(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子キーから無線送信されたIDコードの認証を行う電子キー認証処理の結果に応じて、ドアの開錠および施錠を少なくとも含む車載機器の作動の許否を判定すると共に、キー機能を有する携帯端末から無線送信されたIDコードの認証を行う携帯端末認証処理の結果に応じて、前記車載機器の作動の許否を判定するキーシステムを用いた車載機器の制御方法であって、
前記携帯端末認証処理は、
前記携帯端末から無線送信されたIDコードの認証を、車載の携帯端末用認証装置で行う第1の認証処理と、
前記第1の認証処理が成立した場合に、前記携帯端末用認証装置から電子キー用認証装置にIDコードを送信し、前記携帯端末用認証装置から送信されたIDコードの認証を、前記電子キー用認証装置で行う第2の認証処理と
を備え、
前記第2の認証処理の結果に応じて、前記車載機器の作動の許否を判定し、
エンジンがオフであり、且つ、前記エンジンの始動の許否を判定するエンジン始動制御回路の電源がオフになっている場合に限り、ドアの施錠を許可するキーシステムを用いた車載機器の制御方法。
電子キーから無線送信されたIDコードの認証を行う電子キー認証処理の結果に応じて、ドアの開錠および施錠を少なくとも含む車載機器の作動の許否を判定すると共に、キー機能を有する携帯端末から無線送信されたIDコードの認証を行う携帯端末認証処理の結果に応じて、前記車載機器の作動の許否を判定するキーシステムであって、
前記携帯端末認証処理は、
前記携帯端末から無線送信されたIDコードの認証を、車載の携帯端末用認証装置で行う第1の認証処理と、
前記第1の認証処理が成立した場合に、前記携帯端末用認証装置から電子キー用認証装置にIDコードを送信し、前記携帯端末用認証装置から送信されたIDコードの認証を、前記電子キー用認証装置で行う第2の認証処理と
を備え、
前記第2の認証処理の結果に応じて、前記車載機器の作動の許否を判定し、
エンジンがオフであり、且つ、前記エンジンの始動の許否を判定するエンジン始動制御回路の電源がオフになっている場合に限り、ドアの施錠を許可するキーシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るキーシステム100を適用した車両1の概略を示す図である。この図に示すように、本実施形態の車両1は、ボディ制御装置(BCM:Body Control Module)2と、エンジン制御装置(ECM:Engine Control Module)3と、操舵制御装置4と、ブレーキ制御装置5と、トランスミッション制御装置(TCM:Transmission Control Module)6と、横滑り防止装置(VDC:Vehicle Dynamics Control)7等の各種制御装置を備えている。これらの制御装置は、CAN(Controller Area Network)等の車載LAN8を介して通信可能に接続されている。
【0010】
ボディ制御装置2は、キーレス機能、エンジン始動機能、タイマー機能、及び安全機能等の各種機能を制御する。キーレス機能としては、パッシブキーレス機能、及びリモコンキーレス機能、ドアロック・アンロック機能等を例示できる。パッシブキーレス機能は、電子キー110を保持したユーザがドアレバーに触れたことを検出し、ドアロックモータ21を作動させてドアの開錠/施錠を実行する機能である。リモコンキーレス機能は、ユーザが電子キー110の開/閉スイッチを操作したことを検出し、ドアロックモータ21を作動させてドアの開錠/施錠を実行する機能である。また、ドアロック・アンロック機能は、ユーザの操作を要することなくドアを開錠/施錠する機能である。ドアロック・アンロック機能としては、車両が所定速度以上まで加速するとドアロックモータ21を作動させてドアを施錠する機能や、シフトがPレンジに入るとドアロックモータ21を作動させてドアを開錠する機能等を例示できる。
【0011】
エンジン始動機能としては、プッシュエンジンスタート機能を例示できる。プッシュエンジンスタート機能は、電子キー110から出力される電波の強度に基づいて、電子キー110が車室内に存在することを検出すると共に、ブレーキスイッチがオンになったことを検出し、かかる状態でエンジンスタートボタン22が操作されたことを検出すると、エンジンを始動させる機能である。
【0012】
タイマー機能としては、ルームランプの点灯時間を管理する機能やバッテリーセーバーの作動タイミング等を管理する機能等を例示できる。また、安全機能としては、タイヤの空気圧を管理する機能等を例示できる。
【0013】
