(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一読込手段によって前記第二記憶手段に記憶された前記特定データが、前記第一書込手段によって前記第二カセットの前記第一記憶手段に書き込まれた場合に、前記第二記憶手段から前記特定データを消去する第三消去手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
前記第二読込手段によって前記第二記憶手段に記憶された前記特定データが、前記第二書込手段によって前記第二カセットの前記第一記憶手段に書き込まれた場合に、前記第二記憶手段から前記特定データを消去する第四消去手段とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照し、本発明の第一実施形態を説明する。印刷装置1は、印刷媒体であるテープ50(
図2参照)にキャラクタ(文字、記号、数字、図形、絵文字等)を印刷してラベルを作成できる。テープ50は、非感熱式レセプタタイプである。以下の説明では、
図1の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、および下側を、それぞれ、印刷装置1の右側、左側、前側、後側、上側、および下側とする。
【0013】
図1、
図2を参照し、印刷装置1の機械的構成を説明する。
図1に示すように、印刷装置1は、直方体状の筐体である本体カバー2を備える。本体カバー2の上面前部には、キャラクタを入力するためのキーボード3が設けられる。キーボード3は、電源スイッチ、用途キー、カーソルキー等を含む。キーボード3の後側には、キャラクタを表示可能なディスプレイ5が設けられる。ディスプレイ5の後側には、本体カバー2に対して開閉可能なカセットカバー6が設けられる。本体カバー2の左面後部には、排出口9が設けられる。排出口9は、印刷されたテープ50を本体カバー2の内部から外部に排出する開口である。
【0014】
図2に示すように、本体カバー2の内部において、カセットカバー6(
図1参照)の下側には、装着部8が設けられる。装着部8は、テープカセット30の形状に対応する凹部である。装着部8には、テープカセット30が着脱可能に装着される。以下、装着部8に装着されたテープカセット30を、装着中のテープカセット30という。印刷装置1では、装着中のテープカセット30を用いて、キーボード3を介して入力されたキャラクタの印刷が実行される。
【0015】
テープカセット30は、直方体状の筐体であるカセットケース33を備える。カセットケース33の内部には、テープ50、テープ50への印刷に使用されるインクリボン60等が収容される。テープカセット30の左後部には、テープスプール40が回転可能に支持される。テープスプール40には、印刷前のテープ50が巻回される。テープカセット30の右前部には、リボンスプール42が回転可能に支持される。リボンスプール42には、未使用のインクリボン60が巻回される。テープスプール40とリボンスプール42との間には、リボン巻取スプール44が回転可能に支持される。リボン巻取スプール44は、リボンスプール42から未使用のインクリボン60を引き出すとともに、印刷に使用されたインクリボン60を巻き取る。テープカセット30の左前角部には、テープ駆動ローラ46が回転可能に支持される。テープ駆動ローラ46は、テープスプール40から印刷前のテープ50を引き出す。テープカセット30には、ICタグ47が搭載される。ICタグ47は、カセットケース33の内部おいて、右後角部に配置される。
【0016】
ICタグ47は、特定データ、テープ有無フラグ等を記憶できる。第一実施形態では、ICタグ47は、特定データとしてナンバリングデータを含む印刷データを記憶する。ナンバリングデータは、所定の配列順序で繰り返し更新可能な規則性を有するキャラクタ(以下、ナンバリングキャラクタという。)に対応する値(以下、ナンバリング値という。)を示す。ナンバリングキャラクタは、数字、アルファベット、仮名文字等である。例えば、ナンバリング値の「1」は、数字、アルファベット、仮名文字の「1」、「A」、「あ」に対応する。ナンバリング値の「2」は、数字、アルファベット、仮名文字の「2」、「B」、「い」に対応する。特定データは、ナンバリング値が対応するナンバリングキャラクタを印刷可能なデータである。特定データは、後述のナンバリング印刷で用いられる。テープ有無フラグは、テープカセット30のテープ50の残量(以下、媒体残量という。)が所定量(第一実施形態では、「0」)であるか否かを示す。テープ有無フラグは、予め「ON」となっており、媒体残量が「0」になると「OFF」となる。
【0017】
装着部8には、リボン巻取軸(図示略)、テープ駆動軸(図示略)、サーマルヘッド10、プラテン機構12、データ読込書込装置16、センサ21(
