(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空調ケースは、車室内に設けられた運転席側の吹出口に連なる運転席側開口部(20a)と、車室内に設けられた助手席側の吹出口に連なる助手席側開口部(20b)とが形成されており、
前記仕切り部(24)は、前記運転席側開口部に連なる前記第1流路(122a)と、前記助手席側開口部に連なる前記第2流路(122b)とに仕切る請求項2に記載の送風装置。
前記空調ケースは、車室内に設けられたデフロスタ吹出口に連なるデフロスタ開口部(21)と、車室内に設けられたフット吹出口に連なるフット開口部(22)とを有し、
前記仕切り部は、前記デフロスタ開口部に連なる前記第1流路(122c)と、前記第1流路よりも下側に位置するとともに前記フット開口部に連なる前記第2流路(122d)とに仕切る請求項2に記載の送風装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来技術では、消音室が流路の外部に設けられている。このため、消音室が設けられていない場合と比較して、装置全体のサイズが拡大する。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、装置全体のサイズの拡大を抑制しつつ、騒音を低減できる送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
空気を送る送風装置は、
内部に空気が流れる流路(122、402)を形成する流路形成部(12、40)と、
流路形成部の内部に設けられた仕切り部(24、30、42)とを備え、
仕切り部は、流路の少なくとも一部を第1流路(122a、122c、403)と第2流路(122b、122d、404)とに仕切り、
仕切り部には孔(26、261、262)が形成されており、
孔は、仕切り部を貫通し、第1流路と第2流路とを常に連通した状態とし、
壁部は、
中空形状であることによって内部空間を囲んでおり、
孔(261、262)は、壁部のうち第1流路に面する部分(51)と壁部のうち第2流路に面する部分(52)との両方を貫通し、内部空間を介して、第1流路と第2流路とを常に連通した状態とする。
【0007】
これによれば、第1流路と孔とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、第2流路を伝搬する騒音を低減することができる。さらに、第2流路と孔とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、第1流路を伝搬する騒音を低減することができる。また、これによれば、流路の内部にヘルムホルツ共鳴器が形成される。よって、流路の外部に消音室を設ける場合と比較して、装置全体のサイズの拡大を抑制しつつ、騒音を低減することができる。
【0008】
また、請求項5に記載の発明では、
空気を送る送風装置は、
内部に空気が流れる流路(122)を形成する流路形成部(12)と、
流路形成部の内部に設けられた仕切り部(24)とを備え、
仕切り部は、流路の少なくとも一部を第1流路(122a)と第2流路(122b)とに仕切るとともに、仕切り部の内部に内部空間(501)を形成する壁部(50)を有し、
壁部は、
中空形状であることによって内部空間を囲んでおり、
壁部のうち第1流路に面する部分(51)には、孔(53)が形成されており、
孔は、壁部のうち第1流路に面する部分を貫通し、第1流路と内部空間とを常に連通した状態とする。
【0009】
これによれば、仕切り部の内部空間と孔とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、第1流路を伝搬する騒音を低減することができる。また、これによれば、流路の外部、に消音室を設けず、流路の内部でヘルムホルツ共鳴器を構成している。よって、装置サイズの拡大を抑制しつつ、騒音を低減することができる。
【0010】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態の送風装置は、車両に搭載される車両用の空調ユニット10である。空調ユニット10は、車室内のうち前席よりも車両前方側に搭載される。空調ユニット10は、温度調整された空気を車室内へ送風する。
【0014】
図1、2、3に示すように、空調ユニット10は、空調ケース12と、蒸発器14と、ヒータコア16と、エアミックスドア18とを備える。
【0015】
空調ケース12は、車室内のうち前席よりも車両前方側に搭載される。空調ケース12を構成するケース部材121の内部に、車室内に向かう空気AFが流れる空気流路122が形成される。したがって、空調ケース12は、内部に空気が流れる流路を形成する流路形成部である。
