(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しわ模様や筋模様のように方向性のある面を持つ試料を45:0度のジオメトリーの照明光学系で照明する場合には、試料面を照明する光の試料面に対する方位が限定されていると、照明に対する試料の方向に依存して反射光の光量が変動する問題がある。光量が変動すると安定した測定値を得られない。
【0008】
特許文献1の技術では、9つの異なるスペクトルを持つLEDが用いられているが、同一スペクトルを持つLED光源は3つである。このため、試料面は、等価的に、円周上の極めて狭い3つの局所的な領域にそれぞれ配置された3つの光源によって3方位から照明されることになる。
【0009】
このため、特許文献1の照明光学系によって方向性のある試料面を測定する場合には、照明光学系に対する試料面の向きに応じて、試料面からの反射光量が、スペクトル毎に、大きく変動する。また、各々のLED光源から出射される光のうち、1方位の近傍へ出射される光のみしか使われないため、光線束の利用効率が悪いという問題もある。
【0010】
特許文献2の測色計は、特許文献1の装置に比べて光源の光を効率よく使うことができる。また、特許文献2の測色計は、面光源から全方位に光を照射し、当該光を円筒上に配置された多数のミラーから試料面に向けて反射して試料面を照明する。これにより、特許文献2の測色計は、方向性のある面を持つ試料の測定においても、特許文献1の装置に比べて安定した測定値を得ることが可能となる。
【0011】
しかしながら、特許文献2の測色計では、試料面の法線を囲む多数の平面ミラーによって反射された照明光の一部が、試料面の法線上からミラーが配置された円筒の外部まで延在する測色用の受光機構によって遮られる。このため、反射特性に方向性を有する試料を測定する場合には、受光機構に対する試料面の方位によって、試料面から反射される光量が変動する。
【0012】
このため、特許文献2の測色計によってもなお、測色計に対する試料面の向きによっては、試料面からの反射光量が大きく変動するといった問題がある。
【0013】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、反射特性に方向性を有する被照明面から反射される光量の変動を抑制できるとともに、光源から照射される光線束の利用効率を改善できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、第1の態様に係る照明装置は、被照明面を照明する照明装置であって、前記被照明面の法線上に配置される面光源と、前記法線を取り囲むように前記面光源と前記被照明面との間に設けられ、前記面光源から照射された光を前記被照明面に向けて反射する反射機構と、を備え、前記反射機構には、前記光を前記被照明面に向けて反射する反射領域と、前記光を前記被照明面に向けて反射しない非反射領域とが、前記法線を取り囲む仮想円筒面に沿ってその周方向に交互に配置されることによって、3つ以上の反射領域と3つ以上の非反射領域とが配置されており、前記3つ以上の反射領域のそれぞれは、前記仮想円筒面に沿う部分円筒状の領域であり、前記3つ以上の非反射領域は、前記法線を取り囲むように前記周方向に分散して配置されて
おり、前記3つ以上の反射領域のそれぞれの一部には、前記光を前記被照明面に向けて反射しない非反射部分が配置されており、前記3つ以上の反射領域にそれぞれ配置された3つ以上の非反射部分は、前記法線を取り囲むように前記仮想円筒面の周方向に分散して配置されている。
【0015】
第2の態様に係る照明装置は、第1の態様に係る照明装置であって、前記3つ以上の非反射領域は、前記周方向に等間隔に配置されている。
【0016】
第3の態様に係る照明装置は、第1または第2の態様に係る照明装置であって、前記3つ以上の反射領域のそれぞれに、前記光を前記被照明面に向けてそれぞれ反射する複数の反射面が設けられており、前記複数の反射面は、前記仮想円筒面に沿って前記周方向に並んでいる。
【0017】
第4の態様に係る反射装置は、第3の態様に係る照明装置であって、前記複数の反射面のそれぞれは、平面状の反射面である。
【0018】
第5の態様に係る照明装置は、第3の態様に係る照明装置であって、前記複数の反射面のそれぞれは、前記法線方向に延在する曲面状の反射面であり、前記法線に垂直な断面が前記法線側またはその反対側に凸の弧状の曲線である。
【0019】
第6の態様に係る照明装置は、第3から第5の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記反射機構は、前記複数の反射領域のそれぞれについて、前記仮想円筒面の周方向に並ぶ複数の部材を備えており、前記複数の部材のそれぞれは、前記法線に対向する対向面を有しており、前記複数の反射面は、前記複数の部材のうち少なくとも一部の部材における前記対向面に形成されており、前記複数の反射面のそれぞれの向きが相互に固定されるように、前記複数の部材のうち隣り合う部材同士が、互いに結合されている。
【0021】
第
7の態様に係る照明装置は、第
1から第6の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記3つ以上の非反射部分は、前記周方向に等間隔に配置されている。
【0022】
第
8の態様に係る照明装置は、第
1から第
7の何れか1つの態様に係る照明装置であって、
前記3つ以上の反射領域のそれぞれに、前記光を前記被照明面に向けてそれぞれ反射する複数の反射面が設けられており、前記非反射部分は、前記複数の反射面のうち1つの反射面が前記反射領域において占める範囲以上の大きさの範囲を前記反射領域において占めている。
【0023】
第
9の態様に係る照明装置は、第
1から第
8の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記反射領域のうち前記非反射部分以外の部分が前記非反射部分よりも大きい。
【0024】
第
10の態様に係る照明装置は、第1から第
9の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記面光源は、球状の空間及び丸孔状の出射口が形成され、前記空間を規定する内面を有し、前記内面が拡散反射面を有し、前記出射口が前記空間と外部とを連絡し、前記空間及び前記出射口が前記法線を共通の中心軸として有する積分球と、前記空間を横断して管軸方向に延設され、放電区間を有する直管形光源とを備える光放射機構である。
【0025】
第
11の態様に係る照明装置は、第1から第
9の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記面光源は、LED光源である。
【0026】
第
12の態様に係る反射特性測定装置は、第1から第
11の何れか1つの態様に係る照明装置と、前記反射機構が反射した前記光を前記被照明面が反射することにより生成される反射光を受光し、前記反射光に対する測定の結果を出力する受光機構と、を備える。
【0028】
第
13の態様に係る照明装置は、被照明面を照明する照明装置であって、前記被照明面の法線上に配置される面光源と、前記法線を取り囲むように前記面光源と前記被照明面との間に設けられ、前記面光源から照射された光を前記被照明面に向けて反射する反射機構と、を備え、前記反射機構には、前記光を前記被照明面に向けて反射する反射領域と、前記光を前記被照明面に向けて反射しない非反射領域とが、前記法線を取り囲む仮想円筒面に沿ってその周方向に交互に配置されることによって、
6つの反射領域と
