(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酸素を含む原料ガスから酸素を分離する酸素分離装置と、製鉄所で発生した副生ガスから所定のガス成分を分離するガス分離装置と、前記酸素分離装置の酸素分離後オフガスを前記ガス分離装置に供給するガス供給装置とを備え、
前記ガス分離装置が圧力スイング吸着法によるガス分離装置であり、前記ガス分離装置は、前記ガス供給装置により供給される前記酸素分離装置からの酸素分離後オフガスを、前記ガス分離装置のガス吸着剤充填層内に流通させるガス流通ラインを有し、
前記ガス分離装置は、前記ガス分離装置の脱着工程における回収ガスに関して、真空ポンプによる前記ガス分離装置内の減圧により脱着される脱着ガスを少なくとも2系統に分離回収する第1ガス回収ラインと、前記酸素分離後オフガスを前記ガス分離装置内に流通させることにより脱着される脱着ガスを分離回収する第2ガス回収ラインとを有することを特徴とする、製鉄所副生ガスの分離設備。
前記副生ガスは、前記酸素分離装置で分離された酸素により酸素富化運転を行った高炉から排出される高炉ガスであり、前記高炉ガスの組成に応じて、前記ガス分離装置における高炉ガスの流量、ガス吸着圧力、ガス脱着圧力、および前記酸素分離後オフガスの流量のうちの少なくとも1つを、前記所定のガス成分の回収ガス量およびガス組成の少なくとも一方が得られるように制御することを特徴とする、請求項4に記載の製鉄所副生ガスの分離方法。
前記ガス分離装置の脱着工程における回収ガスに関して、真空ポンプによる前記ガス分離装置内の減圧により脱着される脱着ガスを、脱着工程の時間に応じて少なくとも2系統の第1ガス回収ラインで分離回収すると共に、前記酸素分離後オフガス流通により脱着される脱着ガスを、前記第1ガス回収ラインとは別系統の第2ガス回収ラインにて分離回収する、請求項4または5に記載の製鉄所副生ガスの分離方法。
【背景技術】
【0002】
製鉄所から排出されるCO
2を削減するための技術として、高効率かつ低コストのガス分離技術の開発が求められている。従来、原料ガスに含まれる所定のガス成分を分離する方法として、例えば圧力スイング吸着法(Pressure Swing Adsorption法、PSA法)などが用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
PSA法は、吸着剤に対するガス成分の吸着量が、ガス種及びその分圧によって異なることを利用した分離方法である。PSA法は、通常、吸着剤にガス成分を吸着させる工程(吸着工程)、吸着剤へのガス成分の吸着率を高めるために、他の吸着塔で脱着された脱着ガスの一部を洗浄ガスとして供給する工程(洗浄工程)、及び吸着したガス成分を吸着剤から脱着させてガスを回収する工程(脱着工程)を有する。
【0004】
このPSA法は、種々の分野に適用されているが、原料ガスに含まれる一成分を吸着させることにより、高濃度のガスを製造する方法として利用されることが多い。PSA法は、加圧−常圧の圧力差を用いる加圧方式と、常圧(または微加圧)−減圧の圧力差を用いる吸引方式があり、後者についてはVSA法(Vacuum Swing Adsorption)と呼ばれることもある。
【0005】
また一方で、高炉ガスなどの製鉄所副生ガスからCO
2を分離すると、一般に分離後オフガスは単位体積当りの熱量が増加した高カロリーガスとなる。そのため、例えばガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)発電などの高効率な発電設備用にガスを供給することができるようになり、高効率かつ低コストのCO
2分離はガス運用面からも望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一般にPSA法はガス分離に要する電力が大きいため、ガス分離コストの削減には電力消費量の削減が必要である。例えば、吸引方式でPSA法によりCO
2を分離する処理(以下、「CO
2−PSA」とも言う。)では、脱着工程における真空ポンプの電力消費量が、ガス分離に要する電力消費量の主要な割合を占めている。特に、CO