図3参照)等が設けられる。リボン巻取軸は、リボン巻取スプール44に挿入され、テープ送りモータ23(
図3参照)の駆動によって回転する。テープ駆動軸は、テープ駆動ローラ46に挿入され、テープ送りモータ23の駆動によって伝達機構(図示略)を介して回転する。サーマルヘッド10は、テープ駆動軸の右側に配置され、搬送されるテープ50に未使用のインクリボン60を用いて印刷を行う。プラテン機構12は、サーマルヘッド10との間でテープ50とインクリボン60とを互いに圧接して搬送する。
【0018】
データ読込書込装置16は、装着部8の右後部に配置され、装着中のテープカセット30のICタグ47に、カセットケース33の右側壁を間にして対向する。データ読込書込装置16は、装着中のテープカセット30のICタグ47に対して、RFID方式でデータの読み込みおよび書き込みができる。
【0019】
センサ21は、装着中のテープカセット30の媒体残量が「0」になったことを検出できる。センサ21は周知の光センサであり、発光素子と受光素子とを有する。センサ21は、テープカセット30内のテープ50に予め印刷された黒色のエンドマーク(図示略)を検出する。エンドマークは、例えばテープ50の終端から所定長さの位置に印刷されている。詳細には、センサ21は、発光素子からテープ50に向けて光を照射する。センサ21は、テープ50よって反射した光を受光素子によって受光する。センサ21は、受光した光の強度に基づいてエンドマークを検出する。センサ21は、例えばテープカセット30に設けられた窓部(図示略)に対向する位置に設けられる。センサ21は窓部から露出するエンドマークを検出する。
【0020】
排出口9の近傍には、カット機構17が設けられる。カット機構17は、カットモータ24(
図3参照)の駆動により、テープ50を所定の位置で切断する。
【0021】
図3を参照し、印刷装置1の電気的構成を説明する。印刷装置1は、制御回路部70を備える。制御回路部70は、制御基板(図示略)上に形成される。制御回路部70は、CPU71、ROM72、CGROM73、RAM74、フラッシュメモリ75、および入出力インタフェース77を備え、これらがデータバス69を介して接続される。
【0022】
CPU71は、印刷装置1を統括制御する。ROM72は、CPU71が各種プログラムを実行するときに必要な各種パラメータを記憶する。CGROM73は、キャラクタを印刷するための印刷用ドットパターンデータを記憶する。RAM74は、テキストメモリ、印刷バッファ等、複数の記憶領域を備える。フラッシュメモリ75は、CPU71が印刷装置1を制御するために実行する各種プログラムを記憶する。
【0023】
入出力インタフェース77には、キーボード3、液晶駆動回路(LCDC)25、駆動回路26、27、28、センサ21、およびデータ読込書込装置16が接続される。LCDC25は、ディスプレイ5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示略)を有する。駆動回路26は、サーマルヘッド10を駆動するための電子回路である。駆動回路27は、テープ送りモータ23を駆動するための電子回路である。駆動回路28は、カットモータ24を駆動するための電子回路である。
【0024】
ナンバリング印刷を説明する。第一実施形態の印刷装置1は、ナンバリング印刷を実行できる。ナンバリング印刷では、ナンバリングキャラクタが配列順序に沿って順次更新され、更新されたナンバリングキャラクタが印刷される。ナンバリング印刷を行う場合、ユーザはナンバリング回数を予め指定する。ナンバリング回数は、ナンバリング値が「1」加算される毎にカウントされる。ナンバリング印刷は、カウントされたナンバリング回数がユーザによって指定されたナンバリング回数に達すると終了する。例えば、最初のナンバリング値が「1」であり、ナンバリング回数が「3」に指定されたときのアルファベットのナンバリング印刷では、「A」、「B」、「C」が印刷される。
【0025】
図4を参照し、第一印刷制御処理を説明する。ユーザがキーボード3を操作してナンバリング印刷を開始するための印刷開始コマンド(以下、ナンバリング印刷開始コマンドという。)をCPU71に入力すると、CPU71は、フラッシュメモリ75に記憶されているプログラムに基づいて、第一印刷制御処理を実行する。ナンバリング印刷開始コマンドには、ナンバリング回数を指定するデータが含まれる。第一印刷制御処理では、ナンバリング印刷が制御される。なお、ユーザは、ナンバリング印刷開始コマンドを入力する前に、テープカセット30を装着部8に装着する。装着部8にテープカセット30が装着されると、CPU71は、データ読込書込装置16を介して、装着中のテープカセット30のICタグ47に対してデータの読み込みおよび書き込みが可能な状態となる。
【0026】
