(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)に、前記回転中心軸を中心とした前記第一シャフトと前記第二シャフトとの相対回転に起因して発生する、捩りトルクに対応した電気信号を出力するように構成された、トルク検出装置(10)であって、
前記回転中心軸を囲む周方向に交互に磁極が反転するように構成されていて前記相対回転に伴って前記回転中心軸を中心として回転するように前記トーションバーと同軸的に配置された多極磁石(20)の、前記回転中心軸と平行な軸方向における一方側に配置された、第一磁気回路部(21)と、
前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された、第二磁気回路部(22)と、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように、前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられていて、前記軸方向と交差する面内に含まれる配列方向に配列された、複数の磁気センサ(47)と、
前記面内に含まれ且つ前記配列方向と交差する幅方向における一端側にて、複数の前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
前記回路基板モジュールの前記配列方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記配列方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)と、
を備えたトルク検出装置。
前記第一磁気回路部は、前記多極磁石を囲むように前記周方向に配列された複数の第一歯部(21c)を有する第一ヨーク部材(21a)と、前記第一ヨーク部材と磁気結合されるように前記第一ヨーク部材と近接配置された第一集磁部材(210)とを備え、
前記第二磁気回路部は、前記多極磁石を囲むように前記周方向に配列された複数の第二歯部(22c)を有する第二ヨーク部材(22a)と、前記第二ヨーク部材と磁気結合されるように前記第二ヨーク部材と近接配置され且つ前記軸方向について前記第一集磁部材に対向配置された第二集磁部材(220)とを備え、
複数の前記磁気センサは、前記第一集磁部材と前記第二集磁部材との間に形成される磁気ギャップ内に配置された、
請求項1に記載のトルク検出装置。
前記回路基板モジュールは、複数の前記磁気センサを含む複数の回路要素と、複数の前記回路要素を実装した回路基板(44)とを、防水性の被覆材(45)によって被覆した、防水構造を有し、
前記センサハウジングと前記回路基板モジュールとの結合部には、防水シール部材(43)が設けられた、
請求項1又は2に記載のトルク検出装置。
前記防水シール部材は、前記軸方向における外径が、前記センサハウジングにおける前記回路基板モジュールが突出する面である端面(35)の前記軸方向における寸法よりも小さくなるように形成された、
請求項4に記載のトルク検出装置。
前記回路基板モジュールは、前記センサハウジングと前記回路基板モジュールとの結合部における前記回路基板モジュールの前記幅方向における寸法が、前記回路基板モジュールの前記センサハウジングからの突出寸法よりも小さくなるように形成された、
請求項1〜7のいずれか1つに記載のトルク検出装置。
前記回路基板モジュールは、複数の前記磁気センサを含む複数の回路要素と、複数の前記回路要素を実装した回路基板(44)とを、防水性の被覆材(45)によって被覆した、防水構造を有する、
請求項1又は2に記載のトルク検出装置。
電動パワーステアリング装置(1)におけるケーシングを構成する壁材(W)に取り付けられることで、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)と同軸的に配置されつつ前記壁材内に収容された多極磁石(20)、前記回転中心軸と平行な軸方向における前記多極磁石の一方側に配置された第一磁気回路部(21)、及び前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された第二磁気回路部(22)とともに、前記電動パワーステアリング装置におけるトルク検出装置(10)を構成する、センサモジュール(30)であって、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられることで、前記第一磁気回路部及び前記第二磁気回路部によって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように構成されていて、前記軸方向と交差する面内に含まれる配列方向に配列された、複数の磁気センサ(47)と、
前記面内に含まれ且つ前記配列方向と交差する幅方向における一端側にて、複数の前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
前記回路基板モジュールの前記配列方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記配列方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)と、
を備えたセンサモジュール。
前記回路基板モジュールは、複数の前記磁気センサを含む複数の回路要素と、複数の前記回路要素を実装した回路基板(44)とを、防水性の被覆材(45)によって被覆した、防水構造を有する、
請求項11に記載のセンサモジュール。
電動パワーステアリング装置(1)におけるケーシングを構成する壁材(W)に取り付けられることで、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)と同軸的に配置されつつ前記壁材内に収容された多極磁石(20)、前記回転中心軸と平行な軸方向における前記多極磁石の一方側に配置された第一磁気回路部(21)、及び前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された第二磁気回路部(22)とともに、前記電動パワーステアリング装置におけるトルク検出装置(10)を構成する、センサモジュール(30)であって、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられることで、前記第一磁気回路部及び前記第二磁気回路部によって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように構成された、磁気センサ(47)と、
前記軸方向と交差する面内に含まれる突出方向に沿って突設されていて、前記面内に含まれ且つ前記突出方向と交差する幅方向における一端側にて前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
前記回路基板モジュールの前記突出方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記突出方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)と、
を備え、
前記回路基板モジュールは、前記幅方向における前記一端側の端縁が、前記センサハウジングから離隔するにしたがって前記回転中心軸から離隔するように形成され、
前記磁気センサは、前記端縁近傍に設けられた、
センサモジュール。
前記回路基板モジュールは、前記磁気センサを含む複数の回路要素と、複数の前記回路要素を実装した回路基板(44)とを、防水性の被覆材(45)によって被覆した、防水構造を有する、
請求項14に記載のセンサモジュール。
電動パワーステアリング装置(1)におけるケーシングを構成する壁材(W)に取り付けられることで、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)と同軸的に配置されつつ前記壁材内に収容された多極磁石(20)、前記回転中心軸と平行な軸方向における前記多極磁石の一方側に配置された第一磁気回路部(21)、及び前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された第二磁気回路部(22)とともに、前記電動パワーステアリング装置におけるトルク検出装置(10)を構成する、センサモジュール(30)であって、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられることで、前記第一磁気回路部及び前記第二磁気回路部によって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように構成された、磁気センサ(47)と、
前記軸方向と交差する面内に含まれる突出方向に沿って突設されていて、前記面内に含まれ且つ前記突出方向と交差する幅方向における一端側にて前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
前記回路基板モジュールの前記突出方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記突出方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)と、
を備え、
前記回路基板モジュールは、前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路に設けられたリング状部材の周方向に沿って突設された、
センサモジュール。
前記回路基板モジュールは、前記磁気センサを含む複数の回路要素と、複数の前記回路要素を実装した回路基板(44)とを、防水性の被覆材(45)によって被覆した、防水構造を有する、
請求項17に記載のセンサモジュール。
第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)に、前記回転中心軸を中心とした前記第一シャフトと前記第二シャフトとの相対回転に起因して発生する、捩りトルクに対応した電気信号を出力するように構成された、トルク検出装置(10)であって、
前記回転中心軸を囲む周方向に交互に磁極が反転するように構成されていて前記相対回転に伴って前記回転中心軸を中心として回転するように前記トーションバーと同軸的に配置された多極磁石(20)の、前記回転中心軸と平行な軸方向における一方側に配置された、第一磁気回路部(21)と、
前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された、第二磁気回路部(22)と、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように、前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられた、1個又は複数の磁気センサ(47)と、
前記軸方向と交差する面内に含まれる突出方向に沿って突設されていて、前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
を備え、
前記回路基板モジュールは、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路に設けられたリング状部材の周方向に沿って突設され、
前記磁気センサを含む複数の回路要素と、複数の前記回路要素を実装した回路基板(44)とを、防水性の被覆材(45)によって被覆した防水構造を有する、
トルク検出装置。
前記第一磁気回路部は、前記多極磁石を囲むように前記周方向に配列された複数の第一歯部(21c)を有する第一ヨーク部材(21a)と、前記第一ヨーク部材と磁気結合されるように前記第一ヨーク部材と近接配置された第一集磁部材(210)とを備え、