6つの非反射領域とが配置されており、前記
6つの反射領域のそれぞれは、前記仮想円筒面に沿う部分円筒状の領域であり、前記
6つの非反射領域は、前記法線を取り囲むように前記周方向に分散して配置されており、前記
6つの非反射領域の
うち互いに隣り合う2つの非反射領域のそれぞれの中心間の前記仮想円筒面に沿った設置間隔は、前記法線を中心とする中心角が60度をなす前記仮想円筒面上の円弧の長さであり、前記非反射領域の前記仮想円筒面に沿った周方向の長さは、前記法線を中心とする中心角が15度をなす前記仮想円筒面上の円弧の長さである。
第
14の態様に係る照明装置は、被照明面を照明する照明装置であって、前記被照明面の法線上に配置される面光源と、前記法線を取り囲むように前記面光源と前記被照明面との間に設けられ、前記面光源から照射された光を前記被照明面に向けて反射する反射機構と、を備え、前記反射機構には、前記光を前記被照明面に向けて反射する反射領域と、前記光を前記被照明面に向けて反射しない非反射領域とが、前記法線を取り囲む仮想円筒面に沿ってその周方向に交互に配置されることによって、3
つの反射領域と3
つの非反射領域とが配置されており、前記3
つの反射領域のそれぞれは、前記仮想円筒面に沿う部分円筒状の領域であり、前記3
つの非反射領域は、前記法線を取り囲むように前記周方向に分散して配置されており、前記
3つの非反射領域の
うち互いに隣り合う2つの非反射領域のそれぞれの中心間の前記仮想円筒面に沿った設置間隔は、前記法線を中心とする中心角が120度をなす前記仮想円筒面上の円弧の長さであり、前記非反射領域の前記仮想円筒面に沿った周方向の長さは、前記法線を中心とする中心角が30度をなす前記仮想円筒面上の円弧の長さである。
【発明の効果】
【0029】
第1の態様に係る発明によれば、3つ以上の非反射領域は、被照明面の法線を取り囲む仮想円筒面の周方向に分散して配置されている。従って、3つ以上の反射領域も当該周方向に分散して配置される。これに対して被照明面のしわ模様や筋模様は、多くの場合、2回の回転対称性を有している。このため、被照明面の反射率の低い全ての方位から照明光が照射され、かつ、反射率の高い全方位からは照明光が照射されないことによって反射光量が極端に少なくなるケースの発生が抑制される。また、反射率の低い全ての方位から照明光が照射されず、かつ、反射率の高い全ての方位から照明光が照射されることによって反射光量が極端に多くなるケースの発生も抑制される。従って、反射機構から反射特性に方向性(「異方性」とも称する)を有する被照明面に照射されて被照明面から反射される光量の変動を抑制できる。また、3つ以上の反射領域のそれぞれは、仮想円筒面に沿う部分円筒状の領域であるので、面光源から出射される光線束のうち各反射領域から反射された光線束を効率よく被照明面に向けて反射することができる。これにより、当該光線束の利用効率を改善できる。
【0030】
第2の態様に係る発明によれば、3つ以上の非反射領域は、被照明面の法線を取り囲む仮想円筒面の周方向に等間隔に配置されているので、反射特性に方向性を有する被照明面から反射される光量の変動をさらに抑制できる。
【0031】
第3の態様に係る発明によれば、3つ以上の反射領域のそれぞれに、複数の反射面が設けられており、複数の反射面は、仮想円筒面に沿ってその周方向に並んでいる。従って、複数の反射面のそれぞれの向きを調整することによって、面光源から出射される光線束の利用効率をさらに改善できる。
【0032】
第4の態様に係る発明によれば、複数の反射面のそれぞれは、平面状の反射面であるので、各反射面の製作が容易になり、性能のバラつきが小さい照明装置の製作が容易になる。
【0033】
第5の態様に係る発明によれば、複数の反射面のそれぞれは、法線方向に延在する曲面状の反射面であり、法線に垂直な断面が法線側またはその反対側に凸の弧状の曲線であるので、各反射面から反射される光による照明領域を広げたり、狭めたりすることができる。
【0034】
第6の態様に係る発明によれば、反射機構は、複数の反射領域のそれぞれについて、仮想円筒面の周方向に並ぶ複数の部材を備えており、複数の反射面は、複数の部材のうち少なくとも一部の部材における当該対向面に形成されており、複数の反射面のそれぞれの向きが相互に固定されるように、前記複数の部材のうち隣り合う部材同士が、互いに結合されている。従って、反射機構を構成する部品数を削減し、照明装置の製造コストを低減できる。
【0035】
本願明細書に記載の発明によれば、3つ以上の反射領域にそれぞれ配置された3つ以上の非反射部分は、仮想円筒面の周方向に分散して配置されている。被照明面の反射率の低い全ての方位から照明光が照射され、かつ、反射率の高い全方位からは照明光が照射されないことによって反射光量が極端に少なくなるケースの発生がさらに抑制される。また、反射率の低い全ての方位から照明光が照射されず、かつ、反射率の高い全ての方位から照明光が照射されることによって反射光量が極端に多くなるケースの発生もさらに抑制される。従って、反射特性に方向性を有する被照明面から反射される光量の変動をさらに抑制できる。
【0036】
第
7の態様に係る発明によれば、3つ以上の非反射部分は、仮想円筒面の周方向に等間隔に配置されている。従って、反射特性に方向性を有する被照明面から反射される光量の変動をさらに抑制できる。
【0037】
第
8の態様に係る発明によれば、非反射部分は、複数の反射面のうち1つの反射面が反射領域において占める範囲以上の大きさの範囲を反射領域において占めている。従って、非反射領域が、極端に小さくなることを抑制できるので、反射特性に方向性を有する被照明面から反射される光量の変動をさらに抑制できる。
【0038】
第
9の態様に係る発明によれば、反射領域のうち非反射部分以外の部分が非反射部分よりも大きいので、反射領域から被照明面に向けて反射される光の光量の低下を抑制できる。
【0039】
第
10の態様に係る発明によれば、直管形光源から照射される光が拡散反射面に拡散反射された後に丸孔状の出射口から出射し、面光源から出射する光が均一になり、面光源が実質的にランバートのコサイン則に従う鉛直配光特性を有するようになる。従って、被照明面がその法線方向に移動した場合でも照度の変動を抑制することができる。
【0040】
第
11の態様に係る発明によれば、面光源は、LED光源であるので、面光源を小型化し、照明装置全体のサイズを小さく抑えることができる。
【0041】
第
12の態様に係る発明によれば、反射特性測定装置が、反射特性に方向性を有する被照明面を測定する場合でも、被照明面から反射される光量の変動を抑制できるので、安定した測定値を得ることができる。
【0042】
本願明細書に記載の発明によれば、3つ以上の非反射領域は、被照明面の法線を取り囲む仮想円筒面の周方向に分散して配置されている。従って、3つ以上の低反射領域も当該周方向に分散して配置される。反射機構から反射特性に方向性を有する被照明面に照射されて被照明面から反射される光量の変動を抑制できる。また、3つ以上の反射領域のそれぞれは、仮想円筒面に沿う部分円筒状の領域であるので、面光源から出射される光線束のうち各反射領域から反射された光線束を効率よく被照明面に向けて反射することができるので、光線束の利用効率を改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
<1.測色計>
図1の模式図は、測色計を示す。
【0045】
図1に示される測色計1000は、試料の分光反射率を測定する。分光反射率以外の反射特性が測定されてもよい。例えば、色彩値が測定されてもよい。すなわち、測色計1000が持つ分光測色計の機能が分光測色計以外の反射特性測定装置の機能に変更されてもよい。例えば、測色計1000が持つ分光測色計の機能が色彩計の機能に変更されてもよい。
