(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリンダヘッドに冷却水を供給するウォーターポンプをさらに備え、前記エンジンを第一負荷での運転している時の前記第一流路および前記第二流路の冷却水の流量をQL1およびQL2とし、前記第一負荷よりも大きい第二負荷で運転している時の前記第一流路および前記第二流路の冷却水の流量をQH1およびQH2とするとQL1/QL2<QH1/QH2となり、かつ、前記ウォーターポンプから冷却水が送られる間は前記第一流路に冷却水が流れるように、前記制御弁の開度が制御される、請求項1に記載のシリンダヘッドの冷却装置。
シリンダブロックと、前記シリンダヘッドと前記シリンダブロックとの間に挟まれて前記制御弁を保持する保持部とをさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のシリンダヘッドの冷却装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0015】
(実施の形態1)
<構成の説明>
図1は、実施の形態1におけるシリンダヘッドの冷却装置のブロック図である。シリンダヘッドの冷却装置1はエンジン2内のシリンダヘッドを冷却する。エンジンは、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンのいずれであってもよい。シリンダヘッドの冷却装置1は、ウォーターポンプ2を有する。
【0016】
ウォーターポンプ2は羽根車を有し、羽根車が回転することで冷却水に遠心力を付与して冷却水を送り出すポンプの役割を果たす。羽根車はエンジン3の出力軸に接続されて出力軸とともに回転してもよい。羽根車はモータに接続されて回転してもよい。
【0017】
ウォーターポンプ2は、たとえばシリンダブロックに設けられる。シリンダブロック内には主としてシリンダボアを冷却するための冷却水流路が設けられる。冷却水流路はシリンダボアの外周からシリンダヘッドに向けて延在する。シリンダヘッド入口11はシリンダヘッドにおける冷却水の入口であり、シリンダブロックからシリンダヘッド入口11は冷却水が供給される。
【0018】
シリンダヘッド入口11には第一流路101およびバイパス通路としての第二流路102が接続されている。第一流路101はシリンダヘッドの高温部を通過する。第二流路102はシリンダヘッドの高温部を迂回する。第一流路101と第二流路102の流量の割合は制御弁30の開度によって決定される。制御弁30が開いている状態での第二流路102の冷却水の流量は、制御弁30が閉じている状態での第二流路102の冷却水の流量よりも多い。
【0019】
制御弁30の開度はエンジンの負荷によって決定される。高負荷運転時には制御弁30が閉じられる。これにより第一流路101へ多くの冷却水が供給されて高温部15を効果的に冷却することができる。低負荷運転時には制御弁30が開かれる。これにより第二流路102へ多くの冷却水が供給される。
【0020】
制御弁30が閉じられている状態と制御弁30が開かれている状態とにおける第一流路101および第二流路102の合計の圧力損失を比較すると、制御弁30が開いている状態の方が第一流路101および第二流路102の合計の圧力損失が小さくなるように第一流路101および第二流路102の形状が決められる。
【0021】
第一流路101および第二流路102はシリンダヘッド出口19に接続される。シリンダヘッド出口19は、シリンダヘッドにおける冷却水の出口である。シリンダヘッド出口19から排出された冷却水は、たとえばラジエターに導入される。ラジエターに導入された冷却水は冷却されて温度が低下する。ラジエターで冷却された冷却水は再度ウォーターポンプ2に導入される。
【0022】
図2は、実施の形態1に従ったシリンダヘッドの冷却装置の平面図である。
図3は、
図2中の矢印IIIで示す方向から見たアクチュエータ、ロッドおよびシャフトの模式図である。
【0023】
シリンダヘッド10にアクチュエータ20が取り付けられている。シリンダヘッド10とアクチュエータ20との間にはカバー111およびパッキン112が介在している。
【0024】
アクチュエータ20は、たとえば負圧により駆動する。アクチュエータ20にロッド21が接続されている。ロッド21はアクチュエータ20の負圧の作用により矢印22で示す直線方向に駆動される。ロッド21はパッキン112およびカバー111を貫通する。ロッド21の先端付近はシリンダヘッド10の中に位置している。
【0025】
