【実施例】
【0018】
(第1実施例)
図1〜
図5を参照して、本実施例の携帯端末10aについて説明する。
図1に示すように、携帯端末10aは、情報コード(例えば、バーコードや2次元コード)を読み取るための光学情報読取装置である。携帯端末10aは、本体2と、表示画面4と、操作部5と、2個のキーボタン6(ただし、
図1では1個のキーボタンのみが図示されている)と、読み取り部7と、を備える。以下では、本体2の各面のうち、図中の座標系のXY平面に平行であり、Z軸の正方向に向いた面を「前面」と呼ぶ。本体2の各面のうち、図中の座標系のXY平面に平行であり、Z軸の負方向に向いた面を「後面」と呼ぶ。本体2の各面のうち、図中の座標系のYZ平面に平行である2個の面をそれぞれ「側面」と呼ぶ。本体2の端部のうち、Y軸の負方向、正方向の端部をそれぞれ「上端」、「下端」と呼ぶ。
【0019】
表示画面4は、本体2の前面に設けられている液晶画面である。表示画面4は、読み取られた情報コードに記録された情報、操作部5に入力された情報等を表示することができる。また、表示画面4は、いわゆるタッチパネルとしても機能する(即ち操作部としても機能する)。操作部5は、本体2の前面に設けられている。操作部5は、表示画面4から見て、Y軸の正方向に位置する。操作部5は、複数のボタンによって構成される。利用者は、操作部5を操作することによって、様々な指示を携帯端末10aに入力することができる。
【0020】
本体2の2個の側面のそれぞれには、キーボタン6が設けられている。利用者が2個のキーボタン6のうちの一方又は両方を側面の表面に向かう方向(X軸方向)に押下すると、読み取り指示が携帯端末10aに入力される。読み取り指示は、携帯端末10aが読み取り部7を利用して情報コードを読み取るための指示である。
【0021】
本体2の下面には、ゴム製のベルト9が設けられている。X軸方向から見たベルト9は、輪状形状を有する。ベルト9(詳しくはベルト9の内部空間)には、利用者の親指を除く4本の指を挿入可能である。利用者は、4本の指をベルト9に挿入した状態で本体2を把持することができる。詳しくは後述するが、ベルト9は、本体2の後面において、上端位置と下端位置との間で上下方向(即ちY軸方向)にスライド可能である。
【0022】
図2に示されるように、本体2の後面には、Y軸方向に沿って溝12が設けられている。
図3に示されるように、XZ平面に切断した溝12の断面は、Z軸の負方向を上側としたT字形状を有する。
【0023】
溝12には、スライド部材14が嵌合されている。XZ平面に切断したスライド部材14の断面は、溝12の断面と略同じ形状を有するが、やや小さく構成されている。Y軸方向において、スライド部材14の長さは、溝12の長さよりも小さい。スライド部材14は、本体2の内部からZ軸の正方向に突出した突出部14aを備える。突出部14aには、ベルト9が接合されている。Y軸方向において、突出部14aの長さは、ベルト9の長さに略等しい。これにより、スライド部材14及びベルト9は、本体2の後面において、溝12に沿って上端位置と下端位置との間で上下方向にスライド可能である。
【0024】
図4及び
図5を参照して、ベルト9がスライドする仕組みを説明する。なお、
図4及び
図5では、図面の下方向が重力方向である。
図4では、携帯端末10aの姿勢が、上端位置が下端位置よりも高い位置に配置される状態(以下では「正立状態」と呼ぶ)である。この場合では、利用者の指によって固定されているベルト9の位置を基準として、本体2が、重力によってY軸の正方向に引っ張られる。換言すると、本体2の位置を基準として、ベルト9が、Y軸の負方向に引っ張られる。この場合に、ベルト9に接合されたスライド部材14が、Y軸の負方向に引っ張られることによって溝12内を上端位置に向かってスライドし、溝12の上端に接触する。その結果、ベルト9は、上端位置に配置される。
図4の状態では、利用者の親指が表示画面4の近くに位置しているため、利用者は、容易にタッチパネルを操作することができる。なお、以下では、スライド部材14がスライドすることに伴ってベルト9が移動することを、「ベルト9がスライドする」と記載することがある。
