特許第6790916号(P6790916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790916
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】テープ印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/325 20060101AFI20201116BHJP
   B41J 17/32 20060101ALI20201116BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20201116BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20201116BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20201116BHJP
   B65H 26/00 20060101ALI20201116BHJP
   B41J 35/28 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B41J2/325 A
   B41J17/32 A
   B41J3/36 T
   B41J15/04
   B65H43/00
   B65H26/00
   B41J35/28
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-38233(P2017-38233)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-144250(P2018-144250A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】特許業務法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安木 洋介
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−150509(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/146093(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0283838(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第106103112(CN,A)
【文献】 特開2016−032914(JP,A)
【文献】 特開2004−058667(JP,A)
【文献】 特開2002−166605(JP,A)
【文献】 特開2011−011402(JP,A)
【文献】 特開2014−128893(JP,A)
【文献】 特開2005−074768(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01510353(EP,A1)
【文献】 特開2012−158175(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0023419(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/32− 2/325
B41J 3/36
B41J 15/04
B41J 17/32
B41J 35/28
B65H 26/00
B65H 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端面からフックが突出した周壁部を有し、複数種のテープカートリッジ間で、前記周壁部の外周面において前記フックの基端部よりも基端側の部位である基端側部位の凹入深さが異なる第1ケース、および前記フックが係合するフック受け部を有する第2ケース、を備えた前記テープカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、
前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態で、前記基端側部位の凹入深さに応じて、出力が変化する検出部と、
を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記基端側部位の凹入深さが第1深さである前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態では、第1位置に位置し、前記基端側部位の凹入深さが前記第1深さよりも浅い第2深さである前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態では、支軸を中心に前記第1位置から前記テープカートリッジの装着方向に回転した第2位置に位置する検出子、を有し、
前記検出部は、前記検出子が前記第1位置に位置する状態と、前記検出子が前記第2位置に位置する状態とで、出力が異なることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記基端側部位の凹入深さが第1深さである前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態では、前進位置に位置し、前記基端側部位の凹入深さが前記第1深さよりも浅い第2深さである前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態では、前記前進位置から前記テープカートリッジの着脱方向と交差する方向に後退した後退位置に位置する検出子、を有し、
前記検出部は、前記検出子が前記前進位置に位置する状態と、前記検出子が前記後退位置に位置する状態とで、出力が異なることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記カートリッジ装着部には、複数の前記フックを有する前記テープカートリッジであって、一の特性に関する複数種の前記テープカートリッジ間で一の前記フックの基端部よりも基端側の部位である一の前記基端側部位の凹入深さが異なり、他の特性に関する複数種の前記テープカートリッジ間で他の前記フックの基端部よりも基端側の部位である他の前記基端側部位の凹入深さが異なる前記テープカートリッジが装着され、
前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態で、一の前記基端側部位の凹入深さに応じて、出力が変化する一の前記検出部と、
前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態で、他の前記基端側部位の凹入深さに応じて、出力が変化する他の前記検出部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
前記カートリッジ装着部に装着された前記テープカートリッジから繰り出されたテープを切断するカッターと、
前記検出部の出力に応じて、前記カッターの切断動作を許容するか禁止するかを切り替える制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のテープ印刷装置。
【請求項6】
前記カートリッジ装着部に装着された前記テープカートリッジに収容されたテープに印刷を行うサーマルヘッドと、