【0046】
分光反射率は、照明角が45°となり受光角が0°となるジオメトリーにより測定される。分光反射率が測定される場合は、環状照明により被照明面が照明される。被照明面は、試料の表面である。ジオメトリー及び照明の両方又は片方が変更されてもよい。
【0047】
測色計1000は、測定機構1010、コントローラー1011、筐体1012等を備える。測定機構1010は、測色を担う。コントローラー1011は、測定機構1010を制御する。筐体1012は、測定機構1010、コントローラー1011等を収容する。
【0048】
<2.測定機構>
図2の模式図は、測定機構の上面を示す。
図3の模式図は、測定機構の下面を示す。
図4の模式図は、測定機構の横断面を示す。
図5の模式図は、測色用と補正用のそれぞれの受光機構を除いた測定機構の横断面を示す。
図6の模式図は、測定機構の縦断面を示す。
【0049】
図2から
図5までに示される測定機構1010は、測色用の照明機構1032、測色用の受光機構1033、補正用の受光機構1034等を備える。測色用の照明機構1032は、被照明面1050の周囲から照明光1042で被照明面1050を照明する。被照明面1050は、被照明面における照明対象領域(「測定対象領域」とも称する)である。測色用の受光機構1033は、反射光1043を受光し、反射光1043に対する測定の結果を出力する。反射光1043は、被照明面1050に照射された照明光1042が被照明面1050によって法線1120の方向、すなわち受光角が0°となる方向に反射された光である。補正用の受光機構1034は、光1045を受光し、光1045に対する測定の結果を出力する。測色用の照明機構1032が測色以外の用途において用いられてもよい。測色用の照明機構1032が測色以外の用途において用いられる場合は、照明機構1032が単独で使用されてもよいし、照明機構1032が測色計1000以外の装置に組み込まれてもよい。
【0050】
<3.測色用の照明機構>
図2から
図6までに示される測色用の照明機構1032は、
図4から
図6に示されるように、光放射機構1190、反射機構1191等を備える。光放射機構1190は、光1044、光1045等を放射する。反射機構1191は、光1044を照明光1042にする。光放射機構1190が測色以外の用途において用いられてもよい。光放射機構1190が測色以外の用途において用いられる場合は、光放射機構1190が単独で使用されてもよいし、光放射機構1190が測色計1000以外の装置に組み込まれてもよい。
【0051】
<4.光放射機構>
図7は、光放射機構の断面を示す。
【0052】
図4〜
図7に示される光放射機構1190は、直管形のキセノンランプ1200、積分球1201、バッフル1202等を備える。直管形のキセノンランプ1200は、光を放射する。積分球1201は、光を均一にする。バッフル1202は、光が均一にされないまま出射することを抑制する。
【0053】
積分球1201に形成される球状の空間1210は、積分球1201の内面1220に規定される。積分球1201は、積分半球1205、1206がネジによって互いに結合されて形成されている。空間1210が球状であるといえるためには、内面1220の主要部に沿う球面を有する球を把握できれば足りる。積分半球1205、1206に形成される半球状の空間1207、1208は、半球状の内面1217、1218によって規定される。内面1217、1218は、白色のつや消し塗料(光拡散材料)をそれぞれ塗布されている。空間1207、1208が半球状であるといえるためには、内面1217、1218の主要部に沿う各半球面をそれぞれ有する各半球を把握できれば足りる。空間1207から把握される半球、すなわち内面1217の主要部に沿う半球の径は、空間1208から把握される半球、すなわち内面1218の主要部に沿う半球の径よりも小さい。空間1207は、積分半球1205の一端面に開口している。当該一端面には、積分半球1206の他端面が当接している。空間1208は、積分半球1206の他端面に開口している。空間1207、1208の開口1227、1228のそれぞれの開口径は、空間1207、1208から把握される各半球の径にそれぞれ等しい。開口1227、1228のそれぞれの中心が互いに一致するように積分半球1205の一端面と積分半球1206の他端面とが当接した状態で、積分半球1205、1206は互いに結合されている。開口1227、1228のそれぞれの中心は、積分球1201の中心1240である。
【0054】
積分球1201に形成される丸孔状の出射口1211は、積分半球1205の内面1217に規定される。出射口1211は、空間1210と積分球1201の外部とを連絡する。出射口1211の径は一定である。出射口1211が、空間1210の側の一端から積分球1201の外部の側の他端へ向かって末広がりになってもよい。出射口1211が丸孔状であるといえるためには、回転対称体を把握できれば足りる。
【0055】
空間1210、すなわち空間1207、1208と、出射口1211とは、共通の中心軸1230を有する。内面1220、1217、1218の主要部にそれぞれ沿う球および半球の対称軸と、出射口1211から把握される回転対称体の対称軸とは、中心軸1230上にある。積分球1201の中心1240も、中心軸1230上にある。中心軸1230は、被照明面1050の中心を通る法線1120に一致する。すなわち、光放射機構1190は、被照明面1050の法線1120上に配置されている。
【0056】
空間1210が球状であるといえるためには、内面1220の主要部、すなわち内面1217、1218の主要部からそれぞれ把握される各半球が結合した空間から中心軸1230を対称軸とする回転対称体を把握できれば足りる。内面1220は若干の凹凸を有してもよいし、内面1220に若干の孔が露出していてもよい。内面1220に露出する出射口1211も、当該孔に該当する。
【0057】
既述したように、空間1207から把握される半球の径、すなわち開口1227の径は、空間1208から把握される半球の径、すなわち開口1228の径よりも小さい。これにより、反射機構1191が備える後述する各反射面1340上の各点と、開口1228の周縁上の各点とを結ぶ線は、開口1227の周縁部によって遮られる。このため、各反射面1340からは、空間1208の開口1228の周縁が見えない。
【0058】
例えば、開口1227、1228の径が互いに等しい場合には、開口同士の接続部分は、白色のつや消し塗料が剥がれやすい。塗装が剥がれることなどに起因して接続部分の光の反射率は、周囲の部分よりも低くなる。このため、当該接続部分が出射口1211を通して各反射面1340から見える場合には、出射口1211から各反射面1340に射出される光の光量にむらが生ずる。
【0059】
一方、開口1227の径が、開口1228の径よりも小さい場合には、開口1227の周縁は、積分半球1206の他端面に当たらないため、開口1227の周縁の反射率は、他の部分と同程度となる。これに対して、開口1228の周縁は、積分半球1205の一端面と、内面1218とが略90度の角度で互いに当接する角部であるため、反射率が他の部分よりも低下する。しかしながら上述したように、開口1227の周縁は各反射面1340から見えるが、開口1228の周縁は各反射面1340から見えない。これにより、開口1228の周縁における反射率の低下に起因して出射口1211から各反射面1340に射出される光の光量にむらが生ずることを抑制できる。