【0025】
図5では、携帯端末10aの姿勢が、下端位置が上端位置よりも高い位置に配置される状態(以下では「倒立状態」と呼ぶ)である。この場合では、利用者の指によって固定されているベルト9の位置を基準として、本体2は、重力によってY軸の負方向に引っ張られる。換言すると、本体2の位置を基準として、ベルト9は、Y軸の正方向に引っ張られる。この場合に、ベルト9に接合されたスライド部材14が、Y軸の正方向に引っ張られることによって溝12内を下端位置に向かってスライドし、溝12の下端に接触する。その結果、ベルト9は、下端位置に配置される。
図5の状態では、利用者の親指が操作部5の近くに位置しているため、利用者は、操作部5を容易に操作することができる。
【0026】
利用者は、携帯端末10aの姿勢を、
図4の正立状態と
図5の倒立状態の間で相互に変化させることができる。携帯端末10aの姿勢が正立状態から倒立状態に変化する場合に、ベルト9は、本体2の後面において、Y軸の正方向に(即ち、下端位置に向かう方向に)スライドする。また、携帯端末10aの姿勢が倒立状態から正立状態に変化する場合に、ベルト9は、本体2の後面において、Y軸の負方向に(即ち、上端位置に向かう方向に)スライドする。
【0027】
(第1実施例の効果)
本実施例の携帯端末10aでは、利用者は、指をベルト9に挿入した状態で、ベルト9を本体2の後面において、上端位置と下端位置との間で上下方向(即ちY軸方向)にスライドさせることができる(
図4及び
図5参照)。これにより、利用者は、ベルト9をスライドさせることによって、ベルト9に挿入された指を、タッチパネル又は操作部5を操作しやすい位置に移動させることができる。従って、携帯端末10aによると、利用者による携帯端末10aの操作性を向上させることができる。
【0028】
また、携帯端末10aの姿勢が
図4の正立状態と
図5の倒立状態の間で変化することに応じて、ベルト9がスライドする。即ち、利用者は、携帯端末10aの姿勢を変化させることによって、ベルト9に挿入された指を容易に移動させることができる。
【0029】
(第2実施例)
図6及び
図7を参照して、本実施例について第1実施例とは異なる点を中心に説明する。本実施例の携帯端末10bは、ベルト9を所定位置に保持するための保持部21a〜21dを備える。
【0030】
本実施例の携帯端末10bの各部2、4、5、6、7、9、12、14は、第1実施例と同様である。携帯端末10bでは、
図6及び
図7に示されるように、本体2の後面は、ベルト9を保持するための4個の保持部21a〜21dを備える。保持部21a〜21dは、支柱22a〜22dと、支柱22a〜22dに捲回されているねじりばね24a〜24dと、を含む。
【0031】
保持部21aでは、ねじりばね24aの中央部が支柱22aに捲回されている。ねじりばね24aの両端部が弾性変形していない状態では、ねじりばね24aの一方の端部25aは、X軸の負方向に向かって延びており、ねじりばね24aの他方の端部26aは、Y軸の負方向に向かって延びている。端部26aは回動しないように固定されている。保持部21bは、Y軸方向に沿って延びる中心線L1を対称軸として、保持部21aと対称な構成を備える。保持部21c、21dは、X軸方向に沿って延びる中心線L2を対称軸として、それぞれ、保持部21a、21bと対称な構成を備える。
【0032】
図6に示されるように、ベルト9の位置が下端位置である(即ち、携帯端末10bの姿勢が
図5の倒立状態である)場合の各保持部21a〜21dとベルト9との関係について説明する。ねじりばね24aのX軸の負方向に向かって延びる端部25aと、ねじりばね24bのX軸の正方向に向かって延びる端部25bと、は、スライド部材14(
