特許第6791038号(P6791038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6791038ベル型塗装機用開閉バルブの診断システム及び診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791038
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ベル型塗装機用開閉バルブの診断システム及び診断方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/14 20060101AFI20201116BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20201116BHJP
   B05B 5/04 20060101ALI20201116BHJP
   B05B 3/10 20060101ALI20201116BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20201116BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B05B12/14
   B05B12/00 A
   B05B5/04 A
   B05B3/10 B
   B05D1/02 Z
   B05D3/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-122140(P2017-122140)
(22)【出願日】2017年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-5686(P2019-5686A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富岡 直樹
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−065151(JP,U)
【文献】 特開2011−125787(JP,A)
【文献】 実開昭61−120909(JP,U)
【文献】 特開平11−123348(JP,A)
【文献】 実開昭62−114659(JP,U)
【文献】 特開2000−202337(JP,A)
【文献】 特開2015−027670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−9/08
12/00−12/14
13/00−13/06
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベル型塗装機に塗料を供給する複数の供給経路のそれぞれにそれぞれが開閉可能に設けられた複数の開閉バルブを診断するための、ベル型塗装機用開閉バルブの診断システムであって、
上記ベル型塗装機のベルカップを回転駆動するモータの回転数に関する情報を検出する検出部と、
上記複数の開閉バルブを開閉制御するとともに、上記検出部によって検出された情報とその目標値とに基づいて上記モータをフィードバック制御する制御部と、
を備え、
上記制御部は、上記複数の開閉バルブの中から選択した開閉バルブの開動作のための第1指令信号を出力して上記ベル型塗装機に塗料が供給されたとき、上記第1指令信号の出力時から上記フィードバック制御によって上記モータの回転数を上昇させるための第2指令信号を出力するまでに要した応答時間を計測し、計測した上記応答時間に基づいて、選択した上記開閉バルブが正常であるか否かを判定するように構成されている、ベル型塗装機用開閉バルブの診断システム。
【請求項2】
上記制御部は、計測した上記応答時間と予め定められた基準時間との時間差が判定用閾値以下であるときに上記開閉バルブが正常であると判定し、上記時間差が上記判定用閾値を上回るときに上記開閉バルブが異常であると判定するように構成されている、請求項1に記載の、ベル型塗装機用開閉バルブの診断システム。
【請求項3】
上記制御部によって判定された判定結果を報知する報知部を備える、請求項1または2に記載の、ベル型塗装機用開閉バルブの診断システム。
【請求項4】
上記ベル型塗装機及び上記複数の開閉バルブはいずれも、塗装ロボットのロボットアームに取付けられており、
上記制御部は、上記ロボットアームの移動軌跡を制御するロボット制御部によって構成されている、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の、ベル型塗装機用開閉バルブの診断システム。
【請求項5】
ベル型塗装機に塗料を供給する複数の供給経路のそれぞれにそれぞれが開閉可能に設けられた複数の開閉バルブを診断するための、ベル型塗装機用開閉バルブの診断方法であって、
上記複数の開閉バルブの中から選択した開閉バルブの開動作のための第1指令信号を出力して上記ベル型塗装機に塗料が供給されたとき、上記第1指令信号の出力時から、上記ベル型塗装機のベルカップを回転駆動するモータのフィードバック制御によって上記モータの回転数を上昇させるための第2指令信号を出力するまでに要した応答時間を計測する計測ステップと、
