(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも、光電変換部と、前記光電変換部の受光面の上方に設けられたカラーフィルターと、マイクロレンズとを有し、必要に応じさらに前記光電変換部の受光面と前記カラーフィルターの間に設けられた導波路、および/または、前記カラーフィルターの上面を平坦化する平坦化層を有する固体撮像素子の製造方法であって、
前記マイクロレンズの形成工程として、
請求項1または2に記載の高分子化合物を含む膜を前記カラーフィルターまたは必要に応じ設けられる前記平坦化層の上に形成する工程と、
前記膜を加熱する工程を含む、固体撮像素子の製造方法。
少なくとも、光電変換部と、前記光電変換部の受光面の上方に設けられたカラーフィルターと、マイクロレンズとを有し、前記カラーフィルターがホワイトピクセルを有し、必要に応じさらに前記光電変換部の受光面と前記カラーフィルターの間に設けられた導波路、および/または、前記カラーフィルターの上面を平坦化する平坦化層を有する固体撮像素子の製造方法であって、
前記ホワイトピクセルの形成工程として、
請求項1または2に記載の高分子化合物を含む膜を前記光電変換部または必要に応じ設けられる前記導波路の上にパターン形成する工程と、
前記膜を加熱する工程を含む、固体撮像素子の製造方法。
少なくとも、光電変換部と、前記光電変換部の受光面の上方に設けられた導波路と、カラーフィルターと、マイクロレンズとを有し、必要に応じさらに前記カラーフィルターの上面を平坦化する平坦化層を有する固体撮像素子の製造方法であって、
前記導波路の形成工程として、
請求項1または2に記載の高分子化合物を含む膜を前記光電変換部の上に形成する工程と、
前記膜を加熱する工程を含む、固体撮像素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の高分子化合物は、少なくとも(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物と(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物を重縮合させてなる。
【0011】
【化2】
一般式(1)中、R
1は水素原子または炭素数1〜6の有機基を示す。
【0012】
<(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物>
本発明の高分子化合物を製造するための化合物の一つである(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物において、多環芳香族基とは、例えばナフチル基、フルオレン基、フェナントレン基、アントラセン基、ピレン基、アセナフテン基、アセナフチレン基、フルオランテン基、クリセン基などが挙げられる。高分子化合物の透明性の観点からナフチル基、フルオレン基が好ましく、高屈折率の観点からナフチル基が特に好ましい。上記ナフチル基を有する化合物としては、一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0013】
【化3】
一般式(2)中、n
1及びn
2、k
1及びk
2はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。mは0〜1の整数を示す。n
1及びn
2、k
1及びk
2は、ナフチル基に結合する置換基OR
2またはR
3の個数を意味している。mは、基Xの連続する個数を意味している。Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。R
2は水素原子または炭素数1〜6の有機基である。R
3は水素原子または炭素数1〜6の有機基である。R
2およびR
3はそれぞれ同じあっても異なっていても良い。
【0014】
一般式(2)で表される化合物において、Xの選択肢としての酸素原子、硫黄原子およびメチレン基の組み合わせは、例えば、−(CH
2)
j−、−O−(CH
2)
j−、−S−(CH
2)
j−、−(CH
2)
j−O−(CH
2)
l−、−(CH
2)
j−S−(CH
2)
l−で表される基等が挙げられる。ここで、jおよびlはそれぞれ1以上の整数であり、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1〜2の整数である。これらの中でも、Xは酸素原子、硫黄原子またはメチレン基であることが好ましい。
【0015】
一般式(2)で表される化合物としては、n
1及びn
2、k
1及びk
2が1であり、mが0、R
2は水素原子または炭素数1または2の有機基で表される官能基、R
3は水素原子または炭素数1または2の有機基で表される官能基である化合物が好ましい。
【0016】
また、(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物としては、k
1及びk
2が0である、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【化4】
一般式(5)中、n
1及びn
2はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。mは0〜1の整数を示す。Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。R