前記検出部の出力に応じて、発熱温度が切り替わるように前記サーマルヘッドを制御する制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のテープ印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着されたテープカートリッジの種類を検出可能なテープ印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1が開示するように、カートリッジケース(カセットケース)の複数箇所におけるケース穴(スイッチ孔)の有無の組合せに応じて、出力が変化する検出部(アーム検出部)を備え、テープカートリッジ(テープカセット)の種類を検出するテープ印刷装置(テープ印字装置)が知られている。なお、本段落において、括弧内の文言は、特許文献1における名称を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−158175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のテープ印刷装置は、複数種のテープカートリッジ間で複数箇所におけるケース穴の有無の組合せが異なるテープカートリッジが装着された場合に、テープカートリッジの種類を検出するものである。しかしながら、テープカートリッジにケース穴を設けることができるエリアは限られているため、設けることができるケース穴の数、ひいては検出できるテープカートリッジの種類数にも制約が生じる。
【0005】
本発明は、複数種のテープカートリッジ間で、周壁部の外周面においてフックの基端部よりも基端側の部位である基端側部位の凹入深さが異なるテープカートリッジが装着された場合に、テープカートリッジの種類を検出することができるテープ印刷装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープ印刷装置は、先端面からフックが突出した周壁部を有し、複数種のテープカートリッジ間で、周壁部の外周面においてフックの基端部よりも基端側の部位である基端側部位の凹入深さが異なる第1ケース、およびフックが係合するフック受け部を有する第2ケース、を備えたテープカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、基端側部位の凹入深さに応じて、出力が変化する検出部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、カートリッジ装着部に装着されたテープカートリッジの基端側部位の凹入深さに応じて、検出部の出力が変化する。これにより、複数種のテープカートリッジ間で基端側部位の凹入深さが異なるテープカートリッジが装着された場合に、テープカートリッジの種類を検出することができる。
【0008】
この場合、検出部は、基端側部位の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態では、第1位置に位置し、基端側部位の凹入深さが第1深さよりも浅い第2深さであるテープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態では、支軸を中心に第1位置からテープカートリッジの装着方向に回転した第2位置に位置する検出子、を有し、検出部は、検出子が第1位置に位置する状態と、検出子が第2位置に位置する状態とで、出力が異なることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、基端側部位の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態では、検出子が第1位置に位置し、基端側部位の凹入深さが第2深さであるテープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態では、検出子が第2位置に位置する。これにより、検出部は、基端側部位の凹入深さに応じて出力が変化する。
【0010】
この場合、検出部は、基端側部位の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態では、前進位置に位置し、基端側部位の凹入深さが第1深さよりも浅い第2深さであるテープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態では、前進位置からテープカートリッジの着脱方向と交差する方向に後退した後退位置に位置する検出子、を有し、検出部は、検出子が前進位置に位置する状態と、検出子が後退位置に位置する状態とで、出力が異なることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、基端側部位の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態では、検出子が前進位置に位置し、基端側部位の凹入深さが第2深さであるテープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態では、検出子が後退位置に位置する。これにより、検出部は、基端側部位の凹入深さに応じて出力が変化する。
【0012】
この場合、カートリッジ装着部には、複数のフックを有するテープカートリッジであって、一の特性に関する複数種のテープカートリッジ間で一のフックの基端部よりも基端側の部位である一の基端側部位の凹入深さが異なり、他の特性に関する複数種のテープカートリッジ間で他のフックの基端部よりも基端側の部位である他の基端側部位の凹入深さが異なるテープカートリッジが装着され、テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、一の基端側部位の凹入深さに応じて、出力が変化する一の検出部と、テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、他の基端側部位の凹入深さに応じて、出力が変化する他の検出部と、を備えたことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、一の検出部により、一の特性に関するテープカートリッジの種類を検出し、他の検出部により、他の特性に関するテープカートリッジの種類を検出することができる。
【0014】
この場合、カートリッジ装着部に装着されたテープカートリッジから繰り出されたテープを切断するカッターと、検出部の出力に応じて、カッターの切断動作を許容するか禁止するかを切り替える制御部と、をさらに備えたことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、基端側部位の凹入深さに応じて、カッターの切断動作が許容される場合と禁止される場合とが切り替わる。このため、テープがカッターによる切断に適するか否かが異なるテープカートリッジ間で基端側部位の凹入深さが異なるテープカートリッジのうち、テープがカッターによる切断に適さないテープカートリッジが装着された場合に、カッターの切断動作が行われることを抑制することができる。
【0016】
この場合、カートリッジ装着部に装着されたテープカートリッジに収容されたテープに印刷を行うサーマルヘッドと、検出部の出力に応じて、発熱温度が切り替わるようにサーマルヘッドを制御する制御部と、をさらに備えたことが好ましい。
【0017】
この構成によれば、基端側部位の凹入深さに応じて、サーマルヘッドの発熱温度が切り替わる。このため、適切なサーマルヘッドの発熱温度が異なるテープカートリッジ間で基端側部位の凹入深さが異なるテープカートリッジが装着された場合に、装着されたテープカートリッジに適したサーマルヘッドの発熱温度で、テープに印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置およびテープ印刷装置に装着されるテープカートリッジの概略構成を示す図である。
図2】カートリッジ装着部に設けられた部材を説明するための図である。