上記計測ステップで計測した上記応答時間に基づいて、選択した上記開閉バルブが正常であるか否かを判定する判定ステップと、
を有する、ベル型塗装機用開閉バルブの診断方法。
【請求項6】
上記判定ステップでは、上記計測ステップで計測した上記応答時間と予め定められた基準時間との時間差が判定用閾値以下であるときに上記開閉バルブが正常であると判定し、上記時間差が上記判定用閾値を上回るときに上記開閉バルブが異常であると判定する、請求項5に記載の、ベル型塗装機用開閉バルブの診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベル型塗装機用開閉バルブを診断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車部品の塗装工程においては、高速で回転するベルカップを備えたベル型塗装機(以下、単に「塗装機」ともいう。)が利用されている。この塗装機は、塗料をベルカップの回転によって粒化して、空気と静電気を利用して部品の被塗装面に塗着させるように構成されている。
【0003】
このような塗装機を備えた塗装装置が、例えば特許文献1に開示されている。この塗装装置は、それぞれが異なる色の塗料を塗装機へ供給するための供給経路にカラーチェンジバルブ(以下、「CCV」という。)を備えている。このCCVは、塗料の色替えのためにそれぞれがオンオフ動作可能な複数の開閉バルブを有する。このため、バルブ切り替え時に複数の開閉バルブの中から選択した開閉バルブが開放されることによって、この開閉バルブに対応した色の塗料が塗装機へ供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−125787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の複数の開閉バルブはいずれも、シール部が溶剤と接触し、且つ高頻度でオンオフ動作するため、バネやパッキン等の部品が劣化して動作不良を生じ易い。そして、開閉バルブの動作不良が部品の品質不良の要因に成り得る。そこで、開閉バルブの動作を監視し、この開閉バルブの異常な動作を検出したタイミングで開閉バルブを交換するという対策が考えられる。
【0006】
しかしながら、このような開閉バルブは設置数が多く、部品の品質不良が発生するよりも前に開閉バルブの異常な動作を検出するのが難しい。従って、このような対策では、開閉バルブの交換時期を適正なタイミングで判別することができないという問題がある。
かといって、全ての開閉バルブを一定期間毎に交換するという対策では、実際には問題なく使用できる開閉バルブが正常な状態であるにもかかわらず交換されてしまうことになる。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ベル型塗装機用開閉バルブの異常を早期に判別するのに有効な技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
ベル型塗装機に塗料を供給する複数の供給経路のそれぞれにそれぞれが開閉可能に設けられた複数の開閉バルブを診断するための、ベル型塗装機用開閉バルブの診断システムであって、
上記ベル型塗装機のベルカップを回転駆動するモータの回転数に関する情報を検出する検出部と、
上記複数の開閉バルブを開閉制御するとともに、上記検出部によって検出された情報とその目標値とに基づいて上記モータをフィードバック制御する制御部と、
を備え、
上記制御部は、上記複数の開閉バルブの中から選択した開閉バルブの開動作のための第1指令信号を出力して上記ベル型塗装機に塗料が供給されたとき、上記第1指令信号の出力時から上記フィードバック制御によって上記モータの回転数を上昇させるための第2指令信号を出力するまでに要した応答時間を計測し、計測した上記応答時間に基づいて、選択した上記開閉バルブが正常であるか否かを判定するように構成されている、ベル型塗装機用開閉バルブの診断システム、
にある。
【0009】
また、本発明の他の態様は、
ベル型塗装機に塗料を供給する複数の供給経路のそれぞれにそれぞれが開閉可能に設けられた複数の開閉バルブを診断するための、ベル型塗装機用開閉バルブの診断方法であって、
上記複数の開閉バルブの中から選択した開閉バルブの開動作のための第1指令信号を出力して上記ベル型塗装機に塗料が供給されたとき、上記第1指令信号の出力時から、上記ベル型塗装機のベルカップを回転駆動するモータのフィードバック制御によって上記モータの回転数を上昇させるための第2指令信号を出力するまでに要した応答時間を計測する計測ステップと、
上記計測ステップで計測した上記応答時間に基づいて、選択した上記開閉バルブが正常であるか否かを判定する判定ステップと、
を有する、ベル型塗装機用開閉バルブの診断方法、
にある。
【発明の効果】
【0010】
上記の診断システムにおいて、検出部は、ベル型塗装機のベルカップを回転駆動するモータの回転数に関する情報を検出する機能を有する。制御部は、複数の開閉バルブを開閉制御するとともに、検出部によって検出された情報とその目標値とに基づいてモータをフィードバック制御する機能を有する。
