(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は振動試験装置の第1実施形態を示す概要図である。
図2は、第1実施形態の振動試験装置における第2の制御装置の制御系を示す概要図である。
【0022】
本実施形態の振動試験装置は、
図1に符号1で示すもので、一軸方向(
図1では左右方向)に往復移動可能な振動体2と、振動体2を加振する第1のアクチュエータ3と、第1のアクチュエータ3を制御する第1の制御装置4と、振動体2の往復移動方向に沿う方向に往復移動可能なテーブル5と、振動体2とテーブル5との間に設けられた第1のばね要素6と、テーブル5と外部の反力受け8との間に設けられた第2のばね要素7と、テーブル5に制御力を作用させる第2のアクチュエータ9と、第2のアクチュエータ9を制御する第2の制御装置10と、第1の制御装置4および第2の制御装置10に対して加振振動数fの情報を送る加振振動数設定部11と、を備えた構成とされている。
【0023】
以下においては、説明の便宜上、振動体2およびテーブル5が往復移動可能な一軸方向は、X軸方向という。
【0024】
振動体2は、たとえば、ベース12の上に、X軸方向に往復移動可能に設けられている。なお、
図1では、図示する便宜上、振動体2の構成を簡略化して示しているが、たとえば、ベース12上には、X軸方向に沿うガイドレール、ガイド溝、ガイドロッドなどを備えたガイド装置を設け、振動体2は、このガイド装置によりX軸方向にのみ移動が案内される構成とすればよい。
【0025】
あるいは、振動体2のX軸方向の往復移動は、X軸方向と直交する方向に回転軸を有する車輪やローラで振動体2を支持する構造によって実現するようにしてもよい。更に、第1のアクチュエータ3が、振動体2のX軸方向以外の方向への動きを制限する構造を備えている場合は、その第1のアクチュエータ3の構造によって振動体2のX軸方向に沿う往復移動を担保させるようにしてもよい。
【0026】
第1のアクチュエータ3は、振動体2に、X軸方向に沿う力を作用させて振動体2を加振する機能を備えている。
【0027】
前記の加振機能を備えていれば、第1のアクチュエータ3は、たとえば、流体圧シリンダ、リニアモータ、ボールねじ機構、ラックアンドピニオン方式など、任意の駆動方式のアクチュエータを採用してよい。
【0028】
第1のアクチュエータ3は、
図1に示すように、振動体2の側方に配置する場合は、ベース12に固定された反力受け13と、振動体2との間に介装して設けるようにすればよい。なお、図示しないが、第1のアクチュエータ3は、その駆動方式や構造に応じて、ベース12と振動体2との間に介装して設けてもよいことは勿論であり、この場合は、ベース12自体を反力受けとすればよい。
【0029】
加振振動数設定部11は、振動試験の試験対象Sについて加振を望む加振振動数fの設定が行われるものであり、加振振動数fの設定が行われると、設定された加振振動数fの情報を、第1の制御装置4と第2の制御装置10へ送る機能を備えている。
【0030】
第1の制御装置4は、加振振動数設定部11から加振振動数fの情報を受け取ると、その加振振動数fで振動体2を加振するために必要とされる振動体2の変位に関する指令変位信号bを、第1のアクチュエータ3へ送る機能を備えている。
【0031】
更に、第1の制御装置4は、振動体2の加振振動数fでの加振をフィードバック制御する機能を備えている。
【0032】
そのため、振動体2には、振動体2のX軸方向の変位を計測し、計測結果を第1の制御装置4へ送る機能を備えた第1の計測装置14が付設されている。
【0033】
第1の制御装置4は、第1の計測装置14から振動体2の実変位(変位の実測値)cの信号を受け取ると、受け取った実変位cの信号を基に、振動体2の動きが目標値とした加振振動数fでの加振に一致するように、フィードバック制御を行う機能を備えている。なお、第1の制御装置4による振動体2のフィードバック制御の制御手法は、物体の位置制御に従来使用されているか、あるいは、従来提案されているフィードバック制御の制御手法を採用すればよい。
