(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係合凹部が、前記第1対向面と前記第2対向面との間隔が前記スリーブの先端に近づくにつれて小さくなることによって形成されたテーパー凹部を有している請求項1又は2に記載のゴルフクラブ。
前記アウター面が、前記スリーブの先端に近づくにつれて径方向内側に向かうように傾斜しているアウター斜面を有している請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
前記インナー面が、前記スリーブの先端に近づくにつれて径方向内側に向かうように傾斜しているインナー斜面を有している請求項1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
特に説明しない限り、本願において「軸方向」とは、ホーゼル孔の中心線の方向を意味する。この軸方向は、後述される中心線z1の方向である。特に説明しない限り、本願において「径方向」とは、ホーゼル孔の半径方向を意味する。特に説明しない限り、本願において「下側」とは軸方向ソール側を意味し、「上側」とは軸方向グリップ側を意味する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るゴルフクラブ2を示す。
図1は、ゴルフクラブ2のヘッド近傍のみを示している。
図2は、ゴルフクラブ2の分解図である。
図2では、シャフト及びグリップの記載が省略されている。
図3は、ゴルフクラブ2の断面図である。
図3は、スリーブ8の中心線に沿った断面図である。
【0016】
ゴルフクラブ2は、ヘッド4、シャフト6、スリーブ8及びネジ10を有する。
図2が示すように、ゴルフクラブ2は、更に、中間部材14と、ワッシャー16とを有する。
【0017】
ヘッド4は、フェース4a、クラウン4b、ソール4c及びホーゼル4dを有する。
【0018】
ヘッド4は、ウッド型である。ヘッド4は、ドライバーヘッドである。本開示において、ヘッド4のタイプが限定されない。ヘッド4として、ウッド型ヘッド、ユーティリティ型ヘッド、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等が挙げられる。シャフト6は限定されず、汎用のカーボンシャフトやスチールシャフトなどが用いられうる。
【0019】
シャフト6の先端部に、スリーブ8が固定されている。この固定の方法は、接着剤による接着である。シャフト6の後端部には、図示されないグリップが取り付けられている。互いに固定されたシャフト6とスリーブ8とにより、スリーブ付きシャフト12が形成されている。
【0020】
ネジ10は、雄ネジ部10aと頭部10bとを有する。雄ネジ部10aは、スリーブ8のネジ孔Htとネジ結合しうる。頭部10bは、工具を受け入れる凹部10cを有する。なお、
図2及び
図3では、雄ネジ部10aにおける雄ネジの記載が省略されている。
【0021】
ネジ10を締めることにより、スリーブ8(スリーブ付きシャフト12)が、ヘッド4に固定される。この固定された状態が、本願において、結合状態とも称される。
図3は、結合状態における断面図である。ネジ10を緩めることにより、ヘッド4に対するスリーブ付きシャフト12の固定が解除される。この固定が解除された状態が、本願において、分離状態とも称される。シャフト6が、ヘッド4に、取り外し可能に取り付けられている。
【0022】
なお、特に説明しない限り、本願に記載の構成は、結合状態における構成を意味する。
【0023】
中間部材14は、リング状の部材である。中間部材14の外面は、円周面である。図示されないが、中間部材14の内面は、雌ねじを形成している。中間部材14の機能は、ネジ10の脱落防止である。この機能の詳細は、後述される。
【0024】
なお、言うまでも無く、中間部材14は、無くてもよい。ネジ10の脱落防止機能が不要である場合、中間部材14は不要である。また、ネジ10の脱落防止機能が必要な場合であっても、中間部材14は不要とされうる。例えば、ヘッド本体18が、中間部材14と同形状のフランジを有していても良い。また、中間部材14の代わりに、Oリングが用いられても良い。このOリングの内径を、ネジ10の雄ネジ部10aが挿通されつつ係止されるように設定することで、脱落防止機能が発揮されうる。
【0025】
図4は、ヘッド4のホーゼル部が示された斜視図である。
図5は、ヘッド4のホーゼル部の平面図である。
図6は、ヘッド本体18の断面図である。
【0026】
ヘッド4は、中空のゴルフクラブヘッドである。ヘッド4は、ヘッド本体18と、円筒部材20とを有する(
図2参照)。
【0027】
ヘッド本体18は、ホーゼル孔22を有する(
図4、
図5及び
図6参照)。ホーゼル孔22に、スリーブ8が挿入される。結合状態において、スリーブ8は、ホーゼル孔22に支持される。ヘッド本体18は、ネジ10を挿通するための通孔24を有する(
図3及び
図6参照)。通孔24は、ホーゼル孔22の底部を貫通し、ソールに至る。通孔24は、下方に向かって開放されている。
【0028】
図3及び
図6が示すように、ヘッド本体18は、フランジ26を有する。結合状態において、フランジ26は、スリーブ8の下側に位置する。
図3が示す通り、フランジ26の内径は、ワッシャー16の外径よりも大きい。
図3が示す通り、中間部材14の外径は、フランジ26の内径よりも大きい。
【0029】
図4、
図5及び
図6が示すように、ヘッド4(ホーゼル孔22)は、係合凹部R1を有する。係合凹部R1は、ホーゼル孔22(の内面)に設けられている。係合凹部R1は、ホーゼル孔22の上端に設けられている。
【0030】
複数の係合凹部R1が設けられている。複数の係合凹部R1が、周方向において等間隔で配置されている。係合凹部R1は、周方向における所定角度おきに配置されている。本実施形態では、4つの係合凹部R1が設けられている。係合凹部R1は、周方向の90°おきに配置されている。複数(4つ)の係合凹部R1の形状は、同一である。複数の係合凹部R1の間では、周方向位置のみが相違している。
【0031】
円筒部材20の外面は、円周面である。
図2が示すように、円筒部材20の外面は、大径部と小径部とを有する。図示されないが、円筒部材20の内面は、円周面である。この円周面の内径は、スリーブ8の下部34(後述)の外径に対応している。
【0032】
なお、言うまでも無く、円筒部材20は、無くても良い。例えば、ヘッド本体18が、円筒部材20に相当する形状を有していても良い。また、スリーブ8の中間部32がホーゼル孔22によって支持されているので、円筒部材20による支持が無くても問題はない。