2−PSAの1サイクル当りのCO
2回収量を増加させるためには、真空ポンプにより吸着塔内をより低い圧力まで減圧してCO
2吸着剤からのCO
2の脱着量を増やす必要があるため、真空ポンプの電力消費量が著しく増加する。
【0009】
そこで、本発明の目的は、製鉄所で発生する副生ガスからの二酸化炭素の分離に要する電力消費量を削減することができる製鉄所副生ガスの分離設備および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明は以下の通りである。
(1)酸素を含む原料ガスから酸素を分離する酸素分離装置と、製鉄所で発生した副生ガスから所定のガス成分を分離するガス分離装置と、前記酸素分離装置の酸素分離後オフガスを前記ガス分離装置に供給するガス供給装置とを備えることを特徴とする、製鉄所副生ガスの分離設備。
【0011】
(2)前記ガス分離装置が圧力スイング吸着法によるガス分離装置であり、前記ガス分離装置は、前記ガス供給装置により供給される前記酸素分離装置からの酸素分離後オフガスを、前記ガス分離装置のガス吸着剤充填層内に流通させるガス流通ラインを有する、前記(1)に記載の製鉄所副生ガスの分離設備。
【0012】
(3)前記ガス分離装置は、前記ガス分離装置の脱着工程における回収ガスに関して、真空ポンプによる前記ガス分離装置内の減圧により脱着される脱着ガスを少なくとも2系統に分離回収する第1ガス回収ラインと、前記酸素分離後オフガスを前記ガス分離装置内に流通させることにより脱着される脱着ガスを分離回収する第2ガス回収ラインとを有する、前記(2)に記載の製鉄所副生ガスの分離設備。
【0013】
(4)前記副生ガスは高炉ガスである、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製鉄所副生ガスの分離設備。
【0014】
(5)前記所定のガス成分は二酸化炭素である、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の製鉄所副生ガスの分離設備。
【0015】
(6)前記(2)〜(5)のいずれか一項に記載の製鉄所副生ガスの分離設備を用いて製鉄所副生ガスから所定のガス成分を分離する方法であって、
前記酸素分離装置における酸素分離後オフガスを、前記圧力スイング吸着法によるガス分離装置のガス脱着用ガスとして用いることを特徴とする、製鉄所副生ガスの分離方法。
【0016】
(7)前記副生ガスは、前記酸素分離装置で分離された酸素により酸素富化運転を行った高炉から排出される高炉ガスであり、前記高炉ガスの組成に応じて、前記ガス分離装置における高炉ガスの流量、ガス吸着圧力、ガス脱着圧力、および前記酸素分離後オフガスの流量のうちの少なくとも1つを、前記所定のガス成分の回収ガス量およびガス組成の少なくとも一方が得られるように制御することを特徴とする、前記(6)に記載の製鉄所副生ガスの分離方法。
【0017】
(8)前記ガス分離装置の脱着工程における回収ガスに関して、真空ポンプによる前記ガス分離装置内の減圧により脱着される脱着ガスを、脱着工程の時間に応じて少なくとも2系統の第1ガス回収ラインで分離回収すると共に、前記酸素分離後オフガス流通により脱着される脱着ガスを、前記第1ガス回収ラインとは別系統の第2ガス回収ラインにて分離回収する、前記(6)または(7)に記載の製鉄所副生ガスの分離方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高炉ガスなどの製鉄所で発生する副生ガスからの二酸化炭素の分離に要する電力消費量を削減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明による製鉄所副生ガスの分離設備は、酸素を含む原料ガスから酸素を分離する酸素分離装置と、製鉄所で発生した副生ガスから所定のガス成分を分離するガス分離装置と、前記酸素分離装置の酸素分離後オフガスを前記ガス分離装置に供給するガス供給装置とを備えることを特徴とする。
【0021】
上述のように、PSA法により製鉄所で発生する副生ガスからCO