本実施形態の車両1は、電子キー110の使用に対応したキーレス機能およびエンジン始動機能に加えてスマートフォンや携帯電話等の携帯型の通信端末(以下、携帯端末という)200の使用に対応したキーレス機能およびエンジン始動機能を備える。これらのキーレス機能およびエンジン始動機能を実現するのが本実施形態のキーシステム100である。このキーシステム100については後述する。
【0014】
エンジン制御装置3は、エンジン31の運転制御を実行するコントローラである。このエンジン制御装置3は、アクセルの操作量に応じた要求駆動力や、横滑り防止装置7等から出力される要求駆動力を実現するようにエンジン31を制御する。なお、車両1は、エンジン(内燃機関)のみを走行駆動源として備える車両でもよく、エンジンと電動モータとを組み合わせたものを走行駆動源として備えるハイブリッド車両でもよい。また、車両1は、電動モータのみを走行駆動源として備える電気自動車(燃料電池車を含む)でもよい。かかる場合には、車両1は、エンジン制御装置3に代えて、モータ制御装置を備える。さらに、車両1は、自動運転で走行する自動運転車両でもよい。かかる場合には、自動運転制御装置から出力される要求駆動力が実現されるように、エンジン制御装置3やモータ制御装置が制御される。
【0015】
操舵制御装置4は、電動パワーステアリングモータ41の制御を実行するコントローラである。この操舵制御装置4は、自動運転制御装
置等から出力される目標操舵角を実現するように、電動パワーステアリングモータ41を制御する。この電動パワーステアリングモータ41は、ステアリングのコラムシャフト(図示省略)に取り付けられたステアリングアクチュエータである。
【0016】
ブレーキ制御装置5は、ブレーキユニット51の制御を実行するコントローラである。このブレーキ制御装置5は、自動運転制御装
置や横滑り防止装置7等から出力される要求制動力を実現するようにブレーキユニット51を制御する。
【0017】
トランスミッション制御装置6は、オート
マチックトランスミッション(AT)61を制御するコントローラである。このトランスミッション制御装置6は、自動運転制御装
置や横滑り防止装置7等から出力される要求駆動力を実現するように、車速、アクセル開度、シフトポジション等から最適なギヤを演算してAT61の変速制御を実行する。
【0018】
横滑り防止装置7は、車両の横滑りの防止を目的として、各種センサを使用して運転者の運転操作と車両の動きを監視し車両の走行状態に応じてエンジン制御装置2に要求駆動力を出力し、ブレーキ制御装置5に要求制動力を出力する。
【0019】
キーシステム100は、電子キー110と、電子キー認証ECU120と、車載電子キー130と、携帯端末200とを備える。電子キー110は、開錠ボタン111Aと、施錠ボタン111Bと、通信装置112と、制御装置113とを備える。本実施形態のキーシステム100は、キーレス機能として、パッシブキーレス機能とリモコンキーレス機能とに対応しており、開錠ボタン111Aと施錠ボタン111Bとがユーザにより操作されると、リモコンキーレス機能が実行される。制御装置113は、IDコードを記憶したメモリを備える。
【0020】
電子キー認証ECU120は、車両1に設けられており、通信装置121と、制御装置122とを備える。通信装置121は、常時、車内及び車外にIDコード要求信号を送信する。通信装置121が送信する電波の周波数帯域としては、LF(Low Frequency)帯域を例示できる。電子キー110の制御装置113は、電子キー110の通信装置112がIDコード要求信号を受信すると、IDコード信号を通信装置112から電子キー
認証ECU120の通信装置121に送信する。また、開錠ボタン111A又は施錠ボタン111Bがオンになった場合には、電子キー110の制御装置113が、IDコード信号をドアロックの開錠/施錠指令と共に通信装置112から電子キー認証ECU120の通信装置121に送信する。電子キー110の通信装置112が送信する電波の周波数帯域としては、UHF(Ultra High Frequency)帯域を例示できる。
【0021】
電子キー認証ECU120の制御装置122は、車載LAN8を介してボディ制御装置2に接続されている。この制御装置122は、IDコードを記憶したメモリを備えており、通信装置121が受信したIDコードの認証処理を実行し、IDコードの認証が成立すると、キーレス機能を許可する信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2に送信する。これにより、ボディ制御装置2は、ユーザによるドアレバーの保持または触手や、開錠ボタン111Aまたは施錠ボタン111Bの操作等があった場合に、ドアロックを開錠/施錠する。また、制御装置122は、IDコード信号が乗せられた電波の強度が、電子キー110が車内に存在する場合の電波強度に対応する所定範囲内である場合に、エンジン始動機能を許可する信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2に送信する。これにより、ボディ制御装置2は、ブレーキスイッチがオンになった状態でエンジンスタートボタン22が操作された場合に、エンジンを始動させる。
