特許第6790923号(P6790923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790923
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】接続モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20201116BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20201116BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M10/48 P
   H01M2/34 B
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-40360(P2017-40360)
(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2018-147651(P2018-147651A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】高田 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 光俊
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−152195(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/076034(WO,A1)
【文献】 特開2009−289430(JP,A)
【文献】 特開2013−175442(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/122496(WO,A1)
【文献】 特開2013−105571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/10
H01M 2/34
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子を有する複数の蓄電モジュール間を電気的に接続するための接続モジュールであって、
前記複数の蓄電モジュールのうち隣り合う蓄電モジュール間を電気的に接続するための金属製のバスバーと、
電子部品が実装された回路基板と、
絶縁性の合成樹脂製であって、底壁と、前記底壁から突出すると共に前記回路基板が配置される基板配置部と、前記底壁から突出すると共に前記バスバーが配置されるバスバー配置部と、を有する絶縁プロテクタと、を備え、
前記基板配置部の前記底壁からの突出寸法は、前記バスバー配置部の前記底壁からの突出寸法よりも小さく設定されている、接続モジュール。
【請求項2】
前記複数の蓄電モジュールからは、前記複数の蓄電素子の状態を検知する複数の検知導電路が導出されており、
前記回路基板には、前記複数の検知導電路が電気的に接続されると共に、少なくなくとも一つの出力導電路が電気的に接続されており、
前記回路基板の前記電子部品は、前記複数の検知導電路から入力された複数の信号を多重化して前記出力導電路に出力する、請求項1に記載の接続モジュール。
【請求項3】
前記回路基板には複数の中継導電路の一方の端部が電気的に接続されており、前記複数の中継導電路の他方の端部には接続モジュール側コネクタが接続されており、
前記複数の検知導電路と前記複数の中継導電路とは、前記複数の検知導電路の端部に接続された蓄電モジュール側コネクタに、前記接続モジュール側コネクタが嵌合することによって電気的に接続されるようになっている、請求項2に記載の接続モジュール。
【請求項4】
前記絶縁プロテクタは、前記接続モジュール側コネクタを保持するコネクタ保持部を有する、請求項3に記載の接続モジュール。
【請求項5】
前記絶縁プロテクタは、前記検知導電路、及び前記中継導電路の一方又は双方が配索される導電路配索部を有する、請求項3または請求項4に記載の接続モジュール。
【請求項6】
前記回路基板には出力電線が電気的に接続されており、
前記導電路配索部には、前記出力電線が配索されている、請求項5に記載の接続モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、複数の蓄電モジュール同士を接続する接続モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の蓄電モジュールには、複数の蓄電素子が並べられた蓄電素子群に、各蓄電素子の電極間を接続するためのバスバーと、電圧を検知するための検知電線と、を備えた配線モジュールが取り付けられている。複数の蓄電素子は、配線モジュールのバスバーにより、電気的に接続されるようになっている。
【0003】