2を分離する際に、脱着工程における真空ポンプの電力消費量がガス分離に要する電力消費量の主要な割合を占めている。そして、CO
2−PSAの1サイクル当りCO
2回収量を増加させる場合には、より低い圧力まで真空ポンプで減圧してCO
2吸着剤からのCO
2脱着量を増やす必要がある。しかし、そのためには真空ポンプを長時間稼働する必要があり、真空ポンプの電力消費量が著しく増加してしまう。
【0022】
本発明者らは、上記ガス分離に要する真空ポンプの電力消費量を削減する方途について鋭意検討した。その結果、酸素分離装置において酸素を分離した後のオフガス(以下、「酸素分離後オフガス」とも言う。)をガス分離装置に供給して、ガス分離装置内のCO
2の分圧を制御することに想到した。
【0023】
酸素分離装置は、例えば深冷分離法などにより、空気などの原料ガスから酸素を分離する装置である。そして、酸素分離後オフガスは、酸素分離装置において酸素を分離した後に残存するガスであり、窒素やアルゴンなど、酸素以外の不活性なガスが主成分となる。
【0024】
上述のように、PSA法は、吸着剤に対するガス成分の吸着量が、ガス種及びその分圧によって異なることを利用した分離方法である。そのため、上記酸素分離後オフガスを、例えば高炉ガスからCO
2を分離するCO
2分離装置に供給すると、装置内のCO
2の分圧が低下して、吸着剤に吸着したCO
2を吸着剤から脱着させることができる。これにより、CO
2−PSAのCO
2脱着工程の一部を、真空ポンプを用いる代わりにガスパージを用いることができ、真空ポンプの稼働時間を短縮して、真空ポンプの電力消費量を削減することができる。
【0025】
図1は、本発明による製鉄所副生ガスの分離設備を有する製鉄プロセス全体システムの好適例を示す概要図である。なお、
図1においては、図の簡略化のため、高炉への酸素富化に用いる酸素以外の投入原料は省略されている。図の左下に示した酸素分離装置は、例えば深冷分離法などにより空気から酸素を分離する。分離した酸素は、例えば高炉の酸素富化率上昇のために用いることができる。
【0026】
酸素分離装置における酸素分離後オフガスは、ガス供給装置によりガス分離装置に供給され、ガス分圧制御用ガスとして使用される。上記ガス供給装置としては、ブロワーやガスコンプレッサーなどを用いることができる。
【0027】
ガス分離装置は、高炉ガスからCO
2を分離する。高炉ガスは、CO
2、CO、N
2を主成分とする混合ガスであり、CO
2の含有量が高く、また製鉄所での発生量が多い。そのため、ガス分離装置に供給する原料ガスとして、高炉ガスを好適に用いることができる。
【0028】
上記ガス分離装置はPSA法によるガス分離装置であり、ガス分離装置において、ガス供給装置により供給される酸素分離装置からの酸素分離後オフガスを、ガス分離装置のガス吸着剤充填層内に流通させるガス流通ライン(図示せず)が設けられている。
【0029】
上記ガス流通ラインから上記酸素分離後オフガスをガス分離装置内に流通させることにより、例えばCO
2など分離対象のガスの分圧を下げて吸着材に吸着したCO
2を脱着させることができるため、真空ポンプの出力を上げて吸引圧力を低下させてCO
2を脱着するのと同等の効果が得られる。
【0030】
また、ガス分離装置においては、該ガス分離装置の脱着工程における回収ガスに関して、真空ポンプVによる前記ガス分離装置内の減圧により脱着される脱着ガスを少なくとも2系統に分離回収するガス回収ライン(第1ガス回収ライン)と、酸素分離後オフガスをガス分離装置内に流通させることにより脱着される脱着ガスを分離回収するガス回収ライン(第2ガス回収ライン)とが設けられている。
【0031】
本発明者らは、ラボスケールのPSA実験により、真空ポンプによる減圧により脱着されるガスの組成が、脱着開始からの時間により変化することを見出した。
図2は、吸着力に差のある2種類のガスの吸着等温線の形状差と圧力との関係を示す図である。この図は、13Xゼオライトを吸着剤として用いて得られたものである。この図に示すように、CO
2−PSAの場合、脱着工程の初期には、比較的吸着力が弱い不純物成分(COやN