【0022】
本実施形態の携帯端末200は、キーシステム100の処理を実行するためのアプリケーションソフトがインストールされたスマートフォンであり、入力装置201と、通信装置202と、制御装置203とを備える。入力装置201としては、ユーザの操作による指令の入力が可能なタッチパネルや、ユーザの音声による入力が可能なマイク等を例示できる。この入力装置201により入力される指令としては、車両1のドアロックの開錠/施錠と、エンジンの始動とが含まれる。なお、入力装置201により入力される指令には、エアコンの始動やドアウインドーの開閉等を含めてもよい。制御装置203は、IDコードを記憶したメモリを備える。
【0023】
入力装置201においてドアロックの開錠/施錠等の指令が入力されると、制御装置203は、通信装置202から後述の車載電子キー130の通信装置131に、入力された指令に応じた信号とIDコード信号とを送信する。携帯端末200の通信装置202と車載電子キー130の通信装置131との間の通信規格としては、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信等の近距離無線通信規格を例示できる。
【0024】
車載電子キー130は、車両1の室内の所定位置に設置されており、通信装置131と、通信装置132と、制御装置133とを備える。通信装置131は、通信可能な範囲において携帯端末200の通信装置202から送信されたドアロックの開錠/施錠等の指令信号およびIDコード信号を受信する。通信装置132は、電子キー110の通信装置112と共通の構成であり、電子キー認証ECU120の通信装置121からIDコード要求信号を受信し、ドアロックの開錠/施錠等の指令信号およびIDコード信号を通信装置121に送信する。車載電子キー130の通信装置132が送信する電波の周波数帯域は、上述の電子キー110の通信装置112と同様であり、UHF(Ultra High Frequency)帯域を例示できる。
【0025】
ここで、車載電子キー130は、電子キー110との対比において、電子キー110の制御装置(113)を制御装置133に置換し、電子キー110に通信装置131を追加した構成のユニットである。上述したように、車載電子キー130は、電子キー110の通信装置112と共通の通信装置132を備えているところ、この通信装置132と電子キー
認証ECU120の通信装置121との間で無線送信されるIDコード要求信号およびIDコード信号と、電子キー110の通信装置112と電子キー
認証ECU120の通信装置121との間で無線送信されるIDコード要求信号およびIDコード信号とは、共通している。即ち、電子キー
認証ECU120により、電子キー110と携帯端末200とについて、共通のIDコードの認証処理が行われる。
【0026】
制御装置133は、ドアロック制御回路1331と、エンジン始動制御回路1332と、電源スイッチ1333とを備える。ドアロック制御回路1331は、IDコードを記憶したメモリを備えており、携帯端末200の通信装置202から通信装置131が受信したIDコードの認証処理を行い、IDコードの認証が成立すると、ドアロックの施錠/開錠の指令信号およびIDコード信号を通信装置132から電子キー
認証ECU120の通信装置121に送信する。ここで、ドアロック制御回路1331が通信装置132から出力する電波の強度は、上述の電子キー110が車内に存在する場合の電波強度に対応する所定範囲には含まれないように設定されている。
【0027】
電子キー認証ECU120の制御装置122は、通信装置121が受信したIDコード信号の認証処理を実行し、認証が成立すると、ドアロックの開錠/施錠の指令信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2に送信する。ここで、車載電子キー130の通信装置132から出力される電波の強度が、上述の電子キー110が車内に存在する場合の電波強度に対応する所定範囲には含まれないことにより、電子キー認証ECU120の制御装置122は、エンジンの始動を許可する信号をボディ制御装置2に送信しない。これにより、ボディ制御装置2は、ドアロックを開錠/施錠する一方、エンジンの始動を禁止する。ここで、ドアロック制御回路1331は、常時、電源1334から電力を供給され、IDコードの認証処理を実行している。
【0028】
