(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790874
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】プリコート式真空濾過装置および濾過方法
(51)【国際特許分類】
B01D 33/06 20060101AFI20201116BHJP
B01D 24/38 20060101ALI20201116BHJP
B01D 33/70 20060101ALI20201116BHJP
B01D 37/02 20060101ALI20201116BHJP
C02F 1/54 20060101ALI20201116BHJP
C02F 1/56 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
B01D33/06 E
B01D33/38
B01D37/02 F
C02F1/54 Z
C02F1/56 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-12831(P2017-12831)
(22)【出願日】2017年1月27日
(65)【公開番号】特開2018-118228(P2018-118228A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年1月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高柳 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳志
(72)【発明者】
【氏名】北洞 和彦
【審査官】
青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−300915(JP,A)
【文献】
特開平02−071808(JP,A)
【文献】
特開昭59−036510(JP,A)
【文献】
特開2010−234325(JP,A)
【文献】
特開2014−012256(JP,A)
【文献】
特開2002−316198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00−35/05
B01D 35/10−37/04
C02F 1/54
C02F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタドラムとスクレーパとを備えたプリコート式の真空濾過装置であって、
原液を前記フィルタドラムへ供給するためのトップフィードユニットが、前記スクレーパとは別の位置である該フィルタドラム上方に設けられ、
前記トップフィードユニットのシール部材が該フィルタドラムに形成されたプリコート層もしくはケーキ層に接していることを特徴とするプリコート式真空濾過装置。
【請求項2】
前記シール部材と前記プリコート層もしくは前記ケーキ層との間に液溜まり部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のプリコート式真空濾過装置。
【請求項3】
前記トップフィードユニットが、前記プリコート層もしくは前記ケーキ層の厚みに合わせて接することが可能となるように、該トップフィードユニットに可動部材を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリコート式真空濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタドラムとスクレーパとを備えたプリコート式真空濾過装置と、その装置を用いた濾過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高清度の濾液(処理水)を得るための手段として、例えば特許文献1に示すような原液槽とフィルタドラムとスクレーパ手段とを備えたプリコート式の真空濾過装置が知られている。この装置は連続的に高清度の濾過を行うことが可能であるが、原液を処理する際にフィルタドラムに形成したプリコート層も少しずつ剥離する必要があるため、原液の処理量が増えるとプリコート材の使用量がそれに比例して増加する。プリコート材の使用量の増加は、コストアップのみならず廃棄物の排出量を増加させることにもなるので、プリコート材の使用量を減らす工夫が求められていた。
【0003】