図3】テープカートリッジの斜視図である。
図4図3に示したテープカートリッジの第1ケースの斜視図である。
図5図3に示したテープカートリッジの第1ケースの正面図である。
図6図3に示したテープカートリッジの第1ケースの右側面図である。
図7図3に示したテープカートリッジの第2ケースの平面図である。
図8図3に示したテープカートリッジとは種類が異なるテープカートリッジの斜視図である。
図9図8に示したテープカートリッジの第1ケースの斜視図である。
図10図8に示したテープカートリッジの第1ケースの正面図である。
図11図8に示したテープカートリッジの第1ケースの右側面図である。
図12図8に示したテープカートリッジの第2ケースの平面図である。
図13】テープ印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
図14】カートリッジ装着部にテープカートリッジが装着されていない状態における第1基端側部位検出センサーを示す図である。
図15】カートリッジ装着部に図8に示したテープカートリッジが装着された状態における第1基端側部位検出センサーを示す図である。
図16】カートリッジ装着部に図3に示したテープカートリッジが装着された状態における第1基端側部位検出センサーを示す図である。
図17】コントローラーが実行する印刷制御処理の流れを示すフローチャートである。
図18】第1基端側部位検出センサーの変形例であって、カートリッジ装着部にテープカートリッジが装着されていない状態における第1基端側部位検出センサーを示す図である。
図19】第1基端側部位検出センサーの変形例であって、カートリッジ装着部に図8に示したテープカートリッジが装着された状態における第1基端側部位検出センサーを示す図である。
図20】第1基端側部位検出センサーの変形例であって、カートリッジ装着部に図3に示したテープカートリッジが装着された状態における第1基端側部位検出センサーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のテープ印刷装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面では、必要に応じて、各部の配置関係を明確にするために、XYZ直交座標系を表示するが、それが本発明を何ら限定するものではないことは、言うまでもない。
【0020】
図1に基づいて、テープ印刷装置Aおよびテープ印刷装置Aに装着されるテープカートリッジ100の概略構成について説明する。
【0021】
テープ印刷装置Aは、操作パネル1と、ディスプレー2と、サーマルヘッド3と、カッター4とを備えている。また、テープ印刷装置Aには、カートリッジ装着部5と、カバー6と、テープ排出口7とが設けられている。なお、テープ印刷装置Aは、図1では図示省略したが、コントローラー14(図13参照)等をさらに備えている。
【0022】
操作パネル1には、文字ボタン、選択ボタン、印刷ボタンなどのボタン9が設けられている。操作パネル1は、ユーザーによるボタン9に対する操作を検出する。
【0023】
ディスプレー2は、ボタン9に対する操作の検出結果に基づいて、例えば入力された文字列を表示する。また、ディスプレー2は、テープ印刷装置Aの各部に設けられたセンサーの検出結果に基づいて、各種表示を行う。
【0024】
カートリッジ装着部5には、テープカートリッジ100が着脱可能に装着される。テープカートリッジ100は、テープコア101と、リボン繰出しコア102と、リボン巻取りコア103と、プラテンローラー104と、これらを収容したカートリッジケース105とを備えている。テープコア101には、テープTがロール状に巻かれている。リボン繰出しコア102には、インクリボンRがロール状に巻かれている。
【0025】
テープカートリッジ100には、テープ幅、カット適合性、および温度特性の各特性に関して、複数種のものが用意されている。
【0026】
ここで、カット適合性とは、テープTがカッター4による切断に適するか否かを示すテープカートリッジ100の特性である。テープカートリッジ100は、カット適合性に関して、カット適合性がカット適であるテープカートリッジ100と、カット適合性がカット不適であるテープカートリッジ100との2種類に分けられる。カット適合性は、テープTの材質等により決まる特性である。
【0027】
温度特性とは、サーマルヘッド3の発熱温度として適切な温度を示すテープカートリッジ100の特性である。テープカートリッジ100は、温度特性に関して、温度特性が第1温度であるテープカートリッジ100と、温度特性が第1温度とは異なる第2温度であるテープカートリッジ100との2種類に分けられる。温度特性は、テープTの材質やインクリボンRのインクの性質等により決まる特性である。
【0028】
テープ幅とは、収容されたテープTの幅方向の寸法を示すテープカートリッジ100の特性である。テープカートリッジ100は、テープ幅に関して、テープ幅が第1幅であるテープカートリッジ100と、テープ幅が第1幅よりも大きい第2幅であるテープカートリッジ100と、が含まれる複数種に分けられる。
【0029】
なお、カット適合性、温度特性およびテープ幅の各特性に関するテープカートリッジ100の種類数は、特に限定されるものではなく、3種類以上に分けられてもよい。
【0030】
カバー6は、カバー6の一端部を支点として回転可能なように取り付けられ、カートリッジ装着部5の開放部を開閉する。カバー6は、ユーザーが、カートリッジ装着部5に対してテープカートリッジ100を着脱する際などに開閉される。
【0031】
サーマルヘッド3は、カートリッジ装着部5に設けられている。サーマルヘッド3は、テープTおよびインクリボンRが送られる際に、ボタン9に対する操作の検出結果に基づいて発熱する。これにより、インクリボンRのインクがテープTに転写され、入力された文字列がテープTに印刷される。テープ排出口7からは、テープTの印刷済み部分が排出される。
【0032】
カッター4は、カートリッジ装着部5とテープ排出口7との間に設けられている。カッター4は、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100から繰り出されたテープTを、テープTの幅方向に切断する。これにより、テープTの印刷済み部分が切り離される。なお、詳細は後述するが、カット適合性がカット不適のテープカートリッジ100の場合、カッター4の切断動作が行われず、テープTの印刷済み部分が切り離されないため、ユーザーが例えばハサミを用いてこれを切り離す。切り離されたテープTの印刷済み部分は、ラベルとして、ユーザーにより所望の箇所に貼付される。
【0033】
図2に基づいて、カートリッジ装着部5に設けられた部材について説明する。カートリッジ装着部5には、上記のサーマルヘッド3のほか、カートリッジ検出センサー8と、プラテン軸51と、巻取り軸52とが設けられている。
【0034】
カートリッジ検出センサー8は、第1基端側部位検出センサー81と、第2基端側部位検出センサー82と、ケース穴検出センサー83とを備えている。第1基端側部位検出センサー81および第2基端側部位検出センサー82は、カートリッジ装着部5の内周面に設けられている。ケース穴検出センサー83は、カートリッジ装着部5の底面に設けられている。第1基端側部位検出センサー81、第2基端側部位検出センサー82およびケース穴検出センサー83については、後述する。
【0035】
プラテン軸51には、プラテン回転子53が回転可能に設けられている。カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着されると、プラテン軸51がプラテンローラー104に挿入され、プラテン回転子53がプラテンローラー104に係合する。この状態で、プラテン回転子53が回転することにより、プラテンローラー104が回転し、プラテンローラー104とサーマルヘッド3との間に挟持されたテープTおよびインクリボンRが送られる。
