特許第6790925号(P6790925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6790925作動油制御弁、および、これを用いたバルブタイミング調整装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790925
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】作動油制御弁、および、これを用いたバルブタイミング調整装置
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/356 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   F01L1/356 E
【請求項の数】17
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-42607(P2017-42607)
(22)【出願日】2017年3月7日
(65)【公開番号】特開2018-145906(P2018-145906A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】満谷 哲朗
【審査官】 菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/141245(WO,A1)
【文献】 特開2015−145672(JP,A)
【文献】 特開2016−056851(JP,A)
【文献】 特開2015−129564(JP,A)
【文献】 特開2015−135058(JP,A)
【文献】 特開2001−099341(JP,A)
【文献】 実開昭57−093670(JP,U)
【文献】 実開昭50−106723(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/34
9/00− 9/04
13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油供給源(8)から作動油供給対象(10)に供給する作動油の流れを制御可能な作動油制御弁(11)であって、
筒状のアウタースリーブ(40)と、
前記アウタースリーブの内側に設けられた筒状のインナースリーブ(50)と、
前記インナースリーブまたは前記アウタースリーブを径方向に貫くよう形成され、前記作動油供給源からの作動油が流れる供給流路部(401、501)と、
前記アウタースリーブと前記インナースリーブとの間において軸方向に延びるよう形成され、一端側に前記供給流路部が開口し、他端側が前記作動油供給対象に接続可能な軸方向流路部(502)と、
前記軸方向流路部において前記供給流路部に対し前記インナースリーブの径方向外側または前記アウタースリーブの径方向内側に設けられ、前記供給流路部側から前記軸方向流路部側への作動油の流れを許容し、前記軸方向流路部側から前記供給流路部側への作動油の流れを規制可能な供給チェック弁(71、72、73、74)と、
前記アウタースリーブと前記インナースリーブとの間において前記軸方向流路部の一端から周方向に延びて環状に形成された周方向流路部(503)と、
を備え、
前記供給チェック弁は、前記インナースリーブの径方向に弾性変形可能なよう設けられ、
前記軸方向流路部は、前記供給流路部の開口の周囲に形成され前記供給チェック弁が当接可能な弁座面(52、44)を有し、
前記供給チェック弁(71、72、73)は、筒状に形成され、前記軸方向流路部の一端および前記周方向流路部において径方向に弾性変形可能なよう設けられており、
前記軸方向流路部は、前記供給流路部の開口に対向する位置に形成され前記供給チェック弁が当接したとき前記供給チェック弁の径方向の変形を規制可能なストッパ面(42、54)を有する作動油制御弁。
【請求項2】
前記供給チェック弁の軸方向の移動を規制可能な移動規制部(56、57)をさらに備える請求項1に記載の作動油制御弁。
【請求項3】
前記軸方向流路部は、前記弁座面に対し前記軸方向流路部の他端側において前記弁座面に対し前記インナースリーブの径方向外側または前記アウタースリーブの径方向内側に形成される弁座段差面(53、45)を有する請求項1または2に記載の作動油制御弁。
【請求項4】
前記軸方向流路部は、前記ストッパ面に対し前記軸方向流路部の他端側において前記ストッパ面に対し前記アウタースリーブの径方向外側または前記インナースリーブの径方向内側に形成されるストッパ段差面(43、55)を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の作動油制御弁。
【請求項5】
前記ストッパ面と前記ストッパ段差面との境界(B1)は、前記供給チェック弁の軸方向の長さの範囲内に位置している請求項に記載の作動油制御弁。
【請求項6】
作動油供給源(8)から作動油供給対象(10)に供給する作動油の流れを制御可能な作動油制御弁(11)であって、
筒状のアウタースリーブ(40)と、
前記アウタースリーブの内側に設けられた筒状のインナースリーブ(50)と、
前記インナースリーブまたは前記アウタースリーブを径方向に貫くよう形成され、前記作動油供給源からの作動油が流れる供給流路部(401、501)と、
前記アウタースリーブと前記インナースリーブとの間において軸方向に延びるよう形成され、一端側に前記供給流路部が開口し、他端側が前記作動油供給対象に接続可能な軸方向流路部(502)と、
前記軸方向流路部において前記供給流路部に対し前記インナースリーブの径方向外側または前記アウタースリーブの径方向内側に設けられ、前記供給流路部側から前記軸方向流路部側への作動油の流れを許容し、前記軸方向流路部側から前記供給流路部側への作動油の流れを規制可能な供給チェック弁(71、72、73、74)と、
前記アウタースリーブと前記インナースリーブとの間において前記軸方向流路部の一端から周方向に延びて環状に形成された周方向流路部(503)と、
を備え、
前記供給チェック弁(71、72、73)は、筒状に形成され、前記軸方向流路部の一端および前記周方向流路部において径方向に弾性変形可能なよう設けられており、
前記軸方向流路部は、前記供給流路部の開口の周囲に形成され前記供給チェック弁が当接可能な弁座面(52、44)、前記供給流路部の開口に対向する位置に形成され前記供給チェック弁が当接したとき前記供給チェック弁の径方向の変形を規制可能なストッパ面(42、54)、および、前記ストッパ面に対し前記軸方向流路部の他端側において前記ストッパ面に対し前記アウタースリーブの径方向外側または前記インナースリーブの径方向内側に形成されるストッパ段差面(43、55)を有し、
前記ストッパ面と前記ストッパ段差面との境界(B1)は、前記供給チェック弁の軸方向の長さの範囲内に位置し、
前記供給チェック弁が前記ストッパ面に当接したとき、前記供給チェック弁の外周壁と前記ストッパ段差面との間には、環状の隙間(S1)が形成される作動油制御弁。
【請求項7】
前記インナースリーブまたは前記アウタースリーブを径方向に貫くよう形成され、一端が前記ストッパ面に開口し、内側に作動油が流入可能な閉弁アシスト流路部(509)をさらに備える請求項のいずれか一項に記載の作動油制御弁。
【請求項8】
前記インナースリーブまたは前記アウタースリーブを径方向に貫くよう形成され、一端が前記軸方向流路部の他端側に接続し、他端側が前記作動油供給対象に接続可能な径方向流路部(504)をさらに備える請求項1〜のいずれか一項に記載の作動油制御弁。
【請求項9】
前記アウタースリーブは、内周壁が円筒面状に形成されており、
前記インナースリーブは、外周壁が円筒面状に形成されており、
前記軸方向流路部は、前記インナースリーブの外周壁から径方向内側または前記アウタースリーブの内周壁から径方向外側に凹むよう前記アウタースリーブと前記インナースリーブとの嵌め合い境界面(T1)上に形成されている請求項1〜のいずれか一項に記載の作動油制御弁。
【請求項10】
前記アウタースリーブは、前記作動油供給対象の内壁にねじ結合可能なねじ部(41)を外周壁に有し、
前記インナースリーブは、前記アウタースリーブよりも硬度が低い材料により形成され、
前記軸方向流路部は、前記インナースリーブに形成されている請求項に記載の作動油制御弁。
【請求項11】
前記アウタースリーブは、鉄を含む材料により形成されており、
前記インナースリーブは、アルミニウムを含む材料により形成されている請求項10に記載の作動油制御弁。
【請求項12】
前記アウタースリーブは、前記作動油供給対象の内壁にねじ結合可能なねじ部(41)を外周壁に有し、
前記インナースリーブは、前記アウタースリーブよりも硬度が低い材料により形成された筒状の第1インナースリーブ(511)、および、前記第1インナースリーブよりも硬度が高い材料により形成され前記第1インナースリーブの内側に設けられた筒状の第2インナースリーブ(512)を有し、
前記軸方向流路部は、前記第1インナースリーブに形成されている請求項に記載の作動油制御弁。
【請求項13】
前記アウタースリーブは、鉄を含む材料により形成されており、
前記第1インナースリーブは、樹脂により形成されており、
前記第2インナースリーブは、鉄を含む材料により形成されている請求項12に記載の作動油制御弁。
【請求項14】
前記アウタースリーブおよび前記インナースリーブは、アルミニウムを含む材料により形成されている請求項1〜のいずれか一項に記載の作動油制御弁。
【請求項15】
前記アウタースリーブおよび前記インナースリーブは、前記作動油供給対象に接続するよう形成された制御ポート(411、412)を有し、
前記インナースリーブの内側において軸方向に往復移動可能に設けられ、内側に内部空間(600)を形成し、前記内部空間と前記軸方向流路部の他端側とを接続可能に形成された供給油路(601)、および、前記内部空間と前記制御ポートとを接続可能に形成された制御油路(611、612)を有し、前記インナースリーブに対する位置に応じて前記制御油路と前記制御ポートとの接続および切断を切換え可能な筒状のスプール(60)をさらに備える請求項1〜14のいずれか一項に記載の作動油制御弁。
【請求項16】
内燃機関(1)の駆動軸(2)から従動軸(3)まで動力を伝達する動力伝達経路に設けられ、前記従動軸により開閉駆動されるバルブ(4、5)のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置(10)であって、
前記駆動軸および前記従動軸の一方を第1軸とし、前記駆動軸および前記従動軸の他方を第2軸とすると、
前記第1軸と連動して回転し、前記第2軸の端部に嵌合し、前記第2軸により回転可能に支持されるハウジング(20)と、
前記第2軸の端部に固定され、前記ハウジングの内側の空間(200)を複数の油圧室(201、202)に仕切るベーン(32)を有し、前記作動油供給源から前記油圧室に供給される作動油の圧力に応じて前記ハウジングに対して相対回転するベーンロータ(30)と、
請求項15に記載の作動油制御弁(11)と、を備え、
前記作動油供給対象は、前記バルブタイミング調整装置であり、
前記制御ポートは、前記油圧室に接続しているバルブタイミング調整装置。
【請求項17】
