(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被洗浄車両に対して前後方向に移動する洗車機本体と、前記洗車機本体に昇降可能に配されるとともに下方に空気を送出する第1送風ノズルと、前記第1送風ノズルに取り付けられるとともに前後方向に空気を送出する第2送風ノズルとを備え、前記第1送風ノズル及び前記第2送風ノズルが空気供給経路を独立に設けられ、前記第2送風ノズルに供給される空気が前記第1送風ノズルに供給される空気よりも高圧であることを特徴とする洗車機。
前記第1送風ノズルが前後方向に傾斜可能に設けられ、被洗浄車両の後面の乾燥時に前記第1送風ノズルが前方に向けて傾斜するとともに、前記第2送風ノズルが前方上方に空気を送出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の洗車機。
被洗浄車両の前後面の乾燥時に所定領域に対して前記第2送風ノズルにより空気を送出し、前記所定領域外で前記第2送風ノズルによる空気の送出を停止することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の洗車機。
【背景技術】
【0002】
給油所等に設置される従来の洗車機は特許文献1に開示されている。洗車機は被洗浄車両に対して前後方向に移動する洗車機本体を備えている。洗車機本体は左右の対向する2つのスタンド部と、スタンド部の上端を連結する天井部とを有し、被洗浄車両を跨いで門型に形成される。
【0003】
洗車機本体には洗浄部及び乾燥部が設けられている。洗浄部は回転ブラシを備え、回転ブラシにより被洗浄車両の側面や上面を洗浄する。
【0004】
乾燥部はブロアに接続されるトップ送風ノズル及び高圧送風ノズルを有している。トップ送風ノズルは天井部に設けられて先端の送風口から被洗浄車両の上面に向けて下方に送風する。トップ送風ノズルの送風口の近傍には高圧送風ノズルが設けられる。高圧送風ノズルはトップ送風ノズルよりも高圧の空気を下方に送風する。
【0005】
上記構成の洗車機において、ユーザが洗車条件を設定すると、洗車機本体が被洗浄車両に対して前後方向に移動し、洗浄部による被洗浄車両の洗浄が行われる。洗浄部による洗浄に続き、乾燥部により被洗浄車両に向けて送風し、被洗浄車両を乾燥させる。この時、水滴を除去しにくい所定部分に対して高圧送風ノズルから送風され、水滴を除去することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の洗車機によると、高圧送風ノズルは下方に向けて送風するため、リアスポイラの下方やナンバープレートの周囲等の前後方向に面した凹部では水滴を十分除去することができない。このため、被洗浄車両の乾燥が不十分になる問題があった。
【0008】
本発明は、乾燥能力を向上できる洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、被洗浄車両に対して前後方向に移動する洗車機本体と、前記洗車機本体に昇降可能に配されるとともに下方に空気を送出する第1送風ノズルと、前記第1送風ノズルに取り付けられるとともに前後方向に空気を送出する第2送風ノズルとを備え、前記第1送風ノズル及び前記第2送風ノズルが空気供給経路を独立に設けられ、前記第2送風ノズルに供給される空気が前記第1送風ノズルに供給される空気よりも高圧であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記第2送風ノズルが、高圧空気の供給により周囲空気を吸気して流量を増幅する増幅ノズルにより形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記第1送風ノズルに接続されるブロアと、前記第2送風ノズルに接続されるとともに前記ブロアよりも高圧の圧縮空気を蓄える空気タンクとを備え、前記第2送風ノズルと前記空気タンクとを接続するホースが、前記第1送風ノズルと前記ブロアとを接続する可撓性のダクト内に配される。
