特許第6790982号(P6790982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6790982-昇華転写用受像シート 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790982
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】昇華転写用受像シート
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/52 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   B41M5/52 400
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-80782(P2017-80782)
(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公開番号】特開2018-176578(P2018-176578A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晶彦
【審査官】 野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−024372(JP,A)
【文献】 特開2001−150807(JP,A)
【文献】 特開平09−204061(JP,A)
【文献】 特開2000−086862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/382 − 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一方の面側にインク受容層を備え、
前記インク受容層が、水溶性樹脂及び水系エマルジョン樹脂の少なくとも一方からなる樹脂と、シリコーンオイルをシランカップリング剤により担持した無機微粒子と、を含有することを特徴とする昇華転写用受像シート。
【請求項2】
前記インク受容層は、硬化剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の昇華転写用受像シート。
【請求項3】
前記硬化剤がイソシアネート系の硬化剤であることを特徴とする請求項2に記載の昇華転写用受像シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇華転写用受像シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱転写記録媒体は、熱転写方式プリンタで用いられる、いわゆるサーマルリボンと呼ばれるインクリボンのことである。このインクリボンは、例えば、基材と、その基材の一方の面に設けられたインクを含む熱転写層と、その基材の他方の面に設けられた耐熱滑性層(バックコート層)と、を備える。熱転写方式プリンタでは、インクリボンの熱転写層にサーマルヘッドで発生する熱を加えることにより、熱転写層に含まれるインクを昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)させて、そのインクを熱転写受像シートに転写し、その熱転写受像シートにインクからなる膜を形成する。このインクからなる膜によって、熱転写受像シートに文字や画像が形成される。
【0003】
熱転写方式プリンタの中でも昇華転写方式プリンタは、プリンタの高機能化により各種画像を簡便にフルカラーで形成することができるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書等のカード類の印刷、アミューズメント用出力物の印刷等に広く利用されている。このような熱転写方式プリンタの多様化に伴って、プリンタの小型化、高速化および低コスト化や、得られる印画物の耐久性が求められている。近年、基材の同一面側に、複数の熱転写層と印画物への耐久性を付与する保護層等とが、互いに重ならないように設けられた昇華転写用記録媒体が普及している。
【0004】
そのような状況の中、熱転写方式プリンタの用途の多様化と普及拡大に伴って、環境面への配慮から、インクに有機溶剤を含まない昇華転写用受像シートが求められている。昇華転写用受像シートでは、従来、溶剤にて樹脂を溶解させたものを塗工し、受容層として用いてきたが、直近では環境に対する負荷を軽減するために水系エマルジョン樹脂を塗工させたものが多く用いられている。
