(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝と、前記センター主溝の両側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝とを設けることにより、トレッド部が、前記ショルダー主溝とセンター主溝との間の一対のセンター陸部と、前記ショルダー主溝とトレッド接地端との間の一対のショルダー陸部とに区分された空気入りタイヤであって、
前記ショルダー陸部は、ショルダー陸部内で途切れる内端部からバットレス部内で途切れる外端部までトレッド接地端を横切ってのびる複数のショルダースロットを具え、
各前記ショルダースロットは、タイヤ周方向の巾Waが、ショルダースロットのタイヤ周方向ピッチPaの18〜28%であり、
正規リムにリム組みしかつ正規内圧の5%の内圧を充填した5%内圧状態におけるタイヤ子午断面において、
トレッド部の表面のトレッド輪郭線は、タイヤ赤道面に円弧中心を有する曲率半径R1の第1円弧部と、この第1円弧部に交点Qで交わり、かつ前記曲率半径R1の5〜15%の曲率半径R2の第2円弧部とからなり、
タイヤ赤道面から前記交点Qまでのタイヤ軸方向距離LQは、前記タイヤ赤道面からトレッド接地端までのタイヤ軸方向距離である接地半幅Twの75〜85%、
トレッド輪郭線とタイヤ赤道面とが交わるタイヤ赤道点から前記交点Qまでのタイヤ半径方向距離L2は、前記接地半幅Twの1〜3%、
かつ前記タイヤ赤道点からトレッド接地端までのタイヤ半径方向距離L1は、前記接地半幅Twの4〜6%であることを特徴とする空気入りタイヤ。
前記ショルダー陸部は、前記ショルダースロット間に、ショルダー陸部内で途切れる内端部からバットレス部内で途切れる外端部までトレッド接地端を横切ってのびる2又は3本のショルダーサイプを具えることを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
【背景技術】
【0002】
重荷重用、及び小型トラック用の空気入りタイヤでは、トレッド輪郭形状を、タイヤ赤道面に中心を有する単一円弧で形成した所謂シングルラジアスのものが広く採用されていた。しかし、このようなシングルラジアスのタイヤは、タイヤ赤道面側とトレッド端側とでタイヤ半径差が大きい。そのため、トレッド端側のトレッド面と路面との間に滑りが発生し、所謂肩落ち摩耗が発生するという問題がある。
【0003】
そのためトレッド輪郭形状を、赤道側の円弧部と、この赤道側の円弧部よりも曲率半径が大きいショルダー側の円弧部とで形成することが提案されている(下記の特許文献1参照)。しかしこの提案のタイヤの場合、轍を有する路面を走行する際、轍内の凹凸にトレッド端が接触すると、大きな反力が作用して車輌がふらつくなど轍直進性が悪い。また轍から抜け出す際、轍の傾斜面を乗り越えるのに必要なキャンバースラストが小さくかつ轍斜面に対する反力が大きいため、轍脱出性能(轍乗り越し性能)も悪いという問題がある。このように、轍直進性及び轍脱出性能であるワンダリング性能と肩落ち摩耗とは、二律背反の関係にある。
【0004】
なお下記の特許文献2には、肩落ち摩耗を抑えながらワンダリング性能を向上させるために、トレッド端を曲率半径が小さい小円弧部(所謂ラウンドショルダ)で形成したり、トレッド端近傍にタイヤ周方向に連続してのびる縦細溝を形成したり、又縦細溝より外側にタイヤ軸方向にのびるサイプを形成することなどが提案されている。
【0005】
しかし近年のタイヤの高性能化への要求に鑑み、耐肩落ち摩耗性能とワンダリング性能とのより高レベルでの両立が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、耐肩落ち摩耗性能とワンダリング性能とを、より高いレベルで両立させうる空気入りタイヤを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝と、前記センター主溝の両側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝とを設けることにより、トレッド部が、前記ショルダー主溝とセンター主溝との間の一対のセンター陸部と、前記ショルダー主溝とトレッド接地端との間の一対のショルダー陸部とに区分された空気入りタイヤであって、