【0060】
ただし、開口1227、1228の径が互いに等しい場合においても、光を均一にするという積分球1201の機能は失われず、光放射機構1190の有用性は失われない。
【0061】
内面1220、すなわち内面1217、1218は、拡散反射面1245を有する。望ましくは内面1220の全体が拡散反射面1245となるが、内面1220が拡散反射面1245でない面をわずかに有してもよい。拡散反射面1245は、白色のつや消し塗料により塗装された面である。白色のつや消し塗料は、樹脂、白色顔料、つや消し材等を含む。樹脂は、アクリル樹脂等である。白色顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の粉末である。つや消し材は、シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の微粒子である。白色のつや消し塗料が白色以外の無彩色のつや消し塗料に置き換えられてもよい。内面1220を粗くすることにより拡散反射面1245が形成されてもよい。
【0062】
図8の模式図は、直管形のキセノンランプの一部及びバッフルの一部の斜視図である。
【0063】
図4、
図5、
図7及び
図8に示される直管形のキセノンランプ(「直管形光源」とも称する)1200は、
図7に示されるように、発光管1250、電極1251、電極1252、封入ガス1253等を備える。電極1251は、発光管1250の一端に封着される。電極1252は、発光管1250の他端に封着される。封入ガス1253は、発光管1250に封入される。封入ガス1253の主成分は、キセノンガスである。直管形のキセノンランプ1200は、管軸1310が延びる管軸方向に延設されている。直管形のキセノンランプ1200は、放電区間1260を有する。放電区間1260は、電極1251と電極1252との間にある。電極1251と電極1252との間に電圧が印加された場合は、放電区間1260に放電が発生し、直管形のキセノンランプ1200から光が放射される。直管形のキセノンランプ1200は、安価であり可視域の全域にわたって放射する光の光量が大きいという利点を有する。この利点は、測色計1000の製造原価を下げ、測色の信号対ノイズ比を改善することに寄与する。また、直管形のキセノンランプ1200に代わる直管形光源として、例えば、ウシオライティング株式会社製のメタルハライドランプUCMのような直管形のHIDランプ(High intensity discharge lamp)が用いられてもよい。
【0064】
積分半球1205、1206のそれぞれの管軸1310方向における一端部分と他端部分とには、キセノンランプ1200の両端部分の凹凸構造と嵌合可能な凹凸構造が形成されている。これらの嵌合構造同士が嵌合するように、積分半球1205、1206の間にキセノンランプ1200が挟まれた状態で、積分半球1205、1206が互いに固定される。これにより、キセノンランプ1200は、積分球1201に固定される。直管形のキセノンランプ1200は、空間1210を横断する。直管形のキセノンランプ1200が空間1210を横断する場合は、直管形のキセノンランプ1200を大きくすることと積分球1201を小さくすることとを両立しやすくなる。直管形のキセノンランプ1200を大きくすることは、直管形のキセノンランプ1200が放射する光の光量を大きくし直管形のキセノンランプ1200の寿命を長くすることに寄与する。
【0065】
バッフル1202は、放電区間1260と出射口1211との間にある。バッフル1202は、放電区間1260から出射口1211の一部又は全部が見通されないようにし、望ましくは放電区間1260から出射口1211の全部が見通されないようにする。一の位置が他の位置から見通される(「見える」とも称する)とは、一の位置と他の位置とを結ぶ直線上に光線の遮蔽物がなく一の位置から他の位置へ光線が直接的に到達することをいう。逆に、一の位置が他の位置から見通されない(「見えない」とも称する)とは、一の位置と他の位置とを結ぶ直線上に光線の遮蔽物があるため一の位置から他の位置へ光線が直接的に到達できないことをいう。バッフル1202により、放電区間1260から出射口1211に直接的に向かう光線が遮蔽され、放電区間1260から放射された光が拡散反射面1245に拡散反射されることなく出射口1211から出射することが抑制され、迷光が抑制され、測色の精度が向上する。また、放電区間1260から放射された光が拡散反射面1245に拡散反射された後に出射口1211から出射する場合は、均一化された光1045が補正用の受光機構1034に受光され、出射口1211から出射する光1044の変動が適切に監視される。逆に、放電区間1260から放射された光が拡散反射面1245に拡散反射されることなく出射口1211から出射する場合は、水平配光特性が均一でないという直管形のキセノンランプ1200の欠点の影響を受け、出射口1211から出射する光1045の変動が適切に監視されない。ただし、バッフル1202が省略された場合も、光を均一にするという積分球1201の機能は失われず、光放射機構1190の有用性は失われない。
【0066】
バッフル1202は、部分円筒状であり、放電区間1260が延びる方向と平行をなす方向に延びる。部分円筒とは、円筒の一の周方向位置から他の周方向位置までの部分を切り取った形状をいう。部分円筒状の形状であるといえるためには、当該形状が部分円筒に沿っていれば足り、当該形状が部分円筒に対して若干の凹凸を有していてもよい。バッフル1202の内周面1275は、放電区間1260に向けられる。バッフル1202の外周面1276は、出射口1211に向けられる。バッフル1202の形状が変更されてもよい。
【0067】
バッフル1202の表面1280は、拡散反射面1290を有する。望ましくは表面1280の全体が拡散反射面1290とされるが、表面1280が拡散反射面1290でない面をわずかに有してもよい。ただし、バッフル1202の表面が拡散反射面1290を有しない場合も、光を均一にするという積分球1201の機能は失われず、光放射機構1190の有用性は失われない。
【0068】
直管形のキセノンランプ1200が光を放射した場合は、光が空間1210及び出射口1211を順次に進み最終的に積分球1201の外部に出射する。光は、空間1210を進む間に少なくとも1回は拡散反射面1245に拡散反射される。光の大部分は、空間1210を進む間に繰り返し拡散反射面1245に拡散反射される。光が拡散反射面1245に拡散反射された後に出射口1211から出射することにより、光放射機構1190から出射する光が均一になり、光放射機構1190が実質的にランバートのコサイン則に従う鉛直配光特性を有するようになる。光放射機構1190がランバートのコサイン則に従う鉛直配光特性を有する場合は、中心軸1230と角度θをなす方向に出射する光の光度が角度θの余弦cosθに比例する。
【0069】
直管形のキセノンランプ1200は、鉛直配光特性がランバートのコサイン則に従わないという欠点を有する。また、直管形のキセノンランプ1200は、水平配光特性が均一でないという欠点を有する。しかし、これらの欠点は、積分球1201により実質的に問題とならない程度まで緩和される。
【0070】
<5.直管形のキセノンランプの配置>