図3参照)の上端に接することによって、ベルト9を下端位置に保持している。ねじりばね24cのX軸の負方向に向かって延びる端部25cは、スライド部材14によって押されて、支柱22cを支点として左回りに回転する位置に移動している(即ちねじりばね24cが弾性変形している)。他方の端部26cは固定されているため、位置が変化していない。同様に、ねじりばね24dのX軸の正方向に向かって延びる端部25dは、スライド部材14によって押されて支柱22dを支点として右回りに回転する位置に移動している(即ちねじりばね24dが弾性変形している)。他方の端部26dは固定されているため、位置が変化していない。この状態のねじりばね24c、24dは、スライド部材14の端部に接していない。即ち、この状態のねじりばね24c、24dは、ベルト9の下端位置への保持に寄与していない。
【0033】
携帯端末10bの姿勢が
図6の倒立状態から正立状態に変化する場合のベルト9の動きについて説明する。ここで、正立状態を、上端位置と下端位置との高さの差が小さい(即ち、上端位置と下端位置とを結ぶ軸の水平面に対する傾きが小さい)第1の正立状態と、上端位置と下端位置との高さの差が大きい(上端位置と下端位置とを結ぶ軸の水平面に対する傾きが大きい)第2の正立状態と、に分類する。なお、以下では、上端位置と下端位置とを結ぶ軸の水平面に対する傾きを「傾き」と呼ぶ。
【0034】
携帯端末10bの姿勢が第1の正立状態又は第2の正立状態に変化する場合に、本体2の位置を基準として、スライド部材14は、Y軸の負方向に引っ張られる。これにより、スライド部材14は、ねじりばね24a、24bをY軸の負方向に押し上げる。この場合に、ねじりばね24a、24bを押し上げる力が一定値以上である場合に、ねじりばね24a、24bは弾性変形するが、当該力が一定値未満である場合に、ねじりばね24a、24bはほとんど弾性変形しない。
【0035】
第1の正立状態では、本体2の傾きが小さいので、本体2にかかる重力のY軸成分は小さい。そのため、ベルト9及びスライド部材14を引っ張る力は小さく、スライド部材14がねじりばね24a、24bの各端部25a、25bを押し上げる力は、一定値未満である。そのため、ねじりばね24a、24bはほとんど弾性変形しない。その結果、第1の正立状態では、ねじりばね24a、24bはベルト9を下端位置に保持し続ける。
【0036】
一方、第2の正立状態では、本体2の傾きが大きいので、本体2にかかる重力のY軸成分は大きい。そのため、ベルト9及びスライド部材14を引っ張る力は大きく、スライド部材14がねじりばね24a、24bの各端部25a、25bを押し上げる力は、一定値以上である。そのため、ねじりばね24a、24bが弾性変形する。即ち、ねじりばね24aの端部25aは、支柱22aを支点として、右回りに回転するように移動し、ねじりばね24bの端部25bは、支柱22bを支点として、左回りに回転するように移動する。その結果、第2の正立状態では、ねじりばね24a、24bがベルト9を下端位置に保持する状態が解除され、ベルト9がY軸の負方向にスライドする。
【0037】
図示省略しているが、ベルト9の位置が下端位置である(即ち、携帯端末10bの姿勢が
図4の正立状態である)場合の各保持部21a〜21dとベルト9との関係について説明する。上記の通り、ねじりばね24aの端部25aは、支柱22aを支点として、右回りに回転する位置に移動している。ねじりばね24bの端部25bは、支柱22bを支点として、左回りに回転する位置に移動している。この状態のねじりばね24a、24bは、スライド部材14の端部に接していない。即ち、この状態のねじりばね24a、24bは、ベルト9の上端位置への保持に寄与していない。一方、ねじりばね24cの端部25cと、ねじりばね24dの端部25dと、は、スライド部材14による押圧が解除され、弾性力によって元の位置に戻る。元の位置に戻った端部25c及び端部25dがスライド部材14の下端に接することによって、ベルト9が上端位置に保持される。
【0038】
携帯端末10bの姿勢が正立状態から倒立状態に変化する場合のベルト9の動きについて説明する。ここで、倒立状態を、上端位置と下端位置との高さの差が小さい(即ち、上端位置と下端位置とを結ぶ軸の水平面に対する傾きが小さい)第1の倒立状態と、上端位置と下端位置との高さの差が大きい(上端位置と下端位置とを結ぶ軸の水平面に対する傾きが大きい)第2の倒立状態と、に分類する。