【0034】
これにより、第1の制御装置4からの指令変位信号bに基づいて第1のアクチュエータ3が動作することにより、振動体2は、加振振動数fで加振される。
【0035】
なお、第1の計測装置14は、振動体2のX軸方向の実変位cを、演算で求める機能を備えていれば、実際の計測対象は、振動体2のX軸方向の速度や、加速度であってもよい。また、
図1では、第1の計測装置14が振動体2の上部に設置された構成を例示しているが、第1の計測装置14は、実際の計測対象となる変位や速度や加速度を計測することができれば、振動体2のいかなる個所に設けられていてもよいし、振動体2の外部に設けられていてもよい。
【0036】
なお、第1の計測装置14は、振動体2の実変位cを第1の制御装置へ送るものとして示したが、振動体2のX軸方向の速度や加速度を計測し、その速度や加速度の計測結果をそのまま出力するものとしてもよい。この場合は、第1の制御装置4と、第2の制御装置10が、第1の計測装置14から受け取る速度や加速度の計測結果を基に、振動体2の実変位cを計算で求める機能を備えるようにすればよい。
【0037】
テーブル5は、上端側に、試験対象Sの設置面として、たとえば、平らな面を備えた構成とされている。
【0038】
テーブル5は、たとえば、ベース15の上に、X軸方向に往復移動可能に設けられている。なお、
図1では、図示する便宜上、テーブル5の構成を簡略化して示しているが、たとえば、ベース15上には、X軸方向に沿うガイドレール、ガイド溝、ガイドロッドなどを備えたガイド装置(図示せず)を設け、テーブル5は、このガイド装置によりX軸方向にのみ移動が案内される構成とすればよい。
【0039】
あるいは、テーブル5のX軸方向の往復移動は、X軸方向と直交する方向に回転軸を有する車輪やローラでテーブル5を支持する構造によって実現するようにしてもよい。更に、第2のアクチュエータ9が、テーブル5のX軸方向以外の方向への動きを制限する構造を備えている場合は、その第2のアクチュエータ9の構造によってテーブル5のX軸方向に沿う往復移動を担保させるようにしてもよい。
【0040】
第1のばね要素6は、X軸方向に弾性力を生じる姿勢に配置されている。第1のばね要素6のX軸方向の一端側は、振動体2にブラケット2aを介して取り付けられている。第1のばね要素6のX軸方向の他端側は、テーブル5に取り付けられている。
【0041】
第2のばね要素7は、X軸方向に弾性力を生じる姿勢に配置されている。第2のばね要素7のX軸方向の一端側は、テーブル5に取り付けられている。第2のばね要素7のX軸方向の他端側は、ベース15に設置された反力受け8にそれぞれ取り付けられている。
【0042】
なお、テーブル5を支持するベース15は、ベース12と一体に連結されていてもよいし、ベース12とは別体のものであってもよい。また、反力受け8は、振動体2およびテーブル5の外部に固定された状態で設けられていればよく、テーブル5を支持するベース15に設置された構成のみに限定されるものではない。
【0043】
第1のばね要素6および第2のばね要素7は、本実施形態の振動試験装置1の構造をできるだけ単純化し、製造を容易にするという観点から考えると、コイルばねを用いることが好適である。しかし、第1のばね要素6は、振動体2とテーブル5とのX軸方向の相対距離の変化に伴って弾性力を発揮でき、第2のばね要素7は、テーブル5と反力受け8とのX軸方向の相対距離の変化に伴って弾性力を発揮できるものであれば、各ばね要素6,7は、コイルばね以外のばねを採用してもよく、更には、ばね以外の弾性体を採用してもよい。
【0044】
また、振動体2とテーブル5との間に取り付けられた状態での第1のばね要素6の長さと伸縮状態、および、テーブル5と反力受け8との間に取り付けられた状態での第2のばね要素7の長さと伸縮状態は、次の点を考慮して設定されている。この考慮される点は、加振される振動体2にテーブル5が共振し、テーブル5が試験対象Sの振動試験に望まれる振動振幅で往復移動するときにも、各ばね要素6,7のX軸方向の変形量が常に弾性変形の範囲内に収まる、という点である。
