(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
本発明の一実施形態による撮像システム1の構成について説明する。
本発明の一実施形態による撮像システム1は、
図1に示すように、撮像装置10と、画像補正装置20と、を備える。
【0013】
撮像装置10は、撮像する対象物Oの画像を取得する装置である。撮像装置10は、
図1に示すように、撮像素子101と、A/D変換部102と、温度測定部103と、を備える。
【0014】
撮像素子101は、対象物Oの画像を撮像する。撮像素子101は、撮像した対象物Oの画像情報をA/D変換部102に出力する。
【0015】
A/D変換部102は、撮像素子101が撮像した対象物Oの画像情報を取得する。A/D変換部102は、取得したアナログの画像情報をデジタルの画像情報に変換する。
温度測定部103は、撮像装置10の温度を測定する。温度測定部103は、例えば、撮像素子101またはA/D変換部102の温度を測定する。
なお、撮像素子101の温度変化は、画像の階調値に直接影響を及ぼすものの1つである。そのため、温度測定部103が撮像素子101の温度を測定する場合、撮像システム1は、画像の階調値をより正確に補正できると考えられる。また、温度測定部103が撮像素子101の温度を直接測定できないが撮像素子101の温度の影響を受ける位置に設けられたA/D変換部102の温度を測定する場合、撮像システム1において、A/D変換部102は、撮像素子101の温度の影響を大きく受け、連動して推移するため、撮像素子101の温度を直接測定せずとも画像の階調値を正確に補正できると考えられる。
なお、撮像装置10には、一般的に、動作保証温度範囲外での動作を避けるための温度センサが、例えば、A/D変換部102の側に備えられている。温度測定部103は、その温度センサを利用するものであってもよい。
【0016】
画像補正装置20は、画像の階調値を補正する装置である。
図2に示すように、撮像装置10の温度が同一であっても、画像の階調値が同一になるとは限らない。例えば、撮像装置10(
図2におけるカメラ温度)の温度が36度の場合、
図2(a)では、Rの階調値がおよそ227、Gの階調値がおよそ226、Bの階調値がおよそ228である。一方、
図2(b)では、Rの階調値がおよそ225、Gの階調値がおよそ225、Bの階調値がおよそ226である。画像補正装置20が撮像装置10の温度の推移を取得することは、温度測定部103の1つの測定箇所の瞬間的な温度の測定結果ではなく、温度測定部103の1つの測定箇所に温度の影響を及ぼす複数個所を含めた継続的な温度の測定結果を取得したことになる。その結果、画像補正装置20は、より正確な温度の影響を含む階調補正値で画像の階調値を補正することになる。
画像補正装置20は、
図1に示すように、画像取得部201と、温度取得部202と、補正部203と、記憶部204と、を備える。
【0017】
画像取得部201は、撮像装置10から画像を取得する。
温度取得部202は、撮像装置10の温度を取得する。具体的には、温度取得部202は、温度測定部103が測定した温度を取得する。
補正部203は、撮像装置10の画像の撮像よりも前のタイミングからその撮像のタイミングまでの期間に温度取得部202が取得した撮像装置10の温度の推移に基づいて、画像を補正する。具体的には、補正部203は、撮像装置10の温度の推移に伴って変化する画像の階調値を補正する。
記憶部204は、撮像装置10の温度の推移と、画像の階調値の補正値との関係を示す補正情報を記憶する。
【0018】
次に、本発明の一実施形態による撮像システム1の処理について説明する。
ここでは、撮像システム1が画像の階調値を補正に用いる補正データを蓄積する補正データ蓄積処理と、撮像システム1が画像の階調値を補正する階調値補正処理とについて説明する。
【0019】
(補正データ蓄積処理)
まず、撮像システム1が行う補正データ蓄積処理について説明する。
ここでは、
図3に示す撮像システム1の処理フローについて説明する。
なお、撮像システム1が行う補正データ蓄積処理は、
図2(a)、(b)に示すような温度の推移と階調値との対応関係を予め取得するための処理である。
【0020】
撮像装置10の任意の初期温度に設定する(ステップS1)。例えば、所望の温度(すなわち、初期温度、例えば、
図2においてT0で示される温度)に設定した恒温槽に撮像装置10を入れる。温度測定部103は、撮像装置10の温度を取得する。温度測定部103の取得する温度が、初期温度になるまで(例えば、1時間〜1時間半程度)待つ。
【0021】
