(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した構成により画像の読取の精度を向上させることができるが、一方で、屈曲部に用紙が突入する際に、用紙の先端が読取対向部材や傷防止用のコロなどの搬送経路上の部材に突き当たるときの衝撃により、用紙の搬送速度が変動する場合がある。
これを防止するため、読取装置の上流側の搬送経路上にガイド部材を設けることが考えられる。即ち、ガイド部材によって用紙の先端を屈曲部と同等の高さまで持ち上げて屈曲部に案内し、読取対向部材上は傷防止用のコロによって用紙との間の摩擦が軽減された状態で用紙を搬送する。
【0006】
しかしながら、ガイド部材が用紙に接触し続けると、用紙及び用紙に形成された画像に傷をつけてしまうという新たな問題が生じる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、用紙の搬送速度を一定に保ちつつ、用紙及び用紙上に形成された画像への傷を抑制可能な読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の読取装置は、
用紙上に形成された画像を読み取る読取部と、
前記読取部に対向する位置に設けられた読取対向部材と、
前記読取部の用紙搬送方向の上流側において用紙を搬送する第1搬送経路と、
前記第1搬送経路と連続し、前記読取部と前記読取対向部材との間で用紙を搬送する第2搬送経路と、
前記第1搬送経路上で用紙を前記第2搬送経路に搬送する一対の搬送ローラーと、
前記第1搬送経路から前記第2搬送経路に搬送される用紙を前記読取対向部材側から案内するガイド部材と、
前記第2搬送経路上に配置され、用紙との接触により用紙搬送方向に従動回転可能なコロと、を備え、
前記第1搬送経路と前記第2搬送経路は、各々の用紙搬送方向が異なることで屈曲した搬送経路を形成し、
前記ガイド部材の用紙搬送方向の下流側端部は、
前記一対の搬送ローラーのニップ部と前記コロの中心点とを結んだ直線と、前記第2搬送経路の用紙搬送方向と平行な前記コロの用紙側の接線と、前記コロの外周と、で囲まれた第1領域に位置する
ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の読取装置は、
用紙上に形成された画像を読み取る読取部と、
前記読取部に対向する位置に設けられた読取対向部材と、
前記読取部の用紙搬送方向の上流側において用紙を搬送する第1搬送経路と、
前記第1搬送経路と連続し、前記読取部と前記読取対向部材との間で用紙を搬送する第2搬送経路と、
前記第1搬送経路上で前記第2搬送経路に用紙を搬送する一対の搬送ローラーと、
前記第1搬送経路から前記第2搬送経路に搬送される用紙を前記読取対向部材側から案内するガイド部材と、
前記第2搬送経路上に配置され、用紙との接触により用紙搬送方向に従動回転可能なコロと、を備え、
前記第1搬送経路と前記第2搬送経路は、各々の用紙搬送方向が異なることで屈曲した搬送経路を形成し、
前記ガイド部材の用紙搬送方向の下流側端部は、用紙との接触により用紙搬送方向に従動回転可能なガイドコロを備え、
前記ガイドコロの、前記読取部の読取面に対して垂直な方向における前記読取部側の頂点位置を含む外周面は、
前記搬送ローラーのニップ部と前記コロの中心点とを結んだ直線と、前記搬送ローラーのニップ部を通る前記コロの用紙側の接線と、前記コロの外周と、で囲まれた第2領域に位置する
ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の読取装置において、
用紙搬送方向に垂直な用紙幅方向に延在する回転軸を中心に前記読取対向部材及び前記コロを一体的に回転させる駆動部と、
前記読取対向部材の側面に設けられ、前記読取対向部材が前記回転軸を中心に回転することにより、前記読取部に対向可能な色補正面と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の読取装置において、
用紙搬送方向に垂直な用紙幅方向に延在する回転軸を中心に前記読取対向部材及び前記コロを一体的に回転させる駆動部と、
前記読取対向部材の側面に設けられ、前記読取対向部材が前記回転軸を中心に回転することにより、前記読取部に対向可能な色補正面と、を備え、
前記ガイド部材の用紙搬送方向の下流側端部は、
前記第1領域の内側であって、前記読取対向部材の最大回転半径の外側である、第3領域に位置することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の読取装置において、