2など)が脱着し、脱着工程の後期には、比較的吸着力が強いCO
2が脱着する。
【0032】
そのため、真空ポンプによる減圧により脱着される脱着ガスを、脱着工程における時間に応じて少なくとも2系統に分離回収するガス回収ライン(第1ガス回収ライン)を設け、
図3に示す脱着工程におけるガス流通方法により、これらガス組成の異なるガスを別々に回収することができる。
【0033】
上記現象は、吸着ガスによる吸着等温線の線形性の違いに由来する。そのため、例えば、CO
2−PSAの脱着工程における初期脱着ガスと後期脱着ガスとに分離することにより、初期脱着工程において回収されるCO
2濃度の低いガス(回収ガス1)と、後期脱着工程において回収されるCO
2濃度の高いガス(回収ガス2)とを別々に回収することができる。
【0034】
上記初期脱着ガスとして回収されるCO
2濃度の低い回収ガス1は、単位体積当りの可燃ガス(COなど)の割合が相対的に大きいため、高カロリーガスとしてGTCC発電などの用途で使用することができる。また、後期脱着ガスとして回収されるCO
2濃度の高い回収ガス2は、例えば、H
2と反応させてメタノールやエタノールなどの化学製品に変換するCO
2再利用プロセスなどに供給することができる。
【0035】
また、通常は真空ポンプによる減圧のみでガス脱着を行うところ、本発明においては、真空ポンプによる減圧と酸素分離後オフガス流通によるガス分圧制御との組み合わせによりガス脱着を行う。具体的には、脱着工程の最も後期の段階で、真空ポンプによる脱着に代えて、酸素分離装置における酸素分離後オフガスをガス分離装置内に供給し、CO
2分圧を調整して、吸着剤に吸着したCO
2を脱着させる。
【0036】
上記酸素分離後オフガスをガス分離装置内で流通させて得られる脱着ガスを回収するために、真空ポンプによる減圧により脱着される脱着ガスを回収するためのガス回収ライン(第1ガス回収ライン)とは別のガス回収ライン(第2ガス回収ライン)を設けることにより、酸素分離後オフガス流通により得られる脱着ガスを個別に回収することができる。
【0037】
上記第2ガス回収ラインで回収されるガス(回収ガス3)については、N
2が多いため、液体燃料の合成反応用としては不適である。そのため、大気放散するか、或いは他の副生ガスに混合するなどして二次使用することができる。
【0038】
(製鉄所副生ガスの分離方法)
本発明による製鉄所副生ガスの分離方法は、上記本発明による製鉄所副生ガスの分離設備を用いて製鉄所副生ガスから所定のガス成分を分離する方法である。ここで、上記酸素分離装置における酸素分離後オフガスを、圧力スイング吸着法によるガス分離装置のガス脱着用ガスとして用いることを特徴とする。
【0039】
上述のように、酸素分離後オフガスを、例えば、PSA法により高炉ガスからCO
2を分離するCO
2分離装置に供給すると、装置内のCO
2の分圧が低下して、吸着剤に吸着したCO
2を吸着剤から脱着させることができる。これにより、CO
2−PSAのCO
2脱着工程の一部を、真空ポンプを用いる代わりにガスパージを用いることができ、真空ポンプの稼働時間を短縮して、真空ポンプの電力消費量を削減することができる。
【0040】
本発明において、ガス分離装置における原料ガスを、酸素分離装置で分離された酸素により酸素富化運転を行った高炉から排出される高炉ガスとし、高炉ガスの組成に応じて、ガス分離装置における、原料ガス流量、ガス吸着圧力、ガス脱着圧力、および酸素分離後オフガス流量のうち少なくとも1つを、分離対象の所定のガス成分の回収ガス量およびガス組成の少なくとも一方が得られるように制御することが好ましい。
【0041】
高炉から排出される高炉ガスは、高炉送風時の酸素富化率によりガス組成が変化する。CO
2−PSA運転における原料ガス(即ち高炉ガス)の組成が変化すると、同じ原料ガス流量に対して、吸着層内における吸着ガスおよび未吸着ガス(オフガス)のガス量およびガス組成がそれぞれ変化する。
【0042】