更に、各蓄電モジュールに設けられた外部接続端子同士がバスバーで接続されることにより、複数の蓄電モジュールが電気的に接続されるようになっている。このような蓄電モジュール同士の接続においても、バスバーや、各蓄電モジュールから導出された複数の検知電線を一括に保持する接続モジュールが使用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−22157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近時、蓄電モジュールの高出力化が求められており、1つの蓄電モジュールに組み込まれる蓄電素子の個数が増加すると共に、蓄電モジュールの個数も増加する傾向にある。すると、複数の蓄電素子の状態を、1つの制御ユニットで監視する場合において、検知電線の本数が増加し、検知電電線と制御ユニットとの間の接続回路数が増加することが懸念される。
【0006】
そこで、所定数の蓄電素子毎に、蓄電素子の状態を監視するセンシングユニットを接続モジュールに配し、このセンシングユニットと、制御ユニットと、を信号線で接続することが考えられた。これにより、センシングユニットから出力される信号線の本数を、蓄電素子に接続された検知電線の本数よりも少なくすることができるので、信号線と制御ユニットとの間の接続回路数を減少させることができることが期待された。
【0007】
しかしながら上記の構成によると、センシングユニットと制御ユニット間の接続回路数を減少させることはできるが、センシングユニットを接続モジュールに配置するためのスペースが必要となる。このため、接続モジュールが全体として大型化することが懸念される。
【0008】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、全体として接続モジュールを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示された技術は、複数の蓄電素子を有する複数の蓄電モジュール間を電気的に接続するための接続モジュールであって、前記複数の蓄電モジュールのうち隣り合う蓄電モジュール間を電気的に接続するための金属製のバスバーと、電子部品が実装された回路基板と、絶縁性の合成樹脂製であって、底壁と、前記底壁から突出すると共に前記回路基板が配置される基板配置部と、前記底壁から突出すると共に前記バスバーが配置されるバスバー配置部と、を有する絶縁プロテクタと、を備える。
【0010】
上記の構成によれば、絶縁プロテクタに、回路基板と、バスバーと、を一体的に配置することができるので、接続モジュールを全体として小型化することができる。
【0011】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0012】
前記基板配置部の前記底壁からの突出寸法は、前記バスバー配置部の前記底壁からの突出寸法よりも小さく設定されていることが好ましい。
【0013】
回路基板には電子部品が実装されているので、回路基板の高さ寸法は、板状をなすバスバーと比べて大きくなっている。このため、接続モジュールを小型化するためには、絶縁プロテクタに配置された状態における回路基板の最大高さ寸法を、いかに小さく設定するかが重要となる。上記の構成によれば、絶縁プロテクタに回路基板が配置された状態において、絶縁プロテクタの底壁に対する回路基板の高さ位置を、絶縁プロテクタの底壁に対するバスバーの高さ位置よりも低くすることができる。これにより、全体として接続モジュールを小型化することができる。
【0014】
前記複数の蓄電モジュールからは、前記複数の蓄電素子の状態を検知する複数の検知導電路が導出されており、前記回路基板には、前記複数の検知導電路が電気的に接続されると共に、少なくなくとも一つの出力導電路が電気的に接続されており、前記回路基板の前記電子部品は、前記複数の検知導電路から入力された複数の信号を多重化して前記出力導電路に出力することが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、出力導電路の個数を、検知導電路の個数よりも少なくすることができる。これにより、接続モジュールの部品点数を削減することができる。
【0016】
前記回路基板には複数の中継導電路の一方の端部が電気的に接続されており、前記複数の中継導電路の他方の端部には接続モジュール側コネクタが接続されており、前記複数の検知導電路と前記複数の中継導電路とは、前記複数の検知導電路の端部に接続された蓄電モジュール側コネクタに、前記接続モジュール側コネクタが嵌合することによって電気的に接続されるようになっていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、検知導電路と中継導電路とをコネクタ接続することにより容易に電気的に接続することができる。これにより、蓄電モジュールへの接続モジュールの組み付け工程を簡略化することができる。
【0018】
前記絶縁プロテクタは、前記接続モジュール側コネクタを保持するコネクタ保持部を有することが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、中継導電路に接続された接続モジュール側コネクタが、振動により異物と衝突することを抑制することができる。
【0020】