ロッド21の先端はシャフト23に係合している。シャフト23は、シリンダヘッド10の長手方向に沿ってシリンダヘッド10内に配置されている。シャフト23の末端にはレバー状部分23aが設けられる。レバー状部分23aはシャフト23の長手方向に対して直交するように延びる。レバー状部分23aの一端がロッド21の先端に係合している。レバー状部分23aの下端がシャフト23に固定されている。
【0026】
シリンダヘッド10内においてシャフト23は矢印24で示す方向に回動することが可能となるようにシリンダヘッド10内で保持されている。
【0027】
シャフト23には制御弁30が取り付けられている。シャフト23が回動するとシャフト23とともに制御弁30も回動する。複数の制御弁30が所定の間隔を隔ててシリンダヘッド10内に位置している。
【0028】
ロッド21が矢印22で示す方向に直線的に移動すると、ロッド21の直線的な移動はレバー状部分23aに伝達される。レバー状部分23aの一端はロッド21の直線的な動きに応じて動く。これにより、レバー状部分23aの他端は、矢印24で示す方向にシャフト23を回動させる。シャフト23の回転に応じて制御弁30も回動する。
【0029】
シリンダヘッド10には、複数のインジェクタ12、複数の排気弁13および複数の吸気弁14が設けられている。複数のインジェクタ12は燃焼室に燃料を噴射するためのものである。複数のインジェクタ12は、互いに等しい距離を隔てて配置されている。この実施の形態では、燃焼室に軽油、ガソリンなどの燃料を直接噴射するエンジンのシリンダヘッド10を示している。
【0030】
エンジンの気筒の数と同じ数のインジェクタ12が設けられる。シリンダヘッド10がポート噴射型のガソリンエンジン、すなわち、燃焼室に直接燃料を噴射するのではなく吸気ポートに燃料を噴射するシリンダヘッド10である場合には、燃焼室上、すなわち排気弁13および吸気弁14間にインジェクタ12は設けられない。
【0031】
インジェクタ12を取り囲むように複数の吸気弁14および排気弁13が設けられている。この実施の形態では、1つのインジェクタ12に対して2つの吸気弁14および排気弁13が設けられているが、より多いまたは少ない数の吸気弁14および排気弁13が設けられてもよい。
【0032】
シリンダヘッド10には冷却水流路100が設けられている。冷却水流路100はシリンダヘッド10内に設けられた空洞部分である。冷却水流路100内をシャフト23が貫通している。冷却水流路100をシャフト23が貫通する部分において冷却水流路100から冷却水が外部へ漏れないようにするためにシールを設ける必要がある。
【0033】
冷却水流路100は冷媒としての冷却水によりシリンダヘッド10を冷却するために設けられる。シリンダヘッド10の熱が冷却水へ移動することでシリンダヘッド10の熱を放散させることができる。
【0034】
冷却水流路100に制御弁30が嵌め合わせされている。制御弁30を冷却水流路100に挿入するための挿入経路104がシリンダヘッド10に設けられている。挿入経路104は冷却水流路100の一部分であるため冷却水で満たされている。冷却水の漏れを防ぐためのカバー111が挿入経路104を封止している。
【0035】
シリンダヘッド10に制御弁30を挿入するとき、および、シリンダヘッド10から制御弁30を取り外すときには、カバー111を取り外した状態で挿入経路104を経由して制御弁30を挿入し、または取り外す。
【0036】
冷却水流路100は、制御弁30から排気弁13に向かって延びる。2つの排気弁13間から冷却水流路100が2つに分岐して、排気弁13の外周の円弧に沿って、かつ、インジェクタ12を取り囲むように冷却水流路100が構成される。吸気弁14付近で隣り合う冷却水流路100同士が合流し、隣り合う気筒の2つの吸気弁14間を通過する。
【0037】
図4は、実施の形態1に従ったシリンダヘッドの冷却装置で用いられる制御弁およびシャフトの模式図である。
図4で示すように、シャフト23に円板形状の制御弁30が固定されている。シャフト23は円板の直径部分を通過する。制御弁30はバタフライ弁である。シャフト23が矢印24で示す方向に回動すると、制御弁30も矢印24で示す方向に回動する。
【0038】
制御弁30の形状は、
図4で示す円板形状に限られず、楕円板形状、矩形状などの他の形状を採用してもよい。制御弁30は冷却水流路100を完全に塞がない程度の大きさとされる。制御弁30を回動させることで、冷却水流路100内を流れる冷却水の流れの状態を調整することができる。
【0039】
図5は、
図2中のV−V線に沿った断面図であって、軽負荷運転時の制御弁の配置を示す断面図である。