また、吸着ガス量が変化することにより、同じ脱着圧に対して、回収されるガス量およびガス組成もそれぞれ変化する。そこで、前記高炉ガスの組成変化に応じて、前記ガス分離装置における、原料ガス流量、ガス吸着圧力、ガス脱着圧力、および前記酸素分離後オフガス流量のうち少なくとも1つを制御して、分離回収する目的ガス(CO
2など)の回収ガス量やガス組成を制御することが好ましい。
【0043】
また、本発明において、ガス分離装置の脱着工程における回収ガスに関して、真空ポンプによるガス分離装置内の減圧により脱着される脱着ガスを、脱着工程の時間に応じて少なくとも2系統の第1ガス回収ラインで分離回収すると共に、酸素分離後オフガス流通により脱着される脱着ガスを、第1ガス回収ラインとは別系統の第2ガス回収ラインにて分離回収することが好ましい。
【0044】
上述のように、本発明者らは、ラボスケールのPSA実験により、真空ポンプによる減圧により脱着されるガスの組成が、脱着開始からの時間により変化することを見出した。そのため、真空ポンプによる減圧により脱着される脱着ガスを、脱着工程における時間に応じて少なくとも2系統に分離回収するガス回収ライン(第1ガス回収ライン)を設けることにより、初期脱着工程において回収されるCO
2濃度の低いガス(回収ガス1)と、後期脱着工程において回収されるCO
2濃度の高いガス(回収ガス2)とを別々に回収することができるのは既述の通りである。
【0045】
また、上記真空ポンプによる減圧により脱着される脱着ガスを回収するためのガス回収ライン(第1ガス回収ライン)とは別のガス回収ライン(第2ガス回収ライン)を設け、脱着工程の最も後期の段階で、真空ポンプによる脱着に代えて、酸素分離装置における酸素分離後オフガスを、ガス分離装置内に供給し、CO
2分圧を調整して、吸着剤に吸着したCO
2を脱着させることにより、酸素分離後オフガス流通により得られる脱着ガスを個別に回収することができる。上記第2ガス回収ラインで回収されるガス(回収ガス3)については、N
2が多いため、大気放散するか、或いは他の副生ガスに混合するなどして二次使用することができるのは既述の通りである。
【実施例】
【0046】
本件発明によるガス分離設備を想定したラボPSA実験を、
図2に示したガス分離設備を模した、
図4に示す実験装置を用いて行った。原料ガスとして、49%N
2、22%CO
2、24%CO、5%H
2で構成された標準ガスを用いた。また、酸素分離後オフガスとして、100%N
2の標準ガス(以下、単に「N
2ガス」と言う。)を用いた。原料ガスおよびN
2ガスの流量は、マスフローコントローラー(MFC)を用いて、何れも3.0NL/minに制御した。
【0047】
PSA運転方法として、吸着圧は、背圧弁を調整して50kPaGとした。脱着圧は、真空ポンプの吸引速度をニードル弁で調整して−95kPaGになるようにした。そして、
図4に示した5種類のガス(オフガス、放出ガス、回収ガス1〜3)を、それぞれPSA運転の1サイクル内でt
1〜t
5の時間で別々にガスバックにて採取し、ガス体積を測定した後、各ガスの組成をガスクロマトグラフィーで測定した。t
1〜t
5のガス採取時間を表1、PSA実験装置の運転時1サイクル内のガスラインを切り替えるタイミングを
図5にそれぞれ示す。
【0048】
【表1】
【0049】
実験は、N
2ガス流通なしの運転(比較例)と、N
2ガス流通ありの運転(発明例)の2条件にて実施した。1サイクル当りの原料ガス供給時間は何れも37secとした。表2に、今回の実験における1サイクル当りの真空ポンプ運転時間と、今回の実験にて得られた回収ガス組成および回収ガス量をそれぞれ示す。回収ガス組成は、回収ガス1,回収ガス2共に、比較例と発明例でほぼ同じであった。
【0050】
【表2】
【0051】
一方、回収ガス量は、COが多く高カロリーな回収ガス1については、比較例よりも発明例の方が多く得られた。これは、N
2ガスの流通により、真空ポンプによる減圧以上にCO
2脱着が促進された結果、吸着剤における空きサイトが増加し、COの吸着量が増加したためと考えられる。また、真空ポンプ運転時間は、比較例よりも発明例の方が短くなっており、より少ない電力消費で多くの高カロリーガスを得られていることが分かる。