前記第二磁気回路部は、前記多極磁石を囲むように前記周方向に配列された複数の第二歯部(22c)を有する第二ヨーク部材(22a)と、前記第二ヨーク部材と磁気結合されるように前記第二ヨーク部材と近接配置され且つ前記軸方向について前記第一集磁部材に対向配置された第二集磁部材(220)とを備え、
前記磁気センサは、前記第一集磁部材と前記第二集磁部材との間に形成される磁気ギャップ内に配置され、
前記被覆材は、前記第一集磁部材と前記第二集磁部材とを被覆するように設けられた、
請求項20に記載のトルク検出装置。
前記回路基板モジュールの前記突出方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記突出方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)をさらに備え、
前記センサハウジングと前記回路基板モジュールとの結合部は、防水シール構造を有する、
請求項20〜22のいずれか1つに記載のトルク検出装置。
電動パワーステアリング装置(1)におけるケーシングを構成する壁材(W)に取り付けられることで、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)と同軸的に配置されつつ前記壁材内に収容された多極磁石(20)、前記回転中心軸と平行な軸方向における前記多極磁石の一方側に配置された第一磁気回路部(21)、及び前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された第二磁気回路部(22)とともに、前記電動パワーステアリング装置におけるトルク検出装置(10)を構成する、センサモジュール(30)であって、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられることで、前記第一磁気回路部及び前記第二磁気回路部によって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように構成された、1個又は複数の磁気センサ(47)と、
前記軸方向と交差する面内に含まれる突出方向に沿って突設されていて、前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
を備え、
前記回路基板モジュールは、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路に設けられたリング状部材の周方向に沿って突設され、
前記磁気センサを含む複数の回路要素と、複数の前記回路要素を実装した回路基板(44)とを、防水性の被覆材(45)によって被覆した防水構造を有する、
センサモジュール。
前記第一磁気回路部は、前記多極磁石を囲むように前記回転中心軸を囲む周方向に配列された複数の第一歯部(21c)を有し前記壁材内に収容された第一ヨーク部材(21a)と、前記第一ヨーク部材と磁気結合されるように前記第一ヨーク部材と近接配置された第一集磁部材(210)とを備え、
前記第二磁気回路部は、前記多極磁石を囲むように前記周方向に配列された複数の第二歯部(22c)を有し前記壁材内に収容された第二ヨーク部材(22a)と、前記第二ヨーク部材と磁気結合されるように前記第二ヨーク部材と近接配置され且つ前記軸方向について前記第一集磁部材に対向配置された第二集磁部材(220)とを備え、
前記磁気センサは、前記第一集磁部材と前記第二集磁部材との間に形成される磁気ギャップ内に配置され、
前記被覆材は、前記第一集磁部材と前記第二集磁部材とを被覆するように設けられた、
請求項29に記載のセンサモジュール。
前記回路基板モジュールの前記突出方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記突出方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)をさらに備え、
前記センサハウジングと前記回路基板モジュールとの結合部は、防水シール構造を有する、
請求項29〜31のいずれか1つに記載のセンサモジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、この種のトルク検出装置において、システムでの故障判定あるいは冗長性確保のため、磁気センサが複数(例えば二個)設けられる場合がある。上記特許文献1においては、複数の磁気センサは、トーションバーの中心軸方向と直交する面内にて、トーションバーの中心軸を中心とする円周の接線上に配列されている。
【0005】
複数の磁気センサは、回路基板に実装される場合がある。この場合、回路基板は、トーションバーの中心軸に向かって延設される。即ち、回路基板の延設方向における先端部にて、複数の磁気センサが、回路基板の幅方向に配列される。さらに、回路基板の延設方向における基端側に、コネクタ部を含むセンサハウジングが固定されることがあり得る。回路基板とセンサハウジングとの複合体は、センサモジュールと称され得る。
【0006】
電動パワーステアリング装置における操舵トルク検出用途等においては、センサモジュールが使用中に水にさらされる可能性がある。複数の磁気センサを配列するために、回路基板の幅方向寸法が大きくなると、回路基板とセンサハウジングとの結合部における防水シール構造が大型化又は複雑化したり、同結合部における良好な防水シール性能の確保が困難となったりする等の問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面においては、トルク検出装置及びセンサモジュールは、下記の構成を備える。
即ち、請求項1に記載のトルク検出装置(10)は、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)に、前記回転中心軸を中心とした前記第一シャフトと前記第二シャフトとの相対回転に起因して発生する、捩りトルクに対応した電気信号を出力するように構成されている。
このトルク検出装置は、
前記回転中心軸を囲む周方向に交互に磁極が反転するように構成されていて前記相対回転に伴って前記回転中心軸を中心として回転するように前記トーションバーと同軸的に配置された多極磁石(20)の、前記回転中心軸と平行な軸方向における一方側に配置された、第一磁気回路部(21)と、
前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された、第二磁気回路部(22)と、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように、前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられていて、前記軸方向と交差する面内に含まれる配列方向に配列された、複数の磁気センサ(47)と、
前記面内に含まれ且つ前記配列方向と交差する幅方向における一端側にて、複数の前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
前記回路基板モジュールの前記配列方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記配列方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)と、
を備える。
また、請求項11に記載のセンサモジュール(30)は、電動パワーステアリング装置(1)におけるケーシングを構成する壁材(W)に取り付けられることで、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)と同軸的に配置されつつ前記壁材内に収容された多極磁石(20)、前記回転中心軸と平行な軸方向における前記多極磁石の一方側に配置された第一磁気回路部(21)、及び前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された第二磁気回路部(22)とともに、前記電動パワーステアリング装置におけるトルク検出装置(10)を構成する。
このセンサモジュールは、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられることで、前記第一磁気回路部及び前記第二磁気回路部によって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように構成されていて、前記軸方向と交差する面内に含まれる配列方向に配列された、複数の磁気センサ(47)と、
前記面内に含まれ且つ前記配列方向と交差する幅方向における一端側にて、複数の前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
前記回路基板モジュールの前記配列方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記配列方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)と、
を備える。
本発明の他の一側面においては、センサモジュールは、下記の構成を備える。
即ち、請求項14に記載のセンサモジュール(30)は、電動パワーステアリング装置(1)におけるケーシングを構成する壁材(W)に取り付けられることで、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)と同軸的に配置されつつ前記壁材内に収容された多極磁石(20)、前記回転中心軸と平行な軸方向における前記多極磁石の一方側に配置された第一磁気回路部(21)、及び前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された第二磁気回路部(22)とともに、前記電動パワーステアリング装置におけるトルク検出装置(10)を構成する。
このセンサモジュールは、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられることで、前記第一磁気回路部及び前記第二磁気回路部によって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように構成された、磁気センサ(47)と、
前記軸方向と交差する面内に含まれる突出方向に沿って突設されていて、前記面内に含まれ且つ前記突出方向と交差する幅方向における一端側にて前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
前記回路基板モジュールの前記突出方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記突出方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)と、
を備え、
前記回路基板モジュールは、前記幅方向における前記一端側の端縁が、前記センサハウジングから離隔するにしたがって前記回転中心軸から離隔するように形成され、
前記磁気センサは、前記端縁近傍に設けられている。
本発明のさらに他の一側面においては、センサモジュールは、下記の構成を備える。
即ち、請求項17に記載のセンサモジュール(30)は、電動パワーステアリング装置(1)におけるケーシングを構成する壁材(W)に取り付けられることで、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)と同軸的に配置されつつ前記壁材内に収容された多極磁石(20)、前記回転中心軸と平行な軸方向における前記多極磁石の一方側に配置された第一磁気回路部(21)、及び前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された第二磁気回路部(22)とともに、前記電動パワーステアリング装置におけるトルク検出装置(10)を構成する。
このセンサモジュールは、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられることで、前記第一磁気回路部及び前記第二磁気回路部によって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように構成された、磁気センサ(47)と、