【0045】
各ばね要素6,7の剛性は、試験対象Sを設置した状態のテーブル5の固有振動数が、加振振動数fに対して±10%の範囲に収まるように、より好ましくは±5%程度の範囲に収まるように、大まかに調整しておく。
【0046】
第2のアクチュエータ9は、テーブル5に、X軸方向に沿う力を、制御力として作用させる機能を備えている。
【0047】
本実施形態では、第2のアクチュエータ9は、たとえば、ベース15にX軸方向に沿う配置で設けられた固定子17と、固定子17に沿う方向に駆動される可動子18とを備えた構成のリニアモータ16とされている。可動子18は、テーブル5に取り付けられている。
【0048】
第2のアクチュエータ9は、リニアモータ16を採用することが好ましい。これは、リニアモータ16が、一般的な他の直動機構に比して機械的な接触部分を大幅に低減させることができるため、加振された振動体2に対してテーブル5が共振するときに、第2のアクチュエータ9の有する機械的な接触部分で生じる抵抗の影響を抑制できるためである。
【0049】
しかし、第2のアクチュエータ9は、流体圧シリンダや、ボールねじ機構や、ラックアンドピニオン方式の直動機構など、リニアモータ16以外のアクチュエータを採用してもよいことは勿論である。なお、図示しないが、第2のアクチュエータ9として、たとえば、流体圧シリンダを用いる場合は、流体圧シリンダは、テーブル5と反力受け8との間に、第2のばね要素7と並列に設けるようにすればよい。
【0050】
本実施形態の振動試験装置1では、後述するように、テーブル5の加振力は、基本的に、第1のアクチュエータ3による加振される振動体2に対する共振によって得られる。そのため、第2のアクチュエータ9は、振動体2と共振しているテーブル5に対し、振動数の調整と、振動振幅の調整のための制御力を付与するのみでよい。
【0051】
そのため、第2のアクチュエータ9であるリニアモータ16は、出力が、第1のアクチュエータ3の出力に比して小さいものでよい。
【0052】
テーブル5には、テーブル5のX軸方向の変位を計測し、テーブル5の実変位dの情報を第2の制御装置10へ送る機能を備えた第2の計測装置として、たとえば、リニアエンコーダ19が付設されている。
【0053】
なお、第2の計測装置は、テーブル5のX軸方向の実変位dを、計算で求める機能を備えていれば、実際の計測対象は、テーブル5のX軸方向の速度や、加速度であってもよい。また、
図1では、リニアエンコーダ19が、テーブル5の外部に設けられた構成を例示しているが、第2の計測装置は、実際の計測対象となるテーブル5の変位や速度や加速度を計測することができれば、テーブル5の外部に設ける構成のほか、テーブル5に取り付けられた構成であってもよい。
【0054】
第2の制御装置10は、加振振動数設定部11から受け取る加振振動数fの情報と、振動体2の変位に関する信号として第1の計測装置14から受け取る振動体2の実変位cの信号と、リニアエンコーダ19から受け取るテーブル5の実変位dの信号とを基に、リニアモータ16へ駆動指令(制御入力)eを与える機能を備えるものである。
【0055】
第2の制御装置10における制御系は、
図2に示すように、目標変位算出部20と駆動指令算出部21とを備えた構成とされている。
【0056】
ここで、テーブル5を振動体2により共振させるための理想的な状態は、テーブル5の振動数が、振動体2の加振振動数fに一致し、且つテーブル5の振動の位相が、振動体2の振動の位相に対して90度遅れとなる状態である。
【0057】
更に、テーブル5を、試験対象Sの振動試験に必要とされる振動振幅で加振するためには、テーブル5の振動振幅の振動体2の振動振幅に対する増幅倍率を、所望の設定値に一致させる必要がある。
【0058】