【0016】
空調ケース12は、内部に蒸発器14とヒータコア16とエアミックスドア18とを収容する。
【0017】
蒸発器14は、冷凍サイクルの冷媒との熱交換によって、冷媒を蒸発させるとともに、空気を冷却する冷却用熱交換器である。ヒータコア16は、エンジン冷却水との熱交換によって、空気を加熱する加熱用熱交換器である。
【0018】
空気流路122は、温風流路123と、冷風流路124と、エアミックス部125とを含む。温風流路123では、ヒータコア16で加熱された空気、すなわち、温風が流れる。冷風流路124では、蒸発器14で冷却された冷風がヒータコア16を迂回して流れる。エアミックス部125では、温風流路123からの温風と冷風流路124からの冷風とが混合される。
【0019】
エアミックスドア18は、温風流路123を流れる温風と、冷風流路124を流れる冷風との風量割合を調整する。温風と冷風との風量割合が調整されることで、エアミックス部125で混合される空調風の温度が調整される。したがって蒸発器14とヒータコア16とエアミックスドア18とが、車室内に向かう空気AFの温度を調整する温度調整装置を構成している。
【0020】
空調ケース12のうち空気流れ下流側には、複数の吹出開口部20、22が形成されている。複数の吹出開口部20、22のそれぞれは、車室内に設けられた複数の吹出口のそれぞれに連なっている。
図1に示すように、複数の吹出開口部20、22は、フェイス開口部20と、フット開口部22、デフロスタ開口部とを含む。なお、
図1、3では、デフロスタ開口部の図示が省略されている。
【0021】
また、複数の吹出開口部20、22は、運転席側開口部と、助手席側開口部とに分けられる。運転席側開口部は、車室内のうち運転席側に設けられた運転席側の吹出口に連なる。助手席側開口部は、車室内のうち助手席側に設けられた助手席側の吹出口に連なる。
【0022】
具体的には、
図3に示すように、フェイス開口部20は、運転席側のフェイス開口部20aと、助手席側のフェイス開口部20bとを含む。運転席側のフェイス開口部20aは、車室内のうち運転席側に設けられたフェイス吹出口に連なる。助手席側のフェイス開口部20bは、車室内のうち助手席側に設けられたフェイス吹出口に連なる。
【0023】
図示しないが、フット開口部22は、運転席側のフット開口部と、助手席側のフット開口部とを含む。運転席側のフット開口部は、車室内のうち運転席側に設けられたフット吹出口に連なる。助手席側のフット開口部は、車室内のうち助手席側に設けられたフット吹出口に連なる。
【0024】
空調ユニット10は、図示しない吹出モードドアを備える。吹出モードドアは、複数の吹出開口部20、22を選択的に開閉する。吹出モードドアによって、フェイスモード、フットモードなどの各吹出モードが実現される。
【0025】
図1、2、3に示すように、空調ユニット10は、空調ケース12の内部に設けられた左右仕切壁24を備える。左右仕切壁24は、運転席側の吹出口と助手席側の吹出口とのそれぞれから吹き出される空調風の温度を独立して制御するために設けられている。左右仕切壁24は、空調ケース12の内部のうちヒータコア16よりも空気流れ下流側に配置されている。
【0026】
図3に示すように、左右仕切壁24は、空気流路122の一部を、運転席側流路122aと助手席側流路122bとに仕切る。運転席側流路122aは、運転席側のフェイス開口部20aなどの運転席側開口部に連なる流路である。助手席側流路122bは、助手席側のフェイス開口部20bなどの助手席側開口部に連なる流路である。
【0027】
具体的には、
図2に示すように、左右仕切壁24は、温風流路123を、運転席側の温風流路123aと、助手席側の温風流路123bとに仕切る。左右仕切壁24は、エアミックス部125を、運転席側のエアミックス部125aと、助手席側のエアミックス部125bとに仕切る。図示しないが、左右仕切壁24は、冷風流路124を、運転席側冷風流路と、助手席側の冷風流路とに仕切る。運転席側の温風流路123aと、運転席側の冷風流路と、運転席側のエアミックス部125aとが、運転席側流路122aを構成している。助手席側の温風流路123bと、助手席側の冷風流路と、助手席側のエアミックス部125bとが、助手席側流路122bを構成している。
【0028】
したがって、左右仕切壁24は、空調ケース12の内部の流路122の少なくとも一部を第1流路と第2流路とに仕切る仕切り部である。運転席側流路と助手席側流路の一方と他方とが、第1流路と第2流路とに対応する。
【0029】