前記軸方向と交差する面内に含まれる突出方向に沿って突設されていて、前記面内に含まれ且つ前記突出方向と交差する幅方向における一端側にて前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
前記回路基板モジュールの前記突出方向における一端側にて前記回路基板モジュールを支持するように、前記回路基板モジュールの前記突出方向における前記一端側と結合された、センサハウジング(31)と、
を備え、
前記回路基板モジュールは、前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路に設けられたリング状部材の周方向に沿って突設されている。
本発明のさらに他の一側面においては、トルク検出装置は、下記の構成を備える。
即ち、請求項20に記載のトルク検出装置(10)は、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)に、前記回転中心軸を中心とした前記第一シャフトと前記第二シャフトとの相対回転に起因して発生する、捩りトルクに対応した電気信号を出力するように構成されている。
このトルク検出装置は、
前記回転中心軸を囲む周方向に交互に磁極が反転するように構成されていて前記相対回転に伴って前記回転中心軸を中心として回転するように前記トーションバーと同軸的に配置された多極磁石(20)の、前記回転中心軸と平行な軸方向における一方側に配置された、第一磁気回路部(21)と、
前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された、第二磁気回路部(22)と、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように、前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられた、1個又は複数の磁気センサ(47)と、
前記軸方向と交差する面内に含まれる突出方向に沿って突設されていて、前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
を備え、
前記回路基板モジュールは、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路に設けられたリング状部材の周方向に沿って突設され、
前記磁気センサを含む複数の回路要素と、複数の前記回路要素を実装した回路基板(44)とを、防水性の被覆材(45)によって被覆した防水構造を有する。
請求項29に記載のセンサモジュール(30)は、電動パワーステアリング装置(1)におけるケーシングを構成する壁材(W)に取り付けられることで、第一シャフト(11)と第二シャフト(12)とを回転中心軸(C)上にて同軸的に連結するトーションバー(13)と同軸的に配置されつつ前記壁材内に収容された多極磁石(20)、前記回転中心軸と平行な軸方向における前記多極磁石の一方側に配置された第一磁気回路部(21)、及び前記多極磁石の前記軸方向における他方側に配置された第二磁気回路部(22)とともに、前記電動パワーステアリング装置におけるトルク検出装置(10)を構成する。
このセンサモジュールは、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部との間に設けられることで、前記第一磁気回路部及び前記第二磁気回路部によって形成される磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように構成された、1個又は複数の磁気センサ(47)と、
前記軸方向と交差する面内に含まれる突出方向に沿って突設されていて、前記磁気センサを搭載しつつ前記磁気回路と対向するように設けられた、回路基板モジュール(40)と、
を備え、
前記回路基板モジュールは、
前記第一磁気回路部と前記第二磁気回路部とによって形成される磁気回路に設けられたリング状部材の周方向に沿って突設され、
前記磁気センサを含む複数の回路要素と、複数の前記回路要素を実装した回路基板(44)とを、防水性の被覆材(45)によって被覆した防水構造を有す
る。
【0009】
なお、上記及び特許請求の範囲欄における各手段に付された括弧付きの参照符号は、同手段と後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、実施形態に対して適用可能な各種の変更については、変形例として、一連の実施形態の説明の後に、まとめて説明する。
【0012】
(概略構成)
図1を参照すると、電動パワーステアリング装置1は、ハンドル5と、電動モータ6と、ステアリングギア機構7と、リンク機構8と、トルク検出装置10とを備えている。電動パワーステアリング装置1は、ハンドル5の操作状態に応じて電動モータ6を駆動して、電動モータ6の駆動力をステアリングギア機構7に伝達することで、リンク機構8を介して車輪Tの向きを変更するための操舵力を、アシストするように構成されている。
【0013】
トルク検出装置10は、ハンドル5の操作状態に応じた電気信号(例えば電圧)を出力するように、ハンドル5とステアリングギア機構7との間に設けられている。具体的には、トルク検出装置10は、第一シャフト11と第二シャフト12との連結部分に配置されている。第一シャフト11は、ハンドル5と共に回転するように、不図示の連結機構を介してハンドル5と連結されている。第二シャフト12は、不図示の連結機構を介してステアリングギア機構7と連結されている。
【0014】
第一シャフト11と第二シャフト12とは、トーションバー13を介して、回転中心軸C上にて同軸的に連結されている。トルク検出装置10は、回転中心軸Cを中心とした第一シャフト11と第二シャフト12との相対回転に起因してトーションバー13に発生する捩りトルクに対応した電気信号を出力するように構成されている。
【0015】
以下、
図2〜
図6を参照しつつ、トルク検出装置10の構成について説明する。なお、説明の便宜上、各図において、図示の通り、Z軸が回転中心軸Cと平行となるように右手系XYZ直交座標系を設定する。このとき、Z軸と平行な方向を「軸方向」と称し、XY平面内の任意の方向を「面内方向」と称する。面内方向は、軸方向と直交する方向となる。また、X軸と平行な方向を「幅方向」と称し、Y軸と平行な方向を「突出方向」と称する。突出方向は、面内方向に該当する一方向である。幅方向についても同様である。さらに、説明の便宜上、Z軸正方向側を「上側」と称し、Z軸負方向側を「下側」と称する。なお、後述するように、回転中心軸Cは、多くの場合、車高方向と平行とはならない。
【0016】
多極磁石20は、第一シャフト11と第二シャフト12との相対回転に伴って回転中心軸Cを中心として回転するように、トーションバー13と同軸的に配置されている。具体的には、多極磁石20は、円筒状に形成されていて、第一シャフト11の下端部に固定されている。周知の通り、多極磁石20は、回転中心軸Cを囲む周方向に交互に磁極が反転するように構成されている。「周方向」は、典型的には、回転中心軸CとXY平面との交点を中心としてXY平面内に形成される円の円周方向である。
【0017】
多極磁石20の軸方向における一方側(即ち上端部側)には、第一磁気回路部21が配置されている。第一磁気回路部21は、第一ヨーク部材21aを有している。第一ヨーク部材21aは、軟磁性体によって形成されたリング状の部材であって、多極磁石20の軸方向における一端部(即ち上端部)を囲むように設けられている。
【0018】
第一ヨーク部材21aは、第一リング板部21bと、複数の第一歯部21cとを有している。第一リング板部21bは、平板状且つリング状に形成されていて、回転中心軸Cを囲むように設けられている。即ち、第一リング板部21bには、回転中心軸Cを中心とする円形の開口部が形成されている。複数の第一歯部21cは、多極磁石20を囲むように、周方向に等間隔で配列されている。複数の第一歯部21cの各々は、第一リング板部21bにおける上記の開口部の内縁から、回転中心軸Cに沿って、下側に向かって延設されている。
【0019】
多極磁石20の軸方向における他方側(即ち下端部側)には、第二磁気回路部22が配置されている。第二磁気回路部22は、第二ヨーク部材22aを有している。第二ヨーク部材22aは、軟磁性体によって形成されたリング状の部材であって、多極磁石20の軸方向における他端部(即ち下端部)を囲むように設けられている。
【0020】
第二ヨーク部材22aは、第二リング板部22bと、複数の第二歯部22cとを有している。第二リング板部22bは、平板状且つリング状に形成されていて、回転中心軸Cを囲むように設けられている。即ち、第二リング板部22bには、回転中心軸Cを中心とする円形の開口部が形成されている。複数の第二歯部22cは、多極磁石20を囲むように、周方向に等間隔で配列されている。複数の第二歯部22cの各々は、第二リング板部22bにおける上記の開口部の内縁から、回転中心軸Cに沿って、上側に向かって延設されている。
【0021】
第一磁気回路部21と第二磁気回路部22とは、軸方向に配列されていて、且つ所定のギャップを介して対向配置されている。即ち、
図3に示されているように、第二リング板部22bは、第一リング板部21bと軸方向に対向するように設けられている。換言すれば、第一リング板部21bと第二リング板部22bとは、軸方向に沿って見た場合に、互いに重なるように配置されている。また、第一歯部21cと第二歯部22cとは、周方向に交互に配置されている。第一磁気回路部21及び第二磁気回路部22は、第二シャフト12の上端部に結合されて第二シャフト12と一体的に回転することで、多極磁石20に対して相対的に回転するようになっている。
【0022】
トーションバー13に対して捩りトルクが作用していない組み付け状態においては、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22は、
図3及び
図4Aに示されているように、周方向について中立状態に位相合わせされている。中立状態は、全ての第一歯部21c及び第二歯部22cの周方向における中心位置が、N極とS極との境界と一致する状態である。また、第一磁気回路部21及び第二磁気回路部22は、
図2に示された第一シャフト11と第二シャフト12との相対回転に起因してトーションバー13に捩りトルクが発生した場合に、
図4B及び
図4Cに示されているように位相が中立状態からずれることで、位相ずれ量に応じた磁束密度Bが上述のギャップに発生するように構成されている。
【0023】
図2に示されているように、軸方向における、第一磁気回路部21と第二磁気回路部22との間の上述のギャップに対向するように、センサモジュール30が配置されている。センサモジュール30は、上記のギャップにて発生する磁束密度に対応した電気信号、即ち、トーションバー13に発生する捩りトルクに対応した電気信号を出力するように構成されている。センサモジュール30の構成の詳細については後述する。
【0024】
(実施形態の構成の詳細)
以下、
図5及び
図6を参照しつつ、本実施形態に係るトルク検出装置10の構成の詳細について説明する。なお、
図6においては、図示の煩雑化を回避するため、第一ヨーク部材21a及び第二ヨーク部材22aの図示が簡略化されているものとする。
図5に示されているように、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22は、収容壁W内に収容されている。本実施形態においては、収容壁Wは、例えば、
図1に示された電動パワーステアリング装置1におけるケーシングを構成する壁材であって、第一シャフト11又は第二シャフト12を回転可能に支持しつつ覆うように形成されている。収容壁Wには、貫通孔である取付孔W1が形成されている。
【0025】