図5で示すように、シリンダヘッド10内には、空洞形状の冷却水流路100が設けられている。シリンダヘッド10はシリンダブロック上に載置される。シリンダブロックを冷却した冷却水は、シリンダヘッド入口11から冷却水流路100に導入されてシリンダヘッド10を冷却する。
【0040】
隔壁16が冷却水流路100内に設けられている。隔壁16は、冷却水流路100を第一流路101と第二流路102とに分割する。隔壁16の上流側および下流側において、冷却水流路100は1つの流れであるが、隔壁16によって第一流路101および第二流路102の2つの流れとなる。
【0041】
冷却水流路100内に設けられた制御弁30近傍において、冷却水流路100は第一流路101と第二流路102とに分岐している。
【0042】
図5で示す断面の手前側と奥側に排気弁13が設けられる。排気弁13近傍を高温の排気が通過するため排気弁13は高温になる。そのため、排気弁13近傍のシリンダヘッド10の一部分が高温の高温部15となる。高温部15は周囲と比較して温度が高いため、この部分を集中的に冷却する必要がある。
【0043】
隔壁16には傾斜面121が設けられる。傾斜面121は第一流路101内の冷却水の流れを高温部15に衝突させるものである。傾斜面121は高温部15に向かって傾斜している。
【0044】
隔壁16はシリンダヘッド10の材料でシリンダヘッド10と一体的に構成されていてもよい。隔壁16はシリンダヘッド10と別部材で構成されており、シリンダヘッド10内の冷却水流路100に別部材を挿入することで構成されていてもよい。別部材を挿入する場合には、挿入経路104から、またはシリンダヘッド入口11からこの別部材を挿入することが可能である。
【0045】
傾斜面121は高温部に近づくように傾斜している。傾斜面121に沿って第一流路101の上流側から下流側に向かって第一流路101の内径が小さくなっている。第一流路101の断面積が高温部15に近づくにつれて小さくなる。その結果、第一流路101に冷却水が流れると圧力損失が生じる。
【0046】
第二流路102は上流および下流において第一流路101と合流している。第二流路102は第一流路101の上側に位置している。高温部15から第二流路102までの距離は、高温部15から第一流路101までの距離よりも遠い。そのため、第二流路102に冷却水を流しても高温部15を冷却する効果は小さい。第二流路102は第一流路101と並列に設けられており、第一流路101での冷却水の流量を少なくすることが望まれる状態、たとえば、低負荷運転時に、主として第二流路102に冷却水が流される。第二流路102は高温部15を冷却する効果が小さくバイバスとして作用するものであるため、冷却性能を向上させるよりも圧力損失を低減させることが求められる。そのため、断面積が大きく、かつ、断面積の変化が小さいことが望まれる。
【0047】
図5で示す低負荷運転時には、制御弁30は、第二流路102へ多くの冷却水を導くようにその回動位置が決定される。矢印190で示すようにシリンダヘッド入口11から導入された冷却水は制御弁30に案内されて矢印192で示すように、第二流路102へ向かう。第一流路101にも冷却水が流れるが、その量は僅かである。
【0048】
低負荷運転時には高温部15の温度がそれほど高くならないので、高温部15に集中的に冷却水を供給すると、高温部15の温度が低くなりすぎるおそれがある。第二流路102は十分な断面積を有するため第二流路102流れる冷却水の割合が多くなると、冷却水の流速が低下する。
【0049】
図6は、
図2中のV−V線に沿った断面図であって、高負荷運転時の制御弁の配置を示す断面図である。
図6で示すように、高負荷運転時には燃料室に多くの燃料が噴射される。そのため、燃焼室内での発熱量が多くなり、排気弁13を通過する排気がより高温になる。さらに、高温の排気の流量も多くなる。その結果、低負荷運転時と比較して高温部15の温度が高くなる。高温部15に多くの冷却水を衝突させて高温部から熱を放散される必要がある。制御弁30は第一流路101へ多くの冷却水を導くようにその回動位置が決定される。
【0050】
高負荷運転時には、
図6で示すように矢印190で示すようにシリンダヘッド入口11から導入された冷却水は制御弁30に案内されて第一流路101に導かれる。冷却水は傾斜面121に沿って矢印191で示す方向に流れて高温部15に衝突する。そのため高温部15を集中的に冷却することができる。エンジン3の第一の負荷(低負荷)での運転時の第一流路101および第二流路102の冷却水の流量をQL1およびQL2とし、第一負荷よりも大きい第二負荷(高負荷)での運転時の第一流路101および第二流路102の冷却水の流量をQH1およびQH2とするとQL1/QL2<QH1/QH2となり、かつ、ウォーターポンプ2から冷却水が送られる間は第一流路101に冷却水が流れるように、制御弁30の開度が制御される。