【0011】
上記の診断システム及び診断方法において、複数の開閉バルブの中から選択した開閉バルブの開動作のための第1指令信号が出力されてこの開閉バルブが開放されたとき、この開閉バルブに対応した供給経路を通じてベル型塗装機に塗料が供給される。このとき、塗料が供給されることによってベルカップが受ける負荷が高くなり、このベルカップを回転駆動するモータの回転数が一時的に低下する。従って、フィードバック制御によって、モータの回転数を戻すための処理がなされるため、このモータの回転数が上昇する。
【0012】
ここで、開閉バルブが劣化して作動不良を起こすと、第1指令信号が出力されてから実際にベル型塗装機に塗料が供給されるタイミングが正常時に対して遅くなったり早くなったりする。即ち、第1指令信号の出力時から第2指令信号を出力するまでに要する応答時間が正常時に比べて長くなったり短くなったりする。
【0013】
そこで、上記の応答時間を計測することによって、開閉バルブが正常であるか否かを判定することができる。しかも、第1指令信号の出力タイミングに対する第2指令信号の出力タイミングの遅れに着目することによって、部品の品質不良が発生するよりも前の段階で開閉バルブの異常の兆候を早期に判別することが可能になる。
そして、作業者は、この判別結果に応じて、劣化して異常であると判定された開閉バルブを速やかに交換すればよい。その結果、部品の品質不良が発生するのを防ぐことが可能になる。
【0014】
以上のごとく、上記の各態様によれば、ベル型塗装機用開閉バルブの異常を早期に判別するのに有効な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1にかかる塗装装置の概略図。
図2】実施形態1の、ベル型塗装機用開閉バルブの診断システムを模式的に示す図。
図3】実施形態1における塗装制御のフローチャート。
図4】実施形態1における開閉バルブ診断処理のフローチャート。
図5】開閉バルブの正常時と劣化時のそれぞれについて、電空レギュレータへの指令値と時間との関係を示すグラフ。
図6】実施形態2における開閉バルブ診断処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述の態様の好ましい実施形態について説明する。
【0017】
本明細書に記載の「モータの回転数に関する情報」には、モータ自体の回転数は勿論、このモータによって回転駆動されるベルカップの回転数、またモータやベルカップの回転数を一義的に導き出すことができるパラメータ等の情報が包含される。従って、目標回転数は、モータの回転数についての目標値であってもよいし、或いはベルカップの回転数についての目標値であってもよい。
【0018】
上記の診断システム及び診断方法において、計測した上記応答時間と予め定められた基準時間との時間差が判定用閾値以下であるときに上記開閉バルブが正常であると判定し、上記時間差が上記判定用閾値を上回るときに上記開閉バルブが異常であると判定するのが好ましい。これにより、開閉バルブが正常であるか否かの判定を、計測した応答時間と基準時間との時間差を用いて行うことによって、判定の信頼性を高めることが可能になる。
【0019】
上記の診断システムは、上記制御部によって判定された判定結果を報知する報知部を備えるのが好ましい。これにより、開閉バルブの交換時期を報知部によって作業者に速やかに知らせることが可能になる。
【0020】
上記の診断システムにおいて、上記ベル型塗装機及び上記複数の開閉バルブはいずれも、塗装ロボットのロボットアームに取付けられており、上記制御部は、上記ロボットアームの移動軌跡を制御するロボット制御部によって構成されているのが好ましい。これにより、診断システムのための制御部をロボット制御部によって兼用することが可能になる。
【0021】
以下、本実施形態のベル型塗装機用開閉バルブの診断システム(以下、単に「診断システム」という。)について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1にかかる塗装装置10は、車体Wの塗装を行うためのものである。この塗装装置10は、ベル型塗装機11(以下、単に「塗装機11」という。)と、塗装ロボット20と、ロボット制御部22と、を備えている。
【0023】
塗装機11は、ハウジング12に収容されたモータ13によって回転駆動されるベルカップ11aを備えている。この塗装機11は、カップ形状を有するベルカップ11aの回転によって塗料を粒化して、空気と静電気を利用して車体Wの被塗装面に塗着させるように構成されている。
【0024】
塗装ロボット20は、複数の回転軸を有するロボットアーム21を有する。このロボットアーム21は、その移動軌跡がロボット制御部22によって制御されるように構成されている。また、このロボットアーム21の先端部21aには、塗装機11が後述のカラーチェンジバルブ16とともに取付けられている。このため、塗装ロボット20のロボットアーム21が予め教示された移動軌跡にしたがって動くことによって、塗装機11の位置及び姿勢が変更される。
【0025】