【0012】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記第1送風ノズルが前後方向に傾斜可能に設けられ、被洗浄車両の後面の乾燥時に前記第1送風ノズルが前方に向けて傾斜するとともに、前記第2送風ノズルが前方上方に空気を送出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は上記構成の洗車機において、被洗浄車両の後面の乾燥時に前記第1送風ノズルが前後方向に揺動することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は上記構成の洗車機において、被洗浄車両の前後面の乾燥時に所定領域に対して前記第2送風ノズルにより空気を送出し、前記所定領域外で前記第2送風ノズルによる空気の送出を停止することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記所定領域が被洗浄車両のリアスポイラの下面またはナンバープレートの周囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、昇降して下方に空気を送出する第1送風ノズルと、第1送風ノズルに取り付けて第1送風ノズルよりも高圧の空気を前後方向に送出する第2送風ノズルとを備える。これにより、第2送風ノズルから前後方向に高圧の空気が送出され、被洗浄車両の前後方向に面した凹部内の水滴を除去することができる。従って、洗車機の乾燥能力を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1、
図2は本発明の第1実施形態の洗車機WAを示す側面図及び正面図である。洗車機WAは洗車機本体1、レール2及びリモートパネル7を備えている。洗車機本体1は左右の対向する2つのスタンド部90と、スタンド部90の上端を連結する天井部91とを有した門型に形成される。
【0019】
レール2は地面G上に左右一対設けられ、スタンド部90の底面に設けた車輪3がレール2上に配される。これにより、洗車機本体1はレール2上に立設し、走行モータ(不図示)の駆動によりレール2上を走行して被洗浄車両CAに対して前後に相対移動する。
【0020】
リモートパネル7は洗車機本体1の進入経路S上に配される。被洗浄車両CAはリモートパネル7の面前で停車し、ユーザは被洗浄車両CA内からリモートパネル7の操作によって洗車条件の設定を行う。
【0021】
リモートパネル7に設けたボタンにより、シャンプー、ワックス掛け、撥水コート等に使用する液剤を用いた洗車条件を設定することができる。また、フロントガード有り、フェンダーポール有り、サイドミラー有り、リヤワイパ有り、ルーフキャリヤ有り等の装備品の設定もすることができる。
【0022】
スタンド部90には洗剤やワックス等の各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部30が配される。タンク収納部30の上方には市水及び各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部31が設けられる。分配配管部31には第1、第2浄水ノズル11、13、第1、第2洗剤ノズル12、15、撥水コートノズル14、ワックスノズル16からなる複数の噴射ノズルがそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0023】
第1、第2浄水ノズル11、13は洗車機本体1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して市水を噴射する。第1、第2洗剤ノズル12、15は洗車機本体1の入口面1a側及び出口面1b側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して洗剤を噴射する。
【0024】
撥水コートノズル14及びワックスノズル16は洗車機本体1の出口面1b側に配される。撥水コートノズル14は被洗浄車両CAに対して撥水コート剤を噴射する。ワックスノズル16は被洗浄車両CAに対して液体のワックスを噴射する。
【0025】
各噴射ノズルはコンプレッサー(不図示)に接続され、高圧の市水や洗剤等を各噴射ノズルから噴射することができる。
【0026】
また、コンプレッサーにはスタンド部90に配される空気タンク38や、エアシリンダ(不図示)等が接続される。コンプレッサーと空気タンク38との接続部には電磁弁(不図示)が配される。該電磁弁を開いて空気タンク38に高圧の空気を蓄え、後述する増幅ノズル35に高圧の空気を供給する際に該電磁弁が閉じられる。空気タンク38を設けることにより、増幅ノズル35の使用時に一次側の空気圧の低下を防止することができる。
【0027】
洗車機本体1の前面上部、側部には車両形状センサ9が設けられている。車両形状センサ9は光電センサや超音波センサ等から成り、洗車機本体1に進入する被洗浄車両CAの外面形状を検知する。
【0028】
洗車機本体1の一方のスタンド部90の前面には操作パネル8が配される。操作パネル8は洗車条件を設定するリモートパネル7と同様の操作ボタン(不図示)を備えている。
【0029】