前記絶縁プロテクタは、前記検知導電路、及び前記中継導電路の一方又は双方が配索される導電路配索部を有することが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、検知導電路又は中継導電路が、異物に引っかかることを抑制することができる。
【0022】
前記回路基板には出力電線が電気的に接続されており、前記導電路配索部には、前記出力電線が配索されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、出力電線が異物に引っかかることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本明細書に開示された技術によれば、全体として接続モジュールを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1に開示された蓄電パックを示す斜視図
図2】接続モジュールを示す平面図
図3】接続モジュールを示す分解斜視図
図4】蓄電パックを示す平面図
図5図4のA−A線断面図
図6図4のB−B線断面図
図7】蓄電パックを示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術を接続モジュール10に適用した実施形態1を図1ないし図7を参照しつつ説明する。本実施形態に係る接続モジュール10は、複数の蓄電モジュール11(本実施形態では3つ)の間を電気的に接続するためのものである。各蓄電モジュール11は、複数の蓄電素子(図示せず)を含む。複数の蓄電モジュール11同士が接続モジュール10で電気的に接続されることにより、蓄電パック12が構成される。この蓄電パック12は、電気自動車またはハイブリッド自動車等の駆動源として使用される。以下の説明においては、X方向を右方とし、Y方向を前方とし、Z方向を上方として説明する。また、複数の同一部材については、一の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略することがある。
【0027】
(蓄電モジュール11)
蓄電モジュール11は、全体として直方体形状をなしており、その内部に複数の蓄電素子(図示せず)が収容されている。複数の蓄電素子は、全ての蓄電素子が直列接続されていてもよく、また、全ての蓄電素子が並列されていてもよく、また、直接接続された蓄電素子と並列接続された蓄電素子の双方を含む構成としてもよい。
【0028】
蓄電モジュール11の上面には、後端縁から前方に向かって略三分の二の領域を占める上段部13と、残りの三分の一の領域を占めると共に、上段部13よりも低い下段部14と、上段部13と下段部14とを上下方向に繋ぐ段差部15と、が設けられている。下段部14には、2つの電極端子16が、左右方向に離間して設けられている。電極端子16の一方は正極端子で、他方は負極端子である。複数の蓄電モジュール11は、異なる極性の電極端子16が隣り合うように、左右方向に一列に並べられている。
【0029】
電極端子16は金属製であって、上方から見て長方形状をなしている。電極端子16を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を選択することができる。電極端子16の上面には、上下方向に延びるねじ孔17が設けられている。
【0030】
各蓄電モジュール11からは、蓄電素子の状態を検知するための複数の検知電線18(検知導電路の一例)が導出されている。図1においては、複数の検知電線18を1つの束として記載している。1つの蓄電モジュール11から導出される検知電線18の本数は、1つの蓄電モジュール11に配された蓄電素子の個数と同数であってもよく、少なくてもよく、また、多くてもよく、必要に応じて任意の本数に設定することができる。
【0031】
検知電線18のうち、蓄電モジュール11から導出された側と反対側の端末には、蓄電モジュール側コネクタ19が接続されている。蓄電モジュール側コネクタ19は、絶縁性の合成樹脂からなり、蓄電モジュール側コネクタ19の内部には、複数の端子(図示せず)がそれぞれ収容される複数のキャビティ(図示せず)が設けられている。
【0032】
(接続モジュール10)
接続モジュール10は、所定数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール11毎に、蓄電モジュール11の上面に取り付けられている。接続モジュール10は、複数の蓄電モジュール11間を電気的に接続するための金属製のバスバー20と、電子部品21が実装された回路基板22と、絶縁性の合成樹脂からなる絶縁プロテクタ23と、を備える。
【0033】
(バスバー20)
バスバー20は、金属製の板材を所定形状にプレス加工してなる。バスバー20を形成する金属地しては、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を選択することができる。バスバー20の表面には、スズ、ニッケル等、必要に応じて任意の金属がメッキされていてもよい。
【0034】