2は水素原子または炭素数1〜6の有機基である。R
3は水素原子または炭素数1〜6の有機基である。R
2およびR
3はそれぞれ同じあっても異なっていても良い。
【0017】
一般式(5)で表される化合物としてより好ましいものは、n
1及びn
2が1であり、mが0であるものである。特に好ましくは、1,1’−ビ(2−ヒドロキシ)ナフチル構造体である。本構造体を使用することで、膜の構成成分中の芳香族密度が向上し、より高い屈折率を持つ膜を形成することができる。
【0018】
高分子化合物中の構成成分に対して、重合に用いられる(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物の仕込み比は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物の仕込み比率が50質量%以上であると、膜の屈折率をより向上させることができるため好ましい。
【0019】
また、(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物の仕込み比率は、高分子化合物中の構成成分に対して、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。90質量%以下であると、膜中の架橋密度を向上させることができ、膜の強度がより向上する。
【0020】
(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
重合に用いられる(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物は単一種でも複数種でもよく、本明細書に示したものを単一または組み合わせて、(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物として用いることができる。中でも、(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物は、一般式(5)で表される化合物であって、mが0である構造体を少なくとも含有することが高屈折率化の観点から好ましい。膜の構成成分中に、芳香族成分の含有量が多いほど、屈折率は向上する。
【0023】
<(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物>
本発明の高分子化合物を製造するための化合物の一つである(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物において、R
1としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等が挙げられるが、(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物との反応性の観点から、反応性の高い水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、反応性の制御の容易さの観点からメチル基、エチル基が特に好ましい。
【0024】
一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物として、トリアジン基、ピロール基、フラン基、チオフェン基、ピリジン基、イミダゾール基、ピラゾール基、チアゾール基などが挙げられる。透明性の観点から、トリアジン基、ピロール基、フラン基が好ましく、汎用性の観点から一般式(3)で表されるトリアジン基を有する化合物であることがさらに好ましい。
【0025】
【化6】
一般式(3)中、R
4は炭素数1〜12の有機基または下記一般式(4)で表される官能基である。R
5およびR
6は下記一般式(4)で表される官能基である。R
5およびR
6は同じでも異なっても良い。
【0026】
【化7】
一般式(4)中、X
1およびX
2は水素原子または一般式(1)で表される官能基である。但し、X
1およびX
2の少なくとも1つは、一般式(1)で表される官能基である。
【0027】
一般式(3)で表されるトリアジン基を有する化合物において、R
4は炭素数1〜12の有機基であることが好ましく、高屈折率化の観点から、例えば、フェニル基、トリル基、スチリル基、ナフチル基などの芳香族基であることが好ましい。特に好ましくは、フェニル基、ナフチル基である。膜の構成成分中に芳香族基の割合が増えれば、その分屈折率も向上する。
【0028】
また、一般式(3)で表されるトリアジン基を有する化合物において、R
4は一般式(4)で表される官能基であることも好ましい。一般式(4)で表される官能基中の窒素原子により、(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物と(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物との重縮合反応点を増加させるため、架橋密度が向上し、膜の硬度が向上する。
なお、以下の説明では一般式(1)で表される官能基をメチロール系官能基と呼ぶことがある。
【0029】
(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【化8】
【0030】