【0039】
第1の倒立状態及び第2の倒立状態について、上述の第1の正立状態及び第2の正立状態と同様に考察することができる。即ち、第1の倒立状態では、ねじりばね24c、24dはベルト9を上端位置に保持する。第2の倒立状態では、ねじりばね24c、24dがベルト9を上端位置に保持する状態が解除され、ベルト9がY軸の正方向にスライドする。
【0040】
(第2実施例の効果)
本実施例の携帯端末10bでも、第1実施例と同様に、利用者による携帯端末10bの操作性を向上させることができる。また、本実施例では、携帯端末10bは、ねじりばね24a〜24dによってベルト9を上端位置又は下端位置に保持することができる。これにより、利用者の意図に反してベルト9がスライドし、ベルト9に挿入された指が利用者の意図しない位置に移動してしまうことを防止し得る。具体的には、利用者は、携帯端末10bの姿勢を倒立状態から第1の正立状態に変化させても、ベルト9を下端位置に維持することができる。また、利用者は、携帯端末10bの姿勢を正立状態から第1の倒立状態に変化させても、ベルト9を上端位置に維持することができる。
【0041】
また、ベルト9が、上端位置に配置されている場合、利用者は、ベルト9に挿入された指をできる限り上側の位置に保持したい可能性が高い。この場合、ベルト9が下端位置に向かってスライドすることは、利用者の意図に反する可能性が高い。また、ベルト9が、下端位置に配置されている場合、利用者は、ベルト9に挿入された指をできる限り低い位置に保持したい可能性が高い。この場合、ベルト9が上端位置に向かってスライドすることは、利用者の意図に反する可能性が高い。本実施例では、携帯端末10bは、ベルト9が上端位置又は下端位置に配置されている場合に、ねじりばね24a〜24dによってベルト9を保持するため、利用者の意図に反して、ベルト9が移動することを防止することができる。
【0042】
(第3実施例)
図8〜
図10を参照して、本実施例について第1実施例とは異なる点を中心に説明する。本実施例の携帯端末10cでは、携帯端末10c内のCPU(図示省略)が保持部33を制御する。
【0043】
本実施例の携帯端末10cの各部2、4、5、6、7、9は、第1実施例と同様である。本実施例では、溝32及びスライド部材14の構造が第1実施例と異なる。また、
図9に示されるように、携帯端末10cは、さらに、本体2の内部にセンサ31を備える。センサ31は、本体2の傾きを検出するための傾斜センサ、加速度センサ等である。
【0044】
図8に示されるように、本体2の後面には、Y軸方向に沿って溝32が設けられている。X軸方向における溝32の幅は、基本的には一定である。ただし、溝32のY軸方向に沿って、X軸の正方向に突出した突出溝部32a、32cと、X軸の負方向に突出した突出溝部32b、32dと、が設けられている。突出溝部32a、32bはX軸に沿って対向しており、突出溝部32c、32dはX軸に沿って対向している。
【0045】
スライド部材14の突出部14aは、X軸の正方向及び負方向に向いた2個の面に、それぞれ、保持部33を備える。2個の保持部33は、Y軸方向における突出部14aの中央付近に配置されている。2個の保持部33は、突出部14aからX軸の正方向及び負方向に突出した突出状態(
図9参照)と、突出部14aの内部に格納され、突出部14aから突出していない非突出状態と、の間で変化する伸縮機構(図示省略)を内蔵している。伸縮機構は、携帯端末10c内のCPUが後述の
図10の処理を実行することによって制御される。
【0046】
図8に示されるように、ベルト9が下端位置に配置され(即ち、携帯端末10cの姿勢が
図5の倒立状態であり)、2個の保持部33が突出状態である場合に、
図9に示されるように、2個の保持部33は、突出溝部32c、32dに嵌合される。この場合に、2個の保持部33は、ベルト9を下端位置に保持する。また、図示省略しているが、ベルト9が上端位置に配置され(即ち、携帯端末10cの姿勢が
