特許第6791079号(P6791079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791079
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ドアフレームのシール構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/40 20160101AFI20201116BHJP
   B60J 10/25 20160101ALI20201116BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20201116BHJP
   B60J 10/86 20160101ALI20201116BHJP
   B60J 10/15 20160101ALI20201116BHJP
【FI】
   B60J10/40
   B60J10/25
   B60J10/27
   B60J10/86
   B60J10/15
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-180843(P2017-180843)
(22)【出願日】2017年9月21日
(65)【公開番号】特開2019-55666(P2019-55666A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】須川 浩志
【審査官】 高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−025847(JP,A)
【文献】 実開平02−145518(JP,U)
【文献】 特開2017−024674(JP,A)
【文献】 特開2007−153085(JP,A)
【文献】 米国特許第05347758(US,A)
【文献】 特開2012−162100(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0095599(US,A1)
【文献】 特開平4−238728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアフレームに取付けられ、ドアフレームと車体との間をシールするドアフレームのシール構造において、
上記ドアフレームのシール構造は、上記ドアフレームとドアガラス及び車体開口部周縁との間をシールするガラスランと、車体開口部周縁とドアとの間をシールするドアウエザストリップを有し、
上記ドアフレームは、上記ドアフレームの外周側の先端にドアパネル外周側フランジ部を有し、
上記ドアウエザストリップは、上記ドアフレームに取付けられるドアウエザストリップ基底部と、該ドアウエザストリップ基底部と一体的に形成され上記車体開口部周縁に当接するドアウエザストリップシール部を有し、
上記ガラスランは、上記ドアパネル外周側フランジ部に取付けられるトリム部と、該トリム部と一体的に形成され、上記ドアガラスとの間をシールするガラスラン部とから構成され、
上記トリム部は、ガラスラン側側壁、ボディー側側壁及びトリム部底壁からなる断面略コ字状をなし、
上記ドアウエザストリップ基底部の車外側方向の端部にドアウエザストリップ係合部を形成し、上記ドアウエザストリップ係合部の車外側面には、上記ボディー側側壁の車内側方向の先端と当接するドアウエザストリップ係合部シール突起が形成され、
上記ボディー側側壁の車内側方向の先端にトリム部係合部を形成し、上記ドアウエザストリップ係合部と上記トリム部係合部が嵌合することを特徴とするドアフレームのシール構造。
【請求項2】
上記ドアウエザストリップ係合部と上記トリム部係合部は、互いに噛合う鉤状部が形成された請求項1に記載のドアフレームのシール構造。
【請求項3】
上記トリム部係合部は、車両上側方向に開口し、長手方向に連続するトリム部係合部凹部が形成された請求項1又は請求項2に記載のドアフレームのシール構造。
【請求項4】
上記トリム部係合部は、上記ドアウエザストリップ係合部シール突起よりも高剛性の材料で形成された請求項3に記載のドアフレームのシール構造。
【請求項5】
上記ドアウエザストリップ係合部の鉤状部は、上記トリム部係合部の鉤状部よりも高剛性の材料で形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のドアフレームのシール構造。
【請求項6】
上記ガラスラン部は、車外側側壁、車内側側壁及びガラスラン部底壁からなる断面略コ字状をなすとともに、上記車外側側壁及び車内側側壁の先端から断面略コ字状の内部方向斜めにそれぞれ車外側シールリップと車内側シールリップを延設し、