前記作動油制御弁は、前記ベーンロータの中央部に設けられている請求項16に記載のバルブタイミング調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動油制御弁、および、これを用いたバルブタイミング調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作動油の流れを制御する作動油制御弁が知られている。例えば特許文献1には、筒状のアウタースリーブの内側にインナースリーブを設け、アウタースリーブとインナースリーブとの間に形成された環状の空間に、径方向に弾性変形可能なチェック弁が設けられている。当該チェック弁により、アウタースリーブおよびインナースリーブの外部と内部との間の作動油の流れを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6899126号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作動油制御弁では、作動油がアウタースリーブの外部からチェック弁を経由してインナースリーブの内部へ流れるとき、チェック弁の外縁部を迂回する必要があるため、流路圧損が大きくなるおそれがある。
また、特許文献1の作動油制御弁では、大量の作動油がアウタースリーブの外部からチェック弁を経由してインナースリーブの内部へ流れるとき、チェック弁がインナースリーブの流路を塞ぎ、インナースリーブ内部への作動油の流れが遮断されるおそれがある。
また、作動油がインナースリーブの内部からチェック弁を経由してアウタースリーブの外部へ流れるときも上記と同様の問題が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、流路圧損が小さく、意図しない流路遮断を抑制可能な作動油制御弁、および、バルブタイミング調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作動油供給源(8)から作動油供給対象(10)に供給する作動油の流れを制御可能な作動油制御弁(11)であって、アウタースリーブ(40)とインナースリーブ(50)と供給流路部(501)と軸方向流路部(502)と供給チェック弁(71、72、73、74)とを備えている。
【0007】
アウタースリーブは、筒状に形成されている。
インナースリーブは、筒状に形成され、アウタースリーブの内側に設けられている。
供給流路部は、インナースリーブまたはアウタースリーブを径方向に貫くよう形成され、作動油供給源からの作動油が流れる。
軸方向流路部は、アウタースリーブとインナースリーブとの間において軸方向に延びるよう形成され、一端側に供給流路部が開口し、他端側が作動油供給対象に接続可能である。
供給チェック弁は、軸方向流路部において供給流路部に対しインナースリーブの径方向外側またはアウタースリーブの径方向内側に設けられ、供給流路部側から軸方向流路部側への作動油の流れを許容し、軸方向流路部側から供給流路部側への作動油の流れを規制可能である。
【0008】
本発明では、供給流路部から軸方向流路部に流れた作動油は、供給チェック弁を迂回することなく、軸方向流路部の他端側へ流れ、作動油供給対象に供給される。そのため、作動油制御弁における流路圧損を抑制することができる。
また、本発明では、大量の作動油が供給流路部から軸方向流路部に流れたとしても、供給チェック弁は、供給流路部の開口に対向する壁面に当接するのみであり、軸方向流路部を遮断することはない。そのため、作動油制御弁における意図しない流路遮断を抑制することができる。
本発明の第1の態様では、アウタースリーブとインナースリーブとの間において軸方向流路部の一端から周方向に延びて環状に形成された周方向流路部(503)を備えている。供給チェック弁は、インナースリーブの径方向に弾性変形可能なよう設けられている。軸方向流路部は、供給流路部の開口の周囲に形成され供給チェック弁が当接可能な弁座面(52、44)を有する。供給チェック弁(71、72、73)は、筒状に形成され、軸方向流路部の一端および周方向流路部において径方向に弾性変形可能なよう設けられている。軸方向流路部は、供給流路部の開口に対向する位置に形成され供給チェック弁が当接したとき供給チェック弁の径方向の変形を規制可能なストッパ面(42、54)を有する。
本発明の第2の態様は、アウタースリーブとインナースリーブとの間において軸方向流路部の一端から周方向に延びて環状に形成された周方向流路部(503)を備えている。供給チェック弁(71、72、73)は、筒状に形成され、軸方向流路部の一端および周方向流路部において径方向に弾性変形可能なよう設けられている。軸方向流路部は、供給流路部の開口の周囲に形成され供給チェック弁が当接可能な弁座面(52、44)、供給流路部の開口に対向する位置に形成され供給チェック弁が当接したとき供給チェック弁の径方向の変形を規制可能なストッパ面(42、54)、および、ストッパ面に対し軸方向流路部の他端側においてストッパ面に対しアウタースリーブの径方向外側またはインナースリーブの径方向内側に形成されるストッパ段差面(43、55)を有している。ストッパ面とストッパ段差面との境界(B1)は、供給チェック弁の軸方向の長さの範囲内に位置している。供給チェック弁がストッパ面に当接したとき、供給チェック弁の外周壁とストッパ段差面との間には、環状の隙間(S1)が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態による作動油制御弁およびバルブタイミング調整装置を示す断面図。
図2図1のII−II線断面図。
図3】第1実施形態による作動油制御弁を示す断面図。
図4】第1実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁を示す展開図。
図5】第1実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁を示す図。
図6】第1実施形態による作動油制御弁のインナースリーブおよび供給チェック弁を示す斜視図。
図7】第1実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁の近傍を示す断面図。
図8】第1実施形態による作動油制御弁のリサイクルチェック弁を示す展開図。
図9】第2実施形態による作動油制御弁を示す断面図。
図10】第2実施形態による作動油制御弁のインナースリーブを示す平面図。
図11】第2実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁の近傍を示す断面図。
図12】第3実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁の近傍を示す断面図。
図13】第4実施形態による作動油制御弁を示す断面図。
図14】第5実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁を示す展開図。
図15】第5実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁を示す断面図。
図16】第6実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁を示す展開図。
図17】第6実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁を示す図。
図18】第7実施形態による作動油制御弁の供給チェック弁の近傍を示す断面図。
図19図18のXIX−XIX線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の複数の実施形態によるバルブタイミング調整装置を図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態による作動油制御弁およびバルブタイミング調整装置を図1〜3に示す。バルブタイミング調整装置10は、内燃機関としてのエンジン1のクランク軸2に対するカム軸3の回転位相を変化させることによって、カム軸3が開閉駆動する吸気弁4または排気弁5のうち吸気弁4のバルブタイミングを調整するものである。バルブタイミング調整装置10は、クランク軸2からカム軸3までの動力伝達経路に設けられている。クランク軸2は、特許請求の範囲における「駆動軸」に対応する。カム軸3は、特許請求の範囲における「従動軸」に対応する。吸気弁4、排気弁5は、特許請求の範囲における「バルブ」に対応する。
【0012】
バルブタイミング調整装置10の構成について図1、2に基づき説明する。
バルブタイミング調整装置10は、ハウジング20とベーンロータ30と作動油制御弁11とを備えている。
【0013】
ハウジング20は、スプロケット21およびケース22から構成されている。スプロケット21は、カム軸3の端部に嵌合している。カム軸3は、スプロケット21を回転可能に支持している。チェーン6は、スプロケット21とクランク軸2とに巻き掛けられている。スプロケット21は、クランク軸2と連動して回転する。ケース22は、有底筒状であり、開口端がスプロケット21に組み合わされつつボルト12によりスプロケット21に固定されている。ケース22は、径方向内側に突き出す複数の隔壁部23を形成している。ケース22の底部の中央には、ケース22外の空間に開口する開口部24が形成されている。開口部24は、ベーンロータ30に対してカム軸3とは反対側に位置する。
【0014】
ベーンロータ30は、ボス31、および、複数のベーン32を有している。ボス31は、筒状であり、カム軸3の端部に固定されている。ベーン32は、ボス31から径方向外側に向かって各隔壁部23間に突き出している。ハウジング20の内側の空間200は、ベーン32により遅角室201と進角室202とに仕切られている。遅角室201は、ベーン32に対して周方向の一方に位置している。進角室202は、ベーン32に対して周方向の他方に位置している。遅角室201、進角室202は、特許請求の範囲における「油圧室」に対応している。ベーンロータ30は、遅角室201および進角室202の油圧に応じて、ハウジング20に対して遅角方向または進角方向へ相対回転する。
【0015】
作動油制御弁11は、アウタースリーブ40、インナースリーブ50、スプール60、供給流路部501、軸方向流路部502、周方向流路部503、径方向流路部504、供給チェック弁71、移動規制部56、57等を備えている。
【0016】
本実施形態では、作動油制御弁11は、ベーンロータ30の中央部に設けられている(図1、2参照)。
アウタースリーブ40は、例えば鉄を含む比較的硬度が高い材料により略円筒状に形成されている。アウタースリーブ40は、内周壁が略円筒面状に形成されている。
アウタースリーブ40の一方の端部の外周壁には、ねじ部41が形成されている。アウタースリーブ40の他方の端部側には、外周壁から径方向外側へ環状に延びる係止部49が形成されている。
【0017】
カム軸3のバルブタイミング調整装置10側の端部には、軸穴部100、供給穴部101が形成されている。軸穴部100は、カム軸3のバルブタイミング調整装置10側の端面の中央からカム軸3の軸方向に延びるようにして形成されている。供給穴部101は、カム軸3の外壁から径方向内側に延びて軸穴部100に連通するよう形成されている。
【0018】
カム軸3の軸穴部100の内壁には、アウタースリーブ40のねじ部41にねじ結合可能な軸側ねじ部110が形成されている。
アウタースリーブ40は、ベーンロータ30のボス31の内側を通り、ねじ部41がカム軸3の軸側ねじ部110に結合するようにしてカム軸3に固定される。このとき、係止部49は、ベーンロータ30のボス31のカム軸3とは反対側の端面を係止する。これにより、ベーンロータ30は、カム軸3と係止部49とに挟み込まれるようにしてカム軸3に固定される。このように、アウタースリーブ40は、ベーンロータ30の中央部に設けられる。
