(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791098
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】トリム屑巻取装置
(51)【国際特許分類】
B21C 47/26 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
B21C47/26 H
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-211930(P2017-211930)
(22)【出願日】2017年11月1日
(65)【公開番号】特開2019-84538(P2019-84538A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2019年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬立 健治
【審査官】
米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−222915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 45/00〜49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属帯の切断された幅方向両側端部からなる一連の細長いトリム屑をボール型の塊状に巻取って塊状トリム屑を形成する塊状トリム屑形成部と、
塊状トリム屑形成部内で細長いトリム屑をボール型の塊状に巻取る進退可能な巻取軸と、
巻取軸で巻取られている塊状トリム屑の外周を押さえる押えローラと、
巻取られていない一連の細長いトリム屑を切断するトリム屑切断機と、
上下方向の揺動が可能な揺動テーブルと、
前記塊状トリム屑形成部の出口に設けられ、可動ゲートを上下方向に動かして前記出口を開閉するゲート設備と、
を具え、
前記ゲート設備は、前記揺動テーブルの揺動と独立して前記出口を開閉することを特徴とするトリム屑巻取装置。
【請求項2】
前記ゲート設備は、前記可動ゲートを上下方向に直線移動させるものであることを特徴とする、請求項1記載のトリム屑巻取装置。
【請求項3】
前記ゲート設備は、前記可動ゲートを上下方向に揺動させるものであることを特徴とする、請求項1記載のトリム屑巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属帯のサイドトリミングの際に発生するトリム屑を塊状に巻取り、その塊状トリム屑を搬出装置や搬送台車等の排出設備に払い出すトリム屑巻取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧延ラインでは、圧延した金属帯の幅を所定の寸法にするために、金属帯の両側端部をトリマーと呼ばれる切断機で切断する。この工程をサイドトリミングと呼び、このサイドトリミングでは一連の細長いトリム屑が発生する。
【0003】
トリム屑巻取装置は、この連続して発生する細長いトリム屑を巻取軸で筒形やボール形等の塊状に巻取り、その塊状トリム屑の巻取径が所定値になったとき、一連の細長いトリム屑を切断するとともに塊状トリム屑から巻取軸を抜取って、塊状トリム屑を搬出装置や搬送台車等の排出設備に払い出す。そして搬出装置や搬送台車等の排出設備は、その塊状トリム屑を排出する。
【0004】
従来のこのようなトリム屑巻取装置としては、例えば特許文献1で開示されたものが知られている。このトリム屑巻取装置は、
図4に示すように、金属帯Sが所定の幅に成形される際に金属帯Sの幅方向両側端部から金属帯側部切断機Cで切断されて排出される、金属帯Sの切断された幅方向両側端部からなる一連の細長いトリム屑1を巻取るものであり、固定シュータ2を滑り落ちた細長いトリム屑1の一部を移送装置4のグリッパで掴んで塊状トリム屑形成部3に引込んで巻取軸5に巻付け、外周を押えローラ6で押えながら細長いトリム屑1を巻取軸5で筒形の塊状に巻取り、巻取られている塊状トリム屑7の外径が所定の大きさになったら、巻取られていない細長いトリム屑1をトリム屑切断機8によって切断するとともに塊状トリム屑7から巻取軸5を抜取り、塊状トリム屑7を揺動テーブル9の揺動で塊状トリム屑形成部3から搬送台車W上に払い出す。そして搬送台車Wは、その塊状トリム屑7を搬送して排出する。