図2に示されるように、塗装機11のハウジング12内にはベルカップ11aに向けて塗料が流れる流通路12aが設けられている。この流通路12aの上流部に、塗色数と同数である複数(図2では3つ)の供給経路15の下流部が接続されている。複数(図2では3つ)のポンプ14のそれぞれから吐出された塗料は、対応する供給経路15を通じて塗装機11の流通路12aへと流れるようになっている。
【0026】
複数の供給経路15にカラーチェンジバルブ(以下、「CCV」という。)16が設けられている。このCCV16には、複数(図2では3つ)の開閉バルブ16aが含まれている。これら複数の開閉バルブ16aのそれぞれが複数の供給経路15のそれぞれに開閉可能に設けられている。複数の開閉バルブ16aはいずれも、塗装機11の外部に設けられている。
【0027】
複数の開閉バルブ16aのバルブ切り替えによって、1つの開閉バルブ16aが選択的に開放されて、この開閉バルブ16aに対応した供給経路15を通じて、この供給経路15に対応した塗色の塗料が流通路12aに供給される。開閉バルブ16a自体をCCVということもできる。
【0028】
なお、図2中のポンプ14、供給経路15及び開閉バルブ16aのそれぞれの数は、使用する塗色数に応じて適宜に変更される。
【0029】
開閉バルブ16aは、エア供給経路17aを通じて供給されるエアのエア圧力によって作動するバルブとして構成されている。特に図示しないものの、この開閉バルブ16aは、弁体と、この弁体を閉方向に付勢する弾性バネと、を有する。この開閉バルブ16aは、シール部が溶剤と接触し、且つ高頻度でオンオフ動作するため、バネやパッキン等の部品が劣化して動作不良を生じ易い。
【0030】
エア供給経路17aには、制御部30によって制御される電磁弁17が開閉可能に設けられている。この電磁弁17は、電磁力を用いて作動する既知の電磁弁であり、具体的な構造についての説明は省略するが、制御部30から出力された第1指令信号S1によって開動作するように構成されている。
【0031】
なお、図2では、説明の便宜上、1つの開閉バルブ16aのみにエア供給経路17aが接続されている様子が示されているが、実際には他の開閉バルブ16aにも同様にエア供給経路17aが接続されている。
【0032】
開閉バルブ16aの弁体に作用するエア圧力は、電磁弁17の開放時に相対的に高くなる一方で、電磁弁17の閉鎖時に相対的に低くなる。そして、エア圧力が弾性バネの付勢力に打ち勝って弁体が開方向に動くことで開閉バルブ16aが開動作する。これに対して、エア圧力が低下して弁体が弾性バネの付勢力にしたがって閉方向に動くことで開閉バルブ16aが閉動作する。
【0033】
塗装機11のモータ13は、エア供給経路18aを通じて供給されるエアのエア圧力によって回転するエアモータとして構成されている。このモータ13が回転軸Lを中心に回転すると、ベルカップ11aもこのモータ13と同軸の回転軸Lを中心に回転するようになっている。
【0034】
エア供給経路18aには電空レギュレータ(電空Reg.)18が設けられている。この電空レギュレータ18は、既知の電空レギュレータであり、具体的な構造についての説明は省略するが、制御部30が出力する電気的な指令信号を検出し、この指令信号に応じてモータ13に供給されるエア圧力を制御する機能を有する。この電空レギュレータ18は、制御部30から出力された第2指令信号S2によってエア供給経路18aのエア圧力を上昇させる一方で、制御部30から出力された第3指令信号S3によってエア供給経路18aのエア圧力を低下させるように構成されている。
【0035】
検出部19は、塗装機11のベルカップ11aを回転駆動するモータ13の回転数に関する情報を検出する機能を有する。この検出部19は、LEDを搭載した非接触方式の回転数検出器であり、LEDから発光した赤色可視光がモータ13の回転部分に当たって戻ってきた反射光を検出することによって回転数に関する情報を得るように構成されている。なお、この検出部19に代えて、別の検出方式の回転数検出器を採用することもできる。
【0036】
ここで、実施形態1の診断システム1は、CCV16の複数の開閉バルブ16aを診断するためのものであり、上記の検出部19と、制御部30と、報知部40と、を備えている。また、制御部30は、上記のロボット制御部22と兼用の制御部として構成されている。
【0037】
制御部30は、複数の開閉バルブ16aを開閉制御するとともに、検出部19によって検出された情報とその目標値とに基づいて、即ちモータ13とその目標回転数とに基づいて、モータ13をフィードバック制御する機能を有する。この機能を実現するために、この制御部30は、記憶部31と、タイマ32と、演算部33と、判定部34と、駆動部35と、を備えている。
【0038】
記憶部31は、検出部19及びタイマ32のそれぞれが検出した情報、演算部33の演算で使用する演算式及び判定用閾値などの情報を一時的に記憶し、記憶した情報を要求に応じて出力する機能を有する。
【0039】
タイマ32は、後述の開閉バルブ診断処理の判定の際に使用する応答時間を計測する機能を有する。
【0040】
演算部33は、記憶部31に記憶されている情報を使用して必要な演算を行う機能を有する。
【0041】