CPU71は、RAM74に記憶されている印刷中フラグを「ON」にする(S1)。印刷中フラグは、印刷装置1によって第一印刷制御処理が行われていることを示す。CPU71は、ナンバリング印刷開始コマンドによって指定されているナンバリング回数を、RAM74に記憶されたナンバリングカウンタにセットする(S2)。CPU71は、データ読込書込装置16を介して、特定データ(すなわち、ナンバリングデータを含む印刷データ)をICタグ47から読み込む(S3)。読み込まれた特定データは、RAM74に記憶される。
【0027】
CPU71は、RAM74に記憶された特定データ(印刷データ)に基づいて、ナンバリングデータが示すナンバリング値に対応するナンバリングキャラクタの印刷を行う(S4)。詳細には、テープ送りモータ23が駆動回路27を介して駆動されて、テープ50とインクリボン60の搬送制御が行われる。サーマルヘッド10が、テープ送りモータ23による搬送制御に同期して駆動回路26を介して駆動される。これにより、搬送されるテープ50に対して、インクリボン60が用いられ、ナンバリング値に対応するナンバリングキャラクタの印刷が行われる。以下、サーマルヘッド10による印刷に用いられているテープカセット30を、第一カセットという。一つのナンバリング値に対応するナンバリングキャラクタの印刷が終了すると、CPU71は印刷を終了する。
【0028】
CPU71は、ナンバリング値に「1」加算して、RAM74に記憶されているナンバリングデータ(特定データ)を更新する(S5)。CPU71は、RAM74に記憶されている特定データを、データ読込書込装置16を介して、第一カセットのICタグ47に既に記憶されている特定データに上書きする(S6)。これにより、第一カセットのICタグ47に記憶されている特定データ(ナンバリングデータ)が更新される。よって、印刷装置1は、次回S2で第一カセットのICタグ47から特定データを読み込んでナンバリング印刷を行う際に、今回の印刷の続きのナンバリング値に対応するナンバリングキャラクタを印刷できる。
【0029】
CPU71は、ナンバリングカウンタの値を「1」減算する(S7)。CPU71は、ナンバリングカウンタの値が「0」であるかを判断する(S8)。ナンバリングカウンタの値が「0」でない場合(S8:NO)、CPU71は、処理をS4に戻し、ナンバリングカウンタの値が「0」になるまで印刷を繰り返す。これにより、ナンバリングキャラクタが印刷される毎に「1」加算されたナンバリング値に対応するナンバリングキャラクタ(例えば、「A」、「B」、「C」・・・)が順次印刷される。ナンバリングカウンタの値が「0」になると(S8:YES)、CPU71は、特定データをRAM74から消去する(S9)。CPU71は、印刷中フラグを「OFF」にし(S10)、第一印刷制御処理を終了する。
【0030】
図5、
図6を参照し、第一移行処理を説明する。ユーザがキーボード3を操作してナンバリング印刷開始コマンドをCPU71に入力すると、CPU71は、フラッシュメモリ75に記憶されているプログラムに基づいて、第一移行処理を実行する。すなわち、ナンバリング印刷開始コマンドがCPU71に入力されると、第一移行処理と第一印刷制御処理(
図4参照)とはマルチタスクにて実行される。
【0031】
図5に示すように、CPU71は、センサ21によって検出された光の強度に基づいて、テープ50に予め印刷されたエンドマークを検出したかを判断する(S21)。すなわち、第一カセットの媒体残量が所定量になったかが判断される。エンドマークを検出していない場合(S21:NO)、CPU71は、印刷中フラグが「ON」であるかを判断する(S22)。印刷中フラグが「ON」の場合(S22:YES)、CPU71は、処理をS21に戻し、エンドマークを検出したかの判断を繰り返す。印刷中フラグが「OFF」の場合(S22:NO)、CPU71は第一移行処理を終了する。エンドマークを検出した場合(S21:YES)、CPU71は、データ読込書込装置16を介して、第一カセットのICタグ47に記憶されているテープ有無フラグを「OFF」にする(S23)。
【0032】
CPU71は、データ読込書込装置16を介して第一カセットのICタグ47に特定データが記憶されているかを判断する(S24)。第一カセットのICタグ47に特定データが記憶されていない場合(S24:NO)、CPU71は、第一移行処理を終了する。第一カセットのICタグ47に特定データが記憶されている場合(S24:YES)、CPU71は、データ移行処理(
図6参照)を実行し(S25)、第一移行処理を終了する。
【0033】
図6を参照し、データ移行処理を説明する。データ移行処理では、特定データ(すなわち、ナンバリングデータを含む印刷データ)がフラッシュメモリ75を介して第一カセットのICタグ47から後述の第二カセットのICタグ47に移行される。CPU71は、読取動作を実行する(S41)。具体的には、CPU71は、データ読込書込装置16を介して、第一カセットのICタグ47から特定データを読み込む。CPU71は、読み込んだ特定データをフラッシュメモリ75に記憶する。CPU71は、データ読込書込装置16を介して、第一カセットのICタグ47から特定データを消去する(S42)。