上記ガラスラン側側壁と上記ガラスラン部の上記ガラスラン部底壁は、一体的又は同一部材として形成された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のドアフレームのシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアフレームに取付けられ、ドアフレームと車体との間をシールするドアフレームのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアフレームが設けられているドアの自動車の車体開口部周縁とドアとの間をシールするシール構造においては、例えば、車体ドア開口縁のフランジにオープニングトリムウエザストリップを取り付け、ドアフレームの外周にドアウエザストリップを取り付け、ドア閉時にオープニングトリムウエザストリップの中空シール部がドアフレームの膨出部に当接し、ドアウエザストリップの中空シール部およびシールリップが車体開口部周縁のアウターパネルに当接してドアとの間をシールしていた。
【0003】
このとき、ドアの内部において昇降するドアガラスは、その周囲をドアフレームの内周側に取付けられたガラスランによって保持され、ガラスランの断面略コ字状の溝部内を昇降しており、このドアガラスとドアフレームとの間のシールは、このガラスランによりなされている。
【0004】
自動車の側面の外観では、ドアガラスの周囲にガラスラン、ドアフレームが目立つこととなり、デザイン的に改良の必要性があった。また、ドアフレームとドアガラスの間に、ガラスランが存在するため、ドアフレームとドアガラスとの間の表面でギャップが存在してデザイン的に好ましくなかった。
【0005】
このため、図5に示すように、ヒドゥンドアタイプの自動車車体として、ドアフレームの車外側の面をなくしてフランジのみとして、ルーフ部においては、ガラスランのみとしてデザイン性を向上させることが行われている。
【0006】
この場合に、ガラスランは、トリム部によりドアフレームのフランジ部に取付けられて、いる。トリム部は、ドアフレームからの外れ防止のために、ドアフレームとの係合部を有している。この係合部としては、ドアフレームの車両上側面に係合部を形成する等によりガラスランを固定している。
【0007】
図6に示すように、ドアフレーム102のフランジ部103の先端を車両上側方向に屈曲して形成し、フランジ部103を係止して、ガラスラン110のガラスラン部120とドアウエザストリップ140を保持する構造がある(例えば、特許文献1参照。)。この場合には、フランジ部103の先端をガラスラン110のトリム部130の内部に挿入するため、組付け性が低下している。また、ドアウエザストリップ140の固定が合成樹脂製の係合部131であるため、保持強度が不足する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017−24674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため、シール性、組付け性及びドアウエザストリップの保持性に優れたドアフレームのシール構造が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、ドアフレームに取付けられ、ドアフレームと車体との間をシールするドアフレームのシール構造において、
ドアフレームのシール構造は、ドアフレームとドアガラス及び車体開口部周縁との間をシールするガラスランと、車体開口部周縁とドアとの間をシールするドアウエザストリップを有し、
ドアフレームは、ドアフレームの外周側の先端にドアパネル外周側フランジ部を有し、
ドアウエザストリップは、ドアフレームに取付けられるドアウエザストリップ基底部と、ドアウエザストリップ基底部と一体的に形成され車体開口部周縁に当接するドアウエザストリップシール部を有し、
ガラスランは、ドアパネル外周側フランジ部に取付けられるトリム部と、トリム部と一体的に形成され、ドアパネルフランジ部に取付けられて、ドアガラスとの間をシールするガラスラン部とから構成され、
トリム部は、ガラスラン側側壁、ボディー側側壁及びトリム部底壁からなる断面略コ字状をなし、
ドアウエザストリップ基底部の車外側方向の端部にドアウエザストリップ係合部を形成し、ドアウエザストリップ係合部の車外側面には、ボディー側側壁の車内側方向の先端と当接するドアウエザストリップ係合部シール突起が形成され、
ボディー側側壁の車内側方向の先端にトリム部係合部を形成し、ドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部が嵌合することを特徴とするドアフレームのシール構造である。
