(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のティルトシリンダにおいては、各々の構成部品の寸法にそれぞればらつきが生じることがある。すると、複数のティルトシリンダを予め定められた位置にそれぞれ配置したときに、複数のティルトシリンダにおいて、ピストンロッドがシリンダチューブに対して最も没入している状態でピストンロッドの突出先端面が支持部材に当接せずに、ピストンロッドの突出先端面と支持部材との間に隙間が生じるものが存在する場合がある。この状態で複数のティルトシリンダの駆動によりフォークを前後に傾動させようとすると、各ピストンロッドにおける各シリンダチューブに対する出没動作に伴う支持部材の前後への傾動がスムーズに行われず、フォークが前後にスムーズに傾動しなくなってしまう。よって、この場合、ピストンロッドがシリンダチューブに対して最も没入している状態でピストンロッドの突出先端面と支持部材との間に隙間が生じているティルトシリンダにおいて、この隙間を無くすために、ティルトシリンダの配置位置を微調整する必要があるが、このティルトシリンダの配置位置の調整作業は面倒である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ティルトシリンダの配置位置の調整作業を行うことなく、ピストンロッドの突出先端面と支持部材との隙間を無くすことができるフォークリフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するフォークリフトは、フォークと、前記フォークを支持する支持部材と、前記支持部材を前後に傾動させる複数のティルトシリンダと、を備え、前記ティルトシリンダは、圧油が給排される筒状のシリンダチューブと、前記シリンダチューブに給排される圧油によって前記シリンダチューブに対して出没可能なピストンロッドと、を有し、前記各ピストンロッドの突出先端面が前記支持部材に当接した状態で前記複数のティルトシリンダが駆動して、前記各ピストンロッドにおける前記各シリンダチューブに対する出没動作に伴って前記支持部材が前後に傾動し、前記フォークが前記支持部材と共に前後に傾動するフォークリフトであって、前記複数のティルトシリンダの少なくとも一つは、前記突出先端面における前記シリンダチューブに対する突出位置を調整する位置調整部を有している。
【0007】
複数のティルトシリンダにおいて、ピストンロッドがシリンダチューブに対して最も没入している状態でピストンロッドの突出先端面が支持部材に当接せずに、ピストンロッドの突出先端面と支持部材との間に隙間が生じるものが存在する場合がある。この場合であっても、位置調整部によって、ピストンロッドの突出先端面におけるシリンダチューブに対する突出位置を調整することにより、ティルトシリンダの配置位置の調整作業を行うことなく、ピストンロッドの突出先端面と支持部材との隙間を無くすことができる。
【0008】
上記フォークリフトにおいて、前記シリンダチューブには、前記ピストンロッドにおける前記シリンダチューブに対する出没方向に延びる雌ねじ孔が形成されており、前記位置調整部は、前記雌ねじ孔に螺進退する螺子部と、前記ピストンロッドにおける前記突出先端面とは反対側の端面に当接するとともに前記螺子部の螺進に伴って前記螺子部と一体的に前記ピストンロッドにおける前記シリンダチューブに対する突出方向へ移動する押込部と、を有しているとよい。
【0009】
これによれば、螺子部を雌ねじ孔に対して螺進させることにより、押込部が螺子部と一体的にピストンロッドにおけるシリンダチューブに対する突出方向へ移動し、ピストンロッドと押込部とが当接した状態で、ピストンロッドが押込部に押し込まれて、ピストンロッドがピストンロッドにおけるシリンダチューブに対する突出方向に移動する。その結果、ピストンロッドの突出先端面におけるシリンダチューブに対する突出位置が調整され、ピストンロッドの突出先端面と支持部材との隙間を無くすことができる。
【0010】
上記フォークリフトにおいて、前記位置調整部は、柱状の挿入部材であり、前記シリンダチューブには、前記挿入部材が挿入されるとともに前記出没方向に延びる挿入孔が形成されており、前記挿入孔の一部は、前記雌ねじ孔になっており、前記挿入部材は、前記螺子部及び前記押込部を有し、前記押込部と前記挿入孔との間には、シール部材が設けられているとよい。
【0011】
これによれば、挿入部材は、雌ねじ孔に対する螺子部の螺進に伴ってピストンロッドにおけるシリンダチューブに対する突出方向に移動し、ピストンロッドと押込部とが当接した状態で、ピストンロッドが押込部、すなわち挿入部材に押し込まれて、ピストンロッドがピストンロッドにおけるシリンダチューブに対する突出方向に移動する。その結果、ピストンロッドの突出先端面におけるシリンダチューブに対する突出位置が調整され、ピストンロッドの突出先端面と支持部材との隙間を無くすことができる。位置調整部は柱状の挿入部材であり、位置調整部を一つの部材で構成することができ、位置調整部の構成を簡素化することができる。また、シール部材によって、押込部と挿入孔との間がシールされるため、シリンダチューブ内の圧油が押込部と挿入孔との間を介して雌ねじ孔に侵入してしまうことを抑制することができる。また、シール部材によって、シリンダチューブ内の圧油が、挿入孔を介して外部に洩れてしまうことを抑制することができる。