【0034】
CPU71は、カセット交換指示画面をディスプレイ5に表示する(S43)。カセット交換指示画面は、媒体残量が「0」になった第一カセットを新たなテープカセット30に交換することをユーザに促す。カセット交換指示画面では、ユーザはテープカセット30の交換のキャンセルを入力できる。
【0035】
CPU71は、キーボード3を介してキャンセルが入力されたかを判断する(S44)。キャンセルが入力された場合(S44:YES)、CPU71は、フラッシュメモリ75から特定データを消去する(S47)。すなわち、特定データは、S42、S47によって第一カセットのICタグ47およびフラッシュメモリ75のいずれ
も消去されることとなる。例えば、第一カセットのICタグ47に記憶された特定データを交換後のテープカセット30のICタグ47に移行せず、継続して利用しない場合、ユーザはキャンセルを入力する。これにより、継続利用しない特定データが抹消されるので、印刷装置1は継続利用しない特定データが他のテープカセット30のICタグ47等に記憶されることを抑制でき、セキュリティを向上できる。
【0036】
ユーザは、キャンセルを入力しない場合、装着中のテープカセット30を交換する。すなわち、ユーザは第一カセットのテープ50を使い切ると、新たなテープカセット30に交換する。以下、S41で読込動作が実行された後に装着部8に装着されたテープカセット30を、第二カセットという。
【0037】
キャンセルが入力されていない場合(S44:NO)、CPU71は、データ読込書込装置16を介して、第二カセットが、媒体残量が「0」を超え、且つICタグ47に特定データが記憶されていないテープカセット30(以下、新規カセットという。)であるかを判断する(S45)。新規カセットは、例えば未使用のテープカセット30である。テープ有無フラグが「ON」であり、且つ第二カセットのICタグ47に特定データが記憶されていない場合、CPU71は、第二カセットが新規カセットであると判断する。第二カセットが新規カセットでない場合(S45:NO)、CPU71は、処理をS44に戻し、キャンセルが入力されるまで、または装着部8に新規カセットが装着されるまでS44、S45を繰り返す。
【0038】
第二カセットが新規カセットの場合(S45:YES)、CPU71は、書込動作を実行する(S46)。具体的には、CPU71は、フラッシュメモリ75に記憶されている特定データを、第二カセットのICタグ47に書き込む。CPU71は、フラッシュメモリ75から特定データを消去し(S47)、処理を第一移行処理(
図5参照)に戻す。
【0039】
以上説明したように、媒体残量が所定量(「0」)になると(S21:YES)、自動的に読込動作が実行され、第一カセットのICタグ47から特定データが読み込まれてフラッシュメモリ75に記憶される(S41)。媒体残量が所定量になった第一カセットが交換されると、第二カセットが新規カセットであるかがCPU71によって判断される(S45)。第二カセットが新規カセットであると判断されると(S45:YES)、自動的に書込動作が実行され、フラッシュメモリ75に記憶された特定データが第二カセットのICタグ47に書き込まれる(S46)。これにより、テープカセット30の交換前に利用していた特定データが、第二カセットのICタグ47に記憶されるので、媒体残量が所定量になって第一カセットが交換された場合でも、ユーザは、特定データを継続して利用できる。従って、印刷装置1は、交換前のテープカセット30のICタグ47に記憶された特定データをテープカセット30の交換後に容易に利用できる。
【0040】
具体的には、第一実施形態の印刷装置1は、特定データとしてナンバリングデータを含む印刷データを、第一カセットのICタグ47から第二カセットのICタグ47に移行できる。例えばナンバリング印刷の実行中に媒体残量が所定量になると、現在のナンバリング値を示すナンバリングデータを含む印刷データが、媒体残量が所定量になった第一カセットのICタグ47から新規カセットである第二カセットのICタグ47に移行される。よって、第二カセットを用いてナンバリング印刷を行う場合、印刷装置1は、ナンバリング値を第一カセットにおいてカウントされていたナンバリング値の続きからカウントできる。すなわち、媒体残量が所定量になって第一カセットを交換した場合でも、印刷装置1は、第一カセットを用いて印刷されたナンバリングキャラクタの配列順序の続きから、第二カセットを用いて印刷できる。従って、ユーザは、ナンバリングデータを含む印刷データを容易に管理できる。
【0041】
