(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管理側通信インターフェース及び前記端末側通信インターフェースは、Bluetooth(登録商標)通信を実行するための通信インターフェースである、請求項1又は2に記載の管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に示す技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。
【0011】
(特徴1)端末装置には、端末装置を示す識別情報が割り当てられていてもよい。管理側制御部は、送電部が送電を実行する場合に、送電部に特定の情報を外部に出力させてもよい。端末側制御部は、第1の電源回路から電力が供給されるとともに、受電部によって特定の情報が取得され、取得された特定の情報が識別情報に関係すると判定される特定の場合に、第1の電源回路から供給される電力を利用して、端末側インターフェースを介して外部に無線接続要求を出力してもよく、第1の電源回路から電力が供給されるとともに、受電部によって特定の情報が取得され、取得された特定の情報が識別情報に関係しないと判定される場合に、無線接続要求を出力しなくてもよい。
【0012】
この構成によると、制御部は、特定の情報が識別情報に関係すると判定される特定の場合に限り、外部に無線接続要求を出力する。これにより、管理装置は、識別情報により示される端末装置との間でのみ無線通信接続を確立することができる。
【0013】
(特徴2)管理側通信インターフェース及び端末側通信インターフェースは、Wi−Fi通信を実行するための通信インターフェースであってもよい。
【0014】
(特徴3)管理側通信インターフェース及び端末側通信インターフェースは、Bluetooth(登録商標)通信を実行するための通信インターフェースであってもよい。
【0015】
(第1実施例)
(システム構成;
図1)
図1に示す管理システム2は、管理装置10と端末装置100を備える。端末装置100は、端末装置100に接続されるバッテリ140とともに、梱包容器200に梱包されている。即ち、
図1の端末装置100は出荷前の状態である。この状態では、端末装置100には、バッテリ140が接続されていない。
【0016】
(管理装置10)
管理装置10は、出荷前の端末装置(例えば、端末装置100)を管理するための装置である。管理装置10は、RFID(Radio Frequency Identifierの略)タグ通信部12と、Wi−Fiインターフェース16と、制御部20と、メモリ30と、を備える。以下では、インターフェースのことを「I/F」と呼ぶ。
【0017】
RFIDタグ通信部12は、アンテナ(図示省略)と、当該アンテナを介してRFID方式に従った電波を送受信するため送受信回路(図示省略)を含む。送受信回路は、符号化部、変調部、発振器、増幅器等を有している。送受信回路は、制御部20から送信対象のデジタル信号を取得すると、取得済みのデジタル信号を変調し、変調済みの電波を送信する。制御部20は、RFIDタグ通信部12を介して、電波の送信範囲内に存在するRFIDタグ(例えばRFIDタグ112)と通信を実行することができる。制御部20は、RFIDタグ通信部12を介してRFIDタグと通信を実行することにより、RFIDタグに記録された情報の読み取り、及び、RFIDタグへの情報の書き込みを実行することができる。
【0018】
Wi−FiI/F16は、Wi−Fi(Wi−Fi Allianceの登録商標)規格に従った無線通信を実行するためのインターフェースである。
【0019】
制御部20は、メモリ30に記憶されているプログラム32に従って、様々な処理を実行する。メモリ30は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ30は、さらに、更新ファイル34を記憶する。
【0020】
更新ファイル34は、端末装置のプログラム(例えば、端末装置100のプログラム132)を更新するためのファイルである。後で説明するように、制御部20は、端末装置との間で、Wi−FiI/F16を介した無線通信接続が確立された後で(
図2のS14)、端末装置から準備完了コマンドを受信すると(S16でYES)、当該端末装置に対して更新ファイル34を送信する。
【0021】
(端末装置100)