重合に用いられる(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物は単一種でも複数種でもよく、本明細書に示したものを単一または組み合わせて、(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物として用いることができる。
【0031】
<(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物と(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物を重縮合させてなる高分子化合物>
本発明の高分子化合物の代表的な製造方法については以下の方法が例示される。(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物および(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物に、溶媒を加えて撹拌して溶解させる。その後、適当な触媒を加え、さらに20分〜3時間撹拌することで目的の高分子化合物が得られる。
【0032】
このとき、(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物と(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物の重縮合は、以下のように進むと考えられる。(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物として1,1’−ビ−2−ナフトール、(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物としてMW−100LM(三和ケミカル(株)製)を例に挙げて以下に説明する。
【0034】
(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物中のメチロール系官能基が加水分解され、系中のプロトンと反応して脱水し、カルボカチオンが生成する。このカルボカチオンと(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物との反応により、(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物におけるヒドロキシ基の隣接部位と、一般式(1)で表される官能基における窒素原子との間にメチレン結合が生成する。この反応が順次起こることで重合が進行し、高分子化合物が得られる。
【0035】
1H、
13Cおよび
15N NMR分析、質量分析、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定等により、(A)水酸基またはアルコキシ基を有する多環芳香族基を2つ以上有する化合物および(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物に由来する成分を含む高分子化合物の存在を推認することが可能である。
【0036】
本発明の高分子化合物の重量平均分子量は、GPC測定によりポリスチレン換算値として得られる値である。高分子化合物の重量平均分子量は、下限としては10,000以上が好ましい。また上限としては100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。
【0037】
<膜>
本発明の高分子化合物を用いた膜の形成方法について、例を挙げて説明する。本発明の高分子化合物を適当な溶媒に溶解し、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング又はスリットコーティング等の公知の方法によって下地基板上に塗布しホットプレート又はオーブン等の加熱装置でプリベークし、膜を形成する。プリベークは、50〜150℃で30秒〜30分間行い、プリベーク後の膜厚は、0.1〜10μmとすることが好ましい。
【0038】
溶媒としては高分子化合物や他の添加物を均一に溶解するため、アルコール性化合物、エステル系化合物、ケトン系化合物又はエーテル系化合物が好ましい。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ダイアセトンアルコール、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、酢酸2−エトキシエチル、1−メトキシプロピル−2−アセテート、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート、1,3−ブチレングリコルジアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセト酢酸エチル、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン又はγ−ブチロラクトンが挙げられる。
【0039】
プリベーク後、この膜をホットプレート又はオーブン等の加熱装置を用いて、120〜280℃で3分〜1時間程度熱硬化することにより、膜が得られる。
【0040】
熱硬化により得られる膜の膜厚は特に制限はないが、用途に応じ0.1〜10μmの範囲で調製することが好ましい。
【0041】
上記した方法により得られた本発明に係る膜は、マイクロレンズ、導波路、ホワイトピクセル材料として好適な性能を付与する観点からは、633nmにおける屈折率が1.65〜1.85であることが好ましい。また、膜厚1.0μmとしたときの光の波長400nmにおける透過率が90%以上であることが好ましい。