判定部34は、演算部33の演算結果を使用して、後述の開閉バルブ診断制御において、開閉バルブ16aが正常であるか否かの判定を行う機能を有する。
【0042】
駆動部35は、記憶部31に記憶されている情報、演算部33の演算結果、判定部34の判定結果に基づいて、電磁弁17、電空レギュレータ18、報知部40のそれぞれを駆動するための制御信号を出力する機能を有する。
【0043】
報知部40は、制御部30の判定部34によって判定された判定結果を報知する機能を有する。この報知部40として、典型的には、アラーム音や音声などの音情報を出力するスピーカー類や、点灯や点滅が可能なランプ類が使用される。
【0044】
次に、上記の制御部30による塗装制御について図3を参照しつつ具体的に説明する。
【0045】
図3のフローチャートに示されるように、この塗装制御は、ステップS101からステップS106までの処理を順次実行することによって達成される。
なお、必要に応じてこのフローチャートに別のステップが追加されてもよいし、或いは1つのステップが複数のステップに分割されてもよい。
【0046】
ステップS101は、モータ13を起動して一定回転数で回転させるステップである。このステップS101において、電空レギュレータ18が制御されることによってモータ13にその目標回転数を達成するためのエア圧が供給される。
【0047】
ステップS102は、塗装のための塗料吐出指令に基づいて、バルブ切り替え時にCCV16の複数の開閉バルブ16aの中から選択した開閉バルブ16aが開動作するように、電磁弁17へ開動作のための第1指令信号S1を出力するステップである。このステップS102によれば、選択した開閉バルブ16aが開放されて、塗装機11の流通路12aに塗料が供給される。
【0048】
ステップS103は、電空レギュレータ18へモータ13の回転数を上昇させるための第2指令信号S2を出力するステップである。このステップS103によれば、第2指令信号S2の指令値に応じて、エア供給経路18aを通じてモータ13に供給されるエアのエア圧力が上昇する。
【0049】
ここで、塗装機11の流通路12aに塗料が供給されることによってベルカップ11aの負荷が高くなり、このベルカップ11aを回転駆動するモータ13の回転数が一時的に低下する。従って、このステップS103では、制御部30によるフィードバック制御によって、モータ13の回転数を低下した状態から目標回転数に戻すための指令値が、制御部30から電空レギュレータ18へ出力される。その結果、エア供給経路18aのエア圧力が上昇してモータ13の回転数が上昇する。
【0050】
ステップS104は、検出部19によって検出されたモータ13の回転数が目標回転数以上であるか否かを判定するステップである。このステップS104でモータ13の回転数が目標回転数以上であると判定した場合にステップS105にすすみ、そうでない場合にステップS103に戻る。
【0051】
ステップS105は、電空レギュレータ18へモータ13の回転数を下降させるための第3指令信号S3を出力するステップである。このステップS105によれば、第3指令信号S3の指令値に応じて、エア供給経路18aを通じてモータ13に供給されるエアのエア圧力が低下する。その結果、モータ13の回転数が低下する。
【0052】
ステップS106は、検出部19によって検出されたモータ13の回転数が目標回転数を下回っているか否かを判定するステップである。このステップS106でモータ13の回転数が目標回転数を下回っていると判定した場合にステップS103に戻り、そうでない場合にステップS105に戻る。
【0053】
モータ13の回転数を検出部19によって連続的に検出することによって、このモータ3の起動中はステップS103からステップS106までの処理が繰り返される。
【0054】
次に、上記の制御部30による開閉バルブ診断処理について図4及び図5を参照しつつ具体的に説明する。
【0055】
図4のフローチャートに示されるように、この開閉バルブ診断処理は、ステップS201からステップS207までの処理を順次実行することによって達成される。
なお、必要に応じてこのフローチャートに別のステップが追加されてもよいし、或いは1つのステップが複数のステップに分割されてもよい。
【0056】
ステップS201は、図3中のステップS103で出力された第2指令信号S2の指令値に応じて、応答時間の計測を開始するステップである。即ち、このステップS201によれば、応答時間の計測を開始するようにタイマ32が制御される。
【0057】
ここでいう「応答時間」とは、バルブ切り替え時に複数の開閉バルブ16aの中から選択した開閉バルブ16aについて、電磁弁17へ第1指令信号S1を出力してから電空レギュレータ18へ第2指令信号S2を出力するまでに要する時間をいう。開閉バルブ16aが劣化する前の正常な状態ではこの応答時間がほぼ一定であるが、開閉バルブ16aが劣化した異常な状態ではこの応答時間が正常な状態のときよりも長くなったり短くなったりする。
【0058】