電源スイッチ1333は、電源1334からエンジン始動制御回路1332への電力供給をオン/オフする。この電源スイッチ1333は、ドアロック制御回路1331により制御される。ドアロック制御回路1331は、通信装置131が受信したIDコード信号の認証が成立し、且つ、ドアロックが開錠された場合に、電源スイッチ1333をオンにする。一方、ドアロック制御回路1331は、通信装置131が受信したIDコード信号の認証が成立しなかった場合、又は、ドアロックが施錠されている場合には、電源スイッチ1333をオフにする。
【0029】
エンジン始動制御回路1332は、電源スイッチ1333がオンになると、IDコード信号を通信装置132から電子キー認証ECU120の通信装置121に送信する。ここで、IDコード信号を乗せた電波の強度は、上述の電子キー110が車内に存在する場合の電波強度に対応する所定範囲に含まれるように設定されている。そのため、電子キー認証ECU120の制御装置122は、通信装置121が受信したIDコード信号の認証処理を実行し、認証が成立すると、エンジンの始動を許可する信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2に送信する。これにより、ボディ制御装置2は、ブレーキスイッチがオンになった状態でエンジンスタートボタン22が操作された場合に、エンジンを始動させる。
【0030】
ドアロック制御回路1331は、エンジン31がオンの状態で、携帯端末200の通信装置202から通信装置131にドアロックの施錠指令の信号およびIDコード信号が送信された場合、ドアロックの施錠を禁止する。一方、ドアロック制御回路1331は、エンジン31がオンからオフになってから所定時間が経過するまでの間に、携帯端末200の通信装置202から通信装置131にドアロックの施錠指令の信号およびIDコード信号が送信された場合、受信したIDコード信号の認証処理を行い、認証が成立した場合に、電源スイッチ1333をオフにする。ドアロック制御回路1331は、エンジン31がオフであり、且つ、電源スイッチ1333がオフである場合に、通信装置132から電子キー
認証ECU120の通信装置121に、ドアロックの施錠指令の信号とIDコード信号とを送信する。電子キー認証ECU120の制御装置122は、通信装置121が受信したIDコード信号の認証処理を実行し、認証が成立すると、ドアロックの施錠指令の信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2に送信する。これにより、ボディ制御装置2は、エンジン31がオフであり、電源スイッチ1333がオフであり、且つ、電子キー認証ECU120でのIDコードの認証が成立する場合に、ドアロックを施錠する。
【0031】
ドアロック制御回路1331は、エンジン31がオンからオフになってから上記所定時間が経過した場合には、警告指令信号を、通信装置131から携帯端末200の通信装置202に送信する。携帯端末200の制御装置203は、通信装置202が警告指令信号を受信すると、警告音を発生させたり、警告表示を表示させたりする。
【0032】
図2は、本実施形態のキーシステム100において、携帯端末200を使用してドアロックの開錠とエンジン31の始動とを実行する場合の処理を示すフローチャートである。まず、ステップ1において、ドアロック制御回路1331は、車載電子キー130の通信装置131が携帯端末200の通信装置202から、ドアロックの開錠指令の信号およびIDコード信号を受信したか否かを判定する。肯定判定の場合にはステップ2に進む。
【0033】
ステップ2において、ドアロック制御回路1331は、車載電子キー130の通信装置131が受信したIDコードの認証処理を実行し、認証が成立する場合にはステップ3に進み、認証が成立しない場合にはステップ1に戻る。ステップ3において、ドアロック制御回路1331は、ドアロックの開錠指令の信号およびID信号を、通信装置132から電子キー認証ECU120の通信装置121に送信する。電子キー認証ECU120の制御装置122は、通信装置121が受信したIDコードの認証処理を実行し、ドアロックの開錠指令の信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2に送信する。ボディ制御装置2は、ドアロックモータ21を作動させてドアロックを開錠する。
【0034】
次に、ステップ4において、ドアロック制御回路1331は、電源スイッチ1333をオンにする。次に、ステップ5において、エンジン始動制御回路1332は、IDコード信号を、通信装置132から電子キー認証ECU120の通信装置121に送信する。本ステップにおいて通信装置132から送信される電波の強度(以下、所定の電波強度という)は、上述したように、電子キー110が車内に存在する場合に電子キー110から送信される電波の強度に相当する。従って、本ステップでは、電子キー110が車内に存在する状態と同じ状態になる。