前記ショルダー陸部は、ショルダー陸部内で途切れる内端部からバットレス部内で途切れる外端部までトレッド接地端を横切ってのびる複数のショルダースロットを具え、
各前記ショルダースロットは、タイヤ周方向の巾Waが、ショルダースロットのタイヤ周方向ピッチPaの18〜28%であり、
正規リムにリム組みしかつ正規内圧の5%の内圧を充填した5%内圧状態におけるタイヤ子午断面において、
トレッド部の表面のトレッド輪郭線は、タイヤ赤道面に円弧中心を有する曲率半径R1の第1円弧部と、この第1円弧部に交点Qで交わり、かつ前記曲率半径R1の5〜15%の曲率半径R2の第2円弧部とからなり、
タイヤ赤道面から前記交点Qまでのタイヤ軸方向距離LQは、前記タイヤ赤道面からトレッド接地端までのタイヤ軸方向距離である接地半幅Twの75〜85%、
トレッド輪郭線とタイヤ赤道面とが交わるタイヤ赤道点から前記交点Qまでのタイヤ半径方向距離L2は、前記接地半幅Twの1〜3%、
かつ前記タイヤ赤道点からトレッド接地端までのタイヤ半径方向距離L1は、前記接地半幅Twの4〜6%であることを特徴としている。
【0009】
本発明の空気入りタイヤでは、前記ショルダースロットの最大深さは、前記前記ショルダー主溝の溝深さの18〜22%であることが好ましい。
【0010】
本発明の空気入りタイヤでは、前記ショルダー陸部は、前記ショルダースロット間に、ショルダー陸部内で途切れる内端部からバットレス部内で途切れる外端部までトレッド接地端を横切ってのびる2又は3本のショルダーサイプを具えること好ましい。
【0011】
前記「5%内圧状態」でのタイヤ形状は、通常、加硫金型内でのタイヤ形状と略一致している。そして加硫金型の金型面の形状を特定することにより、前記5%内圧状態のタイヤ形状をコントロールしうる。本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、前記5%内圧状態にて特定される値とする。
【0012】
又前記「トレッド接地端」は、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した状態のタイヤに正規荷重を付加したときに路面に接地するトレッド踏面のうち、タイヤ軸方向最外端の位置として定義される。
【0013】
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は叙上の如く構成するため、発明を実施するための形態にて記載されるように、耐肩落ち摩耗性能とワンダリング性能とをより高レベルで両立させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内部かつカーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。本例では、前記空気入りタイヤ1が、小型トラック用のタイヤである場合が示される。
【0017】
前記カーカス6は、カーカスコードがタイヤ赤道Cに対して例えば70〜90゜の角度で配列された少なくとも1枚、本例では半径方向内外に配される合計2枚のカーカスプライ6A、6Bから形成される。内のカーカスプライ6Aは、ビードコア5、5間に跨る本体部6A1の両端に、ビードコア5の廻りで折り返される折返し部6A2を有する。又外のカーカスプライ6Bは、ビードコア5の廻りで折り返されることなく、前記折返し部6A2の外面に重なって終端している。
【0018】