【0019】
供給穴部101には、オイルポンプ8が接続される。オイルポンプ8は、オイルパン7に貯留されている作動油を汲み上げ、供給穴部101に供給する。これにより、軸穴部100には、作動油が流入する。ここで、オイルポンプ8は、特許請求の範囲における「作動油供給源」に対応している。また、バルブタイミング調整装置10は、特許請求の範囲における「作動油供給対象」に対応している。
【0020】
インナースリーブ50は、例えばアルミニウムを含む比較的硬度が低い材料により略円筒状に形成されている。つまり、インナースリーブ50は、アウタースリーブ40よりも硬度が低い材料により形成されている。インナースリーブ50は、外周壁が略円筒面状に形成されている。
【0021】
インナースリーブ50は、外周壁がアウタースリーブ40の内周壁に嵌合するようアウタースリーブ40の内側に設けられている。インナースリーブ50は、アウタースリーブ40に対し相対移動不能である。
【0022】
インナースリーブ50の一方の端部側には、内周壁から径方向内側へ板状に延びるスリーブ板部51が形成されている。ここで、スリーブ板部51は、アウタースリーブ40のねじ部41の径方向内側に位置し、インナースリーブ50の内側の空間を一方側と他方側とに隔てている。
【0023】
スプール60は、例えば金属により略円筒状に形成されている。
スプール60は、外周壁がインナースリーブ50の内周壁と摺動し、軸方向に往復移動可能なようインナースリーブ50の内側に設けられている。
【0024】
スプール60の一方の端部側には、内周壁から径方向内側へ板状に延びるスプール板部61が形成されている。ここで、スプール板部61は、スプール60の内側の空間を一方側と他方側とに隔てている。
【0025】
スプール60の他方の端部には、封止部62が設けられている。封止部62は、外周壁がスプール60の内周壁に嵌合し、スプール60の他方の端部を塞いでいる。スプール60の内側における封止部62とスプール板部61との間には、略円筒状の内部空間600が形成されている。
【0026】
インナースリーブ50の内側におけるスリーブ板部51とスプール板部61との間には、容積可変空間500が形成されている。容積可変空間500は、スプール60がインナースリーブ50に対し軸方向へ移動するとき、容積が変化する。
【0027】
容積可変空間500には、スプリング63が設けられている。スプリング63は、所謂コイルスプリングであり、一端がスリーブ板部51に当接し、他端がスプール板部61に当接している。スプリング63は、スプール60をスリーブ板部51とは反対側へ付勢している。
【0028】
アウタースリーブ40の他方の端部の径方向内側には、係止部59が設けられている。係止部59は有底筒状に形成され、外周壁がアウタースリーブ40の内周壁に嵌合するよう設けられている。係止部59の底部の中央には、穴部が形成されており、当該穴部の内側に封止部62が位置している。
【0029】
係止部59は、底部により、スプール60の他方の端部を係止可能である。係止部59は、スプール60のスリーブ板部51とは反対側へのスプール60の移動を規制可能である。これにより、スプール60は、インナースリーブ50の内側からの脱落が抑制されている。
【0030】
供給流路部501は、インナースリーブ50の一方の端部側に形成されている。供給流路部501は、スリーブ板部51に対しスプール60とは反対側に形成されている。供給流路部501は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成されている。供給流路部501は、例えばインナースリーブ50の周方向に等間隔で4つ形成されている。
【0031】
供給流路部501には、オイルポンプ8から供給穴部101、軸穴部100、インナースリーブ50の内側を経由して流入した作動油が流れる。
ここで、インナースリーブ50の内側の供給流路部501の径方向内側にフィルタ58が設けられている。フィルタ58は、略円筒状に形成されたメッシュである。フィルタ58は、インナースリーブ50の内側から供給流路部501に流れる作動油に含まれる異物を捕集可能である。
【0032】
軸方向流路部502は、アウタースリーブ40とインナースリーブ50との間において軸方向に延びるよう形成されている。
軸方向流路部502は、インナースリーブ50の外周壁から径方向内側に凹むようアウタースリーブ40とインナースリーブ50との嵌め合い境界面T1上に形成されている。
4つの供給流路部501のうち1つは、軸方向流路部502の一端側とインナースリーブ50の内側の空間とを接続している。すなわち、軸方向流路部502の一端側には、供給流路部501が開口している。
【0033】
周方向流路部503は、アウタースリーブ40とインナースリーブ50との間において軸方向流路部502の一端から周方向に延びて環状に形成されている(図3、6参照)。すなわち、周方向流路部503には、4つの供給流路部501が開口している。
供給穴部101を経由して軸穴部100に流入した作動油は、供給流路部501を経由して軸方向流路部502および周方向流路部503に流入することができる。供給流路部501を経由して周方向流路部503に流入した作動油は、周方向流路部503を流れて軸方向流路部502へ流れることができる。
【0034】
径方向流路部504は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成され、一端が軸方向流路部502の他端側に接続し、他端側がインナースリーブ50の内側の空間に接続している(図3参照)。
【0035】
供給チェック弁71は、例えば長方形の金属薄板を長手方向が周方向に沿うよう曲げることにより略円筒状に形成されている。図4は、供給チェック弁71を展開した図である。図5は、供給チェック弁71を軸方向から見た図である。
【0036】
供給チェック弁71は、重なり部700、弁部701を有している。
重なり部700は、供給チェック弁71の周方向の一方の端部に形成されている。重なり部700は、供給チェック弁71の周方向の他方の端部の径方向外側に重なるようにして形成されている(図5参照)。弁部701は、供給チェック弁71の周方向に等間隔で4つ形成されている。
【0037】
供給チェック弁71は、周方向流路部503に設けられている。供給チェック弁71は、軸方向流路部502の一端および周方向流路部503において径方向に弾性変形可能に設けられている。ここで、供給チェック弁71は、4つの弁部701がそれぞれ4つの供給流路部501に対応するよう設けられている。すなわち、供給チェック弁71は、供給流路部501に対しインナースリーブ50の径方向外側に設けられている。
【0038】
軸方向流路部502は、弁座面52、弁座段差面53、ストッパ面42、ストッパ段差面43を有している。
弁座面52は、インナースリーブ50において、供給流路部501の開口の周囲に環状に形成され、供給チェック弁71の弁部701が当接可能である。弁座段差面53は、弁座面52に対し軸方向流路部502の他端側において弁座面52に対しインナースリーブ50の径方向外側に形成されている(図7参照)。
【0039】
ストッパ面42は、アウタースリーブ40において、供給流路部501の開口に対向する位置に形成されている。ストッパ段差面43は、ストッパ面42に対し軸方向流路部502の他端側においてストッパ面42に対しアウタースリーブ40の径方向外側に形成されている(図7参照)。
【0040】
供給チェック弁71は、周方向流路部503に設けられ、供給流路部501に作動油が流れていない状態、すなわち、外力が作用していない状態では、重なり部700が周方向の他方の端部に重なった状態である(図6参照)。また、供給チェック弁71の外周壁は、弁座段差面53と略同一面上に位置している(図7参照)。
ここで、ストッパ面42とストッパ段差面43との境界B1は、供給チェック弁71の軸方向の長さの範囲内に位置している(図7参照)。
【0041】
作動油が供給流路部501を経由して軸方向流路部502および周方向流路部503へ流れるとき、供給チェック弁71は、弁部701の内壁が作動油により押され径方向外側へ拡がるよう、すなわち、内径が拡大するようにして変形する。これにより、供給チェック弁71の弁部701が弁座面52から離間し、作動油は、弁部701と弁座面52との間を経由して軸方向流路部502の他方の端部側、すなわち、径方向流路部504側へ流れることができる。このとき、重なり部700は、重なり部700と供給チェック弁71の他方の端部との重なり範囲の長さを縮小しながら一部が重なった状態を維持した状態となる。
【0042】
供給流路部501を流れる作動油の流量が所定値以上になると、供給チェック弁71は、外周壁がストッパ面42に当接する。これにより、供給チェック弁71は、径方向外側への変形が規制される。このとき、供給チェック弁71の軸方向の端部の外周壁とストッパ段差面43との間には、隙間S1が形成される(図7参照)。
【0043】
一方、供給流路部501を流れる作動油の流量が所定値以下になると、供給チェック弁71は、径方向内側へ縮まるよう、すなわち、内径が縮小するようにして変形する。さらに、作動油が軸方向流路部502から供給流路部501側へ流れる場合、供給チェック弁71の外周壁が作動油により径方向内側へ押され、弁部701が弁座面52に当接する。これにより、軸方向流路部502側から供給流路部501側への作動油の流れが規制される。このとき、供給チェック弁71は、外周壁が弁座段差面53に対しインナースリーブ50の径方向内側に位置するよう変形する。
【0044】
このように、供給チェック弁71は、逆止弁として機能し、供給流路部501側から軸方向流路部502側への作動油の流れを許容し、軸方向流路部502側から供給流路部501側への作動油の流れを規制可能である。
【0045】
移動規制部56は、周方向流路部503において供給チェック弁71に対し係止部59側に形成されている。移動規制部56は、供給チェック弁71の軸方向の端部に当接したとき、供給チェック弁71の軸方向の係止部59側への移動を規制可能である。
移動規制部57は、周方向流路部503において供給チェック弁71に対し係止部59とは反対側に形成されている。移動規制部57は、供給チェック弁71の軸方向の端部に当接したとき、供給チェック弁71の軸方向の係止部59とは反対側への移動を規制可能である。
【0046】
このように、移動規制部56、57は、供給チェック弁71が軸方向に移動して供給流路部501から離れるのを防止することができる。また、移動規制部56は、供給チェック弁71が軸方向流路部502の他方側へ移動し径方向流路部504を塞ぐのを防止することができる。
【0047】
スプール60は、供給油路601、第1制御油路611、第2制御油路612、ドレン油路602、リサイクル油路603を有している。
供給油路601は、スプール60の一方の端部側の外周壁から径方向内側へ凹み周方向へ延びるよう略円筒状に形成されている。供給油路601は、径方向流路部504に接続している。これにより、供給油路601は、軸方向流路部502を経由して供給流路部501と連通している。そのため、供給油路601には、オイルポンプ8から供給流路部501、軸方向流路部502、径方向流路部504を経由して作動油が供給される。
【0048】