特許文献2には、プリコート式真空濾過装置のフィルタドラムの上方より原液を供給して濾過処理を行うトップフィード方式による内容の記載がある。この方式は、原液を前処理によりフロックを大きくしても濾過吸着が行えるため、濃縮比率を高めてフロックを大きくすることにより処理効率を高めることができるというものである。しかしながら、濾過原液をフィルタドラムの上面における軸方向に連続して流し込む方法であるため、フロックのサイズによってはフロックがフィルタドラム上にまだらに付着し、脱水ケーキ層は均一な厚みを形成することができず、プリコート材の使用量を減らす効果には至らなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−234325号公報
【特許文献2】特開平8−38818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、フィルタドラムとスクレーパとを備えたプリコート式真空濾過装置において、原液を効率よく濾過することにより、プリコート材の使用量を抑えて廃棄物の排出量を低減することができるプリコート式真空濾過装置および濾過方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明におけるプリコート式真空濾過装置は、フィルタドラムとスクレーパとを備えたプリコート式の真空濾過装置であって、原液をフィルタドラムへ供給するためのトップフィードユニットがフィルタドラム上方に設けられ、トップフィードユニットのシール部材がフィルタドラムに形成されたプリコート層もしくはケーキ層に接していることを特徴としている。
【0007】
トップフィードユニットのシール部材がフィルタドラムに形成されたプリコート層もしくはケーキ層に接していることにより、原液をプリコート層表面に均一な状態でケーキ層として形成することが可能となる。
【0008】
好ましくは、本発明におけるプリコート式真空濾過装置は、シール部材とプリコート層もしくはケーキ層との間に液溜まり部が形成されることを特徴としている。
【0009】
シール部材とプリコート層もしくはケーキ層との間に液溜まり部が形成されることにより、プリコート層表面にケーキ層をより均一な状態で、かつ、ケーキ層の厚さを厚く形成することが可能となる。
【0010】
また、好ましくは、本発明におけるプリコート式真空濾過装置は、トップフィードユニットが、プリコート層もしくはケーキ層の厚みに合わせて接することが可能となるように、トップフィードユニットに可動部材を備えたことを特徴としている。
【0011】
フィルタドラム上に形成されるプリコート層と原液を脱水して得られるケーキ層はスクレーパにより削り取られるため、プリコート式真空濾過装置の稼働とともに層の厚さは薄くなっていく。プリコート層もしくはケーキ層の厚みに合わせてトップフィードユニットが移動することにより、常にトップフィードユニットのシール部材はプリコート層もしくはケーキ層は接することが可能となる。
【0012】
本発明におけるプリコート式真空濾過方法は、原液を高分子凝集剤にて反応させる凝集工程と、凝集工程後に沈殿槽で上澄み液と沈殿部液とに分離する沈殿分離工程と、上澄み液をプリコート式真空濾過装置の処理槽へ供給した後にプリコート式真空濾過装置により真空濾過を行う第1濾過工程と、沈殿部液をプリコート式真空濾過装置のトップフィードユニットへ供給した後にプリコート式真空濾過装置により真空濾過を行う第2濾過工程と、により原液を処理することを特徴としている。
【0013】
沈殿分離工程により生じた上澄み液と沈殿部液とを、それぞれ分けてプリコート式真空濾過装置にて真空濾過することにより、プリコート材の使用量を抑えた効率の良い濾過処理を行うことが可能となる。
【0014】
好ましくは、本発明におけるプリコート式真空濾過方法は、第1濾過工程において、スクレーパを稼働させずに真空濾過を行うことを特徴としている。
【0015】
第1濾過工程においては上澄み液を濾過するため、ケーキ層が薄くなる。この状態でスクレーパを稼働させると、プリコート層の濾過能力があるにもかかわらずプリコート層をスクレーパにより削ってしまうため無駄が生じる。本発明では、プリコート層の濾過能力がある場合にはスクレーパを稼働させずに真空濾過を行うため、プリコート材の使用量をさらに抑えた濾過処理を行うことが可能となる。
【0016】
また、好ましくは、本発明におけるプリコート式真空濾過方法は、第1濾過工程と第2濾過工程とを交互に行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、フィルタドラムとスクレーパとを備えたプリコート式真空濾過装置において、原液を効率よく濾過することにより、プリコート材の使用量を抑えて廃棄物の排出量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明で用いられるプリコート式真空濾過装置の正面図である。