図4の正立状態であり)、2個の保持部33が突出状態である場合に、2個の保持部33は、突出溝部32a、32bに嵌合される。この場合に、2個の保持部33は、ベルト9を上端位置に保持する。
【0047】
図10を参照して、携帯端末10cが備えるCPU(図示省略)が実行する処理について説明する。S10では、CPUは、センサ31によって所定の閾値よりも小さい傾きが検出されるか否かを判断する。CPUは、所定の閾値よりも小さい傾きが検出される場合(S10でYES)に、S20に進み、所定の閾値以上の傾きが検出される場合(S10でNO)に、S30に進む。
【0048】
S20では、CPUは、伸縮機構を動作させ、2個の保持部33を突出状態に変化させる。なお、S20の時点で2個の保持部33が既に突出状態である場合、CPUは、伸縮機構を動作させず、2個の保持部33の突出状態を維持する。これにより、ベルト9が現在の位置(即ち下端位置又は上端位置)に保持される。S20が終了すると、S10に戻る。
【0049】
S30では、CPUは、伸縮機構を動作させ、2個の保持部33を非突出状態に変化させる。なお、S30の時点で2個の保持部33が既に非突出状態である場合、CPUは、伸縮機構を動作させず、2個の保持部33の非突出状態を維持する。これにより、ベルト9が保持されなくなる。即ち、ベルト9がスライド可能となる。S30が終了すると、S10に戻る。
【0050】
(第3実施例の効果)
本実施例の携帯端末10cでも、第1実施例と同様に、利用者による携帯端末10cの操作性を向上させることができる。
【0051】
利用者が携帯端末10cを操作する際、携帯端末10cの本体2の前面は上側に向けられる場合が多い。また、本体2の傾きが比較的小さい場合が多い。本実施例では、携帯端末10cの姿勢が、利用者が携帯端末10cを操作する可能性が高い姿勢である場合(
図10のS10でYES)に、ベルト9を上端位置又は下端位置に保持することができる(S20)。そのため、利用者が携帯端末10cを操作している間に、ベルト9がスライドするのを防止し得る。また、本実施例では、CPUを利用した制御によって、ベルト9のスライドを自動的に防止することができる。
【0052】
(第4実施例)
図11を参照して、本実施例について第1実施例とは異なる点を中心に説明する。本実施例の携帯端末10dは、利用者が保持部41a〜41dを操作する。
【0053】
本実施例の携帯端末10cの各部2、4、5、6、7、9、14は、第1実施例と同様である。本実施例では、溝42の構造が第1実施例と異なる。
図11に示されるように、本体2の後面には、Y軸方向に沿って溝42が設けられている。X軸方向における溝42の幅は、基本的には一定である。ただし、溝42のY軸方向に沿って、X軸の正方向に突出した突出溝部42a、42cと、X軸の負方向に突出した突出溝部42b、42dと、が設けられている。突出溝部42a、42bはX軸に沿って対向しており、突出溝部42c、42dはX軸に沿って対向している。
【0054】
携帯端末10dは、ベルト9を保持するための4個の保持部41a〜41dを備える。保持部41a〜41dは、係止部材43a〜43dと、押しばね44a〜44dと、を備える。
【0055】
保持部41aの構成を説明する。保持部41aの係止部材43aは、突出溝部42a内をX軸方向に沿ってスライド可能である。係止部材43aは、押しばね44aによって、X軸方向の負方向(即ち溝42の方向)に付勢されている。係止部材43aがスライド部材14によって押されていない間(即ち、押しばね44aが弾性変形していない間)には、係止部材43aの先端部(即ち、X軸の負方向側端部)は、中心線L1の位置に配置される(即ち溝42内に突出する)。保持部41bは、中心線L1を対称軸として、保持部41aと対称な構成を備える。保持部41c、41dは、中心線L2を対称軸として、それぞれ、保持部41a、41bと対称な構成を備える。保持部41cに示すように、係止部材43cがスライド部材14によって押されている間(即ち、押しばね44cが弾性変形している間)には、係止部材43cの先端部は溝42内に突出せず、突出溝部42c内に収容される。保持部41dも同様に、係止部材43dがスライド部材14によって押されている間(即ち、押しばね44dが弾性変形している間)には、係止部材43dの先端部は溝42内に突出せず、突出溝部42d内に収容される。
