特許第6790902号(P6790902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790902
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20201116BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H05K9/00 U
   H05K7/20 F
   H05K7/20 B
   H05K9/00 M
   H01L23/40 A
   H01L23/36 D
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-28146(P2017-28146)
(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公開番号】特開2018-133531(P2018-133531A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】山口 紘史
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−126095(JP,A)
【文献】 特開2016−103941(JP,A)
【文献】 特開2003−142876(JP,A)
【文献】 特許第5988004(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 9/00
H01L 23/36
H01L 23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板(21)、及び、前記プリント基板に実装された電子部品(22)を有する回路基板(20)と、
前記回路基板を収容する導電性の筐体(30)と、
前記電子部品と、該電子部品に対して前記プリント基板とは反対の背面側に位置する前記筐体との間に介在し、前記電子部品の生じた熱を前記筐体に伝える熱伝導部材(40)と、
前記プリント基板のグランドと前記筐体とを接続する導電部材(50)と、
前記筐体における前記熱伝導部材の接触部分(32a)を取り囲むように、前記筐体に埋め込まれた非導電性の磁性体(60)と、を備え
前記筐体は、前記接触部分を不連続的に取り囲むように形成された貫通孔(32b)を有し、
前記磁性体は、前記貫通孔内に配置されて前記筐体に保持されており、
前記筐体は、隣り合う前記貫通孔の間に幅の狭い幅狭部(32c)を有する電子装置。
【請求項2】
前記導電部材は、前記回路基板を前記筐体に固定する固定部材である請求項1に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、熱伝導部材が、プリント基板に実装された電子部品と、該電子部品に対してプリント基板とは反対の背面側に位置する筐体との間に介在する背面放熱構造の電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱伝導部材が、プリント基板に実装された電子部品と、該電子部品に対してプリント基板とは反対の背面側に位置する筐体との間に介在する背面放熱構造の電子装置が開示されている。
【0003】
この電子装置において、プリント基板(基板)に実装された電子部品(半導体モジュール)と背面側の筐体との間には熱伝導部材(放熱ゲル)が介在しており、電子部品の生じた熱が、熱伝導部材を介して金属製の筐体に伝達されるようになっている。また、基板は、ねじにより筐体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−126095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プリント基板のグランドの電位安定化などのために、導電部材を介してグランドと金属製の筐体とを接続する構成が採用される。たとえば上記したねじを導電部材として、プリント基板のグランドと筐体が接続される。
【0006】
上記した背面放熱構造の電子装置では、電子部品と筐体が熱伝導部材を介して容量結合されている。また、熱伝導部材のインピーダンスは、放射エミッション規格帯域、具体的には国際規格(CISPR25)で定められている150kHz〜2.5GHzのうち、100MHz以上の高周波帯域で低くなる。このため、電子部品が上記帯域内のノイズ電流を生じると、熱伝導部材を介して筐体に伝搬してしまう。このノイズ電流は、導電部材(ねじ)及びグランドを介して電子部品に戻る。このようにノイズ電流のループが形成されるため、筐体をアンテナとして放射ノイズが生じるという問題がある。