【0011】
請求項1の本発明では、ドアフレームのシール構造は、ドアフレームとドアガラス及び車体開口部周縁との間をシールするガラスランと、車体開口部周縁とドアとの間をシールするドアウエザストリップを有する。このため、ドアフレームとドアガラスの間をガラスランでシールして、車体開口部周縁とドアフレームの間をドアウエザストリップによりシールして、ドアフレームの内周部と外周部をシールすることができる。
ドアフレームは、ドアフレームの外周側の先端にドアパネル外周側フランジ部を有する。このため、ドアパネル外周側フランジ部でガラスランのトリム部を保持することができる。
【0012】
ドアウエザストリップは、ドアフレームに取付けられるドアウエザストリップ基底部と、ドアウエザストリップ基底部と一体的に形成され車体開口部周縁に当接するドアウエザストリップシール部を有している。このため、ドアウエザストリップ基底部をドアフレームに取付けると、ドアウエザストリップシール部が車体開口部周縁とドアフレームの間をシールすることができる。
【0013】
ガラスランは、ドアパネル外周側フランジ部に取付けられるトリム部と、トリム部と一体的に形成され、ドアパネル内周側フランジ部に取付けられて、ドアガラスとの間をシールするガラスラン部とから構成されている。このため、トリム部をドアフレームに取付けると、ガラスラン部がドアフレームとドアガラスとの間をシールすることができる。
【0014】
トリム部は、ガラスラン側側壁、ボディー側側壁及びトリム部底壁からなる断面略コ字状をなしている。このため、ドアフレームにガラスラン部を保持するため、チャンネルを形成することが不要で、トリム部をドアパネルフランジ部に取付けると、トリム部は、強固にドアパネルフランジ部に保持されて、ガラスランをドアフレームに取付けることができ、ガラスランの取付けが容易である。
【0015】
ドアウエザストリップ基底部の車外側方向の端部にドアウエザストリップ係合部を形成し、ボディー側側壁の車内側方向の先端にトリム部係合部を形成し、ドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部が嵌合している。このため、トリム部とドアウエザストリップを連結することができ、トリム部の組付け性を損なうことなく、トリム部とドアウエザストリップの間の隙間を塞ぐことができ、外観性を向上させることができる。
ドアウエザストリップ係合部の車外側面には、ボディー側側壁の車内側方向の先端と当接するドアウエザストリップ係合部シール突起が形成されている。このため、ドアウエザストリップ係合部シール突起がドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部の間に位置して、その間のシール性を確保するとともに、ドアウエザストリップ係合部シール突起がトリム部係合部を付勢して、ドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部が外れることを防止できる。
【0016】
請求項2の本発明は、ドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部は、互いに噛合う鉤状部が形成されたドアフレームのシール構造である。
【0017】
請求項2の本発明では、ドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部は、互いに噛合う鉤状部が形成されている。このため、ドアウエザストリップの基底部とトリム部のボディー側側壁とか強く噛み合うことができ、ドアの開閉等によりドアウエザストリップに荷重がかかっても、ドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部が外れることがなく、シール性を確保することができる。
【0020】
請求項3の本発明は、トリム部係合部は、車両上側方向に開口し、長手方向に連続するトリム部係合部凹部が形成されたドアフレームのシール構造である。
【0021】
請求項3の本発明では、トリム部係合部は、車両上側方向に開口し、長手方向に連続するトリム部係合部凹部が形成されている。このため、ドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部の間のドアウエザストリップ係合部シール突起を超えて、雨水が侵入しても、トリム部係合部凹部が雨水を受け止めて、車外へ排出することができる。
【0022】
請求項4の本発明は、トリム部係合部は、ドアウエザストリップ係合部シール突起よりも高剛性の材料で形成されたドアフレームのシール構造である。