【0056】
図11に示されるように、ベルト9が下端位置に配置されている(即ち、携帯端末10dの姿勢が
図5の倒立状態である)場合の各保持部41a〜41dとベルト9との関係について説明する。保持部41a、41bの係止部材43a、43bは、スライド部材14によって押されていない。そのため、押しばね44a、44bが弾性変形せず、係止部材43a、43bの先端部は中心線L1の位置に配置される。そして、このような位置に配置される係止部材43a、43bがスライド部材14(
図3参照)の上端に接することによって、ベルト9を下端位置に保持している。一方、係止部材43c、43dは、スライド部材14によって押されることによって押しばねが弾性変形し、突出溝部42c、42d内に収容された状態である。この状態の係止部材43c、43dは、スライド部材14の端部に接しておらず、ベルト9の下端位置への保持に寄与していない。
【0057】
本実施例では、携帯端末10dの姿勢が倒立状態から正立状態に変化する場合であっても、係止部材43a、43bの位置が自動的に変化しないため、ベルト9は下端位置に保持され続ける。この場合、利用者が、指で係止部材43a、43bをX軸の両方向に広げると、スライド部材14(即ちベルト9)の下端位置への保持が解除され、スライド部材14がY軸の負方向に向かってスライドする。
【0058】
図示省略しているが、ベルト9が下端位置に配置されている(即ち、携帯端末10bの姿勢が
図4の正立状態である)場合の各保持部41a〜41dとベルト9との関係について説明する。保持部41c、41dの係止部材43c、43dは、スライド部材14によって押されていない。そのため、押しばね44c、44dが弾性変形せず、係止部材43c、43dの先端部は中心線L1の位置に配置される(即ち溝42内に突出する)。そして、このような位置に配置される係止部材43c、43dがスライド部材14(
図3参照)の下端に接することによって、ベルト9を上端位置に保持している。一方、係止部材43a、43bは、スライド部材14によって押されることによって押しばねが弾性変形し、突出溝部42a、42b内に収容された状態である。この状態の係止部材43a、43bは、スライド部材14の端部に接しておらず、ベルト9の上端位置への保持に寄与していない。
【0059】
携帯端末10dの姿勢が正立状態から倒立状態に変化する場合であっても、係止部材43c、43dの位置が自動的に変化しないため、ベルト9は上端位置に保持され続ける。この場合、利用者が、指で係止部材43c、43dをX軸の両方向に広げると、スライド部材14(即ちベルト9)の上端位置への保持が解除され、スライド部材14がY軸の正方向に向かってスライドする。
【0060】
(第4実施例の効果)
本実施例の携帯端末10dでも、第1実施例と同様に、利用者による携帯端末10dの操作性を向上させることができる。また、ベルト9が上端位置又は下端位置に保持されている状態で、利用者は、係止部材43a〜43dを操作することによって、ベルト9を上端位置または下端位置に保持するのか否かを選択することができる。
【0061】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を含んでもよい。
【0062】
(変形例1)上記の各実施例では、携帯端末10a〜10dの姿勢に応じて、ベルト9がスライドしている。変形例では、例えば、利用者がボタン操作することによって、ベルト9がスライドしてもよい。即ち、「ベルト」は、携帯端末の姿勢の変化に応じてスライドしなくてもよい。
【0063】
(変形例2)上記の各実施例において、ベルト9が、上端位置及び下端位置とは異なる位置に保持されるように、保持部がさらに配置されていてもよい。