【0033】
図7は、スリーブ8の斜視図である。
図8は、スリーブ8の側面図である。
図9は、スリーブ8の底面図である。
図10は、スリーブ8の断面図である。
図11は、
図8のA−A線に沿った断面図である。
【0034】
スリーブ8は、上部30と、中間部32と、下部34とを有する。上部30と中間部32との境界には、段差面36が存在する。またスリーブ8は、シャフト孔Hsとネジ孔Htとを有する。シャフト孔Hsは、上部30及び中間部32の内側に位置する。シャフト孔Hsは、スリーブ8の一方側(上側)に開口している。ネジ孔Htは、スリーブ8の他方側(下側)に開口している。ネジ孔Htは、下部34の内側に位置する。
【0035】
前記結合状態において、上部30は露出する。前記結合状態では、段差面36が、ヘッド4のホーゼル端面40に当接していない。段差面36とホーゼル端面40との間に、(僅かな)隙間が存在している。係合凹部R1の上端は、ホーゼル端面40に位置している。
【0036】
図1が示すように、上部30の下端の外径は、ホーゼル端面40の外径に略等しい。前記結合状態において、上部30は、フェラルのような外観を呈する。前記結合状態において、中間部32及び下部34は、ホーゼル孔22の内側に位置する。
【0037】
スリーブ8の中間部32の外面は、円周面50を有する。前記結合状態では、円周面50は、ホーゼル孔22に接触している。円周面50は、ホーゼル孔22の円周面に面接触している。この接触は、スリーブ8の保持に寄与している。
【0038】
スリーブ8の下部34の外面は、円周面である。スリーブ8の下部34は、ネジ孔含有部52を有する。ネジ孔含有部52は、その内部に、ネジ孔Htを含む。なお、
図10では、ネジ孔Htにおける雌ねじの記載が省略されている。
【0039】
図10が示すように、シャフト孔Hsの中心線h1は、スリーブ8の外面(円周面50)の中心線z1に対して傾斜している。
図10に示される傾斜角度θ1は、中心線h1と中心線z1との成す角度である。前記結合状態において、中心線z1は、ホーゼル孔22の中心線に等しい。シャフト孔Hsの中心線h1は、シャフト6の中心線に等しい。傾斜角度θ1に起因して、ロフト角、ライ角及びフェース角が調整されうる。
【0040】
スリーブ8は、係合凸部P1を有する。係合凸部P1は、スリーブ8の外周面に設けられている。係合凸部P1は、円周面50に設けられている。係合凸部P1は、円周面50の上端に設けられている。係合凸部P1の上端は、段差面36に位置している。
【0041】
スリーブ8には、複数の係合凸部P1が設けられている。複数の係合凸部P1が、周方向において等間隔で配置されている。係合凸部P1は、周方向における所定角度おきに配置されている。本実施形態では、4つの係合凸部P1が設けられている。係合凸部P1は、周方向の90°おきに配置されている。複数(4つ)の係合凸部P1の形状は、同一である。複数の係合凸部P1の間では、周方向位置のみが相違している。
【0042】
これらの係合凸部P1と、上述した係合凹部R1とが係合する。係合凸部P1のそれぞれが、係合凹部R1のそれぞれに係合する。この係合により、ヘッド4に対するスリーブ8の回転が規制されている。
【0043】
図3が示すように、円筒部材20は、ホーゼル孔22(の下部)に固定されている。この固定は、接着、溶接等により達成されうる。結合状態では、スリーブ8の下部34が、円筒部材20に挿入される。円筒部材20は、下部34を支持する。
【0044】
図3が示すように、中間部材14は、円筒部材20とフランジ26との間に位置している。円筒部材20とフランジ26との間の軸方向距離は、中間部材14の軸方向長さよりも大きい。中間部材14は、ホーゼル孔22に固定されていない。中間部材14は、円筒部材20とフランジ26との間を移動しうる。
【0045】
図3に示される結合状態では、ネジ10の締結による軸力は、ワッシャー16及び中間部材14を介して、円筒部材20に伝達される。円筒部材20は、上向きの軸力を受け止める。
【0046】
中間部材14は、分離状態におけるネジ10の脱落を防止する。
図3に示される結合状態では、ネジ10が締結されている。このネジ10を緩めていくと、ネジ10がスリーブ8に対して下方に移動する。更に緩めていくと、ネジ10の雄ネジ部10aが、中間部材14に到達する。上述の通り、この中間部材14の内面は、雌ねじであり、この雌ねじは雄ネジ部10aに適合している。ネジ10を緩めていくと、雄ネジ部10aは中間部材14にネジ結合する。雄ネジ部10aがネジ孔Htから離脱するとき、雄ネジ部10aは中間部材14にネジ結合している。雄ネジ部10aをネジ孔Htから離脱させ、スリーブ付きシャフト12をヘッド4から取り外したとしても、中間部材14にネジ結合したネジ10は、ヘッド4から離脱しない。ネジ10がヘッド4に保持されるため、再結合の作業を円滑に行うことができる。また、ネジ10の紛失が防止される。
【0047】
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態に係るゴルフクラブ102の正面図である。
図12は、ゴルフクラブ102のヘッド近傍のみを示している。
図13は、ゴルフクラブ102の分解図である。
図13では、シャフト及びグリップの記載が省略されている。
図14は、ゴルフクラブ102の断面図である。
図14は、スリーブ108の中心線に沿った断面図である。
【0048】
ゴルフクラブ102は、ヘッド104、シャフト106、スリーブ108及びネジ110を有する。
図13が示すように、ゴルフクラブ102は、更に、中間部材114と、ワッシャー116とを有する。
【0049】
ヘッド104は、フェース104a、クラウン104b、ソール104c及びホーゼル104dを有する。
【0050】
ヘッド104は、ウッド型である。ヘッド104は、ドライバーヘッドである。本開示において、ヘッド104のタイプは限定されない。ヘッド104として、ウッド型ヘッド、ユーティリティ型ヘッド、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等が挙げられる。シャフト106は限定されず、汎用のカーボンシャフトやスチールシャフトなどが用いられうる。
【0051】
シャフト106の先端部に、スリーブ108が固定されている。シャフト106の後端部には、図示されないグリップが取り付けられている。互いに固定されたシャフト106とスリーブ108とにより、スリーブ付きシャフト112が形成されている。
【0052】
ネジ110は、雄ネジ部110aと頭部110bとを有する。雄ネジ部110aは、スリーブ108のネジ孔Htとネジ結合しうる。頭部110bは、工具を受け入れる凹部110cを有する。なお、