媒体残量が「0」になると、自動的に読込動作が実行され、ユーザが第一カセットを新規カセットに交換すると、自動的に書込動作が実行される。すなわち、媒体残量が「0」になったとき、ユーザは第一カセットを新規カセットに交換するだけで、第一カセットのICタグ47から交換後のテープカセット30のICタグ47に特定データを移行できる。従って、印刷装置1は、交換前のテープカセット30のICタグ47から交換後のテープカセット30のICタグ47に特定データを移行する際のユーザの操作を軽減できる。
【0042】
第一カセットのICタグ47から特定データが読み込まれると(S41)、第一カセットのICタグ47から特定データが消去される(S42)ので、複数のICタグ47に特定データが記憶されることが抑制される。従って、印刷装置1は、一つのテープカセット30に特定データを紐付けることにより、特定データの拡散を抑制でき、特定データを容易に管理できる。
【0043】
フラッシュメモリ75に記憶された特定データが第二カセットのICタグ47に書き込まれると(S46)、フラッシュメモリ75から特定データが消去される(S47)。よって、複数のICタグ47に特定データが記憶されることが抑制されるので、印刷装置1は、特定データの拡散を抑制できる。
【0044】
テープ50がカセットケース33の内部に収容されているので、印刷装置1は、例えばテープカセット30の交換時にテープ50が損傷することを抑制できる。
【0045】
媒体残量が「0」になると(S21:YES)、読込動作が実行される(S41)。すなわち、印刷装置1は、テープ50を使い切った第一カセットのICタグ47から特定データを読み込む。テープ50がなくなった(すなわち、媒体残量が「0」になった)場合、ユーザは新規カセットに交換する。従って、印刷装置1は、第一カセットのテープ50を使い切ったタイミング、すなわち、第一カセットを新規カセットに交換するタイミングで、交換前のテープカセット30のICタグ47から交換後のテープカセット30のICタグ47に特定データを移行できる。
【0046】
図7、
図8を参照し、本発明の第二実施形態を説明する。第二実施形態の機械的構成(
図1、
図2参照)および電気的構成(
図3参照)は、第一実施形態と同一なので、説明を省略する。第二実施形態では、ICタグ47が特定データとして解除キーを記憶する点が第一実施形態とは異なる。解除キーは、テープカセット30の利用規制が解除されていることを示すデータである。印刷装置1は、ICタグ47に解除キーが記憶されているテープカセット30を用いて印刷できる(すなわち、テープカセット30の利用規制が解除されている。)。印刷装置1は、ICタグ47に解除キーが記憶されていないテープカセット30を用いて印刷できない(すなわち、テープカセット30の利用が規制されている。)。
【0047】
図7を参照し、第二印刷制御処理を説明する。第二実施形態では、第一印刷制御処理(
図4参照)の代わりに第二印刷制御処理が行われる。ユーザがキーボード3を操作して印刷を開始するための印刷開始コマンドをCPU71に入力すると、CPU71は、フラッシュメモリ75に記憶されているプログラムに基づいて、第二印刷制御処理を実行する。
【0048】
CPU71は、データ読込書込装置16を介して、装着中のテープカセット30のICタグ47を読み込む(S51)。CPU71は、読み込んだ結果、装着中のテープカセット30のICタグ47に解除キー(すなわち、特定データ)が記憶されているかを判断する(S52)。解除キーが記憶されていない場合(S52:NO)、CPU71は、利用不可画面をディスプレイ5に表示する(S53)。利用不可画面は、装着中のテープカセット30を用いて印刷できないことをユーザに報知する。CPU71は、報知音の出力、エラーランプの点灯等を行うことで、装着中のテープカセット30を用いて印刷できないことをユーザに報知してもよい。これにより、ユーザは装着中のテープカセット30のICタグ47に解除キーが記憶されていないことを把握できる。CPU71は、第二印刷制御処理を終了する。
【0049】
解除キーが記憶されている場合(S52:YES)、CPU71は、印刷中フラグを「ON」にする(S54)。CPU71は、印刷を制御する(S55)。印刷が終了すると、CPU71は、印刷中フラグを「OFF」にし(S56)、第二印刷制御処理を終了する。
【0050】
第二実施形態では、第一実施形態と同様に、第一移行処理(
図5、
図6参照)が実行される。ユーザがキーボード3を操作して印刷開始コマンドをCPU71に入力すると、CPU71は、フラッシュメモリ75に記憶されているプログラムに基づいて、第一移行処理を実行する。すなわち、印刷開始コマンドがCPU71に入力されると、第一移行処理と第二印刷制御処理(
図7参照)とはマルチタスクにて実行される。第二実施形態の第一移行処理のフローは、第一実施形態と同じであるので、説明を簡略化する。
【0051】