【0042】
本発明に係る膜は、イメージセンサーなどの固体撮像素子として好適な性能を付与するため、可視光を十分に透過させる必要があり、その場合には光の波長400〜800nmの全領域での透過率が膜厚1μmあたり80%以上であることが好ましい。
【0043】
<膜に配合する他の成分>
膜を形成するための高分子化合物の溶液には、耐薬品性向上のため、熱架橋剤が含まれていても構わない。熱架橋剤は架橋反応温度が250℃よりも低いことが好ましい。250℃以下の低温で焼成した場合にも、十分な耐薬品性を有する膜を得ることができるからである。
【0044】
本発明で使用される熱架橋剤としては、−CH
2OR
7で表されるようなメチロール系官能基を有する化合物が好ましい。たとえば、メチロール系官能基を1つ有するものとしてML−26X、ML−24X、ML−236TMP、4−メチロール3M6C、ML−MC、ML−TBC(以上、商品名、本州化学工業(株)製)等、2つ有するものとしてDM−BI25X−F、46DMOC、46DMOIPP、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、DML−OC、ジメチロール−Bis−C、ジメチロール−BisOC−P、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MB25、DML−MTrisPC、DML−Bis25X−34XL、DML−Bis25X−PCHP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール等、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL、TriML−TrisCR−HAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)等、4つ有するものとしてTM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)等、6つ有するものとしてHML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)が挙げられる。ここで、メチロール系官能基中のR
7は、水素原子または炭素数1〜6の有機基であり、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0045】
これらのうち、本発明の高分子化合物に用いる熱架橋剤としては、−CH
2OR
7で表されるメチロール系官能基を2〜4つ含有するものが好ましく、特に好ましくは、2つ有するものとして46DMOC、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール等、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、4つ有するものとしてTM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)がある。また、さらに好ましくは上記−CH
2OR
5で表される基を有する化合物であるDML−PC、DML−PTBP、ニカラックMX−270、ニカラックMX−280(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)等が挙げられる。
【0046】
熱架橋剤は、未置換のものや多量化したものが混入すると、高分子化合物の架橋が十分に進まない場合がある。このため、本発明の熱架橋剤の純度は80%以上であることが好ましく、95%以上であるとより好ましい。純度が80%以上であれば、高分子化合物の架橋反応を十分に行い、吸水基である未反応基を少なくすることができるため、高分子化合物の吸水性を小さくすることができる。高純度の熱架橋剤を得るためには、再結晶、蒸留などを行い、目的物だけを集める方法があげられる。熱架橋剤の純度は液体クロマトグラフィー法により求めることができる。
【0047】
膜を形成するための高分子化合物の溶液には、膜の架橋率を向上させるため、熱架橋剤に加え、熱酸発生剤が含まれていても構わない。熱酸発生剤は熱分解開始温度が220℃よりも低いことが好ましい。250℃以下、特に220℃以下の低温で焼成した場合にも、酸を容易に発生させるため、得られる膜の架橋率が向上し、化合物の昇華を抑制させることができるからである。
【0048】
熱酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、2−メチルベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート又は2−メチルベンジル−4−アセトキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート(以上、三新化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0049】