第1制御油路611は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成されている。すなわち、第1制御油路611は、スプール60の内部空間600と外部とを接続している。第1制御油路611は、供給油路601と一体に形成されている。そのため、供給油路601は、第1制御油路611を経由してスプール60の内部空間600に連通している。よって、内部空間600には、供給油路601、第1制御油路611を経由して作動油が流入可能である。
【0049】
第2制御油路612は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成されている。すなわち、第2制御油路612は、スプール60の内部空間600と外部とを接続している。第2制御油路612は、第1制御油路611に対し封止部62側に形成されている。
【0050】
ドレン油路602は、スプール60の軸方向の第1制御油路611と第2制御油路612との間において、スプール60の外周壁から径方向内側へ凹むよう形成されている。
【0051】
リサイクル油路603は、ドレン油路602においてスプール60を径方向に貫くよう形成されている。すなわち、リサイクル油路603は、スプール60の内部空間600とドレン油路602とを接続している。
【0052】
アウタースリーブ40およびインナースリーブ50には、第1制御ポート411、第2制御ポート412が形成されている。
第1制御ポート411は、軸方向流路部502に対し係止部49側において、アウタースリーブ40およびインナースリーブ50を径方向に貫くよう形成されている。第1制御ポート411の一端は、インナースリーブ50の内側の空間に接続している。第1制御ポート411の他端は、遅角油路301を経由して遅角室201に接続している。
【0053】
第2制御ポート412は、第1制御ポート411に対し係止部49側において、アウタースリーブ40およびインナースリーブ50を径方向に貫くよう形成されている。第2制御ポート412の一端は、インナースリーブ50の内側の空間に接続している。第2制御ポート412の他端は、進角油路302を経由して進角室202に接続している。
【0054】
スプール60のカム軸3とは反対側に、リニアソレノイド9が設けられる。リニアソレノイド9は、封止部62に当接するようにして設けられる。リニアソレノイド9は、通電により、封止部62を介してスプール60をスプリング63の付勢力に抗してカム軸3側へ押圧する。これにより、スプール60は、インナースリーブ50に対する軸方向の位置が変化する。なお、スプール60の可動範囲は、スプール60が係止部59に当接する位置からスプール60がスリーブ板部51に当接する位置までである。
供給油路601は、スプール60がインナースリーブ50に対し軸方向のどの位置にあっても、径方向流路部504に連通している。
【0055】
スプール60が係止部59に当接する位置にあるとき、第1制御油路611と第1制御ポート411とは接続している。また、このとき、第2制御ポート412とドレン油路602およびリサイクル油路603とは接続している。また、第2制御油路612と第2制御ポート412とは切断されている。
【0056】
一方、スプール60がスリーブ板部51に当接すると、第2制御油路612と第2制御ポート412とは接続する。また、このとき、第1制御ポート411とドレン油路602およびリサイクル油路603とは接続する。また、第1制御油路611と第1制御ポート411とは切断される。
【0057】
また、スプール60が係止部59とスリーブ板部51との中間位置にあるとき、第1制御油路611、第2制御油路612、ドレン油路602およびリサイクル油路603と第1制御ポート411および第2制御ポート412とは切断されている。このとき、遅角室201および進角室202は閉鎖されている。
【0058】
このように、スプール60は、インナースリーブ50に対する軸方向の位置に応じて第1制御油路611および第2制御油路612と第1制御ポート411および第2制御ポート412との接続および切断を切換え可能である。
【0059】
また、スプール60が係止部59に当接しているとき、軸方向流路部502の他端は、径方向流路部504、供給油路601、第1制御油路611、第1制御ポート411を経由して遅角室201に接続している。
【0060】
また、スプール60がスリーブ板部51に当接すると、軸方向流路部502の他端は、径方向流路部504、供給油路601、第1制御油路611、内部空間600、第2制御油路612、第2制御ポート412を経由して進角室202に接続する。
【0061】
このように、軸方向流路部502は、他端側が径方向流路部504を経由してバルブタイミング調整装置10の遅角室201または進角室202に接続可能である。
【0062】
本実施形態では、インナースリーブ50に、呼吸穴部505、ドレンポート506が形成されている。
呼吸穴部505は、インナースリーブ50の外周壁から径方向内側へ凹み、インナースリーブ50の軸方向へ延びるよう形成されている(図3、6参照)。また、呼吸穴部505は、一端が容積可変空間500に接続し、他端が係止部59と封止部62との間を経由して外部、すなわち、大気に連通している。これにより、容積可変空間500の圧力を大気圧と同等にすることができる。そのため、スプール60の軸方向の移動を円滑にすることができる。
【0063】
ドレンポート506は、インナースリーブ50の内側の空間と呼吸穴部505とを接続するよう形成されている。なお、ドレンポート506の呼吸穴部505とは反対側の端部は、スプール60がインナースリーブ50に対し軸方向のどの位置にあってもドレン油路602に接続している。これにより、ドレン油路602の作動油は、ドレンポート506、呼吸穴部505、係止部59と封止部62との間を経由して作動油制御弁11の外部へ流れ出ることができる。
【0064】
本実施形態では、作動油制御弁11は、リサイクルチェック弁81をさらに備えている。
リサイクルチェック弁81は、スプール60の内部空間600に設けられている。
リサイクルチェック弁81は、例えば金属薄板を曲げることにより形成されている。図8は、リサイクルチェック弁81を展開した図である。図3には、軸に垂直な方向から見たリサイクルチェック弁81を示している。
【0065】
リサイクルチェック弁81は、軸部811、弁部812を有している。
軸部811は、略円筒状に形成されている。弁部701は、軸部811の中央において軸部811の周方向の一端から延びて軸部811の周囲を1巻するよう形成されている。弁部701の周方向の軸部811とは反対側の端部は、弁部812の径方向外側に重なっている。
【0066】
リサイクルチェック弁81は、弁部812がリサイクル油路603に対応するよう内部空間600に設けられている。ここで、軸部811は、端部がスプール板部61、封止部62に当接し、軸方向の移動が規制されている。
リサイクルチェック弁81は、内部空間600において弁部812がリサイクル油路603を塞いでいる。リサイクルチェック弁81は、弁部812が径方向に弾性変形可能である。
【0067】
リサイクル油路603側から内部空間600側へ作動油が流れるとき、リサイクルチェック弁81は、弁部812の外壁が作動油に押され、径方向内側へ縮まるよう、すなわち、内径が縮小するようにして変形する。これにより、弁部812がリサイクル油路603から離間し、作動油は、内部空間600に流入し、弁部812とスプール60の内周壁との間を流れることができる。このとき、弁部812の周方向の端部の重なり面積は拡大する。
【0068】
一方、内部空間600側からリサイクル油路603側へ作動油が流れるとき、リサイクルチェック弁81は、弁部812の内壁が作動油に押され、径方向外側へ拡がるよう、すなわち、内径が拡大するようにして変形する。これにより、弁部812がリサイクル油路603を塞ぎ、内部空間600からリサイクル油路603側への作動油の流れは遮断される。
【0069】
このように、リサイクルチェック弁81は、逆止弁として機能し、リサイクル油路603側から内部空間600側への作動油の流れを許容し、内部空間600側からリサイクル油路603側への作動油の流れを規制可能である。
【0070】
次に、作動油制御弁11およびバルブタイミング調整装置10の作動について説明する。作動油制御弁11は、リニアソレノイド9の駆動によりスプール60を押圧し、オイルポンプ8と遅角室201とを接続しつつ、進角室202とドレン油路602およびリサイクル油路603とを接続する第1作動状態と、オイルポンプ8と進角室202とを接続しつつ、遅角室201とドレン油路602およびリサイクル油路603とを接続する第2作動状態と、遅角室201および進角室202を共に閉鎖する保持状態と、に作動する。
【0071】
第1作動状態では、遅角室201に作動油が供給されつつ、進角室202から作動油がドレン油路602およびリサイクル油路603を経由して内部空間600に戻され、余剰分がドレンポート506および呼吸穴部505を経由して作動油制御弁11の外部へ排出されてオイルパン7に戻される。第2作動状態では、進角室202に作動油が供給されつつ、遅角室201から作動油がドレン油路602およびリサイクル油路603を経由して内部空間600に戻され、余剰分がドレンポート506および呼吸穴部505を経由して作動油制御弁11の外部へ排出されてオイルパン7に戻される。保持状態では、遅角室201および進角室202の作動油が保持される。
【0072】
本実施形態は、ロックピン33をさらに備えている(図1、2参照)。ロックピン33は、有底円筒状に形成され、ベーン32に形成された収容穴部321に軸方向に往復移動可能に収容されている。ロックピン33の内側には、スプリング34が設けられている。スプリング34は、ロックピン33をケース22の底部側へ付勢している。ケース22の底部のベーン32側には、嵌入凹部25が形成されている。
【0073】
ロックピン33は、ハウジング20に対しベーンロータ30が最遅角位置にあるとき、嵌入凹部25に嵌入可能である。ロックピン33が嵌入凹部25に嵌入しているとき、ハウジング20に対するベーンロータ30の相対回転が規制される。一方、ロックピン33が嵌入凹部25に嵌入していないとき、ハウジング20に対するベーンロータ30の相対回転が許容される。
【0074】
ベーン32のロックピン33と進角室202との間には、進角室202に連通するピン制御油路304が形成されている(図2参照)。進角室202からピン制御油路304に流入する作動油の圧力は、ロックピン33がスプリング34の付勢力に抗して嵌入凹部25から抜け出す方向に働く。
【0075】
以上のように構成されたバルブタイミング調整装置10では、進角室202に作動油が供給されると、ピン制御油路304に作動油が流入し、ロックピン33が嵌入凹部25から抜け出し、ハウジング20に対するベーンロータ30の相対回転が許容された状態となる。
【0076】
バルブタイミング調整装置10は、カム軸3の回転位相が目標値よりも進角側である場合、作動油制御弁11を第1作動状態とする。これにより、ベーンロータ30がハウジング20に対して遅角方向へ相対回転し、カム軸3の回転位相が遅角側へ変化する。
また、バルブタイミング調整装置10は、カム軸3の回転位相が目標値よりも遅角側である場合、作動油制御弁11を第2作動状態とする。これにより、ベーンロータ30がハウジング20に対して進角方向へ相対回転し、カム軸3の回転位相が進角側へ変化する。