本実施例の端末装置100は、携帯型の端末装置であり、例えば、バーコード、2次元コード等の各種情報コードに記録されたデータを読み取るための情報コード読取装置である。なお、他の例では、端末装置100は、情報コード読取装置に限られず、携帯電話(例えばスマートフォン)、PDA、ノートPC、タブレット端末、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置、RFIDタグリーダライタ等、任意の可搬型の装置であってもよい。端末装置100は、RFIDタグ112と、第1の電源回路113と、バッテリ端子114と、第2の電源回路115、Wi−FiI/F116と、電源ボタン118と、制御部120と、メモリ130と、を備える。
【0022】
RFIDタグ112は、公知のRFIDタグである。RFIDタグ112は、メモリ112aと、アンテナコイル112bと、制御回路112cと、を備える。アンテナコイル112bは、電波を受信すると、受信された電波から電力を生成する。生成済みの電力は、制御回路112cに供給される。制御回路112cは、アンテナコイル112bから供給される電力を利用して動作する。制御回路112cは、アンテナコイル112bによって受信された電波を復調して、デジタル信号を生成する。そして、制御回路112cは、生成済みのデジタル信号に従って、様々な処理を実行する。例えば、生成済みのデジタル信号に含まれる情報をメモリ112aに書き込む処理、端末装置100の第1の電源回路113にON信号を供給する処理等である。
【0023】
第1の電源回路113は、アンテナコイル112bで生成される電力を制御部120に供給するための回路である。第1の電源回路113は、アンテナコイル112bと制御部120の間に接続され、アンテナコイル112bと制御部120の間の経路(以下では「第1の経路」と呼ぶ)の遮断と導通を切り替える。第1の電源回路113は、RFIDタグ112からON信号が供給される場合に、第1の経路を遮断から導通に切り替える。これにより、アンテナコイル112bで生成される電力が制御部120に供給される。
【0024】
バッテリ端子114は、バッテリ140を端末装置100に接続するための端子である。上記したように、端末装置100は、出荷前の状態である。この状態では、バッテリ端子114には、バッテリ140が接続されていない。
【0025】
第2の電源回路115は、バッテリ端子114に接続されるバッテリ140の電力を制御部120に供給するための回路である。第2の電源回路115は、バッテリ端子114と制御部120の間に接続され、バッテリ端子114と制御部120の間の経路(以下では「第2の経路」と呼ぶ)の遮断と導通を切り替える。第2の電源回路115は、バッテリ140がバッテリ端子114に接続された状態で、電源ボタン118が押し下げられることに応じて、電源ボタン118からON信号が供給される場合に、第2の経路を遮断から導通に切り替える。これにより、バッテリ端子114に接続されるバッテリ140の電力が制御部120に供給される。
【0026】
Wi−FiI/F116は、Wi−Fi通信を実行するためのインターフェースである。
【0027】
制御部120は、メモリ130に記憶されているプログラム132に従って、様々な処理を実行する。メモリ130は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ130は、さらに、端末装置100を識別するための端末IDを記憶する。端末IDは、端末装置100(即ち自機)を識別するためのユニークな情報である。端末IDは、端末装置100の製造時に端末装置100に割り当てられる。
【0028】
(更新ファイル送信処理:
図2)
続いて、
図2を参照して、管理装置10の制御部20が実行する更新ファイル送信処理の内容を説明する。更新ファイル送信処理は、端末装置に更新ファイルを送信するための処理である。制御部20は、更新ファイル送信処理を開始するための開始指示を受け付けると、
図2の更新ファイル送信処理を開始する。開始指示は、更新ファイルの送付先の端末装置(例えば端末装置100。以下では「対象装置」と呼ぶ場合がある)の端末ID(例えば、端末装置100の端末ID。以下では「対象ID」と呼ぶ場合がある)の入力を含む。
【0029】
S10では、制御部20は、開始指示において入力された対象IDを含むデジタル信号を生成し、当該デジタル信号をRFIDタグ通信部12に供給する。そして、制御部20は、RFIDタグ通信部12に、当該デジタル信号の変調と変調済みの電波の出力を実行させる。即ち、制御部20は、RFIDタグ通信部12に、開始指示において入力された対象IDを含む電波の出力(即ち送電)を開始させる。
【0030】
S12では、制御部20は、RFIDタグ通信部12が送電(即ち電波の出力)を実行している間に、Wi−FiI/F16を介して、無線接続要求を受信することを監視する。無線接続要求は、RFIDタグ通信部12が送信した電波を受信した端末装置(例えば、端末装置100)と管理装置10との間に無線通信接続(即ちWi−Fi接続)を確立することを要求するためのコマンドである。