図5に示すように、エンドマークを検出すると(S21:YES)、所定の処理(S23、S24:YES)の後、CPU71はデータ移行処理(
図6参照)を実行する(S25)。
図6に示すように、CPU71は、読込動作を実行する(S41)。具体的には、CPU71は、データ読込書込装置16を介して、第一カセットのICタグ47から解除キー(すなわち、特定データ)を読み込む。CPU71は、読み込んだ解除キーをフラッシュメモリ75に記憶する。CPU71は、データ読込書込装置16を介して、第一カセットのICタグ47から解除キーを消去する(S42)。ユーザは第一カセットを新規カセットに交換する。所定の処理(S43、S44:NO)の後、第二カセットが新規カセットの場合(S45:YES)、CPU71は、書込動作を実行する(S46)。具体的には、CPU71は、フラッシュメモリ75に記憶されている解除キーを、第二カセットのICタグ47に書き込む。CPU71は、フラッシュメモリ75から解除キーを消去し(S47)、処理を第一移行処理(
図5参照)に戻す。
【0052】
図8を参照し、管理者モード処理を説明する。新規カセットを用いる場合、ICタグ47に解除キー(すなわち、特定データ)が記憶されていないので、ユーザは新規カセットのICタグ47に解除キーを記憶させる必要がある。第一カセットのICタグ47に記憶された解除キーを、フラッシュメモリ75を介して、新規カセットのICタグ47に記憶する場合、上記第一移行処理において、キャンセルを入力せずに(S44:NO)、新規カセットを装着部8に装着する。印刷装置1は、所定の管理者モードにおいて、解除キーを記憶できる。例えば、利用可能なテープカセット30の個数を増やす場合、ユーザ(例えば、テープカセット30の管理者)は管理者モードにおいて、新規カセットのICタグ47に解除キーを記憶させる。管理者は、管理者モードを選択する操作を行う前に、解除キーを記憶させるテープカセット30を装着部8に装着する。管理者がキーボード3を操作して管理者モードを選択した場合、CPU71は、フラッシュメモリ75に記憶されているプログラムに基づいて、管理者モード処理を実行する。
【0053】
CPU71は、パスワード要求画面をディスプレイ5に表示する(S61)。パスワード要求画面は、管理者モードへ移行するためのパスワードの入力をユーザに促す。管理者は、キーボード3を操作してパスワードを入力する。CPU71は、キーボード3を介して入力されたパスワードを取得する(S62)。CPU71は、予め設定されているパスワードに基づいて、取得したパスワードが有効であるかを判断する(S63)。取得したパスワードが無効の場合(S63:NO)、CPU71は、管理者モードへ移行せずに管理者モード処理を終了する。
【0054】
取得したパスワードが有効の場合(S63:YES)、CPU71は、管理者モードへ移行する(S64)。管理者モードでは、管理者はキーボード3を操作して解除キーを装着中のテープカセット30のICタグ47に記憶させる指示(以下、解除指示という。)を入力できる。CPU71は、キーボード3を介して入力された解除指示を取得する(S65)。CPU71は、データ読込書込装置16を介して、装着中のテープカセット30のICタグ47に解除キーを記憶する(S66)。これにより、印刷装置1は、装着中のテープカセット30を用いて印刷できるようになる。CPU71は、管理者モードを終了し(S67)、管理者モード処理を終了する。
【0055】
以上説明したように、第二実施形態の印刷装置1は、特定データとして解除キーを、第一カセットのICタグ47から第二カセットのICタグ47に移行できる。例えば媒体残量が「0」になると、解除キーが、媒体残量が「0」になった第一カセットのICタグ47から新規カセットである第二カセットのICタグ47に移行される。例えば、使用中のテープカセット30の媒体残量が「0」になるまで、管理者が解除キーを新規カセットのICタグに記憶させない限り、印刷装置1は、新規カセットを用いて印刷できない。よって、印刷装置1は、無駄なテープ50の消費を抑制できる。
【0056】
例えば、管理者モードへ移行するためのパスワードを知っているユーザ(管理者)のみ新規カセットのICタグ47への解除キーの書き込み権限を持っているので、印刷装置1は、利用可能となっているテープカセット30の個数を把握しやすい。
【0057】
上記第一実施形態および第二実施形態において、ICタグ47が本発明の「第一記憶手段」に相当する。テープ50が本発明の「印刷媒体」に相当する。テープカセット30が本発明の「カセット」に相当する。装着部8が本発明の「装着部」に相当する。サーマルヘッド10が本発明の「印刷手段」に相当する。
図5のS21を実行するCPU71が本発明の「第一判断手段」に相当する。フラッシュメモリ75が本発明の「第二記憶手段」に相当する。
図6のS41を実行するCPU71が本発明の「第一読込手段」に相当する。