図13及び
図14では、雄ネジ部110aにおける雄ネジの記載が省略されている。
【0053】
ネジ110を締めることにより、スリーブ108(スリーブ付きシャフト112)が、ヘッド104に固定され、結合状態が達成される。
図14は、結合状態における断面図である。ネジ110を緩めることにより、ヘッド104に対するスリーブ付きシャフト112の固定が解除され、分離状態が達成される。シャフト106は、ヘッド104に、取り外し可能に取り付けられている。
【0054】
中間部材114は、リング状の部材である。中間部材114の外面は、円周面である。図示されないが、中間部材114の内面は、雌ねじを形成している。中間部材114の機能は、ネジ110の脱落防止である。この機能の詳細は、後述される。
【0055】
なお、言うまでも無く、中間部材114は、無くてもよい。ネジ110の脱落防止機能が不要である場合、中間部材114は不要である。また、ネジ110の脱落防止機能が必要な場合であっても、中間部材114は不要とされうる。例えば、ヘッド本体118が、中間部材114と同形状のフランジを有していても良い。また、中間部材114の代わりに、Oリングが用いられても良い。このOリングの内径を、ネジ110の雄ネジ部110aが挿通されつつ係止されるように設定することで、脱落防止機能が発揮されうる。
【0056】
図13及び
図14が示すように、ヘッド104は、ヘッド本体118と、係合部材120とを有する。
【0057】
図14は、ヘッド本体118の断面図である。
【0058】
ヘッド本体118は、ホーゼル孔122を有する(
図14及び
図15参照)。ホーゼル孔122に、スリーブ108が挿入される。ヘッド本体118は、ネジ110を挿通するための通孔124を有する。通孔124は、ホーゼル孔122の底部を貫通し、ソールに至る。通孔124は、下方に向かって開放されている。ヘッド本体118は、中空部を有している。
【0059】
図15が示すように、ヘッド本体118は、フランジ126を有する。結合状態において、フランジ126は、スリーブ108の下側に位置する。
図14が示す通り、フランジ126の内径は、ワッシャー116の外径よりも大きい。
図14が示す通り、中間部材114の外径は、フランジ126の内径よりも大きい。
【0060】
図13及び
図14が示すように、係合部材120は、外面120aと、内面120bとを有する。外面120aは、円周面である。外面120aの形状は、係合部材120が固定される位置におけるホーゼル孔122の形状に対応している。内面120bは、円周面である。この円周面120bの内径は、スリーブ108の下部134(後述)に設けられた円周外面135の外径に対応している。この係合部材120は、ヘッド本体118に固定されている。
【0061】
図13が示すように、係合部材120は、係合凹部R1を有する。係合凹部R1は、係合部材120の上端面に形成されている。この係合部材120がヘッド本体118に固定されることで、ヘッド104に係合凹部R1が形成される。
【0062】
なお、言うまでも無く、係合部材120は、無くても良い。例えば、係合部材120は、ヘッド本体118に一体化されていてもよい。換言すれば、ヘッド本体118が、係合部材120に相当する形状を有していても良い。
【0063】
図16は、スリーブ108の斜視図である。
図17は、スリーブ108の側面図である。
図18は、スリーブ108の底面図である。
図19は、スリーブ108の断面図である。
図20は、
図19のA−A線に沿った断面図である。
図21は、係合部材120の側面図である。
図22は、係合部材120の平面図である。
【0064】
スリーブ108は、上部130と、中間部132と、下部134とを有する。上部130と中間部132との境界には、段差面136が存在する。中間部132と下部134との境界には、段差面138が存在する。
【0065】
スリーブ108は、シャフト孔Hsとネジ孔Htとを有する。シャフト孔Hsは、上部130及び中間部132の内側に位置する。シャフト孔Hsは、スリーブ108の一方側(上側)に開口している。ネジ孔Htは、スリーブ108の他方側(下側)に開口している。ネジ孔Htは、下部134の内側に位置する。
【0066】
前記結合状態において、上部130は露出する(
図12参照)。前記結合状態では、段差面136が、ヘッド104のホーゼル端面140に当接していない。段差面136とホーゼル端面140との間には、(僅かな)隙間が存在している。
【0067】
図12が示すように、上部130の下端の外径は、ホーゼル端面140の外径に略等しい。前記結合状態において、上部130は、フェラルのような外観を呈する。前記結合状態において、中間部132及び下部134は、ホーゼル孔122の内側に位置する。
【0068】
スリーブ108の中間部132の外面は、円周面150を有する。前記結合状態では、円周面150は、ホーゼル孔122に接触している。円周面150は、ホーゼル孔122の円周面122aに面接触している。この接触は、スリーブ108の保持に寄与している。
【0069】
図16及び
図17がよく示すように、スリーブ108は、係合凸部P1を有する。係合凸部P1は、スリーブ108の下部134に設けられている。この下部134の外面は、円周外面135を有する。この円周外面135は、係合部材120の内面120bに接触している(
図14)。スリーブ108の下部134は、ネジ孔含有部152を有する。ネジ孔含有部152は、ネジ孔Htを含む。なお、
図19では、ネジ孔Htにおける雌ねじの記載が省略されている。
【0070】
図19が示すように、シャフト孔Hsの中心線h1は、スリーブ108の外面(円周面150)の中心線z1に対して傾斜している。
図19に示される傾斜角度θ1は、中心線h1と中心線z1との成す角度である。前記結合状態において、中心線z1は、ホーゼル孔122の中心線に等しい。シャフト孔Hsの中心線h1は、シャフト106の中心線に等しい。傾斜角度θ1に起因して、ロフト角、ライ角及びフェース角が調整されうる。
【0071】
スリーブ108は、係合凸部P1を有する。係合凸部P1は、スリーブ108の外周面に設けられている。係合凸部P1は、円周面135に設けられている。係合凸部P1は、下部134に設けられている。係合凸部P1は、下部134の上端に設けられている。係合凸部P1の上端は、段差面138に位置している。
【0072】
スリーブ108には、複数の係合凸部P1が設けられている。
