0015】
本発明においては、開閉扉の外側へアームを回転する前に、アームを起立した状態に配置する。起立した状態にすることで、工作機械に干渉しない中立位置にアームを配することができる。また起立した状態の位置、即ち中立位置をアームの回転角度を演算する為の基準位置にすることができる。
【0016】
本発明においては、アームが所定回転速度で開閉扉の内側に進入するように、起立した状態の前記アームに対する所定の角度、即ち起立したアームに平行な基準線に対する所定の角度まで、アームを開閉扉の外側に回転する。その後、アームは、開閉扉側に移動し、所望の回転速度で開閉扉の内側に進入する。アームは開閉扉の内側に高速で進入し、ワークの交換時間を短縮する。
【0017】
本発明においては、開閉扉の開方向への移動中に、アームは開閉扉の外側へ回転し、所定時点で開閉扉の内側へ回転する。アームの開方向への移動が完了した時又は直後に、即ち開閉扉の開動作が完了した時又は直後に、アームは所定回転速度で開閉扉の内側に進入する。
【0018】
本発明においては、アームは最大加速度で動作し、開閉扉の内側に最高速で進入できる。
【0019】
本発明においては、第一アームは高速で開閉扉に進入するので、第二アームも高速で開閉扉の内側に進入し、第二アームの把持部よるワーク交換を短時間で実行する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るワーク交換装置、ワーク交換方法及びコンピュータプログラムにあっては、開閉扉の開動作を開始する時、開閉扉の外側へアームを回転する。また開閉扉の開動作が完了する前に、開閉扉の内側へアームを回転する。開閉扉の開動作が完了する前に、アームは開閉扉側に移動を開始するので、開閉扉の開動作が完了するまでアームが待機する場合に比べて、ワークの交換時間を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明を実施の形態に係るワーク交換装置を図面に基づいて説明する。以下の説明では、図に示す上下左右前後を使用する。
図1は工作機械100、壁101、扉ユニット4、ワーク交換装置1を略示する斜視図、
図2は工作機械100、壁101、扉ユニット4を略示する斜視図である。
【0023】
工作機械100の周囲には、工作機械100を覆う壁101が設けられている。壁101の右部には開口(図示略)が設けてあり、該開口の右側に扉ユニット4が設けてある。扉ユニット4の外側にワーク交換装置1が設けてある。ワーク交換装置1の右側にワーク91を載置する載置台90が設けてある。
【0024】
扉ユニット4は、直方体状をなし、上下前後方向に延びた薄い筐体41を備える。筐体41は開口42を備え、開口42は、筐体41の右側面及び左側面を左右に貫通する。筐体41の開口42は、壁101の開口に対応した位置に配してある。筐体41は前後方向に移動な開閉扉43を収容する。開閉扉43は筐体41に略平行であり、前後に移動して開口42を開閉する。開閉扉43の開閉方向は前後方向に対応する。開口42の前側縁部分に開閉扉43の閉を検知するリミットスイッチ43a(
図11参照)が設けてある。なおリミットスイッチ43aに代えて、光センサ、ホールセンサ等、開閉扉43の閉を検知する他のセンサを使用してもよい。
【0025】
図3はプランジャ44及びブロック45aを略示する部分拡大斜視図、
図4はプランジャ44を略示する縦断面図である。
図2及び
図3に示す如く、開閉扉43の前端部にL形の取付具46を介してプランジャ44及びブロック45aが設けてある。プランジャ44はブロック45aの上側に位置する。
図4に示す如く、プランジャ44は、開閉扉43から右方に突出したケース44aと、該ケース44a内に設けてあり、左右に延びる筒状の収容室44bと、該収容室44bに収容してある弾性部材44cと、該弾性部材44cの右端に設けたボール44dとを備える。収容室44bはケース44aの右側面を貫通しており、収容室44bの右端の直径は、他の部分よりも小さい。
【0026】
ボール44dの直径は収容室44b右端の直径よりも大きく、収容室44bの他の部分よりも小さい。故にボール44dは収容室44b内を左右に移動可能であるが、収容室44bから右方に飛び出ない。弾性部材44cはボール44dを右方に付勢する。弾性部材44cは例えばばね又はゴムである。ブロック45aは後述する近接センサ45bが検知する部材であり鉄等の金属で形成した箱状部材である。