センサモジュール30は、その一部が取付孔W1を貫通した状態で、収容壁Wに固定されている。以下、
図5及び
図6を参照しつつ、センサモジュール30の構成について説明する。
【0026】
センサモジュール30のケーシングをなすセンサハウジング31は、絶縁性の合成樹脂によって一体に形成されている。センサハウジング31は、本体部32と、コネクタ部33と、第一フランジ部34aと、第二フランジ部34bとを有している。
【0027】
本体部32は、突出方向に延設された多角柱(例えば四角柱)状に形成されている。外部機器(例えばECU)との電気接続に用いられるコネクタ部33は、本体部32の上端部から軸方向に延設されている。ECUはElectronic Control Unitの略である。
【0028】
第一フランジ部34a及び第二フランジ部34bは、本体部32の下端部からそれぞれ幅方向に延設されている。第一フランジ部34a及び第二フランジ部34bは、センサモジュール30が収容壁Wに固定された状態で、下端面が取付孔W1の周囲にて収容壁Wの外壁面(即ち
図5における上側の表面)に当接するように形成されている。
【0029】
第一フランジ部34aは、収容壁Wを隔てて第一磁気回路部21及び第二磁気回路部22と対向するように、X軸正方向に延設されている。即ち、突出方向に沿って見た場合に、第一フランジ部34aは、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22と重なるように設けられている。第二フランジ部34bは、X軸負方向に延設されている。即ち、第二フランジ部34bは、幅方向について、第一磁気回路部21及び第二磁気回路部22が設けられていない側に配設されている。以下、第一フランジ部34a及び第二フランジ部34bのそれぞれにおける延設方向を、「フランジ延出方向」と称することがある。
【0030】
第一フランジ部34a及び第二フランジ部34bは、固定孔34cを有している。固定孔34cは、フランジ延出方向及び軸方向と直交する方向に、第一フランジ部34a及び第二フランジ部34bを貫通する孔である。固定孔34cは、センサモジュール30を収容壁Wに固定する際に、不図示のボルト等が挿通されるように形成されている。本実施形態においては、突出方向に沿って見た場合に、第一フランジ部34aにおける固定孔34cは、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22と重なるように設けられている。
【0031】
センサハウジング31の端面35は、第一フランジ部34a及び第二フランジ部34bにおける下端面と連続するように、略平面状に形成されている。回路基板モジュール40は、センサハウジング31の端面35から突出方向に沿って突出するように設けられている。即ち、センサハウジング31は、回路基板モジュール40の、突出方向における一端側(即ち基端側)にて、回路基板モジュール40を支持するように、回路基板モジュール40の当該一端側と結合されている。換言すれば、回路基板モジュール40は、センサハウジング31の端面35からY軸負方向に向かって、片持ち梁状に延設されている。
【0032】
本実施形態においては、回路基板モジュール40がセンサハウジング31から延出する方向である突出方向は、軸方向とほぼ直交する面内方向である。即ち、突出方向は、幅方向と平行なフランジ延出方向と交差する方向である。具体的には、本実施形態においては、突出方向は、端面35の法線と平行な方向である。即ち、本実施形態においては、突出方向は、フランジ延出方向と直交する方向である。
【0033】
回路基板モジュール40は、台座部41とセンサ搭載部42とを有している。台座部41は、センサハウジング31の端面35に隣接配置されている。具体的には、台座部41は、円柱状に形成されていて、センサハウジング31に結合されている。センサ搭載部42は、板状に形成されていて、台座部41から突出方向に突出するように設けられている。
図6においては、回転中心軸Cを通り且つXZ平面と平行な面による、センサ搭載部42の断面が示されている。
【0034】
センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部には、リング状の防水シール部材43が設けられている。防水シール部材43は、絶縁性の合成ゴム等によって形成されている。具体的には、本実施形態においては、防水シール部材43は、センサハウジング31の端面35と台座部41の外周面とによって形成された隅部を埋める隅肉部状に設けられている。防水シール部材43は、液状又はゲル状の合成樹脂製コーキング剤を上記の隅部に塗布して硬化させることで、センサハウジング31と台座部41との結合部を液密的にシールするように形成されている。本実施形態においては、防水シール部材43は、突出方向に沿って見た場合に、略円形に形成されている。また、防水シール部材43は、軸方向における外径が、端面35の軸方向における寸法よりも小さくなるように形成されている。
【0035】
センサ搭載部42は、薄板状の回路基板44と、この回路基板44を被覆する被覆材45とを有している。回路基板44は、板厚方向が軸方向と平行となるように設けられている。また、回路基板44は、突出方向と平行な長辺及び幅方向と平行な短辺を有する矩形状に形成されている。即ち、回路基板モジュール40は、センサハウジング31との結合部における幅方向寸法が、センサハウジング31からの突出寸法よりも小さくなるように形成されている。
【0036】
回路基板44には、複数のコンデンサ46及び複数の磁気センサ47を含む、複数の回路要素が実装されている。これら複数の回路要素は、防水性の被覆材45によって被覆されつつ、センサ搭載部42に設けられている。即ち、回路基板モジュール40は、複数の磁気センサ47を含む複数の回路要素と、これら複数の回路要素を実装した回路基板44とを、被覆材45によって被覆した、防水構造を有している。被覆材45は、絶縁性の合成樹脂(例えばエポキシ樹脂等)によって形成されている。
【0037】
複数の磁気センサ47は、回路基板モジュール40の幅方向における一端側(即ち図中右端側)にて、突出方向に配列されている。本実施形態においては、回路基板モジュール40には、二個の磁気センサ47が搭載されている。以下、複数の磁気センサ47の配列方向を、単に「センサ配列方向」称することがある。即ち、センサ配列方向は、突出方向と平行である。これに対し、複数のコンデンサ46は、回路基板モジュール40の幅方向における他端側(即ち図中左端側)に設けられている。
【0038】
磁気センサ47は、第一磁気回路部21と第二磁気回路部22とによって形成される固定磁気回路における磁束密度に対応した電気信号を出力するように、第一磁気回路部21と第二磁気回路部22との間に設けられている。具体的には、磁気センサ47は、いわゆるホールICであって、内部にホール素子である磁気感応素子47aを有している。複数の磁気センサ47は、それぞれの磁気感応素子47aが第一リング板部21bと第二リング板部22bとに挟まれつつ突出方向に配列するように設けられている。即ち、回路基板モジュール40は、幅方向における一端側にて、複数の磁気センサ47を搭載しつつ、上記の固定磁気回路と対向するように設けられている。
【0039】
(効果)
以下、本実施形態の構成によって得られる効果について、各図面を参照しつつ説明する。まず、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22を収容した収容壁Wに対して、センサモジュール30を装着する際の手順について説明する。上記の通り、収容壁Wには、外部(即ち
図5における収容壁Wよりも上側)に連通する取付孔W1が形成されている。センサモジュール30は、回路基板モジュール40の、突出方向における他端側(即ち先端側)が、収容壁Wの内側の空間を向くような姿勢で保持される。その後、第一フランジ部34a及び第二フランジ部34bの下端面が収容壁Wの外壁面に当接するまで、回路基板モジュール40が取付孔W1内に挿入される。この状態で、不図示のボルト等が固定孔34cに挿通されることで、センサモジュール30が収容壁Wに固定される。
【0040】
本実施形態においては、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22をあらかじめ収容した収容壁Wに対して、センサモジュール30を装着することで、トルク検出装置10が構成される。このため、センサモジュール30の着脱に際し、第一シャフト11と第二シャフト12とトーションバー13との結合を解除する必要がない。したがって、例えば、回路基板44に実装された回路要素の故障が発生した場合、センサモジュール30を交換するだけで、第一シャフト11と第二シャフト12とトーションバー13との結合を解除することなく、故障を復旧することができる。
【0041】
近年、車両搭載性向上の観点から、車載部品の小型化が望まれている。電動パワーステアリング装置1に設けられるトルク検出装置10においても、他の車載部品との干渉を回避するため、体格の小型化が要請されている。具体的には、例えば、従来のこの種のトルク検出装置は、上記の通り、シャフト周りに設置される。このため、従来のこの種のトルク検出装置においては、径方向に製品体格が大型化するという懸念がある。即ち、従来のこの種のトルク検出装置は、複数の部品を径方向に積み重ねて構成されているため、径方向の製品体格が増大しやすい。径方向における製品体格が大型化して、径方向寸法が増大すると、車載の周辺部品との干渉が懸念され、搭載上好ましくない。
例えば、小型車等の、エンジンルーム寸法が小さい車両においては、車載部品の搭載スペースが小さい。このため、車載部品の小型化が望まれる。エンジンルーム寸法が大きい大型車等においても、搭載レイアウトの自由度を向上するため、車載部品の小型化が望まれる。特に、近年、車両のハイブリッド化、走行安全装備の拡充、等により、車載部品の搭載スペースが従来よりも制限される。したがって、電動パワーステアリング装置1に設けられるトルク検出装置10においても、他の車載部品との干渉を回避するため、装置の小型化、特に径方向の体格の小型化が要請される。
この点、本実施形態においては、回路基板モジュール40は、軸方向と交差する面内に含まれる突出方向に沿って突設されている。また、回路基板モジュール40は、突出方向と交差する幅方向における一端側にて、磁気センサ47を搭載しつつ、上記の固定磁気回路と対向するように設けられている。このため、回路基板モジュール40即ち回路基板44の突出方向先には、回転中心軸Cが設けられていない。即ち、回路基板モジュール40は、軸方向及び突出方向と直交する幅方向について、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22に対してオフセットした位置に設けられている。かかる構成を、以下「オフセット構造」と称する。
かかるオフセット構造においては、トルク検出装置10は、回転中心軸Cから径方向外側に向かって複数の部品を一直線状に積み重ねた構造とはならない。即ち、トルク検出装置10は、センサハウジング31と回路基板モジュール40とが配列する突出方向に、センサハウジング31と回路基板モジュール40と固定磁気回路とが積み重ねられる構造ではない。よって、回路基板モジュール40は、収容壁Wの内部空間の奥深くまで挿入される。したがって、オフセット構造を採用することで、トルク検出装置10の車載状態における径方向寸法を可及的に低減することが可能となり、これにより、周囲の他の車載部品との干渉が良好に回避される。換言すれば、本実施形態の構成によれば、トルク検出装置10の体格の小型化が良好に実現され、以て、トルク検出装置10の車両搭載性が著しく向上する。なお、「径方向」とは、回転中心軸Cと交差する面内、具体的にはXY平面内における、回転中心軸Cから放射状に延びる方向である。即ち、径方向とは、回転中心軸Cと交差する面内、具体的にはXY平面内にて、回転中心軸Cを中心とした円を描いた場合の、当該円の半径方向である。