洗車機本体1には被洗浄車両CA上に摺動して駆動モータ(不図示)により回転してブラッシングするトップブラシ4、サイドブラシ5及びロッカーブラシ6が設けられている。トップブラシ4は天井部91に設けられ、被洗浄車両CAの上面に沿って移動して被洗浄車両CAの上面を洗浄する。サイドブラシ5は左右のスタンド部90に設けられ、被洗浄車両CAの両側面を洗浄する。ロッカーブラシ6は左右のスタンド部90の下部に設けられ、被洗浄車両CAの両側面の下部を洗浄する。
【0030】
洗車機本体1には気流を発生するブロア20が設けられる。ブロア20にはサイド送風ノズル22及びトップ送風ノズル21(第1送風ノズル)が可撓性のダクト32を介して接続される。サイド送風ノズル22は洗車機本体1の両スタンド部90にそれぞれ設けられ、被洗浄車両CAの側面に向けて送風する。
【0031】
図3はトップ送風ノズル21の側面断面図を示している。トップ送風ノズル21は天井部91(
図2参照)に設けられる昇降装置(不図示)に接続して昇降可能に配され、下面に左右方向に延びる送風口21aが開口する。送風口21aから下方に空気を送出して被洗浄車両CAの上面及び前後面を乾燥させる。
【0032】
トップ送風ノズル21の下部には左右方向に延びる通風パイプ36が洗車機本体1の出口面1bに面した取付面21b上に取り付けられる。通風パイプ36には複数(本実施形態では6個)の増幅ノズル35(第2送風ノズル)が接続される。通風パイプ36は右側のダクト32内に配されるホース37により空気タンク38に接続される。ホース37と空気タンク38との接続部には電磁弁(不図示)が配される。これにより、トップ送風ノズル21及び増幅ノズル35に対する空気供給経路が独立に設けられる。
【0033】
空気タンク38(
図2参照)はブロア20よりも高圧の圧縮空気を蓄えるので、増幅ノズル35はトップ送風ノズル21よりも高圧の空気を送出することができる。また、ホース37はダクト32内の内壁に支持されるため、トップ送風ノズル21が昇降した際に洗車機本体1とホース37との摺動によるホース37の損傷を防止できる。
【0034】
図4、
図5は増幅ノズル35の正面図及び上面図を示している。増幅ノズル35は上面視においてT字状に形成され、後端の接続口35fが通風パイプ36に接続される。増幅ノズル35の前面35eは左右方向に延びて形成され、接続口35fに連通する複数の排気孔35bが上下2列で左右方向に並設される。増幅ノズル35の上面35c及び下面35dには接続口35fから排気孔35bに向かう気流に臨む複数の吸気孔35bが左右方向に並設される。
【0035】
接続口35fから増幅ノズル35に流入する高圧の空気は排気孔35bに導かれる。この時、吸気孔35aから周囲空気が吸気され、流量を増幅して排気孔35bから高圧の空気A2が送出される。
【0036】
上記構成の洗車機WAにおいて、ユーザが運転して被洗浄車両CAをリモートパネル7の面前で停車させ、被洗浄車両CAの洗車条件の設定を被洗浄車両CA内から行う。
【0037】
洗車条件を設定した後、ユーザは所定の洗浄開始位置まで被洗浄車両CAを移動させる。そして、洗車機本体1が被洗浄車両CAを跨いで被洗浄車両CAに対して往復運動して洗車が開始される。これにより、車両形状センサ9により被洗浄車両CAの形状を検出し、トップブラシ4、サイドブラシ5及びロッカーブラシ6による洗浄が行われる。
【0038】
被洗浄車両CAの洗浄が終了すると、サイド送風ノズル22、トップ送風ノズル21及び増幅ノズル35から被洗浄車両CAに向けて空気を送出して被洗浄車両CAの乾燥が行われる。サイド送風ノズル22は被洗浄車両CAの側面に向けて空気を送出する。トップ送風ノズル21は被洗浄車両CAの前後面及び上面に向けて空気を送出する。増幅ノズル35は被洗浄車両CAの後面に向けて空気を送出する。
【0039】
図6は乾燥時のトップ送風ノズル21の履歴を示す側面図である。同図はリアスポイラCA1を有した被洗浄車両CAを乾燥する場合を示している。被洗浄車両CAの乾燥時にトップ送風ノズル21は洗車機本体1の移動に伴って矢印E1に示すように、被洗浄車両CAの前方から後方に向かって進行し、下方に向けて空気A1を送出する。
【0040】
車両形状センサ9の検知結果に基づいてトップ送風ノズル21が被洗浄車両CAの後端部に配されると、トップ送風ノズル21が被洗浄車両CAの後面に沿って降下する。これにより、被洗浄車両CAの後面の乾燥が行われる。
【0041】
この時、増幅ノズル35に対して電磁弁を開いて高圧の空気が供給され、前方に向けて高圧の空気A2を送出する。これにより、リアスポイラCA1の下方やナンバープレートCA2の周囲等の後方に面した凹部内の水滴を除去することができる。また、増幅ノズル35により被洗浄車両CAの後面上に飛散した水滴はトップ送風ノズル21から送出される空気A1により下方に流される。