また、バルブタイミング調整装置10は、カム軸3の回転位相が目標値と一致する場合、作動油制御弁11を保持状態とする。これにより、カム軸3の回転位相が保持される。
本実施形態では、リサイクル油路603により遅角室201、進角室202からの作動油の一部を再利用することができる。
【0077】
また、本実施形態では、呼吸穴部505により、容積可変空間500の圧力が大気圧と同等になっているため、リニアソレノイド9がスプール60を押圧するとき、スプール60は、インナースリーブ50の内側において軸方向に円滑に往復移動することができる。なお、容積可変空間500に作動油が溜まった場合、当該作動油は、呼吸穴部505を経由して作動油制御弁11に対しカム軸3とは反対側、すなわち、バルブタイミング調整装置10の外部へ排出され、オイルパン7に戻される。
【0078】
作動油制御弁11が第1作動状態または第2作動状態のとき、オイルポンプ8を作動させると、供給流路部501を経由して軸方向流路部502に作動油が流れる。このとき、供給チェック弁71は弁座面52から離間、すなわち、開弁し、作動油の流れを許容する。このときの作動油の流量が大きい場合、供給チェック弁71は径方向外側へさらに変形し、ストッパ面42に当接する。このとき、作動油は、供給チェック弁71に流れが阻害されることなく、供給流路部501から軸方向流路部502を軸方向に円滑に流れることができる。ここで、カム軸3から伝達するトルクの作用により遅角室201または進角室202の内部のオイルが圧縮されて圧力が上昇した場合等、供給流路部501および軸方向流路部502において作動油が逆流することがある。ここで、「逆流」とは、軸方向流路部502側から供給流路部501側へ流れることをいう。以下同じ。
【0079】
供給チェック弁71がストッパ面42に当接した状態で作動油が逆流すると、供給チェック弁71とストッパ段差面43との間の隙間S1に作動油が入り込み、供給チェック弁71の外壁が径方向内側へ押される。これにより、供給チェック弁71を速やかに閉弁させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、弁座面52に対しインナースリーブ50の径方向外側に弁座段差面53が形成されており、供給チェック弁71は、外力が作用していない状態のとき、外周壁が弁座段差面53と略同一面上に位置している。供給チェック弁71がこの状態のとき、作動油が逆流した場合、軸方向流路部502の作動油は供給チェック弁71の内壁と弁座面52との間に入り込むことなく、供給チェック弁71の外壁を径方向内側へ押す。これにより、供給チェック弁71を速やかに閉弁させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、移動規制部56、57により、供給チェック弁71が軸方向に移動して供給流路部501から離れるのを防止することができる。また、移動規制部56により、供給チェック弁71が軸方向流路部502の他方側へ移動し径方向流路部504を塞ぐのを防止することができる。
【0082】
以上説明したように、(1)本実施形態は、オイルポンプ8からバルブタイミング調整装置10に供給する作動油の流れを制御可能な作動油制御弁11であって、アウタースリーブ40とインナースリーブ50と供給流路部501と軸方向流路部502と供給チェック弁71とを備えている。
アウタースリーブ40は、筒状に形成されている。
インナースリーブ50は、筒状に形成され、アウタースリーブ40の内側に設けられている。
供給流路部501は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成され、オイルポンプ8からの作動油が流れる。
軸方向流路部502は、アウタースリーブ40とインナースリーブ50との間において軸方向に延びるよう形成され、一端側に供給流路部501が開口し、他端側がバルブタイミング調整装置10に接続可能である。
供給チェック弁71は、軸方向流路部502において供給流路部501に対しインナースリーブ50の径方向外側に設けられ、供給流路部501側から軸方向流路部502側への作動油の流れを許容し、軸方向流路部502側から供給流路部501側への作動油の流れを規制可能である。
【0083】
本実施形態では、供給流路部501から軸方向流路部502に流れた作動油は、供給チェック弁71を迂回することなく、軸方向流路部502の他端側へ流れ、バルブタイミング調整装置10に供給される。そのため、作動油制御弁11における流路圧損を抑制することができる。これにより、バルブタイミング調整装置10の応答性を向上することができる。
【0084】
また、本実施形態では、大量の作動油が供給流路部501から軸方向流路部502に流れたとしても、供給チェック弁71は、供給流路部501の開口に対向する壁面に当接するのみであり、軸方向流路部502を遮断することはない。そのため、作動油制御弁11における意図しない流路遮断を抑制することができる。
【0085】
また、(2)本実施形態は、供給チェック弁71の軸方向の移動を規制可能な移動規制部56、57をさらに備えている。そのため、供給チェック弁71が軸方向に移動して供給流路部501から離れるのを防止することができる。これにより、供給チェック弁71が逆止弁として機能する状態を維持できる。
【0086】
また、(3)本実施形態は、周方向流路部503をさらに備えている。周方向流路部503は、アウタースリーブ40とインナースリーブ50との間において軸方向流路部502の一端から周方向に延びて環状に形成されている。
供給チェック弁71は、筒状に形成され、軸方向流路部502の一端および周方向流路部503において径方向に弾性変形可能なよう設けられている。
軸方向流路部502は、供給流路部501の開口の周囲に形成され供給チェック弁71が当接可能な弁座面52、および、供給流路部501の開口に対向する位置に形成され供給チェック弁71が当接したとき供給チェック弁71の径方向の変形を規制可能なストッパ面42を有している。
本実施形態では、周方向流路部503および供給チェック弁71を比較的容易に形成することができる。また、上述のようにストッパ面42を形成することにより、作動油の流れを阻害することなく、供給チェック弁71の変形を規制することができる。
【0087】
また、(4)本実施形態では、軸方向流路部502は、弁座面52に対し軸方向流路部502の他端側において弁座面52に対しインナースリーブ50の径方向外側に形成される弁座段差面53を有している。そのため、供給チェック弁71を、外壁が弁座段差面53と略同一面上または弁座面52側に位置させることができる。供給チェック弁71がこの状態のとき、作動油が逆流した場合、軸方向流路部502の作動油は供給チェック弁71の内側に入り込むことなく、供給チェック弁71の外壁を径方向内側へ押す。これにより、供給チェック弁71を速やかに閉弁させることができる。つまり、弁座段差面53により、供給チェック弁71の閉弁を阻害する流れが生じるのを抑制することができる。
【0088】
また、(5)本実施形態では、軸方向流路部502は、ストッパ面42に対し軸方向流路部502の他端側においてストッパ面42に対しアウタースリーブ40の径方向外側に形成されるストッパ段差面43を有している。
【0089】
また、(6)本実施形態では、ストッパ面42とストッパ段差面43との境界は、供給チェック弁71の軸方向の長さの範囲内に位置している。そのため、供給チェック弁71がストッパ面42に当接して変形が規制されているとき、供給チェック弁71の外壁とストッパ段差面43との間には隙間S1が形成される。これにより、このとき作動油が逆流すると、作動油が隙間S1に入り込み、供給チェック弁71の外壁が径方向内側へ押される。これにより、供給チェック弁71を速やかに閉弁させることができる。
【0090】
また、(8)本実施形態は、径方向流路部504をさらに備えている。径方向流路部504は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成され、一端が軸方向流路部502の他端側に接続し、他端側がバルブタイミング調整装置10に接続可能である。径方向流路部504により、軸方向流路部502の作動油をインナースリーブ50の内側へ流すことができる。
なお、本実施形態は、移動規制部56を備えているため、供給チェック弁71が軸方向流路部502の他方側へ移動し径方向流路部504を塞ぐのを防止することができる。これにより、径方向流路部504を備える作動油制御弁11における意図しない流路遮断を抑制することができる。
【0091】
また、(9)本実施形態では、アウタースリーブ40は、内周壁が円筒面状に形成されている。インナースリーブ50は、外周壁が円筒面状に形成されている。軸方向流路部502は、インナースリーブ50の外周壁から径方向内側に凹むようアウタースリーブ40とインナースリーブ50との嵌め合い境界面T1上に形成されている。そのため、アウタースリーブ40とインナースリーブ50との嵌め合い境界面T1および軸方向流路部502を精度よく形成することができる。
【0092】
また、(10)本実施形態では、アウタースリーブ40は、バルブタイミング調整装置10の内壁にねじ結合可能なねじ部41を外周壁に有している。インナースリーブ50は、アウタースリーブ40よりも硬度が低い材料により形成されている。軸方向流路部502、移動規制部56、57は、インナースリーブ50に形成されている。そのため、アウタースリーブ40のねじ部41における強度を確保しつつ、軸方向流路部502、移動規制部56、57を切削等によりインナースリーブ50に容易に精度よく形成することができる。
【0093】
また、(11)本実施形態では、アウタースリーブ40は、鉄を含む材料により形成されている。インナースリーブ50は、アルミニウムを含む材料により形成されている。これは、アウタースリーブ40より硬度が低いインナースリーブ50の構成を具体的に示すものである。この構成では、アウタースリーブ40の強度を確保しつつ、インナースリーブ50に軸方向流路部502等を容易に形成することができる。
【0094】
(15)また、本実施形態では、アウタースリーブ40およびインナースリーブ50は、バルブタイミング調整装置10に接続するよう形成された第1制御ポート411、第2制御ポート412を有している。また、本実施形態は、スプール60をさらに備えている。スプール60は、筒状に形成され、インナースリーブ50の内側において軸方向に往復移動可能に設けられ、内側に内部空間600を形成し、内部空間600と軸方向流路部502の他端側とを接続可能に形成された供給油路601、および、内部空間600と第1制御ポート411、第2制御ポート412とを接続可能に形成された第1制御油路611、第2制御油路612を有し、インナースリーブ50に対する位置に応じて第1制御油路611、第2制御油路612と第1制御ポート411、第2制御ポート412との接続および切断を切換え可能である。
これは、作動油制御弁11をバルブタイミング調整装置10の制御に用いる場合の具体例を示すものである。スプール60により各制御油路と各制御ポートとの接続および切断を切換えることにより、バルブタイミング調整装置10を複数の状態に変化させることができる。
【0095】
(16)本実施形態は、エンジン1のクランク軸2からカム軸3まで動力を伝達する動力伝達経路に設けられ、カム軸3により開閉駆動される吸気弁4、排気弁5のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置10であって、ハウジング20とベーンロータ30と上記作動油制御弁11とを備えている。