図18がよく示すように、複数の係合凸部P1が、周方向において等間隔で配置されている。係合凸部P1は、周方向における所定角度おきに配置されている。本実施形態では、4つの係合凸部P1が設けられている。係合凸部P1は、周方向の90°おきに配置されている。複数(4つ)の係合凸部P1の形状は、同一である。複数の係合凹部R1の間では、周方向位置のみが相違している。
【0073】
図21が示すように、係合凹部R1は、係合部材120の上端面120cから下方に向かって形成されている。係合部材120において、係合凹部R1は切欠きとして形成されている。この係合部材120がホーゼル孔122の内部に固定されている。この結果、ホーゼル孔122の内部(内面)に係合凹部R1が形成される。
【0074】
係合部材120では、複数の係合凹部R1が設けられている。
図22がよく示すように、複数の係合凹部R1が、周方向において等間隔で配置されている。係合凹部R1は、周方向における所定角度おきに配置されている。本実施形態では、4つの係合凹部R1が設けられている。係合凹部R1は、周方向の90°おきに配置されている。複数(4つ)の係合凹部R1の形状は、同一である。複数の係合凹部R1の間では、周方向位置のみが相違している。
【0075】
図14が示すように、係合部材120は、ホーゼル孔122(の下部)に固定されている。係合部材120は、ホーゼル端面140よりも下側に位置する。係合部材120は、ホーゼル孔122の円周面122aよりも下側に位置する。係合部材120の固定は、接着、溶接等により達成されうる。
【0076】
結合状態では、スリーブ108の下部134が、係合部材120に挿入される(
図14)。係合部材120の内面120bは、スリーブ108の円周面135に接触する。係合部材120は、下部134を保持する。
【0077】
更に、結合状態では、スリーブ108の係合凸部P1が、係合部材120の係合凹部R1に係合している。係合凸部P1のそれぞれが、係合凹部R1のそれぞれに係合している。この係合により、ヘッド104に対するスリーブ108の回転が規制されている。
【0078】
図14が示すように、中間部材114は、係合部材120とフランジ126との間に位置している。係合部材120とフランジ126との間の軸方向距離は、中間部材114の軸方向長さよりも大きい。中間部材114は、ホーゼル孔122に固定されていない。中間部材114は、係合部材120とフランジ126との間を移動しうる。
【0079】
図14に示される結合状態では、ネジ110の締結による軸力は、ワッシャー116及び中間部材114を介して、係合部材120に伝達される。係合部材120は、上向きの軸力を受け止める。
【0080】
中間部材114は、分離状態におけるネジ110の脱落を防止する。
図14に示される結合状態では、ネジ110が締結されている。このネジ110を緩めていくと、ネジ110がスリーブ108に対して下方に移動する。更に緩めていくと、ネジ110の雄ネジ部110aが、中間部材114に到達する。上述の通り、この中間部材114の内面は雌ねじであり、この雌ねじは雄ネジ部110aに適合している。ネジ110を緩めていくと、雄ネジ部110aは中間部材114にネジ結合する。雄ネジ部110aがネジ孔Htから離脱するとき、雄ネジ部110aは中間部材114にネジ結合している。雄ネジ部110aをネジ孔Htから離脱させ、スリーブ付きシャフト112をヘッド104から取り外したとしても、中間部材114にネジ結合したネジ110は、ヘッド104から離脱しない。ネジ110がヘッド104に保持されるため、再結合の作業を円滑に行うことができる。また、ネジ110の紛失が防止される。
【0081】
[係合凸部P1及び係合凹部R1の詳細]
以上で示された第1及び第2実施形態において、ヘッドに対するスリーブの抜け(軸方向移動)の規制は、スリーブとネジとの結合により達成されている。また、ヘッドに対するスリーブの回転規制は、係合凸部P1と係合凹部R1との係合により達成されている。
【0082】
以下、これらの実施形態における係合凸部P1及び係合凹部R1について、詳細に説明する。
【0083】
[第1実施形態の係合凸部P1]
図8が示すように、第1実施形態において、係合凸部P1は、第1サイド面P11と、第2サイド面P12と、アウター面P13とを有する。更に、係合凸部P1は、下エッジP14を有する。
【0084】
第1サイド面P11は、係合凸部P1の一方側の側面である。第2サイド面P12は、係合凸部P1の他方側の側面である。
【0085】
打撃時には、スリーブ8とホーゼル孔22との間に、回転力(相対回転力)が作用する。打点はシャフト軸線から外れた位置にある。よって、この打点においてボールからフェースが受ける力は、シャフト軸線回りの回転モーメントを生じさせる。この回転モーメントが、上記回転力を生じさせる。
【0086】
この回転力は、係合凸部P1と係合凹部R1との間に作用する。係合凸部P1にある2つの側面のうち、この回転力が作用するのは、第1サイド面P11である。第1サイド面P11は、第2サイド面P12に比較して、回転規制に対する寄与が大きい。
【0087】
このように、第1サイド面P11は、打撃による回転力を受ける側に位置する側面である。第2サイド面P12は、第1サイド面P11の反対側に位置する側面である。特定の係合凸部P1において、第1サイド面P11は、ヘッドの回転方向とは反対側に位置する側面である(
図11参照)。
【0088】
ヘッド4は、右利き用である。このため、ヘッド4を上側(グリップ側)から見るとき、ヘッド4はスリーブ8に対して時計回りの方向に回転する。この結果、スリーブ8を上側から見るとき(
図11参照)、特定の係合凸部P1において、第1サイド面P11は、第2サイド面P12に対して、反時計回り側に位置する。なお、
図9は、スリーブ8を下側から見ている。このため、第1サイド面P11は、第2サイド面P12に対して、時計回り側に位置している。
【0089】
図8において2点鎖線で示されるのは、第1サイド面P11の延在方向である。
図8が示すように、第1サイド面P11は、軸方向に沿って延びている。第1サイド面P11は、軸方向に対して平行である。ただし、第1サイド面P11は、スリーブ8の先端に近づくにつれて第2サイド面P12に近づいている。これは、第2サイド面P12が軸方向に対して傾斜していることに起因する。
【0090】
図8が示すように、第2サイド面P12は、スリーブ8の先端に近づくにつれて係合凸部P1の中央側に近づくように傾斜している。第2サイド面P12は、スリーブ8の先端に近づくにつれて第1サイド面P11に近づくように傾斜している。
【0091】