バスバー20は、細長い板状をなす本体部24と、本体部24の両端部から、本体部24の延びる方向と交差する方向に延びる一対の延出部25と、を備える。一対の延出部25は、本体部の24の延びる方向に対して、同一方向に延出されている。延出部25は、側方から見てクランク状に屈曲した形状に形成されている。延出部25の先端部寄りの部分は、本体部24よりも下方に下がった接続部26とされる。接続部26は、ボルト27が挿通される挿通孔28A,28Bを有する。
【0035】
1つのバスバー20に形成された2つの挿通孔28A,28Bのうち、一方の挿通孔28Aは、前後方向に延びる長孔とされており、他方の挿通孔28Bは左右方向に延びる長孔とされている。これにより、複数の蓄電素子が並べられた時の組み付け公差と、蓄電素子の製造公差に対応して、バスバー20が左右方向及び前後方向に移動することができるようになっている。
【0036】
(絶縁プロテクタ23)
絶縁プロテクタ23は、絶縁性の合成樹脂製であり、概ね、左右方向に細長く延びた形状をなしている。絶縁プロテクタ23は底壁29を有する。底壁29の左右方向の略中央位置には、後方に突出すると共に、回路基板22が収容される基板収容部30が設けられている。
【0037】
底壁29の前端縁には、左右方向に細長く延びると共に下方に向けて陥没した形状をなす配索溝31(導電路配索部の一例)が形成されている。換言すると、配索溝31は、左右方向に延びると共に上方に開放された形状になっている。配索溝31の内部には、上述した複数の検知電線18と、後述する複数の出力電線32が配索されるようになっている。
【0038】
配索溝31には、複数の検知電線18、及び複数の出力電線32が配索された状態で、上方から電線カバー33が取り付けられるようになっている。電線カバー33は、絶縁性の合成樹脂製であって、左右方向に細長い板状をなしている。この電線カバー33により、複数の検知電線18、及び複数の出力電線32が配索溝31からはみ出してしまうことが抑制されると共に、異物が複数の検知電線18、及び複数の出力電線32に接触することが抑制されるようになっている。
【0039】
底壁29の前端部寄りの位置には、左右方向に間隔を空けて配された2つのバスバー配置部34が設けられている。バスバー配置部34には、バスバー20が配置されるようになっている。バスバー配置部34は、底壁29から上方に突出する台状に形成されている。バスバー配置部34は、上方から見て、バスバー20の形状を略同じ形状をなすと共に、バスバー20の外形状と同じか、又はやや大きく形成されており、バスバー20が載置可能になっている。
【0040】
バスバー配置部34の外周縁には、上方に立ち上がる側壁35が形成されている。この側壁35に囲まれた空間内にバスバー20が上方から収容されるようになっている。底壁29から突出する側壁35の高さ寸法は、バスバー20の厚さ寸法よりも大きく設定されている。
【0041】
バスバー配置部34には、上方から、絶縁性の合成樹脂製のバスバーカバー36が取り付けられるようになっている。これにより、バスバー配置部34内に収容されたバスバー20は、バスバーカバー36によって覆われるようになっている。バスバーカバー36の形状は、バスバー配置部34の形状に対応して形成されている。詳細には図示しないが、バスバーカバー36と、バスバー配置部34とは、公知のロック構造により、一体に組み付けられるようになっている。
【0042】
バスバー配置部34の前端部寄りの部分は、左右方向に延びる配索溝31によって、前後方向に分断されている。バスバー配置部34のうち配索溝31よりも前方に位置する部分は、下方に屈曲している。
【0043】
絶縁プロテクタ23には、バスバー配置部34よりも後方の位置に、底壁29から上方に突出すると共に、左右方向のいずれか一方に沿って延びるコネクタ保持部37が形成されている。コネクタ保持部37は、上方から見て矩形の板状をなしている。このコネクタ保持部37には、後述する接続モジュール側コネクタ53が取り付けられるようになっている。
【0044】
上記したように、絶縁プロテクタ23には、コネクタ保持部37が形成された領域よりも後方の位置に、後方に突出する基板収容部30が形成されている。基板収容部30は、上方から見て矩形状をなしており、回路基板22よりもやや大きな形状をなしている。基板収容部30の左右両側縁と、後端縁には、上方に突出する側壁39が、底壁29から上方に立ち上がって形成されている。基板収容部30のうち、側壁39によって三方を囲まれた領域内に、回路基板22が収容されるようになっている。
【0045】
基板収容部30のうち、側壁39によって三方を囲まれた領域内側は、底壁29から上方に突出するリブ状をなす基板配置部40が形成されている。基板配置部40は上方から見て、回路基板22よりもやや小さな略矩形状をなしている。基板配置部40の四隅には、上下方向に穿孔されたねじ孔41が形成されており、このねじ孔41内に、回路基板22を介してねじ42が螺合されることにより、回路基板22が基板配置部40に固定されるようになっている。
【0046】