【0005】
従来のトリム屑巻取装置としてはまた、例えば特許文献2で開示されたものが知られている。このトリム屑巻取装置は、
図5に示すように、固定シュータ2を滑り落ちた一連の細長いトリム屑1を移送装置4のプッシャで塊状トリム屑形成部3に押込んで巻取軸5に巻付け、揺動テーブル9で下から支えるとともに外周を押えローラ6で押えながら細長いトリム屑1を巻取軸5でボール形の塊状に巻取り、巻取られている塊状トリム屑7の外径が所定の大きさになったら、巻取られていない細長いトリム屑1をトリム屑切断機8によって切断するとともに押えローラ6を巻取軸5から離し、さらに塊状トリム屑7から巻取軸5を抜取り、固定ゲート10で揺動テーブル9上に押し留められている塊状トリム屑7を、揺動テーブル9の下降揺動で、塊状トリム屑形成部3の固定ゲート10の下の出口11から図示しない搬出設備に払い出す。
【0006】
従来のトリム屑巻取装置としてはさらに、例えば特許文献3で開示されたものが知られている。このトリム屑巻取装置は、
図6に示すように、固定シュータ2を滑り落ちた一連の細長いトリム屑1を移送装置4のプッシャ4aで塊状トリム屑形成部3に押込んで巻取軸5に巻付け、図では上向きの凹形状になった揺動テーブル9で下から支えるとともに外周を押えローラ6で押えながら細長いトリム屑1を巻取軸5でボール形の塊状に巻取り、巻取られている塊状トリム屑7の外径が所定の大きさになったら、巻取られていない細長いトリム屑1をトリム屑切断機8によって切断するとともに塊状トリム屑7から巻取軸5を抜取り、揺動テーブル9上にその揺動テーブル9の凹形状によって留められている塊状トリム屑7を、案内路内を走行するガイドローラ13の案内下での可動ゲート12の側方への水平移動と、平坦形状への変形を伴う揺動テーブル9の下降揺動とで、塊状トリム屑形成部3の出口11から図示しない搬出設備に払い出す。
【0007】
ここで、移送装置4は、直列接続された二段のシリンダ4b,4cでプッシャ4aを押すことで、固定シュータ2内から塊状トリム屑形成部3内に至る長いプッシャ4aのストロークを得ることができ、また揺動テーブル9は、軸9aで固定部位に支持されて図示しないシリンダで揺動される基部9bと、その基部9bに対し軸9cで連結されてシリンダ9dで揺動される先端部9eとを持ち、図示の上向きの凹形状と図示しない平坦形状との間で変形できるとともに、その平坦形状で塊状トリム屑形成部3の出口11に向かって下るように傾斜することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−272536号公報
【特許文献2】特開平10−202316号公報
【特許文献3】特開2007−222915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記特許文献1に記載されたトリム屑巻取装置は、塊状トリム屑形成部3の、塊状トリム屑7の払い出し側にゲート設備が存在しないため、巻取軸5での細長いトリム屑1の巻取り中、細長いトリム屑1が搬出設備の搬送台車W側に流れ、細長いトリム屑1が搬送台車等に引っ掛かるトラブルが発生し易いという問題がある。
【0010】
そこで上記特許文献2,3に記載されたトリム屑巻取装置には、巻取軸5での細長いトリム屑1の巻取り中、細長いトリム屑1が搬出装置や搬送台車等の搬出設備側に流れないように、塊状トリム屑形成部3の、塊状トリム屑7の払い出し側に、固定ゲート10や可動ゲート12を持つゲート設備が設けられている。これにより特許文献2,3記載のトリム屑巻取装置では、巻取軸5での細長いトリム屑1の巻取り中はゲート設備を閉めているため、細長いトリム屑1が搬出装置や搬送台車等の搬出設備側に流れないので安定した巻取りが可能となり、巻取径が所定値になったときに巻取りを停止し、ゲート設備を開けて塊状トリム屑7を払い出し、図示しない搬出装置や搬送台車等で塊状トリム屑7を排出している。
【0011】