膜を形成するための高分子化合物の溶液には、界面活性剤が含まれていても構わない。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、オルガノポリシロキサン系等のケイ素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウリレートもしくはポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤又はアクリル系若しくはメタクリル系の重合物からなる界面活性剤が挙げられる。市販品の界面活性剤としては、例えば、“メガファック”(登録商標)F142D、F172、F173、F183、F445、F470、F475若しくはF477(いずれも大日本インキ化学工業(株)製)又はNBX−15若しくはFTX−218(いずれも(株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤、BYK−352、BYK−333、BYK−301、BYK−331、BYK−345若しくはBYK−307(いずれもビックケミー・ジャパン(株)製)等のシリコーン系界面活性剤、ポリフロー50E、ポリフロー50EHF、ポリフロー54N、ポリフロー75、ポリフロー77、ポリフロー90、ポリフロー95、ポリフロー99C(いずれも共栄社化学製)等のアクリル系界面活性剤が挙げられる。
【0050】
膜を形成するための高分子化合物の溶液には、必要に応じて、安定剤または消泡剤等の添加剤が含まれていても構わない。
【0051】
膜を形成するための高分子化合物の溶液において、高分子化合物およびその他の成分を含めた全固形分濃度は、塗布方法等に応じて適宜決定すればよいが、1〜50質量%であることが好ましい。
【0052】
本発明の高分子化合物を有する膜は、ドライエッチングやアッシングなどのプロセスにおいて、エッチングレートが一定となり、それらのプロセス後に良好なラフネスを奏することができる。
【0053】
以上のような特性を有する本発明の高分子化合物を有する膜は、デジタルカメラやスマートフォンのカメラ等の光学デバイスにおいて、固体撮像素子に好適に用いることができる。固体撮像素子においては、例えばマイクロレンズ、ホワイトピクセル、導波路等に用いることができる。特に、高い屈折率、透過率を活かし、固体撮像素子用マイクロレンズとして好適に用いることができる。
【0054】
<固体撮像素子>
(実施形態1)
本発明の高分子化合物を有する膜を適用できる固体撮像素子の第一の実施形態は、少なくとも、光電変換部と、前記光電変換部の受光面の上方に設けられたカラーフィルターと、上述の高分子化合物を含むマイクロレンズとを有するものである。この実施形態では、固体撮像素子が、必要に応じさらに前記光電変換部の受光面と前記カラーフィルターの間に設けられた導波路、および/または、前記カラーフィルターの上面を平坦化する平坦化層を有していても構わない。
【0055】
本発明の高分子化合物を有する膜は、高屈折率、高透明性を有しているため、高分子化合物を含むマイクロレンズを備える本実施形態においては、集光効率を高め、撮像画像の感度を向上させることができる。
【0056】
本実施形態において、上述の高分子化合物は少なくともマイクロレンズに含まれていればよく、さらに必要に応じ設けられる導波路にも含まれていても構わない。また、カラーフィルターがホワイトピクセルを有しており、上述の高分子化合物がそのホワイトピクセルにも含まれていても構わない。
本実施形態の固体撮像素子を形成する工程は、前記マイクロレンズの形成工程として、上述の高分子化合物を含む膜を前記カラーフィルターまたは必要に応じ設けられる前記平坦化層の上に形成する工程と、前記膜を加熱する工程を含む。
【0057】
(実施形態2)
本発明の高分子化合物を有する膜を適用できる固体撮像素子の第二の実施形態は、少なくとも、光電変換部と、前記光電変換部の受光面の上方に設けられ、上述の高分子化合物を含むホワイトピクセルを有するカラーフィルターと、マイクロレンズとを有するものである。この実施形態では、固体撮像素子が、必要に応じさらに前記光電変換部の受光面と前記カラーフィルターの間に設けられた導波路、および/または、前記カラーフィルターの上面を平坦化する平坦化層を有していても構わない。
【0058】
本発明の高分子化合物を有する膜は、高屈折率、高透明性を有しているため、高分子化合物を含むホワイトピクセルを有するカラーフィルターを備える本実施形態においては、混色防止効果を高め、撮像画像の感度を向上させることができる。
【0059】
本実施形態において、上述の高分子化合物は少なくともホワイトピクセルに含まれていればよく、さらにマイクロレンズや、必要に応じ設けられる導波路にも含まれていても構わない。
【0060】
本実施形態の固体撮像素子を形成する工程は、前記ホワイトピクセルの形成工程として、上述の高分子化合物を含む膜を前記光電変換部または必要に応じ設けられる前記導波路の上にパターン形成する工程と、前記膜を加熱する工程を含む。
【0061】
(実施形態3)
本発明の高分子化合物を有する膜を適用できる固体撮像素子の第三の実施形態は、少なくとも、光電変換部と、前記光電変換部の受光面の上方に設けられ、上述の高分子化合物を含む導波路と、カラーフィルターと、マイクロレンズとを有するものである。
【0062】
本発明の高分子化合物を有する膜は、高屈折率、高透明性を有しているため、本実施形態においては、集光効率を高め、撮像画像の感度を向上させることができる。
本実施形態において、上述の高分子化合物は少なくとも導波路に含まれていればよく、さらにマイクロレンズにも含まれていても構わない。また、カラーフィルターがホワイトピクセルを有しており、上述の高分子化合物がそのホワイトピクセルにも含まれていても構わない。