用紙搬送方向に垂直な用紙幅方向に延在する回転軸を中心に前記読取対向部材及び前記コロを一体的に回転させる駆動部と、
前記読取対向部材の側面に設けられ、前記読取対向部材が前記回転軸を中心に回転することにより、前記読取部に対向可能な色補正面と、を備え、
前記ガイドコロは、
前記第2領域の内側であって、前記読取対向部材の最大回転半径の外側である、第4領域に位置することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の読取装置において、
用紙面において用紙搬送方向に垂直な方向に延在する回転軸を中心に前記読取対向部材を回転させる駆動部と、
前記読取対向部材の側面に設けられ、前記読取対向部材が前記回転軸を中心に回転することにより、前記読取部に対向可能な複数の読取対向面と、
前記読取対向部材の側面に設けられ、前記読取対向部材が前記回転軸を中心に回転することにより、前記読取部に対向可能な複数の色補正面と、
前記読取対向面の各々の表面上に配置され、用紙との接触により用紙搬送方向に従動回転可能であり、前記回転軸を中心に前記読取対向部材と一体的に回転するコロと、を備える
ことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の画像形成装置は、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
請求項1から6のいずれか一項に記載の読取装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、用紙の搬送速度を一定に保ちつつ、用紙及び用紙上に形成された画像への傷を抑制可能な読取装置及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下に、本発明を適用した第1実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明において、
図1における左右方向をX方向とし、上下方向をZ方向とし、X方向及びZ方向に直交する方向、即ち、前後方向をY方向とする。
【0018】
<画像形成装置の構成>
画像形成装置Gは、
図1に示すように、プリントコントローラーg1、給紙ユニットg2、本体ユニットg3及び後処理装置g4を備えている。
【0019】
プリントコントローラーg1は、ネットワーク上のコンピューター端末からPDL(Page Description Language)データを受信し、当該PDLデータをラスタライズ処理してビットマップ形式の画像データを生成する。
プリントコントローラーg1は、C(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の色ごとに画像データを生成し、本体ユニットg3に出力する。
【0020】
給紙ユニットg2は、大容量の給紙トレイを複数備えている。
給紙ユニットg2は、本体ユニットg3により指示された給紙トレイから本体ユニットg3へ用紙を搬送する。
【0021】
本体ユニットg3は、操作部3、表示部4、自動原稿搬送部61、スキャナー部6、画像形成部8、給紙トレイg31、読取装置9、矯正部10等を備えている。
本体ユニットg3は、スキャナー部6により原稿用紙Dを読み取って得られた画像データ又はプリントコントローラーg1により生成された画像データに基づき、画像形成部8により用紙上に画像を形成する。本体ユニットg3は、画像形成された用紙を後処理装置g4へ搬送する。
【0022】
後処理装置g4は、本体ユニットg3から搬送された用紙を後処理して排紙する。後処理としては、例えばステイプル処理、パンチ穴開け処理、折り処理、製本処理等が挙げられる。後処理は必須ではなく、後処理装置g4は、本体ユニットg3から指示された場合のみ実行する。後処理が無い場合、後処理装置g4は搬送された用紙をそのまま排紙する。
【0023】
本体ユニットg3は、
図2に示すように、制御部1、記憶部2、操作部3、表示部4、通信部5、自動原稿搬送部61、スキャナー部6、画像処理装置7、画像形成部8、読取装置9、矯正部10を備えて構成されている。
【0024】
制御部1は、CPU、RAM等を備えている。制御部1は、記憶部2に記憶されているプログラムを読み出し、当該プログラムに従って画像形成装置Gの各部を制御する。