【0042】
本実施形態においては、回路基板モジュール40におけるセンサ配列方向は、センサハウジング31からの回路基板モジュール40の延出方向である突出方向と平行であり、幅方向と交差する。さらに、回路基板モジュール40は、センサハウジング31との結合部における幅方向寸法が、センサハウジング31からの突出寸法よりも小さくなるように形成されている。したがって、本実施形態によれば、複数の磁気センサ47を幅方向に配列する従来の構成(例えば特開2016−118488号公報等参照)と比べて、センサモジュール30即ち回路基板モジュール40の、幅方向寸法を小さくすることができる。
【0043】
センサモジュール30が収容壁Wに装着された状態において、磁気感応素子47aの突出方向における位置には、誤差が生じ得る。この誤差は、例えば、上記のボルト等の締め付け力の誤差等に起因して生じる。もっとも、本実施形態においては、回路基板モジュール40は、平面視矩形状における一辺を構成する方向である突出方向における一端側にて、センサハウジング31に支持される。また、回路基板モジュール40は、当該一辺側(即ち幅方向における一端側)にて、複数の磁気センサ47を搭載しつつ、第一磁気回路部21と第二磁気回路部22とによって形成される固定磁気回路と対向する。
【0044】
かかる構成においては、複数の磁気センサ47(即ち複数の磁気感応素子47a)は、センサモジュール30の着脱方向に沿って配列する。故に、磁気感応素子47aの位置誤差が生じる方向は、上記の固定磁気回路における、径方向と直交する方向となる。これに対し、従来の構成においては、複数の磁気センサ47(即ち複数の磁気感応素子47a)が軸方向及びセンサモジュール30の着脱方向と直交することで、磁気感応素子47aの位置誤差が径方向に生じる。したがって、本実施形態によれば、従来の構成(例えば特開2006−71326号公報等参照)よりも、磁気感応素子47aの位置誤差に起因する検出誤差を抑制することが可能となる。
【0045】
また、近年、電動パワーステアリング装置1において、一部構成部品等の故障が発生してもアシスト動作が継続されるような構成のニーズが高まっている。
この点、偶発的に発生する「ブーツ破れ」により、電動パワーステアリング装置1のケーシング内部にも水が浸入し得ることが知られている。電動パワーステアリング装置1がいわゆるラックタイプの構成(即ち後述する
図17参照)を有している場合、電動パワーステアリング装置1のケーシング内部に浸入した水は、トルク検出装置10に到達し得る。仮にトルク検出装置10の内部に水が浸入して回路基板44の故障が発生した場合、これによりトルク検出信号の出力が停止するため、電動パワーステアリング装置1の動作が停止してしまう。
回路基板44を防水するためには、回路基板44に通じる浸水経路を封止等によって遮断する必要がある。この点、従来のトルク検出装置においては、パーマロイ等の金属からなる集磁部材を合成樹脂によりモールドした構成が一般的である。しかしながら、このような構成では、集磁部材とモールド樹脂との界面が封止されておらず露出しているため、高い防水性を確保することが困難であった。また、従来のこの種の装置においては、円環状の集磁部材をシャフトに対して配置する等、磁気回路構造が複雑であった。このため、従来のこの種の装置においては、高い防水性を確保することが、非常に困難であった。
これに対し、本実施形態においては、回路基板モジュール40は、複数の磁気センサ47を含む複数の回路要素と、複数の回路要素を実装した回路基板44とを、防水性の被覆材45によって被覆した、防水構造を有している。即ち、被覆材45の表面には、異種材料同士の接合界面(即ち金属部材と合成樹脂部材との接合界面)が露出していない。このため、回路基板モジュール40内への水の浸入が、良好に抑制され得る。また、センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部には、防水シール部材43が設けられている。したがって、本実施形態によれば、センサモジュール30における良好な防水性能が、簡略な構成によって実現され得る。
【0046】
この点、本実施形態においては、回路基板モジュール40の幅方向寸法を小さくすることで、センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部における幅方向寸法が、可及的に抑制されている。さらに、防水シール部材43は、軸方向における外径が、センサハウジング31における回路基板モジュール40が突出する面である端面35の軸方向における寸法よりも小さくなるように形成されている。したがって、本実施形態によれば、端面35内における防水シール部材43の長さ寸法を可及的に抑制することで、良好な防水性能が実現され得る。
【0047】
本実施形態においては、回路基板モジュール40は、円柱状に形成されていてセンサハウジング31に結合された台座部41と、板状に形成されていて台座部41からセンサ配列方向に突出するように設けられたセンサ搭載部42と、を有している。また、台座部41とセンサハウジング31との結合部に設けられた防水シール部材43は、台座部41の円柱形状に対応して、リング状即ち略円形に形成されている。したがって、本実施形態によれば、円形リング状の防水シール部材43を用いることで、良好な防水性能が実現され得る。
【0048】
本実施形態においては、第一磁気回路部21及び第二磁気回路部22を含む固定磁気回路は、第一磁気回路部21としての第一ヨーク部材21aと、第二磁気回路部22としての第二ヨーク部材22aとによって構成されている。即ち、本実施形態においては、固定磁気回路には、第一ヨーク部材21aと第二ヨーク部材22aとの他に、補助的な集磁部材が設けられていない。かかる構成によれば、多極磁石20との相対回転により磁束密度が変動する固定磁気回路を構成する、第一磁気回路部21及び第二磁気回路部22の構造が、簡略化され得る。
【0049】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対しては適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態と異なる部分についてのみ説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一又は均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾又は特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0050】
本発明は、上記実施形態及び図面にて示された具体的な装置構成に限定されない。例えば、上下方向の概念は、上記の通り、実施形態の説明の便宜上設定したものである。故に、回転中心軸Cは、多くの場合、車高方向と交差する方向となる。また、回転中心軸Cは、Z軸と交差していてもよい。即ち、センサ配列方向をY軸と平行とし、且つ、回路基板44の幅方向をX軸と平行とした場合に、回転中心軸Cは、XZ平面内にてZ軸と所定の角度θ1をなすように設定され得る。このとき、θ1>0degである。あるいは、センサ配列方向は、YZ平面内にてY軸と所定の角度θ2をなすように設定され得る。即ち、θ2は、θ2>0degであって、且つ、磁気感応素子47aが第一磁気回路部21と第二磁気回路部22との間のギャップ内に収まる程度の角度に設定され得る。
【0051】
多極磁石20は、第一シャフト11に固定されていてもよいし、トーションバー13の軸方向における一端側に固定されていてもよい。同様に、第一磁気回路部21及び第二磁気回路部22は、第二シャフト12に固定されていてもよいし、トーションバー13の軸方向における他端側に固定されていてもよい。
【0052】
第一磁気回路部21が多極磁石20の軸方向における「一端側」に設けられていることは、第一磁気回路部21が多極磁石20の軸方向における一端部に対応する位置のみに設けられていることを意味しない。同様に、第二磁気回路部22が多極磁石20の軸方向における「他端側」に設けられていることは、第二磁気回路部22が多極磁石20の軸方向における他端部に対応する位置のみに設けられていることを意味しない。即ち、上記の記載は、第一磁気回路部21と第二磁気回路部22との相対位置関係を規定しているにすぎない。
【0053】
換言すれば、第一磁気回路部21が多極磁石20の軸方向における「一端側」に設けられており、且つ第二磁気回路部22が多極磁石20の軸方向における「他端側」に設けられていることは、第一磁気回路部21及び第二磁気回路部22の一部が多極磁石20の軸方向における中央部に設けられていることを排除しない。故に、例えば、第一リング板部21b及び第二リング板部22bは、多極磁石20の軸方向における略中央部にて、狭い磁気ギャップを隔てて対向するように設けられていてもよい。この場合、当該磁気ギャップ内に磁気感応素子47aが位置するように、トルク検出装置10が構成される。
【0054】
コネクタ部33の延設位置及び/又は延設方向は、上記の具体例に限定されない。即ち、例えば、コネクタ部33は、本体部32の突出方向における略中央部から、軸方向又は幅方向に延設され得る。あるいは、例えば、コネクタ部33は、本体部32の上端部から、幅方向に延設され得る。あるいは、例えば、コネクタ部33は、本体部32の上端部から、さらに上方(即ち図中Y軸正方向)に延設され得る。
【0055】
第一フランジ部34aは、回路基板モジュール40の幅方向における他端側から一端側に向かうフランジ延出方向に延設されている。このため、センサ配列方向に沿って見た場合に、第一フランジ部34aは、第一磁気回路部21、第二磁気回路部22及び多極磁石20と重なる。また、センサ配列方向に沿って見た場合に、固定孔34cは、第一磁気回路部21、第二磁気回路部22又は多極磁石20と重なる。故に、
図5及び
図6に示されている第二フランジ部34bを省略することで、
図7に示されているように、センサモジュール30及びトルク検出装置10の、幅方向寸法を小さくすることができる。
【0056】
あるいは、
図8に示されているように、第一フランジ部34aを軸方向に沿って突設することで、センサモジュール30及びトルク検出装置10の、幅方向寸法を、さらに小さくすることができる。なお、
図8の構成において、第一フランジ部34aに加えて、第一フランジ部34aとは反対側に突出する第二フランジ部が設けられていてもよい。
【0057】
上記実施形態においては、回路基板モジュール40における、センサ配列方向と平行な突出方向は、センサハウジング31の幅方向(即ちフランジ延出方向)と直交する。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。
【0058】
故に、センサ配列方向即ち突出方向は、フランジ延出方向と交差する方向であればよい。この場合、回路基板モジュール40は、
図5に示された状態から、基端部(即ち上端部)を中心として、角度θ3回転され得る。角度θ3は、0deg<θ3<90degを満たし、好ましくは5deg≦θ3≦30degを満たす。この場合であっても、回路基板モジュール40の「幅方向」は、回路基板モジュール40の延出方向と直交する方向に規定することができる。故に、この場合であっても、回路基板モジュール40の「幅方向」は、センサ配列方向と直交することとなる。
【0059】
回路基板モジュール40即ち回路基板44は、矩形以外の多角形状に形成され得る。この場合であっても、センサハウジング31との結合部における幅方向寸法が、センサハウジング31からの突出寸法よりも小さくなるように形成されることで、センサモジュール30の良好な小型化が達成され得る。
【0060】
防水シール部材43の構成及び材質も、上記の具体例に限定されない。例えば、