【0063】
本実施形態の固体撮像素子を形成する工程は、前記導波路の形成工程として、上述の高分子化合物を含む膜を前記光電変換部の上に形成する工程と、前記膜を加熱する工程を含む。
【0064】
これらの実施形態に含まれる固体撮像素子について、さらに具体的に説明する。
図1は本発明を適用できる固体撮像素子の一実施例を示す部分断面図である。半導体基板11に、電極12と光電変換部13とが設けられている。また光電変換部13の上には導波路14が設けられ、その上部にカラーフィルター16、平坦化層15が設けられている。なお、カラーフィルター16に関し、
図1ではさらに白画素であるホワイトピクセル17を備えているが、少なくとも赤(R)、緑(G)および青(B)に対応する画素を備えていれば足りる。また、平坦化層15はなくてもよい。
【0065】
これらが設けられている側が光電変換部13の受光面であり、その上方にマイクロレンズ18を有している。なお、光電変換部13とマイクロレンズ18との間の構成、光電変換部13と導波路14との間の構成もしくは光電変換部13とホワイトピクセル17との間の構成はこの形態には限定されない。
【0066】
図2は本発明を適用できる固体撮像素子の別の実施例を示す部分断面図である。半導体基板11に、電極12と光電変換部13とが設けられている。また光電変換部13の上部にカラーフィルター16やホワイトピクセル17と、平坦化層15が設けられている。これらが設けられている側が光電変換部13の受光面であり、その上方にマイクロレンズ18を有している。なお、光電変換部13とマイクロレンズ18との間の構成もしくは光電変換部13とホワイトピクセル17との間の構成はこの形態には限定されない。また、本実施例でもホワイトピクセル17および平坦化層15を設けるか否かは任意である。
【0067】
<固体撮像素子の製造方法>
本発明の固体撮像素子の製造方法は、上述の高分子化合物を含む膜を所定の箇所に形成する工程と、その膜を加熱する工程とを含むものである。なお、本発明の固体撮像素子の製造方法は、上記工程の他に、半導体基板に電極を設ける工程や、カラーフィルターを設ける工程等を含むが、それらは公知の方法を用いることが可能である。
【0068】
膜の形成は、上述の高分子化合物を含む溶液を塗布することで行える。塗布の方法は特に制限がなく、スピンコート法やスプレーコート法、スリットコート法、ディップコート法など公知の方法を挙げることができるが、スピンコート法が好ましい。
【0069】
塗布後に膜を加熱する工程では、ホットプレートやオーブンなど公知の加熱方法を用いる。この時80〜130℃で1段目のベークを、180〜300℃で2段目ベークをすることが好ましく、これによりクラックやボイドを抑制することが可能である。また、スピンコート中に膜中の溶媒をほぼ揮発させるようにすると、その後のベークで溶媒の突沸が起こらず、ハジキや白濁などを抑制できる。
【0070】
ホワイトピクセルなどのようにパターン形成が必要である場合のパターン形成方法としては、例えば、膜の上層にKrFレジスト膜やi線レジスト膜よりなるマスク層を所定の形状に形成する。マスク層を所定の形状に形成する工程としては、 具体的には例えばマスク層を形成した後にフォトリソグラフィ工程などによりパターンニングし、次いで現像して所定の形状に加工する。こうして形成された膜構造に対してエッチング処理を施す。すなわち、マスク層と膜とを同時にエッチングすることにより、マスク層の形状を膜に転写する。後に、マスク層を除去することで、所定形状のパターンが形成される。
【実施例】
【0071】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されない。
【0072】
用いた溶媒の略記は以下のとおりである。
CP : シクロペンタノンPGMEA : プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
NMP : N−メチルピロリドン
DAA : ジアセトンアルコール
【0073】
一般式(1)の構造を2つ以上含有する化合物として用いた化合物は以下の通りである。MW−100LMおよびBX−4000が、本発明に使用する(B)一般式(1)の構造を2つ以上含有する複素環式芳香族化合物に該当する。
【化10】
【0074】
[分子量の測定]
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システムWaters 2690(Waters社製)で、TSK−GEL α−4000、α−2500(東ソー社製)を用い、NMPを溶媒として40℃で測定し、ポリスチレン換算値として、重量平均分子量を求めた。
【0075】
<合成例1> 高分子化合物(X1)の合成
26.01g(0.09mol)の1,1’−ビナフトール(東京化成製)と8.87g(0.02mol)のMW−100LM(三和ケミカル製)に15gのCP(和光純薬(株)製)を加え、オイルバス中40℃で1時間攪拌した。次に、リン酸(和光純薬(株)製)0.174gを加え、オイルバスの温度を160℃に設定し、30分攪拌後、オイルバスを180℃に設定し、30分攪拌した後に加熱を止めて反応を終了した。反応終了後、得られた生成物を氷冷して常温まで冷やし、高分子化合物(X1)を得た。得られた高分子化合物(X1)の重量平均分子量は46,000であった。
【0076】