ここで、説明の容易性の観点から、傾斜の方向(プラス方向及びマイナス方向)が定義される。第1サイド面P11及び第1対向面R11において、前記回転力に起因する抗力が係合解除方向に作用する傾斜が、プラス方向の傾斜と定義される。このプラス方向の傾斜とは逆方向の傾斜が、マイナス方向の傾斜と定義される。第1サイド面P11及び第1対向面R11において、前記回転力に起因する抗力が係合方向に作用するような傾斜が、マイナス方向の傾斜である。
【0092】
なお、本願において、「係合解除方向」とは、係合凸部P1を係合凹部R1から抜き出す方向を意味し、「係合方向」とは、係合凸部P1を係合凹部R1に挿入する(係合させる)方向を意味する。
【0093】
本実施形態のような右利き用のゴルフクラブの場合、上側(グリップ側)から見て、スリーブ8の先端に近づくほど時計回りに向かうような傾斜が、プラス方向の傾斜である。また、上側から見て、スリーブ8の先端に近づくほど反時計回りに向かうような傾斜が、マイナス方向の傾斜である。左利き用のゴルフクラブの場合、上側から見て、スリーブ8の先端に近づくほど反時計回りに向かうような傾斜が、プラス方向の傾斜である。また、上側から見て、スリーブ8の先端に近づくほど時計回りに向かうような傾斜が、マイナス方向の傾斜である。
【0094】
図8が示すように、スリーブ8の第1サイド面P11は、プラス方向に傾斜しておらず、マイナス方向にも傾斜していない。スリーブ8の第2サイド面P12は、マイナス方向に傾斜している。
【0095】
第1サイド面P11と第2サイド面P12との間隔は、スリーブ8の先端に近づくにつれて小さくなっている。この構成により、係合凸部P1には、テーパー凸部TP1が形成されている。
【0096】
図8及び
図9が示すように、アウター面P13は、第1サイド面P11と第2サイド面P12との間に延びている。
図9が示すように、アウター面P13は、円周面である。
図8が示すように、アウター面P13は、スリーブ8の先端に近づくほど径方向内側に向かうように傾斜するアウター斜面K13を有する。本実施形態では、アウター面P13の全体が、アウター斜面K13である。アウター面P13は、円錐凸面である。下エッジP14において、係合凸部P1の高さはゼロである。
【0097】
[第1実施形態の係合凹部R1]
第1実施形態において、係合凹部R1は、第1対向面R11と、第2対向面R12と、インナー面R13とを有する。更に、係合凹部R1は、下エッジR14を有する(
図4、
図5及び
図6参照)。
【0098】
第1対向面R11は、係合凹部R1の一方側の側面である。第2対向面R12は、係合凹部R1の他方側の側面である。
【0099】
結合状態において、第1対向面R11は、第1サイド面P11に対向する面である。第1対向面R11は、第1サイド面P11に接触している。この接触は、面接触であってもよいし、線接触であってもよいし、点接触であってもよい。
【0100】
結合状態において、第2対向面R12は、第2サイド面P12に対向する面である。第2対向面R12は、第2サイド面P12に接触している。この接触は、面接触であってもよいし、線接触であってもよいし、点接触であってもよい。
【0101】
前述した回転力は、第1対向面R11から第1サイド面P11に伝達される。第1サイド面P11は、この回転力を受ける。第1サイド面P11と第1対向面R11との間で、この回転力が相殺されている。第1対向面R11と第1サイド面P11との係合により、スリーブ8の回転が阻止されている。
【0102】
このように、2つのサイド面P11,P12のうち、第1サイド面P11は、打撃による回転力を受ける側に位置する。第1対向面R11は、この第1サイド面P11に対向している。
【0103】
ヘッド4は、右利き用である。このため、ヘッド4を上側(グリップ側)から見るとき、ヘッド4はスリーブ8に対して時計回りの方向に回転する。この結果、ホーゼル孔22を上側から見るとき(
図5参照)、特定の係合凹部R1において、第1対向面R11は、第2対向面R12に対して、反時計回り側に位置する。
【0104】
図6において2点鎖線で示されているのは、第1対向面R11の延在方向である。
図6が示すように、第1対向面R11は、軸方向に沿って延びている。第1対向面R11は、軸方向に対して平行である。ただし、第1対向面R11は、スリーブ8の先端に近づくにつれて第2対向面R12に近づいている。
【0105】
図6が示すように、第2対向面R12は、スリーブ8の先端に近づくにつれて係合凹部R1の中央側に近づくように傾斜している。第2対向面R12は、スリーブ8の先端に近づくにつれて第1対向面R11に近づくように傾斜している。スリーブ8の第1対向面R11は、プラス方向にもマイナス方向にも傾斜していない。スリーブ8の第2対向面R12は、マイナス方向に傾斜している。
【0106】
第1対向面R11と第2対向面R12との間隔は、スリーブ8の先端に近づくにつれて小さくなっている。換言すれば、第1対向面R11と第2対向面R12との間隔は、下側にいくほど小さくなっている。この構成により、係合凹部R1には、テーパー凹部TR1が形成されている。
【0107】
結合状態において、インナー面R13は、アウター面P13に対向する面である(
図3参照)。インナー面R13は、アウター面P13に接触している。この接触は、面接触であってもよいし、線接触であってもよいし、点接触であってもよい。
図3の実施形態では、インナー面R13とアウター面P13との接触は、面接触である。
【0108】
図4、
図5及び
図6が示すように、インナー面R13は、第1対向面R11と第2対向面R12との間に延びている。
図5が示すように、インナー面R13は、円周面である。
図3が示すように、インナー面R13は、スリーブ8の先端に近づくほど径方向内側に向かうように傾斜するインナー斜面J13を有する。インナー斜面J13は、下側にいくほど径方向内側に向かうように傾斜している。本実施形態では、インナー面R13の全体が、インナー斜面J13である。インナー面R13は、円錐凹面である。下エッジR14において、係合凹部R1の深さはゼロである。
【0109】
[第2実施形態の係合凸部P1]
第2実施形態では、係合凸部P1及び係合凹部R1の位置が、第1実施形態のそれと相違するが、係合凹部R1及び係合凸部P1の形状及び機能は、第1実施形態と同様である。
【0110】
図17が示すように、第2実施形態において、係合凸部P1は、第1サイド面P11と、第2サイド面P12と、アウター面P13とを有する。更に、係合凸部P1は、下エッジP14を有する。
【0111】
第1サイド面P11は、係合凸部P1の一方側の側面である。第2サイド面P12は、係合凸部P1の他方側の側面である。
【0112】
第1サイド面P11は、打撃による回転力を受ける側に位置する側面である。第2サイド面P12は、第1サイド面P11の反対側に位置する側面である。
