(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
本開示の一例であるヘッドアップディスプレイ1は、
図1に示すように、車両AM等の移動体に搭載されて用いられるものであって、立体画像を提供する機能を有する。ヘッドアップディスプレイ1は、立体表示装置10を備える。また、ヘッドアップディスプレイ1は、制御回路50を備えてもよい。
【0013】
立体表示装置10は、表示装置から一定距離離れた位置に2つ以上の視点を有し、視点に応じた視差画像を提供できる装置である。なお、視差画像とは、表示すべき3次元表示物を設定した視点位置から2次元画像に透視投影したものである。
【0014】
立体表示装置10は、被投影部材であるフロントガラスGに向けて画像に基づく光線を射出する。この光線はフロントガラスGにて反射され、運転者の視線すなわちアイレンジERへ向かう。そして、アイレンジERにおいて、車両AMの前方に虚像VIを形成して運転者に視認させる。
【0015】
虚像VIとして表示する各種情報には、車両情報や前景情報を含む。車両情報とは、例えば、車両AMの走行状態を示す数値情報、具体的には、車速、エンジン回転数、燃料残量等の情報が含まれる。また、前景情報とは、フロントガラスGを通して運転者が視認する前景を補う情報、具体的には、歩行者や他車両の位置や進行方向、走行すべき経路の情報等が含まれる。
【0016】
なお、被投影部材は、フロントガラスGに限らず、周知のコンバイナであってもよい。また、
図1における光軸Bは、例えば、立体表示装置10が表示させた光の光路の中心等のある部位を示す模式的なものである。
【0017】
制御回路50は、立体表示装置10が備える光源11や液晶パネル21(
図2等参照)を制御するための制御信号を送る。具体的には、制御回路50は、車両AMが備える周知のセンサや運転者等が入力する指令に応じて、光源11の輝度や液晶パネル21により表示させる画像の種別等を特定するための制御信号を生成し、この制御信号を立体表示装置10に送る。
【0018】
立体表示装置10は、
図2に示すように、画像生成部20Aと、立体視用レンチキュラ16と、投射レンズ17と、を備える。立体表示装置10は、光源11、照明レンズ12を備えてもよい。
【0019】
[1−2.画像生成部の構成]
画像生成部20Aは、画像表示部22と、遮光拡散板24と、を備え、画像表示部22は、液晶パネル21と、サブピクセルMLA23と、を備える。なお、MLAはマイクロレンズアレイの略である。
【0020】
本実施形態の画像生成部20Aは、超多眼方式の立体表示に対応する。超多眼方式とは、複数組の視差画像を人の瞳孔径以下の間隔で表示させる方式を表す。通常の多眼方式が、距離知覚の機能として輻輳と両眼視差、運動視差を誘起するのに対して、超多眼方式では、さらに調節機能も誘起できる。超多眼方式については、例えば、特開2012-18245や、論文「Y. Takaki, Y. Urano, S. Kashiwada, H. Ando, and K. Nakamura, "Super multi-view windshield display for long-distance image information presentation," Opt. Express 19, 704-716 (2011)」等に記載の技術を用いることができる。
【0021】
なお、本実施形態の構成は超多眼方式での表示に対応しているが、本開示は超多眼ではない通常の多眼方式やインテグラルイメージングなどの他の立体表示方式にも対応できる。
液晶パネル21、サブピクセルMLA23、および遮光拡散板24は、それぞれ板状に形成される。
【0022】
立体視用レンチキュラ16および投射レンズ17は、画像生成部20Aから射出された光を透過させつつ、各視点に向けて該光を屈折させるように構成される。立体視用レンチキュラ16は、周知のレンチキュラレンズとして構成され、投射レンズ17は周知の凸レンズまたは凹レンズとして構成される。これらのレンズの曲率及び屈折率は、立体表示装置10にて生成された画像がアイレンジERにて良好に結像されるよう設定される。