放電区間1260の一端1301及び他端1302は、内面1220に沿い、望ましくは把握される球の球面上にある。放電区間1260の一端1301及び他端1302が内面1220に沿う場合は、空間1210からの直管形のキセノンランプ1200のはみ出しが小さくなり、光放射機構1190が小型になる。また、放電区間1260の大部分が空間1210に収容され、直管形のキセノンランプ1200から放射される光の大部分が空間1210に放射され、光放射機構1190の効率が向上する。
【0071】
放電区間1260の一端1301及び他端1302が内面1220に沿うといえるためには、放電区間1260の一端1301及び他端1302が把握される球の球面上にあるか又は放電区間1260の一端1301及び他端1302が内面1220から若干の距離だけ離れて内面1220に近接していれば足りる。
【0072】
放電区間1260の中心1300は、より詳細には、放電区間1260のうち空間1210に内包される部分の中心である。中心1300は、直管形のキセノンランプ1200の管軸1310上であって電極1251及び電極1252からの距離が等しい点にある。キセノンランプ1200の管軸1310上に積分球1201の中心1240が位置しないように、キセノンランプ1200は、中心軸1230から被照明面1050の法線1120を横切る方向にずれて配置されている。反射機構1191が偶数個のミラーブロック600を備える場合には、キセノンランプ1200の直管の延長方向をブリッジにすることでキセノンランプ1200から各ミラーに放射される光量を均一にすることができる。反射機構1191が奇数個のミラーブロック600を備える場合には、上述のように、キセノンランプ1200を中心1240からずらして配置することによって、出射口1211から各ミラーブロック600に放射される光量を容易に均一化することができる。
【0073】
放電区間1260のうち空間1210に内包される部分の中心1300は、望ましくは、空間1210のうち出射口1211を通して3つの反射領域の何れかが見える領域から外れている。
【0074】
出射口1211は、放電区間1260から見て管軸1310から離れる管径方向1320にある。放電区間1260は、望ましくは、中心軸1230の方向、すなわち軸方向1330と垂直をなし、被照明面1050と平行をなす面内で延設される。なお、放電区間1260の中心1300が、中心軸1230上にあってもよい。また、LED光源も面光源であるので、光放射機構1190に代えて、LED光源が用いられてもよい。
【0075】
<6.反射機構>
図9、
図10の模式図は、照明機構1032の一部の構成を示す上面図と斜視図である。
【0076】
反射機構1191は、法線1120を取り囲むように光放射機構1190と被照明面1050との間に設けられている。反射機構1191は、光放射機構1190から照射された光1044を照明光1042として被照明面1050に向けて反射する。
【0077】
反射機構1191は、3つ以上(図示の例では3つ)のミラーブロック600を備えて構成されている。各ミラーブロック600は、法線1120を取り囲む仮想円筒面K1に沿って、その周方向1350に分散して配置されている。各ミラーブロック600は、仮想円筒面K1に沿う部分円筒状の板状部材である。各ミラーブロック600の法線1120方向の両端面からは、法線1120方向に突起部N1(
図5)が突設されている。当該両端面の少なくとも一方の端面には、複数の突起部N1が設けられる。
【0078】
測定機構1010は、法線1120を軸心してそれぞれ設けられる円筒部材810、820をさらに備えている。
【0079】
円筒部材810、反射機構1191、円筒部材820は、この並び順に、被照明面1050側から設けられている。円筒部材810、820、および反射機構1191は、被照明面1050と、光放射機構1190との間に位置している。円筒部材810、820と、仮想円筒面K1とのそれぞれの径は互いに等しい。
【0080】
円筒部材820は、法線1120を中心軸とする円筒状の側壁823と、側壁823の光放射機構1190側の開口部を閉じる円板状の蓋部822とを備える。蓋部822の中央部分には、法線1120を中心とする丸孔状の開口部821が形成されている。開口部821は、積分球1201の出射口1211よりも径が大きい。積分球1201の空間1210と、円筒部材820の内部空間とは、出射口1211と、開口部821とを介して連通している。
【0081】
円筒部材810の両端面のうち光放射機構1190側の一端面と、各ミラーブロック600の法線1120方向の両端面のうち被照明面1050側の他端面とは、互いに当接している。円筒部材810の一端面には、ミラーブロック600の他端面に設けられた突起部N1と嵌合可能な穴部が設けられている。この穴部と、ミラーブロック600の突起部N1とが嵌合することで、円筒部材810とミラーブロック600とは互いに固定されている。
【0082】
各ミラーブロック600の両端面のうち光放射機構1190側の一端面と、円筒部材820の側壁823の両端面のうち被照明面1050側の他端面とは互いに当接している。側壁823の他端面には、ミラーブロック600の一端面に設けられた突起部N1と嵌合可能な穴部が設けられている。この穴部と突起部N1とが嵌合することで、ミラーブロック600と円筒部材820とは互いに固定されている。
【0083】
ミラーブロック600の内周面、すなわち、法線1120に対向する面は、光1044を被照明面1050に向けて反射する反射領域500である。また、3つ以上のミラーブロック600のうち隣り合うミラーブロック600同士は、仮想円筒面K1に沿って、互いに間隔を隔てて設けられている。隣り合うミラーブロック600同士の間の部分は、光1044を被照明面1050に向けて反射しない非反射領域502である。
【0084】
すなわち、反射機構1191には、3つ以上(図示の例では3つ)の反射領域500と3つ以上(図示の例では3つ)の非反射領域502とが配置されている。反射領域500と非反射領域502とは、法線1120を取り囲む仮想円筒面K1に沿ってその周方向1350に交互に配置されている。
【0085】
各反射領域500は、仮想円筒面K1に沿う部分円筒状の領域であり、3つ以上の非反射領域502は、法線1120を取り囲むように仮想円筒面K1に沿って、その周方向1350に分散して配置されている。従って、3つ以上の反射領域500も、法線1120を取り囲むように仮想円筒面K1に沿って、周方向1350に分散して配置されている。3つ以上の非反射領域502は、好ましくは、周方向1350に等間隔に配置される。反射機構1191における複数の反射領域500の形状は、好ましくは、中心軸1230を回転軸とする3回以上(
図9の例では、3回)の回転対称性を有する。
【0086】
各ミラーブロック600の各反射領域500には、光1044を被照明面1050に向けてそれぞれ反射する複数(図示の例では4個)の反射面1340が設けられている。当該複数の反射面1340は、仮想円筒面K1に沿ってその周方向1350に並んでいる。
【0087】
各反射面1340は、鏡面であり、光1044を反射する。各反射面1340は、法線1120方向に延在する曲面状に形成されており、法線1120に垂直な断面は、法線1120側に凸の弧状の曲線である。当該断面が法線1120の反対側に凸の弧状の曲線であってもよい。また、各反射面1340は、平面状の反射面であってもよい。
【0088】
各反射面1340は、中心軸1230に近づく径方向内側を向く。各反射面1340は、光1044が入射光となり反射光が照明光1042となるように配置される。照明光1042は、照明角45°の方向から被照明面1050に入射する。照明角45°の方向は、被照明面1050の法線1120と45°をなす方向である。
【0089】