図1、2に示すように、左右仕切壁24には、複数の孔26が形成されている。複数の孔26のそれぞれは、左右仕切壁24を貫通し、運転席側流路122aと助手席側流路122bとを常に連通した状態としている。複数の孔26のそれぞれの形状は円形である。複数の孔26は、複数の列をなして規則的に並んでいる。複数の孔26のそれぞれの大きさは同じである。複数の孔26は、後述のように、騒音を低減するためのものである。複数の孔26のそれぞれは、騒音を低減できる大きさに設定されている。具体的には、複数の孔26のそれぞれの開口幅W26は、0よりも大きく1mm以下である。
【0030】
なお、複数の孔26の形状は円以外の形状、例えば、多角形であってもよい。複数の孔26のそれぞれの形状については、全部が同じあったり、一部が同じであったり、全部が異なったりしてもよい。また、複数の孔26のそれぞれの大きさについても、全部が同じあったり、一部が同じであったり、全部が異なったりしてもよい。複数の孔26の配置は、
図1、2に示す配置に限定されない。複数の孔26のそれぞれが不規則に配置されていてもよい。
【0031】
本実施形態によれば、運転席側流路122aと複数の孔26とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、助手席側流路122bを伝搬する騒音を低減することができる。同様に、助手席側流路122bと複数の孔26とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、運転席側流路122aを伝搬する騒音を低減することができる。騒音としては、空力音や、図示しない送風機のモータ振動音が挙げられる。
【0032】
このように、本実施形態では、運転席側流路122aと助手席側流路122bとの一方の空気層に対して、運転席側流路122aと助手席側流路122bとの他方の空気層を、背後空気層とするヘルムホルツ共鳴器が構成される。このため、空調ケース12の内部を伝搬する騒音を低減することができる。
【0033】
ここで、
図4に、本実施形態の空調ユニット10と、比較例1の空調ユニットとのそれぞれの音圧レベルの測定結果を示す。比較例1の空調ユニットは、左右仕切壁24に複数の孔26が形成されていない点が、本実施形態の空調ユニット10と異なる。この測定では、運転モードを、運転席側のフェイス吹出口と助手席側のフェイス吹出口の両方から空調風を吹き出すフェイスモードとした。
図4より、本実施形態の空調ユニット10によれば、比較例1の空調ユニットと比較して、広範囲の周波数にわたって音圧レベルを低減できることがわかる。すなわち、騒音を低減できることがわかる。
【0034】
本実施形態によれば、
図4に示す測定結果の通り、運転席側流路122aと助手席側流路122bとの両方に空気が流れている場合に、騒音低減の効果が得られた。このため、運転席側流路122aと助手席側流路122bとの一方の流路を流れる空気流れに対して、運転席側流路122aと助手席側流路122bとの他方の流路を流れる空気流れが、バネとしての役割を果たす。これによって、ヘルムホルツ共鳴器が構成されると考えられる。すなわち、他方の流路を流れる空気流れが共鳴することで、一方の流路を流れる空気流れを伝搬する騒音が減衰する。
【0035】
なお、運転席側の吹出口と助手席側の吹出口との一方が閉じられて、運転席側流路122aと助手席側流路122bとの一方が閉塞している場合においても、上記の通り、ヘルムホルツ共鳴器が構成される。このため、この場合においても、空調ケース12の内部を伝搬する騒音を低減することができる。
【0036】
さらに、本実施形態によれば、空調ユニット10の流路の内部にヘルムホルツ共鳴器が形成される。空調ユニット10の流路の外部に、騒音の低減を目的とした消音室が設けられていない。このため、流路の外部に消音室を設ける場合と比較して、装置全体のサイズの拡大を抑制しつつ、騒音を低減することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、運転席側流路122aを流れる空調風の温度と、助手席側流路122bを流れる空調風の温度とを、それぞれ独立して制御するための左右仕切壁24に、複数の孔26を設けている。このため、騒音低減を目的とする専用の仕切壁を設ける必要がない。
【0038】
(第2実施形態)
本実施形態の送風装置は、空調ユニットである。本実施形態は、仕切り部の配置が第1実施形態と異なる。
【0039】
図5に示すように、空調ユニット10は、空調ケース12の内部に設けられた上下仕切壁30を備える。上下仕切壁30は、空調ケース12の内部のうち蒸発器14とヒータコア16の間と、ヒータコア16の空気流れ下流側とに配置されている。
【0040】
上下仕切壁30は、空気流路122の一部を、上側流路122cと下側流路122dとに仕切る。上側流路122cは、空調ケース12のうちの上側に形成された上側開口部であるデフロスタ開口部21およびフェイス開口部に連なる流路である。なお、