恒温槽を任意の温度(例えば、
図2においてT1で示される温度)に設定を変更する(ステップS2)。
【0022】
撮像素子101は、色見本を撮像する(ステップS3)。色見本とは、RGB(Red、Green、Blue)の割合によって示される複数の色(例えば、白色、紫色、黄色など)から成る色の基準を示す見本である。撮像素子101は、撮像した対象物Oの画像情報を、常時、A/D変換部102に出力する。
【0023】
A/D変換部102は、所定のタイミング(例えば、1分ごと)に、撮像素子101が撮像した色見本のアナログ画像を示すアナログ画像情報を取得する。A/D変換部102は、取得したアナログ画像情報をデジタル画像を示すデジタル画像情報に変換する。A/D変換部102は、変換後のデジタル画像情報を画像補正装置20に出力する。
【0024】
また、温度測定部103は、常時、撮像装置10の温度を取得する(ステップS4)。温度測定部103は、取得した温度を画像補正装置20に出力する。
【0025】
画像取得部201は、撮像装置10からデジタル画像情報を取得する。画像取得部201は、取得したデジタル画像情報が示す色見本の画像の各色についての平均階調値を算出する(ステップS5)。平均階調値とは、画像取得部201が取得した同一の色を示す複数の画素のそれぞれが示す階調値の平均値である。画像取得部201は、算出した平均階調値を補正部203に出力する。
【0026】
温度取得部202は、所定のタイミング(例えば、1分ごと)に、温度測定部103から撮像装置10の温度を取得する。温度取得部202は、撮像装置10の温度の情報を補正部203に出力する。
【0027】
補正部203は、所定のタイミング(例えば、1分ごと)に、平均階調値と撮像装置10の温度の情報とを取得する。補正部203は、取得した平均階調値と撮像装置10の温度の情報とを関連付けた階調値情報を記憶部204に書き込む(ステップS6)。
【0028】
温度取得部202は、取得した温度が前回取得した温度と誤差の範囲内で同一であるか否かを判定する(ステップS7)。
温度取得部202は、取得した温度が前回取得した温度と誤差の範囲内で同一ではない(例えば、取得した温度と前回取得した温度との差が誤差を示すしきい値以下ではない)と判定した場合(ステップS7においてNO)、ステップS3の処理に戻す。温度取得部202が、ステップS3の処理に戻すごとに、例えば、
図2においてT2、T3、T4のように示される温度の情報が増加し、その温度に関連付けられた平均階調値の情報が増加する。
また、温度取得部202が取得した温度が前回取得した温度と誤差の範囲内で同一である(例えば、取得した温度と前回取得した温度との差が誤差を示すしきい値以下である)と判定した場合(ステップS7においてYES)、補正部203は、例えば、記憶部204が記憶する階調値情報が示す階調値と色見本の階調値とに基づいて、例えば、
図5に示すように、色見本の各色と階調値の補正量を示す階調補正値との対応関係を温度の推移と関連付けてRGBごとに生成する(ステップS8)。具体的には、補正部203は、例えば、記憶部204が記憶する階調値情報が示す階調値と色見本の各色の階調値との差を、階調補正値とする。
なお、色見本の各色と階調補正値とのRGBごとの対応関係は、
図5に示すものに限定するものではない。例えば、色見本の各色と階調補正値とのRGBごとの対応関係は、関数で示されるものであってもよい。また、色見本の各色と階調補正値とのRGBごとの対応関係は、機械学習などによって更新させるものであってもよい。
補正部203は、生成した対応関係を温度の推移と関連付けてRGBごとに記憶部204に書き込む(ステップS9)。
【0029】
(階調値補正処理)
次に、撮像システム1が行う階調値補正処理について説明する。
ここでは、
図4に示す撮像システム1の処理フローについて説明する。
【0030】
撮像装置10が起動する。温度測定部103は、常時、撮像装置10の温度を取得する(ステップS11)。温度測定部103は、取得した温度を画像補正装置20に出力する。
【0031】
温度取得部202は、所定のタイミング(例えば、1分ごと)に、温度測定部103から撮像装置10の温度を取得する。温度取得部202は、撮像装置10の温度の情報を補正部203に出力する。
【0032】
補正部203は、所定のタイミング(例えば、1分ごと)に、温度取得部202から撮像装置10の温度の情報を取得する。補正部203は、取得した撮像装置10の温度の情報を記憶部204に書き込む(ステップS12)。
【0033】
撮像装置10は、起動してから所定の時間(例えば、1時間〜1時間半)が経過すると、撮像可能な状態となる。