【0012】
上記フォークリフトにおいて、前記シリンダチューブには、前記雌ねじ孔に連続するとともに前記出没方向に延びる挿入孔が形成されており、前記位置調整部は、前記螺子部である螺子部材と、前記挿入孔に挿入されるとともに前記出没方向で前記螺子部材と前記ピストンロッドとの間に配置される前記押込部である押込部材と、から構成されており、前記押込部材と前記挿入孔との間には、シール部材が設けられているとよい。
【0013】
これによれば、押込部材は、雌ねじ孔に対する螺子部材の螺進に伴ってピストンロッドにおけるシリンダチューブに対する突出方向に移動し、ピストンロッドと押込部材とが当接した状態で、ピストンロッドが押込部材に押し込まれて、ピストンロッドがピストンロッドにおけるシリンダチューブに対する突出方向に移動する。その結果、ピストンロッドの突出先端面におけるシリンダチューブに対する突出位置が調整され、ピストンロッドの突出先端面と支持部材との隙間を無くすことができる。さらに、螺子部材と押込部材とが別部材であるため、雌ねじ孔に対する螺子部材の螺進退の動作が行われても、押込部材は螺子部材と同期して回転しない。よって、シール部材のシール性が良好なものとなり、シリンダチューブ内の圧油が押込部材と挿入孔との間を介して雌ねじ孔に侵入してしまうことを抑制し易くすることができる。また、シール部材によって、シリンダチューブ内の圧油が、挿入孔及び雌ねじ孔を介して外部に洩れてしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ティルトシリンダの配置位置の調整作業を行うことなく、ピストンロッドの突出先端面と支持部材との隙間を無くすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、フォークリフトを具体化した第1の実施形態を
図1〜
図5にしたがって説明する。本実施形態のフォークリフトは、リーチ型のフォークリフトである。
【0017】
図1に示すように、フォークリフト10の車体11には、前方に向かって延びる左右一対のリーチレグ12が設けられている。各リーチレグ12の前端部には、従動輪13(前輪)が設けられている。車体11の後端下部には、駆動輪14(後輪)及び図示しないキャスタ輪(補助輪)が設けられている。
【0018】
車体11には、駆動輪14を駆動させる走行用モータ15が設けられている。さらに、車体11には、バッテリ16が搭載されている。走行用モータ15は、バッテリ16から供給される電力によって駆動する。フォークリフト10は、走行用モータ15の駆動によって駆動輪14が駆動することで走行する。
【0019】
車体11の前方には、左右一対のマスト17が立設されている。左右一対のマスト17は、左右一対のリーチレグ12の間に配置されている。左右一対のリーチレグ12の内側側部には、凹型のレールが形成されており、左右一対のマスト17は、その下部左右両側に配設されたローラを各レールに転動させることで、左右一対のリーチレグ12に沿って前後方向に移動可能になっている。車体11の下部には、前後に延びるリーチシリンダ18が設けられている。そして、左右一対のマスト17は、リーチシリンダ18のピストンロッド18aが伸縮駆動することにより左右一対のリーチレグ12に沿って前後方向に移動する。
【0020】
左右一対のマスト17には、リフトブラケット19が左右一対のマスト17に沿って昇降可能に支持されている。リフトブラケット19は、左右一対のマスト17の内側に配置されている。左右一対のマスト17の背面側にはリフトシリンダ20が立設されている。そして、リフトブラケット19は、リフトシリンダ20のピストンロッドが伸縮駆動することにより左右一対のマスト17に沿って昇降する。
【0021】
図2に示すように、リフトブラケット19は、左右一対のマスト17に沿って延びる平板状の左右一対の延設部19aと、両延設部19aの下部同士を連結する平板状の連結部19bと、を有している。左右一対の延設部19aは、車体11の左右方向で互いに対向する対向面19cをそれぞれ有している。
【0022】
リフトブラケット19には、平板状の上下一対のフィンガバー21がリフトブラケット19の左右一対の延設部19aに対して前後に傾動可能な状態で支持されている。上下一対のフィンガバー21は、車体11の左右方向に延びている。
図1に示すように、フィンガバー21には、左右一対のフォーク22が支持されている。よって、フィンガバー21は、フォーク22を支持する支持部材である。また、