ハウジング20は、クランク軸2と連動して回転し、カム軸3の端部に嵌合し、カム軸3により回転可能に支持される。
ベーンロータ30は、カム軸3の端部に固定され、ハウジング20の内側の空間200を複数の遅角室201、進角室202に仕切るベーン32を有し、オイルポンプ8から遅角室201、進角室202に供給される作動油の圧力に応じてハウジング20に対して相対回転する。
作動油制御弁11は、オイルポンプ8からバルブタイミング調整装置10に供給する作動油の流れを制御可能である。
第1制御ポート411、第2制御ポート412は、それぞれ、遅角室201、進角室202に接続している。
これは、作動油制御弁11をバルブタイミング調整装置10に適用する場合の具体例を示すものである。本実施形態の作動油制御弁11は、流路圧損を抑制できるとともに、意図しない流路遮断を抑制することができるため、バルブタイミング調整装置10を高応答化し、効率よく、高精度に制御することができる。
【0096】
また、(17)本実施形態では、作動油制御弁11は、ベーンロータ30の中央部に設けられている。すなわち、作動油制御弁11とバルブタイミング調整装置10は、一体に設けられている。そのため、作動油制御弁11およびバルブタイミング調整装置10をコンパクトに配置することができる。
【0097】
(第2実施形態)
第2実施形態による作動油制御弁、および、その一部を図9〜11に示す。第2実施形態は、アウタースリーブ40、インナースリーブ50、スプール60の構成等が第1実施形態と異なる。
【0098】
第2実施形態では、アウタースリーブ40に供給流路部401が形成されている。供給流路部501は、ねじ部41に対し係止部49側においてアウタースリーブ40を径方向に貫くよう形成されている。供給流路部401は、例えばアウタースリーブ40の周方向に等間隔で4つ形成されている。給流路部401には、オイルポンプ8からの作動油が流れる。
【0099】
軸方向流路部502は、アウタースリーブ40とインナースリーブ50との間において軸方向に延びるよう形成されている。
軸方向流路部502は、インナースリーブ50の外周壁から径方向内側に凹むようアウタースリーブ40とインナースリーブ50との嵌め合い境界面T1上に形成されている。
本実施形態では、軸方向流路部502は、インナースリーブ50の周方向に等間隔で4つ形成されている(図10参照)。
【0100】
4つの供給流路部401のそれぞれは、4つの軸方向流路部502のそれぞれの一端側とアウタースリーブ40の外部とを接続している。すなわち、軸方向流路部502の一端側には、供給流路部401が開口している。
【0101】
周方向流路部503は、アウタースリーブ40とインナースリーブ50との間において軸方向流路部502の一端から周方向に延びて環状に形成されている(図9〜11参照)。すなわち、周方向流路部503には、4つの供給流路部401が開口している。また、周方向流路部503は、4つの軸方向流路部502の一端に接続している。
オイルポンプ8からの作動油は、供給流路部401を経由して軸方向流路部502および周方向流路部503に流入することができる。
【0102】
径方向流路部504は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成され、一端が軸方向流路部502の他端側に接続し、他端側がインナースリーブ50の内側の空間に接続している(図9〜11参照)。径方向流路部504は、4つの軸方向流路部502のそれぞれに接続するよう4つ形成されている(図10参照)。
【0103】
供給チェック弁71は、第1実施形態と同様の構成である。
供給チェック弁71は、周方向流路部503に設けられている。供給チェック弁71は、軸方向流路部502の一端および周方向流路部503において径方向に弾性変形可能に設けられている。ここで、供給チェック弁71は、4つの弁部701がそれぞれ4つの供給流路部401に対応するよう設けられている。すなわち、供給チェック弁71は、供給流路部401に対しアウタースリーブ40の径方向内側に設けられている。
【0104】
軸方向流路部502は、弁座面44、弁座段差面45、ストッパ面54、ストッパ段差面55を有している。
弁座面44は、アウタースリーブ40において、供給流路部401の開口の周囲に環状に形成され、供給チェック弁71の弁部701が当接可能である。弁座段差面45は、弁座面44に対し軸方向流路部502の他端側において弁座面44に対しアウタースリーブ40の径方向内側に形成されている(図11参照)。
【0105】
ストッパ面54は、インナースリーブ50において、供給流路部401の開口に対向する位置に形成されている。ストッパ段差面55は、ストッパ面54に対し軸方向流路部502の他端側においてストッパ面54に対しインナースリーブ50の径方向内側に形成されている(図11参照)。
【0106】
供給チェック弁71は、周方向流路部503に設けられ、供給流路部401に作動油が流れていない状態、すなわち、外力が作用していない状態では、内周壁が、弁座段差面45と略同一面上に位置している(図11参照)。
ここで、ストッパ面54とストッパ段差面55との境界B1は、供給チェック弁71の軸方向の長さの範囲内に位置している(図11参照)。
【0107】
作動油が供給流路部401を経由して軸方向流路部502および周方向流路部503へ流れるとき、供給チェック弁71は、弁部701の外壁が作動油により押され径方向内側へ縮むよう、すなわち、内径が縮小するようにして変形する。これにより、供給チェック弁71の弁部701が弁座面44から離間し、作動油は、弁部701と弁座面44との間を経由して軸方向流路部502の他方の端部側、すなわち、径方向流路部504側へ流れることができる。
【0108】
供給流路部401を流れる作動油の流量が所定値以上になると、供給チェック弁71は、内周壁がストッパ面54に当接する。これにより、供給チェック弁71は、径方向内側への変形が規制される。このとき、供給チェック弁71の軸方向の端部の内周壁とストッパ段差面55との間には、隙間S1が形成される(図11参照)。
【0109】
一方、供給流路部401を流れる作動油の流量が所定値以下になると、供給チェック弁71は、径方向外側へ拡がるよう、すなわち、内径が拡大するようにして変形する。さらに、作動油が軸方向流路部502から供給流路部401側へ流れる場合、供給チェック弁71の内周壁が作動油により径方向外側へ押され、弁部701が弁座面44に当接する。これにより、軸方向流路部502側から供給流路部401側への作動油の流れが規制される。このとき、供給チェック弁71は、内周壁が弁座段差面45に対しアウタースリーブ40の径方向外側に位置するよう変形する。
【0110】
このように、供給チェック弁71は、逆止弁として機能し、供給流路部401側から軸方向流路部502側への作動油の流れを許容し、軸方向流路部502側から供給流路部401側への作動油の流れを規制可能である。
【0111】
移動規制部56は、周方向流路部503において供給チェック弁71に対し係止部59とは反対側に形成されている。移動規制部56は、供給チェック弁71の軸方向の端部に当接したとき、供給チェック弁71の軸方向の係止部59とは反対側への移動を規制可能である。
移動規制部57は、周方向流路部503において供給チェック弁71に対し係止部59側に形成されている。移動規制部57は、供給チェック弁71の軸方向の端部に当接したとき、供給チェック弁71の軸方向の係止部59側への移動を規制可能である。
【0112】
このように、移動規制部56、57は、供給チェック弁71が軸方向に移動して供給流路部401から離れるのを防止することができる。また、移動規制部56は、供給チェック弁71が軸方向流路部502の他方側へ移動し径方向流路部504を塞ぐのを防止することができる。
【0113】
本実施形態では、スリーブ板部51は、インナースリーブ50の一方の端部を塞ぐようにして形成されている(図9参照)。スリーブ板部51には呼吸穴部507が形成されている。呼吸穴部507は、容積可変空間500と作動油制御弁11の外部、すなわち、大気とを接続している。これにより、容積可変空間500の圧力を大気圧と同等にすることができ、スプール60の軸方向の移動を円滑にすることができる。
【0114】
本実施形態では、供給油路601は、スプール60の一方の端部側の外周壁から径方向内側へ凹み周方向へ延びるよう略円筒状に形成されている。供給油路601は、一端側が径方向流路部504に接続している。これにより、供給油路601は、軸方向流路部502を経由して供給流路部401と連通している。そのため、供給油路601には、オイルポンプ8から供給流路部401、軸方向流路部502、径方向流路部504を経由して作動油が供給される。
【0115】
第1制御油路611は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成されている。第1制御油路611は、供給油路601と一体に形成されている。そのため、供給油路601は、第1制御油路611を経由してスプール60の内部空間600に連通している。よって、内部空間600には、供給油路601、第1制御油路611を経由して作動油が流入可能である。
【0116】
第2制御油路612、ドレン油路602、リサイクル油路603、第1制御ポート411、第2制御ポート412の構成は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
また、スプール60による各制御油路と各制御ポートとの接続および切断についても、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0117】
リサイクルチェック弁81の構成、配置についても、第1実施形態と同様のため説明を省略する。
本実施形態では、インナースリーブ50に、呼吸穴部505に代えてドレン穴部508が形成されている。ドレン穴部508は、インナースリーブ50の外周壁から径方向内側へ凹み、インナースリーブ50の軸方向へ延びるよう形成されている(図9参照)。また、ドレン穴部508は、一端側にドレンポート506が開口し、他端が係止部59と封止部62との間を経由して外部、すなわち、大気に連通している。これにより、ドレンポート506、ドレン穴部508を経由して作動油を作動油制御弁11の外部へ排出することができる。
【0118】
本実施形態では、作動油制御弁11が第1作動状態または第2作動状態のとき、オイルポンプ8を作動させると、供給流路部401を経由して軸方向流路部502に作動油が流れる。このとき、供給チェック弁71は弁座面44から離間、すなわち、開弁し、作動油の流れを許容する。このときの作動油の流量が大きい場合、供給チェック弁71は径方向内側へさらに変形し、ストッパ面54に当接する。このとき、作動油は、供給チェック弁71に流れが阻害されることなく、供給流路部401から軸方向流路部502を軸方向に円滑に流れることができる。ここで、オイルポンプ8が停止した場合等、供給流路部401および軸方向流路部502において作動油が逆流することがある。
【0119】
供給チェック弁71がストッパ面54に当接した状態で作動油が逆流すると、供給チェック弁71とストッパ段差面55との間の隙間S1に作動油が入り込み、供給チェック弁71の内壁が径方向外側へ押される。これにより、供給チェック弁71を速やかに閉弁させることができる。
【0120】