【0031】
後で詳しく説明する通り、端末装置(例えば端末装置100)の制御部が、RFIDタグ通信部12が出力する電波を受信する場合(
図3のS50でYES)において、電波に含まれる対象IDが、電波を受信した端末装置の端末IDと一致するとき(即ち電波を受信した端末装置が対象装置である場合。S52でYES)に、当該端末装置の制御部は、管理装置に無線接続要求を送信する(S54)。
【0032】
この場合、制御部20は、Wi−FiI/F16を介して、端末装置から無線接続要求を受信する。この場合、制御部20はS12でYESと判断し、S14に進む。
【0033】
S14では、制御部20は、Wi−FiI/F16を介して、対象装置とのWi−Fi接続を確立するための様々な通信を実行する。当該通信は、例えば、SSID(Service Set Identifierの略)を含む信号の送信、パスワード等を利用した認証のための通信等を含む。そして、制御部20は、対象装置との間でWi−FiI/F16を介したWi−Fi接続を確立する。
【0034】
S16では、制御部20は、Wi−FiI/F16を介して、確立済みのWi−Fi接続を利用して、対象装置から準備完了コマンドを受信することを監視する。準備完了コマンドは、対象装置において、管理装置10から更新ファイルを受信する準備が完了したことを示すコマンドである。
【0035】
後で詳しく説明する通り、対象装置の制御部は、無線接続要求の送信後(
図3のS54)、管理装置10との間にWi−Fi接続が確立された場合(S56でYES)に、管理装置10に準備完了コマンドを送信する。
【0036】
この場合、制御部20は、Wi−FiI/F16を介して、対象装置から準備完了コマンドを受信する。この場合、制御部20はS16でYESと判断し、S18に進む。
【0037】
S18では、制御部20は、Wi−FiI/F16を介して、確立済みのWi−Fi接続を利用して、メモリ30内の更新ファイル34を対象装置に送信する。
【0038】
続くS20では、制御部20は、Wi−FiI/F16を介して、確立済みのWi−Fi接続を利用して、対象装置から更新完了コマンドを受信することを監視する。更新完了コマンドは、対象装置において更新ファイル34を利用した更新処理(
図3のS62)が完了したことを示すコマンドである。
【0039】
S22では、制御部20は、RFIDタグ通信部12による送電を停止させるための信号をRFIDタグ通信部12に供給し、RFIDタグ通信部12に送電(即ち電波の出力)を停止させる。S24が終了すると、制御部20は、
図2の更新ファイル送信処理を終了する。
【0040】
(更新ファイル受信処理:
図3)
続いて、
図3を参照して、端末装置100の制御部120が実行する更新ファイル受信処理の内容を説明する。制御部120は、第1の電源回路113又は第2の電源回路115から電力の供給を受ける場合に、起動する。制御部120は、起動をトリガとして、
図3の更新ファイル受信処理を開始する。
【0041】
第1の電源回路113から電力の供給を受けることに起因して制御部120が起動することは、端末装置100のRFIDタグ112が電波を受信していることを意味する。この場合、RFIDタグ112の制御回路112cは、アンテナコイル112bが受信した電波を復調して、デジタル信号を生成する。そして、制御回路112cは、デジタル信号に含まれる対象IDをメモリ112aに書き込む。また、制御回路112cは、第1の電源回路113にON信号を送信する。これにより、アンテナコイル112bで受信中の電波から生成される電力が、第1の電源回路113を介して、制御部120に供給される。
【0042】
一方、第2の電源回路115から電力の供給を受けることに起因して、制御部120が起動することは、端末装置100のバッテリ端子114にバッテリ140が接続され、かつ、電源ボタン118が押し下げられていることを意味する。即ち、ユーザが、端末装置100を梱包容器200から開梱し、バッテリ140を接続して、端末装置100の使用を開始したことを意味する。
【0043】
S50では、制御部120は、電力の供給元が、第1の電源回路113であるのか否かを判断する。具体的には、制御部120は、アンテナコイル112bと制御部120の間の経路(即ち第1の経路)に印加される電圧値、及び、バッテリ端子114と制御部120の間の経路(即ち第2の経路)に印加される電圧値をそれぞれ参照し、各経路における電圧値が導通を示す値であるか否かに基づいて、電力の供給元が第1の電源回路113と第2の電源回路115のどちらであるのかを判断する。制御部120は、第1の経路の電圧値が導通を示す値であり、第2の経路の電圧値が遮断を示す値である場合(即ち電力の供給元が第1の電源回路113である場合)に、S50でYESと判断して、S52に進む。一方、第1の経路の電圧値が遮断を示す値であり、第2の経路の電圧値が導通を示す値である場合(即ち電力の供給元が第2の電源回路115である場合)、制御部120はS50でNOと判断し、