しかしながら上記特許文献2に記載されたトリム屑巻取装置では、揺動テーブル9が下方に揺動して固定ゲート10との間で出口11を開き、その揺動テーブル9の先端に隣接する図示しないガイドスロープ上に塊状トリム屑7を払い出すことから、下方に揺動した揺動テーブル9とそのガイドスロープとの間に、巻取軸5と平行な水平方向に延在して揺動テーブル9とガイドスロープとの干渉を防止する隙間が存在する必要がある。
【0012】
また上記特許文献3に記載されたトリム屑巻取装置でも、
図7(a)に可動ゲート12を閉じた状態を示すとともに
図7(b)に可動ゲート12を開いた状態を示すように、可動ゲート12がガイドローラ13の案内下で側方に水平移動して出口11を開き、揺動テーブル9が下方に揺動してその揺動テーブル9の先端に隣接するガイドスロープG上に塊状トリム屑7を払い出し、搬送台車Wでの塊状トリム屑7を排出することから、出口11の下部とガイドスロープGとの間に、可動ゲート12やその水平移動を案内する案内レール等の入る隙間Aが必要になる。
【0013】
そしてこれらの隙間の存在により、上記特許文献2,3に記載されたトリム屑巻取装置は、巻取軸5が抜かれた塊状トリム屑7を払い出す際にその隙間に塊状トリム屑7の一部が引っ掛かって塊状トリム屑7が円滑に移動しないといったトラブルや、塊状トリム屑7から脱落した一部のトリム屑や塊状トリム屑7に巻取られていないトリム屑がその隙間に溜まることでゲート設備に開閉異常が生ずるといったトラブルが発生するという問題がある。
【0014】
それゆえ本発明の課題は、巻取完了後に塊状トリム屑を搬出設備に払い出す際に問題となる、ゲート設備と搬出設備との間で塊状トリム屑の一部の引っ掛かりやトリム屑の残留を生ずるスペースとなる隙間をなくした構造のゲート設備を有するトリム屑巻取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を有利に解決する本発明のトリム屑巻取装置は、
金属帯の切断された幅方向両側端部からなる一連の細長いトリム屑を塊状に巻取って塊状トリム屑を形成する塊状トリム屑形成部と、
塊状トリム屑形成部内で細長いトリム屑を塊状に巻取る進退可能な巻取軸と、
巻取軸で巻取られている塊状トリム屑の外周を押さえる押えローラと、
巻取られていない一連の細長いトリム屑を切断するトリム屑切断機と、
上下方向の揺動が可能な揺動テーブルと、
前記塊状トリム屑形成部の出口に設けられ、可動ゲートを上下方向に動かして前記出口を開閉するゲート設備と、
を具え
、
前記ゲート設備は、前記揺動テーブルの揺動と独立して前記出口を開閉することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
上記の構成からなる本発明のトリム屑巻取装置にあっては、金属帯の切断された幅方向両側端部からなる一連の細長いトリム屑が、塊状トリム屑形成部内の巻取軸で巻取られて塊状になり、その塊状トリム屑の巻取径が所定値になると、一連の細長いトリム屑が切断されるとともに巻取られた塊状トリム屑から巻取軸が後退して抜取られ、
揺動テーブルの下降揺動によりその塊状トリム屑が塊状トリム屑形成部の出口から排出設備に払い出される。
【0017】
そして、塊状トリム屑形成部の出口に設けられ
て揺動テーブルの揺動と独立して出口を開閉するゲート設備が、細長いトリム屑が塊状トリム屑形成部内の巻取軸で塊状に巻取られている間は可動ゲートを下方に動かして塊状トリム屑形成部の出口を閉じておき、その一方、塊状トリム屑の払い出しの際は可動ゲートを上方に動かして塊状トリム屑形成部の出口を開いて、その出口から排出設備への塊状トリム屑の払い出しを可能にする。
【0018】
従って、本発明のトリム屑巻取装置によれば、細長いトリム屑が塊状トリム屑形成部内の巻取軸で塊状に巻取られている間に塊状トリム屑形成部から排出設備へトリム屑が流れて搬送台車等に引っ掛かるトラブルの発生を閉じた可動ゲートで防止でき、しかもゲート設備が可動ゲートを上下方向に動かして
揺動テーブルの揺動と独立して出口を開閉することから、塊状トリム屑形成部の出口の下部と排出設備との間に可動ゲートや案内レール等の入る隙間を設ける必要がな
く、しかも出口の開閉を適時に行い得るので、その塊状トリム屑形成部の出口の下部と排出設備との間の隙間に塊状トリム屑の一部が引っ掛かって塊状トリム屑が円滑に移動しないといったトラブルや、塊状トリム屑から脱落した一部のトリム屑や塊状トリム屑に巻取られていないトリム屑がその隙間に溜まることでゲート設備に開閉異常が生ずるといったトラブルの発生を防止することができる。