【0023】
本実施例においては、立体視用レンチキュラ16および投射レンズ17について、それぞれ視点の分割そしてアイレンジERへの視点の形成と機能を分割して構成しているが、立体使用レンチキュラ16のピッチを変更して、機能を統合して構成してもよい。
また投射レンズ17には薄型化のためにフレネルレンズや回折光学素子を用いることもできる。より好適には、ウインドウシールドの形状により発生する収差を補正するための自由曲面形状を有する光学素子や,自由曲面形状に対応した位相情報を有する回折光学素子でもよい。
【0024】
光源11は、
図2に示すように、制御回路50からの制御信号に応じて、液晶パネル21のバックライトとなる光を射出し、照明レンズ12を介してこの光を液晶パネル21に供給する。照明レンズ12は、光源11により発せられた光を平行光となるように屈折させる周知の凸レンズとして構成される。また、照明レンズ12には薄型化のためにフレネルレンズや回折光学素子を用いてもよい。なお、光源11には、例えば、LEDやレーザ装置等の任意の照明装置を用いることができる。
【0025】
液晶パネル21は、
図2および
図3に示すように、複数の発色部21R、21G、21Bを1画素分の画素素子として、縦方向および横方向に並べて配置された複数の発色部21R、21G、21Bを備える。液晶パネル21は、制御回路50からの制御信号に応じて、それぞれの発色部21R、21G、21Bを透過する光の量を制御することによって、複数組の視差画像を表示させるように構成される。
【0026】
液晶パネル21は、光源11からの光を透過させるように構成されており、複数の発色部21R、21G、21Bは、縦方向および横方向に異なる色の発色部21R、21G、21Bを並べることによって画素素子を構成する。
【0027】
ここで、縦方向とは、
図3に示すように、鉛直方向に対応する方向であるものの、鉛直方向と一致する方向ではなく、鉛直方向に対して予め設定された若干の角度を有する方向である。また、横方向とは、縦方向と直交する方向であり、水平方向予め設定された若干の角度を有する方向である。
【0028】
図3に示す例では、各発色部21R、21G、21Bのうちの同一の数字が記載された発色部21R、21G、21Bが同一の視差画像に対応する。つまり、鉛直方向に並ぶR,G,Bの3つの発色部21R、21G、21Bが1画素を構成する。
【0029】
この構成では、
図3にて示す数字の数だけ視差画像を生成することができるので、鉛直方向と縦方向とを一致させる通常の液晶パネルと比較して、水平方向の解像度を高くすることできる。例えば、多数の視差画像を生成する際に、水平方向の解像度を確保しやすくすることができる。
【0030】
なお、液晶パネル21は、各発色部21R、21G、21Bの立体視用レンチキュラ16側の領域を全領域として、全領域の一部を遮蔽し、残りの部分を開口部分とするよう構成される。全領域に対する開口部分の割合を開口率とする。この開口率は、クロストークが発生しにくいように、適切に設定される。
【0031】
遮光拡散板24は、
図4に示すように、ピンホールアレイ板25と、水平拡散板26と、を備える。ピンホールアレイ板25および水平拡散板26は、それぞれ板状に形成される。サブピクセルMLA23および水平拡散板26は、複数の発色部21R、21G、21Bを介して発せられる光を透過させつつ、発色部21R、21G、21B毎に予め設定された角度で該光を集光、または発散させるように構成される。なお、
図4、
図8、
図11−
図20に記載された矢印は、光源11にて発せられた光の進行方向を示す。
【0032】
サブピクセルMLA23は、発色部21R、21G、21B毎に光を屈折させるマイクロレンズが縦横に多数並ぶアレイ配置されて構成されたマイクロレンズアレイとして構成される。それぞれのマイクロレンズは、鉛直方向および水平方向に対して集光する凸レンズとして構成される。なお、マイクロレンズは、鉛直方向および水平方向について同様の屈折率に設定される。また,マイクロレンズは非球面レンズや回折光学素子やホログラフィック光学素子で構成されてもいい.