図3の更新ファイル受信処理を終了する。また、第1の経路の電圧値及び第2の経路の電圧値がともに導通を示す値である場合(即ち第1の電源回路113と第2の電源回路115の双方から同時に電力が供給される場合)にも、制御部120は、S50でNOと判断し、
図3の更新ファイル受信処理を終了する。この場合、ユーザ操作に従う端末装置100の使用(即ち、第2の電源回路115から供給される電力を用いる制御部120の動作)が優先される。
【0044】
S52では、制御部120は、管理装置10から電波を受信することによってRFIDタグ112のメモリ112aに書き込まれた対象IDが、自機である端末装置100の端末IDと一致するのか否かを判断する。制御部120は、対象IDが、メモリ130に予め記憶されている端末装置100の端末IDと一致する場合、S52でYESと判断して、S54に進む。この場合、端末装置100が対象装置であることを意味する。一方、制御部120は、対象IDが端末装置100の端末IDと一致しない場合、S52でNOと判断して、S54以降の処理をスキップして、
図3の更新ファイル受信処理を終了する。
【0045】
S54では、制御部120は、第1の電源回路113から供給される電力を利用して、Wi−FiI/F116を介して、管理装置10に無線接続要求を送信する(
図2のS12を参照)。無線接続要求は、管理装置10との間でWi−Fi接続を確立することを管理装置10に要求するためのコマンドである。
【0046】
続くS56では、制御部120は、端末装置100と管理装置10との間にWi−FiI/F116を介したWi−Fi接続が確立されることを監視する(
図2のS14を参照)。制御部120は、Wi−Fi接続が確立されると、S56でYESと判断して、S58に進む。
【0047】
S58では、制御部120は、Wi−FiI/F116を介して、確立済みのWi−Fi接続を利用して、準備完了コマンドを管理装置10に送信する(
図2のS16を参照)。準備完了コマンドは、接続済みのWi−Fi接続を利用して更新ファイルを受信する準備が完了したことを管理装置10に通知するためのコマンドである。
【0048】
S60では、制御部120は、Wi−FiI/F116を介して、確立済みのWi−Fi接続を利用して、管理装置10から更新ファイル34を受信することを監視する(
図2のS18を参照)。制御部120は、更新ファイル34を受信すると、S60でYESと判断して、S62に進む。
【0049】
S62では、制御部120は、受信済みの更新ファイル34を利用して、端末装置100のプログラム132を更新する更新処理を実行する。S64では、制御部120は、更新処理が完了すると、Wi−FiI/F16を介して、確立済みのWi−Fi接続を利用して、管理装置10に更新完了コマンドを送信する(
図2のS20を参照)。制御部120は、S64の処理が終了すると、
図3の更新ファイル受信処理を終了する。
【0050】
なお、
図3には示していないが、S52〜S64の処理が実行されている間に第2の電源回路115から電力が供給される場合、制御部120は、第1の電源回路113から供給される電力を優先して使用する(即ちS52〜S64の処理を中断せずに継続する)。
【0051】
(具体的なケース)
続いて、
図4を参照して、
図2、
図3のフローチャートによって実現される具体的なケースを説明する。本ケースにおいて、端末装置100は、梱包容器200に梱包されたままであり、バッテリ端子114には、バッテリ140は接続されていない。
【0052】
T100では、管理装置10は、対象ID(この例では、端末装置100の端末ID)の入力を含む開始指示を受け付ける。
【0053】
T102では、管理装置10は、送電(即ち電波の出力)を開始する(
図2のS10)。具体的には、管理装置10のRFIDタグ通信部12は、開始指示において入力された対象IDを含むデジタル信号を変調して、変調済みの電波を外部に送信する。
【0054】
T104では、端末装置100のRFIDタグ112の制御回路112cは、RFIDタグ112のアンテナコイル112bが受信した電波を復調し、デジタル信号を生成する。そして、制御回路112cは、生成済みのデジタル信号に含まれる対象IDをRFIDタグ112のメモリ112aに書き込む。また、制御回路112cは、第1の電源回路113にON信号を供給する。また、アンテナコイル112bは、受信中の電波から電力を生成する。
【0055】