【0113】
図16及び
図17が示すように、第1サイド面P11は、軸方向に沿って延びている。第1サイド面P11は、軸方向に対して平行である。ただし、第1サイド面P11は、スリーブ108の先端に近づくにつれて第2サイド面P12に近づいている。
【0114】
第2サイド面P12は、スリーブ8の先端に近づくにつれて係合凸部P1の中央側に近づくように傾斜している。第2サイド面P12は、スリーブ108の先端に近づくにつれて第1サイド面P11に近づくように傾斜している。
【0115】
スリーブ108の第1サイド面P11は、プラス方向に傾斜しておらず、マイナス方向にも傾斜していない。スリーブ108の第2サイド面P12は、マイナス方向に傾斜している。
【0116】
第1サイド面P11と第2サイド面P12との間隔は、スリーブ8の先端に近づくにつれて小さくなっている。この構成により、係合凸部P1には、テーパー凸部TP1が形成されている。本実施形態では、係合凸部P1の全体が、テーパー凸部TP1である。
【0117】
アウター面P13は、第1サイド面P11と第2サイド面P12との間に延びている。
図18が示すように、アウター面P13は、円周面である。
図19が示すように、アウター面P13は、スリーブ8の先端に近づくほど径方向内側に向かうように傾斜するアウター斜面K13を有する。本実施形態では、アウター面P13の全体が、アウター斜面K13である。アウター面P13は、円錐凸面である。下エッジP14において、係合凸部P1の高さはゼロではない。
【0118】
[第2実施形態の係合凹部R1]
第2実施形態では、係合凹部R1は、ヘット本体とは別に成形された部材(係合部材120)に凹部を形成し、この部材をヘット本体に固定することによって形成されている。この係合凹部R1は、ホーゼル孔の内部に形成されている。この係合凹部R1は、ホーゼル端面よりも下側に形成されている。
【0119】
図21及び
図22が示すように、第2実施形態において、係合凹部R1は、第1対向面R11と、第2対向面R12とを有する。更に、係合凹部R1は、下エッジ(底面)R14を有する。
【0120】
第1対向面R11は、係合凹部R1の一方側の側面である。第2対向面R12は、係合凹部R1の他方側の側面である。
【0121】
結合状態において、第1対向面R11は、第1サイド面P11に対向する面である。第1対向面R11は、第1サイド面P11に接触している。この接触は、面接触であってもよいし、線接触であってもよいし、点接触であってもよい。
【0122】
結合状態において、第2対向面R12は、第2サイド面P12に対向する面である。第2対向面R12は、第2サイド面P12に接触している。この接触は、面接触であってもよいし、線接触であってもよいし、点接触であってもよい。
【0123】
前述した回転力は、第1対向面R11から第1サイド面P11に伝達される。第1サイド面P11は、この回転力を受ける。第1サイド面P11と第1対向面R11との間で、この回転力が相殺されている。第1対向面R11と第1サイド面P11との係合により、スリーブ108の回転が阻止されている。
【0124】
図21が示すように、第1対向面R11は、軸方向に沿って延びている。第1対向面R11は、軸方向に対して平行である。ただし、第1対向面R11は、スリーブ8の先端に近づくにつれて第2対向面R12に近づいている。
【0125】
図21が示すように、第2対向面R12は、スリーブ108の先端に近づくにつれて係合凹部R1の中央側に近づくように傾斜している。第2対向面R12は、スリーブ108の先端に近づくにつれて第1対向面R11に近づくように傾斜している。
【0126】
スリーブ108の第1対向面R11は、プラス方向に傾斜しておらず、マイナス方向にも傾斜していない。また、スリーブ108の第2対向面R12は、マイナス方向に傾斜している。
【0127】
第1対向面R11と第2対向面R12との間隔は、スリーブ8の先端に近づくにつれて小さくなっている。この構成により、係合凹部R1には、テーパー凹部TR1が形成されている。下エッジR14において、係合凹部R1は径方向に幅を有する底面を含む。
【0128】
第2実施形態では、インナー面R13が設けられていない。ただし、
図21のように、切り欠き状の係合凹部R1を有する係合部材120が用いられた場合であっても、インナー面R13を形成することは可能である。例えば、係合部材120が固定される位置におけるホーゼル孔122の内面であって、第1対向面R11と第2対向面R12との間に位置する面を、インナー面R13として用いることができる。
【0129】
図23は、変形例のスリーブ208の側面図である。第1サイド面P11の角度を除き、スリーブ208は、前述したスリーブ8と同じである。
図24は、このスリーブ208に適合したヘッド本体218の断面図である。第1対向面R11の角度を除き、ヘッド本体218は、前述したヘッド本体18と同じである。
【0130】
図23では、軸方向が2点鎖線で示されている。スリーブ208では、第1サイド面P11が、軸方向に対して傾斜している。第1サイド面P11は、スリーブ208の先端に近づくにつれて係合凹部R1の中央側に近づくように傾斜している。第1サイド面P11は、スリーブ208の先端に近づくにつれて第2サイド面P12に近づくように傾斜している。第1サイド面P11は、プラス方向に傾斜している。
【0131】
このように、第1サイド面P11は傾斜していてもよい。この傾斜した第1サイド面P11に、軸方向に平行な第1対向面R11が組み合わされた場合でも、効果がある。この効果については、後述される。
【0132】
図24では、軸方向が2点鎖線で示されている。ヘッド本体218では、第1対向面R11が、軸方向に対して傾斜している。第1対向面R11は、スリーブ208の先端に近づくにつれて係合凹部R1の中央側に近づくように傾斜している。第1対向面R11は、スリーブ208の先端に近づくにつれて第2対向面R12に近づくように傾斜している。第1対向面R11は、プラス方向に傾斜している。
【0133】
このように、第1対向面R11は傾斜していてもよい。この傾斜した第1対向面R11に、軸方向に平行な第1サイド面P11が組み合わされた場合でも、効果がある。この効果については、後述される。
【0134】
[係合凸部P1及び係合凹部R1の効果]
上述した各実施形態に記載された係合凸部P1及び係合凹部R1は、次のような効果を奏しうる。
【0135】
係合凹部R1と係合凸部P1との係合により、ホーゼル孔に対するスリーブの回転が規制される。
【0136】