【0023】
請求項4の本発明では、トリム部係合部は、ドアウエザストリップ係合部シール突起よりも高剛性の材料で形成されている。このため、トリム部係合部の剛性を高めて、ドアウエザストリップ係合部シール突起が強く付勢することができる。
【0024】
請求項5の本発明は、ドアウエザストリップ係合部の鉤状部は、トリム部係合部の鉤状部よりも高剛性の材料で形成されたドアフレームのシール構造である。
【0025】
請求項5の本発明では、ドアウエザストリップ係合部の鉤状部は、トリム部係合部の鉤状部よりも高剛性の材料で形成されている。このため、ドアウエザストリップ係合部はガラスランを組付けた後に、トリム部係合部に対して被せるように組付けられるが、この時、ドアウエザストリップ係合部鉤状部の先端に形成されているドアウエザストリップ係合部鉤先端部が、トリム部係合部鉤状部の先端のトリム部係合部鉤先端部に当接して、ドアウエザストリップ係合部鉤状部がトリム部係合部鉤状部を撓ませながらトリム部係合部凹部に挿入されることができる。
【0026】
請求項6の本発明は、ガラスラン部は、車外側側壁、車内側側壁及びガラスラン部底壁からなる断面略コ字状をなすとともに、車外側側壁及び車内側側壁の先端から断面略コ字状の内部方向斜めにそれぞれ車外側シールリップと車内側シールリップを延設し、
ガラスラン側側壁とガラスラン部のガラスラン部底壁は、一体的又は同一部材として形成されたドアフレームのシール構造である。
【0027】
請求項6の本発明では、ガラスラン部は、車外側側壁、車内側側壁及びガラスラン部底壁からなる断面略コ字状をなすとともに、車外側側壁及び車内側側壁の先端から断面略コ字状の内部方向斜めにそれぞれ車外側シールリップと車内側シールリップを延設している。このため、車外側側壁、車内側側壁及びガラスラン部底壁からなる断面略コ字状の内部をドアガラスの端部が摺動して、ドアガラスを保持することができる。また、車外側シールリップと車内側シールリップが、ドアガラスの端部に当接して、ドアガラスとドアフレームの間をシールすることができる。
【0028】
ガラスラン側側壁とガラスラン部のガラスラン部底壁は、一体的又は同一部材として形成されている。このため、ドアフレームにガラスラン部を保持するため、チャンネルを形成することが不要で、トリム部をドアパネル外周側フランジ部に取付けると、トリム部は、強固にドアパネル外周側フランジ部に保持されて、ガラスランをドアフレームに取付けることができ、ガラスランの取付けが容易である。また、ガラスラン部とトリム部が強固に一体的に形成されて、トリム部によりガラスラン部を保持することができる。
【発明の効果】
【0029】
ドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部が嵌合しているため、トリム部とドアウエザストリップを連結することができ、トリム部の組付け性を損なうことなく、トリム部とドアウエザストリップの間の隙間を塞ぐことができ、外観性も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態における、ガラスランとドアウエザストリップをドアフレームの係止部に取付けた断面図であり、図4のA−A線に沿った断面図である。
図2】本発明の実施の形態における、ガラスランとドアウエザストリップをドアフレームにクリップで取付けた断面図であり、図4のA−A線に沿った断面図である。
図3】本発明の実施の形態における、ドアウエザストリップ係合部とトリム部係合部の部分の拡大断面図である。
図4】本発明の実施の形態における、ガラスランの正面図である。
図5】自動車の側面図である。
図6】従来のガラスラン断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を図1図5に基づき説明する。
図1図4は、本発明の実施の形態を示すものである。図1図2は、本実施の形態のガラスラン10をドア1のドアフレーム2に取付けた状態の、ガラスラン10の形状を示す正面図である。図4は、ガラスラン10の全体を示す図である。
【0032】
図5は、自動車の側面図である。ドア1の上部には車体の車体開口部周縁6に対向する部分にドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。すなわち、ドアフレーム2の内周には、ガラスラン10が取付けられ、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールし、ドアフレーム2の外周にはドアウエザストリップ40が取付けられて、ドアフレーム2と車体開口部周縁6の間をシールしている。