例えば、制御部1は、ジョブの設定に従い、給紙ユニットg2又は給紙トレイg31により用紙を給紙させる。また、制御部1は、画像処理装置7により画像データを補正及び画像処理させて、画像形成部8により画像を形成させる。ジョブの設定に後処理の設定が含まれる場合、制御部1は後処理装置g4に指示して後処理させる。
【0025】
記憶部2は、制御部1が読み取り可能なプログラム、ファイル等を記憶している。記憶部2としては、例えばハードディスク、ROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を用いることができる。
【0026】
操作部3は、操作キーや表示部4と一体に構成されたタッチパネル等を備え、これらの操作に応じた操作信号を制御部1に出力する。ユーザーは、操作部3により、ジョブの設定、処理内容の変更等の指示を入力することができる。
表示部4は、LCD(Liquid Crystal Display)等であることができ、制御部1の指示に従って操作画面等を表示する。
通信部5は、制御部1からの指示に従い、ネットワーク上のコンピューター、例えばサーバー又は他の画像形成装置と通信する。
【0027】
自動原稿搬送部61は、原稿用紙Dを載置する載置トレイや原稿用紙Dを搬送する機構及び搬送ローラー等を備えて構成され、原稿用紙Dを所定の搬送経路に搬送する。
スキャナー部6は、光源や反射鏡等の光学系を備えて構成され、所定の搬送経路を搬送された原稿用紙D又はプラテンガラスに載置された原稿用紙Dの画像を読み取って、R(赤)、G(緑)及びB(青)の色ごとの画像データを生成し、画像処理装置7に出力する。
【0028】
画像処理装置7は、スキャナー部6又はプリントコントローラーg1から入力された画像データを補正し、画像処理を施して、画像形成部8に出力する。
画像処理装置7は、
図2に示すように、色変換部71、階調補正部72及び中間調処理部73を備えている。
【0029】
色変換部71は、スキャナー部6から出力されたR、G及びBの各色の画像データを色変換処理し、C、M、Y及びKの各色の画像データを出力する。
色変換部71は、色補正のため、プリントコントローラーg1から出力されたC、M、Y及びKの各色の画像データを色変換処理し、色補正されたC、M、Y及びKの各色の画像データを出力することもできる。
色変換部71は、色変換処理時、R、G及びBの各色の階調値に対して、色変換後のC、M、Y及びKの各色の階調値が定められたLUTを用いる。色変換部71は、色補正時、C、M、Y及びKの各色の階調値に対して、色補正後のC、M、Y及びKの階調値が定められたLUTを用いる。
【0030】
階調補正部72は、色変換部71又はプリントコントローラーg1から出力された画像データの階調を補正する。
階調補正部72は、階調の補正時、画像の階調特性が目標の階調特性に一致するように、各階調値に対応する補正値が定められたLUTを用いる。階調補正部72は、階調補正用のLUTから、画像データの各画素の階調値に対応する補正値を得て、補正値からなる画像データを出力する。
【0031】
中間調処理部73は、階調補正部72から出力された画像データを中間調処理する。中間調処理は、例えばディザマトリクスを用いたスクリーン処理、誤差拡散処理等である。
中間調処理部73は、中間調処理後の画像データを画像形成部8に出力する。
【0032】
画像形成部8は、画像処理装置7から出力された画像データに基づき、用紙上に画像を形成する。
画像形成部8は、
図1に示すように、C、M、Y及びKの色ごとに、露光部81、感光体82及び現像部83を、4セット備えている。また、画像形成部8は、中間転写ベルト84、2次転写ローラー85、定着装置86及び反転機構87を備えている。
【0033】
露光部81は、発光素子としてLD(Laser Diode)を備えている。露光部81は、画
像データに基づいてLDを駆動し、帯電する感光体82上にレーザー光を照射して露光する。現像部83は、帯電する現像ローラーにより感光体82上にトナーを供給し、露光により感光体82上に形成された静電潜像を現像する。
このようにして4つの感光体82上に各色のトナーで形成された画像は、各感光体82から中間転写ベルト84上に順次重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト84上にカラー画像が形成される。中間転写ベルト84は、複数のローラーに巻き回された無端ベルトであり、各ローラーの回転に従って回転する。
【0034】
2次転写ローラー85は、中間転写ベルト84上のカラー画像を、給紙ユニットg2又は給紙トレイg31から給紙された用紙上に転写する。定着装置86は、転写後の用紙を加熱及び加圧して定着処理する。