【
図2】本発明で用いられるプリコート式真空濾過装置の部分断面正面図である。
【
図3】
図2におけるトップフィードユニット部の拡大図である。
【
図4】本発明で用いられるトップフィードユニットの斜視図である。
【
図5】本発明で用いられるトップフィードユニットの正面図である。
【
図6】本発明で用いられるトップフィードユニットの別形態の斜視図である。
【
図7】
図6のトップフィードユニットによるプリコート式真空濾過装置の正面図である。
【
図8】
図6のトップフィードユニットによるプリコート式真空濾過装置の部分断面正面図である。
【
図9】本発明のプリコート式真空濾過装置を用いた濾過システムの一例を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明で用いられるプリコート式真空濾過装置について、
図1〜
図3を用いて説明する。基本的な構成は、従来型のプリコート式真空濾過装置と同じく、処理槽13がフィルタドラム12の下側に配置されており、フィルタドラム12の横側にスクレーパ14が配置されている。そして、本発明にて用いられるトップフィードユニット15は、フィルタドラム12の上方に配置されている。
【0020】
フィルタドラム12は円筒形状をしており、フィルタドラム12の外周面上に濾過フィルタの役割を果たすプリコート層21を形成してから原液の濾過処理を行う。フィルタドラム12の内部は真空ポンプにより減圧状態となっているため、プリコート層表面で固液分離による濾過が可能となる。プリコート層を形成するプリコート材は特に限定されるものではないが、例えば、珪藻土やパーライト等を使用できる。
【0021】
処理槽13は、従来の先行技術文献の特許文献1に記載されているように、フィルタドラム12の外周面にプリコート層を形成するためのプリコート液を導入するための槽であるとともに、凝集沈殿槽により分離した上澄み液を導入し、濾過処理を行うための槽でもある。本発明においては、原液をトップフィードユニットにより濾過処理する場合には、処理槽13の内部は空の状態とする。なお、処理槽13の液量は、レベルスイッチによりオーバーフローしないように管理されている。
【0022】
トップフィードユニット15は、原液をフィルタドラム12へ導入するためのユニットである。トップフィードユニット15の取付け位置は、フィルタドラム12の中心にある回転軸を通る水平線より上側となる。ただし、原液を凝集処理してできるフロックはその大きさが大きい程、処理効率が高くなるため、フロックの大きさが大きくても濾過吸着を行うことができるようにフィルタドラムのなるべく上方にあることが好ましい。
【0023】
トップフィードユニット15について、
図3〜
図5を用いて説明する。トップフィードユニット15は、基本的に原液の供給を受け止めフィルタドラムへ送り込むためのフィードボックス34とシール部材32とにより構成されている。このシール部材32は、フィルタドラム12の軸方向に平行であり、かつ、フィルタドラム12の外周面に接するよう配置されている。シール部材32の形状は丸棒であることが好ましいが、特に限定されるものではなく、平板のようなシート状であっても構わない。材質は金属でも使用できるが、ゴムのほうが密着性の面で有利となるため好ましい。また、金属の表面をゴムで覆ったものであってもよい。なお、フィードボックス34の原液が流れる端面には、フィルタドラムへの原液の供給を均一にするための堰35が設けられていることが好ましい。
【0024】
トップフィードユニットのシール部材32がフィルタドラム12の外周面に形成されたプリコート層もしくはケーキ層の厚みに合わせて接することが可能となるように、トップフィードユニットには、自重によりトップフィードユニットが動く可動部材31を備えることが好ましい。可動部材31は、その自重によりフィルタドラム12上のプリコート層もしくはケーキ層に接するように、可動部材内にベアリングを設けたりしてなるべく抵抗の少ない状態で可動できるものがよいが、可動できるものであれば特に制限はない。例えば、トップフィードユニットの可動部材31が軸を支点とした回転運動により、フィルタドラム12の外周面に形成されたプリコート層もしくはケーキ層の厚みに合わせて接するようにしてもよい。
図3に示した可動部材31はフィードボックス34の下部に設けられており、2ヶ所の穴にそれぞれ丸棒が差し込まれ、トップフィードユニットの自重により丸棒が回転しながらフィルタドラム方向にスライドしながら移動できるものである。