【0033】
本発明の実施の形態を図1図4に基づき説明する。
本発明の実施の形態の形態について、まずドアフレーム2、ドアウエザストリップ40およびガラスラン10の順に説明する。
【0034】
図1に示すように、ガラスラン10とドアウエザストリップ40が取付けられるドアフレーム2は、本実施の形態では、ドアフレーム2の外周側の先端に形成されガラスラン10を取付けるドアパネル外周側フランジ部2cとドアフレーム2の内周側の先端にドアパネル内周側フランジ部2dを有している。
【0035】
ドアパネル外周側フランジ部2cで後述するガラスラン10のトリム部30を保持して、ドアパネル内周側フランジ部2dで後述するガラスラン10のガラスラン部20を保持している。なお、ガラスラン10の形状によっては、ドアフレーム2は、トリム部30を取付けるドアパネルフランジ部のみとして、ガラスラン部20はチャンネル等に取付けることができるが、本発明の実施の形態では、ドアパネル外周側フランジ部2cとドアパネル内周側フランジ部2dを有するドアフレーム2を例にとり説明する。
【0036】
図1に示すように、ドアアウターパネル2aの車両上側方向の部分は、ヘヤピン状に屈曲されて、ヘヤピン状の内部にドアインナーパネル2bの先端が挿入されている。ヘヤピン状に屈曲された部分は、ドアパネル外周側フランジ2dを形成し、後述するガラスラン10のトリム部30が挟持する。
【0037】
ドアアウターパネル2aのヘヤピン状に屈曲された先端は、車内側方向に延設されて、ドアアウターパネル係止部2gを形成し、後述するトリム部係合部34が係合する。ドアアウターパネル2aの車両下側方向の部分は、ヘヤピン状に屈曲して、ドアパネル内周側フランジ2dを形成して、後述する車内側側壁20の社内側カバーリップ27と車内側側壁抜け止めリップ22cが挟持する。
【0038】
次に、ドアウエザストリップ40について説明する。
ドアウエザストリップ40は、ドアフレーム2のドアインナーパネル2bに取付けられるドアウエザストリップ基底部41と、ドアウエザストリップ基底部41と一体的に形成され車体開口部周縁6に当接するドアウエザストリップシール部43を有している。ドアウエザストリップシール部43は、本実施の形態では、中空状に形成されているが、リップ状に形成することもできる。
【0039】
ドアウエザストリップ基底部41のドアインナーパネル2bへの取付けは、図2に示すように、ドアアウターパネル係止部2gよりも車内側の部分のドアインナーパネル2bにドアインナーパネルクリップ孔2hを形成して、ドアウエザストリップ基底部41に取付けられたドアウエザストリップ取付クリップ44をドアインナーパネルクリップ孔2hに挿入して取り付ける。なお、ドアウエザストリップ取付クリップ44以外にも両面接着テープ等を使用することもできる。
【0040】
ドアウエザストリップ基底部41をドアインナーパネル2bに取付けると、ドアウエザストリップシール部43が車体開口部周縁6に当接して、車体開口部周縁6とドアフレーム2の間をシールすることができる。
【0041】
ドアウエザストリップ基底部41の車外側方向の端部にドアウエザストリップ係合部45が形成されている。ドアウエザストリップ係合部45は、後述するガラスラン10のトリム部30に形成されるトリム部係合部34と係合する。
【0042】
ドアウエザストリップ係合部45は、図3に示すように、ドアウエザストリップ基底部41の車外側方向の端部に車両上部方向に延出した後トリム部係合部34を覆うように湾曲して壁状に形成されるドアウエザストリップ係合部側壁45aと、ドアウエザストリップ係合部側壁45aの先端から車両下側方向へ延出するドアウエザストリップ係合部鉤状部45cと、ドアウエザストリップ係合部鉤状部45cの先端に形成されるドアウエザストリップ係合部鉤先端部45dとから形成されて、ドアウエザストリップ係合部側壁45aとドアウエザストリップ係合部鉤状部45cにより車両下側方向に開口するドアウエザストリップ係合部凹部45bが形成されている。
【0043】
さらに、ドアウエザストリップ係合部鉤状部45cの車外側面には、後述するトリム部30のボディー側側壁32の車内側方向の先端と当接するドアウエザストリップ係合部シール突起45eが形成されている。このため、ドアウエザストリップ係合部シール突起45eがドアウエザストリップ係合部45とトリム部係合部34の間に位置して、その間のシール性を確保することができる。
【0044】
次に、ガラスラン10について説明する。
図4に示すように、本実施の形態のガラスラン10の押出成形部11の先端には、端末部12が形成されている。