これらの点に鑑みて、目標変位算出部20は、加振振動数fの情報と、振動体2の実変位cの信号を受け取ると、振動体2の実変位cの信号に対し、伝達関数A・G
a(s)による処理を行う機能を備えている。
【0059】
前記伝達関数A・G
a(s)において、Aは、増幅倍率を調整するための定数項である。したがって、Aは、1以上の値として、前記増幅倍率の所望の設定値に設定される。なお、前記増幅倍率は、一般的には、数十倍から百倍程度の範囲で設定されるが、この範囲のみに限定されるものではない。
【0060】
伝達関数G
a(s)は、信号の位相遅れを調整する機能を備えており、たとえば、振動体2の実変位dの信号を、オールパスフィルタを通す処理により実行される。
【0061】
この場合、伝達関数G
a(s)は、次の(1)式で定義される。
【0063】
加振振動数fにおいて位相遅れを90度にする場合は、a=2π・fとすればよい。
【0064】
なお、オールパスフィルタの伝達関数G
a(s)は、2次以上のパデ近似で表した無駄時間要素を考えることで、振動体2の実変位cの信号に対し位相遅れを90度にする処理を行うようにしてもよい。
【0065】
更に、第1の制御装置4と第2の制御装置10との間で、制御周期の同期が取られている場合、目標変位算出部20は、振動体2の実変位cの信号に対し位相遅れを90度にする処理を、振動体2の実変位cの信号の振幅に三角関数の算定値を掛けることで実施するようにしてもよい。たとえば、振動体2の実変位cの信号の波形がsin(ωt)(ここで、ω:角振動数、t:時刻)で表せる場合、この信号の振動振幅をA倍に増幅して位相を90度遅らせた信号は、−Acos(ωt)で計算することができる。
【0066】
これにより、目標変位算出部20では、加振振動数fに一致した振動数で、振動体2の振動に対し位相遅れが90度となり、且つ振動体2の振動振幅に対して前記Aで設定された増幅倍率の振動振幅でテーブル5を振動させるための目標変位gを得ることができる。
【0067】
目標変位算出部20で求められた目標変位gの信号は、駆動指令算出部21に送られる。
【0068】
駆動指令算出部21は、目標変位算出部20より目標変位gの信号を受け取ると、この目標変位gにテーブル5の実変位dが一致するように、リニアモータ16をフィードバック制御するための駆動指令eを算出する機能を備えている。
【0069】
本実施形態では、駆動指令算出部21は、目標変位gの信号とテーブル5の実変位dの信号との間の偏差hを求め、求めた偏差hの信号を積分器22に通して第1の制御ゲインF
1を掛けた信号iを求める。それと並行して、駆動指令算出部21は、テーブル5の実変位dの信号と、実変位dの信号を微分器23に通して得たテーブル5の実速度jの信号とをフィードバックし、第2の制御ゲインF
2を掛けた信号kを求める。次いで、駆動指令算出部21は、信号iと信号kとを足し合わせることにより、駆動指令eの信号を生成するようにしてある。
【0070】
第2の制御装置10は、前記のようにして駆動指令算出部21で駆動指令eの信号が生成されると、その駆動指令eの信号をリニアモータ16へ与えるようにしてある。
【0071】
なお、駆動指令算出部21では、目標変位算出部20より受け取る目標変位gにテーブル5の実変位dが一致するように、リニアモータ16を制御するための駆動指令eを算出することができれば、制御手法は、前記したもののみに限定されるものではなく、物体の位置制御に従来使用されているフィードバック制御手法や、フィードバック制御にフィードフォワード制御を併用する制御手法などを採用してもよい。
【0072】
以上の構成としてある本実施形態の振動試験装置1を使用して振動試験方法を実施する場合は、試験対象Sをテーブル5の上に設置し、この状態で、第1の制御装置4より第1のアクチュエータ3へ指令変位信号bを与えて、振動体2を、所定の加振振動数fで加振する。
【0073】
このように振動体2の加振が行われると、第1のばね要素6を介してテーブル5に加振力が作用するため、テーブル5は加振される。この際、テーブル5の振動中に発生する水平反力は、第1のばね要素6および第2のばね要素7により振動体2および反力受け8に分散される。