【0042】
なお、車両形状センサ9によりリアスポイラCA1を検知し、増幅ノズル35の排気孔35bがリアスポイラCA1の下方に面した際に増幅ノズル35に給気して、リアスポイラCA1から離れると給気を停止してもよい。同様に、増幅ノズル35の排気孔35bがナンバープレートCA2の周囲に面した際に増幅ノズル35に給気して、ナンバープレートCA2から離れると給気を停止してもよい。
【0043】
即ち、トップ送風ノズル21による水滴の除去が困難な所定領域に対して増幅ノズル35から空気を送出し、所定領域外で空気の送出を停止してもよい。これにより、コンプレッサーの駆動時間が短縮され、洗車機WAのランニングコストを削減することができる。
【0044】
その後、トップ送風ノズル21、サイド送風ノズル22からの送風が停止し、洗車が終了する。
【0045】
本実施形態によると、昇降して下方に空気を送出するトップ送風ノズル21(第1送風ノズル)と、トップ送風ノズル21に取り付けてトップ送風ノズル21よりも高圧の空気を前方に送出する増幅ノズル35(第2送風ノズル)とを備える。これにより、増幅ノズル35から前方に高圧の空気が送出され、被洗浄車両CAの後方に面した凹部内の水滴を除去することができる。従って、洗車機WAの乾燥能力を向上することができる。
【0046】
また、増幅ノズル35が高圧空気の供給により周囲空気を吸気して流量を増幅するので、被洗浄車両CAに向けて送出される空気量が増加し、乾燥能力をより向上することができる。
【0047】
また、増幅ノズル35と空気タンク38とを接続するホース37が、トップ送風ノズル21とブロア20とを接続する可撓性のダクト32内に配される。これにより、トップ送風ノズル21が昇降した際に、洗車機本体1とホース37との摺動によるホース37の損傷を防止できる。
【0048】
また、被洗浄車両CAの後面の乾燥時にリアスポイラCA1の下面やナンバープレートCA2の周囲等の所定領域に対して増幅ノズル35により空気を送出し、所定領域外で増幅ノズル35による空気の送出を停止してもよい。これにより、コンプレッサーの駆動時間を短縮して洗車機WAのランニングコストを削減することができる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態はトップ送風ノズル21の動作が第1実施形態と異なる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
図7は乾燥時のトップ送風ノズル21の履歴を示す側面図である。説明の便宜上、前述の
図1〜
図6に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。
【0050】
トップ送風ノズル21は昇降装置(不図示)に対して水平軸で軸支され、エアシリンダ(不図示)の駆動により前後方向に傾斜可能に配される。
【0051】
これにより、トップ送風ノズル21は被洗浄車両CAの上面の乾燥時に下方に向けて空気を送出し、後面の乾燥時に噴射方向を前方に向けて傾斜する。これにより、送風口21aから斜め下方前方に向けて空気が送出され、被洗浄車両CAの後面の乾燥能力を向上することができる。
【0052】
また、トップ送風ノズル21の傾斜によって増幅ノズル35が前方上方に空気A1を送出する。このため、リアスポイラCA1の下面やナンバープレートCA2の周囲をより確実に乾燥させることができる。
【0053】
なお、被洗浄車両CAの後面の乾燥時にトップ送風ノズル21を前後方向に揺動させてもよい。これにより、被洗浄車両CAの後面をより確実に乾燥させることができる。
【0054】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、被洗浄車両CAの後面の乾燥時にトップ送風ノズル21が前方に向けて傾斜し、増幅ノズル35(第2送風ノズル)が前方上方に空気を送出する。これにより、リアスポイラCA1の下面を含む被洗浄車両CAの後面をより確実に乾燥させることができる。
【0055】
また、被洗浄車両CAの後面の乾燥時にトップ送風ノズル21が前後方向に揺動すると、被洗浄車両CAの後面をより確実に乾燥することができる。
【0056】
第1、第2実施形態において、トップ送風ノズル21上の洗車機本体1の入口面1aに面した壁面に通風パイプ36を取り付け、増幅ノズル35から後方に向けて空気を送出してもよい。これにより、被洗浄車両CAの前面の乾燥時にナンバープレートCA2の周囲やグリル内の水滴を確実に除去することができる。即ち、増幅ノズル35から前後方向に空気を送出することにより、被洗浄車両CAの前面または後面の乾燥能力を向上することができる。