図9に示されているように、防水シール部材43は、センサハウジング31の端面35に形成された溝に埋設されていてもよい。あるいは、防水シール部材43は、Oリング等の、既製のシール部材であってもよい。具体的には、例えば、台座部41が、センサハウジング31の本体部32に形成された円筒形状の孔に挿入される場合があり得る。この場合、防水シール部材43は、台座部41の円柱面状の外周面に形成された溝に嵌め合わされたOリング又はパッキンであってもよい。既製のシール部材とコーキング剤とは、併用されてもよい。
【0061】
被覆材45を構成する材料も、上記の具体例に限定されない。磁気センサ47は、ホールICに限定されない。磁気センサ47は、三個以上設けられていてもよい。複数のコンデンサ46を含む、磁気センサ47以外の回路要素の、実装位置及び/又は実装数についても、特段の限定はない。即ち、磁気センサ47以外の回路要素は、センサ搭載部42以外の位置(例えば台座部41又はセンサハウジング31内)に設けられていてもよい。
【0062】
図10に示されているように、第一ヨーク部材21aと第二ヨーク部材22aとは、ヨークユニット200として一体化されていてもよい。ヨークユニット200は、円筒の軸方向における両端にリング状のフランジを有する糸巻形状を有している。ヨークユニット200は、第一ヨーク部材21aと第二ヨーク部材22aとを所定の位置関係で対向配置させた状態で、これらの外側をモールド樹脂201で覆うことによって形成されている。
【0063】
図11〜
図13を参照すると、第一磁気回路部21は、第一集磁部材210をさらに備えていてもよい。第一集磁部材210は、第一ヨーク部材21aと磁気結合されるように、第一ヨーク部材21aよりも下側にて第一ヨーク部材21aと近接配置されている。具体的には、第一集磁部材210は、第一本体部211と、複数の第一舌片部212とを有している。
【0064】
第一本体部211は、突出方向に沿った長手方向を有する棒状の部分であって、長手方向における中央部分が第一リング板部21bの真下に位置するように設けられている。複数の第一舌片部212の各々は、対応する磁気センサ47の真上に設けられている。複数の第一舌片部212の各々は、第一本体部211から平面視にて幅方向に沿って、第一リング板部21bから離隔するように延設されている。即ち、複数の第一舌片部212の各々は、対応する磁気センサ47に向かって延設されている。
【0065】
同様に、第二磁気回路部22は、第二集磁部材220をさらに備えていてもよい。第二集磁部材220は、第二ヨーク部材22aと磁気結合されるように、第二ヨーク部材22aよりも上側にて第二ヨーク部材22aと近接配置されている。具体的には、第二集磁部材220は、第二本体部221と、複数の第二舌片部222とを有している。
【0066】
第二本体部221は、突出方向に沿った長手方向を有する棒状の部分であって、長手方向における中央部分が第二リング板部22bの真上に位置するように設けられている。複数の第二舌片部222の各々は、対応する磁気センサ47の真下に設けられている。複数の第二舌片部222の各々は、第二本体部221から平面視にて幅方向に沿って、第二リング板部22bから離隔するように延設されている。即ち、複数の第二舌片部222の各々は、対応する磁気センサ47に向かって延設されている。
【0067】
第一集磁部材210と第二集磁部材220とは、軸方向に対向配置されている。複数の磁気センサ47の各々は、対応する第一舌片部212の先端部と対応する第二舌片部222の先端部との間に形成される磁気ギャップ内に磁気感応素子47aが位置するように、第一集磁部材210と第二集磁部材220との間に配置されている。
【0068】
かかる構成においては、第一本体部211と第一舌片部212とに段差を設けて第一舌片部212を磁気センサ47に近接させるとともに、第二本体部221と第二舌片部222とに段差を設けて第二舌片部222を磁気センサ47に近接させて、磁気感応素子47aが配置される磁気ギャップを可及的に小さくすることで、トルク検出装置10の感度が向上する。また、センサモジュール30の着脱方向即ち突出方向における、第一磁気回路部21と第二磁気回路部22とによって形成される固定磁気回路とセンサモジュール30との位置関係が変動しても、検出誤差の発生が良好に抑制される。さらに、多極磁石20と第一ヨーク部材21a等とが同期して相対回転する場合に発生する振れ回り誤差が、良好に低減され得る。
【0069】
なお、第一集磁部材210及び第二集磁部材220は、センサモジュール30とは別体に設けられていてもよい。あるいは、
図14及び
図15に示されているように、第一集磁部材210及び第二集磁部材220は、センサ搭載部42と一体に設けられていてもよい。即ち、第一集磁部材210及び第二集磁部材220は、被覆材45によって被覆されていてもよい。具体的には、センサモジュール30における防水性を確保するためには、センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部における防水シール構造に加えて、回路基板モジュール40における防水構造を考慮する必要がある。センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部における防水シール構造に関しては後述する。一方、回路基板モジュール40における防水構造は、被覆材45の表面に、異種材料同士の接合界面を露出させない必要がある。この点、
図14及び
図15に示されている構成においては、第一集磁部材210及び第二集磁部材220が、センサ搭載部42とともに、被覆材45の表面に異種材料同士の接合界面が露出しないように、被覆材45によって完全にオーバーモールドされている。また、第一集磁部材210及び第二集磁部材220が、上記のようなオーバーモールドが可能なように、平面視にて回路基板44内に収まるような小型の形状を有している。したがって、かかる構成によれば、回路基板モジュール40における防水構造が、良好に達成され得る。さらに、第一本体部211と第一舌片部212とに段差を設けて第一舌片部212を磁気センサ47に近接させるとともに、第二本体部221と第二舌片部222とに段差を設けて第二舌片部222を磁気センサ47に近接させることで、オーバーモールドによる磁気ギャップ増加分が段差により補われ、以て良好な感度が維持され得る。
【0070】
第一集磁部材210及び第二集磁部材220の形状は、上記の具体例に限定されない。即ち、例えば、
図16に示されているように、第一集磁部材210における第一本体部211は、
図12等に示されている第一ヨーク部材21aと同心の円弧状に形成され得る。第二集磁部材220についても同様である。かかる構成によれば、第一集磁部材210と第一ヨーク部材21aとの対向面積、及び第二集磁部材220と第二ヨーク部材22aとの対向面積を大きくして、第一集磁部材210及び第二集磁部材220に誘導される磁束密度をさらに高めることで、トルク検出装置10の感度がよりいっそう向上する。
【0071】
上記の実施形態及び各変形例の記載、及び各図面の記載から明らかなように、上記の実施形態及び各変形例においては、回路基板モジュール40は、軸方向と交差する面内に含まれ且つ突出方向と交差する幅方向における一端側にて、磁気センサ47を搭載しつつ、第一磁気回路部21と第二磁気回路部22との間のギャップと対向している。このため、回路基板モジュール40即ち回路基板44の突出方向先には、回転中心軸Cが設けられていない。即ち、回路基板モジュール40は、軸方向及び突出方向と直交する幅方向について、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22に対してオフセットした位置に設けられている。
【0072】
かかるオフセット構造を採用することで、センサハウジング31から突出した回路基板44における、回路実装面積が良好に確保され得る。即ち、センサハウジング31の外側に設けられた回路基板44にて、トルク検出に必要な複数の回路要素のうちの全部又は大部分が実装され得る。このため、センサハウジング31における本体部32には、回路基板44とコネクタ部33とを接続する配線部が設けられればよい。したがって、かかるオフセット構造によれば、センサハウジング31の寸法を、可及的に小さくすることが可能となる。また、かかるオフセット構造においては、トルク検出装置10の径方向における体格の小型化が良好に実現される。即ち、かかるオフセット構造においては、第一磁気回路部21と第二磁気回路部22とセンサモジュール30とを含む、トルク検出装置10全体の突出方向寸法が、回路基板44の突出方向先に回転中心軸Cが設けられている「非オフセット構造」よりも小さくなる。これにより、トルク検出装置10の車両搭載性が、非オフセット構造よりも向上する。なお、これらの効果は、磁気センサ47の搭載数が1個の場合でも同様である。
【0073】
センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部における防水シール構造は、上記の具体例に限定されない。以下、かかる防水シール構造に関する変形例について説明する。
【0074】
例えば、
図14及び
図15を参照すると、台座部41と、センサ搭載部42を構成する被覆材45とが、インサート成形等により一体的に成形される場合があり得る。この場合、台座部41とセンサ搭載部42との結合箇所である第一シール箇所SAにおいては、シール部材を用いた防水シール加工の必要はない。よって、この場合、センサハウジング31と台座部41との結合箇所である第二シール箇所SBにて、上記の通りの、シール部材を用いた防水シール加工が施される。
【0075】
一方、台座部41と、センサ搭載部42を構成する被覆材45とが、別々に成形された後、センサ搭載部42が台座部41と結合される場合があり得る。あるいは、台座部41が、センサハウジング31における本体部32に設けられる場合があり得る。これらの場合、第一シール箇所SAにおいて、上記の通りの、シール部材を用いた防水シール加工が施される。
【0076】
これらの場合においても、本発明においては、センサ配列方向を突出方向と略平行にすることで、センサ搭載部42の幅方向寸法を小さくすることができる。このため、第一シール箇所SAにおけるシール長さが可及的に抑制され得る。したがって、かかる構成によれば、簡素な防水シール構造により、良好な防水性能を達成することが可能となる。
【0078】
センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部を合成樹脂同士の直接接合構造とすることで、防水シール部材43は省略され得る。具体的には、例えば、
図14及び
図15を参照すると、合成樹脂によってモールドすることで被覆材45を形成した回路基板モジュール40の基端部に、インサート成型等によりセンサハウジング31を設けることで、回路基板モジュール40の基端部とセンサハウジング31とが直接接合され得る。回路基板モジュール40の基端部とセンサハウジング31との直接接合は、インサート成型の他にも、レーザ溶着を含む溶着加工等によっても実現され得る。
【0079】
回路基板モジュール40の被覆材45による被覆構造は、被覆材45が被覆対象に密着しつつ当該被覆対象の全体を被覆する、いわゆるオーバーモールド構造に限定されない。即ち、被覆材45は、回路基板モジュール40における防水構造を実現していれば、磁気センサ47等の回路要素と密着していなくてもよい。具体的には、例えば、被覆材45は、回路基板44を覆う合成樹脂製のケースであってもよい。即ち、被覆材45は、センサハウジング31と回路基板モジュール40とが防水シール構造により結合された状態で、被覆対象を露出しないように被覆していればよい。
【0080】
換言すれば、センサハウジング31と回路基板モジュール40とが防水シール構造により結合された状態で、被覆材45を構成する合成樹脂材料と被覆対象との接合界面が被覆材45の表面に露出していなければ、防水構造が実現され得る。なお、被覆対象とは、回路基板44と、この回路基板44に実装された回路要素と、この回路基板44に接続された配線材料とを含む。配線材料は、例えば、端子、リード、等である。