前記ベルト層7は、ベルトコードがタイヤ赤道Cに対して例えば15〜75゜の角度で配列された少なくとも2枚、本例では半径方向内側から順に配される第1〜3のベルトプライ7A〜7Cから形成される。本例では、第1のベルトプライ7Aのベルトコードの角度は例えば45〜75°であり、また第2、3のベルトプライ7B、7Cのベルトコードの角度は例えば10〜35°かつ傾斜の向きが互いに相違している。これによりベルトコードがプライ間で互いに交差し、ベルト剛性が高められる。
【0019】
なお必要に応じて、ベルト層7は、ベルトプライの枚数が増減されても良いし、またベルト層7の外側に、例えばバンドコードがタイヤ周方向に螺旋状に巻回されたバンドプライを設けることもできる。
【0020】
図1中の符号8は、ビード補強用のビードエーペックスゴムであり、本体部6A1と折返し部6A2との間を通ってビードコア5から半径方向外側にのびる。又符号9は、ビード補強用の補強コード層であって、例えばスチール製の補強コードをタイヤ周方向に対して例えば30〜60°の角度で配列する1枚以上、本例では2枚の補強プライから形成される。
【0021】
図2に示すように、トレッド部2は、タイヤ周方向に連続してのびるセンター主溝10と、前記センター主溝10の両側でタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー主溝11とを具える。これによりトレッド部2は、ショルダー主溝11とセンター主溝10との間の一対のセンター陸部12、及びショルダー主溝11とトレッド接地端TEとの間の一対のショルダー陸部13に区分される。
【0022】
本例では、センター陸部12及びショルダー陸部13が、タイヤ周方向に連続してのびるリブ体とした場合が示される。
【0023】
センター陸部12の巾W
12は、接地半幅Tw(
図1に示す)の36〜40%の範囲、ショルダー陸部13の巾W
13は、接地半幅Twの45〜50%範囲が好ましい。又前記巾W
12と巾W
13の和(W
12+W
13)は、接地半幅Twの80〜85%の範囲が好ましい。これにより、ウエット性能と、ドライ路面での操縦安定性能とのバランスが最適化される。前記和(W
12+W
13)が接地半幅Twの80%を下回ると、トレッド剛性が減じて操縦安定性能が不足傾向となる。逆に85%を越えると、排水性が減じてウエット性能が不足傾向となる。また前記巾W
12が接地半幅Twの36〜40%から外れる場合、及び巾W
13が接地半幅Twの45〜50%から外れる場合、センター陸部12とショルダー陸部13との剛性バランスが悪くなり、操縦安定性能の低下、及びセンター摩耗やショルダー摩耗を誘発する傾向となる。
【0024】
前記「接地半幅Tw」は、タイヤ赤道面Coからトレッド接地端TEまでのタイヤ軸方向距離で定義される。
【0025】
センター主溝10及びショルダー主溝11として、両側の溝側縁が直線状にのびるストレート溝、及び少なくとも一方の溝側縁がジグザグ状(波状を含む。)にのびるジグザグ溝が採用しうる。なおジグザグ溝の場合、ジグザグ状の溝側縁における振幅中心を仮想溝側縁として、溝幅及び各陸部の巾を規定する。センター主溝10及びショルダー主溝11の溝巾W
10、W
11は、前記和(W
12+W
13)の範囲に基づいて適宜設定される。又溝深さD
10、D
11(
図1に示す)は、慣例に従って種々定めることができる。本例では、溝深さD
10と溝深さD
11とは同一であり、8〜15mmの範囲(例えば10.5mm)に設定されている。
【0026】
センター陸部12には、センター陸部12を横切る横のサイプ15、及びタイヤ周方向に連続してのびる縦のサイプ16が配される。しかし接地の際、各サイプ15、16がその開口を閉じることにより、センター陸部12は、実質的にリブ体を構成している。なおサイプ15、16の深さは、前記溝深さD
10の40〜60%が好ましい。
【0027】
又ショルダー陸部13には、トレッド接地端TEを横切ってのびる幅広の複数のショルダースロット20が配される。
【0028】