光放射機構1190の鉛直配光特性がランバートのコサイン則に従い、出射口1211から中心軸1230と45°をなす方向に出射する光1044が照明角45°の方向から被照明面1050に入射する照明光になる場合は、被照明面1050が基準位置から軸方向1330に移動した場合でも照度が大きく変動せず、測色の安定性が向上する。
【0090】
各ミラーブロック600は、周方向1350に一列に並ぶ板状の複数(図示の例では5個)の部材340を備えている。すなわち、反射機構1191は、複数の反射領域500のそれぞれについて、周方向1350に一列に並ぶ複数の部材340を備えている。複数の部材340のそれぞれは、法線1120に対向する対向面を有している。複数の反射面1340は、複数の部材340のうち少なくとも一部(図示の例では4個)の部材340における対向面に形成されている。複数の部材340のうち隣り合う部材同士は、好ましくは、複数の反射面1340のそれぞれの向きが相互に固定されるように互いに結合される。複数の部材340が、このように結合されることによってミラーブロック600が形成されている。
【0091】
3つ以上の反射領域500のそれぞれの一部には、好ましくは、光1044を被照明面1050に向けて反射しない非反射部分1342が配置される。すなわち、反射機構1191には、3つ以上の非反射部分1342が配置される。各非反射部分1342は、例えば、反射領域500の一部に、黒色塗装、あるいは植毛紙の貼り付けがされること等によって形成される。また、反射領域500の一部に貫通孔等を設けて当該貫通孔によって非反射部分1342を実現してもよい。3つ以上の非反射部分1342は、法線1120を取り囲むように周方向1350に分散して配置されている。3つ以上の非反射部分1342は、好ましくは、周方向1350に等間隔に配置される。
【0092】
各非反射部分1342は、好ましくは、各反射領域500の複数の反射面1340のうち1つの反射面が反射領域500において占める範囲以上の大きさの範囲を反射領域500において占める。
【0093】
反射領域500のうち非反射部分1342以外の部分は、好ましくは、非反射部分1342よりも大きくなるように設けられる。
【0094】
非反射部分1342には、上述したように黒色塗装した部分や、あるいは植毛紙の貼り付けられた部分なども含まれる。この場合の非反射部分の反射率は、例えば、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下に設定される。反射率が10%〜30%程度の低反射部分が非反射部分1342に代えて採用されるとしても本発明の有用性を損なうものではない。また、反射領域500に含まれる各部材340の内周面が全て反射面1340であるとしても本発明の有用性を損なうものではない。
【0095】
また、図示の例では非反射領域502は、隣り合うミラーブロック600同士の間の空間における領域であることが好ましい。しかし、反射率が、反射率10%以下、より好ましくは5%以下になるように部分円筒状の板材の内周面に対して黒色塗装や、植毛紙の貼り付けがなされた領域によって非反射領域502が実現されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。非反射領域502に代えて、光1044を被照明面1050に向けて反射する反射率が反射領域500よりも低い低反射領域が採用されてもよい。当該低反射領域の反射率は、例えば、10%〜30%である。
【0096】
<7.測色用の受光機構>
図2から
図4までに示される測色用の受光機構1033は、
図4に示されるように、ミラー1360、レンズ1361、分光測定機構1362及び鏡筒1363を備える。ミラー1360、レンズ1361は、鏡筒1363の内壁によって保持され、分光測定機構1362は、鏡筒1363の端部に取り付けられている。ミラー1360は、反射光1043を反射する。レンズ1361は、反射光1043の光線束を収束させる。分光測定機構1362は、反射光1043の各波長成分の光量に応じた信号を出力する。
【0097】
ミラー1360は、法線1120上にある。ミラー1360の反射面1380は、被照明面1050へ向かう方向と分光測定機構1362へ向かう方向との中間の方向を向く。レンズ1361は、反射面1380と分光測定機構1362との間にある。
【0098】
反射光1043は、光軸1112に沿って進む。反射光1043は、被照明面1050が照明光1042を反射することにより生成され、被照明面1050から受光角0°の方向に出射し、ミラー1360に反射され、レンズ1361を通過し、分光測定機構1362に受光される。受光角0°の方向は、被照明面1050の法線1120と0°をなす方向である。分光測定機構1362は、反射光1043の各波長成分の光量に応じた信号を出力する。分光測定機構1362が出力する信号は、反射光1043に対する測定の結果になる。反射光1043がミラー1360に反射されることにより、光軸1112が屈曲させられる。反射光1043がレンズ1361を通過することにより、反射光1043の光線束が収束させられる。
【0099】
反射光1043は、光軸1112に沿って被照明面1050から反射面1380まで、受光角0°の方向に進み、反射面1380に反射される。反射された反射光1043は、反射面1380から光軸1112に沿って進み、レンズ1361を経て分光測定機構1362に到達する。
【0100】
ミラー1360が他の種類の屈曲光学素子に置き換えられてもよい。例えば、ミラー1360がプリズムに置き換えられてもよい。ミラー1360以外の屈曲光学素子が追加され、光軸1112がさらに屈曲されてもよい。ミラー1360及びレンズ1361からなる光学系が光軸1112を屈曲させ反射光1043の光線束を収束させる他の種類の光学系に置き換えられてもよい。例えば、ミラー1360及びレンズ1361からなる光学系が凹面反射面を執するミラーからなる光学系に置き換えられてもよい。測色計1000が備える分光測色計が色彩計に変更される場合は、分光測定機構1362が三刺激値を測定する機構に置き換えられてもよい。
【0101】
<8.補正用の受光機構>
図2及び
図4に示される補正用の受光機構1034は、
図4に示されるように、ミラー1390、光ファイバー1391及び分光測定機構1392を備える。分光測定機構1392は、分光測定機構1362と共通化される。
【0102】
光1045は、光軸1113に沿って進む。光1045は、出射口1211から中心軸1230と0°をなす方向に出射し、ミラー1390に反射され、光ファイバー1391に導かれ、分光測定機構1392に受光される。分光測定機構1392は、光1045の各波長成分の光量に応じた信号を出力する。
【0103】
ミラー1390が他の種類の屈曲光学素子に置き換えられてもよい。例えば、ミラー1390がプリズムに置き換えられてもよい。ミラー1390以外の屈曲光学素子が追加されてもよい。光ファイバー1391が他の種類の導光機構に置き換えられてもよい。例えば、光ファイバー1391が屈曲光学素子に置き換えられてもよい。光ファイバー1391が省略され、光1045が反射面1400から分光測定機構1392まで直進してもよい。
【0104】
出射口1211から中心軸1230と0°をなす方向に出射する光1045に対して補正のための測定が行われる場合は、補正のための測定が行われる光を得るために出射口1211とは別の出射口を積分球1201に形成する必要がなく、光放射機構1190の効率が向上する。
【0105】
<9.コントローラー>