【0027】
図5はワーク交換装置1を略示する部分断面右側面図、
図6は把持部60付近の略示拡大縦断面図、
図7はワーク交換装置1の上部を略示する斜視図である。
図5はワーク交換装置1を縦断面で表記している。ワーク交換装置1は前後に延びた直方体状の基台12を備える。基台12の右側面に、前後に延びた二つの軌道13が設けてある。二つの軌道13は上下に離隔している。
【0028】
二つの軌道13の間に前後に延びた螺子軸14が設けてある。二つの軸受15が螺子軸14の前部及び後部を夫々支持する。螺子軸14の後端に第一モータ11が設けてある。ナット16が転動体(図示略)を介して螺子軸14の中途部に連結する。ナット16の右側に台座18が設けてある。
【0029】
台座18は前面視逆L形をなし、上下前後に延びた右板部18aと、該右板部18aの上端から左方に突出した上板部18bとを備える。右板部18aは取付板17を介してナット16に連結する。第一モータ11の回転によってナット16及び台座18が前後に移動する。上部板18bの壁101向きに近接センサ45bが設けてある。近接センサ45bは、例えばホールセンサ、光センサ又は超音波センサであり、物体の近接を検知する。
【0030】
上板部18bは、前支持体20及び後支持体21を備える。前支持体20及び後支持体21は前後に離隔し、上板部18bの上面に固定してある。後支持体21は前後方向を軸方向とした筒状をなし、後支持体21の後部に第二モータ22が設けてある。後支持体21の内側に、前後方向を軸方向とした伝動円柱24が設けてある。伝動円柱24の軸部分に第二モータ22の回転軸22aが同軸的に連結する。
【0031】
前支持体20は前後方向を軸方向とした筒状をなし、第三モータ23(第二駆動源)を収容する。第三モータ23の回転軸23aは前支持体20から後方に突出する。
【0032】
前支持体20及び後支持体21の間に第一アーム31が設けてある。第一アーム31は上下に延びた箱状をなす。第一アーム31の下端部は前後に貫通した筒状をなす。第一アーム31の下端部は後方に突出する。
図5及び
図7に示す如く、後部外周面の一部分に円弧部310が設けてある。円弧部310はプランジャ44のボール44dが係合する係合溝311を備える。係合溝311は円弧状に形成してある。前記下端部の後部には、円盤状のハブ25を介して伝動円柱24が同軸的に連結している。
【0033】
第一アーム31の下端部の前部には、第三モータ23の回転軸23aが挿入する。第三モータ23の回転軸23aにはプーリ26が設けてある。第三モータ23の回転軸23a、第二モータ22の回転軸22a、伝動円柱24の軸部分、第一アーム31の下端部の軸心は、第一軸51(
図7参照)上に位置する。第二モータ22が回転し、伝動円柱24が第一軸51回りに回転して、第一アーム31は下端部を中心にして、第一軸51回りに回転する。
【0034】
第一アーム31の上端部前側に、前後方向を軸方向とした伝動円柱33が設けてある。伝動円柱33は前後に突出した軸部33aを備える。軸部33aの後端部は第一アーム31の上端部を貫通し、第一アーム31の内側に位置する。軸部33aの後端部にはプーリ33bが設けてある。第三モータ23の回転軸23a及び軸部33aに設けた二つのプーリ26、33bにベルト38が掛架している。
【0035】
伝動円柱33の前側に第二アーム32が設けてある。第二アーム32は上下に延びた箱状をなす。第二アーム32の上端部に伝動円柱33が連結している。前記軸部33aは第二軸52(
図7参照)上に位置する。第三モータ23が回転し、ベルト38を介して軸部33a及び伝動円柱33が軸回りに回転し、第二アーム32は上端部を中心にして、第二軸52回りに回転する。
【0036】
第二アーム32の下端部は、第四モータ34を収容する。第二アーム32の下端部の後側に開口32aが設けてある。第四モータ34の回転軸34aは開口32aから後方に突出している。前記回転軸34aにプーリ35が設けてある。
【0037】