【0035】
画像形成部8は、用紙の両面に画像を形成する場合、反転機構87により用紙の表裏を反転させ、もう一方の片面に対して画像を形成する。反転機構87は、通過する用紙の表裏を反転させて2次転写ローラー85による転写位置へと再度用紙を搬送する搬送経路を有している。
【0036】
図3は、読取対向部材95の構成を示す模式図であり、
図3(a)は、読取装置9をY方向から見た場合の模式図、
図3(b)は、読取対向部材95及びガイド部材96の模式斜視図である。
【0037】
読取装置9は、
図1及び
図3(a)に示すように、読取装置9よりも搬送方向上流側に設けられた上流側搬送経路R1(第1搬送経路)から読取搬送経路R2(第2搬送経路)に搬送された用紙上に形成された画像の読み取りを行う。読取装置9により画像の読み取りが行われた用紙は、読取搬送経路R2から読取装置9よりも搬送方向下流側に設けられた下流側搬送経路R3を介して後処理装置g4へと搬送される。読取装置9で画像の読み取りが行われる際、搬送経路上に設けられた複数の搬送ローラー(上流側搬送ローラー88a、下流側搬送ローラー88b等)により、用紙が所定の速度で読取位置Lを通過するように用紙搬送が行われる。
読取装置9は、所定の読取位置Lで用紙上に形成された画像の読み取りを行う光学式センサーとしてのCCD(Charge Coupled Device)91と、読取位置Lの像をCCD91に導くための光学系92と、読取対向部材95に対向する読取面93と、読取位置Lを照らすLED(Light Emitting Diode)光源94と、読取対向部材95と、ガイド部材96と、等を備えている。
【0038】
CCD91は、用紙の幅方向(Y方向)における全幅の範囲を読み取り可能なカラーラインセンサーである。
光学系92は、複数のミラーと、複数のレンズと、を備えて構成され、ガラスからなる読取面93を介して取得された読取位置Lの像を、CCD91へと導く。
なお、CCD91、光学系92、読取面93及びLED光源94が、読取部としての機能を実現する。
【0039】
読取装置9の読取面93に対向する位置には、読取対向部材95が設けられている。
図3(a)に示すように、読取対向部材95は、本体部953と、本体部953の側面に配置された読取対向面951と、を有する。
読取対向面951は、その表面上に用紙搬送方向に所定の間隔を空けて、一対のコロ952が配置されている。コロ952は、
図3(b)に示すように、Y方向に延びる軸952aと、この軸952aに所定の間隔を空けて設けられたコロ本体952bを有し、用紙Pと接触しながら従動回転可能に設けられている。なお、コロ952のY方向の端部は、図示しない支持部材によって支持されている。
読取対向面951は読取面93と対向するように配置され、この上を用紙Pが通過する。読取対向面951及びコロ952によって、読取搬送経路R2が形成される。
【0040】
CCD91は、読取対向面951及び当該読取対向面951上の用紙Pのうち、
図3(b)に示されるY方向に延びる所定の長矩形状の読取位置Lに含まれる部分を読み取る。この読み取りと、用紙PのX方向への搬送とが交互に繰り返されることで、CCD91は、用紙Pの全面を含む範囲の読み取りを行う。読取装置9は、CCD91の各撮像素子列から出力されたアナログ信号を各々デジタル信号に変換し、R,G及びBの各色の画素データを含む撮像データを生成して制御部1に出力する。
【0041】
上流側搬送経路R1、読取搬送経路R2及び下流側搬送経路R3は連続して設けられ、それぞれ異なる搬送角度となっている。具体的には、上流側搬送経路R1は、水平方向に対して下方に傾斜して設けられ、読取搬送経路R2に搬送される用紙に対して下方への押圧力を加えることができるようになっている。読取搬送経路R2は、水平方向に沿って設けられている。下流側搬送経路R3は、水平方向に対して上方に傾斜して設けられ、読取搬送経路R2から搬送される用紙に対して上方への押圧力を加えることができるようになっている。
【0042】
ガイド部材96は、
図3(a)及び(b)に示すように、読取搬送経路R2の上流かつZ方向において読取対向部材95側に配置され、Y方向に延びる金属製の板状の部材である。ガイド部材96は、上流側搬送経路R1と読取搬送経路R2との間の屈曲部Kを通過する用紙の裏面を読取対向部材95側からガイドする。ガイド部材96の詳細な作用機構は後述する。
読取装置9は、上記の構成を備えることにより、読取位置Lを通過する用紙の全幅に亘って用紙上に形成された画像を順次読み取り可能となっている。