なお、ガラスラン10のフロント側とリヤ側のコーナー部13には、ドアフレーム2の縦辺部に装着されるガラスラン部20が下方に接続されている。このため、ドアフレーム2の上辺ばかりでなく、ドアガラス5の側端の縦辺側の部分をガラスラン部20が保持してシールすることができる。ドアフレーム2の上辺と縦辺の接続部分に取付けられるガラスラン部20は、コーナー部13を構成し、ガラスラン部20の上辺部分と縦辺部分のそれぞれのコーナー部13を型成形により接続して形成される。
端末部12とコーナー部13により型成形部14を形成し、型成形部14以外は押出成形部11を形成している
【0045】
図1に示すように、本実施の形態のドアフレーム2の上辺に取り付けられるガラスラン10は、ドアフレーム2のドアパネル内周側フランジ部2dに取付けられるガラスラン部20と、ドアフレーム2のドアパネル外周側フランジ部2cに取付けられるトリム部30とから構成される。まず、ガラスラン10全体の形状をガラスラン部20とトリム部30に分けて説明する。
【0046】
まず、トリム部30について説明する。トリム部30は、後述するガラスラン部底壁23と一体に形成されるガラスラン側側壁31と、車体開口部周縁6と対向するボディー側側壁32及びトリム部底壁33からなる断面略コ字状をなしている。
この断面略コ字状の内部であるトリム部フランジ凹部36に、ドアフレーム2のドアパネル外周側フランジ部2cが挿入され、トリム部30で挟持し、ガラスラン10をドアフレーム2に保持する。
【0047】
本実施の形態では、後述するガラスラン部20のガラスラン部底壁23とトリム部30のガラスラン側側壁31は、硬質部材である同じ素材で同一の部材として一体的に形成されているが、ガラスラン部底壁23とのガラスラン側側壁31は、別の素材で両者を融着して一体的に形成してもよい。
【0048】
図3に示すように、ボデー側側壁32の先端には、トリム部係合部34が形成されている。トリム部係合部34は、ボデー側側壁32の先端から車両下側方向に延設されて、ドアアウターパネル係止部2gの先端に係合するトリム部係合部フランジ係合壁34aと、トリム部係合部フランジ係合壁34aから車内側方向へ延設されるトリム部係合部延長壁34bと、トリム部係合部延長壁34bの先端から車両上側方向に延出するトリム部係合部鉤状部34cと、トリム部係合部鉤状部34cの先端に形成されるトリム部係合部鉤先端部34dとから形成されて、トリム部係合部フランジ係合壁34aとトリム部係合部延長壁34bとトリム部係合部鉤状部34cとにより車両上側方向に開口するトリム部係合部凹部34eが形成されている。
【0049】
トリム部30のボディー側側壁32の車内側方向の先端にトリム部係合部34を形成し、ドアウエザストリップ係合部45とトリム部係合部34を嵌合させることができる。このため、トリム部30とドアウエザストリップ40を連結することができ、トリム部30の組付け性を損なうことなく、トリム部30とドアウエザストリップ40の間の隙間を塞ぐことができ、外観性も向上することができる。
【0050】
さらに、ドアウエザストリップ係合部45のドアウエザストリップ係合部鉤状部45cとトリム部係合部34のトリム部係合部鉤状部34cは、互いに噛合うように形成されている。このため、ドアウエザストリップ基底部41とトリム部30のボディー側側壁32とが強く係合することができ、ドアの開閉等によりドアウエザストリップ40に荷重がかかっても、ドアウエザストリップ係合部45とトリム部係合部34が外れることがなく、シール性を確保することができる。
【0051】
また、上述のように、ドアウエザストリップ係合部45の車外側面には、ボディー側側壁32の車内側方向の先端と当接するドアウエザストリップ係合部シール突起45eが形成されている。ドアウエザストリップ係合部シール突起45eがドアウエザストリップ係合部45とトリム部係合部34の間に位置して、その間のシール性を確保することができる。さらに、ドアウエザストリップ係合部シール突起45eがトリム部係合部34を付勢して、ドアウエザストリップ係合部45とトリム部係合部34が外れることを防止できる。
【0052】
また、トリム部係合部34は、車両上側方向に開口し、長手方向に連続するトリム部係合部鉤凹部34eが形成されているため、ドアウエザストリップ係合部45とトリム部係合部34の間のドアウエザストリップ係合部シール突起45eを超えて、雨水が侵入しても、トリム部係合部鉤凹部34eが雨水を受け止めて、車外へ排出することができる。
【0053】