【0035】
次に、ステップ6において、電子キー認証装置120の制御装置122は、通信装置121が受信したIDコードの認証処理を実行し、IDコードの認証が成立すると、ステップ7に進む。ステップ7において、電子キー認証ECU120の制御装置122は、エンジンの始動を許可する信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2へ送信する。これにより、ボディ制御装置2は、ブレーキスイッチがオンであり、且つ、エンジンスタートボタン22がオンである場合に、エンジン31を始動させる。以上で処理を終了する。
【0036】
図3は、本実施形態のキーシステム100において、エンジン31の停止後に携帯端末200を使用してドアロックの施錠を実行する場合の処理を示すフローチャートである。まず、ステップ11において、ドアロック制御回路1331は、エンジン31がオフであるか否かを判定する。肯定判定の場合にはステップ12に進む。なお、エンジン31がオンからオフになると、ボディ制御装置2によりドアロックが開錠される。次に、ステップ12において、ドアロック制御回路1331は、エンジン31がオンからオフになってから所定時間が経過したか否かを判定する。肯定判定の場合には、ステップ20に進み、否定判定の場合には、ステップ13に進む。
【0037】
ステップ20において、ドアロック制御回路1331は、音声や表示等による警告指令の信号を、通信装置131から携帯端末200の通信装置202に送信する。これにより、エンジン31が停止してからドアロックの施錠が行われるまでに所定時間が経過した場合には、車両1の所有者等のユーザに対して携帯端末200を介して警告が行われる。ステップ21からステップ11に戻る。
【0038】
一方、ステップ13において、ドアロック制御回路1331は、携帯端末200の通信装置202から通信装置131にドアロックの施錠指令の信号およびIDコード信号が送信されたか否かを判定する。肯定判定の場合にはステップ14に進み、否定判定の場合にはステップ12に戻る。ステップ14において、ドアロック制御回路1331は、通信装置131が受信したIDコード信号の認証処理を実行し、認証が成立すると、ステップS15に進み、認証が成立しない場合にはステップ12に戻る。ステップ15において、ドアロック制御回路1331は、電源スイッチ1333をオフにする。
【0039】
次に、ステップ16において、ドアロック制御回路1331は、通信装置132から電子キー認証ECU120の通信装置121に、ドアロックの施錠指令の信号およびIDコード信号を送信する。次に、ステップ17において、電子キー
認証ECU120の制御装置122は、通信装置121が受信したIDコード信号の認証処理を実行し、認証が成立すると、ドアロックの施錠指令の信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2に送信する。次に、ステップ18において、ボディ制御装置2は、エンジン31がオフであり、電源スイッチ1333がオフであり、且つ、電子キー
認証ECU120でのIDコードの照合が成立する場合に、ドアロックを施錠する。以上で処理を終了する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、携帯端末200から無線送信されたIDコードの認証を行う携帯端末200の認証処理において、携帯端末200から無線送信されたIDコードの認証を、携帯端末200用の認証装置である車載電子キー130で行い、そのIDコードの認証が成立した場合に、車載電子キー130から、電子キー110用の認証装置である電子キー認証ECU120にIDコード信号を送信し、そのIDコードの認証を、電子キー認証ECU120で行う。そして、電子キー認証ECU120での認証処理の結果に応じて、ドアの開錠および施錠を少なくとも含む車載機器の作動の許否を判定する。
【0041】
即ち、携帯端末200の認証処理が、従来から車両に搭載されセキュリティ性が確保されている電子キーの認証処理を経由して行われる。これにより、電子キー110と携帯端末200とを使用してドアの開錠および施錠を少なくとも含む車載機器の作動を実行するキーシステム100のセキュリティ性を向上させることができる。ここで、携帯端末200からボディ制御装置2に直接、車載機器の操作を指令する信号を送信する場合には、ボディ制御装置2の側に高度なセキュリティ機能が必要になるのに対して、本実施形態のキーシステム100によれば、ボディ制御装置2の側にセキュリティ機能を追加することなく、従来の電子キーを用いた(携帯端末を用いない)キーシステムと同等のセキュリティ性を確保することができる。
【0042】