【0043】
<読取部における用紙搬送機構>
以下、図面を参照して、第1実施形態における用紙搬送機構について説明する。
【0044】
上記した通り、
図3に示すように、上流側搬送経路R1は、水平方向に対して下方に傾斜して設けられ、読取搬送経路R2に搬送される用紙に対して下方への押圧力を加えることができるようになっている。この上流側搬送経路R1と読取搬送経路R2の間の屈曲部Kを搬送されることで、用紙Pは読取搬送経路R2に押し付けられることとなり、読取搬送経路R2上の用紙の高さのバラつきが抑制される。即ち、このコロ952に接触した位置が、用紙の基準高さとなる。
この時、コロ952が用紙Pに接触しながら回転することにより、読取対向面951への押圧により用紙Pに発生する傷を防止する。
【0045】
ここでコロ952により、読取搬送経路R2上で発生する傷を抑制することはできるが、読取搬送経路R2に用紙Pの先端が突入する時の衝撃により、用紙搬送速度が変動する場合がある。このような用紙搬送速度の変動を抑制するため、本実施形態においては、
図3に示すように、読取搬送経路R2の上流側にガイド部材96を設ける。これにより、用紙の先端がコロ952などにぶつかることなく、滑らかに搬送される。
【0046】
しかしながら、ガイド部材96が用紙の裏面に接触し続けると、用紙自体を傷つけるとともに、用紙の裏面に画像が形成されている場合にはその画像に傷が生じてしまう。したがって、ガイド部材96の先端(下流側端部)が、用紙Pの先端のみに接触するような位置に配置する必要がある。
【0047】
図4に、本実施形態におけるガイド部材96の位置を示す。
図4(a)に示すように、ガイド部材96の先端961は、上流側搬送ローラー88aのニップ部Nとコロ952の中心点Oとを結んだ線(第1直線L1)と、読取搬送面953aと平行なコロ952の接線(第2直線L2)と、コロ952の外周L3と、で囲まれた第1領域A1に位置する。
【0048】
これについて、
図4(b)及び(c)を用いて説明する。
図4(b)に示すように、用紙Pの先端P1が読取搬送経路R2に突入する時、用紙Pの先端P1は水平方向に対して下方に傾斜して進むが、ガイド部材96の先端961によって上方に押し上げられる。これによって、上記した用紙の基準高さまで持ち上げられる。
一方で用紙Pが読取搬送経路R2上を進むと、用紙Pの剛性により、
図4(c)に示すように用紙の裏面がガイド部材96の先端961から離間する。
したがって、ガイド部材96の先端961を第1領域A1に位置させることで、用紙Pの先端P1のみがガイド部材96の先端961に接することとなり、用紙自体及び用紙の裏面に形成された画像を傷つけることなく、読取搬送経路R2上を搬送させることができる。
【0049】
これに対して、ガイド部材96の先端961が、第1領域A1から外れた位置に存在する場合について、
図5を用いて説明する。
図5(a)に、ガイド部材96の先端961が第1直線L1の下方に位置する場合を示す。この場合、用紙Pの先端P1が、ガイド部材96の先端961に接することなくコロ952に突き当たることとなり、ガイド部材96による効果を得ることができない。
また、
図5(b)に、ガイド部材96の先端961が第2直線L2の上方に位置する場合を示す。この場合、ガイド部材96の先端961が用紙Pの裏面に接触し続けることとなり、用紙の裏面に形成された画像に傷が生じるうえ、用紙Pがコロ952に接することなく搬送され、読取搬送経路R2における用紙の高さが均一でなくなるおそれがある。
このように、ガイド部材96の先端961が第1領域A1から外れた位置に存在すると、用紙搬送上の不都合が生じるため、先端961が第1領域A1の内部に位置するように配置する必要がある。
【0050】
以上説明したように、第1実施形態に係る読取装置9は、読取対向面951と、コロ952と、を備え、上流側搬送経路R1から読取搬送経路R2に搬送される用紙を読取対向部材95側から案内するガイド部材96を配置させる。これにより、用紙Pが読取搬送経路R2に突入する際に、ガイド部材96の先端961によって、用紙Pの先端P1を基準高さまで持ち上げ、読取搬送経路R2に滑らかに搬送させる。
この時、ガイド部材96の先端961は、上流側搬送ローラー88aのニップ部Nとコロ952の中心点Oとを結んだ線(第1直線L1)と、読取対向面951と平行なコロ952の接線(第2直線L2)と、コロ952の外周L3と、で囲まれた第1領域A1に位置する。したがって、ガイド部材96の先端961は、用紙Pの先端P1のみに接することとなるため、用紙Pの裏面に接触し続けることによる画像への傷の発生を抑制することができる。