図2に示すように、フィンガバー21には、フィンガバー21に対して上方へ延びるバックレスト23が設けられている。バックレスト23は、フィンガバー21に対して一体的に設けられている。
【0023】
リフトブラケット19の両延設部19aには、ティルトシリンダ30が一つずつ取り付けられている。よって、本実施形態のフォークリフト10は、ティルトシリンダ30を複数備えている。各ティルトシリンダ30は、フィンガバー21を前後に傾動させる。
【0024】
図1に示すように、車体11には、荷役用モータ24が設けられている。荷役用モータ24は、リーチシリンダ18、リフトシリンダ20、及びティルトシリンダ30を駆動するために必要な圧油をリーチシリンダ18、リフトシリンダ20、及びティルトシリンダ30に給排するための図示しない油圧ポンプを駆動させる。荷役用モータ24は、バッテリ16から供給される電力によって駆動する。
【0025】
次に、ティルトシリンダ30の具体的な構成について説明する。なお、本実施形態において、二つのティルトシリンダ30は同じ構成になっている。
図3に示すように、ティルトシリンダ30は、円筒状のシリンダチューブ31と、シリンダチューブ31に対して出没可能なピストンロッド32と、を有している。そして、各ピストンロッド32の突出先端面32aがフィンガバー21に当接した状態で二つのティルトシリンダ30が駆動して、各ピストンロッド32における各シリンダチューブ31に対する出没動作に伴ってフィンガバー21が前後に傾動し、フォーク22がフィンガバー21と共に前後に傾動する。
【0026】
シリンダチューブ31の外周面には、板状の取付部33が二つ突出している。両取付部33は、シリンダチューブ31の外周面から互いに離間する方向へそれぞれ突出している。両取付部33は、リフトブラケット19の延設部19aの対向面19cに設けられた平板状の介在部材19dに接触する平坦面状の接触面33aを有している。両取付部33の接触面33aは、同一平面上に位置している。ティルトシリンダ30は、両取付部33の接触面33aが介在部材19dに接触した状態で、両取付部33がボルト34によって介在部材19dに取り付けられることにより、リフトブラケット19に取り付けられている。
【0027】
図4に示すように、シリンダチューブ31は、円筒状のチューブ本体35と、チューブ本体35の軸方向の一端に取り付けられる筒状のヘッドカバー36と、チューブ本体35の軸方向の他端に取り付けられる筒状のロッドカバー37と、を有している。チューブ本体35、ヘッドカバー36、及びロッドカバー37のそれぞれの軸心は一致している。そして、チューブ本体35の内周面351、ヘッドカバー36の内端面361、及びロッドカバー37の内端面371によってシリンダ室38が区画されている。
【0028】
ピストンロッド32は、シリンダ室38に収容される円環状のピストン32bを有している。そして、ピストン32bによって、シリンダ室38は、ピストン32bよりもヘッドカバー36側の第1圧力作用室38aと、ピストン32bよりもロッドカバー37側の第2圧力作用室38bとに区画されている。ピストン32bの外周面には、第1圧力作用室38aと第2圧力作用室38bとの間をシールする円環状のシール材32sが装着されている。ピストンロッド32の一部は、ロッドカバー37の貫通孔37hを介してシリンダチューブ31に対して出没可能になっている。ロッドカバー37の貫通孔37hとピストンロッド32との間はリップパッキン37sによってシールされている。
【0029】
チューブ本体35には、第1圧力作用室38aに連通する第1給排ポート35aが形成されている。第1圧力作用室38aには、第1給排ポート35aを介して圧油が給排される。また、チューブ本体35には、第2圧力作用室38bに連通する第2給排ポート35bが形成されている。第2圧力作用室38bには、第2給排ポート35bを介して圧油が給排される。よって、シリンダチューブ31には圧油が給排される。そして、シリンダチューブ31に給排される圧油によってピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して出没する。
【0030】
ヘッドカバー36には、ピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する出没方向(
図4において矢印T1で示す方向)に延びる挿入孔40が形成されている。挿入孔40は、ヘッドカバー36の中央部をヘッドカバー36の軸方向に貫通している。挿入孔40におけるヘッドカバー36の外端面362寄りの部分は、雌ねじ孔41になっている。よって、挿入孔40の一部は、雌ねじ孔41になっている。挿入孔40における雌ねじ孔41よりもヘッドカバー36の内端面361寄りの部分は、シール孔42になっている。雌ねじ孔41とシール孔42とは連続している。
【0031】