【0051】
シリンダヘッドの冷却装置1は、シリンダヘッド10と、シリンダヘッド10に設けられて少なくとも一つの排気弁13近傍の高温部15を冷却する冷却水が流れる第一流路101と、上流側および下流側で第一流路101と接続され、高温部15を迂回する冷却水が流れる第二流路102と、第一流路101と第二流路102との入口側に設けられて第一流路101および第二流路102の冷却水流量を調整する制御弁30と、第一流路101の壁面を構成し、高温部15に近づくように傾斜することで冷却水を高温部15に衝突させる傾斜面121とを備える。制御弁30は、エンジン3が高負荷運転時には閉弁して第一流路101に流れる冷却水の流量を低負荷運転時よりも増大させるとともに、エンジン3が低負荷運転時には開弁して第二流路102に流れる冷却水の流量を高負荷運転時よりも増大させる。
【0052】
<作用および効果>
低負荷運転時には、
図5で示すように第二流路102に多くの冷却水が流れるように、制御弁30の回動位置が決定される。その結果、第一流路101での流速が小さくなる。流体の流速と圧力損失とは関連し、ダルシーワイスバッハの式により圧力損失は流速の2乗に比例する。高温部15付近では第一流路101は狭路となっており、この部分での流速を低下させることで、圧力損失を効果的に減少させることができる。ウォーターポンプ2が機械式、すなわちウォーターポンプ2の羽根車がエンジンの出力軸と接続されてエンジンの回転数に応じてウォーターポンプ2の吐出能力が決定される場合には、第一流路101での圧力損失が低減させると、ウォーターポンプ2を駆動させるために必要なトルクが低下するため、エンジンの出力のうち、ウォーターポンプ2で消費される割合が小さくなる。その結果、燃費を向上させることができる。ウォーターポンプ2が電動式、すなわちウォーターポンプ2の羽根車がモータによって駆動される場合には、圧力損失が低減すれば、モータの回転数を低下させても十分な量の冷却水を循環させることができる。その結果、ウォーターポンプ2の仕事を減らすことができ、燃費を向上させることができる。
【0053】
さらに低負荷運転時には高温部15はそれほど高温ではないため第一流路101の流量が低下しても高温部15の温度が高くなりすぎることが無い。
【0054】
低負荷運転時に高温部15に多くの冷却水を流して高温部を過冷却にすると冷却損失が増加する。燃料からの入熱量をQ1、排熱量をQ2、仕事量をWとするとQ1−Q2=Wであり、高温部を過冷却にすると排熱量Q2が多くなり、仕事量Wの低下、すなわち燃費の悪化につながる。上記の構成では高温部を過冷却にすることが無いため、燃費を悪化させることが無い。
【0055】
実開昭61−110831号公報に記載の冷却装置では、低負荷運転時には弁シート間の冷却水通路が閉じられる。そのため、低負荷運転時には2つの冷却水通路のうち1つのみを用いる。これに対して上記の実施の形態1では、低負荷運転時に2つの冷却水流路を用いるため、冷却水の流速を低下させることができる。ダルシーワイスバッハの式により圧力損失は流速の2乗に比例する。実施の形態1では低負荷運転時に第一流路101および第二流路102を用いるため、実開昭61−110831号公報に記載の冷却装置と比較して流速が小さくなり圧力損失を低下させることができる。その結果、燃費を向上させることができる。
【0056】
高負荷運転時には、
図6で示すように矢印190で示すようにシリンダヘッド入口11から導入された冷却水は傾斜面121に沿って矢印191で示す方向に流れて高温部15に衝突する。そのため高温部15を集中的に冷却することができる。流体の流速と熱伝達率とは関連し、コルバーンの式により、熱伝達率は流速の0.8乗に比例する。高温部15周辺で流速を増加させることで高温部15から効率的に熱を放散させることができる。実開昭61−110831号公報に記載の冷却装置では高負荷運転時に使用される冷却水通路は円筒形状であり、高温部に向かって傾斜する傾斜面が設けられていないため、高温部近傍において流速を速くすることができない。その結果、熱伝達率を大きくすることが困難である。
【0057】
制御弁30はバタフライ弁であるため、実開昭61−110831号公報の開閉弁と比較して効果的に第一流路101に冷却水を案内することができる。
【0058】