このショルダースロット20の内端部20aは、ショルダー陸部13内で途切れ、かつ外端部20bは、バットレス部21内で途切れている。又ショルダースロット20のタイヤ周方向の巾Waは、ショルダースロット20のタイヤ周方向ピッチPaの18〜28%の範囲である。本例のショルダースロット20は、一定の巾Waでタイヤ軸方向線に沿ってのびる。
【0029】
図1に示すように、ショルダースロット20は、トレッド接地端TE付近で最大深さD
20を有し、この最大深さ位置から内端部22a及び外端部22bに向かって深さが漸減する。前記最大深さD
20は、ショルダー主溝11の溝深さD
11の18〜22%であるのが好ましい。
【0030】
図2に示すように、ショルダー陸部13には、ショルダースロット20、20間に、トレッド接地端TEを横切ってショルダースロット20と平行にのびる2又は3本(本例では3本)のショルダーサイプ22が配される。このショルダーサイプ22も、その内端部22aがショルダー陸部13内で途切れ、かつ外端部22bがバットレス部21内で途切れている。又ショルダーサイプ22の深さもショルダースロット20と同様であり、その最大深さD
22(図示省略)は、ショルダー主溝11の溝深さD
11の18〜22%であるのが好ましい。
【0031】
又
図3に示すように、5%内圧状態におけるタイヤ子午断面において、トレッド部2の表面のトレッド輪郭線は、タイヤ赤道面Coに円弧中心を有する曲率半径R1の第1円弧部J1と、この第1円弧部に交点Qで交わり、かつ前記曲率半径R1の5〜15%の曲率半径R2の第2円弧部J2とから構成される。
【0032】
タイヤ赤道面Coから前記交点Qまでのタイヤ軸方向距離LQは、前記接地半幅Twの75〜85%である。又トレッド輪郭線とタイヤ赤道面Coとが交わるタイヤ赤道点Cpから前記交点Qまでのタイヤ半径方向距離L2(「キャンバー量L2」という場合がある。)は、前記接地半幅Twの1〜3%、かつタイヤ赤道点Cpからトレッド接地端TEまでのタイヤ半径方向距離L1(「キャンバー量L1」という場合がある。)は、前記接地半幅Twの4〜6%である。
【0033】
このような空気入りタイヤ1は、
(A)ショルダー陸部13に、周方向ピッチPaの18〜28%の巾Waを有するショルダースロット20を具えること;
(B)トレッド輪郭線が、第1円弧部J1に交点Qで交わる第2円弧部J2を具え、かつ第2円弧部J2が、その曲率半径R2を曲率半径R1の5〜15%とした小円弧で形成されること;
(C)前記交点Qのタイヤ軸方向距離LQが、接地半幅Twの75〜85%であること;
(D)前記交点Qのキャンバー量L2が、接地半幅Twの1〜3%であること;
(E)前記トレッド接地端TEのキャンバー量L1が、接地半幅Twの4〜6%であること:
が互いに協働することで、耐肩落ち摩耗性能とワンダリング性能とを高レベルで両立させることが可能になる。
【0034】
具体的には、第2円弧部J2を小円弧とすることが、大きなキャンバースラストを発生させる前提となる。このとき第2円弧部J2の曲率半径R2が小さ過ぎると、トレッド接地端TEのキャンバー量L1が大となり、肩落ち摩耗の発生傾向を招く。
【0035】
そこで、曲率半径R2を曲率半径R1の5〜15%の範囲に規制しながら、キャンバー量L1を、接地半幅Twの4〜6%と従来よりも低く設定している。これにより、ショルダ側の接地長を大きくして滑り量を減らし、耐肩落ち摩耗性能を向上させながら、小円弧の第2円弧部J2によって、キャンバースラストを大きくしてワンダリング性能を向上させることが可能になる。なお前記曲率半径R2が曲率半径R1の5〜15%の範囲から外れる場合、キャンバースラストを増大させる効果的が少なく、ワンダリング性能を十分に向上させることが難しくなる。このような観点から、曲率半径R2の下限は、曲率半径R1の7%以上が好ましく、又上限は12%以下が好ましい。又前記キャンバー量L1が接地半幅Twの6%を越えると、耐肩落ち摩耗性能の低下傾向となり、4%を下回ると、ワンダリング性能に悪影響を与える。
【0036】