係合凸部P1が、テーパー凸部TP1を有している。よって、係合凸部P1が係合凹部R1に入り込みやすい。この結果、ヘッドへのスリーブ(シャフト)の着脱が容易となり、且つ、結合状態が確実に達成されうる。
【0137】
係合凹部R1が、テーパー凹部TR1を有している。よって、係合凹部R1が係合凸部P1を受け入れやすい。この結果、ヘッドへのスリーブ(シャフト)の着脱が容易となり、且つ、結合状態が確実に達成されうる。
【0138】
[回転方向固定効果1]
テーパー凸部TP1を係合凹部R1に挿入することで、第1サイド面P11と第1対向面R11との間の微細な隙間(回転方向隙間ともいう)を解消することが可能となる。よって、スリーブとホーゼル孔との間のごく僅かな相対回転が防止される。本願において、この効果が、回転方向固定効果とも称される。
【0139】
[回転方向固定効果2]
係合凸部P1をテーパー凹部TR1に挿入することで、回転方向隙間を解消することが可能となる。よって、スリーブとホーゼル孔との間のごく僅かな相対回転が防止される。
【0140】
[回転方向固定効果3]
テーパー凸部TP1をテーパー凹部TR1に挿入することで、上記回転方向固定効果1と回転方向固定効果2との相乗効果が生じる。このため、回転方向隙間がより確実に解消される。
【0141】
[径方向固定効果1]
上述の通り、係合凸部P1のアウター面P13にアウター斜面K13が形成されている。アウター斜面K13を有する係合凸部P1を係合凹部R1に挿入することで、アウター面P13とインナー面R13との間の微細な隙間(径方向隙間ともいう)を解消することが可能となる。よって、スリーブとホーゼル孔との間の径方向における微小なガタが防止される。本願において、この効果が、径方向固定効果とも称される。
【0142】
[径方向固定効果2]
上述の通り、係合凹部R1のインナー面R13にインナー斜面J13が形成されている。このインナー斜面J13を有する係合凹部R1に係合凸部P1を挿入することで、径方向隙間を解消することが可能となる。よって、スリーブとホーゼル孔との間の径方向における僅かなガタが防止される。
【0143】
[径方向固定効果3]
アウター斜面K13を有する係合凸部P1を、インナー斜面J13を有する係合凹部R1に挿入することで、上記径方向固定効果1と上記径方向固定効果2との相乗効果が生じる。この相乗効果により、径方向隙間がより確実に解消される。
【0144】
図25は、変形例に係る係合凸部P1及び係合凹部R1を示す模式図である。
【0145】
図25において両矢印WP1で示されるのは、テーパー凸部TP1の最大幅である。
図25において両矢印WR1で示されるのは、係合凹部R1の開口幅である。この開口幅WR1は、係合凸部P1と係合しうる部分における係合凹部R1の最大幅である。この開口幅WR1は、係合凸部P1と係合しうる部分における係合凹部R1の上端の幅である。
【0146】
回転方向固定効果の観点から、最大幅WP1は、開口幅WR1以上であるのが好ましく、開口幅WR1よりも大きいのが好ましい。この構成により、係合凸部P1の係合凹部R1へのはまり込みが確実となり、回転方向隙間がより確実に解消される。
【0147】
回転方向固定効果の観点から、差[WP1−WR1]は、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。差[WP1−WR1]が過大である場合、ホーゼル端面とスリーブの段差面との間の隙間が大きくなり、外観性が低下しうる。この観点から、差[WP1−WR1]は、4.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましい。
【0148】
図25において両矢印DP1で示されているのは、係合凸部P1の挿入可能長さである。この長さDP1は、係合凹部R1に最も深く挿入された状態における係合凸部P1の挿入長さである。
図25において両矢印DR1で示されているのは、係合凹部R1の軸方向深さである。
【0149】
回転方向固定効果の観点からは、深さDR1は、長さDP1よりも大きいのが好ましい。この構成により、下エッジP14と下エッジR14との当接に起因する、第1サイド面P11と第1対向面R11との間の接触圧の低下が抑制される。このため、係合凸部P1の係合凹部R1へのはまり込みが確実となり、回転方向隙間がより確実に解消される。
【0150】
回転方向隙間を解消する観点から、次の構成(a)が好ましい。
(a)結合状態において、係合凸部P1の下エッジP14と係合凹部R1の下エッジR14との間に隙間が存在する。
この構成(a)により、係合凸部P1の係合凹部R1へのはまり込みが確実となり、回転方向固定効果がより確実に解消される。
【0151】
回転方向隙間及び径方向隙間を解消する観点から、次の構成(b)又は構成(c)が採用されてもよい。
(b)結合状態において、係合凸部P1と係合凹部R1との間の接触は、第1サイド面P11と第1対向面R11との接触、第2サイド面P12と第2対向面R12との接触、及び、アウター面P13とインナー面R13との接触に限られている。
(c)結合状態において、係合凸部P1と係合凹部R1との間の接触は、テーパー凸部TP1とテーパー凹部TR1との接触、及び、アウター斜面K13とインナー斜面J13との接触に限られている。
【0152】
回転方向隙間を解消する観点から、次の構成(d)が好ましい。
(d)結合状態において、ネジの軸力に起因して、第1サイド面P11と第1対向面R11との間に接触圧が生じている。
【0153】
径方向隙間を解消する観点から、次の構成(e)が好ましい。
(e)結合状態において、ネジの軸力に起因して、アウター斜面K13とインナー斜面J13との間に接触圧が生じている。
【0154】
本発明者は、スリーブを用いた従来のクラブでは、打球時の違和感が生じることを見出した。この違和感は、スリーブとホーゼル孔との間でねじれが生じているような感覚(ねじれ感)である。そして、この違和感が、微小な回転方向隙間、及び、微小な径方向隙間に起因することを見出した。上述した実施形態により、この打球時の違和感が解消されうる。
【0155】
[軸方向ズレ]
更に、本発明者は、回転方向隙間及び径方向隙間の他にも、上記違和感を生じさせる要因が存在することを見出した。
【0156】
第1サイド面P11がプラス方向の角度を有する斜面である場合、この斜面からの抗力は、係合解除方向に作用する。このため、係合凸部P1は、係合凹部R1に対して、軸方向上向きに移動しうる。この移動が、軸方向ズレとも称される。この軸方向ズレは、係合凹部R1と係合凸部P1との係合を不確実とする。
【0157】
この軸方向ズレを防止する観点から、次の構成(f)、(g)又は(h)が好ましい。
【0158】
(f)第1サイド面P11が軸方向に沿って延びている(