また、本実施形態では、電子キー110の認証処理と携帯端末200の認証処理とで、電子キー認証ECU120を共用し、車載電子キー130から電子キー認証ECU120に、電子キー110から無線送信される信号と同じ信号を無線送信する。これにより、本実施形態のキーシステム100は、従来のキーシステムとの対比において、従来から車両に搭載されている電子キー認証ECU120を用い、車載電子キー130を追加した構成となっている。従って、既に販売済みで従来のキーシステムが搭載された車両1に対して車載電子キー130を取り付けることにより、本実施形態のキーシステム100を構成することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、ドアロックの開錠および施錠が許可され、且つ、ドアロックが開錠されている場合に限り、エンジン31の始動が許可される。従って、ドアロックが施錠されているにもかからずエンジン31が始動されることを防止でき、セキュリティ性を向上できる。
【0044】
また、本実施形態では、ドアロックの開錠および施錠が許可され、且つ、ドアロックが開錠されている場合に限り、エンジン制御回路1332の電源がオンになる。これにより、車載電子キー130が常時、車内に存在するにもかかわらず、ドアロックが開錠されている時に限り、電子キー110が車内に存在するのと同じ状態になる。従って、ドアロックが開錠されている時に限り、エンジン31の始動を許可することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態では、エンジン始動制御回路1332の電源がオフになっている場合に限り、ドアロックの施錠が許可される。これにより、エンジン31が作動したままの状態や車載電子キー130がオンの状態で、ユーザが、ドアロックを施錠して車両1から離れることを防止できる。
【0046】
また、本実施形態では、携帯端末200の認証用のECUを、車載電子キー130としてユニット化したことによって、車両1に簡便に取り付けることが出来る。
【0047】
図4は、他の実施形態に係るキーシステム300を適用した車両1の概略を示す図である。この図に示すキーシステム300は、車両1の所有者であるユーザから他のユーザに、ドアの開錠および施錠等の車載機器の操作の権限を付与することを可能にしている。また、キーシステム300は、車両1の所有者であるユーザから他のユーザに付与する権限に、例えば、ドアの開錠および施錠のみ許可したり、時間や回数に制限を設けて許可したりする等、制限を加えることを可能にしている。
【0048】
車両1の所有者であるユーザが携帯する携帯端末200の通信装置202と、他のユーザが携帯する携帯端末200の通信装置202とは、無線通信を介して通信可能に接続されている。携帯端末200間の通信規格としては、4G、LTEを例示できる。また、携帯端末20同士を、900MHz以下の特定周波数を利用した広域通信網で接続してもよい。
【0049】
車両1の所有者であるユーザが携帯する携帯端末200では、入力装置201により、車載機器の操作の権限を付与する指令を入力できる。この指令には、ドアの開錠および施錠のみを許可し、エンジンの始動等の他の車載機器の操作を禁止する等の制限や、ドアの開錠および施錠の操作回数や操作時間を制限する等の回数や時間についての制限等を加えることができる。
【0050】
車両1の所有者であるユーザが携帯する携帯端末200において、入力装置201により車載機器の操作の権限を付与する指令が入力されると、制御装置203は、通信装置202から他のユーザが携帯する携帯端末200の通信装置202に、車載機器の操作の権限を付与する指令信号を送信する。他のユーザが携帯する携帯端末200では、通信装置202が指令信号を受信すると、入力装置201によりドアの開錠および施錠を含む車載機器の操作の指令を入力することが可能になる。ここで、車載機器の操作の権限に、操作を許可する車載機器の種類や回数や時間についての制限が加えられている場合には、入力装置201で入力できる指令が、制限された権限の範囲内に制限される。
【0051】