又前記交点Qのタイヤ軸方向距離LQを、接地半幅Twの75〜85%とし、小円弧の第2円弧部J2を接地端近傍に限定的に設けている。これにより第2円弧部J2によるショルダ側の接地長への影響、即ち耐肩落ち摩耗性能への影響を抑えうる。前記タイヤ軸方向距離LQが接地半幅Twの75%を下回ると、第2円弧部J2によって肩落ち摩耗を悪化させる傾向を招く。逆に85%を越えると、第2円弧部J2が局部的となるため、ワンダリング性能の向上効果が低下する。このような観点から、タイヤ軸方向距離LQの下限は、接地半幅Twの78%以上が好ましく、又上限は82%以下が好ましい。
【0037】
又前記交点Qのキャンバー量L2自体が大きいと、ショルダー側の接地長が減じてしまう。そのため、このキャンバー量L2を、接地半幅Twの1〜3%の範囲に規制する必要がある。
【0038】
他方、耐肩落ち摩耗性能の制約があるため、第2円弧部J2だけではワンダリング性能の向上には限界がある。そこでショルダー陸部13に、ショルダースロット20を設けるとともに、その巾Waを、周方向ピッチPaの18〜28%と幅広に設定している。
【0039】
これにより、トレッド接地端TEを含む接地端周辺部の剛性を下げることができる。その結果、轍走行時、轍内の斜面や凹凸に当接したときの反力を減じ、轍直進性を向上しうる。又キャンバースラストが高まり、前記反力の減少と相俟って轍脱出性能を向上させうる。なおショルダーサイプ22も、ショルダースロット20と同様に機能し、ワンダリング性能をさらに向上させうる。
【0040】
ショルダースロット20の巾Waが周方向ピッチPaの18%を下回ると、接地端周辺部の剛性が十分に下がらず、ワンダリング性能の不足傾向を招く。逆に28%を越えると、操縦安定性の低下傾向を招く。同様に、ショルダースロット20の最大深さD
20が溝深さD
11の18%を下回ると、接地端周辺部の剛性が十分に下がらず、ワンダリング性能の不足傾向を招く。逆に22%を越えると、操縦安定性の低下傾向を招く。
【0041】
このように上記(A)〜(E)が互いに協働することで、耐肩落ち摩耗性能とワンダリング性能とを高レベルで両立させることが可能になる。
【0042】
なおショルダースロット20の内端部20aのトレッド接地端TEからのタイヤ軸方向距離Lb(
図2に示す)は、前記接地半幅Twの4〜7の範囲が好ましい。7%を越えると、操縦安定性の低下傾向を招き、逆に4%を下回ると、ワンダリング性能の不足傾向を招く。
【0043】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0044】
図1〜3に示す小型トラック用タイヤ(205/85R16)を、表1〜3の仕様で試作した。そして各試作タイヤのワンダリング性能、操縦安定性、及び耐肩落ち摩耗性能をテストした。表1以外は実質的に同仕様である。
【0045】
(1)ワンダリング性能:
試作タイヤを、リム(16×5.5J)、内圧(600kPa)にて小型トラック(積載量3トン)の全輪に装着し、轍を有する路面を走行し、轍直進性及び轍脱出性をドライバーの官能評価により10点法で表示した。結果は6点を基準として、数値が大きい程良好である。
【0046】
(2)操縦安定性:
上記車輌を用い、ドライアスファルト路面のテストコースを走行し、操縦安定性をドライバーの官能評価により10点法で表示した。結果は6点を基準として、数値が大きい程良好である。
【0047】
(3)耐肩落ち摩耗性:
上記車輌を用い、関東以西地区の一般道(一般道100%)を、15000km走行し、フロントに装着させたタイヤにおいて、センター主溝における摩耗量δc、及びショルダー主溝のタイヤ軸方向外側の壁面における摩耗量δsを測定した。そして摩耗量の比δc/δsの値で評価した。結果は、数値が1.0に近いほど摩耗が均一であり好ましく、又数値が低い程、耐肩落ち摩耗性能が悪い。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
表に示すように実施例品は、耐肩落ち摩耗性能とワンダリング性能とを高いレベルで両立させうるのが確認できる。