しかしながら、水系エマルジョン塗工物では離型剤として使用できる離型剤が限られてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−246777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている熱転写受像シートを用いて、高速印画プリンタにて高温高湿環境下で印画を行ったところ、離型剤が多価アルコールの脂肪酸エステルであったため、シリコーンオイルより離型性が不足しており、リボンとの融着が発生してしまった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高温高湿環境下にて、離型性の高い昇華転写用受像シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、昇華転写用受像シートを構成するインク受容層の離型剤として用いるシリコーンオイルを無機フィラー上に担持、受容層中で分散させることにより、上記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る昇華転写用受像シートは、基材の少なくとも一方の面側にインク受容層を備え、前記インク受容層が、水溶性樹脂及び水系エマルジョン樹脂の少なくとも一方からなる樹脂と、シリコーンオイルをシランカップリング剤により担持した無機微粒子と、を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、高温高湿環境下にて、離型性が高く、かつ発色ムラのない昇華転写用受像シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る昇華転写用受像シートを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の昇華転写用受像シートの実施形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、図面は模式的なものであり、各層の厚さの比率等は現実のものと異なる。
【0011】
[昇華転写用受像シート]
図1は、本発明の実施形態に係る昇華転写用受像シートを模式的に示す断面図である。
本実施形態に係る昇華転写用受像シート1は、基材2と、基材2の一方の面側に順に積層された断熱層3およびインク受容層4と、を備える。
【0012】
(基材)
基材2としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。基材2としては、例えば、合成樹脂からなるフィルム、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、樹脂ラミネート紙等が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアミド等が挙げられる。基材2としては、これら合成樹脂からなるフィルムや紙の1種を単独で用いてもよく、また2種以上のフィルムや紙類を組み合わせて複合体として用いてもよい。
基材2の厚さは、25μm以上250μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。
基材2の厚さが上記の範囲内であれば、印刷物を形成した場合に、その印刷物に要求される弾力性、強度および耐熱性が十分に得られる。
【0013】
(断熱層)
断熱層3は、多孔質層を含む断熱層であれば従来公知のものが使用できる。
多孔質層が発泡フィルムからなる場合には、そのフィルムの片面または両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いた断熱層を挙げることができる。断熱層3として、発泡ポリオレフィンフィルムの片面または両面にスキン層を設けた複合フィルムを用いることが好ましい。
断熱層3を構成する樹脂に中空粒子を含有させて多孔質層を構成しても良い。
【0014】
中空粒子としては、未発泡系、発泡系特に限定されず、従来公知のものが用いられる。中空粒子としては、例えば、粒子内部に多数の微細な空洞を有するアクリル系多孔粒子、中空構造を持つシリカ粒子(中空シリカ)、炭化水素を内包した発泡性のアクリル系粒子等が挙げられる。
未発泡系中空粒子の平均粒子径は、0.3μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。中空粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用い、レーザー回折法により測定することができる。
【0015】
断熱層3を構成する樹脂は、断熱層3を構成する中空粒子同士の隙間を埋めて、中空粒子同士を結着させ、また、基材2と断熱層3とを接合する。
このような樹脂としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。樹脂としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエンラテックス、アクリル、ポリエステル等が挙げられる。
中空粒子(a)と樹脂(b)との質量比((b)/(a))は、50/50〜2/98であることが好ましく、70/30〜95/5であることがより好ましい。
【0016】
質量比((b)/(a))が50/50以上となるように中空粒子(a)を配合すれば、断熱層3には十分な断熱性が得られ、熱転写時に基材2が熱変形したり、溶融したりすることがなく、十分な画質が得られる。一方、質量比((b)/(a))が95/5以下となるように中空粒子(a)を配合すれば、十分な強度が得られる。
断熱層3の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下程度であることがより好ましい。
断熱層3の厚さが5μm以上であれば、断熱層3には十分な断熱性が得られる。一方、断熱層3の厚さが100μm以下であれば、印刷物を形成した場合に、その印刷物に要求される弾力性が得られる。
【0017】