図1に示されるコントローラー1011は、組み込みコンピューター、制御回路等を備え、ファームウェアを組み込みコンピューターに実行させる。組み込みコンピューターによる処理の全部又は一部がプログラムを実行しないハードウェアにより実現されてもよい。
【0106】
コントローラー1011は、測定機構1010を制御する。コントローラー1011は、直管形のキセノンランプ1200の点灯を制御し、分光測定機構1362及び分光測定機構1392から測定の結果を取得する。コントローラー1011は、分光測定機構1362から取得した測定の結果から測色情報を求める。コントローラー1011は、測色情報を求める場合に分光測定機構1392から取得した測定の結果を反映させる補正を行う。これにより、光放射機構1190が放射する光の変動が測色情報に与える影響が緩和される。測色情報は、分光スペクトル、色彩値等である。
【0107】
<10.反射特性に方向性を有する被照明面から反射される反射光>
以下に、
図11〜
図18を参照しつつ、反射特性に方向性を有する被照明面1050から反射される反射光1043の変動等について説明する。
【0108】
図11は、照明光1042の各方位θにおける照明光の光量の変動の一例をグラフ形式で模式的に示す図である。照明光の光量の変動は、各方位θを変数とする周期信号F(θ)として示されている。方位θは、被照明面1050の法線1120を一辺とする参照平面を所定の基準位置から、法線1120を回転中心として回転させるときの回転角度θに相当する。周期信号F(θ)は、照明光1042のうち参照平面に沿って反射機構1191から被照明面1050に照射される光量の変動を、0〜1の範囲に正規化して示す信号である。
【0109】
方位θの参照平面が反射面1340と交差する場合には、周期信号F(θ)の値は1、交差しない場合には、周期信号F(θ)の値は0となる。
【0110】
図12は、各方位θにおける参照平面に沿って被照明面1050に照明光1042が照射されるときに、被照明面1050から受光角0°方向に反射される光の反射率の変動を、方位θを変数とする周期ノイズN(θ−φ)として模式的に示す。各方位から照射される光量が一定であれば、当該反射率の変動は、反射光量の変動として与えられる。周期ノイズN(θ−φ)は、0〜1に正規化して示される。被照明面1050の向きφは、法線1120を中心に被照明面1050が回転するときの回転角度に相当する。向きφは、定数である。周期ノイズN(θ−φ)の周期は、例えば、被照明面1050におけるシボの形状および深さなどによって決まる。
図12では、周期ノイズN(θ−φ)は、理想的にコサイン関数によって示されている。
図12に示されるグラフでは、周期ノイズN(θ−φ)の周期は、180°である。この周期ノイズN(θ−φ)の変動パターンは、被照明面1050におけるしわ模様やシボが2回の回転対称性を有する場合の変動パターンである。被照明面1050の向きφが基準の0°から60°ずらされた場合には、周期ノイズN(θ−φ)は、60°の位相差に応じてずれている。
【0111】
方向性を持つ被照明面1050を照明機構1032に対してφの角度に配置した時の反射光量は、被照明面(試料面)の周期ノイズN(θ−φ)と照明光の周期信号F(θ)の相互相関関数で表すことができる。さらに、
図12に示されるグラフのように、周期ノイズN(θ−φ)を理想的に周期(「ノイズ周期」)νのコサイン関数で表すことができるとすると、得られる反射光量Eν(φ)は式(1)で表される。
【0113】
図13は、反射光量Eν(φ)を示す式(1)における被照明面の周期ノイズN(θ)と照明光の周期信号F(θ)との積の変動を、方位θに対してグラフ形式で示す図である。照明光の周期信号F(θ)として、
図11の周期信号F(θ)が採用されている。被照明面の周期ノイズN(θ)として、
図12の周期ノイズが採用されている。
【0114】
図14は、受光角0°方向への反射光量Eν(φ)の変動の一例を被照明面の向きφに対してグラフ形式で示す図である。照明光の周期信号F(θ)として、
図11に示される信号が採用されている。被照明面の周期ノイズN(θ−φ)として、
図12の例と同様に、理想的にコサイン関数で示される信号が採用されている。周期ノイズの周期νとして、180°と、120°とが採用されている。
【0115】
周期信号の周期は、180°であるため、
図14に示されるように、周期ノイズの周期も180°である場合には、被照明面の向きに応じて、反射光量Eν(φ)が大きく変動している。一方、周期ノイズの周期が120°である場合には、被照明面の向きφに拘わらず反射光量は、一定になっている。
【0116】
実際の被照明面(試料面)に対する周期ノイズN(θ−φ)は、複数のノイズ周期を持っている場合が多い。その場合の周期ノイズは、各周期νの周期ノイズの足し合わせで表すことができる。
【0117】
一方で、実際に測定される被照明面の周期ノイズは、180度、120度、90度などの長周期成分が多いことが実験により確かめられた。より詳細には、周期ノイズの周期が180度である場合が最も多い。また、他の周期のノイズを含む場合でも、多くの場合、180度の周期のノイズも含まれている。逆に、周期が30度、60度である場合は殆ど無い。また、周期信号F(θ)を与える光放射機構の構成を種々に変更して式(1)で計算される反射光量を求めることによって、被照明面1050の向き(角度)φに依る反射光量の変動を抑制可能な光放射機構の構成を求めることもできる。
【0118】
図15〜
図18は、受光角0°方向への反射光量の振幅の変動例をグラフ形式で示す図である。
図15〜
図18では、反射光量の振幅の変動が、グラフ1〜4として示されている。
【0119】
反射機構における非反射領域の設置間隔、あるいは非反射領域の幅(仮想円筒面K1に沿った周方向の長さ)が変化すると、照明光の周期信号も変化する。グラフ1〜4では、上記の設置間隔と幅とがそれぞれ変更されている。グラフ1〜4では、非反射領域の設置間隔は、60°、120°、180°、360°(非反射領域502の個数が1つのみ)にそれぞれ設定されている。また、非反射領域の幅は、それぞれ15°、30°、45°、90°にそれぞれ設定されている。
【0120】
グラフ1における反射光量の振幅は、周期ノイズの周期が30°、60°である場合に大きなピーク値を取っているが、周期ノイズの周期が60°よりも長周期になると小さな値になっている。すなわち、周期ノイズの周期が、180°より大きい場合には、反射特性に方向性を有する被照明面から反射される光量の変動を良好に抑制できる。実際の被照明面の周期ノイズの周期は、多くの場合、180°よりも大きくなる。
【0121】
グラフ2における反射光量の振幅は、周期ノイズの周期が60°と120°である場合に大きなピーク値を取るが、90°と180°では小さな値となっている。このため、多くの被照明面から反射される光量の変動を良好に抑制できる。
【0122】
グラフ3における反射光量の振幅は、周期ノイズの周期が90°と180°である場合に大きな値を取っている。このため、多くの被照明面から反射される光量の変動を良好に抑制することは困難である。
【0123】
グラフ4における反射光量の振幅は、周期ノイズの周期が90度では0であるが、周期ノイズの周期が長くなるほど、反射光量の振幅が大きくなっている。このため、多くの被照明面から反射される光量の変動を良好に抑制することは困難である。
【0124】