ステップS202は、図3中のステップS103で出力された第2指令信号S2の指令値の上昇幅が設定値以上であるか否かを判定するステップである。この設定値として、指令値が上昇方向に変更されたことを判別可能な値が使用される。このステップS202によれば、指令値の上昇幅が設定値以上になったことを条件にステップS203にすすむ。
【0059】
ステップS203は、ステップS201で開始した初期応答時間の計測を停止するステップである。即ち、このステップS203によれば、応答時間の計測を停止するようにタイマ32が制御される。
【0060】
ステップS201からステップS203までの処理は、第1指令信号S1の出力時からフィードバック制御によってモータ13の回転数を上昇させるための第2指令信号S2を出力するまでに要した応答時間を計測する計測ステップである。
【0061】
ステップS204は、ステップS201からステップS203までの計測ステップで計測した応答時間に基づいて、選択した開閉バルブ16aが正常であるか否かを判定する判定ステップである。このステップS204では、具体的には、ステップS203で計測された応答時間から基準時間を差し引いた値を時間差として求める。そして、この時間差が判定用閾値以下であるか否かを判定する。
【0062】
上記の時間差が判定用閾値以下である場合、ステップS205で開閉バルブ16aが正常状態であると判定する。一方で、上記の時間差が判定用閾値を上回る場合、ステップS206で開閉バルブ16aが劣化した異常状態であると判定し、引き続いてステップS207で報知部40を使用してステップS206の判定結果を報知する。このとき、ステップS205の判定結果もあわせて報知するようにしてもよい。
【0063】
上述の開閉バルブ診断処理を、CCV16のバルブ切り替え時に複数の開閉バルブ16aについて1つずつ順番に実行し、全ての開閉バルブ16aを繰り返し診断する。
【0064】
ここで、図5を参照しながら、電空レギュレータ18に対して出力される指令値の時間変化の一例について説明する。この図5では、開閉バルブ16aが正常な状態である正常時の指令値の時間変化が破線で示され、開閉バルブ16aが異常な状態である劣化時の指令値の時間変化が実線で示されている。
【0065】
図5に示されるように、開閉バルブ16aの正常時には、時刻t1において電磁弁17へ開動作のための第1指令信号S1が出力される(図3中のステップS102を参照)。その後、時刻t2において電空レギュレータ18へ第2指令信号S2が出力され、この第2指令信号S2の指令値がVaからVbへと上昇し始める。従って、正常時の応答時間はTaとなり、このときの応答時間Taが劣化時との比較のための基準時間となる(図4中のステップS204を参照)。
【0066】
なお、正常な開閉バルブ16aについて図3中の塗装制御を実行したときに、この基準時間Taを計測するのが好ましい。或いは、塗装装置10のテスト運転時にこの基準時間Taを予め計測してもよい。そして、計測した基準時間Taを制御部30の記憶部31に一時的に記憶させる。
【0067】
これに対して、開閉バルブ16aの劣化時には、正常時と同様に時刻t1において電磁弁17へ開動作のための第1指令信号S1が出力される(図3中のステップS102を参照)。その後、時刻t2よりも遅い時刻t3において電空レギュレータ18へ第2指令信号S2が出力され、この第2指令信号S2の指令値がVaからVbへと上昇し始める。従って、劣化時の応答時間は、正常時を上回るTb(>Ta)となる。また、このときの応答時間Tbから、予め定められた正常時の応答時間(基準時間)Taを差し引いた値である時間差ΔTが、制御部30の記憶部31に予め記憶された判定用閾値Mと比較される(図4中のステップS204を参照)。判定用閾値Mは、複数の開閉バルブ16aの全てについて共通の値であってもよいし、或いは複数の開閉バルブ16aのそれぞれについて個別に設定された値であってもよい。
【0068】
なお、図5では、開閉バルブ16aの劣化によって、電空レギュレータ18への第2指令信号S2の出力タイミングが正常時よりも遅くなる場合について例示しているが、この出力タイミングが正常時よりも早くなる場合も想定される。この場合は、劣化時の応答時間Tbが正常時の応答時間Taを下回ることになるため、応答時間Taから応答時間Tbを差し引いた値を時間差ΔTとすればよい。
【0069】
次に、上記の実施形態1の作用効果について説明する。
【0070】
塗装装置10において、CCV16の開閉バルブ16aが劣化して作動不良を起こすと、開閉バルブ16aの開動作のための第1指令信号S1が出力されてから実際に塗装機11に塗料が供給されるタイミングが正常時に対して遅くなったり早くなったりする。即ち、第1指令信号S1の出力時から第2指令信号S2を出力するまでに要する応答時間Tbが正常時の基準時間Taに比べて長くなったり短くなったりする。
【0071】
そこで、実施形態1では、制御部30が第1指令信号S1を電磁弁17に出力して塗装機11に塗料が供給されたとき、この第1指令信号S1の出力時から第2指令信号S2を出力するまでの応答時間Tbに基づいて、選択した開閉バルブ16aが正常であるか否かを判定する。
【0072】