また、本実施形態では、弁座面44に対しアウタースリーブ40の径方向内側に弁座段差面45が形成されており、供給チェック弁71は、外力が作用していない状態のとき、内周壁が弁座段差面45と略同一面上に位置している。供給チェック弁71がこの状態のとき、作動油が逆流した場合、軸方向流路部502の作動油は供給チェック弁71の外壁と弁座面44との間に入り込むことなく、供給チェック弁71の内壁を径方向外側へ押す。これにより、供給チェック弁71を速やかに閉弁させることができる。
【0121】
また、本実施形態では、移動規制部56、57により、供給チェック弁71が軸方向に移動して供給流路部501から離れるのを防止することができる。また、移動規制部56により、供給チェック弁71が軸方向流路部502の他方側へ移動し径方向流路部504を塞ぐのを防止することができる。
【0122】
以上説明したように、(1)本実施形態では、供給流路部401は、アウタースリーブ40を径方向に貫くよう形成され、オイルポンプ8からの作動油が流れる。軸方向流路部502は、アウタースリーブ40とインナースリーブ50との間において軸方向に延びるよう形成され、一端側に供給流路部401が開口し、他端側がバルブタイミング調整装置10に接続可能である。供給チェック弁71は、軸方向流路部502において供給流路部401に対しアウタースリーブ40の径方向内側に設けられ、供給流路部401側から軸方向流路部502側への作動油の流れを許容し、軸方向流路部502側から供給流路部401側への作動油の流れを規制可能である。
本実施形態では、供給流路部401から軸方向流路部502に流れた作動油は、供給チェック弁71を迂回することなく、軸方向流路部502の他端側へ流れ、バルブタイミング調整装置10に供給される。そのため、作動油制御弁11における流路圧損を抑制することができる。これにより、バルブタイミング調整装置10の応答性を向上することができる。
また、大量の作動油が供給流路部501から軸方向流路部502に流れたとしても、供給チェック弁71は、供給流路部401の開口に対向する壁面に当接するのみであり、軸方向流路部502を遮断することはない。そのため、作動油制御弁11における意図しない流路遮断を抑制することができる。
【0123】
また、(3)本実施形態は、軸方向流路部502は、供給流路部401の開口の周囲に形成され供給チェック弁71が当接可能な弁座面44、および、供給流路部401の開口に対向する位置に形成され供給チェック弁71が当接したとき供給チェック弁71の径方向の変形を規制可能なストッパ面54を有している。
本実施形態では、上述のようにストッパ面54を形成することにより、作動油の流れを阻害することなく、供給チェック弁71の変形を規制することができる。
【0124】
また、(4)本実施形態では、軸方向流路部502は、弁座面44に対し軸方向流路部502の他端側において弁座面44に対しアウタースリーブ40の径方向内側に形成される弁座段差面45を有している。そのため、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0125】
また、(5)本実施形態では、軸方向流路部502は、ストッパ面42に対し軸方向流路部502の他端側においてストッパ面42に対しアウタースリーブ40の径方向外側に形成されるストッパ段差面43を有している。そのため、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0126】
(第3実施形態)
第3実施形態による作動油制御弁の一部を図12に示す。第3実施形態は、インナースリーブ50の構成等が第2実施形態と異なる。
【0127】
第2実施形態は、閉弁アシスト流路部509をさらに備えている。閉弁アシスト流路部509は、インナースリーブ50を径方向に貫、一端がストッパ面54に開口するよう形成されている。閉弁アシスト流路部509の内側には、供給油路601の作動油が流入可能である。
【0128】
本実施形態では、供給チェック弁71の外壁が作動油に押され内壁がストッパ面54に当接しているとき逆流が生じると、供給チェック弁71の内壁が閉弁アシスト流路部509内の作動油に押され、供給チェック弁71が径方向外側へ変形し閉弁する。このように、閉弁アシスト流路部509は、供給チェック弁71の閉弁をアシストする。
【0129】
以上説明したように、(7)本実施形態は、閉弁アシスト流路部509をさらに備えている。閉弁アシスト流路部509は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成され、一端がストッパ面54に開口し、内側に作動油が流入可能である。閉弁アシスト流路部509により、供給チェック弁71の閉弁をアシストすることができる。
【0130】
(第4実施形態)
第4実施形態による作動油制御弁を図13に示す。第4実施形態は、インナースリーブ50の構成等が第2実施形態と異なる。
【0131】
第4実施形態では、インナースリーブ50は、第1インナースリーブ511、第2インナースリーブ512を有している。
【0132】
第1インナースリーブ511は、例えば樹脂等、比較的硬度が低い材料により略円筒状に形成されている。つまり、第1インナースリーブ511は、アウタースリーブ40よりも硬度が低い材料により形成されている。
【0133】
第2インナースリーブ512は、例えば鉄を含む比較的硬度が高い材料により略円筒状に形成されている。つまり、第2インナースリーブ512は、第1インナースリーブ511よりも硬度が高い材料により形成されている。
【0134】
第1インナースリーブ511は、外周壁がアウタースリーブ40の内周壁に嵌合するようアウタースリーブ40の内側に設けられている。第1インナースリーブ511は、アウタースリーブ40に対し相対移動不能である。
【0135】
第2インナースリーブ512は、外周壁が第1インナースリーブ511の内周壁に嵌合するよう第1インナースリーブ511の内側に設けられている。第2インナースリーブ512は、第1インナースリーブ511に対し相対移動不能である。
【0136】
軸方向流路部502は、アウタースリーブ40と第1インナースリーブ511との間において軸方向に延びるよう形成されている。
軸方向流路部502は、第1インナースリーブ511の外周壁から径方向内側に凹むようアウタースリーブ40と第1インナースリーブ511との嵌め合い境界面T1上において第1インナースリーブ511に形成されている。
【0137】
径方向流路部504は、第2インナースリーブ512を径方向に貫くよう形成され、一端が軸方向流路部502の他端側に接続し、他端側がインナースリーブ50の内側の空間に接続している(図13参照)。
【0138】
第4実施形態では、移動規制部56、57は、第1インナースリーブ511に形成されている。また、スリーブ板部51は、第1インナースリーブ511の一方の端部を塞ぐよう第1インナースリーブ511と一体に形成されている。
なお、第4実施形態では、弁座段差面45、ストッパ段差面55は、形成されていない。
【0139】
以上説明したように、(12)本実施形態では、アウタースリーブ40は、バルブタイミング調整装置10の内壁にねじ結合可能なねじ部41を外周壁に有している。
インナースリーブ50は、アウタースリーブ40よりも硬度が低い材料により形成された筒状の第1インナースリーブ511、および、第1インナースリーブ511よりも硬度が高い材料により形成され第1インナースリーブ511の内側に設けられた筒状の第2インナースリーブ512を有している。軸方向流路部502は、第1インナースリーブ511に形成されている。本実施形態では、アウタースリーブ40よりも硬度の低い第1インナースリーブ511に軸方向流路部502、移動規制部56、57が形成されている。そのため、アウタースリーブ40のねじ部41における強度を確保しつつ、軸方向流路部502、移動規制部56、57を切削等により第1インナースリーブ511に容易に精度よく形成することができる。
また、第1インナースリーブ511よりも硬度の高い第2インナースリーブ512は、略円筒状の単純な形状に形成されている。そのため、第2インナースリーブ512は、硬度が高くても容易に形成することができる。また、内壁にスプール60の外壁が摺動する第2インナースリーブ512の強度を確保することができる。
【0140】
また、(13)本実施形態では、アウタースリーブ40は、鉄を含む材料により形成されている。第1インナースリーブ511は、樹脂により形成されている。第2インナースリーブ512は、鉄を含む材料により形成されている。これは、アウタースリーブ40、第1インナースリーブ511、第2インナースリーブ512の構成を具体的に例示するものである。この構成では、アウタースリーブ40および第2インナースリーブ512の強度を確保しつつ、第1インナースリーブ511に軸方向流路部502等を容易に形成することができる。
【0141】
(第5実施形態)
第5実施形態による作動油制御弁の一部を図14、15に示す。第5実施形態は、供給チェック弁の構成が第1実施形態と異なる。
【0142】
第5実施形態では、供給チェック弁72は、第1実施形態の供給チェック弁71と同様、例えば長方形の金属薄板を長手方向が周方向に沿うよう曲げることにより略円筒状に形成されている。図14は、供給チェック弁72を展開した図である。図15は、供給チェック弁72を軸方向の中間位置における断面図である。
【0143】
第5実施形態では、供給チェック弁72は、重なり部700、開口部720、支持部721、弁部701を有している。
重なり部700は、供給チェック弁72の周方向の一方の端部に形成されている。重なり部700は、供給チェック弁72の周方向の他方の端部の径方向外側に重なるようにして形成されている(図15参照)。
【0144】
開口部720は、供給チェック弁72の周方向に等間隔で4つ形成されている。
支持部721は、4つの開口部720のそれぞれの内縁部から供給チェック弁72の周方向に延びるよう形成されている。
【0145】
弁部701は、支持部721の先端部に接続するよう形成されている。ここで、弁部701は、供給チェック弁72の周方向に等間隔で4つ形成されている。
【0146】
供給チェック弁72は、周方向流路部503に設けられている。供給チェック弁72は、軸方向流路部502の一端および周方向流路部503において支持部721および弁部701が径方向に弾性変形可能に設けられている。ここで、供給チェック弁72は、4つの弁部701がそれぞれ4つの供給流路部501に対応するよう設けられている。すなわち、供給チェック弁72は、供給流路部501に対しインナースリーブ50の径方向外側に設けられている。
【0147】
(第6実施形態)
第6実施形態による作動油制御弁の一部を図16、17に示す。第6実施形態は、供給チェック弁の構成が第1実施形態と異なる。
【0148】
第6実施形態では、供給チェック弁73は、第1実施形態の供給チェック弁71と同様、例えば長方形の金属薄板を長手方向が周方向に沿うよう曲げることにより略円筒状に形成されている。図16は、供給チェック弁73を展開した図である。図17は、供給チェック弁73を軸方向から見た図である。
【0149】
第6実施形態では、供給チェック弁73は、重なり部700、弁部701、切欠き部731を有している。
重なり部700は、供給チェック弁73の周方向の一方の端部に形成されている。重なり部700は、供給チェック弁73の周方向の他方の端部の径方向外側に重なるようにして形成されている(図17参照)。弁部701は、供給チェック弁71の周方向に等間隔で4つ形成されている。
【0150】