挿入孔40には、柱状の挿入部材43が挿入されている。挿入部材43は、雌ねじ孔41に螺進退する螺子部44と、螺子部44に連続するとともにシール孔42に挿入される押込部45と、を有している。螺子部44の外周面には、雌ねじ孔41に螺合する雄ねじ44aが形成されている。ピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する出没方向において、雌ねじ孔41の長さL1は、螺子部44の長さL2よりも長くなっている。また、ピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する出没方向において、挿入部材43の長さL11は、挿入孔40の長さL12よりも長くなっている。
【0032】
図5に示すように、挿入部材43におけるピストンロッド32とは反対側の端面には、工具穴43hが形成されている。工具穴43hは、挿入部材43を回転させるための工具(例えば六角レンチ)が挿入される穴である。そして、螺子部44は、雄ねじ44aが雌ねじ孔41に螺合された状態で、挿入部材43が工具穴43hに挿入された工具を用いて回転されることにより、雌ねじ孔41に対して螺進退する。
【0033】
図4に示すように、挿入部材43は、ヘッドカバー36の外端面362側から挿入孔40に挿入され、挿入部材43におけるピストンロッド32とは反対側の端面がヘッドカバー36の外端面362と同一面上に位置するまで、螺子部44を雌ねじ孔41に対して螺進させることにより、挿入孔40に挿入されている。このとき、押込部45におけるピストンロッド32側の端部は、ヘッドカバー36の内端面361からシリンダ室38に突出している。そして、押込部45におけるピストンロッド32側の端面は、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態においてピストンロッド32における突出先端面32aとは反対側の端面32eに当接している。押込部45は、螺子部44の螺進に伴って螺子部44と一体的にピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する突出方向へ移動する。
【0034】
押込部45の外周面には、環状に延びる装着溝45aが形成されている。装着溝45aには、円環状のシール部材46が装着されている。シール部材46は、押込部45と挿入孔40のシール孔42との間に設けられている。そして、シール部材46は、押込部45と挿入孔40のシール孔42との間をシールしている。
【0035】
第1給排ポート35aを介して第1圧力作用室38aに圧油が供給されるとともに、第2給排ポート35bを介して第2圧力作用室38bから圧油が排出されると、ピストン32bが、第1圧力作用室38aに供給された圧油の圧力によって、ロッドカバー37に向けて押圧される。これにより、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して突出する方向へ移動する。そして、ピストン32bがロッドカバー37の内端面371に当接すると、ピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する突出方向への移動が規制され、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も突出している状態となる。
【0036】
第2給排ポート35bを介して第2圧力作用室38bに圧油が供給されるとともに、第1給排ポート35aを介して第1圧力作用室38aから圧油が排出されると、ピストン32bが、第2圧力作用室38bに供給された圧油の圧力によって、ヘッドカバー36に向けて押圧される。これにより、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して没入する方向へ移動する。そして、ピストン32bが押込部45に当接すると、ピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する没入方向への移動が規制され、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態となる。
【0037】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
ところで、二つのティルトシリンダ30においては、各々の構成部品の寸法にそれぞればらつきが生じることがある。すると、二つのティルトシリンダ30を予め定められた位置にそれぞれ配置したときに、二つのティルトシリンダ30の一方において、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態でピストンロッド32の突出先端面32aがフィンガバー21に当接せずに、突出先端面32aとフィンガバー21との間に隙間が生じる。この状態で二つのティルトシリンダ30の駆動によりフォーク22を前後に傾動させようとすると、各ピストンロッド32における各シリンダチューブ31に対する出没動作に伴うフィンガバー21の前後への傾動がスムーズに行われず、フォーク22が前後にスムーズに傾動しなくなってしまう。