【0033】
水平拡散板26は、サブピクセルMLA23を通過した光を水平方向にだけ拡散させるように屈折させる機能を有する。水平拡散板26には、例えば、ホログラフィ素子やレンチキュラレンズ等を採用できる。
【0034】
ピンホールアレイ板25は、
図4および
図5に示すように、サブピクセルMLA23よりもサブピクセルMLA23による焦点位置F側に配置され、サブピクセルMLA23により集光された光を通過させるための多数の孔部25Hを有する。
【0035】
多数の孔部25Hは、サブピクセルMLA23を構成するマイクロレンズ毎に形成され、サブピクセルMLA23により集光された光以外の光の大部分を遮断できる程度の大きさに設定される。
【0036】
なお、サブピクセルMLA23によって結像される像は、クロストークの抑制のためには、サブピクセル、すなわち個々の発色部21R、21G、21Bの大きさよりも小さくなることが好ましい。
【0037】
このための条件としては、
図6に示すように、発色部21R、21G、21Bの横方向の長さをx、縦方向の長さをy、発色部21R、21G、21Bの配置間隔(ピッチ)をp
x、p
y、光源の横方向の大きさをd
sx、縦方向の大きさをd
sy、照明レンズ12の焦点距離をf
IL、サブピクセルMLA23の焦点距離をf
MLAとしたとき、
d
sx ×f
MLA / f
IL < p
xかつd
sy ×f
MLA / f
IL < p
y
を満たすとよい。
【0038】
より好適には、立体視用レンチキュラレンズ16のピッチをP
L、レンチキュラレンズの角度をθ、超多眼方式で設定される視点数をNとしたときに、
d
sx ×f
MLA / f
IL ×cosθ+ d
sy ×f
MLA / f
IL ×sinθ < P
L/ N
を満たすようにすればよい。なお、レンチキュラレンズの角度θは、
図3に示す水平方向と横方向の角度差を表す。上式を満たすことでサブピクセルMLA23によって結像される像を立体視用レンチキュラレンズ16のピッチ方向に射影した長さがレンチキュラレンズ16のピッチを視点数で割った数、つまり1視点に割り当てられた投影長さよりも小さくなるため、クロストークをより低減できる。
【0039】
また、液晶パネル21の開口部では、光の回折現象が発生しやすいことが知られている。すなわち、液晶パネル21に平行光を入射しても、回折によって発散光が生じやすいことを示す。この傾向は、
図7に示すように、液晶パネル21とサブピクセルMLA23との距離Lが離れると、より顕著になる。そこで、本実施形態では、液晶パネル21とサブピクセルMLA23とを接触して配置している。この構成に加え、ピンホールアレイ板25を配置することで、不要光を抑制するようにしている。
【0040】
[1−3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)本開示のヘッドアップディスプレイ1は、液晶パネル21と、サブピクセルMLA23と、水平拡散板26と、立体視用レンチキュラ16と、投射レンズ17と、を備える。
【0041】
液晶パネル21は、複数の発色部21R、21G、21Bを1画素分の画素素子として、縦方向および横方向に並べて配置された複数の発色部21R、21G、21Bを用いて1組または複数組の視差画像を表示させるように構成される。
【0042】
サブピクセルMLA23および水平拡散板26は、複数の発色部21R、21G、21Bを介して発せられる光を透過させつつ、発色部21R、21G、21B毎に予め設定された方向に該光を屈折させるように構成される。
【0043】
立体視用レンチキュラ16および投射レンズ17は、サブピクセルMLA23および水平拡散板26を透過した光を透過させつつ、各視点に向けて該光を屈折させるように構成される。
【0044】
このようなヘッドアップディスプレイ1によれば、発色部21R、21G、21B毎に光を屈折させるサブピクセルMLA23および水平拡散板26を備えるので、サブピクセルMLA23の焦点近傍で、発色部21R、21G、21B毎の情報を有する点像群を形成することができる.本実施形態では、略平行光で液晶パネル21を照明することで、点像の大きさを十分小さくしているので、点像群は開口率を下げた液晶パネル21とみなすことができる。液晶パネル21の開口率を大きくしても点像群の開口率は増大しないので、画像の輝度を高めつつクロストークを低減できる。よって、ヘッドアップディスプレイ1によって生成される画像の輝度を高くすることができる。