図6のS42を実行するCPU71が本発明の「第一消去手段」に相当する。
図6のS45を実行するCPU71が本発明の「第二判断手段」に相当する。
図6のS46を実行するCPU71が本発明の「第一書込手段」に相当する。
図6のS47を実行するCPU71が本発明の「第三消去手段」に相当する。
【0058】
本発明は、上記第一実施形態および第二実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第一実施形態および第二実施形態の変形例の印刷装置1は、
図6に示すデータ移行処理の代わりに
図9に示すデータ移行処理を実行してもよい。
図9を参照し、変形例のデータ移行処理について、
図6に示すデータ移行処理と異なる点を主に説明する。
図9に示すデータ移行処理では、S41の前にS401、S402が行われる点、S44の代わりにS441が行われる点が
図6に示すデータ移行処理と異なる。エンドマークが検出された場合(S21:YES)、すなわち、第一カセットの媒体残量が所定量(例えば、「0」)になった場合、所定の処理(S23、S24:YES)の後、CPU71は
図9に示すデータ移行処理を実行する(S25)。
【0059】
図9に示すように、CPU71は、データ読込確認画面をディスプレイ5に表示する(S401)。データ読込確認画面では、ユーザは読込動作を実行させる指示(以下、読込指示という。)をCPU71に入力するか否
かを、キーボード3を操作して選択する。CPU71は、キーボード3を介して読込指示があるかを判断する(S402)。例えば、第一カセットのICタグ47に記憶された特定データを後から新規カセットのICタグ47に移行する場合、ユーザは読込指示を入力しない。読込指示がない場合(S402:NO)、CPU71は、処理を第一移行処理(
図5参照)に戻す。読込指示があった場合(S402:YES)、CPU71は、読込動作を実行する(S41)。
【0060】
CPU71は、第一カセットのICタグ47から特定データを消去し(S42)、カセット交換指示画面をディスプレイ5に表示する(S43)。カセット交換指示画面では、ユーザは書込動作を実行させる指示(以下、書込指示という。)をCPU71に入力するか否かを、キーボード3を操作して選択する。CPU71は、キーボード3を介して書込指示があるかを判断する(S441)。書込指示がない場合(S441:NO)、すなわち、キャンセルが入力された場合、CPU71は、フラッシュメモリ75から特定データを消去する(S47)。書込指示があり(S441:YES)、第二カセットが新規カセットの場合(S45:YES)、CPU71は、書込動作を実行する(S46)。
【0061】
変形例の印刷装置1は、第二移行処理(
図10参照)を実行する。変形例の印刷装置1では、データ読込確認画面が表示された際に(S401)、読込指示が入力されない場合(S402:NO)がある。この場合、テープカセット30のICタグ47に特定データが記憶された状態で、CPU71は処理を第一移行処理(
図5参照)に戻し、第一移行処理を終了する。この場合、テープカセット30は、媒体残量が「0」であり、ICタグ47には特定データが記憶された状態となる。ユーザは、例えば媒体残量が「0」であり、ICタグ47に特定データが記憶されているテープカセット30を、装着部8に装着する。CPU71は、印刷中フラグが「OFF」であり、データ読込書込装置16を介して、装着中のテープカセット30のICタグ47に対してデータの読み込みおよび書き込みが可能な状態となった場合、フラッシュメモリ75に記憶されているプログラムに基づいて、第二移行処理を実行する。
【0062】
図10に示すように、CPU71は、データ読込書込装置16を介して、装着中のテープカセット30のICタグ47に記憶されているテープ有無フラグが「OFF」であるかを判断する(S81)。すなわち、装着中のテープカセット30の媒体残量が所定量であるかが判断される。テープ有無フラグが「ON」の場合(S81:NO)、CPU71は、第二移行処理を終了する。テープ有無フラグが「OFF」の場合(S81:YES)、CPU71は、データ読込書込装置16を介して、装着中のテープカセット30のICタグ47に特定データが記憶されているかを判断する(S82)。装着中のテープカセット30のICタグ47に特定データが記憶されていない場合(S82:NO)、CPU71は、第二移行処理を終了する。装着中のテープカセット30のICタグ47に特定データが記憶されている場合(S82:YES)、CPU71は、変形例のデータ移行処理(
図9参照)を実行する(S83)。これにより、媒体残量が「0」のテープカセット30のICタグ47から新規カセットのICタグ47に特定データが移行できるようになる。CPU71は、第二移行処理を終了する。
【0063】
変形例の印刷装置1によれば、媒体残量が「0」になると(S21:YES)、読込指示を取得した