<合成例2> 高分子化合物(X2)の合成
20.89g(0.06mol)の1,1’−ビナフトール(東京化成製)と13.99g(0.03mol)のBX−4000(三和ケミカル(株)製)に15gのCP(和光純薬(株)製)を加え、オイルバス中40℃で1時間攪拌した。次に、リン酸(和光純薬(株)製)0.174gを加え、オイルバスの温度を160℃に設定し、30分攪拌後、オイルバスを180℃に設定し、30分攪拌した後に加熱を止めて反応を終了した。反応終了後、得られた生成物を氷冷して常温まで冷やし、高分子化合物(X2)を得た。得られた高分子化合物(X2)の重量平均分子量は20,000であった。
【0077】
<合成例3> 高分子化合物(X3)の合成
20.68g(0.07mol)の1,1’−チオビス(2−ナフトール)(東京化成製)と6.34g(0.02mol)のMW−100LM(三和ケミカル(株)製)に15gのCP(和光純薬(株)製)を加え、オイルバス中40℃で1時間攪拌した。次に、リン酸(和光純薬(株)製)0.135gを加え、オイルバスの温度を160℃に設定し、30分攪拌後、オイルバスを180℃に設定し、30分攪拌した後に加熱を止めて反応を終了した。反応終了後、得られた生成物を氷冷して常温まで冷やし、高分子化合物(X3)を得た。得られた高分子化合物の重量平均分子量は45,000であった。
【0078】
<合成例4> 高分子化合物(X4)の合成
20.80g(0.08mol)の2−ナフトール(東京化成製)と14.08g(0.02mol)のMW−100LM(三和ケミカル製)に15gのCP(和光純薬(株)製)を加え、オイルバス中40℃で1時間攪拌した。次に、リン酸(和光純薬(株)製)0.174gを加え、オイルバスの温度を160℃に設定し、30分攪拌後、オイルバスを180℃に設定し、30分攪拌した後に加熱を止めて反応を終了した。反応終了後、得られた生成物を氷冷して常温まで冷やし、高分子化合物(X4)を得た。得られた高分子化合物の重量平均分子量は13,000であった。
【0079】
<合成例5> 高分子化合物(X5)の合成
27.28g(0.10mol)の1,1’−ビナフトール(東京化成製)と14.08g(0.05mol)のMX−290(三和ケミカル(株)製)に15gのCP(和光純薬(株)製)を加え、オイルバス中40℃で1時間攪拌した。次に、リン酸(和光純薬(株)製)0.174gを加え、オイルバスの温度を160℃に設定し、30分攪拌後、オイルバスを180℃に設定し、30分攪拌した後に加熱を止めて反応を終了した。反応終了後、得られた生成物を氷冷して常温まで冷やし、高分子化合物(X5)を得た。得られた高分子化合物の重量平均分子量は12,000であった。
【0080】
<合成例6> 高分子化合物(X6)の合成
26.50g(0.09mol)の1,1’−ビナフトール(東京化成製)と8.38g(0.05mol)の2,6−ビス(ヒドロキシメチル)パラクレゾール(和光純薬(株)製)に15gのCP(和光純薬(株)製)を加え、オイルバス中40℃で1時間攪拌した。次に、リン酸(和光純薬(株)製)0.174gを加え、オイルバスの温度を160℃に設定し、30分攪拌後、オイルバスを180℃に設定し、30分攪拌した後に加熱を止めて反応を終了した。反応終了後、得られた生成物を氷冷して常温まで冷やし、高分子化合物(X6)を得た。得られた高分子化合物の重量平均分子量は15,000であった。
【0081】
<合成例7> 酸化チタン分散体の調製
21.51gのメチルトリメトキシシラン(KBM−13;信越化学(株)製)、73.07gのフェニルトリメトキシシラン(KBM−103;信越化学(株)製)、リン酸(和光純薬(株)製)0.473gおよび精製水(和光純薬(株)製)28.43gを仕込み、オイルバス中40℃で1時間撹拌した。次に、オイルバスの温度を70℃に設定し、253gの酸化チタンナノ粒子(“オプトレイク”TR−527;触媒化成株式会社製)と165gのPGMEAとの混合物を約30分間かけて滴下した。滴下終了から1時間後、オイルバスの温度を120℃に設定し、フラスコ内の温度が100℃に到達してから3時間撹拌した後に加熱を止めて反応を終了した。反応終了後、フラスコを氷冷して常温まで冷まし、陰および陽イオン交換樹脂をそれぞれ加えて10時間撹拌した。最後に、イオン交換樹脂をろ過して取り除き、酸化チタン分散体(Y1)を得た。
【0082】
<合成例8> 高分子化合物(X7)の合成
20.68g(0.07mol)の2,2’−ジメトキシー1,1‘−ビナフチル(東京化成製)と6.34g(0.02mol)のMW−100LM(三和ケミカル(株)製)に15gのCP(和光純薬(株)製)を加え、オイルバス中40℃で1時間攪拌した。次に、リン酸(和光純薬(株)製)0.135gを加え、オイルバスの温度を160℃に設定し、30分攪拌後、オイルバスを180℃に設定し、30分攪拌した後に加熱を止めて反応を終了した。反応終了後、得られた生成物を氷冷して常温まで冷やし、高分子化合物(X7)を得た。得られた高分子化合物の重量平均分子量は25,000であった。
【0083】
<実施例1>
1.999gの高分子化合物(X1)を、7.901gのCPで希釈し、0.100gの界面活性剤(ポリフロー77のCP1質量%溶液(濃度100ppmに相当))を加え、撹拌した。次に、0.45μmのフィルターでろ過を行い、高分子化合物の希釈液を得た。得られた高分子化合物について、下記方法で透過率、屈折率、収縮率およびドライエッチング性を評価した。得られた高分子化合物を含む組成物(1)の組成及び各評価の結果を表1に示す。なお、表1中の括弧内の値のうち単位を付していないものは質量部を示す。