断熱層3の密度は、0.15g/cm〜0.85g/cmであることが好ましく、0.3g/cm〜0.7g/cmであることがより好ましい。
断熱層3の密度が0.15g/cm以上であれば、断熱層3における中空粒子の含有率が多くなり過ぎて、断熱層3の凝集力が低下し、基材2に対する断熱層3の密着性が低下することがない上に、断熱層3には十分な断熱性が得られる。一方、断熱層3の密度が0.85g/cm以下であれば、断熱層3には適度に中空粒子が含まれるため、断熱層3には十分な断熱性が得られる。
なお、図1には、断熱層3が1層から構成される場合を例示したが、本実施形態の昇華転写用受像シート1はこれに限定されない。本実施形態の昇華転写用受像シート1では、断熱層3が、中空粒子の種類や、中空粒子と樹脂の質量比が互いに異なる2層以上から構成されていてもよい。
【0018】
(インク受容層)
インク受容層4は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。
インク受容層4は、バインダ樹脂と、無機微粒子と、無機微粒子に担持したシリコーンオイルとを含む。具体的には、インク受容層は、水溶性樹脂及び水系エマルジョン樹脂の少なくとも一方からなる樹脂と、シリコーンオイルをシランカップリング剤により担持した無機微粒子と、バインダ樹脂と、を含有する。
これによって、インク受容層4は、界面活性剤等を各種目的に応じて含んでいる。
水溶性樹脂としては水溶性ポリエステルや水溶性アクリル樹脂などを上げることができるが、これに限定されるものではない。
【0019】
水系エマルジョン樹脂としては、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ系樹脂)、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル・アクリル共重合体、ポリアクリル酸エステル等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等、およびこれら樹脂の混合系が挙げられ、好ましくは塩化ビニル系樹脂である。その塩ビ計樹脂の中でも、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル共重合体から選択される少なくとも1種類の塩化ビニル系樹脂であることがさらに好ましい。
【0020】
インク受容層4は硬化剤を含むこともできる。硬化剤は、イソシアネート系の硬化剤が好ましい。イソシアネート系の硬化剤としては、ポリイソシアネートが例示でき、従来公知のものが使用できる。ポリイソシアネートとしては、ブロック型、非ブロック型ともに使用できるが、硬化反応のしやすさから、非ブロック型の方が好ましい。
ポリイソシアネートの含有量はバインダ樹脂の酸価に対し、0.3倍当量以上1.5倍当量以下であることが好ましい。0.3当量未満とした場合、十分な添加効果を得ることができない恐れが生じる。また、1.5倍当量より大きい場合、離型性は向上するものの、オーバーコート層の転写不良や濃度低下を生じる可能性が高くなる。
【0021】
シリコーンオイルは、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、およびアミド変性シリコーン等のシリコーンオイルが挙げられる。シリコーンオイルとしては、これらを混合、或いは各種の反応を用いて重合させて用いても構わない。
シリコーンオイルの添加量としては、インク受容層バインダ樹脂に対し0.3質量%以上10質量%以下の範囲、特に1質量%以上5質量%以下の範囲が好ましい。添加量が多すぎると表面の摩擦係数が低下することにより印画シワが発生しやすくなり、添加量が少なすぎると離型性が低下することにより、リボンとの貼り付きによるカラー層の転写やジャミングが発生するためである。
【0022】
上述のように、シリコーンオイルは無機微粒子に担持させた状態でインク受容層4に添加される。このとき、より担持しやすくするためにシランカップリング剤により、シリコーンオイルと無機微粒子表面を結合させている。
無機微粒子としては、シリカ微粒子(コロイダルシリカ、フュームドシリカ等製法は問わない)、アルミナ微粒子などが上げられるが、これに限定されない。無機微粒子の粒径としては2次粒子として2μm以下、1次粒子としては500nm以下が好ましい。
無機微粒子の添加量は、インク受容層バインダ樹脂に対し0.05質量%以上10質量%以下の範囲、特に1質量%以上3質量%以下の範囲が好ましい。添加量が少ないと十分にシリコーンオイルが担持できず、添加量が多いと印画面がざらつき、画質が低下するためである。
【0023】
インク受容層4の厚さは、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上8μm以下であることがより好ましい。
インク受容層4の厚さが0.1μm以上であれば、インク受容層4に十分な機械的強度が得られるため、画質不良が生じ難くなる。一方、インク受容層4の厚さが10μm以下であれば、コストメリットが大きい。
ここで、本実施形態の昇華転写用受像シート1は、基材2と断熱層3の接着性を改善するために、基材2と断熱層3の間に接着層を設けてもよい。
【0024】
接着層を形成する材料としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。接着層を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