【0036】
巻取り軸52には、巻取り回転子54が回転可能に設けられている。カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着されると、巻取り軸52がリボン巻取りコア103に挿入され、巻取り回転子54がリボン巻取りコア103に係合する。この状態で、巻取り回転子54が回転することにより、リボン巻取りコア103が回転し、リボン繰出しコア102から繰り出されたインクリボンRがリボン巻取りコア103に巻き取られる。
【0037】
図3ないし図12に基づいて、テープカートリッジ100について説明する。ここで、図3に示したテープカートリッジ100と、図8に示したテープカートリッジ100とでは、種類が異なっている。すなわち、図3に示したテープカートリッジ100は、カット適合性がカット不適であり、温度特性が第1温度であり、テープ幅が第1幅のものである。図4ないし図7は、図3に示したテープカートリッジ100を構成する第1ケース110および第2ケース120を示す。一方、図8に示したテープカートリッジ100は、カット適合性がカット適であり、温度特性が第2温度であり、テープ幅が第2幅のものである。図9ないし図12は、図8に示したテープカートリッジ100を構成する第1ケース110および第2ケース120を示す。
【0038】
図3および図8に示すように、テープカートリッジ100は、上述したように、テープコア101(図3および図8では図示省略)と、リボン繰出しコア102(図3および図8では図示省略)と、リボン巻取りコア103と、プラテンローラー104と、カートリッジケース105とを備えている。
【0039】
カートリッジケース105は、第1ケース110と、第2ケース120とを備えている。第1ケース110と第2ケース120とは、分解可能に組み立てられている。第1ケース110および第2ケース120は、樹脂製であり、それぞれ射出成形により製造されたものであるが、第1ケース110および第2ケース120の材質および製法は、これに限定されるものではない。
【0040】
図4ないし図6および図9ないし図11に示すように、第1ケース110は、第1ベース部111と、第1周壁部112とを備えている。第1周壁部112の先端面112aからは、複数の嵌合ピン113と、第1フック114と、第2フック115とが突出している。なお、第1周壁部112の外周面112bにおいて第1フック114の基端部よりも基端側の部位を、第1基端側部位116という。また、第1周壁部112の外周面112bにおいて第2フック115の基端部よりも基端側の部位を、第2基端側部位117という。
【0041】
図7および図12に示すように、第2ケース120は、第2ベース部121と、第2周壁部122とを備えている。第2ベース部121の外面の隅部には、1または複数のケース穴126が設けられている。第2周壁部122には、複数の嵌合穴123と、第1フック受け部124と、第2フック受け部125とが設けられている。嵌合穴123には、嵌合ピン113が圧入される。第1フック受け部124には、第1フック114が係合する。第2フック受け部125には、第2フック115が係合する。このように、嵌合ピン113が嵌合穴123に圧入され、第1フック114が第1フック受け部124と係合し、第2フック115が第2フック受け部125と係合することにより、第1ケース110と第2ケース120とが組み立てられ、カートリッジケース105が形成される。
【0042】
テープカートリッジ100は、第1ケース110がテープカートリッジ100の装着方向手前となり、第2ケース120がテープカートリッジ100の装着方向先方となる向きで、カートリッジ装着部5に装着される。すなわち、テープカートリッジ100は、第2ケース120の第2ベース部121の外面がカートリッジ装着部5の底面に接するようにして、カートリッジ装着部5に装着される。このため、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着される際には、嵌合ピン113、第1フック114および第2フック115の各先端が、テープカートリッジ100の装着方向先方を向くことになる。
【0043】
複数種のテープカートリッジ100間で、カートリッジケース105は、テープカートリッジ100の装着方向における寸法(厚さ)を除き、略同様に構成されているが、第1基端側部位116の凹入深さ、第2基端側部位117の凹入深さおよびケース穴126のパターンがそれぞれ異なっている。
【0044】
第1基端側部位116の凹入深さ、すなわち、第1周壁部112の厚さ方向における第1基端側部位116の外面から第1基端側部位116の周辺部の外面までの寸法は、カット適合性に関する2種類のテープカートリッジ100間で、異なっている。具体的には、第1基端側部位116の凹入深さは、カット適合性がカット不適であるテープカートリッジ100では、第1深さとなり(図3図4および図6参照)、カット適合性がカット適であるテープカートリッジ100では、第1深さよりも浅い第2深さとなっている(図8図9および図11参照)。ここで、凹入深さが第1深さである第1基端側部位116は、テープカートリッジ100の着脱方向全体に亘る溝状の凹部により構成されている。なお、この凹部の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば円形或いは矩形であってもよい。一方、凹入深さが第2深さである第1基端側部位116は、略平坦面により構成されている。すなわち、第2深さは、略ゼロである。もちろん、凹入深さが第2深さである第1基端側部位116についても、凹部により構成されていてもよい。このように、第2深さは、第1深さよりも小さい値であれば、ゼロであっても、ゼロでなくてもよい。
【0045】
また、第2基端側部位117の凹入深さ、すなわち、第1周壁部112の厚さ方向における第2基端側部位117の外面から第2基端側部位117の周辺部の外面までの寸法は、温度特性に関する2種類のテープカートリッジ100間で、異なっている。具体的には、第2基端側部位117の凹入深さは、温度特性が第1温度であるテープカートリッジ100では、第3深さとなり(図3ないし図5参照)、温度特性が第2温度であるテープカートリッジ100では、第3深さよりも浅い第4深さとなっている(図8ないし図10参照)。ここで、凹入深さが第3深さである第2基端側部位117は、テープカートリッジ100の着脱方向全体に亘る溝状の凹部により構成されている。なお、この凹部の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば円形或いは矩形であってもよい。一方、凹入深さが第4深さである第2基端側部位117は、略平坦面により構成されている。すなわち、第4深さは、略ゼロである。もちろん、凹入深さが第4深さである第2基端側部位117についても、凹部により構成されていてもよい。このように、第4深さは、第3深さよりも小さい値であれば、ゼロであっても、ゼロでなくてもよい。なお、第3深さは、第1深さと同じであっても異なっていてもよく、第4深さは、第2深さと同じであっても異なっていてもよい。
【0046】
さらに、ケース穴126のパターン、すなわち複数箇所(ここでは3箇所)におけるケース穴126の有無の組合せは、テープ幅が異なる複数種のテープカートリッジ100間で、異なっている。具体的には、ケース穴126のパターンは、テープ幅が第1幅であるテープカートリッジ100では、第1パターンとなり(図7参照)、テープ幅が第2幅であるテープカートリッジ100では、第1パターンとは異なる第2パターンとなっている(図12参照)。