第二アーム32の下端部下面に前後方向を軸方向とした支持筒66が設けてある。支持筒66は有底円筒状をなす。支持筒66の底部は後側に位置する。支持筒66には伝動体65が設けてある。伝動体65は前後方向を軸方向とした円盤状をなす。伝動体65の中心に回転軸67が設けてある。回転軸67は伝動体65から前後に延びる。回転軸67の後端部は支持筒66の底部を貫通し、支持筒66の後側に突出している。回転軸67の後端部にプーリ36が設けてある。第四モータ34の回転軸34a及び回転軸67に設けた二つのプーリ35、36にベルト37が掛架している。
【0038】
回転軸67の前端部には円板部68が設けてある。該円板部68の前側に、前面視L形の支持板64が設けてある。円板部68は支持板64の角部64aに連結する。第四モータ34及びプーリ35が回転し、ベルト37を介してプーリ36、回転軸67及び伝動体65が回転し、支持板64が回転する。支持板64は前後方向を回転軸方向として、角部64aを中心に回転する。
【0039】
支持板64の両端部夫々にワーク91を把持する把持部60が設けてある。把持部60は、シリンダ61と、該シリンダ61の駆動によって移動する移動板62と、移動板62に対向する受け部材63とを備える。シリンダ61が駆動し、移動板62は受け部材63に接近するか又は受け部材63から離れる。移動板62と受け部材63の間にワーク91が位置し、移動板62が受け部材63に接近した場合、移動板62及び受け部材63はワーク91を把持する。移動板62及び受け部材63がワーク91を把持し、移動板62が受け部材63から離れた場合、移動板62及び受け部材63はワーク91を離す。
【0040】
図8は第一アーム31の第一回転角度及び第二アーム32の第二回転角度を測定する基準を示す部分拡大正面図である。第一アーム31の第一回転角度は、起立した状態の第一アーム31、即ち第一軸51から上方向に延びた第一基準線71(鉛直線)を基準にして、右側への第一回転角度を正、左側への第一回転角度を負とする。第一アーム31の上端部が第一基準線71よりも右側に回転した場合、第一アーム31と第一基準線71とがなす角度が第一アーム31の正の第一回転角度となる。第一アーム31の上端部が第一基準線71よりも左側に回転した場合、第一アーム31と第一基準線71とがなす角度が第一アーム31の負の第一回転角度となる。
【0041】
第二アーム32の第二回転角度は、第一軸51から第一アーム31の長手方向に延びた第二基準線72を基準にして、右側への第二回転角度を正、左側への第二回転角度を負とする。第二アーム32の上端部が第一基準線71よりも右側に回転した場合、第二アーム32と第二基準線72とがなす角度が第二アーム32の正の第二回転角度となる。第二アーム32の上端部が第二基準線72よりも左側に回転した場合、第二アーム32と第二基準線72とがなす角度が第二アーム32の負の第二回転角度となる。なお第一基準線71と第二基準線72とがなす角度は第一回転角度に対応する。
【0042】
図9は非係合状態のプランジャ44及び係合溝31aを示す部分拡大正面図、
図10は係合状態のプランジャ44及び係合溝31aを示す部分拡大正面図である。
図9に示す如く、第一アーム31が右側(開閉扉43から離れる側)に回転し、第一回転角度が所定角度以上になった場合、係合溝31aはボール44dから上方に離れる。ボール44dは係合溝31aに係合しない。
【0043】
図10に示す如く、第一アーム31が左側(開閉扉43側)に回転し、第一回転角度が所定角度未満になった場合、係合溝31aは、ボール44dの上側から下側に亘る範囲に位置する。換言すれば、係合溝31aが位置する上下範囲はボール44dの上下位置を含む。このとき、係合溝31a及びボール44dの前後位置が略同じ場合、ボール44dは係合溝31aに係合する。
【0044】
図11はワーク交換装置1の駆動を制御する制御装置80付近の構成を略示するブロック図である。制御装置80は、CPU81、ROM82、RAM83、不揮発性メモリ84、入力インタフェース85、出力インタフェース86を備える。CPU81はタイマ81aを備える。CPU81はROM82に格納した制御プログラムをRAM83に読み込んで、工作機械100及びワーク交換装置の駆動を制御する。ROM82はワーク91を交換する交換プログラムを格納する。CPU81は交換プログラムを構成する複数のブロックを順次読み込んで、ワーク交換処理を実行する。