図5では、フェイス開口部の図示が省略されている。下側流路122dは、空調ケース12のうちの下側に形成された下側開口部であるフット開口部22に連なる流路である。
【0041】
具体的には、上下仕切壁30は、温風流路123を、上側の温風流路123cと、下側の温風流路123dとに仕切る。上下仕切壁30は、エアミックス部125を、上側のエアミックス部125cと、下側のエアミックス部125dとに仕切る。上側の温風流路123cと、上側のエアミックス部125cとが、上側流路122cの一部を構成している。下側の温風流路123dと、下側のエアミックス部125dとが、下側流路122dの一部を構成している。
【0042】
したがって、上下仕切壁30は、空調ケース12の内部の流路の少なくとも一部を第1流路と第2流路とに仕切る仕切り部である。上側流路122cと下側流路122dの一方と他方とが、第1流路と第2流路とに対応する。
【0043】
上側流路122cは、ヒータコア16の上側に設けられた上側の冷風流路124cを含む。上側流路122cには、上側のエアミックスドア18cが配置されている。上側のエアミックスドア18cによって、上側のエアミックス部125cで混合される空調風の温度が調整される。
【0044】
下側流路122dは、ヒータコア16の下側に設けられた下側の冷風流路124dを含む。下側流路122dには、下側のエアミックスドア18dが配置されている。下側のエアミックスドア18dによって、下側のエアミックス部125dで混合される空調風の温度が調整される。
【0045】
上側流路122cは、外気の乾いた空気が流れる。上側流路122cを流れる空気が、車室内に設けられたデフロスタ吹出口、フェイス吹出口から吹き出される。これによって、窓ガラスの曇りを防止する。一方、下側流路122dは、内気の暖かい空気が流れる。下側流路122dを流れる空気が、車室内に設けられたフット吹出口から吹き出される。これにより、冷えた外気を加熱する場合と比較して、暖房効率を向上させることができる。
【0046】
上下仕切壁30には、複数の孔32が形成されている。複数の孔32のそれぞれは、上下仕切壁30を貫通し、上側流路122cと下側流路122dとを常に連通した状態としている。複数の孔32のそれぞれの開口幅W32は、0よりも大きく1mm以下である。複数の孔32のそれぞれの形状、大きさ、配置については、第1実施形態の複数の孔26と同様である。
【0047】
本実施形態によれば、上側流路122cと複数の孔32とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、下側流路122dを伝搬する騒音を低減することができる。同様に、下側流路122dと複数の孔32とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、上側流路122cを伝搬する騒音を低減することができる。このように、本実施形態によれば、空調ユニット10の流路の内部にヘルムホルツ共鳴器が形成される。よって、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
また、本実施形態によれば、上側流路122cに外気が流れ、下側流路122dに内気が流れるように設けられた上下仕切壁30に、複数の孔32を設けている。このため、騒音低減を目的とする専用の仕切壁を設ける必要がない。
【0049】
(第3実施形態)
図6に示すように、本実施形態の送風装置は、車両用の空調ユニットに接続されるダクト40である。
【0050】
ダクト40は、車両に搭載される。ダクト40を構成するダクト部材401の内部に、空調ユニットから車室内に向かう空気AFが流れる空気流路402が形成される。したがって、ダクト40は、内部に空気が流れる流路を形成する流路形成部である。
【0051】
ダクト40は、ダクト40の内部に設けられた仕切壁42を備える。仕切壁42は、騒音低減を目的として設けられる。仕切壁42は、ダクト40の内部の一部または流れ方向の全域に配置される。仕切壁42は、空気流路402の一部または全部を、ダクト第1流路403と、ダクト第2流路404とに仕切る。したがって、仕切壁42は、ダクト40の内部の流路の少なくとも一部を第1流路と第2流路とに仕切る仕切り部である。ダクト第1流路403が第1流路に対応する。ダクト第2流路404が第2流路に対応する。
【0052】
本実施形態においても、仕切壁42に、複数の孔44が形成されている。複数の孔44のそれぞれは、仕切壁42を貫通し、ダクト第1流路403とダクト第2流路404とを常に連通した状態としている。複数の孔44のそれぞれの開口幅W44は、0よりも大きく1mm以下である。複数の孔44のそれぞれの形状、大きさ、配置については、第1実施形態の複数の孔26と同様である。