【0007】
本開示はこのような課題に鑑みてなされたものであり、背面放熱構造を有する電子装置において、筐体をアンテナとした放射ノイズを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
本開示のひとつである電子装置は、
プリント基板(21)、及び、プリント基板に実装された電子部品(22)を有する回路基板(20)と、
回路基板を収容する導電性の筐体(30)と、
電子部品と、該電子部品に対してプリント基板とは反対の背面側に位置する筐体との間に介在し、電子部品の生じた熱を筐体に伝える熱伝導部材(40)と、
プリント基板のグランドと筐体とを接続する導電部材(50)と、
筐体における熱伝導部材の接触部分(32a)を取り囲むように、筐体に埋め込まれた非導電性の磁性体(60)と、を備え
筐体は、接触部分を不連続的に取り囲むように形成された貫通孔(32b)を有し、
磁性体は、貫通孔内に配置されて筐体に保持されており、
筐体は、隣り合う貫通孔の間に幅の狭い幅狭部(32c)を有する
【0010】
この電子装置によれば、磁性体が、筐体において熱伝導部材の接触部分の周囲に埋め込まれているため、電子部品で生じた高周波ノイズ電流が筐体上を伝搬するのを抑制することができる。すなわち、筐体をアンテナとして放射ノイズが生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る電子装置の概略構成を示す平面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3図1に示す領域IIIを拡大した図である。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5】参考例を示す断面図であり、図2に対応している。
図6】遮断部の等価回路図である。
図7】遮断部の周波数とインピーダンスとの関係を示す図である。
図8】遮断部の設定例を説明するための図である。
図9】第2実施形態に係る電子装置の概略構成を示す平面図である。
図10図9のX-X線に沿う断面図である。
図11図4に対応する断面図である。
図12】第4実施形態に係る電子装置の概略構成を示す断面図であり、図2に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分には同一の参照符号を付与する。以下において、プリント基板の板厚方向をZ方向と示す。Z方向に直交する一方向であって、平面略矩形状をなすプリント基板の一辺に沿う方向をX方向と示す。また、Z方向及びX方向の両方向に直交する方向をY方向と示す。特に断りのない限り、Z方向から平面視したときの形状(XY平面に沿う形状)を平面形状とする。
【0015】
(第1実施形態)
先ず、図1図4に基づき、本実施形態に係る電子装置の概略構成について説明する。
【0016】
図1及び図2に示す電子装置10は、たとえば車両を制御する電子制御装置(ECU)として構成されている。電子装置10は、回路基板20、筐体30、放熱ゲル40、ねじ50、及び磁性体60を備えている。
【0017】
回路基板20は、プリント基板21、及び、複数の電子部品を有している。プリント基板21は、樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成された基材に、配線が配置されてなる。プリント基板21は、平面略矩形状をなしている。複数の電子部品は、プリント基板21に実装されている。そして、複数の電子部品とプリント基板21の配線とにより、回路が形成されている。回路基板20は、筐体30の内部空間に収容されている。回路基板20は、複数の電子部品として、背面放熱部品22及びコンデンサ23を含んでいる。
【0018】
背面放熱部品22は、放熱ゲル40を介して背面側の筐体30へ放熱するように構成されている。この背面放熱部品22が、筐体30との間に放熱ゲル40(熱伝導部材)が介在する電子部品に相当する。背面放熱部品22は、動作により高周波ノイズを生じる。ここで、高周波とは、放射エミッション規格帯域、具体的には国際規格(CISPR25)で定められた150kHz〜2.5GHzのうち、100MHz以上の周波数帯域が該当する。高周波ノイズを生じる背面放熱部品22は、たとえばスイッチング素子を有している。図2に示すように、本実施形態の背面放熱部品22は、スイッチング素子が形成された半導体チップ22a、ヒートシンク22b、封止樹脂体22c、及び複数の端子22dを有している。背面放熱部品22は、半導体パッケージ、モールドパッケージとも称される。