【0025】
次にトップフィードユニットのシール部材とプリコート層もしくはケーキ層との間にできる液溜まり部51について
図3により説明する。この液溜まり部51は、トップフィードユニットのフィードボックス34から原液がシール部材32に流れてきたときに、シール部材32とプリコート層21もしくはケーキ層22との間に原液が溜まってできるものである。液溜まり部ができることにより、より均一で厚みのあるケーキ層を形成することが可能となる。
【0026】
図1に示すスクレーパ14は、フィルタドラム12上のプリコート層21および原液を濾過して形成されたケーキ層22を削り取るためのものである。この操作により、プリコート層21は常にリフレッシュされ、濾過性能が落ちることなく原液をプリコート層上で濾過することが可能となる。なお、フィルタドラム上にプリコート層を形成する場合や、凝集沈殿槽により分離した上澄み液を処理する場合には、スクレーパはプリコート層に接触しない位置に退避することも可能である。
【0027】
次に、トップフィードユニットによるプリコート式真空濾過装置の処理フローについて
図1〜
図3により説明する。予め、処理槽13内を空にしておき、フィルタドラム12内を減圧状態として、フィルタドラム12を
図2における時計方向に回転させる。その後、原液をポンプにてプリコート式真空濾過装置上部にあるトップフィードユニット15のフィードボックス34へ流し込むと、フィードボックス34から原液が堰35を超えてフィルタドラム上に流れ込む。フィルタドラム上に流れ込んだ原液は、トップフィードユニットのシール部材32と接触し、原液はフィルタドラム上の回転軸方向に均一に行き渡る。ここで、フィルタドラムとシール部材との間の空間に液溜まり部51が形成されると、より均一で厚みのあるケーキ層が形成される。この状態でフィルタドラムは回転を続けるが、その間にフィルタドラム上のケーキ層は濾過が維持されている状態となり、時間が経つに伴いケーキ層の含水率は下がる。その後、スクレーパの設置位置において、ケーキ層及びプリコート層は削り取られてフィルタドラムの表面はリフレッシュされる。フィルタドラムが回転することにより上記の動作を繰り返し、連続して原液を濾過処理することが可能となる。先行技術文献の特許文献1の方法と比較し、本発明のトップフィードユニットを用いた真空濾過装置は、原液の重力方向にフィルタドラムが存在しているため、原液中に大きなフロックがあった場合も問題なく濾過処理を行うことが可能となり、また、ケーキ層の厚みも厚く形成されやすくなる。このようにトップフィードユニットを用いると濾過効率が向上するため、プリコート層を形成するためのプリコート材の使用量を抑えることができ、これにより廃棄物の排出量を低減することが可能となる。
【0028】
図6にトップフィードユニットの別形態を示す。トップフィードユニット16は、構成しているパーツはトップフィードユニット15と変わらないが、原液が供給されるフィードボックス44とシール部材42との距離を少し離すことにより、原液がシール部材42に達するまでのフィルタドラムとの接触面積が増えるため、原液の処理量を増やすことができる。なお、フィードボックス44の原液が流れる端面には、フィルタドラムへの原液の供給を均一にする堰45が設けられていることが好ましく、その形状は鋸刃状であると、サイズの大きいフロックでもフィルタドラム12への原液の供給が安定する。可動部材41はフィードボックス44の一端に設けられており、単純な構造では3ヶ所の穴に細い棒を通すことにより、可動部材41を中心にトップフィードユニット16は上下に動くことができる。ただし、可動部材41はトップフィードユニット15と同じく、トップフィードユニットの側面にあっても構わない。
【0029】
このトップフィードユニット16によるプリコート式真空濾過装置の処理フローについて、
図7および
図8により説明する。
図2に示すトップフィードユニット15との違いは、フィルタドラムの回転方向が逆となることと、スクレーパのフィルタドラムに対する刃の向きが逆になることである。予め、処理槽13内を空にしておき、フィルタドラム12内を減圧状態として、フィルタドラム12を