【0074】
本実施形態の振動試験装置1では、このように振動体2の加振に伴うテーブルの加振が行われた状態で、第2の制御装置10よりリニアモータ16へ駆動指令eが与えられて、リニアモータ16の駆動指令eに応じた駆動が行われる。
【0075】
これにより、テーブル5には、リニアモータ16から、テーブル5の振動数が加振振動数fに一致し、且つテーブル5の振動の位相が、振動体2の振動の位相に対して90度遅れとなり、更に、テーブル5の振動振幅が、振動体2の振動振幅に対し前記定数Aで設定された振動倍率となるように制御する制御力が付与される。
【0076】
したがって、テーブル5は、第1のアクチュエータ3により加振される振動体2との共振により、効率よく加振される。更に、テーブル5は、加振振動数fに一致した振動数で、且つ試験対象Sの振動試験に必要とされる振動振幅で加振される。
【0077】
このように、本実施形態の振動試験装置および振動試験方法によれば、第1のアクチュエータ3で加振される振動体2との共振によりテーブル5を加振するときに、テーブル5の振動数の調整と振動振幅の調整を自動的に行うことができる。更に、第2のアクチュエータ9としてのリニアモータ16からテーブル5に付与する制御力は、連続的に変化させることができるため、テーブル5の振動数と振動振幅について微調整を行うことができて、両者の調整の精度の向上化を図ることができる。
【0078】
更に、本実施形態の振動試験装置および振動試験方法では、テーブル5の振動数を調整するときに、テーブル5の質量を重りの数の増減により調整する作業は不要であり、また、第1のばね要素6と第2のばね要素7の剛性の調整は、試験対象Sを設置した状態のテーブル5の固有振動数が、加振振動数fに対して±10%の範囲に収まるようにする程度の簡単な調整でよい。このため、テーブル5の固有振動数の調整に必要とされる調整作業は、容易なものとすることができて、調整作業に要する手間と時間の低減化を図ることができる。
【0079】
ところで、従来用いられている振動台は、一般的に、テーブルと、該テーブルの加振を行うアクチュエータとを備えた構成とされている。
【0080】
この点に鑑みて、既存の振動台におけるテーブルとアクチュエータを、本実施形態の振動試験装置1における振動体2と、第1のアクチュエータ3として使用してもよい。このようにすれば、既存の振動台の構成を有効に利用して、本実施形態の振動試験装置1の製造をより容易に行う効果が期待できる。
【0081】
[第2実施形態]
前記第1実施形態の振動試験装置1では、第2の制御装置10は、振動体2の変位に関する信号として、第1の計測装置14より振動体2の実変位cの信号を受け取る場合について説明した。
【0082】
これに対し、第1の制御装置4から第1のアクチュエータ3へ指令変位信号bを与える処理に対して、第1の計測装置14により振動体2の実変位cが計測される処理に遅れがない場合、あるいは、遅れが実際の処理上、無視できる程度に小さい場合は、以下の第2実施形態のような構成としてもよい。
【0083】
図3は振動試験装置の第2実施形態を示す概要図である。
【0084】
なお、
図3において、第1実施形態と同一のものには同一符号を付して、その説明を省略する。
【0085】
本実施形態の振動試験装置は、
図3に符号1Aで示すもので、第1実施形態の振動試験装置1と同様の構成において、第2の制御装置10が第1の計測装置14から振動体2の実変位cの信号を受け取る構成に代えて、第2の制御装置10が、第1の制御装置4から、指令変位信号bを受け取る構成としたものである。
【0086】
この場合、指令変位信号bは、振動体2の変位に関する信号であるため、前記したように、第1の制御装置4から第1のアクチュエータ3へ指令変位信号bを与える処理から、第1の計測装置14による振動体2の実変位cの計測までの遅れが実質的になければ、指令変位信号bの値は、振動体2の実変位cと同様の値となる。