【0019】
半導体チップ22aに形成されたスイッチング素子は、高速でオン・オフされる。半導体チップ22aは、熱伝導性が良好な金属材料を用いて形成されたヒートシンク22b上に配置されており、半導体チップ22aの生じた熱はヒートシンク22bに伝達される。この積層構造において、半導体チップ22aが回路基板20側、ヒートシンク22bが筐体30(カバー32)側となるように配置されている。
【0020】
半導体チップ22aは、封止樹脂体22cによって封止されている。封止樹脂体22cは、モールド樹脂とも称される。ヒートシンク22bのうち、半導体チップ22a側の面とは反対の面が、封止樹脂体22cから露出されている。すなわち背面放熱部品22の上面において、ヒートシンク22bが露出している。ヒートシンク22bの露出面は、平面略矩形状をなしている。複数の端子22dは、たとえば図示しないボンディングワイヤを介して、半導体チップ22aのパッドに接続されている。
【0021】
複数の端子22dの一部は、プリント基板21に形成された配線としてのグランド24に接続されている。このグランド24は、電位安定化などのために、ねじ50を介して筐体30(ケース31)に接続されている。コンデンサ23は、端子22dとねじ50とを繋ぐグランド24(グランドライン)に設けられている。コンデンサ23は、ノイズフィルタを構成している。
【0022】
プリント基板21には、背面放熱部品22及びコンデンサ23以外にも、図示しない複数の電子部品が実装されている。また、プリント基板21には、貫通孔25が形成されている。貫通孔25には、ねじ50が挿通されている。貫通孔25は、平面略矩形状をなすプリント基板21において、四隅付近にそれぞれ形成されている。
【0023】
回路基板20には、コネクタ26が実装されている。コネクタ26は、回路基板20に形成された回路と外部機器とを電気的に中継する。
【0024】
筐体30は、回路基板20を内部に収容し、回路基板20を保護する。筐体30は、金属などの導電性を有する材料を用いて形成されている。本実施形態において、筐体30は、金属を材料として形成されている。また、Z方向に分割された2つの部材、具体的にはケース31及びカバー32を有している。筐体30は、Z方向においてケース31とカバー32を組み付けることで形成される。
【0025】
ケース31は、一面が開口する箱状をなしている。ケース31において、側壁のひとつに図示しない切り欠きが設けられている。この切り欠きは、上記した一面の開口につながっている。ケース31の底部には、ねじ孔31aが形成されている。ねじ孔31aは、ケース31に回路基板20を位置決めした状態で、Z方向からの平面視で貫通孔25と重なるように設けられている。
【0026】
カバー32は、ケース31とともに筐体30の内部空間を形成する。ケース31にカバー32を組み付けることで、カバー32によりケース31における一面の開口が閉塞される。また、ケース31の側壁に形成された切り欠きが区画され、図示しない開口部となる。この開口部により、コネクタ26の一部が外部に露出される。ケース31及びカバー32の組み付け方法は特に限定されない。ねじ締結、嵌合など周知の組み付け方法を採用することができる。
【0027】
放熱ゲル40は、背面放熱部品22と筐体30との間に介在している。詳しくは、放熱ゲル40が、背面放熱部品22に対してプリント基板21とは反対の背面側に位置するカバー32と、背面放熱部品22との間に介在している。放熱ゲル40は、ヒートシンク22bの露出面とカバー32の内面とに接触している。放熱ゲル40は、背面放熱部品22の生じた熱を、筐体30(カバー32)に伝達する。この放熱ゲル40が、熱伝導部材に相当する。
【0028】
放熱ゲル40は、柔軟性を有する熱伝導部材である。放熱ゲル40としては、たとえばシリコーンをベースとし、酸化亜鉛などの金属酸化物を添加して熱伝導性を向上したものを用いることができる。
【0029】
ねじ50は、プリント基板21のグランド24と筐体30を電気的に接続する。このねじ50が、導電部材に相当する。さらにねじ50は、回路基板20をケース31に固定する固定部材でもある。ねじ50は、プリント基板21の貫通孔25を挿通した状態で、ねじ孔31aに螺合されている。締結状態で、ねじ50の頭部は、グランド24に接触している。