【0051】
(変形例1)
続いて、第1実施形態に係る画像形成装置Gについての、変形例1を説明する。
図6に変形例1に係る読取装置9の概略構成を、
図7に変形例1に係る画像形成装置Gの機能的構成を表すブロック図を示す。
図6(a)に示すように、変形例1に係る読取対向部材95は、用紙Pの搬送方向(X方向)と直交する用紙幅方向(Y方向)に延びる回転軸954と、回転軸954を中心に回転する六角柱状の本体部953と、本体部953の側面に配置された読取対向面951及び色補正面955と、回転軸954を回転駆動する956と、を備える。
回転軸954は、モーター等から構成される駆動部956(
図7参照)によって回転駆動され、本体部953は回転軸954の回転に伴って回転する。
【0052】
読取対向面951は、読取対向面951A,951B,951Cと、を備え、色補正面955は白色補正板955W、黒色補正板955Bと、を備える。
【0053】
白色補正板955Wは白色を呈する面であって、上記したように、本体ユニットg3によりシェーディング補正を行う場合の標準反射板として用いられる面である。
黒色補正板955Bは黒色を呈する面であって、本体ユニットg3によりシェーディング補正を行う場合の標準黒色板として用いられる面である。即ち、黒色補正板955Bを読取位置Lと対向させて背景面とし、無照明時のセンサー出力を黒基準としてサンプリングを行う。
【0054】
また、読取対向面951A,951B,951Cは、それぞれ異なる色を呈する面である。通常の印刷時には、読取対向面951A,951B,951Cのいずれかを読取位置Lと対向させて背景面とする。読取対向面951Aは黒色面であり、原稿の斜行補正を行う場合にエッジの読み取りに用いられる。読取対向面951Bは白色面であり、用紙に形成された画像(例えば、トンボ等)の読取に用いられ、読取結果が画像の形成位置の補正に用いられる。読取対向面951Cは任意の色を呈する面であり、エッジ及び画像の読み取りを実施しない時に用いることで、読取対向面951A,951Bへの汚れの付着等を抑制することができる。
また、例えば、それぞれ本体ユニットg3の画像形成部8において画像形成に用いられる色成分(C,M,Y及びK)に係る色と同一の色を備えた面とすることも可能である。
【0055】
読取対向面951A,951B,951Cは、それぞれその表面上に一対のコロ952A,952B,952Cを備える。コロ952A,952B,952Cは、
図3(b)に示したコロ952と同様にY方向に延びる軸に所定の間隔を空けて設けられたコロを有し、用紙Pと接触しながら従動回転可能に設けられている。なお、コロ952A,952B,952CのそれぞれのY方向の端部は、図示しない支持部材によって支持されている。
【0056】
変形例1に係る読取対向部材95においては、制御部1による制御下で回転軸954が回転し、白色補正板955W、黒色補正板955B、読取対向面951A,951B,951Cの5つの側面うち所定の一つが読取面93と対向するように配置される。なお、コロ952A,952B,952CのそれぞれのY方向の端部に設けられた支持部材は、本体部953の回転に伴って回転する。
即ち、読取対向面951のうち、読取面93に対向する読取対向面951及びコロ952によって読取搬送経路R2が形成される。なお、ここでは読取対向面951Aが読取面93に対向するように配置される場合について説明する。
【0057】
この場合、回転に伴い、ガイド部材96の用紙搬送方向の最も下流側に位置する先端961の位置によっては、読取対向部材95と接触するおそれがある。接触によってこれらの部材の表面に傷が生じると、正常な用紙搬送や画像等の読み取りが妨げられてしまう。
したがって、変形例1においては、先端961は、本体部953の最大回転半径より離れた領域に配置させる必要がある。即ち、
図6(b)に示すように、先端961は、上流側搬送ローラー88aのニップ部Nとコロ952Aの中心Oとを結んだ線(第1直線L1)と、読取対向面951Aと平行なコロ952Aの接線(第2直線L2)と、最大回転半径L4と、で囲まれた第3領域A3に位置するように配置させる。
【0058】