また、昇華転写用受像シート1は、基材2におけるインク受容層4が設けられている面(一方の面2a)とは反対の面(他方の面)2b側に、裏面層が設けられていてもよい。
この裏面層は、プリンタ搬送性の向上や、インク受容層4とのブロッキング防止、印画前後の昇華転写用受像シート1のカール防止のためなどに設けられる。
【0025】
裏面層を形成する材料としては、特に限定されず、従来公知のものが用いられる。裏面層を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド等のバインダ樹脂等が挙げられる。
また、裏面層を形成する材料には、必要に応じて、フィラーや帯電防止剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
また、昇華転写用受像シート1は、断熱層3とインク受容層4の間に、本実施形態の昇華転写用受像シート1の性能を損なわない範囲で、下引き層が設けられていてもよい。
【0026】
下引き層の厚さは、0.1μm以上6μm以下であることが好ましく、0.2μm以上5μm以下であることがより好ましい。
下引き層の厚さが0.1μm以上であれば、下引き層の膜厚調整が容易であるばかりではなく、印画濃度にバラツキが生じ難い。また、下引き層と、断熱層3およびインク受容層4との密着性が十分となる。一方、下引き層の厚さが6μm以下であれば、高速印画時における印画濃度が低下することがない。また、コスト面の観点からも、下引き層の厚さは6μm以下であることが好ましい。
下引き層に用いられる樹脂としては従来公知のもので対応でき、例えば、ゼラチンやポリビニルアルコール、アクリル、ポリエステル、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0027】
[効果]
本実施形態の昇華転写用受像シート1によれば、インク受容層4がシリコーンオイルを担持した無機微粒子を含むため、高温高湿環境下にて、安定した離型性が得られる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0029】
[実施例1]
基材として厚さ140μmの上質紙を用い、その一方の面に、溶融押し出し法により、厚さ30μmの第1のポリエチレン樹脂層を形成した。さらに、その上質紙の他方の面に、溶融押し出し法により、厚さ40μmの第2のポリエチレン樹脂層を形成した。
次に、第2のポリエチレン樹脂層の上に、下記の組成からなる断熱層塗布液を、乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥することにより、断熱層を形成した。
【0030】
「断熱層塗布液の組成」
断熱層塗布液の組成は、次の通りである。
・中空粒子(スチレンアクリル、粒径0.3μm、固形分30質量%):90.0質量部
・ポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、クラレ社製):10.0質量部
その後、断熱層の上に、下記の組成のインク受容層塗布液−1を、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥することにより、インク受容層を形成し、実施例1の昇華転写用受像シートを得た。
ここで、インク受容層塗布液−1には、下記組成のシリコーンオイル担持無機微粒子−1が配合されている。
【0031】
「シリコーンオイル担持無機微粒子−1の組成」
シリコーンオイル担持無機微粒子−1の組成は、次の通りである。
・シリコーンオイル(商品名:KF−8004、信越化学工業社製):60.0質量部
・シランカップリング剤(商品名:KBM−9659、信越化学工業社製):10.0質量部
・疎水性乾式シリカ:30質量部
上記の材料を室温で2時間攪拌し、シリコーンオイル担持無機微粒子−1を得た
【0032】
「インク受容層塗布液−1の組成」
インク受容層塗布液−1の組成は次の通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・ポリイソシアネート(商品名:DNW−6000、DIC社製):1.65質量部
・シリコーンオイル担持無機微粒子−1:1.05質量部
・純水:41.75質量部
【0033】
[実施例2]
インク受容層を、下記の組成のインク受容層塗布液−2を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の昇華転写用受像シートを得た。
【0034】
「インク受容層塗布液−2の組成」
インク受容層塗布液−2の組成は次の通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・シリコーンオイル担持無機微粒子−1:2.22質量部
・純水:42.22質量部
【0035】
[実施例3]
インク受容層を、下記の組成のインク受容層塗布液−3を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の昇華転写用受像シートを得た。
ここで、インク受容層塗布液−3には、下記組成のシリコーンオイル担持無機微粒子−2が配合されている。
【0036】