【0038】
そこで、本実施形態では、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態において、雌ねじ孔41に対して螺子部44を螺進させ、挿入部材43をピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する突出方向に移動させる。これにより、ピストンロッド32の端面32eと押込部45とが当接した状態で、ピストンロッド32が押込部45、すなわち挿入部材43により押し込まれて、ピストンロッド32が突出方向に移動する。その結果、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるシリンダチューブ31に対する突出位置が調整され、ピストンロッド32の突出先端面32aとフィンガバー21との隙間が無くなる。よって、挿入部材43は、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態で突出先端面32aにおけるシリンダチューブ31に対する突出位置を調整する位置調整部である。これにより、二つのティルトシリンダ30の駆動によって、フィンガバー21の前後への傾動がスムーズに行われ、フォーク22が前後にスムーズに傾動する。
【0039】
また、例えば、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態において、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるフィンガバー21に対する押し付けが強すぎる場合がある。この場合、雌ねじ孔41に対して螺子部44を螺退させ、挿入部材43をピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する没入方向に移動させる。これにより、ピストンロッド32が、第2圧力作用室38b内の圧油の圧力によって没入方向に移動し、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるフィンガバー21に対する押し付けが弱まり、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるフィンガバー21に対する押し付けが強すぎる状態が解消される。
【0040】
第1の実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1−1)二つのティルトシリンダ30の一方において、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態でピストンロッド32の突出先端面32aがフィンガバー21に当接せずに、ピストンロッド32の突出先端面32aとフィンガバー21との間に隙間が生じる場合がある。この場合であっても、挿入部材43によって、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるシリンダチューブ31に対する突出位置を調整することにより、ティルトシリンダ30の配置位置の調整作業を行うことなく、ピストンロッド32の突出先端面32aとフィンガバー21との隙間を無くすことができる。
【0041】
(1−2)螺子部44を雌ねじ孔41に対して螺進させることにより、押込部45が螺子部44と一体的にピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する突出方向へ移動する。そして、ピストンロッド32の端面32eと押込部45とが当接した状態で、ピストンロッド32が押込部45に押し込まれて、ピストンロッド32がピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する突出方向に移動する。その結果、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるシリンダチューブ31に対する突出位置が調整され、ピストンロッド32の突出先端面32aとフィンガバー21との隙間を無くすことができる。
【0042】
(1−3)本実施形態では、位置調整部として柱状の挿入部材43を用いている。よって、位置調整部を一つの部材で構成することができ、位置調整部の構成を簡素化することができる。また、シール部材46によって、押込部45と挿入孔40のシール孔42との間がシールされるため、シリンダチューブ31内の圧油が押込部45と挿入孔40のシール孔42との間を介して雌ねじ孔41に侵入してしまうことを抑制することができる。また、シール部材46によって、シリンダチューブ31内の圧油が、挿入孔40を介して外部に洩れてしまうことを抑制することができる。
【0043】