補正部203は、画像取得部201からデジタル画像情報を取得するか否かを判定する(ステップS13)。
補正部203は、画像取得部201からデジタル画像情報を取得していないと判定した場合(ステップS13においてNO)、ステップS11の処理に戻す。
【0034】
このような状態で、ユーザは、任意のタイミングで撮像装置10に対して撮像する操作を行う。
撮像素子101は、対象物Oを撮像する(ステップS13)。撮像素子101は、撮像した対象物Oの画像情報をA/D変換部102に出力する。
【0035】
A/D変換部102は、撮像素子101から対象物Oのアナログ画像情報を取得する。A/D変換部102は、取得したアナログ画像情報をデジタル画像情報に変換する。A/D変換部102は、デジタル画像情報を画像補正装置20に出力する。
【0036】
画像取得部201は、撮像装置10からデジタル画像情報を取得する。画像取得部201は、取得したデジタル画像情報を補正部203に出力する。
【0037】
補正部203は、この場合、画像取得部201からデジタル画像情報を取得し(ステップS13においてYES)、記憶部204が記憶する温度の推移において、温度取得部202から取得した温度の推移と誤差の範囲内で同一の温度の推移を特定する(ステップS14)。具体的には、例えば、補正部203は、平均二乗誤差などの数値解析手法を用いて、その対応関係において所定の誤差の範囲内で同一とみなせる温度の推移を特定する。なお、本発明の別の実施形態による補正部203は、温度の推移を時間軸方向及び温度軸方向に伸縮したものについて、その対応関係において温度の推移を特定するものであってもよい。
補正部203は、記憶部204において特定した温度の推移に関連付けられている補正部203が生成した対応関係を特定する(ステップS15)。
補正部203は、特定した対応関係が示す階調補正値を用いてデジタル画像情報が示す画像の階調値を補正する(ステップS16)。
【0038】
以上、本発明の一実施形態による撮像システム1について説明した。本発明の一実施形態による画像補正装置20において、温度取得部202は、撮像装置10の温度を取得する。画像取得部201は、撮像装置10から画像を取得する。補正部203は、画像の撮像よりも前のタイミング(すなわち、撮像を開始するタイミングから、ある一定時間遡ったタイミング)から撮像のタイミングまでの期間に、温度取得部202が取得した撮像装置10の温度の推移に基づいて画像を補正する。
こうすることで、画像補正装置20は、撮像装置が温度変化のある環境にある場合に、画像の階調値を正しく補正することができる。
【0039】
次に、本発明の実施形態による最小構成の画像補正装置20について説明する。
本発明の実施形態による最小構成の画像補正装置20は、
図6に示すように、画像取得部201と、温度取得部202と、補正部203と、を備える。
温度取得部202は、撮像装置10の温度を取得する。
画像取得部201は、撮像装置10から画像を取得する。
補正部203は、画像の撮像よりも前のタイミングから撮像のタイミングまでの期間に、温度取得部202が取得した撮像装置10の温度の推移に基づいて画像を補正する。
このようにすれば、画像補正装置20は、撮像装置が温度変化のある環境にある場合に、画像の階調値を正しく補正することができる。
【0040】
なお、本発明の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0041】
本発明の実施形態における記憶部204、その他の記憶部や記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部204、その他の記憶部や記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0042】
本発明の実施形態について説明したが、上述の撮像システム1、撮像装置10、画像補正装置20、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、
図7に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の撮像システム1、撮像装置10、画像補正装置20、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0043】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0044】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。