【0045】
(1b)上記のヘッドアップディスプレイ1においてサブピクセルMLA23は、鉛直方向および水平方向の少なくとも1方向に対して光を屈折させるように構成され、水平拡散板26は、水平方向にだけ光を屈折させるように構成される。
【0046】
このようなヘッドアップディスプレイ1によれば、水平拡散板26が水平方向にだけ光を屈折させるので、視域の幅、つまりアイレンジの水平方向の長さを調整しやすい構成とすることができる。
【0047】
より詳細には、
図8に示すように、発色部21R、21G、21Bが縦長であるため、水平拡散板26が存在しない場合には、縦長のアイレンジERとなる。つまり、θh1<θvとなる。しかし、水平拡散板26を設け、水平方向に光を拡散させることによって、アイレンジERの水平方向の角度をθh2に広げ、横長のアイレンジERとすることができる。つまり、θv<θh2とすることができる。
【0048】
(1c)上記のヘッドアップディスプレイ1においてサブピクセルMLA23は、発色部21R、21G、21B毎に光を屈折させるマイクロレンズがアレイ配置されて構成されたマイクロレンズアレイとして構成される。水平拡散板26は、サブピクセルMLA23を通過した光を水平方向だけに拡散させるように構成される。
【0049】
このようなヘッドアップディスプレイ1によれば、複数のレンチキュラレンズを備えた構成と比較して、外観が概ね平板である部材でヘッドアップディスプレイ1を構成できるので、ヘッドアップディスプレイ1の組み立てを容易に行うことができる。より詳細には、画像生成部20Aが複数のレンチキュラレンズを備えて構成される場合は、液晶パネルと複数のレンチキュラレンズのお互いの位置、及び角度を調整しなければならない。しかし、サブピクセルMLA23と水平拡散板25を備えた本実施形態の構成ならば、液晶パネル21とサブピクセルMLA23は、お互いの位置と角度調整のみを行えばよく、水平拡散板は角度調整のみを行えばよいので、組立が容易になる。
【0050】
(1d)上記のヘッドアップディスプレイ1は、ピンホールアレイ板25をさらに備える。ピンホールアレイ板25は、サブピクセルMLA23よりもサブピクセルMLA23による焦点位置F側に配置され、サブピクセルMLA23により集光された光を通過させるための多数の孔部25Hを有する。
【0051】
このようなヘッドアップディスプレイ1によれば、ピンホールアレイ板25がサブピクセルMLA23により集光された光以外の散乱光等を遮断するので、クロストークをより抑制することができる。なお、ピンホールアレイ板25は本実施形態のみにて開示するが、下記の各実施形態の構成にも適用することができる。
【0052】
(1e)上記のヘッドアップディスプレイ1は、複数の発色部21R、21G、21Bに対して平行光を供給するように構成された光源11、照明レンズ12をさらに備える。
このようなヘッドアップディスプレイ1によれば、画像生成部20Aでの回折による発散光を低減することができる。
【0053】
[2.第2実施形態]
[2−1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0054】
前述した第1実施形態のヘッドアップディスプレイ1では、サブピクセルMLA23および水平拡散板26を有する画像生成部20Aを備えた。これに対し、第2実施形態のヘッドアップディスプレイ2では、画像生成部20Aに換えて、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bを有する画像生成部20Bを備える点で、第1実施形態と相違する。
【0055】
[2−2.構成]
第2実施形態のヘッドアップディスプレイ2において、立体表示装置10は、
図9に示すように、画像生成部20Bを備える。画像生成部20Bは、前述の液晶パネル21に加えて、ピクセルレンチキュラ31B、およびサブピクセルレンチキュラ32Bを備える。
【0056】
ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bは、液晶パネル21の立体視用レンチキュラ16、投射レンズ17側に重ねて配置される。特に、画像生成部20Bでは、液晶パネル21、ピクセルレンチキュラ31B、サブピクセルレンチキュラ32Bの順で積層される。
【0057】