【0087】
よって、本実施形態では、第2の制御装置10は、
図2に示した構成において、目標変位算出部20が、振動体2の実変位cに代えて、振動体2の変位に関する信号として、第1の制御装置4からの指令変位信号bを受け取る構成とすればよく、その他の部分は変更しなくてよい。
【0088】
以上の構成としてある本実施形態の振動試験装置1Aは、第1実施形態の振動試験装置1と同様に使用して同様の効果を得ることができる。
【0089】
[第3実施形態]
図4は振動試験装置の第3実施形態を示す概要図である。
【0090】
なお、
図4において、第1実施形態と同一のものには同一符号を付して、その説明を省略する。
【0091】
本実施形態の振動試験装置は、
図4に符号1Bで示すもので、第1実施形態の振動試験装置1と同様の構成において、テーブル5を振動体2の外部のベース15上に支持させる構成に代えて、振動体2の上側にテーブル5を設ける構成としたものである。
【0092】
本実施形態では、振動体2は、上端側に、テーブル5の載置面となる平らな面を備えた構成とされている。
【0093】
テーブル5は、振動体2の上に、X軸方向に往復移動可能に設けられている。この振動体2のX軸方向の往復移動は、第1実施形態と同様の構成で担保すればよい。
【0094】
第1のばね要素6は、振動体2の上側に設置されたブラケット2aと、テーブル5との間に取り付けられている。
【0095】
第2のばね要素7は、テーブル5と、振動体2の外部に設けた反力受け8との間に取り付けられている。
【0096】
第2のアクチュエータ9は、テーブル5に制御力を作用させるときに生じる反力を、振動体2の外部に固定された部材に受けさせる構成としてある。
【0097】
たとえば、第2のアクチュエータ9をリニアモータ16とする場合は、
図4に示すように、振動体2の外部のベース15上に固定子17を設置し、可動子18は、連結部材24を介してテーブル5に取り付けた構成とすればよい。
【0098】
また、テーブル5のX軸方向の変位を計測する第2の計測装置は、
図4に示すリニアエンコーダ19のように、振動体2の外部の固定された点を基準として、テーブル5のX軸方向の変位を計測するものであることが好ましい。
【0099】
これは、テーブル5のX軸方向の実変位dを容易に求めることができるようにするためである。すなわち、たとえば、テーブル5のX軸方向の変位の計測を第2の計測装置で行うときに、テーブル5を支持している振動体2に基準を取ることも可能である。この場合は、基準となる位置が振動体2と共にX軸方向に変位するため、テーブル5のX軸方向の実変位dを求めるには、第2の計測装置によるテーブルのX軸方向の変位の計測結果と、第1の計測装置14による振動体2の変位の計測結果とを基にした計算を行う必要が生じる。これに対し、本実施形態では、第2の計測装置としてのリニアエンコーダ19の計測の基準を振動体2の外部に取る構成としてあるので、第1の計測装置14の計測結果に依存せずに、リニアエンコーダ19の計測結果に基づいてテーブル5の実変位dを求めることができる。
【0100】
以上の構成としてある本実施形態の振動試験装置1Bは、第1実施形態の振動試験装置1と同様に使用して同様の効果を得ることができる。
【0101】
なお、
図4では、本実施形態の振動試験装置1Bは、第2の制御装置10が、第1の計測装置14より振動体2の実変位cの信号を受け取る構成を示したが、第2実施形態の振動試験装置1Aと同様に、第2の制御装置10が、第1の制御装置4から、指令変位信号bを受け取る構成としてもよいことは勿論である。
【0102】
[第4実施形態]
前記第3実施形態の振動試験装置1Bでは、振動体2の上側にテーブル5を設けた構成について、テーブル5に制御力を付与する第2のアクチュエータ9としてのリニアモータ16と、テーブル5のX軸方向の変位を計測する第2の計測装置としてのリニアエンコーダ19とが、共に振動体2の外部に備えられた構成を示した。
【0103】