(1−4)リーチ型のフォークリフト10においては、左右一対のリーチレグ12の間に左右一対のマスト17が配置されていることから、リフトブラケット19は、左右一対のマスト17の内側に配置される構成になっている。よって、ティルトシリンダ30におけるリフトブラケット19に対する取り付け作業は、一対の延設部19aの間の狭いスペースで行われることになる。したがって、従来技術のように、ピストンロッド32の突出先端面32aとフィンガバー21との間に生じる隙間を無くすために、ティルトシリンダ30の配置位置を微調整する調整作業は面倒である。よって、本実施形態によれば、ティルトシリンダ30の配置位置の調整作業を行うことなく、ピストンロッド32の突出先端面32aとフィンガバー21との隙間を無くすことができるため、作業性を向上させることができる。
【0044】
(1−5)例えば、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態において、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるフィンガバー21に対する押し付けが強すぎる場合、雌ねじ孔41に対して螺子部44を螺退させ、挿入部材43をピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する没入方向に移動させる。これにより、ピストンロッド32が、第2圧力作用室38b内の圧油の圧力によって没入方向に移動し、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるフィンガバー21に対する押し付けが弱まる。その結果、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるフィンガバー21に対する押し付けが強すぎる状態を解消することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
以下、フォークリフトを具体化した第2の実施形態を
図6及び
図7にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0046】
図6に示すように、ヘッドカバー36には、雌ねじ孔41におけるピストンロッド32側の端部に連続する挿入孔50が形成されている。挿入孔50は、ピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する出没方向に延びている。挿入孔50は、雌ねじ孔41に連続する小径孔50aと、小径孔50aにおける雌ねじ孔41とは反対側に連続するとともに小径孔50aよりも孔径が大きい大径孔50bと、を有している。雌ねじ孔41の孔径は、大径孔50bよりも大径である。
【0047】
位置調整部51は、螺子部である螺子部材52と、挿入孔50に挿入されるとともにピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する出没方向で螺子部材52とピストンロッド32との間に配置される押込部である押込部材53と、から構成されている。螺子部材52の外周面には、雌ねじ孔41に螺合する雄ねじ52aが形成されている。ピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する出没方向において、雌ねじ孔41の長さL21は、螺子部材52の長さL22よりも長くなっている。
【0048】
図7に示すように、螺子部材52における押込部材53とは反対側の端面には、工具穴52hが形成されている。工具穴52hは、螺子部材52を回転させるための工具(例えば六角レンチ)が挿入される穴である。そして、螺子部材52は、雄ねじ52aが雌ねじ孔41に螺合された状態で、螺子部材52が工具穴52hに挿入された工具を用いて回転されることにより、雌ねじ孔41に対して螺進退する。
【0049】
図6に示すように、押込部材53は、小径孔50aに挿入される柱状の小径部53aと、大径孔50bに挿入されるとともに小径部53aよりも外径が大径の柱状の大径部53bと、を有している。小径部53aは、小径孔50aを介して雌ねじ孔41内に突出している。そして、小径部53aにおける大径部53bとは反対側の端部は、螺子部材52に当接している。
【0050】
押込部材53の大径部53bの外周面には、環状に延びる装着溝53cが形成されている。装着溝53cには、円環状のシール部材54が装着されている。シール部材54は、押込部材53の大径部53bと挿入孔50の大径孔50bとの間に設けられている。そして、シール部材54は、押込部材53の大径部53bと挿入孔50の大径孔50bとの間をシールしている。
【0051】