切欠き部731は、供給チェック弁73の軸方向の両端部を軸方向に切り欠くようにして形成されている。切欠き部731は、供給チェック弁73の周方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0151】
供給チェック弁73は、周方向流路部503に設けられている。供給チェック弁73は、軸方向流路部502の一端および周方向流路部503において径方向に弾性変形可能に設けられている。ここで、供給チェック弁73は、4つの弁部701がそれぞれ4つの供給流路部501に対応するよう設けられている。すなわち、供給チェック弁73は、供給流路部501に対しインナースリーブ50の径方向外側に設けられている。
【0152】
供給チェック弁73が径方向外側へ拡がるよう、すなわち、内径が拡大するよう変形するとき、重なり部700は、供給チェック弁73の他方の端部から離間した状態となる。
供給チェック弁73が径方向外側または径方向内側に変形するとき、作動油は、切欠き部731を流れることができる。そのため、特に供給チェック弁73の移動規制部57側の端部近傍の作動油が供給チェック弁73の径方向の変形を阻害するのを抑制することができる。これにより、供給チェック弁73の開閉弁の作動を円滑にすることができる。
【0153】
(第7実施形態)
第7実施形態による作動油制御弁の一部を図18、19に示す。第7実施形態は、アウタースリーブ40、インナースリーブ50、供給チェック弁の構成等が第2実施形態と異なる。
【0154】
第7実施形態では、供給流路部401は、アウタースリーブ40の周方向に等間隔で2つ形成されている(図18、19参照)。供給流路部401には、オイルポンプ8からの作動油が流れる。
【0155】
軸方向流路部502は、アウタースリーブ40とインナースリーブ50との間において軸方向に延びるよう形成されている。
軸方向流路部502は、インナースリーブ50の外周壁から径方向内側に凹むようアウタースリーブ40とインナースリーブ50との嵌め合い境界面T1上に形成されている。
【0156】
本実施形態では、軸方向流路部502は、インナースリーブ50の周方向に等間隔で2つ形成されている(図18、19参照)。
2つの供給流路部401のそれぞれは、2つの軸方向流路部502のそれぞれの一端側とアウタースリーブ40の外部とを接続している。すなわち、軸方向流路部502の一端側には、供給流路部401が開口している。
第7実施形態では、第2実施形態で示した周方向流路部503は形成されていない。
【0157】
径方向流路部504は、インナースリーブ50を径方向に貫くよう形成され、一端が軸方向流路部502の他端側に接続し、他端側がインナースリーブ50の内側の空間に接続している(図18参照)。径方向流路部504は、2つの軸方向流路部502のそれぞれに接続するよう2つ形成されている(図18参照)。
【0158】
供給チェック弁74は、例えば長方形の金属薄板を長手方向に向かって複数回交互に折り曲げることにより形成されている。
供給チェック弁74は、軸方向流路部502の一端側に設けられている。供給チェック弁74は、軸方向流路部502の一端においてインナースリーブ50の径方向に弾性変形可能に設けられている。ここで、供給チェック弁74は、2つの供給流路部401に対応するよう、計2つ設けられている。すなわち、供給チェック弁74は、供給流路部401に対しアウタースリーブ40の径方向内側に設けられている。
【0159】
供給チェック弁74は、インナースリーブ50の径方向外側に伸びる力を有している。そのため、供給チェック弁74は、弁座面44に当接し、供給流路部401を塞いでいる。
【0160】
第7実施形態では、第2実施形態で示した弁座段差面45、ストッパ段差面55は形成されていない。
作動油が供給流路部401を経由して軸方向流路部502へ流れるとき、供給チェック弁74は、作動油により押されインナースリーブ50の径方向内側へ縮むようにして変形する。これにより、供給チェック弁74が弁座面44から離間し、作動油は、供給チェック弁74と弁座面44との間を経由して軸方向流路部502の他方の端部側、すなわち、径方向流路部504側へ流れることができる。
【0161】
供給流路部401を流れる作動油の流量が所定値以下になると、供給チェック弁74は、インナースリーブ50の径方向外側へ伸びるようにして変形し、弁座面44に当接し閉弁する。これにより、軸方向流路部502側から供給流路部401側への作動油の流れが規制される。
【0162】
このように、供給チェック弁74は、逆止弁として機能し、供給流路部401側から軸方向流路部502側への作動油の流れを許容し、軸方向流路部502側から供給流路部401側への作動油の流れを規制可能である。
【0163】
移動規制部56は、供給チェック弁74に対し係止部59とは反対側に形成されている。移動規制部56は、供給チェック弁74に当接したとき、供給チェック弁74のインナースリーブ50の軸方向の係止部59とは反対側への移動を規制可能である。
移動規制部57は、供給チェック弁74に対し係止部59側に形成されている。移動規制部57は、供給チェック弁74に当接したとき、供給チェック弁74のインナースリーブ50の軸方向の係止部59側への移動を規制可能である。
【0164】
このように、移動規制部56、57は、供給チェック弁74がインナースリーブ50の軸方向に移動して供給流路部401から離れるのを防止することができる。また、移動規制部56は、供給チェック弁74が軸方向流路部502の他方側へ移動し径方向流路部504を塞ぐのを防止することができる。
【0165】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、供給チェック弁の軸方向の係止部59側、すなわち、軸方向流路部502の他端側への移動を規制可能な移動規制部56、および、供給チェック弁の軸方向の係止部59とは反対側、すなわち、軸方向流路部502の他端とは反対側への移動を規制可能な移動規制部57を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、移動規制部56および移動規制部57のいずれか一方が形成されることとしてもよい。また、移動規制部56および移動規制部57のいずれも形成されていなくてもよい。
【0166】
また、本発明の他の実施形態では、弁座段差面、ストッパ段差面は形成されていなくてもよい。
また、上述の実施形態では、径方向流路部504がインナースリーブ50を径方向に貫くよう形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、径方向流路部504は、アウタースリーブ40を径方向に貫くよう形成されていてもよい。この場合、径方向流路部504の軸方向流路部502とは反対側の端部は、インナースリーブ50の内側を経由することなく、作動油供給対象に直接接続してもよい。
【0167】
また、上述の実施形態では、軸方向流路部502が、インナースリーブ50の外周壁から径方向内側に凹むようアウタースリーブ40とインナースリーブ50との嵌め合い境界面T1上に形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、軸方向流路部502は、アウタースリーブ40の内周壁から径方向外側に凹むようアウタースリーブ40とインナースリーブ50との嵌め合い境界面T1上に形成されることとしてもよい。
【0168】
また、上述の第1〜3、7実施形態では、アウタースリーブ40を鉄を含む材料により形成し、インナースリーブ50をアルミニウムを含む材料により形成する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、インナースリーブ50は、アウタースリーブ40よりも硬度が低い材料であれば、どのような材料により形成されていてもよい。また、アウタースリーブ40は、インナースリーブ50よりも硬度が高い材料であれば、どのような材料により形成されていてもよい。
【0169】
また、上述の第4実施形態では、アウタースリーブ40を鉄を含む材料により形成し、第1インナースリーブ511を樹脂により形成し、第2インナースリーブ512を鉄を含む材料により形成する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、第1インナースリーブ511は、アウタースリーブ40および第2インナースリーブ512よりも硬度が低い材料であれば、どのような材料により形成されていてもよい。また、アウタースリーブ40は、第1インナースリーブ511よりも硬度が高い材料であれば、どのような材料により形成されていてもよい。また、第2インナースリーブ512は、第1インナースリーブ511よりも硬度が高い材料であれば、どのような材料により形成されていてもよい。
【0170】
また、本発明の他の実施形態では、作動油制御弁11は、ベーンロータ30の中央部に限らず、バルブタイミング調整装置10の外部に設けられていてもよい。この場合、アウタースリーブ40は、ねじ部41を省略することができる。また、この場合、アウタースリーブ40、インナースリーブ50をいずれもアルミニウムを含む材料により形成してもよい。この場合、アウタースリーブ40、インナースリーブ50の強度を確保しつつ、材料コストを低減することができる。
【0171】
また、本発明の他の実施形態では、アウタースリーブ40およびインナースリーブ50が第1制御ポート411、第2制御ポート412を有さず、スプール60を備えないこととしてもよい。この場合、アウタースリーブ40に径方向流路部504を形成するか、軸方向流路部502がアウタースリーブ40およびインナースリーブ50の軸方向の端面に開口し作動油供給対象に接続するようにすればよい。
【0172】
また、本発明の作動油制御弁11は、遅角室201、進角室202の2つの油圧室を有するバルブタイミング調整装置10に限らず、その他の作動油により駆動する装置等に供給する作動油を制御するために用いてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、チェーン6に代えて、例えばベルト等の伝達部材によりハウジング20とクランク軸2とが連結されていてもよい。
【0173】
また、上述の実施形態では、クランク軸2を特許請求の範囲における「第1軸」とし、カム軸3を特許請求の範囲における「第2軸」とする例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、クランク軸2を特許請求の範囲における「第2軸」とし、カム軸3を特許請求の範囲における「第1軸」としてもよい。すなわち、ベーンロータ30がクランク軸2の端部に固定され、ハウジング20がカム軸3に連動して回転してもよい。
【0174】
本発明のバルブタイミング調整装置10は、エンジン1の排気弁5のバルブタイミングを調整することとしてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0175】
8 オイルポンプ(作動油供給源)、10 バルブタイミング調整装置(作動油供給対象)、11 作動油制御弁、40 アウタースリーブ、50 インナースリーブ、71、72、73、74 供給チェック弁、501 供給流路部、502 軸方向流路部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
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