【0081】
上記の実施形態及び各変形例において、コネクタ部33として、所謂「防水コネクタ」を用いることが可能である。特に、上記のように、センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部を防水シール構造とし、回路基板モジュール40を防水構造とし、さらに、コネクタ部33として防水コネクタを用いることで、トルク検出装置10における「完全防水」が実現される。このような完全防水構造は、特に、トルク検出装置10が軽微でない被水環境にさらされる可能性がある場合に重要となる。
【0082】
即ち、電動パワーステアリング装置1の構造には、
図1に示された所謂「コラムタイプ」の他に、
図17に示された所謂「ラックタイプ」が存在する。具体的には、
図17を参照すると、ラックタイプの電動パワーステアリング装置1は、ステアリングシャフト3と、ステアリングコラム4と、ハンドル5と、電動モータ6と、ステアリングギア機構7と、リンク機構8と、ゴムブーツ9と、トルク検出装置10とを備えている。なお、ステアリングシャフト3、ステアリングコラム4、及びゴムブーツ9は、
図1に示されているコラムタイプにおいても設けられているが、
図1においては、符号による明示又は図示が省略されている。
【0083】
ステアリングシャフト3は、ステアリングコラム4によって回転可能に支持されている。ステアリングシャフト3の一端部は、ハンドル5と連結されている。ステアリングシャフト3は、ハンドル5の操作に応じて回転するように設けられている。
【0084】
電動モータ6は、ハンドル5の操作状態に応じて駆動されることで、車輪Tの向きを変更するための操舵力をアシストするアシスト力をステアリングギア機構7に入力するように設けられている。
図17に示されているように、ラックタイプの電動パワーステアリング装置1においては、電動モータ6は、ステアリングギア機構7のケーシングに装着されている。これに対し、
図1に示されているコラムタイプにおいては、電動モータ6は、ステアリングコラム4に装着されている。
【0085】
ステアリングギア機構7の両端部における、リンク機構8との連結箇所には、ゴムブーツ9が装着されている。ゴムブーツ9は、ステアリングギア機構7とリンク機構8との連結箇所からステアリングギア機構7の内部に水が浸入することを防止するために設けられている。
【0086】
図17に示されているように、ラックタイプの電動パワーステアリング装置1においては、トルク検出装置10は、ステアリングギア機構7のケーシングに装着されている。これに対し、
図1に示されているコラムタイプにおいては、トルク検出装置10は、ステアリングコラム4に装着されている。即ち、
図1に示されているコラムタイプにおいては、収容壁Wは、ステアリングコラム4のケーシングを構成する壁材であった。これに対し、
図17に示されているラックタイプにおいては、収容壁Wは、ステアリングギア機構7のケーシングを構成する壁材である。
【0087】
ゴムブーツ9の劣化又は破損により、ゴムブーツ9の内部に水が浸入する可能性がある。この点、
図1に示されているコラムタイプにおいては、ゴムブーツ9の内部に浸入した水が、重力に逆らってトルク検出装置10まで遡上する可能性は低い。このため、
図1に示されているコラムタイプにおいては、トルク検出装置10の被水は、専ら、センサハウジング31と収容壁Wとの接合部から浸入した水に起因するものとなり、被水環境は比較的軽微となり得る。
【0088】
これに対し、
図17に示されているラックタイプにおいては、トルク検出装置10は、ゴムブーツ9と同様の搭載高に設けられ、且つ、ゴムブーツ9からステアリングギア機構7の内部への水浸入箇所の近傍に位置している。したがって、センサモジュール30と収容壁Wとの接合部をOリング等により防水シールして被水対策しても、ゴムブーツ9に発生した亀裂Bから浸入した水は、ステアリングギア機構7のケーシング内部の浸水経路Pを通って、収容壁Wの内側に入り込む。この場合、回路基板モジュール40、及び、センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部は、収容壁Wの内側に入り込んだ水にさらされる可能性がある。仮に、トルク検出装置10の内部に浸入した水により回路故障が発生した場合、これによりトルク検出信号の出力が停止するため、電動パワーステアリング装置1の動作が停止してしまう懸念がある。しかしながら、上記のように、トルク検出装置10即ちセンサモジュール30を、異種材料同士の接合界面が浸水経路Pに露出しない完全防水構造とすることで、偶発的なブーツ破れが発生した場合等においてもセンサモジュール30の内部への水の浸入が良好に防止され、以て電動パワーステアリング装置1の動作が良好に継続され得る。
【0089】
なお、上記の防水構造による効果は、磁気センサ47の搭載数が複数個の場合のみならず、1個の場合でも同様である。また、この効果は、オフセット構造に限定されない。即ち、この効果は、回路基板44の突出方向先に回転中心軸Cが設けられている非オフセット構造の場合でも同様である。即ち、上記のような防水構造は、オフセット構造のみならず、オフセット構造を有していないトルク検出装置10においても有効である。
【0090】
図18及び
図19は、非オフセット構造の場合に、トルク検出装置10を完全防水構造とした例を示す。
図19は、
図18の構成に対して、
図14及び
図15の例と同様に、第一集磁部材210及び第二集磁部材220を被覆材45によって被覆した構成を追加したものである。
【0091】
センサモジュール30と収容壁Wとの接合部は、防水シールにより液密的に接合されていることが好適である。具体的には、
図18及び
図19を参照すると、センサハウジング31は、筒状突起361を有している。筒状突起361は、本体部32と継目なく一体に形成されている。
【0092】
筒状突起361は、突出方向と平行な中心軸線の円筒形状を有するリブ状突起であって、端面35から突出方向に突設されている。筒状突起361は、円孔である取付孔W1に嵌め合わされるように形成されている。即ち、筒状突起361は、外径寸法が取付孔W1の内径寸法と所定の嵌め合い交差の関係となるように形成されている。
【0093】
筒状突起361は、収容壁Wにおける取付孔W1が設けられた部分の厚さよりも高い突出寸法を有している。筒状突起361の外周面には、合成ゴム製のOリング362が装着されている。即ち、Oリング362は、センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部を囲むように設けられている。本具体例においては、Oリング362は、センサハウジング31における端面35と収容壁Wとの間にて、突出方向に押圧されつつ挟持されている。
【0094】
かかる構成においては、センサモジュール30の着脱に際し、第一シャフト11と第二シャフト12とトーションバー13との結合を解除する必要がない。したがって、センサモジュール30の交換が、第一シャフト11と第二シャフト12とトーションバー13との結合を解除することなく、容易に行われる。特に、Oリング362がリング径方向に押圧されるように装着されることで、センサハウジング31と収容壁Wとの液密的な接合が、よりいっそう確実に行われ得る。かかるシール構造を、本明細書においては、「軸シール構造」と呼称する。
図20は、かかる構成の具体例を示す。
【0095】
図20に示されたトルク検出装置10は、
図14及び
図15に示されたトルク検出装置10と同様の構成を有している。本具体例においては、センサハウジング31は、第一シール保持部363と第二シール保持部364を有している。
【0096】
第一シール保持部363は、センサハウジング31における回路基板モジュール40との結合部に設けられた円柱状の部分であって、センサハウジング31における端面35から突出方向に突設されている。第一シール保持部363は、Oリング362を装着状態で保持可能な外径、即ち、自然状態におけるOリング362の内径よりもわずかに大きな外径に形成されている。Oリング362の「自然状態」とは、Oリング362を水平面に載置して、Oリング362に対して、重力及び水平面からの重力の反力以外の何らの外力も作用していない状態をいうものとする。第二シール保持部364は、突出方向について第一シール保持部363に隣接する部分であって、突出方向側即ち回路基板モジュール40の延出方向側の表面が端面35を構成するように設けられている。第二シール保持部364は、センサモジュール30が収容壁Wに装着された状態で、端面35を構成する突出方向側の端面にて、Oリング362及び収容壁Wに当接するようになっている。即ち、第一シール保持部363と第二シール保持部364とによって、Oリング362を保持可能な段差が形成されている。
【0097】
Oリング362は、内周面が第一シール保持部363における円柱面状の外周面と密着するように、第一シール保持部363に保持されている。即ち、Oリング362は、センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部を囲むように設けられている。
【0098】
収容壁Wにおける取付孔W1は、内周面が円柱面状となるように、円孔状に形成されている。具体的には、Oリング362を非装着状態でセンサモジュール30を収容壁Wに装着した場合に、第一シール保持部363における円柱面状の外周面と取付孔W1の内周面との間に、Oリング362の太さよりもわずかに小さなギャップが形成されるように、取付孔W1が形成されている。
【0099】
かかる構成においては、Oリング362は、第一シール保持部363における円柱面状の外周面と取付孔W1の内周面との間で、突出方向と交差するリング径方向に押圧される。これにより、センサハウジング31と収容壁Wとの液密的な接合が、よりいっそう確実に行われ得る。
【0100】
また、かかる構成においては、回路基板モジュール40は、軸方向と交差する面内に含まれ且つ突出方向と交差する幅方向における一端側にて、磁気センサ47を搭載しつつ、第一磁気回路部21と第二磁気回路部22との間のギャップと対向している。即ち、トルク検出装置10は、上記のオフセット構造を有している。このため、回路基板44は、突出方向に長手方向を有する縦長形状に形成され得る。回路基板44を縦長形状に形成することで、
図18及び
図19に示された横長形状の場合よりもOリング362の外径を小さくすることができる。
【0101】
したがって、かかる構成によれば、軸シール構造を容易に実現することができるとともに、軸シール構造におけるシール性が向上する。特に、回路基板モジュール40をオーバーモールドにより防水構造とするとともに、コネクタ部33として防水コネクタを用いることで、トルク検出装置10における「完全防水」が良好に実現される。
【0102】
図21〜
図24は、
図20に示されたトルク検出装置10の構成を、より具体化した一例を示す。本具体例のトルク検出装置10は、
図17に示されたラックタイプの電動パワーステアリング装置1における、ステアリングギア機構7のケーシングに装着されるように構成されている。以下、
図21〜
図24を参照しつつ、本具体例のトルク検出装置10の具体的構成について説明する。
【0103】
本具体例のトルク検出装置10は、メインハウジング700を備えている。メインハウジング700は、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22を収容するように構成されている。また、メインハウジング700は、センサモジュール30を着脱可能に構成されている。なお、センサモジュール30がメインハウジング700に「着脱可能」であることは、1〜数本程度の少数のネジの着脱によって比較的短時間且つ容易にセンサモジュール30のメインハウジング700に対する着脱が可能であることを意味するものとする。よって、「着脱可能」は、「着脱容易」あるいは「着脱自在」と言い換えられ得る。