【0053】
本実施形態によれば、ダクト第1流路403と複数の孔44とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、ダクト第2流路404を伝搬する騒音を低減することができる。同様に、ダクト第2流路404と複数の孔44とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、ダクト第1流路403を伝搬する騒音を低減することができる。このように、本実施形態によれば、ダクト40の流路の内部にヘルムホルツ共鳴器が形成される。よって、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0054】
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の左右仕切壁24の構造が変更されている。
【0055】
図7に示すように、本実施形態では、左右仕切壁24は、左右仕切壁24の内部に内部空間501を形成する壁部50を有する。壁部50は、内部空間501を囲んでいる。壁部50は、壁部50のうち運転席側流路122aに面する第1流路側部分51と、壁部50のうち助手席側流路122bに面する第2流路側部分52とを有する。
【0056】
複数の孔26のそれぞれは、第1流路側部分51と第2流路側部分52の両方を貫通している。複数の孔26のそれぞれは、内部空間501を介して、運転席側流路122aと、助手席側流路122bとを常に連通した状態とする。
【0057】
複数の孔26のそれぞれは、第1流路側の孔261と第2流路側の孔262とを含む。第1流路側の孔261は、第1流路側部分51に形成されている。第2流路側の孔262は、第2流路側部分52に形成されている。
【0058】
本実施形態によれば、運転席側流路122aと、第1流路側の孔261と、内部空間501と、第2流路側の孔262とで、ヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、助手席側流路122bを伝搬する騒音を低減することができる。同様に、助手席側流路122bと、第2流路側の孔262と、内部空間501と、第1流路側の孔261とで、ヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、運転席側流路122aを伝搬する騒音を低減することができる。
【0059】
さらに、本実施形態によれば、内部空間501と第1流路側の孔261とで、ヘルムホルツ共鳴器が構成される。これによっても、運転席側流路122aを伝搬する騒音を低減することができる。同様に、内部空間501と第2流路側の孔262とで、ヘルムホルツ共鳴器が構成される。これによっても、助手席側流路122bを伝搬する騒音を低減することができる。
【0060】
(第5実施形態)
本実施形態は、第1実施形態の左右仕切壁24の構造が変更されている。
【0061】
図8に示すように、本実施形態では、第4実施形態と同様に、左右仕切壁24は、左右仕切壁24の内部に内部空間501を形成する壁部50を有する。
【0062】
本実施形態では、第4実施形態と異なり、壁部50の第1流路側部分51と第2流路側部分52のうち第1流路側部分51のみに、複数の孔53が形成されている。複数の孔53のそれぞれは、第1流路側部分51を貫通し、運転席側流路122aと内部空間501とを常に連通した状態としている。複数の孔53は、騒音を低減するためのものである。複数の孔53のそれぞれは、騒音を低減できる大きさに設定されている。具体的には、複数の孔53のそれぞれの開口幅W53は、0よりも大きく1mm以下である。複数の孔53のそれぞれの形状、大きさ、配置については、第1実施形態の複数の孔26と同様である。
【0063】
本実施形態によれば、内部空間501と複数の孔26とでヘルツホルム共鳴器が構成される。このため、運転席側流路122aを伝搬する騒音を低減することができる。さらに、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、空調ユニット10の流路の内部にヘルムホルツ共鳴器が形成される。よって、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
なお、本実施形態では、壁部50の第1流路側部分51と第2流路側部分52のうち第1流路側部分51のみに、複数の孔53が形成されていた。しかし、壁部50の第1流路側部分51と第2流路側部分52のうち第2流路側部分52のみに、複数の孔53が形成されてもよい。これにより、助手席側流路122bを伝搬する騒音を低減することができる。