これに対し、以下の第4実施形態のように、第2のアクチュエータ9と第2の計測装置は、振動体2の上側に備えられる構成としてもよい。
【0104】
図5は振動試験装置の第4実施形態を示す概要図である。
【0105】
なお、
図5において、第3実施形態と同一のものには同一符号を付して、その説明を省略する。
【0106】
本実施形態の振動試験装置は、
図5に符号1Cで示すもので、第3実施形態の振動試験装置1Bと同様の構成において、第2のアクチュエータ9としてのリニアモータ16と、第2の計測装置としてのリニアエンコーダ19とを、ベース15上に代えて、振動体2の上側に備える構成としたものである。
【0107】
本実施形態では、リニアモータ16は、固定子17が振動体2の上側に設置され、可動子18がテーブル5に取り付けられた構成とされている。
【0108】
また、リニアエンコーダ19は、振動体2の上側に設けられている。
【0109】
本実施形態では、リニアエンコーダ19が振動体2の上側に設けられているため、リニアエンコーダ19で計測されるテーブル5のX軸方向の変位は、テーブル5の振動体2に対するX軸方向の相対変位になる。
【0110】
この点に鑑みて、本実施形態の第2の制御装置10は、第3実施形態における第2の制御装置10と同様の機能に加えて、リニアエンコーダ19からテーブル5の変位の計測結果dxの信号を受け取ると、その計測結果dxに第1の計測装置14から受け取る振動体2の実変位cを加算する処理を行って、テーブル5の実変位dの信号を求める機能を備えるものとしてある。第2の制御装置10が求めた実変位dの信号を基に行う処理は、
図2に示したものと同様である。
【0111】
以上の構成としてある本実施形態の振動試験装置1Cは、第3実施形態の振動試験装置1Bと同様に使用して同様の効果を得ることができる。
【0112】
なお、
図5では、本実施形態の振動試験装置1Cは、第2の制御装置10が、第1の計測装置14より振動体2の実変位cの信号を受け取る構成を示したが、第2実施形態の振動試験装置1Aと同様に、第2の制御装置10が、第1の制御装置4から、指令変位信号bを受け取る構成としてもよいことは勿論である。
【0113】
また、本発明は前記各実施形態にのみ限定されるものではなく、各図に示した振動体2、第1のアクチュエータ3、テーブル5、第1のばね要素6、第2のばね要素7、第2のアクチュエータ9としてのリニアモータ16の形状やサイズや構成要素同士の寸法比は、図示するための便宜上のもので、実際の形状やサイズや構成要素同士の寸法比を反映したものではない。
【0114】
第1の制御装置4および第2の制御装置10は、別体のものとして示したが、複数の制御対象を制御する機能を備えた1つの制御装置に、第1のアクチュエータ3の制御機能と、第2のアクチュエータ9としてのリニアモータ16の制御機能として実装するようにしてもよい。
【0115】
加振振動数設定部11は、第1の制御装置4および第2の制御装置10と別体のものとして示したが、第1の制御装置4と第2の制御装置10に同一の加振振動数fの情報を与える機能を備えていれば、第1の制御装置4や第2の制御装置10に一体に備えられていてもよい。また、第1の制御装置4と第2の制御装置10は、共通の加振振動数設定部11から加振振動数fの情報を受け取るものとして示したが、個別の加振振動数設定部11を備える構成としてもよいことは勿論である。
【0116】
第1実施形態および第2実施形態では、振動体2は、X軸方向に往復移動が可能で、且つ第1のアクチュエータ3と第1のばね要素6とを接続することができる構成を備えていれば、上端側に平らな面を備える必要はなく、図示した以外の任意の形状としてもよい。
【0117】
第3実施形態および第4実施形態においては、第2のアクチュエータ9と第2の計測装置のいずれか一方を振動体2上に設け、他方を振動体の外部に設けた構成としてもよい。
【0118】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。