T106では、RFIDタグ112から第1の電源回路113にON信号が供給されると、第1の電源回路113は、アンテナコイル112bで生成された電力を制御部120に供給する。これにより、制御部120が起動する。
【0056】
T108では、端末装置100の制御部120は、電力の供給元が第1の電源回路113であると判断する(
図3のS50でYES)。T110では、端末装置100は、T104でRFIDタグ112のメモリ112aに書き込まれた対象IDが、メモリ130内の自機の端末IDと一致すると判定する(S52でYES)。T112では、端末装置100は、Wi−FiI/F116を介して、無線接続要求を管理装置10に送信する(S54)。
【0057】
T114では、管理装置10は、Wi−FiI/F16を介して、端末装置100から無線接続要求を受信すると(
図2のS12でYES)、管理装置10と端末装置100との間でWi−Fi接続を確立する(S14)。
【0058】
管理装置10と端末装置100との間にWi−Fi接続が確立されると(
図3のS56でYES)、T116において、制御部120は、Wi−Fi接続を利用して、準備完了コマンドを管理装置10に送信する(S58)。
【0059】
T118では、管理装置10は、Wi−FiI/F16を介して、端末装置100から準備完了コマンドを受信すると(
図2のS16でYES)、Wi−Fi接続を利用して、メモリ30内の更新ファイル34を端末装置100に送信する(S18)。
【0060】
T120では、制御部120は、Wi−FiI/F116を介して、管理装置10から更新ファイル34を受信すると(
図3のS60でYES)、受信済みの更新ファイル34を利用して、プログラム132の更新処理を実行する(S62)。更新処理が完了すると、T122において、端末装置100は、Wi−Fi接続を利用して、更新完了コマンドを管理装置10に送信する(S64)。
【0061】
T124では、管理装置10は、RFIDタグ通信部12の送電(即ち電波の出力)を停止する。これにより、端末装置100のアンテナコイル112bは、電波を受信しないので、アンテナコイル112bは電力を生成しない。このため、アンテナコイル112bから制御部120に電力が供給されなくなり、制御部120は、自動的に停止する。
【0062】
(本実施例の効果)
端末装置100は、制御部120に第1の電源回路113から電力が供給される場合(
図4のT108)に、第1の電源回路113から供給される電力を利用して管理装置10との間でWi−Fi接続を確立し(T114)、確立済みのWi−Fi接続を利用して、管理装置10から更新ファイル34を受信する(T118)。そして、端末装置100は、受信済みの更新ファイル34を利用して更新処理を実行する。これにより、バッテリ端子114から供給される電力を利用しなくても、管理装置10から更新ファイル34を受信して、更新処理を実行することができる。即ち、端末装置100は、バッテリ端子114にバッテリ140が接続されていない状況(例えば、梱包状態)であっても、管理装置10から更新ファイル34を受信して、更新処理を実行することができる。本実施例によると、端末装置100を開梱して、端末装置100にバッテリ140を接続し、当該バッテリ140の電力を利用して管理装置10との通信を実行する従来の構成と比べて、更新処理がバッテリ140を接続することなく実行されるので、端末装置100のプログラム132を更新した作業者の負担を軽減することができる。
【0063】
また、RFIDタグ112は、電波を受信すると、当該電波から復調されたデジタル信号に含まれる対象IDをRFIDタグ112のメモリ112aに書き込む。そして、端末装置100は、RFIDタグ112のメモリ112aに書き込まれた対象IDが、端末装置100の端末IDと一致すると判定する場合に限り(
図3のS52でYES、
図4のT110)、無線接続要求を管理装置10に送信する(T112)。これにより、管理装置10は、対象IDが割り当てられている端末装置100との間でのみWi−Fi接続を確立することができる。
【0064】
(対応関係)
制御部20、RFIDタグ通信部12、Wi−FiI/F16が、それぞれ、「管理側制御部」、「送電部」、「管理側通信インターフェース」の一例である。制御部120、RFIDタグ112、Wi−FiI/F116が、それぞれ、「端末側制御部」、「受電部」「端末側通信インターフェース」の一例である。準備完了コマンド、更新ファイル、更新完了コマンドの通信が、「コマンドの通信」の一例である。S50でYESと判断される場合が、「特定の場合」の一例である。対象IDが、「特定の情報」の一例である。Wi−Fi接続が、「無線通信接続」の一例である。
【0065】
(第2実施例)