これにより、開閉バルブ16aが正常であるか否かを判定することができる。しかも、第1指令信号S1の出力タイミングに対する第2指令信号S2の出力タイミングの遅れに着目することによって、車体Wの品質不良が発生するよりも前の段階で開閉バルブの異常の兆候を早期に判別することが可能になる。
そして、作業者は、この判別結果に応じて、劣化して異常であると判定された開閉バルブ16aを速やかに交換すればよい。その結果、車体Wの品質不良が発生するのを防ぐことが可能になる。
【0073】
特に、この診断システム1及び診断方法では、計測した応答時間Tbと予め定められた基準時間Taとの時間差ΔTが判定用閾値M以下であるときに開閉バルブ16aが正常であり、時間差ΔTが判定用閾値Mを上回るときに開閉バルブ16aが異常である、即ち劣化していると判定することによって、判定の信頼性を高めることが可能になる。
【0074】
また、実施形態1によれば、開閉バルブ16aの交換時期を報知部40によって作業者に速やかに知らせることが可能になる。
【0075】
また、実施形態1によれば、診断システム1のための制御部30をロボット制御部22によって兼用することが可能になる。
【0076】
以下、実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0077】
(実施形態2)
実施形態2の診断システム101は、実施形態1の診断システム1と同様の要素によって構成されている。一方で、この診断システム101の制御部30による開閉バルブ診断処理が、実施形態1の場合と相違している。
その他は、実施形態1と同様である。
【0078】
図6に示されるように、実施形態2における開閉バルブ診断処理は、ステップS301からステップS307までの処理を順次実行することによって達成される。このうち、ステップS301からS303までのステップは、実施形態1におけるステップS201からS203までのステップと同様であるため説明を省略する。
【0079】
ステップS304は、ステップS301からステップS303までの計測ステップで計測された応答時間を使用して、開閉バルブ16aが正常であるか否かを判定する判定ステップである。このステップS304では、具体的には、計測ステップで計測された応答時間(図5中の応答時間Tbを参照)が判定用閾値N以下であるか否かを判定する。
【0080】
上記の応答時間Tbが判定用閾値N以下である場合、ステップS305で開閉バルブ16aが正常状態であると判定する。一方で、上記の応答時間Tbが判定用閾値Nを上回る場合、ステップS306で開閉バルブ16aが劣化状態であると判定し、引き続いてステップS307で報知部40を使用してステップS306の判定結果を報知する。このとき、ステップS305の判定結果もあわせて報知するようにしてもよい。
【0081】
判定用閾値Nは、予め設定されて制御部30の記憶部31に予め記憶されている。この判定用閾値Nは、複数の開閉バルブ16aの全てについて共通の値であってもよいし、或いは複数の開閉バルブ16aのそれぞれについて個別に設定された値であってもよい。
【0082】
実施形態2によれば、測定した応答時間Tb自体を判定用閾値Nと比較することによって、実施形態1のように基準時間Taを計測する処理を省略することができるため、開閉バルブ診断処理を簡素化することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0083】
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0084】
上記の実施形態では、モータ13のフィードバック制御に使用するパラメータがモータ13の回転数とその目標回転数である場合について例示したが、これに代えて、ベルカップ11aの回転数とその目標回転数をモータ13のフィードバック制御に使用することもできる。
【0085】
上記の実施形態では、制御部30の判定部34によって判定された判定結果を報知部40によって報知する場合について例示したが、この報知部40に代えて或いは加えて、上記の判定結果を画面表示するモニター類や、上記の判定結果を印字出力するプリンター類を使用することもできる。
【0086】
上記の実施形態では、診断システム1,101の制御部30がロボット制御22と兼用される場合について例示したが、これに代えて、制御部30を診断システム1,101に専用の制御部とすることもできる。
【0087】
上記の実施形態では、CCV16の全ての開閉バルブ16aについて開閉バルブ診断処理を実行する場合について例示したが、これに代えて、必要に応じて複数の開閉バルブ16aのうち1又は複数の特定の開閉バルブ16aについてのみ開閉バルブ診断処理を実行するようにしてもよい。
【0088】
上記の実施形態では、開閉バルブ16aの開動作のための指令信号S1がこの開閉バルブ16aに連通する電磁弁17に出力されるようにしたが、この開閉バルブ16aとして電磁弁を採用した場合には、この電磁弁自体に開動作のための指令信号が出力されるようにしてもよい。
【0089】
上記の実施形態では、塗装機11のベルカップ11aを回転駆動するモータ13がエアモータである場合について例示したが、このモータ13に代えて電動モータを採用することもできる。本実施形態のモータ13の場合、その回転数を変化させるための指令信号S2,S3が電空レギュレータ18に出力されるようにしたが、電動モータの場合は、その回転数を変化させるための指令信号が電動モータ自体に出力されてもよい。