以上説明したように、変形例1に係る読取装置9は、複数の読取対向面951と、複数の色補正面955を備えた読取対向部材95が、回転軸954を中心に回転することで、読取面93に対向する面を変更する。この時、ガイド部材96の先端961を、第1領域A1の内側かつ読取対向部材95の最大回転半径L4の外側である第3領域A3に配置させることで、読取対向部材95の回転に際して、ガイド部材96の先端961と読取対向部材95が接触するのを防止することができる。したがって、読取対向部材95が回転するように構成された画像形成装置Gにおいても、本発明の効果を得ることができる。
【0059】
[第2実施形態]
次に、本発明を適用した第2実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
<読取部における用紙搬送機構>
第2実施形態における用紙搬送機構は、第1実施形態と異なり、ガイド部材96の先端に、用紙搬送方向に回転可能なガイドコロ962を有する。
【0061】
図8は、ガイドコロ962の位置及び用紙の搬送状態を説明する図である。
図8(a)に、本実施形態におけるガイド部材96の構成を示す。
ガイドコロ962は、ガイド部材96の先端に、用紙搬送方向に沿って所定間隔毎に複数個設けられており、用紙搬送方向に回転可能である。ガイドコロ962は、例えばベアリング等から構成されるものとする。
このため、用紙がガイド部材96に沿って搬送される際に、画像がガイドコロ962に当接して搬送される際にガイドコロ962が回転するため、用紙が滑らかに搬送され、画像への傷をより効果的に防止できる。なお、
図8(a)ではガイドコロ962の数は4個であるが、その数に限定はない。
【0062】
図8(b)及び(c)に、本実施形態におけるガイドコロ962の位置を示す。
図8(b)及び(c)に示すように、ガイドコロ962のZ方向における読取面93の頂点位置962aを含む外周面は、上流側搬送ローラー88aのニップ部Nとコロ952Aの中心Oとを結んだ線(第1直線L1)と、コロ952Aの外周L3と、上流側搬送ローラー88aのニップ部を通るコロ952Aの接線(第5直線L5)と、で囲まれた第2領域A2に位置する。
【0063】
図8(b)に示すように、ガイドコロ962が第2領域A2内のコロ952A近傍に位置する時、用紙Pの先端P1が読取搬送経路R2に突入する時、用紙Pの先端P1は読取搬送経路R2に対して下方に傾斜して進むが、ガイドコロ962によって上方に押し上げられる。これによって、上記した用紙の基準高さまで持ち上げられる。
一方で用紙Pが読取搬送経路R2上を進むと、用紙Pの剛性により、用紙の裏面がガイドコロ962から離間する。
【0064】
これに対し、
図8(c)に示すように、ガイドコロ962が第2領域A2内の上流側搬送ローラー88aの近傍に位置する時、ガイドコロ962と用紙Pの接触時間が長くなるが、ガイドコロ962と用紙Pの裏面との間に生じる摩擦は、第1実施形態におけるガイド部材96の先端961と用紙Pの裏面との間に生じる摩擦よりも小さいため、あまり大きな影響を与えない。
したがって、ガイドコロ962は、
図8(b)に示すようにコロ952A近傍に位置するのが好ましいが、用紙の剛度によっては上流側搬送ローラー88aを通過した後、下方へ大きく撓む場合があるため、このような場合には、
図8(c)に示すように上流側搬送ローラー88aの近傍に位置させるとよい。
【0065】
これに対して、頂点位置962aが、第2領域A2から外れた位置に存在する場合について、説明する。
頂点位置962aが第1直線L1の下方に位置する場合、第1実施形態と同様に、用紙Pの先端P1が、ガイドコロ962に接することなくコロ952Aに突き当たることとなり、ガイド部材96による効果を得ることができない。
また、頂点位置962aが第5直線L5の上方に位置する場合、第1実施形態と同様に、用紙Pがコロ952Aに接することなく搬送され、読取搬送経路R2における用紙の高さが均一でなくなるおそれがある。
このように、頂点位置962aが第2領域A2から外れた位置に存在すると、不都合が生じるため、ガイドコロ962と用紙との接点が第2領域A2の内部に位置するように配置する必要がある。
【0066】
以上説明したように、第2実施形態に係る読取装置9は、ガイド部材96の先端にガイドコロ962が設けられている。したがって、第1実施形態に係る画像形成装置Gに比べて、用紙Pとの接触面における摩擦を抑制することができるため、より効果的に用紙及び用紙上に形成された画像への傷の発生を抑制することができる。
【0067】