押込部材53は、ヘッドカバー36の内端面361側から挿入孔50に挿入されている。螺子部材52は、ヘッドカバー36の外端面362側から雌ねじ孔41に挿入され、螺子部材52における押込部材53とは反対側の端面がヘッドカバー36の外端面362と同一面上に位置するまで、螺子部材52を雌ねじ孔41に対して螺進させることにより、雌ねじ孔41に挿入されている。このとき、押込部材53におけるピストンロッド32側の端部は、ヘッドカバー36の内端面361からシリンダ室38に突出している。そして、押込部材53におけるピストンロッド32側の端面は、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態においてピストンロッド32における突出先端面32aとは反対側の端面32eに当接している。押込部材53は、螺子部材52の螺進に伴って螺子部材52と一体的にピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する突出方向へ移動する。
【0052】
次に、第2の実施形態の作用について説明する。
ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態において、ピストンロッド32の突出先端面32aとフィンガバー21との間に隙間が生じている場合、雌ねじ孔41に対して螺子部材52を螺進させ、押込部材53をピストンロッド32におけるシリンダチューブ31に対する突出方向に移動させる。これにより、ピストンロッド32の端面32eと押込部材53とが当接した状態で、ピストンロッド32が押込部材53により押し込まれて、ピストンロッド32が突出方向に移動する。その結果、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるシリンダチューブ31に対する突出位置が調整され、ピストンロッド32の突出先端面32aとフィンガバー21との隙間が無くなる。
【0053】
また、例えば、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態において、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるフィンガバー21に対する押し付けが強すぎる場合がある。この場合、雌ねじ孔41に対して螺子部材52を螺退させる。すると、第2圧力作用室38b内の圧油の圧力によって、ピストンロッド32が押込部材53を押圧しながら没入方向に移動する。これにより、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるフィンガバー21に対する押し付けが弱まり、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるフィンガバー21に対する押し付けが強すぎる状態が解消される。
【0054】
第2の実施形態では、第1の実施形態の効果(1−1)、(1−2)、(1−4)及び(1−5)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2−1)螺子部材52と押込部材53とが別部材であるため、雌ねじ孔41に対する螺子部材52の螺進退の動作が行われても、押込部材53は螺子部材52と同期して回転しない。よって、シール部材54のシール性が良好なものとなり、シリンダチューブ31内の圧油が押込部材53と挿入孔50との間を介して雌ねじ孔41に侵入してしまうことを抑制し易くすることができる。また、シール部材54によって、シリンダチューブ31内の圧油が、挿入孔50及び雌ねじ孔41を介して外部に洩れてしまうことを抑制することができる。
【0055】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1の実施形態において、挿入孔40全体が雌ねじ孔であってもよい。この場合、例えば、螺子部44は、ヘッドカバー36の外端面362よりも外部へ突出するフランジを有し、フランジとヘッドカバー36の外端面362との間にシール部材を設けることにより、シリンダチューブ31内の圧油における挿入孔40を介した外部への洩れを抑えるようにしてもよい。
【0056】
○ 第1の実施形態において、シール部材46が、押込部45の外周面に装着されておらず、シール孔42の内周面に装着されていてもよい。
○ 第2の実施形態において、シール部材54が、押込部材53の外周面に装着されておらず、挿入孔50の大径孔50bの内周面に装着されていてもよい。
【0057】
○ 上記各実施形態において、位置調整部は、ヘッドカバー36に形成された圧入孔に圧入される柱状の圧入部材であってもよい。そして、ピストンロッド32がシリンダチューブ31に対して最も没入している状態で、圧入部材における圧入孔に対する圧入代を調整することにより、ピストンロッド32の突出先端面32aにおけるシリンダチューブ31に対する突出位置を調整するようにしてもよい。
【0058】
○ 上記各実施形態において、フォークリフト10は、ティルトシリンダ30を3つ以上備えていてもよい。
○ 上記各実施形態において、二つのティルトシリンダ30のうちの一方のみに位置調整部が設けられていてもよい。要は、複数のティルトシリンダ30の少なくとも一つが位置調整部を有していればよい。