図8に示すように反時計回りで回転させる。その後、原液をポンプにてプリコート式真空濾過装置上部にあるトップフィードユニット16のフィードボックス44へ流し込むと、フィードボックス44から原液が堰45を超えてフィルタドラム上に流れ込む。フィルタドラム上に流れ込んだ原液は、トップフィードユニットのシール部材42と接触し、原液はフィルタドラム上の回転軸方向に均一に行き渡る。ここで、フィルタドラムとシール部材との間の空間に液溜まり部51が形成されると、より均一で厚みのあるケーキ層が形成される。この状態でフィルタドラムは回転を続けるが、その間にフィルタドラム上のケーキ層は濾過が維持されている状態となり、時間が経つに伴いケーキ層の含水率は下がる。その後、スクレーパの設置位置において、ケーキ層及びプリコート層は削り取られてフィルタドラムの表面はリフレッシュされる。
【0030】
次に、本発明のプリコート式真空濾過方法について
図9により説明する。まず、プリコート式真空濾過装置11の濾過準備を行うために、フィルタドラム12上にプリコート層を形成する操作を行う。手順としては、プリコート槽64内でプリコート材を水により分散させたプリコート液を準備し、プリコート槽64からプリコート式真空濾過装置11の下部に設けられた処理槽13へポンプにより送液する。次いで、プリコート式真空濾過装置11に接続された真空ポンプ68によりフィルタドラム12内を減圧状態とし、フィルタドラム12を回転させることにより、フィルタドラム12の外周面上にプリコート層が形成される。
【0031】
次に、原液のフロック形成から沈殿分離までの工程について説明する。原液は原液反応槽65に投入され、無機凝集剤が分散された無機凝集剤槽A61と、無機凝集剤槽B62より、それぞれ原液反応槽65に投入される。無機凝集剤槽Aには、例えば消石灰のアルカリ液が貯留されており、無機凝集剤槽Bには例えば硫酸バンド、PACなどが貯留されている。原液反応槽65内での反応後に、原液反応槽65より高分子凝集槽66へポンプにより送液される。高分子凝集槽66では、高分子凝集剤タンク63より高分子凝集剤が投入され、攪拌により大きなフロックが形成される。その後、高分子凝集槽66より凝集沈殿槽67へ送液され、凝集沈殿槽67内にて、自然沈降により上澄み液と沈殿部液に分離される。
【0032】
次に、プリコート式真空濾過装置11による第1濾過工程に移る。第1濾過工程は次の処理を行う。凝集沈殿槽67内の上澄み液を、ポンプにてプリコート式真空濾過装置11の処理槽13へ送液する。その後、フィルタドラム13を回転させながら処理槽13内の上澄み液の濾過を行う。これにより、プリコート層上にケーキ層が形成される。この際、スクレーパ14によりプリコート層を含むケーキ層を削り取ることもできるが、上澄み液のSS濃度が低いことにより、フィルタドラムの1回の回転ではケーキ層が薄く、まだ濾過能力がある場合には、フィルタドラムを何回か回転させてケーキ層の厚さを厚くさせることも可能である。この場合、スクレーパを稼働させずにフィルタドラムを回転させながら真空濾過を行うこととなる。このような運転を行うことにより、無駄にプリコート層を削り取る必要がなくなる。
【0033】
第1濾過工程後に第2濾過工程に移る。第2濾過工程は次の処理を行う。処理槽13内の上澄み液を凝集沈殿槽67へ送液し、処理槽13内を空にする。その後、凝集沈殿槽67内の沈殿部液をポンプにてプリコート式真空濾過装置11上部にあるトップフィードユニット15へ移送する。トップフィードユニット内へ沈殿部液を流し込むと、トップフィードユニットとフィルタドラムとの間の空間が原液を保持できる状態となっているので、ここに原液が溜まり、液溜まり部を形成する。この状態でフィルタドラムを動かすと、フィルタドラム上のプリコート層、もしくは、凝集沈殿槽67内の上澄み液を濾過して形成されたケーキ層の上に、沈殿部液の濾過によって生じたケーキ層が均一な状態で形成される。そしてフィルタドラムの回転によりスクレーパが設置されている場所において、ケーキ層及びプリコート層は削り取られ、フィルタドラムの濾過面はリフレッシュされる。一定量の沈殿部液の濾過を行う第2濾過工程の後、トップフィードユニットへの沈殿部液の供給を止め、再度、第1濾過工程へ移行して濾過操作を継続して行うこともできる。この第1濾過工程と第2濾過工程を交互に行うことがプリコート材の使用量に関して最も効率が良い。しかしながら、原液の状態によっては第2濾過工程のみの濾過を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0034】
11 プリコート式真空濾過装置
12 フィルタドラム
13 処理槽
14 スクレーパ
15、16 トップフィードユニット
21 プリコート層
22 ケーキ層
31、41 可動部材
32、42 シール部材
51 液溜まり部
61 無機凝集剤槽A
62 無機凝集剤槽B
63 高分子凝集剤タンク
64 プレコート槽
65 原液反応槽
66 高分子凝集槽
67 凝集沈殿槽
68 真空ポンプ