「シリコーンオイル担持無機微粒子−2の組成」
シリコーンオイル担持無機微粒子−2の組成は、次の通りである。
・シリコーンオイル(商品名:KF−8002、信越化学工業社製):60.0質量部
・シランカップリング剤(商品名:KBM−9659、信越化学工業社製):10.0質量部
・疎水性乾式シリカ:30質量部
上記の材料を室温で2時間攪拌し、シリコーンオイル担持無機微粒子−2を得た。
【0037】
「インク受容層塗布液−3の組成」
インク受容層塗布液−3の組成は次の通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・ポリイソシアネート(商品名:DNW−6000、DIC社製):1.65質量部
・シリコーンオイル担持無機微粒子−2:1.05質量部
・純水:41.75質量部
【0038】
[実施例4]
インク受容層を、下記の組成のインク受容層塗布液−4を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の昇華転写用受像シートを得た。
ここで、インク受容層塗布液−4には、下記組成のシリコーンオイル担持無機微粒子−3が配合されている。
【0039】
「シリコーンオイル担持無機微粒子−3の組成」
シリコーンオイル担持無機微粒子−3の組成は次の通りである。
・シリコーンオイル(商品名:KF−861、信越化学工業社製):60.0質量部
・シランカップリング剤(商品名:KBM−9659、信越化学工業社製):10.0質量部
・疎水性乾式シリカ:30質量部
上記の材料を室温で2時間攪拌し、シリコーンオイル担持無機微粒子−3を得た。
【0040】
「インク受容層塗布液−4」
インク受容層塗布液−4の組成は次に通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・ポリイソシアネート(商品名:DNW−6000、DIC社製):1.65質量部
・シリコーンオイル担持無機微粒子−3:1.05質量部
・純水:41.75質量部
【0041】
[実施例5]
インク受容層を、下記の組成のインク受容層塗布液−5を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の昇華転写用受像シートを得た。
ここで、インク受容層塗布液−5には、下記組成のシリコーンオイル担持無機微粒子−4が配合されている。
【0042】
「シリコーンオイル担持無機微粒子−4の組成」
シリコーンオイル担持無機微粒子−4の組成は次の通りである。
・シリコーンオイル(商品名:X−22−3939A、信越化学工業社製):60.0質量部
・シランカップリング剤(商品名:KBM−9659、信越化学工業社製):10.0質量部
・疎水性乾式シリカ:30質量部
上記の材料を室温で2時間攪拌し、シリコーンオイル担持無機微粒子−4を得た。
【0043】
「インク受容層塗布液−5の組成」
インク受容層塗布液−5の組成は次の通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・ポリイソシアネート(商品名:DNW−6000、DIC社製):1.65質量部
・シリコーンオイル担持無機微粒子−4:1.05質量部
・純水:41.75質量部
【0044】
[比較例1]
インク受容層を、下記の組成のインク受容層塗布液−6を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の昇華転写用受像シートを得た。
【0045】
「インク受容層塗布液−6の組成」
インク受容層塗布液−6の組成は次の通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・ポリイソシアネート(商品名:DNW−6000、DIC社製):1.65質量部
・シリコーンオイル(商品名:KF−8004、信越化学工業社製):1.05質量部
・純水:41.75質量部
【0046】
[比較例2]
インク受容層を、下記の組成のインク受容層塗布液−7を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の昇華転写用受像シートを得た。
【0047】
「インク受容層塗布液−7の組成」
インク受容層塗布液−7の組成は次の通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・ポリイソシアネート(商品名:DNW−6000、DIC社製):1.65質量部
・シリコーンオイル(商品名:KF−8004、信越化学工業社製):0.75質量部
・疎水性乾式シリカ:0.30質量部
・純水:41.75質量部
【0048】
[比較例3]
インク受容層を、下記の組成のインク受容層塗布液−8を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の昇華転写用受像シートを得た。
【0049】
「インク受容層塗布液−8の組成」
インク受容層塗布液−8の組成は次の通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・ポリイソシアネート(商品名:DNW−6000、DIC社製):1.65質量部
・シリコーンオイル(商品名:KF−8002、信越化学工業社製):0.75質量部
・疎水性乾式シリカ:0.30質量部