冷却水流路100が2つの排気弁13間に設けられるため、2つ排気弁13間の高温部の熱を確実に放散することが可能となる。
【0059】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2におけるシリンダヘッドの冷却装置の平面図である。
図7で示すように、実施の形態2に従ったシリンダヘッドの冷却装置1では、アクチュエータ20が設けられている位置が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、アクチュエータ20は電動式であり、ロッド21を回転させることが可能である点で、実施の形態1に従った冷却装置1と異なる。
【0060】
ロッド21はシャフト23と係合しており、ロッド21が回転するとシャフト23も回転する。カバー111はシリンダヘッド10の2つの面、すなわち、ロッド21がシリンダヘッド10を貫通する面と、挿入経路104が設けられる面とを覆い、これらの面からの冷却水の漏れを防止する。この実施の形態では、一体物のカバー111が上記の2つの面を覆うが、カバー111が分割されていてもよい。
【0061】
このように構成されたシリンダヘッドの冷却装置1では、実施の形態1のレバー状部分23aのようなリンク機構を設ける必要がない。その結果、構成を簡素化することができる。
【0062】
さらに、エンジンの短手面(出力軸と垂直な面)にアクチュエータ20を設けることができる。
【0063】
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3に従ったシリンダヘッドの冷却装置で用いられる制御弁の斜視図である。
図8で示すように実施の形態1に従った制御弁30はシャフト23に固定されており、シャフト23とともに矢印24で示す方向に回動する。シャフト23は支持部32により支持される。支持部32の孔32aに制御弁30が嵌り合う。支持部32は板状であり、その端部においてシャフト23および制御弁30を回動可能に支持している。シャフト23を回動可能に支持する構造としては、たとえば支持部32の長手方向の両端部にC形状の凹部を設け、その凹部を広げてシャフト23を凹部に嵌合させたのち、凹部を狭める構造を採用することが可能である。
【0064】
図9は、エンジン内に搭載された実施の形態3に従った制御弁の側面図である。冷却水流路100は隔壁16により第一流路101と第二流路102とに分割されている。第一流路101は実施の形態1と同様に傾斜面により高温部に冷却水を衝突させる。第二流路102はバイパス経路であり、高温部を迂回するように配置される。第二流路102の入口には制御弁30が設けられる。制御弁30の一端がシャフト23に固定されている。シャフト23が矢印24で示す方向に回動すると、制御弁30も矢印24で示す方向に回動する。制御弁30の位置により、第二流路102に流れる冷却水の流量を調整することができる。
【0065】
なお、この実施の形態では第二流路102の入口にのみ制御弁30を設けているが、第一流路101の入口にも制御弁30を設けてもよい。第一流路101および第二流路102の両方の入口に制御弁30を設けてもよい。
【0066】
シリンダブロック40上にシリンダヘッド10が載置されている。シリンダブロック40とシリンダヘッド10との間に支持部32が挟みこまれている。シリンダヘッド10の貫通孔にボルトが挿入されてボルトの先端がシリンダブロック40に螺合することで、ボルトの軸力によりシリンダヘッド10がシリンダブロック40へ押圧されている。シリンダブロックとシリンダヘッド10との間の支持部32にはこの押圧力が付与されるため、シリンダヘッド10およびシリンダブロック40の境界において支持部32を位置決めすることができる。
【0067】
制御弁30が閉じられたときには、制御弁30と支持部32とが一つの平板となる。制御弁30と支持部32との厚みは等しい。一枚の板材から制御弁30を切り出して、残りの部分を支持部32とすることができる。
【0068】
このように構成されたシリンダヘッドの冷却装置1では、支持部32をシリンダブロック40とシリンダヘッド10との間に挟み込むことで、容易に支持部32、シャフト23および制御弁30を位置決めすることができる。
【0069】
制御弁30が閉じられたときに制御弁30と支持部32とが一枚の平板を構成するため、一枚の平板の状態でシリンダブロック40とシリンダヘッド10の間に挟み込むことで組み付け性を向上させることができる。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。