また、第2実施形態に係る読取装置9においては、頂点位置962aを含む外周面は、上流側搬送ローラー88aのニップ部Nとコロ952Aの中心Oとを結んだ線(第1直線L1)と、コロ952Aの外周L3と、上流側搬送ローラー88aのニップ部を通るコロ952Aの接線(第5直線L5)と、で囲まれた第2領域A2に位置する。したがって、第1実施形態に係る画像形成装置Gに比べて、ガイド部材96を配置可能な領域が大きく、用紙の種類等に応じて適した位置に配置させることが可能となり、本発明の効果を増大させることができる。なお、これを実現するために、ガイド部材96は、ジョブ間でユーザーの操作により、その配置を適宜変更可能に設けるものとしてもよい。
【0068】
(変形例2)
続いて、第2実施形態に係る画像形成装置Gについての、変形例2を説明する。
図9に変形例2に係る読取装置9の概略構成を示す。
図9(a)に示すように、変形例2に係る読取対向部材95は、変形例1に係る画像形成装置Gと同様に、用紙Pの搬送方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)に延びる回転軸954と、回転軸954を中心に回転する六角柱状の本体部953と、本体部953の側面に配置された読取対向面951及び色補正面955と、回転軸954を回転駆動する956と、を備える。
【0069】
この場合、回転に伴い、ガイド部材96の用紙搬送方向の最も下流側に位置するガイドコロ962の位置によっては、読取対向部材95と接触するおそれがある。
したがって、変形例2においては、ガイドコロ962は、本体部953の最大回転半径より離れた領域に配置させる必要がある。即ち、
図9(b)に示すように、ガイドコロ962は、上流側搬送ローラー88aのニップ部Nとコロ952Aの中心Oとを結んだ線(第1直線L1)と、読取対向面951Aと平行なコロ952Aの接線(第2直線L2)と、最大回転半径L6と、で囲まれた第4領域A4に位置する。
【0070】
以上説明したように、変形例2に係る読取装置9は、複数の読取対向面951と、複数の色補正面955を備えた読取対向部材95が、回転軸954を中心に回転することで、読取装置93に対向する面を変更する。この時、ガイドコロ962を、第2領域A2の内側かつ読取対向部材95の最大回転半径L6の外側である第4領域A4に配置させることで、読取対向部材95の回転に際して、ガイドコロ962と読取対向部材95が接触するのを防止することができる。したがって、読取対向部材95が回転するように構成された画像形成装置Gにおいても、本発明の効果を得ることができる。
【0071】
[他の実施形態]
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、上記の実施形態は本発明の好適な例であり、これに限定されない。
【0072】
例えば、上記実施形態においては、読取対向部材95は、複数の側面を有する六角柱状の部材としたが、これに限定されない。
図10に、読取対向部材95の変形例を示す。
図10(a)は、本体部953のX−Z平面の断面が半円となっており、その側面に一対のコロ952Dと白色補正板955W1を有する。なお、一対のコロ952Dの間の領域が、読取対向面951Dとして機能する。
図10(a)の読取対向部材95は、回転軸954を中心に回転可能であり、上記したようにシェーディング補正及び画像等の読取を実行可能である。
図10(b)は、本体部953のX−Z平面の断面が円形となっており、その側面に1つのコロ952Eと、回転軸954に対してコロ952Eの反対側の側面に白色補正板955W2を有する。
図10(b)の読取対向部材95も同様に、回転軸954を中心に回転可能であり、上記したようにシェーディング補正及び画像等の読取を実行可能である。
上記のような構成とすることで、上記実施形態のように読取対向部材95が角柱からなるものに比べて、低コスト化かつ省スペース化を図ることができる。
【0073】
また、変形例1及び変形例2においては、読取対向部材95の側面のうち、読取対向面951及び色補正面955に該当しない面にブラシを設けてもよい。この場合、ブラシはY方向に延びる一本のブラシであり、用紙の非通紙時に、回転軸954の回転によって、ブラシを読取面93に接触させながら移動させる。これにより、読取面93に付着した埃等を除去することができる。
また、
図10(a)においても、回転軸954に対して本体部953の反対側にブラシを設けることで、同様の効果を得られる。
【0074】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の主旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。