ドアウエザストリップ係合部45はガラスラン10を組付けた後に、トリム部係合部34に対して被せるように組付けられる。この時、ドアウエザストリップ係合部鉤状部45cの先端に形成されているドアウエザストリップ係合部鉤先端部45dが、トリム部係合部鉤状部34cの先端のトリム部係合部鉤先端部34dに当接して、ドアウエザストリップ係合部鉤状部45cがトリム部係合部鉤状部34cを撓ませながらトリム部係合部凹部34eに挿入される。このため、ドアウエザストリップ係合部45の方がトリム部係合部34よりも高剛性であることが好ましい。また形状的にはドアウエザストリップ係合部鉤状部45cは、ドアウエザストリップ係合部側壁45aとの連結部側が先端に比較して肉厚に形成されている方が好ましい。
【0054】
また、ボデー側側壁32の車内側端末であるトリム部係合部フランジ係合壁34aの車両上側部分は、トリム部係合部凹部34eの開口を広げる方向に傾斜して形成されおり、ドアウエザストリップ係合部鉤状部45cのトリム部係合部フランジ係合壁34aに対向する面もトリム部係合部フランジ係合壁34aに略並行した傾斜面を有している。このような構成により、組付け時にはトリム部係合部フランジ係合壁34aがドアウエザストリップ係合部鉤状部45cの挿入をガイドすることが可能となる。
【0055】
また、ドアウエザストリップ係合部45がトリム部係合部34に組付く時に、ドアウエザストリップ係合部シール突起45eはトリム部係合部フランジ係合壁34aの車両上側部分に押圧されて若干車両上側方向に傾くような形態でシールしている。このような構成とすることで、車体開口部周縁6との隙間に高圧水が浸入するような場合にも、その水圧はドアウエザストリップ係合部シール突起45eを押圧して更にシール性を向上する方向に働く。
【0056】
トリム部係合部34は、ドアウエザストリップ係合部シール突起45eよりも高剛性の材料で形成することが好ましい。この場合には、トリム部係合部34がドアウエザストリップ係合部シール突起45eを強く付勢することができる。
【0057】
トリム部30のガラスラン側側壁31と、ボディー側側壁32、トリム部底壁33は、硬質部材で形成され、ガラスラン部20全体とトリム部30全体が硬質部材と軟質部材の同時成形により押出成形される。なお、ガラスラン部20の車外側側壁21は、上述のように硬質部材で形成されている。
【0058】
これにより、トリム部30の本体部分は剛性が強く、ドアパネル外周側フランジ部2cを保持することができるとともに、トリム部係合部34は、ドアウエザストリップ係合部45と柔軟に係合してシールすることができる。
ボディー側側壁32には車体開口部周縁6に当接するトリム部シールリップ部35が形成されている。トリム部シールリップ部35とドアウエザストリップシール部43によりドアフレーム2と車体開口部周縁6の間を2重シールすることができる。
【0059】
ガラスラン部20は、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の本体部と、車外側側壁21及び車内側側壁22の先端から断面略コ字状の内部方向斜めにそれぞれ車外側シールリップ24と車内側シールリップ25を延設している。このため、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の内部をドアガラス5の端部が摺動して、ドアガラス5を保持することができる。
【0060】
ガラスラン部20は、車内側側壁22、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25が軟質部材から形成されている。軟質部材として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。軟質部材を使用するため、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25が柔軟に撓むことができ、ドアガラス5が上昇するときに、ドアガラス5の端部に確実に当接して、ドアガラス5とドアフレーム2の間をシールすることができる。
【0061】
軟質部材としてオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用すると、トリム部30が硬質部材としてオレフィン系合成樹脂を使用した場合に、両者が溶着し易く、リサイクルも容易である。なお、発泡体を使用することもできる。
【0062】
車外側側壁21とガラスラン部底壁23は、後述する硬質部材で形成されている。
車外側側壁21は、根元部が厚肉に形成され、先端に行くにつれて肉厚を薄くするように形成されて、車外側側壁21は、内面が湾曲して形成されている。このため、車外側側壁21の剛性が大きく、ドアフレーム2の湾曲が大きくても、車外側側壁21が、皺が寄ったり、波打ったりするような変形を少なくすることができる。また、ドアガラス5が車外側に寄っても、ドアガラス5の先端を車外側側壁21が保持することができ、ドアガラス5がガラスラン部20から外れることがない。