【0045】
第一モータ11〜第四モータ34は第一エンコーダ11b〜第四エンコーダ34bを夫々備える。第一エンコーダ11b〜第四エンコーダ34bは第一モータ11〜第四モータ34の回転角度を検出し、入力インタフェース85を介して、検出した回転角度を制御装置80に入力する。近接センサ45bはブロック45a、換言すれば開閉扉43が近接したか否かを示す信号を制御装置80に入力する。リミットスイッチ43aは開閉扉43の閉を示す信号を制御装置80に入力する。制御装置80は、出力インタフェース86を介して、第一モータ11〜第四モータ34及びシリンダ61に夫々駆動信号を出力する。
【0046】
制御装置80は、第一エンコーダ11bから入力した第一モータ11の回転角度に基づいて、ワーク交換装置1の前後位置を演算し、第二エンコーダ22bから入力した第二モータ22の回転角度に基づいて、第一アーム31の第一回転角度を演算し、第三エンコーダ23bから入力した第三モータ23の回転角度に基づいて、第二アーム32の第二回転角度を演算し、第四エンコーダ34bから入力した第四モータ34の回転角度に基づいて、支持板64の回転軸67周りの位置を演算する。
【0047】
図12及び
図13は制御装置80によるワーク交換処理を説明するフローチャート、
図14は第一回転角度が0度であり且つ開閉扉43が閉じた場合のワーク交換装置1を略示する正面図、
図15は第一回転角度が0度であり且つ開閉扉43が閉じた場合のワーク交換装置1を略示する平面図、
図16は第一回転角度がαである場合のワーク交換装置1を略示する正面図、
図17は開閉扉43の内側に第一アーム31が進入したワーク交換装置1を略示する正面図、
図18は開閉扉43の内側に第一アーム31が進入したワーク交換装置1を略示する平面図、
図19は所定時間の決定方法を説明する説明図である。
【0048】
初期状態において、第一回転角度は所定角度未満であり、係合溝31aの第一軸51周りの位置はボール44dに係合する位置であるとする。CPU81は工作機械100でのワークの加工が完了するまで待機する(ステップS1:NO)。工作機械100でのワークの加工が完了した場合(ステップS1:YES)、CPU81は、リミットスイッチ43aから開閉扉43の閉を示す信号を入力しているか否か判定する(ステップS2)。
【0049】
開閉扉43の閉を示す信号を入力していない場合(ステップS2:NO)、CPU81は、近接センサ45bから開閉扉43が近接したことを示す信号が入力したか否かを判定する(ステップS3)。開閉扉43が近接したことを示す信号が入力していない場合(ステップS3:NO)、CPU81はエラーを報知し(ステップS4)、処理を終了する。CPU81は例えば操作画面にエラーを表示する。この場合、開閉扉43は開き且つワーク交換装置1は前方に位置し、ボール44dは係合溝31aに係合していないか又はリミットスイッチ43a、近接センサ45b等に異常が発生している可能性がある。
【0050】
開閉扉43が近接したことを示す信号が入力している場合(ステップS3:YES)、開閉扉43は開き且つワーク交換装置1は後方に位置し、ボール44dは係合溝31aに係合しているので、CPU81は、リミットスイッチ43aから開閉扉43の閉を示す信号を入力するまで、第一モータ11を駆動し、ワーク交換装置1を前方に移動し、開閉扉43を閉じる(ステップS5)。
【0051】
開閉扉43を閉じた場合(ステップS2:YES、ステップS5)、CPU81は第二エンコーダ22bからの入力に基づいて、第一回転角度を演算し、第一回転角度が0度であるか否か判定する(ステップS6)。第一回転角度が0度でない場合(ステップS6:NO)、CPU81は、第一回転角度が0度になるまで第一アーム31を回転する(ステップS7)。0度は前記所定角度未満であり、ボール44dは係合溝31aに係合する。
【0052】
図14及び
図15に示す如く、第一回転角度が0度である場合(ステップS6:YES、ステップS7)、CPU81は第一モータ11の駆動を開始し、ワーク交換装置1の後方への移動を開始して、開閉扉43の開動作を開始し、且つ第二モータ22の駆動を開始して第一アーム31の右回転、即ち開閉扉43の外側への回転を開始する(ステップS8)。CPU81は、第一回転角度が前記所定角度未満となるように、即ちボール44dが係合溝31aに係合する範囲で第一アーム31を右に回転する。CPU81は、タイマ81aを用いて計時を開始する(ステップS9)。タイマ81aは開閉扉43の開動作の開始時からの経過時間を計測する。