図5は、本実施形態のキーシステム300において、携帯端末200を使用してドアロックの開錠とエンジン31の始動とを実行する場合の処理を示すフローチャートである。まず、上述の実施形態と同様に、ステップ1〜4の処理が実行される。次に、ステップ31において、エンジン始動制御回路1332は、通信装置131が受信した、車載機器の操作の権限を付与する指令に、エンジンの始動についての権限が含まれているか否かを判定する。肯定判定の場合にはステップ5に進み、否定判定の場合には、車載電子キー130の通信装置132から電子キー認証ECU120の通信装置121にIDコード信号が送信されることなく、処理を終了する。即ち、車載機器の操作の権限を付与する指令に、エンジンの始動についての権限が含まれていない場合には、エンジンの始動が許可されることなく、処理を終了する。一方、車載機器の操作の権限を付与する指令に、エンジンの始動についての権限が含まれている場合には、ステップ5〜7が実行され、エンジンの始動が許可される。以上で処理を終了する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係るキーシステム300では、車両1の所有者であるユーザの携帯端末200から他のユーザの携帯端末200に、車両1の所有者であるユーザが有する車載機器の作動の権限を他のユーザに付与するための、IDコードを含む権限付与情報を送信することができる。そして、本実施形態に係るキーシステム300では、車両1の所有者であるユーザの携帯端末200から他のユーザの携帯端末200に、権限付与情報が送信された場合、携帯端末200の認証処理が実行される。これにより、本実施形態のキーシステム300を搭載した車両1の所有者であるユーザが、他のユーザに対して車両1を貸すことが可能になり、本実施形態のキーシステム300をカーシェアリングやレンタカー等で使用する車両に適用することが可能になる。
【0053】
また、本実施形態に係るキーシステム300では、車両1の所有者であるユーザの携帯端末200からその他のユーザの携帯端末200に、車載機器の作動の権限を制限するための権限制限情報を含む権限付与情報を送信することができる。そして、本実施形態に係るキーシステム300では、車両1の所有者であるユーザの携帯端末200からその他のユーザの携帯端末200に、権限制限情報を含む権限付与情報が送信された場合、権限制限情報に応じて、車載機器の作動の許否が判定される。これにより、本実施形態のキーシステム300を搭載した車両1の所有者であるユーザが、他のユーザに対して、例えば、車両1のドアロックの開錠および施錠のみを許可したり、車両1のエンジンの始動を所定回数のみ許可したりすることが可能になる。
【0054】
図6は、他の実施形態に係るキーシステム400を適用した車両1の概略を示す図である。この図に示すキーシステム400は、非接触ICカード(図示省略)に記憶されたIDコード信号を読み取るNFC(Near Field Communications) システム410と、携帯端末充電用端子420とを備える。NFCシステム410は、非接触ICカードから読み取ったIDコード信号を、車載電子キー130の制御装置133に送信する。携帯端末充電用端子420は、電源1334に接続されている。
【0055】
ドアロック制御回路1331は、車両1のドアロックの開錠および施錠を許可する。また、ドアロック制御回路1331は、NFCシステム410からIDコード信号が送信された場合に、電源1334から携帯端末充電用端子420への電力供給を実施し、あるいは、電源1334をオンにする。一方、エンジン始動制御回路1332は、携帯端末充電用端子420に接続された携帯端末200からIDコード信号を受信した場合に、エンジンの始動を許可する。
【0056】
図7は、本実施形態のキーシステム400において、非接触ICカードを使用してドアロックの開錠と携帯端末200の充電とエンジン31の始動とを実行する場合の処理を示すフローチャートである。まず、ステップ41において、ドアロック制御回路1331は、NFCシステム410からIDコード信号が送信されたか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定の場合にはドアロックが開錠され、ステップ42に進む。
【0057】
ステップ42において、ドアロック制御回路1331は、電源1334から携帯端末充電用端子420への電力供給を実施する。なお、本ステップにおいて、全ての車載機器や端子への電力供給を実施してもよい。次に、ステップ43において、エンジン始動制御回路1332は、電源1334から電源を供給されている携帯端末200からIDコードを受信し、受信した場合にはIDコードの認証処理を実行し、認証が成立する場合にはステップ44に進み、認証が成立しない場合にはステップ45に進む。
【0058】
ステップ44において、エンジン始動制御回路1332は、エンジンの始動を許可する。以上で処理を終了する。一方、ステップ45において、ドアロック制御回路1331は、ドアロックの開錠から所定時間T1が経過したか否かを判定する。所定時間T1は、充電切れの携帯端末200の再起動やアプリケーションの起動や信号発信に必要な電力が充電されるまでの時間に設定されている。本ステップにおいて肯定判定の場合にはステップ46に進み、否定判定の場合にはステップ42に戻る。ステップ46において、ドアロック制御回路1331は、電源1334から携帯端末充電用端子420への電力供給を停止する。以上で処理を終了する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係るキーシステム400では、非接触ICカードの機能を、車両1内へのアクセスと携帯端末200への電源供給のみを許可するだけに制限し、携帯端末200の所有者のみに車両1のエンジンの始動を許可する。これにより、車両1のセキュリティを向上できるという効果を奏する。