【0090】
上記の実施形態では、開閉バルブ16aにエアを供給するエア供給経路17aに電磁弁17を設け、モータ13にエアを供給するエア供給経路18aに電空レギュレータ18を設ける場合について例示したが、必要に応じて、これら電磁弁17及び電空レギュレータ18のうちの少なくとも一方を別のタイプのバルブに変更することもできる。
【0091】
上記の実施形態では、開閉バルブ16aが塗装機11の外部に設けられる場合について例示したが、これに代えて、塗装機11のハウジング12内に開閉バルブ16aを設けるようにしてもよい。
【0092】
上記の実施形態では、塗料の供給経路15に設けられた開閉バルブ16aの切替えによって塗装機11の色替えを行う場合について例示したが、これに代えて、塗料が充填され且つこの塗料の供給経路を開閉可能な開閉バルブが内蔵されておりそれぞれが塗装機に着脱可能な複数のカーリッジを用い、これら複数のカーリッジの取替えによって塗装機の色替えを行うようにしてもよい。この場合、いずれも開閉バルブを内蔵している複数のカートリッジが塗装装置の構成要素となる。
【0093】
複数のカーリッジの中から所望の色の塗料が充填されているカートリッジを選択して塗装機に取付ける。これにより、この色の塗料を供給する供給経路に選択したカートリッジの開閉バルブが開閉可能に設けられる。この開閉バルブを複数の開閉バルブの中から選択された開閉バルブということもできる。
【0094】
塗装機に取付けられたカートリッジに内蔵されている開閉バルブに電磁弁17及びエア供給経路17aを通じてエアを供給してこの開閉バルブを開放し、且つこのカートリッジに塗料を押し出すための押出液を供給する。これにより、このカートリッジに充填されている塗料が塗装機から噴射される。また、このカートリッジに内蔵されている開閉バルブを上述の診断システム1,101を使用して診断することができる。そして、塗装機にカートリッジを付け替える毎に、このカートリッジに内蔵されている開閉バルブを診断できる。
【0095】
また、上記の実施形態や、他の変更例に鑑みた場合、以下のような態様が考えられる。
【0096】
一つの態様として、
「ベル型塗装機と、
上記ベル型塗装機に塗料を供給する複数の供給経路のそれぞれにそれぞれが開閉可能に設けられた複数の開閉バルブと、
上記ベル型塗装機のベルカップを回転駆動するモータの回転数に関する情報を検出する検出部と、
上記複数の開閉バルブを開閉制御するとともに、上記検出部によって検出された情報とその目標値とに基づいて上記モータをフィードバック制御する制御部と、
を備え、
上記制御部は、上記複数の開閉バルブの中から選択した開閉バルブの開動作のための第1指令信号を出力して上記ベル型塗装機に塗料が供給されたとき、上記第1指令信号の出力時から上記フィードバック制御によって上記モータの回転数を上昇させるための第2指令信号を出力するまでに要した応答時間に基づいて、選択した上記開閉バルブが正常であるか否かを判定するように構成されている、塗装装置。」
という態様を採り得る。
この態様によれば、開閉バルブの異常を早期に判別することができる判別機能を備えた塗装装置を提供することができる。
【0097】
他の態様として、
「ベル型塗装機と、
上記ベル型塗装機のベルカップを回転駆動するモータの回転数に関する情報を検出する検出部と、
塗料が充填され且つこの塗料の供給経路を開閉可能な開閉バルブが内蔵されておりそれぞれが上記ベル型塗装機に着脱可能に構成された複数のカーリッジと、
上記複数のカーリッジの中から選択して上記ベル型塗装機に取付けられたカートリッジの上記開閉バルブを開閉制御するとともに、上記検出部によって検出された情報とその目標値とに基づいて上記モータをフィードバック制御する制御部と、
を備え、
上記制御部は、上記開閉バルブの開動作のための第1指令信号を出力して上記カートリッジから上記ベル型塗装機に塗料が供給されたとき、上記第1指令信号の出力時から上記フィードバック制御によって上記モータの回転数を上昇させるための第2指令信号を出力するまでに要した応答時間に基づいて、上記開閉バルブが正常であるか否かを判定するように構成されている、塗装装置。」
という態様を採り得る。
この態様によれば、ベル型塗装機に取付けられたカートリッジに内蔵されている開閉バルブの異常を早期に判別することができる判別機能を備えた塗装装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0098】
1,101 ベル型塗装機用開閉バルブの診断システム
11 ベル型塗装機(塗装機)
11a ベルカップ
13 モータ
15 供給経路
16 カラーチェンジバルブ(CCV)
16a 開閉バルブ
19 検出部
20 塗装ロボット
21 ロボットアーム
22 ロボット制御部
30 制御部
40 報知部
M,N 判定用閾値
S1 第1指令信号
S2 第2指令信号
Ta 応答時間(基準時間)
Tb 基準時間
ΔT 時間差
図1
図2
図3
図4
図5
図6