【0047】
図13に基づいて、テープ印刷装置Aの制御構成について説明する。テープ印刷装置Aは、上記の操作パネル1、ディスプレー2、サーマルヘッド3およびカートリッジ検出センサー8に加えて、送りモーター11と、カッターモーター12と、温度センサー13と、コントローラー14とを備えている。
【0048】
送りモーター11は、プラテン回転子53および巻取り回転子54を回転させる駆動源である。カッターモーター12は、カッター4を切断動作させる駆動源である。なお、送りモーター11およびカッターモーター12を、両者の機能を兼ね備える一つのモーターで構成してもよい。
【0049】
温度センサー13は、サーマルヘッド3に組み込まれており、サーマルヘッド3の発熱温度を検出する。温度センサー13としては、例えばサーミスタを用いることができる。
【0050】
コントローラー14は、CPU141(Central Processing Unit)と、ROM142(Read Only Memory)と、RAM143(Random Access Memory)とを備えている。CPU141は、ROM142に記憶されたプログラムを、RAM143を用いて実行する。コントローラー14は、ディスプレー2、サーマルヘッド3、送りモーター11およびカッターモーター12を駆動するドライバー回路(図示省略)に対し、制御信号を出力する。また、コントローラー14には、操作パネル1、第1基端側部位検出センサー81、第2基端側部位検出センサー82、ケース穴検出センサー83および温度センサー13からの出力が入力する。
【0051】
コントローラー14は、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、第1基端側部位検出センサー81の出力に基づいて、カット適合性に関する種類を判断する。すなわち、第1基端側部位検出センサー81の出力は、詳細は後述するように、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100の第1基端側部位116の凹入深さにより変化する。このため、コントローラー14は、第1基端側部位116の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された場合には、そのテープカートリッジ100について、カット適合性がカット不適のテープカートリッジ100であると判断する。また、コントローラー14は、第1基端側部位116の凹入深さが第2深さであるテープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された場合には、そのテープカートリッジ100について、カット適合性がカット適のテープカートリッジ100であると判断する。
【0052】
コントローラー14は、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、第2基端側部位検出センサー82の出力に基づいて、温度特性に関する種類を判断する。すなわち、第2基端側部位検出センサー82の出力は、詳細は後述するように、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100の第2基端側部位117の凹入深さにより変化する。このため、コントローラー14は、第2基端側部位117の凹入深さが第3深さであるテープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された場合には、そのテープカートリッジ100について、温度特性が第1温度のテープカートリッジ100であると判断する。また、コントローラー14は、第2基端側部位117の凹入深さが第4深さであるテープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された場合には、そのテープカートリッジ100について、温度特性が第2温度のテープカートリッジ100であると判断する。
【0053】
コントローラー14は、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、ケース穴検出センサー83の出力に基づいて、テープ幅に関する種類を判断する。すなわち、ケース穴検出センサー83は、複数(図2では3個)の穴検出スイッチ83aを備えている。穴検出スイッチ83aとしては、例えばマイクロスイッチを用いることができる。ケース穴検出センサー83の出力、すなわち複数の穴検出スイッチ83aの出力(ON/OFF)の組合せは、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100のケース穴126のパターンにより変化する。このため、コントローラー14は、例えば、ケース穴126のパターンが第1パターンであるテープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された場合には、そのテープカートリッジ100について、第1幅のテープカートリッジ100であると判断する。また、コントローラー14は、ケース穴126のパターンが第2パターンであるテープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された場合には、そのテープカートリッジ100について、第2幅のテープカートリッジ100であると判断する。
【0054】
コントローラー14は、温度センサー13の出力に基づいて、サーマルヘッド3の発熱温度が所望の温度(第1温度或いは第2温度)となるように、サーマルヘッド3を制御する。
【0055】
図14ないし図16に基づいて、第1基端側部位検出センサー81について説明する。なお、第2基端側部位検出センサー82は、第1基端側部位検出センサー81と同様に構成されているため、ここでは説明を省略する。
【0056】
第1基端側部位検出センサー81は、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着された状態で、第1基端側部位116と対向するように、カートリッジ装着部5の内周面に設けられている。第1基端側部位検出センサー81は、センサーケース811と、棒状の検出子812とを備えている。センサーケース811には、図示しないセンサー回路が内蔵されている。また、センサーケース811には、Y軸に平行な支軸813が固定されている。検出子812は、一方(+X側)の端部において支軸813に回転可能に設けられ、他方(−X側)の端部がカートリッジ装着部5の内周面から突出している。すなわち、検出子812は、例えばバネによりX軸と平行な位置に付勢されており、このX軸と平行な位置から、支軸813を中心に、テープカートリッジ100の装着方向(−Z方向)および離脱方向(+Z方向)に回転可能である。
【0057】
ここで、検出子812について、X軸と平行な位置を、第1位置といい、X軸と平行な位置からテープカートリッジ100の装着方向(−Z方向)に所定角度回転した位置を、第2位置という。第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が第1位置に位置する状態と第2位置に位置する状態とで、出力が異なる。例えば、第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が第1位置に位置する状態で、OFFを出力し、検出子812が第2位置に位置する状態で、ONを出力するが、このON/OFFは逆であってもよい。なお、第1基端側部位検出センサー81としては、例えばマイクロスイッチを用いることができる。
【0058】