【0104】
メインハウジング700は、磁気回路収容部701と、センサモジュール収容部702と、接合フランジ部703とを有している。磁気回路収容部701と、センサモジュール収容部702と、接合フランジ部703とは、互いに継目なく一体に形成されている。
【0105】
磁気回路収容部701は、多極磁石20、第一磁気回路部21、及び第二磁気回路部22を収容する部分であって、軸方向に沿った略円筒形状に形成されている。磁気回路収容部701の幅方向における一端部には、センサモジュール収容部702が接続されている。
【0106】
センサモジュール収容部702は、回路基板モジュール40を収容する部分であって、突出方向に沿った略円筒形状に形成されている。即ち、センサモジュール収容部702の突出方向における一端側には、取付孔W1が設けられている。一方、センサモジュール収容部702の突出方向における他端側は、閉塞されている。
【0107】
センサモジュール収容部702は、磁気回路収容部701よりも外径が小さく形成されている。また、センサモジュール収容部702の突出方向寸法は、磁気回路収容部701の外径よりも小さく設定されている。センサモジュール収容部702の内側の略円柱状の空間であるセンサ収容空間W2は、磁気回路収容部701の内側の略円柱状の空間と幅方向に連通するようになっている。
【0108】
接合フランジ部703は、メインハウジング700の軸方向における一端部に設けられたフランジ部であって、面内方向に沿って延設されている。接合フランジ部703には、一対の固定舌片部704が設けられている。固定舌片部704は、幅方向に延設されている。固定舌片部704には、貫通孔705が形成されている。即ち、メインハウジング700は、ステアリングギア機構7のケーシングの表面と接合フランジ部703との間にガスケット等のシール部材を挟持させつつ、不図示のボルトを貫通孔705に貫通させてステアリングギア機構7のケーシングに螺着することで、ステアリングギア機構7のケーシングに対して液密的に接合されるようになっている。
【0109】
センサモジュール30が取り付けられる収容壁Wは、磁気回路収容部701及びセンサモジュール収容部702の突出方向における一端側にて、軸方向及び幅方向に沿って延設されている。収容壁Wに設けられた取付孔W1は、センサ収容空間W2と連通するように設けられている。即ち、取付孔W1は、収容壁Wの表面であってセンサハウジング31が接合される装着面W3にて開口するように設けられている。また、装着面W3には、固定孔34cと連通するように設けられたネジ孔である締結孔W4が形成されている。即ち、センサモジュール30は、不図示のボルトを固定孔34cに貫通させつつ締結孔W4に螺着することで、装着面W3に装着されるようになっている。
【0110】
取付孔W1の開口部は、軸シール面W11と対向面W12とを有している。軸シール面W11は、突出方向と平行な中心軸線方向を有する円筒内面状に形成されている。軸シール面W11は、センサモジュール30がメインハウジング700に装着された際に、Oリング362を挟んで第一シール保持部363と対向するように設けられている。
【0111】
対向面W12は、軸シール面W11の突出方向における一端部にて、軸シール面W11と略直交するように設けられている。対向面W12は、突出方向に沿った法線方向を有する平面状の部分であって、センサ収容空間W2の略円柱形状における中心軸線を囲むようにリング状に形成されている。即ち、軸シール面W11と対向面W12とによって、Oリング362を保持可能な段差が形成されている。
【0112】
本具体例の構成においては、
図21及び
図22に示されているように、第一シール保持部363と第二シール保持部364とによって形成された段差にOリング362が保持された状態で、回路基板モジュール40が、センサモジュール収容部702内に挿入される。
図22には、このときの挿入方向即ちセンサモジュールの移動方向が、矢印で示されている。
【0113】
その後、センサモジュール30は、センサハウジング31が装着面W3に密着した状態で、固定孔34cに挿入された不図示のボルトにより装着面W3に固定される。これにより、センサモジュール30は、メインハウジング700に装着される。
【0114】
センサモジュール30がメインハウジング700に装着された状態で、Oリング362は、第一シール保持部363と第二シール保持部364とによって形成された段差と、軸シール面W11と対向面W12とによって形成された段差との間に保持される。このとき、Oリング362は、突出方向即ちOリング362の厚さ方向に押圧力を受ける他に、リング径方向即ちXZ平面に沿った方向に押圧力を受ける。即ち、上記の軸シール構造が実現される。
【0115】
かかる構成においては、Oリング362は、第一シール保持部363における円柱面状の外周面と取付孔W1の内周面である軸シール面W11との間で、突出方向と交差するリング径方向に押圧される。これにより、センサハウジング31と収容壁Wとの液密的な接合が、よりいっそう確実に行われ得る。
【0116】
図24は、メインハウジング700に装着されたセンサモジュール30の、防水コネクタタイプのコネクタ部33に対して、防水コネクタタイプのECU側コネクタ901を接続した状態を示す。ECU側コネクタ901は、L字型のコネクタであって、防水ケーブル902の末端に設けられている。防水ケーブル902は、電動パワーステアリング装置1の制御部であるECUと電気接続されている。
【0117】
本具体例の構成によれば、センサハウジング31と回路基板モジュール40との結合部を防水シール構造とし、回路基板モジュール40を防水構造とし、さらに、コネクタ部33として防水コネクタを用いることで、トルク検出装置10における「完全防水」が良好に実現される。したがって、かかる構成によれば、軽微でない被水環境においても、電動パワーステアリング装置1及びトルク検出装置10における良好な防水性が実現され得る。
【0118】
図24に示されているように、本具体例の構成も、上記のオフセット構造を有している。このため、本具体例の構成によれば、回路基板モジュール40は、メインハウジング700の内部空間の奥深くまで挿入される。したがって、本具体例によれば、使用状態でのトルク検出装置10の径方向寸法DDを、可及的に小さくすることが可能となる。なお、「使用状態」とは、「車載状態」とほぼ同義であって、トルク検出装置10が電動パワーステアリング装置1に装着されて、ハンドル5の操作状態に応じた電気信号を外部装置に伝達可能な状態をいうものとする。
【0119】
なお、
図21〜
図24に示された、メインハウジング700を有するトルク検出装置10の構成は、
図1に示されたコラムタイプの電動パワーステアリング装置1にも適用され得る。この場合、接合フランジ部703に関連する構造が、
図21等に示された構造から適宜変更され得る。
【0120】
図25は、
図24の構成を一部変容したものである。なお、
図25においては、主として回路基板モジュール40の構成を説明するため、第一磁気回路部21及び第二磁気回路部22が2点鎖線で示されているとともに、これらよりも回路基板モジュール40が図中手前側に示されている。
【0121】
図25を参照すると、回路基板モジュール40には、磁気センサ47が平面視にて傾いた状態で設けられている。具体的には、回路基板モジュール40は、幅方向における一端側の端縁即ちX軸正方向側の端縁が、センサハウジング31から離隔するにしたがって回転中心軸Cから離隔するように形成されている。磁気センサ47は、かかる端縁の近傍に設けられている。
【0122】
即ち、回路基板44は、平面視にて、第一端縁441と、第二端縁442と、第三端縁443とを有している。第一端縁441は、幅方向における他端側の端縁即ちX軸負方向側の端縁であって、突出方向と平行に延設されている。第二端縁442は、幅方向における一端側の端縁即ちX軸正方向側の端縁の、突出方向における一端側即ち基端側の部分であって、突出方向と平行に延設されている。第三端縁443は、幅方向における一端側の端縁即ちX軸正方向側の端縁の、突出方向における他端側即ち先端側の部分であって、突出方向と交差する方向に延設されている。第三端縁443は、平面視にて、センサハウジング31から離隔するにしたがって回転中心軸Cから離隔するような傾きで設けられている。磁気センサ47は、第三端縁443に沿って設けられている。
【0123】
なお、本具体例の構成においても、回路基板モジュール40は、回路基板44と第一集磁部材210と第二集磁部材220とを被覆材45によってオーバーモールドした、防水構造を有している。第一集磁部材210及び第二集磁部材220は、第三端縁443に沿って設けられている。なお、図示の都合上、
図25には第二集磁部材220は示されていない。
【0124】
第一集磁部材210と第二集磁部材220との間のギャップにおける、第三端縁443とが対向する位置を、以下単に「対向位置」と称する。また、第三端縁443が突出方向と平行に延設されている場合の構成(即ち
図23に示された構成参照)を、「通常オフセット構成」と称する。
【0125】
通常オフセット構成においては、対向位置は、回転中心軸CからX軸負方向側に位置する。これに対し、本具体例の構成においては、対向位置は、通常オフセット構成の場合の位置から、
図25にて回転中心軸Cを中心として時計回りに30度程度回転した位置となる。即ち、本具体例の構成においては、対向位置は、通常オフセット構成よりも、幅方向について回転中心軸Cに近づくとともに、突出方向についてセンサハウジング31に近づく。
【0126】
本具体例の構成によれば、通常オフセット構成の場合よりも、回路基板モジュール40を回転中心軸Cに近づけることが可能となる。これにより、センサモジュール収容部702(
図23等参照)の径方向サイズを可及的に小さくすることが可能となる。したがって、かかる構成によれば、トルク検出装置10の車両搭載性が、よりいっそう向上する。
【0127】
また、本具体例の構成によれば、通常オフセット構成の場合よりも、回路基板モジュール40の突出方向寸法を小さくすることが可能となる。具体的には、例えば、回路基板44の突出方向における先端位置を、回転中心軸Cと同等あるいは回転中心軸Cよりも基端側とすることが可能となる。これにより、センサモジュール収容部702(
図23等参照)の突出方向サイズを可及的に小さくすることが可能となる。したがって、かかる構成によれば、トルク検出装置10の車両搭載性が、よりいっそう向上する。
【0128】
防水構造は、防塵構造も兼ねる。即ち、上記の通りの防水構造により、優れた防塵効果をも奏され得る。
【0129】
上記の説明において、互いに継目無く一体に形成されていた複数の構成要素は、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されてもよい。同様に、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されていた複数の構成要素は、互いに継目無く一体に形成されてもよい。
【0130】
上記の説明において、互いに同一の材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに異なる材料によって形成されてもよい。同様に、互いに異なる材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに同一の材料によって形成されてもよい。
【0131】
変形例も、上記の例示に限定されない。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。さらに、上記実施形態の全部又は一部と、変形例の全部又は一部とが、互いに組み合わされ得る。