【0030】
磁性体60は、非金属材料などの非導電性を有する材料を用いて形成されている。すなわち、磁性体60は、電気絶縁材料を用いて形成されている。磁性体60の材料として、軟磁性材料、たとえば軟磁性のフェライトを採用することができる。磁性体60は、カバー32における放熱ゲル40の接触部分32aを取り囲むように、カバー32に埋め込まれている。放熱ゲル40の接触部分とは、Z方向からの平面視において放熱ゲル40と重なる部分である。磁性体60は、Z方向からの平面視において、放熱ゲル40を取り囲むように、カバー32に埋め込まれている。
【0031】
本実施形態では、プリント基板21に対する背面放熱部品22の実装の公差を考慮し、接触部分32aが、平面視において放熱ゲル40を内包しつつ、放熱ゲル40よりも若干大きくなっている。また、カバー32に、貫通孔32bが形成されている。貫通孔32bは、接触部分32aを不連続的に取り囲むように形成されている。カバー32において、隣り合う貫通孔32b間の部分は、図3及び図4に示すように、幅の狭い幅狭部32cとなっている。磁性体60は、貫通孔32b内に配置されている。磁性体60は、ほとんど隙間を有することなく貫通孔32b内に埋め込まれている。磁性体60は、圧入や接着などにより、貫通孔32b内に配置された状態でカバー32に保持されている。
【0032】
幅狭部32cは、カバー32として金属が存在している。一方、カバー32において、磁性体60の配置された部分は、金属が存在しない。幅狭部32cにおいて、厚みは接触部分32aとほぼ等しく、幅は磁性体60に挟まれることで狭くなっている。このように、接触部分32aの周囲には、幅狭部32cと磁性体60とが交互に配置されて遮断部70が形成されている。遮断部70は、接触部分32aに隣接して矩形環状に設けられている。
【0033】
次に、図5図7を用いて、上記した電子装置10の効果を説明する。図5に示す参考例では、各要素の符号を、本実施形態の関連する要素の符号に100を加算したものとしている。図6は、遮断部70の等価回路を示しており、図7は、遮断部70の周波数−インピーダンス特性を示している。
【0034】
図5では、参考例として、磁性体60を備えない従来構成の電子装置110を示している。この電子装置110も、回路基板120が、プリント基板121に実装された背面放熱部品122を有している。そして、背面放熱部品122とカバー132との間に放熱ゲル140が介在し、背面放熱部品122の生じた熱が、放熱ゲル140を介して筐体130に伝達されるようになっている。また、背面放熱部品122の端子122dは、グランド124に接続されている。回路基板120をケース131に固定するねじ150も、グランド124に接触している。すなわち、ねじ150が、プリント基板121のグランド124と筐体130とを電気的に接続している。
【0035】
この電子装置110では、背面放熱部品122とカバー132とが、放熱ゲル140を介して容量結合されている。放熱ゲル140のインピーダンスは、上記した放射エミッション規格帯域で低くなる。また、コンデンサ123のインピーダンスも、放射エミッション規格帯域で低くなる。このため、背面放熱部品122が上記帯域内の周波数(以下、高周波と示す)のノイズを生じると、図5に実線矢印で示すように、放熱ゲル140、筐体130、ねじ150、コンデンサ123を介したグランド124、及び端子122dの電流ループが形成される。このように高周波ノイズ電流のループが形成されるため、筐体130をアンテナとして放射ノイズが生じてしまう。
【0036】
これに対し、本実施形態では、カバー32に磁性体60が埋め込まれ、幅狭部32cと磁性体60とが交互に配置されている。すなわち、電流経路となる幅狭部32cを狭くし、幅狭部32cに隣接して非導電性の磁性体60を設けている。幅狭部32c及び磁性体60よりなる遮断部70は、放熱ゲル40の接触部分32aを取り囲んでいる。
【0037】
このように構成される遮断部70は、図6に示すように、抵抗71とインダクタ72の並列回路とみなすことができる。遮断部70は、抵抗71とインダクタ72の性質を合わせもつ。したがって、放射エミッション規格帯域のうち、所定周波数までは、図7に示すように主としてインダクタ成分Xにより、高周波ノイズを反射することができる。また、所定周波数よりも高い周波数領域では、主として抵抗成分Rにより高周波ノイズを吸収し、熱に変換することができる。