第2実施例について第1実施例とは異なる点を中心に説明する。本実施例では、管理装置10と端末装置100との間で、Wi−Fi接続に代えて、BT(Bluetoothの略)接続が確立される点が第1実施例とは異なる。本実施例では、管理装置10は、Wi−FiI/F16に代えて、管理側BT通信I/Fを備える。同様に、端末装置100も、Wi−FiI/F116に代えて、端末側BT通信I/Fを備える。各BT通信I/Fは、BT通信を実行するためのインターフェースである。BT通信は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)802.15.1の規格、及び、それに準ずる規格に基づく無線通信である。
【0066】
管理装置10の制御部20は、管理側BT通信I/Fを介して、無線接続要求を受信し(
図2のS12)、無線接続要求の送信元の端末装置との間で管理側BT通信I/Fを介したBT接続を確立する(S14)。そして、制御部20は、管理側BT通信I/Fを介して、確立済みのBT接続を利用して、準備完了コマンドの受信(S16)と、更新ファイルの送信(S20)と、更新完了コマンドの受信(S22)を実行する。
【0067】
一方、端末装置100の制御部120は、端末側BT通信I/Fを介して、無線接続要求を送信し(
図3のS54)、管理装置10との間で端末側BT通信I/Fを介したBT接続を確立する(S56でYES)。そして、制御部120は、端末側BT通信I/Fを介して、確立済みのBT接続を利用して、準備完了コマンドの送信(S58)と、更新ファイルの受信(S60)と、更新完了コマンドの送信(S64)を実行する。本実施例では、管理側BT通信I/F、端末側BT通信I/Fが、それぞれ、「管理側通信インターフェース」、「端末側通信インターフェース」の一例である。BT接続が「無線通信接続」の一例である。
【0068】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0069】
(変形例1)管理装置10は、RFIDタグ通信部12に代えて、電磁誘導方式に従って磁界を発生する送電コイルを備えてもよい。さらに、端末装置100は、RFIDタグ112に代えて、送電コイルで発生中の磁界を受けて、電磁誘導の原理を利用して、電力を生成する受電コイルを備えていてもよい。そして、端末装置100は、受電コイルが磁界を受けている間に当該受電コイルで生成される電力を利用して、無線接続要求を管理装置10に送信してもよい。本変形例における送電コイル、受電コイルが、それぞれ、「送電部」、「受電部」の一例である。
【0070】
(変形例2)上記の実施例では、管理装置10の制御部20は、RFIDタグ通信部12に対象IDを送信させる。そして、端末装置100の制御部120は、RFIDタグ通信部12から受信した対象IDが端末装置100の端末IDと一致するのか否かを判断する。これに代えて、制御部20は、RFIDタグ通信部12に特定の情報(例えば、対象IDを含む情報、暗号化された対象ID等)を送信させるようにしてもよい。そして、制御部120は、RFIDタグ通信部12から受信した特定の情報が、自機の端末IDに対応する情報であるのか否か(例えば、特定の情報に含まれる対象IDが端末IDと一致するか否か、特定の情報に含まれる暗号化された対象IDを復号化したIDが端末IDと一致するか否か等)を判断してもよい。一般的に言えば、「端末側制御部」は、「取得された特定の情報が識別情報に関係すると判定される」場合に、端末側インターフェースを介して外部に無線接続要求を出力すればよい。
【0071】
(変形例3)管理装置10の制御部20は、
図2のS20で更新ファイルを端末装置100に送信する代わりに、設定値を含む設定値ファイルを端末装置100に送信してもよい。この場合、端末装置100の制御部120は、
図3のS62において、受信済みの設定値ファイルを利用して、前記端末装置100のメモリ130に記憶されている設定値を受信済みの設定値ファイルに含まれる設定値に変更する設定値変更処理を実行してもよい。本変形例では、設定値ファイルの送信が、「コマンドの通信」の一例である。また、「コマンド」は、これらに限らず、端末装置100の何らかの機能を実行するためのコマンドであればよい。一般的に言えば、「前記端末装置に関係する情報を含むコマンドの通信」が実行されればよい。
【0072】
(変形例4)「無線通信接続」は、アクセスポイントを介した無線通信の方式(即ちインフラストラクチャ方式)に従った接続であれば、Wi−Fi接続に限らない。また、「無線通信接続」は、アクセスポイントを介さない無線通信の方式(即ちアドホック方式)に従った接続であれば、BT接続に限らない。
【0073】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。