【0063】
車内側側壁22と車内側シールリップ25を車外側側壁21と車外側シールリップ24よりも大きく、肉厚に形成することが好ましい。この場合には、ドアガラス5が上昇してガラスラン10内に位置したときに、ドアガラス5を車外側にシフトさせることができ、ドア1の車外側面の段差を小さくして、見栄えを良くし、風切り音を減少させることができる。また、車内側側壁22がドアフレーム2のドアパネル内周側フランジ部2dに確実に取付けられることができる。
【0064】
車外側シールリップ24と車内側シールリップ25のドアガラス5と当接する車外側摺動面と車内側摺動面には、硬質部材の層が形成されている。車外側摺動面と車内側摺動面は、硬質部材であるため、ドアガラス5との摺動摩擦が低く、低摺動層を形成している。これにより、ドアガラス5の昇降をスムースにするとともに、異音の発生を防止できる。
【0065】
ガラスラン部底壁23の内面側に、底壁リップ23aを形成することができる。底壁リップ23aは、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25と同様に軟質材で形成することができる。底壁リップ23aは、ドアガラス5が上昇したときに、ドアガラス5の上端が底壁リップ23aに当接して、ガラスラン部底壁23への衝撃を吸収することができる。底壁リップ23aの表面にも低摺動部材を塗布することが好ましい。
【0066】
図1図2に示すように、車内側側壁22の先端に車内側から車外側且つ内周方向(図1における斜め左下方)に延出するとともにドアパネル内周側フランジ部2dに当接する車内側側壁抜け止めリップ22cを形成している。内側側壁抜け止めリップ22cは、車内側側壁22が車外方向に回動したときに、ドアパネル内周側フランジ部2dに対する付勢力が増大するように形成されている。車内側側壁抜け止めリップ22cは、車内側側壁22と同様に軟質材で形成されている。
【0067】
車内側側壁22の車内側にガラスラン部底壁23との連結部付近に車内側保持リップ28を形成することができる。車内側保持リップ28は、ドアフレーム2との間のシール性を向上させることができるとともに、トリム部30を車外側に付勢することができ、トリム部30を確実に係止することができる。
【0068】
車内側側壁22の外面の先端には、車内側カバーリップ27を設けることができる。
ドアパネル内周側フランジ部2dの先端は、車内側カバーリップ27と車内側側壁抜け止めリップ22cの間に挿入されて、車内側カバーリップ27は、ドアパネル内周側フランジ部2dの先端を覆い、当接している。
車外側シールリップ24、車内側シールリップ25、車内側側壁抜け止めリップ22c、車内側カバーリップ27、車内側保持リップ28は、軟質部材で形成されている。このため、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25でドアガラス5の先端部分をシールすることができる。また、車内側側壁22は柔軟に曲がって、ドアフレーム2が湾曲していても、容易に取付けることができる。
【0069】
図1図2に示すように、ガラスラン部20の車外側側壁21とトリム部30のトリム部底壁33は、一体的に連続して形成され、車外側面はスムースな円弧状に形成されている。車外側側壁21とトリム部底壁33の上端から車外側側壁21の下端まで車外側面には、連続して車外側装飾部材37が覆うように取付けることができる。
【0070】
このため、ガラスラン部20の車外側側壁21とトリム部30のトリム部底壁33によりガラスラン10の車外側の面を形成して、ドアガラス5が車外側に引き出されないように保持するとともに、車外側装飾部材37によりガラスラン10の車外側面の見栄えを向上させることができる。
【0071】
車外側装飾部材37は、金属光沢を有する装飾テープを使用することできる。車外側装飾部材37として、金属光沢を有する装飾テープを使用した場合には、車外側装飾部材37によりガラスラン10の車外側面を金属光沢色とすることができ、見栄えを向上させることができる。
【符号の説明】
【0072】
2 ドアフレーム
10 ガラスラン
20 ガラスラン部
30 トリム部
32 ボディー側側壁
34 トリム部係合部
34c トリム部係合部鉤状部
40 ドアウエザストリップ
45 ドアウエザストリップ係合部
45c ドアウエザストリップ係合部鉤状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6