【0084】
[透過率の評価]
組成物を5cm角のテンパックスガラス基板(AGCテクノグラス(株)製)上に、スピンコーターを用いてスピンコートした後、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製SCW−636)を用いて100℃で3分間プリベークし、膜厚1.0μmのプリベーク膜を作製した。得られたプリベーク膜について、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製SCW−636)にて空気中220℃で5分間ベークして、膜厚0.7μmの膜を作製した。
得られた膜について、紫外−可視分光光度計(UV−260;島津製作所(株)製)を用いて、400〜800nmの透過率を測定し、この間の最も低い値を透過率とし、評価した。
【0085】
[屈折率の評価]
透過率の評価と同様の方法で、膜厚0.7μmの膜を作製した。得られた膜について、プリズムカプラーMODEL2010(Metricon(株)製)を用いて、22℃での633nm(He−Neレーザー使用)における屈折率を測定した。
【0086】
[収縮率の評価]
透過率の評価と同様の方法で、プリベーク膜を6インチシリコンウェハー上に作製し、ラムダエースSTM−602(商品名、大日本スクリーン製)を用いて、プリベーク膜の厚さを測定した。このプリベーク膜について、透過率の評価と同様の方法で膜を作製し、厚さを測定することで、下記式により収縮率を求めることができる。
収縮率(%)=100×(プリベーク膜厚−膜厚)/プリベーク膜厚
【0087】
[ドライエッチング性の評価]
透過率の評価と同様の方法で、膜を6インチシリコンウェハー上に作製し、原子間力顕微鏡(AFM)により、表面のラフネスを測定した。この膜について、下記条件にてドライエッチング実験を行った。
エッチング条件
・RIE−10N(商品名、SAMCO製)
・ガス流量:Ar/O2=24/6sccm
・Bias:200W
・圧力:0.09torr
・エッチング時間:120sec
その後に再び原子間力顕微鏡(AFM)により表面のラフネスを再度測定し、以下の基準によってドライエッチング性を評価した。
良(○):ドライエッチング前後のラフネス変化が10nm未満
不良(×):ドライエッチング前後のラフネス変化が10nm以上。
【0088】
<実施例2〜実施例3>
高分子化合物をX2もしくはX3に変えて、実施例1と同様の方法で、高分子化合物を含む組成物をそれぞれ得て、実施例1と同様の評価をした。得られた高分子化合物を含む組成物の組成および評価結果を表1に示す。
【0089】
<実施例4〜5>
1.960gの高分子化合物(X1)及び0.039gの2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナートもしくは2−メチルベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナートを7.901gのCPで希釈し、0.100gの界面活性剤(ポリフロー77のCP1質量%溶液(濃度100ppmに相当))を加え、撹拌した。実施例1と同様の評価をした。得られた高分子化合物を含む組成物の組成および評価結果を表1に示す。
【0090】
<実施例6〜7>
1.764gの高分子化合物(X1)と0.039gの2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート及び0.196gのMW−100LMもしくはBX−4000を7.901gのCPで希釈し、0.100gの界面活性剤(ポリフロー77のCP1質量%溶液(濃度100ppmに相当))を加え、撹拌した。実施例1と同様の評価をした。得られた高分子化合物を含む組成物の組成および評価結果を表1に示す。
【0091】
<実施例8>
高分子化合物をX7に変えて、実施例1と同様の方法で、高分子化合物を含む組成物をそれぞれ得て、実施例1と同様の評価をした。得られた高分子化合物を含む組成物の組成および評価結果を表1に示す。
【0092】
<比較例1〜3>
高分子化合物をX4〜X6に変えて、実施例1と同様の方法で、高分子化合物を含む組成物をそれぞれ得て、実施例1と同様の評価をした。得られた高分子化合物を含む組成物の組成および評価結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、比較例1の高分子化合物を含む組成物より得られる膜は、屈折率が不十分である点で、比較例2〜3では架橋率が不十分なため、昇華してしまい、いずれも満足する膜を形成することができなかった。
【0093】
<比較例4>
高分子化合物を酸化チタン分散体Y1に変えて、実施例1と同様の方法で、酸化チタン分散体を含む組成物を得て、実施例1と同様の評価をした。得られた組成物の組成および評価結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、得られた膜のドライエッチング性は、金属酸化物と樹脂とのエッチングレート差起因によるラフネス不良となり、満足する膜を形成することができなかった。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】