【0053】
CPU81は、第一回転角度が予め定めたα(α>0)[度]以上であるか否かを判定する(ステップS10)。αは前記所定角度未満であり、ボール44dは係合溝31aに係合する。αは例えば以下のように定める。
α=1/2*X
2 /Y
X[度/s]:第一アーム31が開閉扉43に進入する時の回転速度
Y[度/s
2 ]:第一アーム31の最大加速度
Yは第二モータ22の仕様によって定まるので、所望の回転速度Xを設定すれば、αは定まる。回転速度Xは、例えば第一回転角度が0度である場合における第一アーム31の回転速度である。第一アーム31は最大加速度Yで動作するので、回転速度Xを最高速度にできる。
【0054】
第一回転角度がα以上でない場合(ステップS10:NO)、CPU81はステップS10に処理を戻す。
図16に示す如く、第一回転角度がα以上である場合(ステップS10:YES)、CPU81は第一アーム31の右回転を停止する(ステップS11)。
【0055】
CPU81は開閉扉43の開動作の開始時から所定時間が経過したか否か判定する(ステップS12)。時間軸tを示す
図19を用いて所定時間の決定方法を説明する。
図19において、開閉扉43の開動作開始時点を0とし、開閉扉43の開動作によって第一アーム31が進入可能な開口面積を扉ユニット4に形成した時点、即ち開閉扉43の開動作が完了した時点をt1とし、第一回転角度がαである時点をt2とする。また時点t2から直ちに第一アーム31が左回転を開始したと仮定した場合に、第一回転角度が0度となる時点、即ち第一アーム31の回転速度がXとなる時点をt3としている。
【0056】
0からt1までの時間T1と、0からt2までの時間T2及びt2からt3までの時間T3の和を比較し、
図19Aに示す如く、T1<T2+T3の場合、T2を所定時間に決定する。
図19Bに示す如く、T1>T2+T3の場合、時点t3とt1の間の時間T4を演算し、T2+T4を所定時間に決定する。なおt4は時点0からT2+T4経過した時点を示す。
【0057】
CPU81は、T1、T2、T3、T4を演算し、T2又はT2+T4を所定時間に決定する。なお予めT1、T2、T3、T4を演算し、T2又はT2+T4を不揮発性メモリ84に記憶し、CPU81は記憶した時間を参照してもよい。後述するように、T2又はT2+T4経過後に、第一アーム31が左側に回転することによって、開閉扉43に干渉せずに、第一アーム31は所望の回転速度Xで開閉扉43の内側に進入する。
【0058】
開閉扉43の開動作の開始時から所定時間が経過していない場合(ステップS12:NO)、CPU81はステップS12に処理を戻す。開閉扉43の開動作の開始時から所定時間が経過した場合(ステップS12:YES)、CPU81は第一アーム31の左側への回転を開始する(ステップS13)。
【0059】
CPU81は第一アーム31が開閉扉43の内側にワークを交換可能な位置まで進入するまで待機する(ステップS14:NO)。例えば、CPU81は第一回転角度が−90度以下になるまで待機する。第一アーム31が開閉扉43の内側にワークを交換可能な位置まで進入した場合(ステップS14:YES)、例えば第一回転角度が−90度以下になった場合、CPU81は第一アーム31の左回転を停止する(ステップS15)。なお−90度は、第一アーム31がワークを交換可能な位置まで進入したか否かの基準の一例に過ぎず、他の角度、例えば−89度〜−70度のいずれかの角度を使用してもよい。
【0060】
図17及び
図18に示す如く、CPU81は開閉扉43の内側でワークを交換する処理を実行し(ステップS16)、第一アーム31を開閉扉43から退出する処理及び開閉扉43を閉じる処理を実行し(ステップS17)、開閉扉43の外側でワークを交換する処理を実行する(ステップS18)。
【0061】