図14に示すように、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着されていない状態では、検出子812が第1位置に位置する。このとき、第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が第1位置に位置するため、OFFを出力する。
【0059】
また、図15に示すように、カートリッジ装着部5に、図8に示したテープカートリッジ100、すなわち第1基端側部位116の凹入深さが第2深さであるテープカートリッジ100が装着されると、検出子812は、装着の途中で、第1フック受け部124と接触して、第1位置から第2位置に向けてテープカートリッジ100の装着方向(−Z方向)に回転する。そして、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着された状態では、検出子812は、第1フック受け部124に続いて第1基端側部位116と接触しているため、第2位置に位置する。このとき、第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が第2位置に位置するため、ONを出力する。
【0060】
一方、図16に示すように、カートリッジ装着部5に、図3に示したテープカートリッジ100、すなわち第1基端側部位116の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジ100が装着されると、検出子812は、装着の途中で、第1フック受け部124と接触して、第1位置から第2位置に向けてテープカートリッジ100の装着方向に回転する。しかしながら、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着された状態では、検出子812は、第1基端側部位116と対向するがこれと接触しないため、第1位置に位置する。すなわち、第1フック受け部124と接触して第1位置から第2位置に向けて回転した検出子812は、第1フック受け部124との接触が外れると、第1位置へ逆方向に回転する。このとき、第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が第1位置に位置するため、OFFを出力する。
【0061】
なお、第1基端側部位116の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された場合、カートリッジ装着部5からテープカートリッジ100が離脱される際に、第1フック受け部124のうちテープカートリッジ100の離脱方向先方(+Z側)の端面が検出子812に当たるが、検出子812は、テープカートリッジ100の離脱方向(+Z方向)に回転する。このため、カートリッジ装着部5からテープカートリッジ100が離脱される際に、検出子812が邪魔となってテープカートリッジ100が離脱されなかったり、検出子812が破損したりすることを抑制することができる。
【0062】
図17に基づいて、コントローラー14が実行する印刷制御処理の流れについて説明する。コントローラー14は、印刷ボタンが押されたことを検出した場合などに、印刷制御処理を実行する。
【0063】
ステップS1では、コントローラー14は、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、第1基端側部位検出センサー81の出力に基づいて、カット適合性に関する種類を判断する。また、コントローラー14は、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、第2基端側部位検出センサー82の出力に基づいて、温度特性に関する種類を判断する。
【0064】
コントローラー14が、ステップS1において、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、カット適合性がカット適であり温度特性が第1温度のテープカートリッジ100であると判断した場合、ステップS2に進む。
【0065】
ステップS2では、コントローラー14は、サーマルヘッド3の発熱温度が第1温度となるように、サーマルヘッド3を制御する。ステップS3に進み、コントローラー14は、カッター4の切断動作を許容する。
【0066】
コントローラー14が、ステップS1において、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、カット適合性がカット適であり温度特性が第2温度のテープカートリッジ100であると判断した場合、ステップS4に進む。
【0067】
ステップS4では、コントローラー14は、サーマルヘッド3の発熱温度が第2温度となるように、サーマルヘッド3を制御する。ステップS5に進み、コントローラー14は、カッター4の切断動作を許容する。
【0068】
コントローラー14が、ステップS1において、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、カット適合性がカット不適であり温度特性が第1温度のテープカートリッジ100であると判断した場合、ステップS6に進む。
【0069】
ステップS6では、コントローラー14は、サーマルヘッド3の発熱温度が第1温度となるように、サーマルヘッド3を制御する。ステップS7に進み、コントローラー14は、カッター4の切断動作を禁止する。
【0070】
コントローラー14が、ステップS1において、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、カット適合性がカット不適であり温度特性が第2温度のテープカートリッジ100であると判断した場合、ステップS8に進む。
【0071】
ステップS8では、コントローラー14は、サーマルヘッド3の発熱温度が第2温度となるように、サーマルヘッド3を制御する。ステップS9に進み、コントローラー14は、カッター4の切断動作を禁止する。
【0072】
このように、コントローラー14は、カートリッジ装着部5に、カット適合性がカット適のテープカートリッジ100、すなわち第1基端側部位116の凹入深さが第2深さであるテープカートリッジ100が装着された場合には、カッター4の切断動作を許容する。一方、コントローラー14は、カートリッジ装着部5に、カット適合性がカット不適のテープカートリッジ100、すなわち第1基端側部位116の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジ100が装着された場合には、カッター4の切断動作を禁止する。これにより、ユーザーが、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100のカット適合性に合わせて、印刷実行前に、テープTの切断を印刷時に行うか否かの設定を操作パネル1等から行わなくても、カット適合性がカット不適のテープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された場合に、カッター4の切断動作が行われることを抑制することができる。したがって、カット適合性がカット不適のテープカートリッジ100のテープTに対してカッター4が切断動作を行ったために、テープTが適切に切断されなかったり、カッターモーター12が過負荷となったり、カッター4の刃が欠けたりすることを抑制することができる。
【0073】