基板収容部30の上方は、合成樹脂製の基板カバー43によって塞がれるようになっている。基板カバー43は、矩形状をなす上板44と、上板の側縁から下方に延びる側壁45と、を備える。基板カバー43の上板44の形状は、基板収容部30の形状よりも同じか、やや大きく形成されている。基板カバー43が基板収容部30に組み付けられた状態で、基板カバー43の側壁45は、基板収容部30の側壁39の外側に位置するように形成されている。詳細には図示しないが、基板カバー43と、基板収容部30とは、公知のロック構造によって一体に組み付けられるようになっている。
【0047】
回路基板22は、絶縁板に公知のプリント配線技術により図示しない導電パターンが形成されている。この導電パターンには、半田付け等の公知の手法により電子部品21が電気的に接続されている。換言すると、回路基板22には、電子部品21が実装されている。なお、導電パターンは、回路基板22の上面に形成されてもよく、下面に形成されてもよく、また、上面と下面の双方に形成されていてもよい。また、回路基板22は、いわゆるビルドアップ基板としてもよく、回路基板22の内部に積層された導電パターンが形成されていてもよい。
【0048】
回路基板22は角の丸められた長方形状をなしている。回路基板22の四隅寄りの位置には、ねじ42が挿通される挿通孔54が貫通されている。
【0049】
回路基板22の前端部であって、左右方向の略中央位置には、基板用コネクタ46が取り付けられている。基板用コネクタ46は前方に開口するフード部47を有する。基板用コネクタ46には、図示しないタブ端子が配設されている。タブ端子の一方の端部は、フード部47内に配されている。また、タブ端子の一方の端部は基板用コネクタ46を貫通して後方に突出してさらに下方に屈曲して、回路基板22の導電パターンに、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0050】
基板用コネクタ46のフード部47内には、中継コネクタ48が嵌合されるようになっている。中継コネクタ48の上面には、中継コネクタ48の前端部から後方へ向かって延びるロックアーム49が形成されている。ロックアーム49は上下方向に弾性変形可能に形成されている。ロックアーム49の後端部寄りの位置には、上方に突出する係止突起50が形成されている。この係止突起50は、基板用コネクタ46のフード部47に形成された被係止部51に係止することにより、中継コネクタ48が、基板用コネクタ46のフード部47から前方へ離脱することが抑制されるようになっている。
【0051】
中継コネクタ48の前面からは、複数の中継電線52(中継導電路の一例)と、出力電線32(出力導電路の一例)が導出されている。
【0052】
中継コネクタ48から導出された出力電線32の端部は、図示しない制御ユニットに電気的に接続されている。制御ユニットは、出力電線32から得られた信号に基づいて、複数の蓄電素子の状態を監視するようになっている。
【0053】
中継電線52の一方の端部には図示しない端子が接続されている。この端子は、中継コネクタ48の内部に形成されたキャビティ(図示せず)に収容されるようになっている。
【0054】
図3には、中継コネクタ48から導出される中継電線52が示されている。複数の中継電線52は、所定の本数毎に束ねられて電線束を構成している。図中、中継電線52の電線束を、その外形線で示し、この電線束を構成する複数の中継電線52の形状については省略してある。
【0055】
中継電線52の端部のうち、中継コネクタ48に導入される側と反対側の端部には、接続モジュール側コネクタ53が接続されている。接続モジュール側コネクタ53には、中継電線52の端部に接続された複数の端子(図示せず)が収容される複数のキャビティ(図示せず)が設けられている。接続モジュール側コネクタ53の外面には、コネクタ保持部37の形状に対応した形状をなす受け部(図示せず)が形成されている。この受け部の内部にコネクタ保持部37が収容されることにより、コネクタ保持部37に接続モジュール側コネクタ53が取り付けられるようになっている。
【0056】
(電気的接続構造)
1つの蓄電モジュール11から導出された複数の検知電線18の端末に接続された蓄電モジュール側コネクタ19と、接続モジュール側コネクタ53とが嵌合されることにより、検知電線18と中継電線52とが電気的に接続される。また、中継コネクタ48が基板用コネクタ46と嵌合することにより、中継電線52と回路基板22とが電気的に接続される。これにより、検知電線18と、回路基板22に配設された電子部品21とが電気的に接続される。また、回路基板22に配設された電子部品21と、出力電線32とが電気的に接続される。詳細には図示しないが、出力電線32は制御ユニットと電気的に接続されているので、検知電線18と制御ユニットとが電気的に接続されるようになっている。
【0057】
(バスバー20の高さ位置と、回路基板22の高さ位置の関係)
基板配置部40の、絶縁プロテクタ23の底壁29からの突出寸法Pは、バスバー配置部34の、絶縁プロテクタ23の底壁29からの突出寸法Qよりも小さく設定されている。また、基板配置部40には配置された状態の回路基板22の上面の、絶縁プロテクタ23の底壁29からの高さ寸法Rは、バスバー配置部34に配置された状態のバスバーカバー36の上面の、絶縁プロテクタ23の底壁29からの高さ寸法Sよりも、小さく設定されている。