また、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bは、それぞれ凸レンズであり、周知のレンチキュラレンズとして構成される。レンチキュラレンズは、複数の半円柱状レンズを所定のピッチで配列して構成され、所定の曲率半径を持つレンズ部と、レンズ部の反対側にほぼ平板としての形状を有する平面部とを有し、所定の厚さを持つ透明な構造物である。レンチキュラレンズは、例えば、ガラス製、或いは樹脂製とされる。
【0058】
ピクセルレンチキュラ31Bは、発色部21R、21G、21Bの縦方向の配置間隔と一致する幅を有する半円柱状レンズを鉛直方向に並べて配置する構成とされる。サブピクセルレンチキュラ32Bは、発色部21R、21G、21Bの横方向の配置間隔と一致する幅を有する半円柱状レンズを水平方向に並べて配置して構成される。サブピクセルレンチキュラ32Bは、発色部21R、21G、21B毎に光を屈折させる。
【0059】
立体表示装置10は、
図10、
図11、
図12に示すように、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bの間に、スペーサ41を備える。スペーサ41は、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bの上端、右端、左端のそれぞれにおいて同じ厚みを有する角柱状の部材が配置され、ピクセルレンチキュラ31Bとサブピクセルレンチキュラ32Bとの間隔を一定にした状態でこれらを保持する。
【0060】
このように保持されたピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bによる焦点位置F、つまり結像位置は、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bの光軸に直交する同一平面上に位置するように構成される。
【0061】
本実施形態での焦点位置Fは、サブピクセルレンチキュラ32Bよりも立体視用レンチキュラ16側となるため、第1実施形態で示すピンホールアレイ板25を配置する場合には、サブピクセルレンチキュラ32Bの立体視用レンチキュラ16側に配置するとよい。
【0062】
なお、サブピクセルレンチキュラ32Bによって結像される像は、クロストークの抑制のためには、第1実施形態と同様に、サブピクセル、すなわち個々の発色部21R、21G、21Bの大きさよりも小さくなることが好ましい。
【0063】
第2実施形態では、ピクセルレンチキュラ31Bの焦点距離をf
lentiy、サブピクセルレンチキュラ32Bをf
lentix、としたときに、
d
sx ×f
lentix / f
IL < p
xかつd
sy ×f
lentiy/ f
IL < p
y
を満たすとよい。
【0064】
また、
d
sx ×f
lentix / f
IL ×cosθ + d
sy ×f
lentiy/ f
IL × sinθ < P
L/ N
を満たすようにすればよい。この構成では、上記に述べたようにクロストークを低減することができる。
【0065】
[2−3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0066】
(2a)上記のヘッドアップディスプレイ2において、複数の発色部21R、21G、21Bは、横方向に異なる色の発色部21R、21G、21Bを並べることによって画素素子を構成する。そして、ピクセルレンチキュラ31B、およびサブピクセルレンチキュラ32Bを備える。
【0067】
ピクセルレンチキュラ31Bは、発色部21R、21G、21Bの縦方向の配置間隔と一致する幅を有する半円柱状レンズを鉛直方向に並べて配置して構成される。サブピクセルレンチキュラ32Bは、発色部21R、21G、21Bの横方向の配置間隔と一致する幅を有する半円柱状レンズを水平方向に並べて配置して構成される。
【0068】
このようなヘッドアップディスプレイ2によれば、互いに直交する方向への光の屈折を行う複数のレンチキュラレンズを用いて、鉛直方向および水平方向に光を屈折させるので、それぞれの方向に良好に光を拡散させることができる。
【0069】
(2b)上記のヘッドアップディスプレイ2は、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bは、液晶パネル21の立体視用レンチキュラ16、投射レンズ17側に重ねて配置される。
【0070】