また、コントローラー14は、カートリッジ装着部5に、温度特性が第1温度のテープカートリッジ100、すなわち第2基端側部位117の凹入深さが第3深さであるテープカートリッジ100が装着された場合には、発熱温度が第1温度となるように、サーマルヘッド3を制御する。一方、コントローラー14は、カートリッジ装着部5に、温度特性が第2温度のテープカートリッジ100、すなわち第2基端側部位117の凹入深さが第4深さであるテープカートリッジ100が装着された場合には、発熱温度が第2温度となるように、サーマルヘッド3を制御する。これにより、ユーザーが、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100の温度特性に合わせて、印刷実行前に、サーマルヘッド3の発熱温度の設定を操作パネル1等から行わなくても、自動的に、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100の温度特性に適したサーマルヘッド3の発熱温度で、印刷を行うことができる。したがって、適度な印刷濃度でテープTに印刷が行われ、印刷された文字がつぶれたり、かすれたりすることを抑制することができる。
【0074】
以上のように、本実施形態のテープ印刷装置Aは、カートリッジ装着部5と、第1基端側部位検出センサー81および第2基端側部位検出センサー82とを備えている。カートリッジ装着部5には、テープカートリッジ100が装着される。テープカートリッジ100は、第1ケース110および第2ケース120を備えている。第1ケース110は、先端面112aから第1フック114および第2フック115が突出した第1周壁部112を有する。カット適合性に関する2種類のテープカートリッジ100間で、第1周壁部112の外周面112bにおいて第1フック114の基端部よりも基端側の部位である第1基端側部位116の凹入深さが異なる。温度特性に関する2種類のテープカートリッジ100間で、第1周壁部112の外周面112bにおいて第2フック115の基端部よりも基端側の部位である第2基端側部位117の凹入深さが異なる。第2ケース120は、第1フック114が係合する第1フック受け部124および第2フック115が係合する第2フック受け部125を有する。第1基端側部位検出センサー81は、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された状態で、第1基端側部位116の凹入深さに応じて、出力が変化する。第2基端側部位検出センサー82は、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された状態で、第2基端側部位117の凹入深さに応じて、出力が変化する。
【0075】
この構成によれば、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100の第1基端側部位116の凹入深さに応じて、第1基端側部位検出センサー81の出力が変化し、第2基端側部位117の凹入深さに応じて、第2基端側部位検出センサー82の出力が変化する。これにより、カット適合性に関する2種類のテープカートリッジ100間で第1基端側部位116の凹入深さが異なり、温度特性に関する2種類のテープカートリッジ100間で第2基端側部位117の凹入深さが異なるテープカートリッジ100が装着された場合に、カット適合性に関するテープカートリッジ100の種類と、温度特性に関するテープカートリッジ100の種類とを検出することができる。また、カートリッジケース105を形成するための構成である、第1基端側部位116および第2基端側部位117のそれぞれの凹入深さを変えることにより、複数のテープカートリッジ100の種類を検出することができるので、ケース穴126の数を増やさなくても、検出できるテープカートリッジ100の種類数を増やすことができる。
【0076】
図18ないし図20に基づいて、第1基端側部位検出センサー81の変形例について説明する。この変形例は、第2基端側部位検出センサー82にも適用可能である。なお、変形例では、上記の実施形態と同様の内容については、適宜説明を省略し、上記の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0077】
変形例に係る第1基端側部位検出センサー81の検出子812は、テープカートリッジ100の着脱方向(Z方向)と交差する方向(X方向)に進退可能にセンサーケース811に設けられている。すなわち、検出子812は、例えばバネによりカートリッジ装着部5の内周面から突出した位置に付勢されており、この位置から、テープカートリッジ100の着脱方向(Z方向)と交差する方向(+X方向)に後退可能である。
【0078】
ここで、検出子812について、カートリッジ装着部5の内周面から突出した位置を、前進位置といい、前進位置からテープカートリッジ100の着脱方向と交差する方向に後退した位置を、後退位置という。第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が前進位置に位置する状態と後退位置に位置する状態とで、出力が異なる。例えば、第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が前進位置に位置する状態で、OFFを出力し、検出子812が後退位置に位置する状態で、ONを出力するが、このON/OFFは逆であってもよい。
【0079】
図18に示すように、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着されていない状態では、検出子812が前進位置に位置する。このとき、第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が前進位置に位置するため、OFFを出力する。
【0080】
また、図19に示すように、カートリッジ装着部5に、第1基端側部位116の凹入深さが第2深さであるテープカートリッジ100が装着されると、検出子812は、装着の途中で、第1フック受け部124と接触して、前進位置から後退位置に向けてテープカートリッジ100の着脱方向(Z方向)と交差する方向(+X方向)に後退する。そして、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着された状態では、検出子812は、第1フック受け部124に続いて第1基端側部位116と接触しているため、後退位置に位置する。このとき、第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が後退位置に位置するため、ONを出力する。
【0081】
一方、図20に示すように、カートリッジ装着部5に、第1基端側部位116の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジ100が装着されると、検出子812は、装着の途中で、第1フック受け部124と接触して、前進位置から後退位置に向けてテープカートリッジ100の着脱方向(Z方向)と交差する方向(+X方向)に後退する。しかしながら、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100が装着された状態では、検出子812は、第1基端側部位116と対向するがこれと接触しないため、前進位置に位置する。すなわち、第1フック受け部124と接触して前進位置から後退位置に向けて後退した検出子812は、第1フック受け部124との接触が外れると、前進位置へ戻るように前進する。このとき、第1基端側部位検出センサー81は、検出子812が前進位置に位置するため、OFFを出力する。
【0082】