【0038】
以上により、本実施形態の電子装置10によれば、背面放熱部品22で生じた高周波ノイズ電流が、筐体30上を伝搬するのを抑制することができる。すなわち、筐体30をアンテナとして放射ノイズが生じるのを抑制することができる。
【0039】
特に本実施形態では、磁性体60を、カバー32における接触部分32aの周囲に配置する。すなわち、磁性体60を、高周波ノイズ電流を生じる背面放熱部品22の近くに配置する。このように、ノイズ源の近くに磁性体60、ひいては遮断部70を設けるため、ノイズ電流の筐体30上の伝搬をより効果的に抑制することができる。
【0040】
さらに本実施形態では、回路基板20をケース31に固定するねじ50により、プリント基板21のグランド24がケース31と電気的に接続されている。すなわち、固定部材であるねじ50が、導電部材を兼ねている。したがって、部品点数を低減し、電子装置10の構成を簡素化することができる。
【0041】
なお、遮断部70を構成する磁性体60の配置については、たとえば以下のようにして設定することができる。磁性体60は非導電性を有しており、高抵抗であるため、高周波ノイズ電流は流れない。よって、図3に白抜き矢印で示すように、磁性体60間の幅狭部32cが電流経路となる。幅狭部32cに白抜き矢印方向の電流が流れると、図4に破線矢印で示す向きに磁界が生じる。すなわち、電流に対して磁性体60が作用を及ぼす。
【0042】
電流経路のインピーダンスZは、周知の式1で示すことができる。式1において、μは真空透磁率(H/m)、μは磁性体透磁率(H/m)、Sは実効断面積(m)、fは電流の周波数(Hz)、Lは実効磁路長(m)である。なお、μ=4π×10−7H/mである。
(式1)Z=(μμS×2πf)/L
たとえばf=100MHzのノイズ電流に対して、磁性体60としてフェライト(100MHzでμ=10H/m)を用い、インピーダンスZ=100Ωとなるように磁性体60を設定する。そのためには、これらの値を式1に代入してなる下記式2の関係を満たすようにすればよい。
(式2)1/(8π)=S/L
ここで、図8に示すように、磁性体60間の距離、すなわち幅狭部32cの幅をG1、カバー32の厚み、すなわち弦長をt1、幅狭部32cの中心をC1、幅狭部32cと磁性体60との界面におけるカバー32の外面(又は内面)側の端部をBとする。たとえば幅狭部32cの幅G1=1mm、弦長t1=2mmとすると、中心C1とし、界面の端部Bを通る円の半径r1は(5)1/2/2となる。
【0043】
したがって、図8に破線で示す弧長A1は、約2.5mmとなる。実効磁路長L=2×A1であるから、L=5mmとなる。したがって、式2より、実効断面積Sは、約6×10−5となる。
【0044】
図3に示すように、磁性体60の縦の長さをL1、横の長さをL2とすると、実効断面積S=L1×L2で示される。したがって、S=6×10−5を満たすように、長さL1,L2を決定すれば、ノイズ電流に対してハイインピーダンスとなり、ノイズ電流の伝搬を遮断することができる。たとえばL1=5mm、L2=6mmとすればよい。
【0045】
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
【0046】
図9及び図10に示すように、本実施形態の電子装置10において、カバー32に溝部32dが形成されている。溝部32dは、放熱ゲル40の接触部分32aを連続的に取り囲むように形成されている。溝部32dは、カバー32の外面側に開口している。そして、溝部32dを形成することで、カバー32のうち、溝部32dの直下に位置する部分が、他の部分、たとえば接触部分32aに対して厚みの薄い薄肉部32eとなっている。
【0047】
磁性体60は、溝部32d内に配置されている。磁性体60は、ほとんど隙間を有することなく溝部32dに埋め込まれている。磁性体60は、接触部分32aを取り囲むように、環状に設けられている。磁性体60は、Z方向からの平面視において、放熱ゲル40を取り囲んでいる。図11に示すように、磁性体60は、カバー32の薄肉部32e上に積層されている。このように、接触部分32aを取り囲むように、薄肉部32eと磁性体60とが積層配置されて遮断部70が形成されている。
【0048】