図8参照)。
(g)第1対向面R11が軸方向に沿って延びている(
図6参照)。
(h)第1サイド面P11が軸方向に沿って延びており、且つ、この第1サイド面P11に当接する第1対向面R11が軸方向に沿って延びている(
図25参照)。
【0159】
軸方向に沿って延びる面は、係合解除方向に作用する力を生じさせない。このため、軸方向ズレが防止されうる。
【0160】
上記構成(h)は効果的である。構成(h)の場合、互いに軸方向に沿って延びる第1サイド面P11及び第1対向面R11が面接触しうる。また、軸方向に沿って延びる面は、回転方向に対して垂直な面であるため、回転方向の力を確実に受け止めることができる。また、係合解除方向に作用する力が生じないため、軸方向ズレが防止される。
【0161】
上記構成(f)又は(g)でも充分な効果が生じうる。例えば、上記構成(f)において、当該第1サイド面P11に当接する第1対向面R11がプラス方向に傾斜している場合を考える。この場合、第1対向面R11が係合解除方向の力を生じうる。しかしこの場合、第1サイド面P11と第1対向面R11との接触が面接触とはならず、点接触又は線接触となる。このため、接触圧が増大し、摩擦力が増大する。この結果、第1サイド面P11と第1対向面R11との間のスライドが抑制され、上記軸方向ズレが抑制される。
【0162】
このように、軸方向ズレを防止する観点からは、次の構成(i)が好ましい。
(i)結合状態において、第1サイド面P11と第1対向面R11との接触が、点接触又は線接触である。
【0163】
上記(i)を達成する観点からは、次の構成(j)が採用されてもよい。
(j)結合状態において、第1サイド面P11と第1対向面R11とが平行ではない。
【0164】
軸方向ズレを防止する観点からは、次の構成(k)又は(m)も好ましい。
(k)第1サイド面P11がマイナス方向に傾斜している。
(m)第1対向面R11がマイナス方向に傾斜している。
【0165】
マイナス方向への傾斜により、少なくとも、上記回転力が係合解除方向に作用することがない。また、マイナス方向に傾斜する面と軸方向に沿った面とが当接すると、接触の形態は、点接触又は面接触となる。よって、軸方向ズレが防止される。
【0166】
図26(a)、
図26(b)、
図27(a)及び
図27(b)は、変形例に係る係合凸部P1及び係合凹部R1を示す模式図である。
【0167】
図26(a)の実施形態では、第1サイド面P11が軸方向に沿って延びている。第1対向面R11も、軸方向に沿って延びている。第2サイド面P12はマイナス方向に傾斜している。第2対向面R12はマイナス方向に傾斜している。上述の第1実施形態及び第2実施形態は、この
図26(a)の形態である。
【0168】
第1サイド面P11及び第1対向面R11が軸方向に沿って延びているので、回転力が作用しても軸方向ズレは生じない。また、軸方向に沿った面同士の当接により、この軸方向に対して垂直に作用する回転力を確実に受け止めることができる。よって、回転方向固定効果が高まる。
【0169】
図26(b)の実施形態では、第1サイド面P11が軸方向に沿って延びている。第1対向面R11は、マイナス方向に傾斜している。第2サイド面P12はマイナス方向に傾斜している。第2対向面R12はマイナス方向に傾斜している。
【0170】
第1サイド面P11と第1対向面R11とは、平行ではない。結合状態において、第1サイド面P11と第1対向面R11との接触は、点接触又は線接触である。この実施形態では、軸方向ズレが防止される。
【0171】
図27(a)の実施形態では、第1対向面R11が軸方向に沿って延びている。第1サイド面P11は、プラス方向に傾斜している。第2サイド面P12はマイナス方向に傾斜している。第2対向面R12はマイナス方向に傾斜している。
【0172】
第1サイド面P11と第1対向面R11とは、平行ではない。結合状態において、第1サイド面P11と第1対向面R11との接触は、点接触又は線接触である。この実施形態では、軸方向ズレが防止される。第1サイド面P11がプラス方向に傾斜しているが、接触圧の増大に起因して摩擦力が大きい。このため、第1サイド面P11と第1対向面R11との間のスライドが生じにくい。この実施形態では、軸方向ズレが防止される。
【0173】
図27(b)の実施形態では、第1サイド面P11が軸方向に沿って延びている。第1対向面R11は、プラス方向に傾斜している。第2サイド面P12はマイナス方向に傾斜している。第2対向面R12はマイナス方向に傾斜している。結合状態において、第1サイド面P11と第1対向面R11との接触は、点接触又は線接触である。この実施形態では、軸方向ズレが防止される。
【0174】
この実施形態では、第1対向面R11はプラス方向に傾斜している。しかし、点接触又は線接触に起因して、接触圧が増大し、摩擦力が大きい。このため、第1サイド面P11と第1対向面R11との間のスライドが生じにくい。この実施形態では、軸方向ズレが防止される。
【0175】
係合凸部P1の数は、1個でもよいし、2個以上であってもよい。1個であっても、回転方向固定効果等の上記効果は奏される。複数の係合凸部P1が設けられる場合、これらの係合凸部P1は、周方向に均等に配置されるのが好ましい。係合凹部R1の数は、係合凸部P1の数と同じであるのが好ましい。
【0176】
係合凸部P1の材質として、金属及び樹脂が例示される。この金属として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金及びマグネシウム合金が例示される。強度及び軽量性の観点から、アルミニウム合金及びチタン合金が好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。係合凸部P1を有するスリーブは、鍛造、鋳造、プレス、NC加工及びこれらの組み合わせによって製造できる。
【0177】
係合凹部R1が形成されている部分の材質として、金属及び樹脂が例示される。この金属として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金及びマグネシウム合金が例示される。強度及び軽量性の観点から、アルミニウム合金及びチタン合金が好ましい。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。係合凸部P1を有するヘッドは、鍛造、鋳造、プレス、NC加工及びこれらの組み合わせによって製造できる。また、上述した第2実施形態のように、ヘッド本体とは別部材である係合部材120を用いることで、係合凹部R1の加工が容易となる。
【0178】
上述の開示が示すように、本実施形態の優位性は明らかである。