・純水:41.75質量部
【0050】
[比較例4]
インク受容層を、下記の組成のインク受容層塗布液−9を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の昇華転写用受像シートを得た。
【0051】
「インク受容層塗布液−9の組成」
インク受容層塗布液−9の組成は次の通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・ポリイソシアネート(商品名:DNW−6000、DIC社製):1.65質量部
・シリコーンオイル(商品名:KF−861、信越化学工業社製):0.75質量部
・疎水性乾式シリカ:0.30質量部
・純水:41.75質量部
【0052】
[比較例5]
インク受容層を、下記の組成のインク受容層塗布液−10を用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5の昇華転写用受像シートを得た。
【0053】
「インク受容層塗布液−10の組成」
インク受容層塗布液−10の組成は、次の通りである。
・塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン690、日信化学工業社製):55.6質量部
・ポリイソシアネート(商品名:DNW−6000、DIC社製):1.65質量部
・シリコーンオイル(商品名:X−22−3939A、信越化学工業社製):0.75質量部
・疎水性乾式シリカ:0.30質量部
・純水:41.75質量部
【0054】
[熱転写記録媒体の作製]
熱転写記録媒体の基材として、厚さ4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その非易接着処理面に下記の組成の耐熱滑性層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布、乾燥し、耐熱滑性層付き基材を得た。
次に、耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記の組成の熱転写層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布、乾燥して熱転写層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0055】
「耐熱滑性層塗布液の組成」
耐熱滑性層塗布液の組成は次の通りである。
・シリコーン系アクリルグラフトポリマー(商品名:US−350、東亜合成社製):50.0質量部
・メチルエチルケトン:50.0質量部
【0056】
「熱転写層塗布液の組成」
熱転写層塗布液の組成は次の通りである。
・C.I.ソルベントブルー36:2.5質量部
・C.I.ソルベントブルー63:2.5質量部
・ポリビニルアセタール樹脂:5.0質量部
・トルエン:45.0質量部
・メチルエチルケトン:45.0質量部
【0057】
「印画評価」
(1)離型性評価
上記の熱転写記録媒体を用い、40℃、湿度80%の環境下にて、印画速度が1.5msec/line、解像度が300×300DPIの評価用サーマルプリンタにより、実施例1〜5および比較例1〜5の昇華転写用受像シートのそれぞれに、黒ベタ画像の印画を10枚連続で行い、離型性を評価した。
離型性の評価を、以下の基準にて行った。結果を表1に示す。
評価基準
◎:貼り付きがなく、剥離音が一切見られない
○:貼り付きがなく、ごくわずかに剥離音がある
△:貼りつきはないが剥離音が確認される
×:貼りつきがある
【0058】
(2)発色性評価
上記の熱転写記録媒体を用い、25℃、湿度50%の環境下にて、印画速度が1.5msec/line、解像度が300×300DPIの評価用サーマルプリンタにより、実施例1〜5および比較例1〜5の昇華転写用受像シートのそれぞれに、ハーフベタ画像の印画を行った。
発色性の評価を、以下の基準にて行った。結果を表1に示す。
評価基準
◎:発色ムラが無く均一に発色している
○:わずかに発色ムラはあるが、画質として問題が無い
×:発色ムラがある
【0059】
【表1】
【0060】
表1の結果から、実施例1〜5のインク受容層にシリコーンオイルを無機微粒子に担持した形状で添加した昇華転写用受像シートは離型性に優れ、発色ムラも発生しないことがわかった。
実施例1と実施例2から、インク受容層に硬化剤を添加したほうが離型性が優れていることがわかった。
これに対して、比較例1〜4では、シリコーンオイルが水系塗液中でなじまず、海島状に点在しているため、安定した離型性が得られず、発色特性においてもムラとなってしまうことがわかった。
比較例5では、極性の高いシリコーンオイルのため、水溶液中への分散が改善したが、無機微粒子へ担持させたものと比較すると離型性、発色特性共に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の昇華転写用受像シートは、昇華転写方式のプリンタに適用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書等のカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・昇華転写用受像シート
2・・・基材
3・・・断熱層
4・・・インク受容層
図1