このようなヘッドアップディスプレイ2によれば、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bの間隔を自由に調整できるので、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bによって集光される像の光軸方向での位置の調整を容易に調整することができる。
【0071】
(2c)上記のヘッドアップディスプレイ2において、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bによる焦点位置Fは、ピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bの光軸に直交する同一平面上に位置するように構成される。
【0072】
このようなヘッドアップディスプレイ2によれば、複数のレンチキュラ31B、32Bを用いる構成において画像のボケを抑制することができる。
[3.第3実施形態]
[3−1.第2実施形態との相違点]
前述した第2実施形態のヘッドアップディスプレイ2では、それぞれ凸レンズであるピクセルレンチキュラ31Bおよびサブピクセルレンチキュラ32Bを有する画像生成部20Bを備えた。これに対し、第3実施形態のヘッドアップディスプレイ3では、凹レンズで構成されるピクセルレンチキュラ31Cを有する画像生成部20Cを備える点で、第2実施形態と相違する。
【0073】
[3−2.構成]
第3実施形態のヘッドアップディスプレイ3において、立体表示装置10は、
図13および
図14に示すように、画像生成部20Cを備える。画像生成部20Cは、前述の液晶パネル21に加えて、ピクセルレンチキュラ31C、およびサブピクセルレンチキュラ32Cを備える。
【0074】
ピクセルレンチキュラ31Cおよびサブピクセルレンチキュラ32Cは、液晶パネル21の立体視用レンチキュラ16、投射レンズ17側に重ねて配置される。特に、画像生成部20Cでは、液晶パネル21、サブピクセルレンチキュラ32C、ピクセルレンチキュラ31C、の順で積層される。
【0075】
また、ピクセルレンチキュラ31Cおよびサブピクセルレンチキュラ32Cは、それぞれ凹レンズと凸レンズであり、周知のレンチキュラレンズとして構成される。このように保持されたピクセルレンチキュラ31Cおよびサブピクセルレンチキュラ32Cによる焦点位置Fは、ピクセルレンチキュラ31Cおよびサブピクセルレンチキュラ32Cの間になるよう設定される。なお、焦点位置Fは、ピクセルレンチキュラ31Cおよびサブピクセルレンチキュラ32Cの光軸に直交する同一平面上に位置するように構成される。
【0076】
[3−3.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0077】
(3a)上記のヘッドアップディスプレイ3では、液晶パネル21、凸レンズであるサブピクセルレンチキュラ32C、凹レンズであるピクセルレンチキュラ31C、の順で積層される。
【0078】
このようなヘッドアップディスプレイ3によれば、複数のレンチキュラレンズを用いる構成において、液晶パネル21とサブピクセルレンチキュラ32Cとの距離を近づけることができるので、液晶パネル21の開口部での光の回折現象を発生しにくくすることができる。
【0079】
[4.第4実施形態]
[4−1.上記実施形態との相違点]
前述した第2実施形態および第3実施形態のヘッドアップディスプレイ2、3では、少なくとも1つの凸レンズであるレンチキュラレンズを有する画像生成部20B、20Cを備えた。これに対し、第4実施形態のヘッドアップディスプレイ4では、凹レンズである複数のレンチキュラレンズを有する画像生成部20Dを備える点で、上記実施形態と相違する。
【0080】
[4−2.構成]
第4実施形態のヘッドアップディスプレイ4において、立体表示装置10は、
図15および
図16に示すように、画像生成部20Dを備える。画像生成部20Dは、前述の液晶パネル21に加えて、ピクセルレンチキュラ31D、およびサブピクセルレンチキュラ32Dを備える。
【0081】
また、ピクセルレンチキュラ31Dおよびサブピクセルレンチキュラ32Dは、それぞれ凹レンズであり、レンチキュラレンズとして構成される。このように保持されたピクセルレンチキュラ31Dおよびサブピクセルレンチキュラ32Dによる焦点位置Fは、液晶パネル21の表面、つまり、液晶パネル21の立体視用レンチキュラ16側の面上となるよう設定される。
【0082】
[4−3.効果]
以上詳述した第4実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0083】