【0058】
(出力電線32)
1つの回路基板22に電気的に接続される出力電線32の本数は、1つの回路基板22に電気的に接続される検知電線18の本数よりも少なく設定されている。回路基板22に配設された電子部品21は、複数の検知電線18から複数の中継電線52を介して入力された複数の蓄電素子の状態に関する信号を多重化して、出力電線32に出力するようになっている。
【0059】
(接続モジュール10の組み付け工程)
続いて、接続モジュール10の組み付け工程の一例について説明する。なお、接続モジュール10の組み付け工程は、下記の構成に限定されない。
【0060】
金属板材をプレス加工することにより、バスバー20を所定の形状に形成する。また、絶縁性の合成樹脂を射出成型することにより、絶縁プロテクタ23、基板カバー43、電線カバー33を形成する。
【0061】
中継電線52の一方の端末に端子を接続し、この端子を、中継コネクタ48のキャビティに収容する。中継電線52の他方の端末に端子を接続し、この端子を接続モジュール側コネクタ53のキャビティに収容する。
【0062】
また、出力電線32の一方の端末に端子を接続し、この端子を中継コネクタ48のキャビティに収容する。
【0063】
回路基板22の導電路に、電子部品21、及び基板用コネクタ46を、リフロ―半田付け等の公知の手法により接続する。絶縁プロテクタ23の基板配置部40に回路基板22を配置し、ねじ42を挿通孔54に挿通すると共にねじ孔41に螺合する。これにより基板配置部40に回路基板22を固定する。次いで、絶縁プロテクタ23に基板カバー43を組み付ける。
【0064】
絶縁プロテクタ23の配索溝31に中継電線52と、出力電線32と、を配索し、絶縁プロテクタ23に電線カバー33を組み付ける。続いて、絶縁プロテクタ23のコネクタ保持部37に接続モジュール側コネクタ53を取り付ける。絶縁プロテクタ23のバスバー配置部34にバスバー20を配置し、絶縁プロテクタ23にバスバーカバー36を組み付ける。中継電線52の一方の端末に接続された端子を中継コネクタ48のキャビティに収容する。中継コネクタ48と、基板コネクタとを嵌合させる。これにより接続モジュール10が完成する。
【0065】
続いて、複数の蓄電素子を並べて配線モジュールで接続し、複数の蓄電モジュール11を形成する。複数の蓄電モジュール11を左右方向に並べる。各蓄電モジュール11からは検知電線18を導出し、検知電線18の端末に端子を接続する。この端子を蓄電モジュール側コネクタ19のキャビティに収容する。
【0066】
蓄電モジュール11の上面に、接続モジュール10を取り付ける。ボルト27を、バスバー20の挿通孔28A、28Bに挿通させると共に、電極端子16のねじ孔17に螺合することにより、バスバー20と電極端子16とを電気的に接続する。検知電線18の端末に接続された蓄電モジュール側コネクタ19を、接続モジュール側コネクタ53に嵌合させる。出力電線32の端末を制御ユニットに接続する。これにより蓄電パック12が完成する。
【0067】
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態に係る接続モジュール10は、複数の蓄電素子を有する複数の蓄電モジュール11間を電気的に接続するための接続モジュール10であって、複数の蓄電モジュール11のうち隣り合う蓄電モジュール11間を電気的に接続するための金属製のバスバー20と、電子部品21が実装された回路基板22と、絶縁性の合成樹脂製であって、底壁29と、底壁29から突出すると共に回路基板22が配置される基板配置部40と、底壁29から突出すると共にバスバー20が配置されるバスバー配置部34と、を有する絶縁プロテクタ23と、を備える。
【0068】
上記の構成によれば、絶縁プロテクタ23に、回路基板22と、バスバー20と、を一体に配置することができるので、接続モジュール10を全体として小型化することができる。
【0069】
また、基板配置部40の底壁29からの突出寸法Pは、バスバー配置部34の底壁29からの突出寸法Qよりも小さく設定されている。
【0070】
回路基板22には電子部品21が実装されているので、電子部品21まで含めた回路基板22の高さ寸法は、バスバー20と比べて大きくなる。このため、接続モジュール10を小型化するためには、絶縁プロテクタ23に配置された状態における回路基板22の最大高さ寸法を、いかに小さく設定するかが重要となる。上記の構成によれば、絶縁プロテクタ23に回路基板22が配置された状態において、絶縁プロテクタ23の底壁29に対する回路基板22の高さ位置を、絶縁プロテクタ23の底壁29に対するバスバー20の高さ位置よりも低くすることができる。これにより、全体として接続モジュール10を小型化することができる。この結果、蓄電モジュール11の上面から接続モジュール10の上面までの高さ寸法Tを小さくすることができる。
【0071】
また、複数の蓄電モジュール11からは、複数の蓄電素子の状態を検知する複数の検知電線18が導出されており、回路基板22には、複数の検知電線18が電気的に接続されると共に、少なくなくとも一つの出力電線32が電気的に接続されており、回路基板22の電子部品21は、複数の検知電線18から入力された複数の信号を多重化して出力電線32に出力するようになっている。