以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、3つ以上の非反射領域502は、被照明面1050の法線を取り囲む仮想円筒面K1の周方向1350に分散して配置されている。従って、3つ以上の反射領域500も当該周方向1350に分散して配置される。これに対して被照明面1050のしわ模様や筋模様は、多くの場合、2回の回転対称性を有している。このため、被照明面1050の反射率の低い全ての方位から照明光1042が照射され、かつ、反射率の高い全方位からは照明光1042が照射されないことによって反射光量が極端に少なくなるケースの発生が抑制される。また、反射率の低い全ての方位から照明光が照射されず、かつ、反射率の高い全ての方位から照明光1042が照射されることによって反射光量が極端に多くなるケースの発生も抑制される。従って、反射機構1191から反射特性に方向性(「異方性」とも称する)を有する被照明面1050に照射されて被照明面1050から反射される反射光1043の光量の変動を抑制できる。すなわち、複数の反射領域500が、被照明面1050のしわ模様等の回転対称の回数と同じ回数の回転対称性を有していない場合には、被照明面1050の反射率が高い方位と照明光1042の入射光量が大きい方位とがぴったり一致することが抑制されるとともに、反射率が低い方位と入射光量が小さい方位とがぴったり一致することも抑制される。これにより、反射光1043の光量の変動が抑制される。
【0125】
また、3つ以上の反射領域500のそれぞれは、仮想円筒面K1に沿う部分円筒状の領域であるので、光放射機構1190から出射される光線束のうち各反射領域500から反射された光線束を効率よく被照明面1050に向けて反射することができる。これにより、当該光線束の利用効率を改善できる。
【0126】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、3つ以上の非反射領域502は、被照明面1050の法線を取り囲む仮想円筒面K1の周方向1350に等間隔に配置されているので、反射特性に方向性を有する被照明面1050から反射される光量の変動をさらに抑制できる。
【0127】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、3つ以上の反射領域500のそれぞれに、複数の反射面1340が設けられており、複数の反射面1340は、仮想円筒面K1に沿ってその周方向1350に並んでいる。従って、複数の反射面1340のそれぞれの向きを調整することによって、光放射機構1190から出射される光線束の利用効率をさらに改善できる。
【0128】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、複数の反射面1340のそれぞれは、平面状の反射面であるので、各反射面の製作が容易になり、性能のバラつきが小さい照明装置の製作が容易になる。
【0129】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、複数の反射面1340のそれぞれは、法線方向に延在する曲面状の反射面であり、法線に垂直な断面が法線側またはその反対側に凸の弧状の曲線であるので、各反射面1340から反射される光による照明領域を広げたり、狭めたりすることができる。
【0130】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、反射機構1191は、複数の反射領域500のそれぞれについて、仮想円筒面K1の周方向1350に並ぶ複数の部材340を備えており、複数の反射面1340は、複数の部材340のうち少なくとも一部の部材における当該対向面に形成されており、複数の反射面1340のそれぞれの向きが相互に固定されるように、複数の部材340のうち隣り合う部材同士が、互いに結合されている。従って、反射機構1191を構成する部品数を削減し、照明装置の製造コストを低減できる。
【0131】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、3つ以上の反射領域500にそれぞれ配置された3つ以上の非反射部分は、仮想円筒面K1の周方向1350に分散して配置されている。被照明面1050の反射率の低い全ての方位から照明光1042が照射され、かつ、反射率の高い全方位からは照明光1042が照射されないことによって反射光量が極端に少なくなるケースの発生がさらに抑制される。また、反射率の低い全ての方位から照明光1042が照射されず、かつ、反射率の高い全ての方位から照明光1042が照射されることによって反射光量が極端に多くなるケースの発生もさらに抑制される。従って、反射特性に方向性を有する被照明面1050から反射される光量の変動をさらに抑制できる。
【0132】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、3つ以上の非反射部分は、仮想円筒面K1の周方向1350に等間隔に配置されている。従って、反射特性に方向性を有する被照明面1050から反射される光量の変動をさらに抑制できる。
【0133】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、非反射部分は、複数の反射面1340のうち1つの反射面1340が反射領域500において占める範囲以上の大きさの範囲を反射領域500において占めている。従って、非反射領域502が、極端に小さくなることを抑制できるので、反射特性に方向性を有する被照明面1050から反射される光量の変動をさらに抑制できる。
【0134】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、反射領域500のうち非反射部分以外の部分が非反射部分よりも大きいので、反射領域500から被照明面1050に向けて反射される光の光量の低下を抑制できる。
【0135】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、キセノンランプ1200から照射される光が拡散反射面1245に拡散反射された後に丸孔状の出射口から出射し、光放射機構1190から出射する光が均一になり、光放射機構1190が実質的にランバートのコサイン則に従う鉛直配光特性を有するようになる。従って、被照明面1050がその法線方向に移動した場合でも照度の変動を抑制することができる。
【0136】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構1032によれば、面光源は、LED光源であるので、面光源を小型化し、照明装置全体のサイズを小さく抑えることができる。
【0137】
また、以上のように構成された本実施形態に係る測定機構によれば、反射特性に方向性を有する被照明面1050が測定される場合でも、被照明面1050から反射される反射光1043の光量の変動を抑制できるので、安定した測定値を得ることができる。
【0138】
また、以上のように構成された本実施形態に係る照明機構によれば、3つ以上の非反射領域は、被照明面1050の法線を取り囲む仮想円筒面K1の周方向1350に分散して配置されている。従って、3つ以上の低反射領域も当該周方向1350に分散して配置される。反射機構1191から反射特性に方向性を有する被照明面1050に照射されて被照明面1050から反射される光量の変動を抑制できる。また、3つ以上の反射領域のそれぞれは、仮想円筒面K1に沿う部分円筒状の領域であるので、光放射機構1190から出射される光線束のうち各反射領域から反射された光線束を効率よく被照明面1050に向けて反射することができるので、光線束の利用効率を改善できる。
【0139】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。