【0065】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、孔26、32、44、261、262は複数であったが、1つでもよい。
【0066】
(2)第4実施形態では、空調ユニット10の左右仕切壁24が、第1流路側の孔261と第2流路側の孔262とが形成された壁部50を有する構造であった。第2実施形態の上下仕切壁30および第3実施形態の仕切壁42が、第1流路側の孔261と第2流路側の孔262とが形成された壁部50を有する構造であってもよい。
【0067】
(3)第5実施形態では、空調ユニット10の左右仕切壁24が、複数の孔53が形成された壁部50を有する構造であった。第2実施形態の上下仕切壁30および第3実施形態の仕切壁42が、複数の孔53が形成された壁部50を有する構造であってもよい。
【0068】
(4)第1、2、4、5実施形態では、空調ユニット10は、車室内のうち前席よりも車両前方側に搭載されるものであった。しかし、空調ユニット10は、車室内の他の位置に搭載されるものであってもよい。車室内の他の位置としては、後席付近、シートの内部などが挙げられる。搭載位置がいずれの場合においても、空調ユニットは、少なくとも、内部に車室内に向かう空気が流れる流路を形成する空調ケースと、空調ケースの内部に設けられた仕切り部とを有する。
【0069】
(5)上記各実施形態では、本発明の送風装置が空調ユニットや空調ユニットに接続されるダクトに適用されていた。しかし、本発明の送風装置は、これら以外の送風装置に適用されてもよい。適用される送風装置は、内部に空気が流れる流路を形成する流路形成部と、流路形成部の内部に設けられた仕切り部とを備える。
【0070】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0071】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、送風装置は、流路形成部と、仕切り部とを備える。仕切り部は、前記流路の少なくとも一部を第1流路と第2流路とに仕切る。前記仕切り部には孔が形成されている。前記孔は、前記仕切り部を貫通し、前記第1流路と前記第2流路とを常に連通した状態とする。
【0072】
また、第2の観点によれば、送風装置は、車室内に向かう空気の温度を調整する温度調整装置を備える車両用の空調ユニットである。流路形成部は、車両に搭載され、内部に車室内に向かう空気が流れる前記流路を形成するとともに、前記内部に前記温度調整装置を収容する空調ケースである。
【0073】
このように、第1の観点の送風装置を空調ユニットに適用することができる。
【0074】
また、第3の観点によれば、空調ケースは、車室内に設けられた運転席側の吹出口に連なる運転席側開口部と、車室内に設けられた助手席側の吹出口に連なる助手席側開口部とが形成されている。仕切り部は、前記運転席側開口部に連なる前記第1流路と、前記助手席側開口部に連なる前記第2流路とに仕切る。
【0075】
空調ユニットがこのような仕切り部を有している場合、この仕切り部に孔を設けることができる。これによれば、騒音低減を目的とする専用の仕切り部を設ける必要がない。
【0076】
また、第4の観点によれば、前記空調ケースは、車室内に設けられたデフロスタ吹出口に連なるデフロスタ開口部と、車室内に設けられたフット吹出口に連なるフット開口部とを有する。前記仕切り部は、前記デフロスタ開口部に連なる前記第1流路と、前記第1流路よりも下側に位置するとともに前記フット開口部に連なる前記第2流路とに仕切る。
【0077】
空調ユニットがこのような仕切り部を有している場合、この仕切り部に孔を設けることができる。これによれば、騒音低減を目的とする専用の仕切り部を設ける必要がない。
【0078】
第5の観点によれば、前記仕切り部は、前記仕切り部の内部に内部空間を形成する壁部を有する。前記孔は、前記壁部のうち前記第1流路に面する部分と前記壁部のうち前記第2流路に面する部分との両方を貫通する。孔は、前記内部空間を介して、前記第1流路と前記第2流路とを常に連通した状態とする。
【0079】
第1−第4の観点において、第5の観点の仕切り部を採用することができる。
【0080】
また、第6の観点によれば、送風装置は、流路形成部と、仕切り部とを備える。仕切り部は、前記流路の少なくとも一部を第1流路と第2流路とに仕切る。仕切り部は、仕切り部の内部に内部空間を形成する壁部を有する。前記壁部のうち前記第1流路に面する部分には、孔が形成されている。前記孔は、前記壁部のうち前記第1流路に面する部分を貫通し、前記第1流路と前記内部空間とを常に連通した状態とする。
【0081】
また、第7の観点によれば、前記孔の開口幅は、0よりも大きく1mm以下である。第1−第6の観点において、孔の具体的な大きさを、第7の観点に記載の大きさとすることができる。