か判断される(S402)。読込指示が取得され(S402:YES)、読込動作が実行されると(S41)、第一カセットのICタグ47から特定データが読み込まれてフラッシュメモリ75に記憶される。ユーザは媒体残量が「0」になった第一カセットを新規カセットに交換する。書込指示が取得され(S441:YES)、書込動作が実行されると(S46)、フラッシュメモリ75に記憶された特定データが第二カセットのICタグ47に書き込まれる。これにより、テープカセット30の交換前に利用していた特定データが、第二カセットのICタグ47に記憶されるので、媒体残量が「0」になってテープカセット30が交換された場合でも、ユーザは、特定データを継続して利用できる。従って、変形例の印刷装置1は、交換前のテープカセット30のICタグ47に記憶された特定データをテープカセット30の交換後に容易に利用できる。
【0064】
装着中のテープカセット30のICタグ47から特定データを読み込む(S41)前に、CPU71が、読込指示を取得したかを判断する(S402)ので、ユーザは装着中のテープカセット30のICタグ47から特定データを読み込むか否かを選択できる。よって、変形例の印刷装置1は、ユーザのタイミングで特定データを読み込むことができる。
【0065】
装着中のテープカセット30のICタグ47に特定データを書き込む(S46)前に、CPU71が、書込指示を取得したかを判断する(S441)ので、ユーザは装着中のテープカセット30のICタグ47に特定データを書き込むか否かを選択できる。よって、変形例の印刷装置1は、ユーザの所望しないテープカセット30のICタグ47に特定データを書き込むことを抑制できる。
【0066】
上記変形例において、
図9のS402を実行するCPU71が本発明の「第三判断手段」に相当する。
図9のS41を実行するCPU71が本発明の「第二読込手段」に相当する。
図9のS42を実行するCPU71が本発明の「第二消去手段」に相当する。
図9のS441を実行するCPU71が本発明の「第四判断手段」に相当する。
図9のS46を実行するCPU71が本発明の「第二書込手段」に相当する。
図9のS47を実行するCPU71が本発明の「第四消去手段」に相当する。
【0067】
CPU71は、センサ21によって検出された光の強度に基づいて、テープ50に予め印刷されたエンドマークを検出したかを判断することで、媒体残量が所定量になったかを判断しているが、他の方法で媒体残量が所定量になったかを判断してもよい。例えば、CPU71は、テープ送りモータ23の回転量をフラッシュメモリ75に記憶し、フラッシュメモリ75に記憶されたテープ送りモータ23の回転量に基づいて、媒体残量が所定量になったかを判断してもよい。
【0068】
所定量は、「0」であるが、「0」を超える量であってもよい。媒体残量を使い切ったタイミングで第一カセットのICタグ47から特定データが読み込まれる(S41)ことが好ましいことに鑑みれば、所定量は、印刷が不可能または困難な媒体残量(例えば、略0)であることが好ましい。
【0069】
特定データは、ナンバリングデータを含む印刷データ、解除キーに限定されず、例えばテープカセット30の種類(テープ50の色、幅等)を示すデータ、印刷に関する設定(フォント、キャラクタの大きさ、キャラクタの色等)を示すデータ等でもよい。特定データは、ICタグ47に記憶された一部のデータに限らず、ICタグ47に記憶された全部のデータであってもよい。
【0070】
印刷装置1は、例えばテープカセット30の代わりにICタグ47を有するインクカートリッジを用いて印刷を行うインクジェットプリンタでもよい。この場合、インクカートリッジが本発明のカセットに相当する。インクカートリッジに収容されたインクが本発明の印刷媒体に相当する。印刷装置1は、テープカセット30の代わりに、ICタグ47を有するリボンカセットを採用してもよい。リボンカセットにはインクリボンが収容されている。この場合、リボンカセットが本発明のカセットに相当する。インクリボンが本発明の印刷媒体に相当する。
【0071】
なお、CPU71の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。第一移行処理等は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。ROM72およびフラッシュメモリ75は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。プログラムは、例えば、ネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、フラッシュメモリ75に記憶されてもよい。この場合、プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。