(4a)第4実施形態のヘッドアップディスプレイ4では、ピクセルレンチキュラ31Dおよびサブピクセルレンチキュラ32Dによる焦点位置Fが液晶パネル21の表面上となるように構成される。
【0084】
このようなヘッドアップディスプレイ3によれば、複数のレンチキュラレンズを用いる構成において、レンチキュラレンズの焦点位置Fを液晶パネル21の表面上とするので、液晶パネル21の開口部での光の回折現象の影響を受けにくくすることができる。
【0085】
[5.第5実施形態]
[5−1.上記実施形態との相違点]
前述した第2、第3、第4実施形態のヘッドアップディスプレイ2、3、4では、複数のレンチキュラレンズを液晶パネル21の片側で積層するように画像生成部20B、20C、20Dを構成した。これに対し、第5実施形態のヘッドアップディスプレイ5では、複数のレンチキュラレンズが液晶パネル21を挟むように配置された画像生成部20Eを備える点で、上記実施形態と相違する。
【0086】
[5−2.構成]
第5実施形態のヘッドアップディスプレイ5において、立体表示装置10は、
図17および
図18に示すように、画像生成部20Eを備える。画像生成部20Eは、前述の液晶パネル21に加えて、ピクセルレンチキュラ31E、およびサブピクセルレンチキュラ32Eを備える。
【0087】
ピクセルレンチキュラ31Eは、液晶パネル21の光源11側にて液晶パネル21に接するように配置され、水平拡散板26、サブピクセルレンチキュラ32Eは、液晶パネル21の立体視用レンチキュラ16および投射レンズ17側にて液晶パネル21に接するように配置される。つまり、それぞれのレンチキュラレンズ31E、32Eは、液晶パネル21に直接接合されるので、スペーサ41が不要となっている。
【0088】
また、ピクセルレンチキュラ31Eおよびサブピクセルレンチキュラ32Eは、それぞれ凸レンズであり、レンチキュラレンズとして構成される。このように保持されたピクセルレンチキュラ31Dおよびサブピクセルレンチキュラ32Dによる焦点位置Fは、サブピクセルレンチキュラ32Dよりも立体視用レンチキュラ16側になるよう設定される。
【0089】
[5−3.効果]
以上詳述した第5実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0090】
(5a)上記のヘッドアップディスプレイ5は、液晶パネル21は、光源からの光を透過させるように構成されており、ピクセルレンチキュラ31Eは、液晶パネル21の光源11側に配置され、水平拡散板26、サブピクセルレンチキュラ32Eは、液晶パネル21の立体視用レンチキュラ16および投射レンズ17側に配置される。
【0091】
このようなヘッドアップディスプレイ5によれば、ピクセルレンチキュラ31Eとサブピクセルレンチキュラ32Eとの間に間隔を確保する必要がないため、間隔を確保するためのスペーサ41の配置を不要とすることができる。
【0092】
[6.第6実施形態]
[6−1.第5実施形態との相違点]
前述した第5実施形態では、複数のレンチキュラレンズが液晶パネル21を挟むように配置された構成において、凸レンズからなる複数のレンチキュラレンズを有する画像生成部20Eを備えた。これに対し、第6実施形態では、凹レンズおよび凸レンズからなる複数のレンチキュラレンズを有する画像生成部20Fを備えた点で、第5実施形態と相違する。
【0093】
[6−2.構成]
第6実施形態のヘッドアップディスプレイ6において、立体表示装置10は、
図19および
図20に示すように、画像生成部20Fを備える。画像生成部20Fは、前述の液晶パネル21に加えて、ピクセルレンチキュラ31F、およびサブピクセルレンチキュラ32Fを備える。
【0094】
ピクセルレンチキュラ31Fは、液晶パネル21の光源11側にて液晶パネル21に接するように配置され、凸レンズとして構成される。サブピクセルレンチキュラ32Eは、液晶パネル21の立体視用レンチキュラ16側にて液晶パネル21に接するように配置され、凹レンズとして構成される。
【0095】
ピクセルレンチキュラ31Fおよびサブピクセルレンチキュラ32Fによる焦点位置Fは、液晶パネル21の表面上となるように構成される。
[6−3.効果]
以上詳述した第6実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0096】