【0060】
図8は、他の実施形態に係るキーシステム500を適用した車両1の概略を示す図である。この図に示すキーシステム500は、一対の電子キー認証ECU120が車両1に設けられており、一方の電子キー認証ECU120は、電子キー110の認証処理に専用で設けられ、他方の電子キー認証ECU120は、携帯端末200の認証処理に専用で設けられている。携帯端末200の認証処理用の電子キー認証ECU120が備える通信装置121は、車載電子キー130の通信装置132と有線回線501で接続されている。
【0061】
車載電子キー130のドアロック制御回路1331は、携帯端末200の通信装置202から通信装置131が受信したIDコードの認証処理を行い、IDコードの認証が成立すると、ドアロックの施錠/開錠の指令信号およびIDコード信号を通信装置132から電子キー
認証ECU120の通信装置121に有線回線501を通じて送信する。
【0062】
電子キー認証ECU120の制御装置122は、通信装置121が受信したIDコード信号の認証処理を実行し、認証が成立すると、ドアロックの開錠/施錠の指令信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2に送信する。ここで、電源スイッチ1333がオフである間は、エンジン始動制御回路1332から電子キー認証ECU120の通信装置121にIDコード信号が送信されないので、ボディ制御装置2は、ドアロックを開錠/施錠する一方、エンジンの始動を禁止する。
【0063】
エンジン始動制御回路1332は、電源スイッチ1333がオンになると、IDコード信号を通信装置132から電子キー認証ECU120の通信装置121に有線回線501を通じて送信する。電子キー認証ECU120の制御装置122は、通信装置121が受信したIDコード信号の認証処理を実行し、認証が成立すると、エンジンの始動を許可する信号を、車載LAN8を介してボディ制御装置2に送信する。これにより、ボディ制御装置2は、ブレーキスイッチがオンになった状態でエンジンスタートボタン22が操作された場合に、エンジンを始動させる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係るキーシステム500では、携帯端末200の認証処理が、従来から車両に搭載されセキュリティ性が確保されている電子キーの認証処理を経由して行われる。これにより、電子キー110と携帯端末200とを使用してドアの開錠および施錠を少なくとも含む車載機器の作動を実行するキーシステム500のセキュリティ性を向上させることができる。ここで、携帯端末200からボディ制御装置2に直接、車載機器の操作を指令する信号を送信する場合には、ボディ制御装置2の側に高度なセキュリティ機能が必要になるのに対して、本実施形態のキーシステム500によれば、ボディ制御装置2の側にセキュリティ機能を追加することなく、従来の電子キーを用いた(携帯端末を用いない)キーシステムと同等のセキュリティ性を確保することができる。
【0065】
また、本実施形態のキーシステム500は、従来のキーシステムとの対比において、電子キー認証ECU120と車載電子キー130とを追加した構成となっている。従って、既に販売済みで従来のキーシステムが搭載された車両1に対して電子キー認証ECU120と車載電子キー130とを取り付けることにより、本実施形態のキーシステム500を構成することが可能となる。
【0066】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態において開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0067】
例えば、上述の実施形態では、携帯端末200を使用して行う車載機器の操作を、ドアロックの開錠/施錠とエンジンの始動としたが、携帯端末200を使用してエアコンの始動やドアウインドーの開閉等を行ってもよい。また、上述の実施形態では、携帯端末200の認証装置を、車載電子キー130としてユニット化したが、必須ではなく、通信装置131、132、および制御装置133を個別に車両1に設けてもよい。また、通信装置131に、携帯端末200からの受信感度を上げるためのアンテナを追加する等、携帯端末200の認証装置の構成は適宜変更することができる。