なお、第1基端側部位116の凹入深さが第1深さであるテープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された場合、カートリッジ装着部5からテープカートリッジ100が離脱される際に、検出子812が、第1フック受け部124のうちテープカートリッジ100の離脱方向先方(+Z側)の端面に当たる。このため、カートリッジ装着部5からテープカートリッジ100が離脱される際に、検出子812が邪魔となってテープカートリッジ100が離脱されなかったり、検出子812が破損したりするおそれがある。そこで、第1フック受け部124のうちテープカートリッジ100の離脱方向先方(+Z側)の端面を、第2周壁部122の外側(+X側)に向かってテープカートリッジ100の装着方向(−Z方向)に傾斜した斜面にしてもよい。カートリッジ装着部5からテープカートリッジ100が離脱される際に、検出子812がこの斜面に当たると、検出子812が前進位置から後退位置へ後退する。そのため、カートリッジ装着部5からテープカートリッジ100が離脱される際に、検出子812が邪魔となること等が抑制される。第2フック受け部125についても同様である。
【0083】
このように、変形例に係る第1基端側部位検出センサー81についても、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着された状態で、第1基端側部位116の凹入深さに応じて、出力が変化する。
【0084】
なお、第1フック114および第2フック115は、「フック」の一例である。第1基端側部位116および第2基端側部位117は、「基端側部位」の一例である。第1フック受け部124および第2フック受け部125は、「フック受け部」の一例である。第1基端側部位検出センサー81および第2基端側部位検出センサー82は、「検出部」の一例である。コントローラー14は、「制御部」の一例である。
本発明は上記した実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、本実施形態は、上記の変形例のほか、以下のような形態に変更することができる。
【0085】
テープ印刷装置Aは、検出部として、第1基端側部位検出センサー81および第2基端側部位検出センサー82の2つを備えているが、検出部の個数は特に限定されるものではなく、1つでもよい。すなわち、テープ印刷装置Aは、第1基端側部位検出センサー81および第2基端側部位検出センサー82のいずれか一方のみを備えた構成でもよい。また、テープ印刷装置Aは、3つ以上の検出部を備えた構成でもよい。
【0086】
コントローラー14は、第1基端側部位検出センサー81の出力に基づき、カット適合性に関するテープカートリッジ100の種類を判断する構成に限定されるものではなく、カット適合性以外の特性に関するテープカートリッジ100の種類を判断してもよい。例えば、コントローラー14は、第1基端側部位検出センサー81の出力に基づき、テープ幅、テープTの色、或いはインクリボンRの色に関するテープカートリッジ100の種類を判断してもよい。この場合、第1基端側部位116の凹入深さは、テープ幅、テープTの色、或いはインクリボンRの色など、カット適合性以外の特性に関する複数種のテープカートリッジ100間で、異なる構成となる。第2基端側部位検出センサー82および第2基端側部位117の凹入深さについても、同様である。
【0087】
コントローラー14は、第1基端側部位検出センサー81の出力により、一の特性(例えばカット適合性)に関するテープカートリッジ100の種類を判断し、第2基端側部位検出センサー82の出力により、他の特性(例えば温度特性)に関するテープカートリッジ100の種類を判断する構成に限定されるものではない。すなわち、コントローラー14は、第1基端側部位検出センサー81の出力と第2基端側部位検出センサー82の出力との組合せにより、一の特性に関するテープカートリッジ100の種類を判断してもよい。この構成は、一の特性に関して3種類以上のテープカートリッジ100が用意されている場合に、特に有効である。この場合、第1基端側部位116の凹入深さおよび第2基端側部位117の凹入深さの組合せは、一の特性に関する複数種のテープカートリッジ100間で異なることになる。
【0088】
第1基端側部位検出センサー81は、ON/OFFの2段階で出力を切り替える構成に限定されるものではなく、3段階以上で出力を切り替える構成でもよい。この構成によれば、コントローラー14は、第1基端側部位検出センサー81の出力のみに基づいて、一或いは複数の特性に関して3種類以上のテープカートリッジ100の種類を判断することができる。この場合、第1基端側部位116の凹入深さは、一或いは複数の特性に関する3種類以上のテープカートリッジ100間で異なることになる。第2基端側部位検出センサー82および第2基端側部位117の凹入深さについても、同様である。
【0089】
第1基端側部位検出センサー81は、カバー6に設けられていてもよい。この構成によれば、開放されたカバー6と共に第1基端側部位検出センサー81がカートリッジ装着部5から退避する。このため、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に装着或いは離脱される際に、第1基端側部位検出センサー81が邪魔となってテープカートリッジ100が装着或いは離脱されないことを抑制することができる。第2基端側部位検出センサー82についても同様である。
【0090】
第1基端側部位検出センサー81としては、マイクロスイッチを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、光センサーを用いてもよい。すなわち、第1基端側部位116の凹入深さに応じて、光センサーが受光する光量が異なることにより、光センサーの出力が異なる構成でもよい。第2基端側部位検出センサー82についても同様である。
【0091】
テープ印刷装置Aは、ユーザーが、印刷実行前に、例えば操作パネル1から、テープTの切断を印刷時に行うか否かを設定可能な構成でもよい。この場合、テープTの切断を印刷時に行うことが設定されると、図17に示したステップS3或いはステップS5において、コントローラー14はカッター4に切断動作を行わせる。一方、テープTの切断を印刷時に行わないことが設定されると、ステップS3或いはステップS5において、コントローラー14はカッター4に切断動作を行わせない。また、コントローラー14は、印刷実行前に、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100について、カット適合性がカット適であるテープカートリッジ100であると判断した場合、ユーザーが、テープTの切断を印刷時に行うことを設定できないようにしてもよい。
【0092】
コントローラー14は、第1基端側部位検出センサー81の出力に基づいて、カット適合性に関する情報を、ユーザーに対して、ディスプレー2等の報知手段に報知させてもよい。同様に、コントローラー14は、第2基端側部位検出センサー82の出力に基づいて、温度特性に関する情報を、ユーザーに対して、報知手段に報知させてもよい。
【0093】
第1基端側部位116の凹入深さは、カット適合性がカット不適であるテープカートリッジ100では第1深さであり、カット適合性がカット適であるテープカートリッジ100では第1深さよりも浅い第2深さであるが、これが逆であってもよい。すなわち、第1基端側部位116の凹入深さは、カット適合性がカット適であるテープカートリッジ100では第1深さであり、カット適合性がカット不適であるテープカートリッジ100では第2深さでもよい。
【符号の説明】
【0094】
5…カートリッジ装着部、81…第1基端側部位検出センサー、100…テープカートリッジ、110…第1ケース、114…第1フック、116…第1基端側部位、120…第2ケース、124…第1フック受け部、811…センサーケース、812…検出子、813…支軸
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