【0072】
上記の構成によれば、出力電線32の個数を、検知電線18の個数よりも少なくすることができる。これにより、接続モジュール10の部品点数を削減することができる。
【0073】
また、回路基板22には複数の中継電線52の一方の端部が電気的に接続されており、複数の中継電線52の他方の端部には接続モジュール側コネクタ53が接続されており、複数の検知電線18と複数の中継電線52とは、複数の検知電線18の端部に接続された蓄電モジュール側コネクタ19に、接続モジュール側コネクタ53が嵌合することによって電気的に接続されるようになっている。
【0074】
上記の構成によれば、検知電線18と中継電線52とをコネクタ接続することにより容易に電気的に接続することができる。これにより、蓄電モジュール11への接続モジュール10の組み付け工程を簡略化することができる。
【0075】
また、本実施形態においては、絶縁プロテクタ23に設けられた基板収容部30に回路基板22が収容される構成となっている。このため、絶縁プロテクタ23と、回路基板22を収容するケースとを別体に構成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。また、回路基板22を収容するケースを絶縁プロテクタ23に組み付ける工数も削減することができる。
【0076】
絶縁プロテクタ23は、接続モジュール側コネクタ53を保持するコネクタ保持部37を有する。
【0077】
上記の構成によれば、中継電線52に接続された接続モジュール側コネクタ53が、振動により異物と衝突することを抑制することができる。
【0078】
絶縁プロテクタ23は、検知電線18、及び中継電線52の一方又は双方が配索される配索溝31を有する。
【0079】
上記の構成によれば、検知電線18又は中継電線52が、異物に引っかかることを抑制することができる。
【0080】
回路基板22には出力電線32が電気的に接続されており、配索溝31には、出力電線32が配索されている。
【0081】
上記の構成によれば、出力電線32が異物に引っかかることを抑制することができる。
【0082】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0083】
(1)本実施形態においては、検知導電路は、検知電線18とされたが、これに限られず、フレキシブルプリント基板(FPC)、フレキシブル配線板(FFC)、バスバー20でもよい。
【0084】
(2)本実施形態においては、中継導電路は、中継電線52とされたが、これに限られず、フレキシブルプリント基板(FPC)、フレキシブル配線板(FFC)、バスバー20でもよい。
【0085】
(3)本実施形態においては、出力導電路は、出力電線32とされたが、これに限られず、フレキシブルプリント基板(FPC)、フレキシブル配線板(FFC)、バスバー20でもよい。
【0086】
(4)基板カバー43は金属製であってもよい。この場合には、回路基板22を電磁的にシールドすることができる。
【0087】
(5)中継導電路は省略してもよい。この場合には、検知導電路の端部にコネクタを配設し、このコネクタと基板コネクタとを嵌合させることにより、検知導電路と回路基板22とを電気的に接続することができる。
【0088】
(6)蓄電素子は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池でもよいし、キャパシタでもよい。
【0089】
(7)本実施形態においては、接続モジュール10は、3つの蓄電モジュール11毎に、蓄電モジュール11に取り付けられる構成としたが、これに限られず、接続モジュール10は、2つの蓄電モジュール11毎に取り付けられる構成としてもよいし、また、4つ以上の蓄電素子毎に取り付けられる構成としてもよい。
【0090】
(8)接続モジュール10が接続する蓄電モジュール11の個数は、2つでもよく、また、4つ以上であってもよい。
【0091】
(9)本実施形態においては、検知電線18は、蓄電素子の電圧を検知する構成としたが、これに限られず、蓄電素子の温度を検知するものとしてもよいし、蓄電素子の電流を検知するものとしてもよい。
【0092】
(10)実施形態に記載された方向は説明の便宜のために用いたものである。蓄電パック12、接続モジュール10、蓄電モジュール11は任意の方向に配置することができる。
【符号の説明】
【0093】
10:接続モジュール
11:蓄電モジュール
18:検知電線
19:蓄電モジュール側コネクタ
20:バスバー
21:電子部品
22:回路基板
23:絶縁プロテクタ
29:底壁
31:配索溝(導電路配索部)
32:出力電線
34:バスバー配置部
37:コネクタ保持部
40:基板配置部
53:接続モジュール側コネクタ
P:基板配置部の、底壁からの突出寸法
Q:バスバー配置部の、底壁からの突出寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7