この電子装置10では、遮断部70において薄肉部32eが電流経路となる。しかしながら、薄肉部32eの電流経路に対してZ方向の一方の側に磁性体60が隣接して配置されている。すなわち、磁性体60を埋め込むことで、電流経路が狭くなっている。これにより、第1実施形態同様、遮断部70が、抵抗71とインダクタ72の性質を合わせもつ。したがって、背面放熱部品22で生じた高周波ノイズ電流が、筐体30上を伝搬するのを抑制することができる。すなわち、筐体30をアンテナとして放射ノイズが生じるのを抑制することができる。
【0049】
上記例では、溝部32dがカバー32の外面に開口する例を示したが、これに限定されない。カバー32の内面側に開口するように、溝部32dを設けてもよい。
【0050】
(第3実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
【0051】
図示を省略するが、本実施形態では、第1実施形態(図2参照)に示したように、カバー32に貫通孔32bが形成されている。この貫通孔32bは、第2実施形態(図9参照)に示したように、カバー32における放熱ゲル40の接触部分32aを連続的に取り囲んで環状に形成されている。
【0052】
環状に貫通孔32bが形成される構成では、カバー32において磁性体60よりも内側の部分、すなわち接触部分32aと外側の部分とが分離される。本実施形態では、接着や圧入などにより、カバー32の接触部分32aが、磁性体60を介して、カバー32における磁性体60よりも外側の部分に保持されている。
【0053】
この電子装置10によれば、カバー32において、接触部分32aと磁性体60よりも外側の部分とが、磁性体60により完全に隔てられている。上記したように、磁性体60は非導電性を有しており、高抵抗であるため、高周波ノイズ電流は流れない。したがって、背面放熱部品22で生じた高周波ノイズ電流が、筐体30上を伝搬するのを抑制することができる。すなわち、筐体30をアンテナとして放射ノイズが生じるのを抑制することができる。
【0054】
(第4実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
【0055】
図12に示すように、本実施形態の電子装置10では、非金属の磁性体61が、ケース31におけるねじ50の接触部分、すなわちねじ孔31aを取り囲むように、ケース31に埋め込まれている。本実施形態では、ケース31の底部に、貫通孔31bが形成されている。貫通孔31bは、ねじ孔31aをそれぞれ取り囲むように形成されている。貫通孔31bは、不連続的にねじ孔31aを取り囲んでいる。そして、貫通孔31bに磁性体61が埋め込まれている。磁性体61の埋め込む箇所は異なるものの、配置の仕方は、第1実施形態と同じとなっている。すなわち、磁性体61とケース31の図示しない幅狭部とが交互に配置されて遮断部70が形成されている。
【0056】
この電子装置10によれば、高周波ノイズ電流の経路の途中に、遮断部70が形成されている。遮断部70は、抵抗とインダクタの性質を合わせもつため、背面放熱部品22で生じた高周波ノイズ電流が、ループ状に流れるのを抑制することができる。すなわち、筐体30をアンテナとして放射ノイズが生じるのを抑制することができる。
【0057】
磁性体61の配置は上記例に限定されない。磁性体61において、第2実施形態や第3実施形態に示した磁性体60の配置を採用することもできる。
【0058】
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0059】
熱伝導部材として、放熱ゲル40の例を示したがこれに限定されない。放熱用のグリスや熱伝導シートを採用することもできる。
【0060】
導電部材として、ねじ50の例を示したがこれに限定されない。プリント基板21に形成されたグランド24と筐体30とを電気的に接続するものであればよい。ねじ50とは別に導電部材を設けてもよい。磁性体61を採用する場合、筐体30における導電部材の接触部分を取り囲むように設ければよい。
【符号の説明】
【0061】
10…電子装置、20…回路基板、21…プリント基板、22…背面放熱部品、22a…半導体チップ、22b…封止樹脂体、22c…ヒートシンク、22d…端子、23…コンデンサ、24…グランド、25…貫通孔、26…コネクタ、30…筐体、31…ケース、31a…ねじ孔、31b…貫通孔、32…カバー、32a…接触部分、32b…貫通孔、32c…幅狭部、32d…溝部、32e…薄肉部、40…放熱ゲル、50…ねじ、60,61…磁性体、70…遮断部、71…抵抗、72…インダクタ
図1
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図12