実施の形態に係るワーク交換装置1、ワーク交換方法及びコンピュータプログラムにあっては、開閉扉43の開動作を開始する時、開閉扉43の右側(外側)へ第一アーム31を回転する。また開閉扉43の開動作が完了する前に、開閉扉43の左側(内側)へ第一アーム31を回転する(ステップS13、
図19参照)。開閉扉43の開動作が完了する前に、第一アーム31は開閉扉43側に移動を開始するので、開閉扉43の開動作が完了するまで第一アーム31が待機する場合に比べて、ワークの交換時間を短縮することができる。
【0062】
また開閉扉43の外側へ第一アーム31を回転する前に、起立した状態の第一アーム31に平行に、即ち上下に延びた第一基準線71に平行に第一アーム31を配置する(ステップS6、
図15参照)。起立した状態にすることで、工作機械100に干渉しない中立位置に第一アーム31を配することができる。また起立した状態の位置、即ち中立位置を、第一アーム31の回転角度を演算する為の基準位置にすることができる。
【0063】
また第一アーム31が所望の回転速度Xで開閉扉43の内側に進入するように、第一アーム31を角度αまで開閉扉43の右側(外側)に回転する。その後、第一アーム31は、開閉扉43側に移動し、所望の回転速度Xで開閉扉43の内側に進入する。アームは開閉扉43の内側に高速で進入し、ワークの交換時間を短縮する。
【0064】
また開閉扉43の開方向への移動中に、第一アーム31は開閉扉43の外側へ回転し、所定時点(t2又はt4)で開閉扉43の内側へ回転する。開閉扉43の開動作が完了した時又はその直後に、第一アーム31は所望の回転速度Xで開閉扉43の内側に進入する(ステップS13、
図19参照)。開閉扉43の開動作が完了した時又はその直後に、第一アーム31は開閉扉43の内側に高速で進入するので、ワークの交換時間を短縮できる。
【0065】
また第一アーム31は最大加速度Yで動作し、開閉扉43の内側に最高速で進入できる。また第一アーム31は最大加速度で動作し、開閉扉43の内側に最高速で進入できる。また第一アーム31は高速で開閉扉43に進入するので、第二アーム82も高速で開閉扉43の内側に進入し、第二アーム82の把持部60によるワーク交換を短時間で実行できる。
【0066】
なおワークを交換する場合に、第一アーム81と同様に、第二アーム82を第一基準線71に平行に配置し、開閉扉43の右側(外側)へ第二アーム32を回転し、開閉扉43の開動作が完了する前に、開閉扉43の左側(内側)へ第二アーム32を回転してもよい。
【0067】
(変更例)
図19Aの場合、即ちT1<T2+T3の場合、開閉扉43の開動作が完了した時からワークの交換が完了するまでの時間を短縮する為に、CPU81は更に以下のような第一演算及び第二演算をしてもよい。
(第一演算)
開閉扉43の内側におけるワークを交換する為の第一アーム31の目標角度がZである場合、開閉扉43の開動作が完了した時から第一アーム31の角度がZになるまでの時間T5を演算する。T5は以下のように定まる。
T5=t3−t1+|Z|/Xを演算する。
【0068】
(第二演算)
CPU81は回転速度Xに代えて、Xよりも小さいX′を左回転時の回転速度、即ち時点t1(開閉扉43の開動作が完了した時点)での回転速度に設定する。回転速度X′は、例えば不揮発性メモリ84に予め記憶してある。CPU81は、第一アーム31が時点t1に回転速度X′で開閉扉43の内側に進入するように、第一アーム31の右回転角度としてαよりも小さい角度βを定める。βは以下のように定まる。
β=1/2*X′
2 /Y
右回転は時点t2′で終了する。右回転速度はステップS8の場合と同じなので、時点t2′は時点t2よりも前の時点である。時点t1において第一回転角度が0度である。CPU81は、開閉扉43の開動作が完了した時から第一アーム31の角度がZになるまでの時間T6を演算する。T6は以下のように定まる。
T6=|Z|/X′
CPU81はT5又はT6を比較し、小さい方を採用し、第一アーム31を駆動する(ステップS8以下参照)。
【0069】
図19Bの場合、即ちT1>T2+T3の場合、上記実施の形態は時点t2から時間T4経過するまで待機しているが、これに代えて、時点0から時間T4経過するまで待機してもよい。また時点t1において第一アーム31が開閉扉43の内側に進入するように、右回転の回転速度を遅くして、時点t2から直ちに右回転を開始してもよい。