(6a)第6実施形態のヘッドアップディスプレイ6では、ピクセルレンチキュラ31Fおよびサブピクセルレンチキュラ32Fによる焦点位置Fが液晶パネル21の表面上となるように構成される。
【0097】
このようなヘッドアップディスプレイ6によれば、複数のレンチキュラレンズを用いる構成において、レンチキュラレンズの焦点位置Fを液晶パネル21の表面上とするので、液晶パネル21の開口部での光の回折現象の影響を受けにくくすることができる。
【0098】
[7.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0099】
(7a)上記実施形態では、
図3に示すように発色部21R、21G、21Bが配置された液晶パネル21を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、
図21に示すような液晶パネル21Aを用いてもよい。
【0100】
液晶パネル21Aでは、最上段の発色部21R、21G、21Bが、左から順にR、G、B、R、G、Bの順に並ぶ場合、この1つ下の段では、発色部21R、21G、21BがG、B、R、G、B、Rの順に並ぶように構成される。また、さらにその下の段では、発色部21R、21G、21BがB、R、G、B、R、Gの順に並ぶように構成される。
【0101】
この構成では、縦方向に並ぶ発色部21R、21G、21Bを用いて、1画素分の画素素子を構成できるので、液晶パネル21Aとレンズ23、32とを斜めに傾けて配置する必要がなく、縦方向と鉛直方向とを一致させるとともに、横方向と水平方向とを一致させて配置することができる。この構成では、液晶パネル21Aを構成する画素の利用効率を向上させることができる。
【0102】
なお、水平方向の解像度を考慮しない場合には、横方向に並ぶ発色部21R、21G、21Bを用いて1画素分の画素素子を形成する通常の液晶パネルに対して、液晶パネル21Aとレンズ23、32とを斜めに傾けることなく配置する、通常の配置としてもよい。
【0103】
(7b)上記実施形態では、液晶パネル21を採用し、発色部21R、21G、21Bはバックライトを透過させることで発色するよう構成したが、これに限定されるものではない。例えば、有機ELディスプレイ等、発色部21R、21G、21B自体が発光することで発色する構成としてもよい。この構成は、第1〜第4実施形態の構成に適用できる。
【0104】
(7c)上記第1実施形態では、サブピクセルMLA23を構成するマイクロレンズが、鉛直方向および水平方向について同様の曲率となるよう構成したが、これに限定されるものではない。例えば、マイクロレンズは、鉛直方向および水平方向で曲率が異なるMLAとして構成されてもよい。水平方向において、第1実施形態のサブピクセルMLA23と水平拡散板26とを組み合わせたときの水平方向の発散角になるよう設定すれば、水平拡散板26の配置を省略することができる。
【0105】
(7d)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0106】
(7c)上述したヘッドアップディスプレイ1〜6の他、当該ヘッドアップディスプレイ1〜6を構成要素とするシステム、1または複数の発色屈折部を用いて視差画像を生成する画像生成方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0107】
[8.実施形態の構成と本開示の構成との対応関係]
上記の実施形態において光源11、照明レンズ12は本開示でいう光提供部に相当し、液晶パネル21は本開示でいう画像表示部に相当し、サブピクセルMLA23、水平拡散板26、サブピクセルレンチキュラ32B、32C、32D、32E、32F、ピクセルセンチキュラ31B、31C、31D、31E、31Fは本開示でいう発色屈折部に相当する。また、立体視用レンチキュラ16、投射レンズ17本開示でいう視点屈折部に相当し、サブピクセルMLA23、ピクセルセンチキュラ31B、31C、31D、31E、31F本開示でいう第1屈折部に相当する。
【0108】
また、水平拡散板26、サブピクセルレンチキュラ32B、32C、32D、32E、32F本開示でいう第2屈折部に相当し、ピクセルセンチキュラ31B、31C、31D、31E、31F本開示でいう縦レンチキュラレンズに相当する。また、サブピクセルレンチキュラ32B、32C、32D、32E、32F本開示でいう横レンチキュラレンズに相当し、サブピクセルMLA23本開示でいうマイクロレンズアレイに相当する。