【0019】
なお、本発明のトリム屑巻取装置においては、前記ゲート設備は、前記可動ゲートを上下方向に直線移動させるものであってもよい。
【0020】
また、本発明のトリム屑巻取装置においては、前記ゲート設備は、前記可動ゲートを上下方向に揺動させるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のトリム屑巻取装置の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】(a)は、上記実施形態のトリム屑巻取装置がトリム屑を巻取っている状態を示す説明図、(b)は、その実施形態のトリム屑巻取装置がトリム屑を排出設備に払い出している状態を示す説明図である。
【
図3】(a)は、本発明の他の一実施形態のトリム屑巻取装置がトリム屑を巻取っている状態を示す説明図、(b)は、その実施形態のトリム屑巻取装置がトリム屑を排出設備に払い出している状態を示す説明図である。
【
図4】従来のトリム屑巻取装置の一例を金属帯側部切断機および排出設備と共に示す斜視図である。
【
図5】従来のトリム屑巻取装置の他の一例を断面図である。
【
図6】従来のトリム屑巻取装置のさらに他の一例を断面図である。
【
図7】(a)は、上記さらに他の従来例のトリム屑巻取装置がトリム屑を巻取っている状態を示す説明図、(b)は、その従来例のトリム屑巻取装置がトリム屑を排出設備に払い出している状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明のトリム屑巻取装置の一実施形態を示す断面図である。この実施形態のトリム屑巻取装置も、ゲート設備の構成を除けば、
図6に示す従来のトリム屑巻取装置と同様の構成を具えている。
【0023】
すなわち、この実施形態のトリム屑巻取装置も、細長いトリム屑1をボール形の塊状に巻取って塊状トリム屑7を形成する塊状トリム屑形成部3と、固定シュータ2を滑り落ちた一連の細長いトリム屑1をその塊状トリム屑形成部3に移送して押込む移送装置4と、塊状トリム屑形成部3内で細長いトリム屑1をボール形の塊状に巻取る進退可能な巻取軸5と、巻取軸5で巻取られている塊状トリム屑7の外周を押さえる押えローラ6と、巻取られていない一連の細長いトリム屑1を切断するトリム屑切断機8と、上下方向の揺動および上向き凹形状と平坦形状との間での変形が可能な揺動テーブル9と、塊状トリム屑形成部3の可動ゲート12を移動させて出口11を開閉するゲート設備とを具えている。
【0024】
ここで、上記従来のトリム屑巻取装置と同様、移送装置4は、直列接続された二段のシリンダ4b,4cでプッシャ4aを押すことで、プッシャ4aの、固定シュータ2内から塊状トリム屑形成部3内に至る長いストロークを得ることができ、また揺動テーブル9は、軸9aで固定部位に支持されて図示しないシリンダで揺動される基部9bと、その基部9bに対し軸9cで連結されてシリンダ9dで揺動される先端部9eとを持ち、図示の上向き凹形状と図示しない平坦形状との間で変形できるとともに、その平坦形状で塊状トリム屑形成部3の出口11に向かって下るように傾斜することができる。
【0025】
その一方、この実施形態のトリム屑巻取装置におけるゲート設備は、可動ゲート12を上下方向に動かして出口11を開閉するために、可動ゲート12を出口11に沿って直線的に昇降移動させる油圧シリンダ等のシリンダ14と、その可動ゲート12の両側部を支持して出口11に沿う可動ゲート12の直線的な昇降移動を案内するガイドレールやガイドローラ等の図示しない可動ゲート案内機構とを有している。なお、シリンダ14は、図示例では可動ゲート12の上方にピストンロッドを下向きにして配置しているが可動ゲート12の側方にピストンロッドを上向きにして配置して、そのピストンロッドで可動ゲート12を昇降移動させても良い。
【0026】
図2(a)は、上記実施形態のトリム屑巻取装置がトリム屑を巻取っている状態を示す説明図、
図2(b)は、その実施形態のトリム屑巻取装置がトリム屑を排出設備に払い出している状態を示す説明図である。
【0027】
この実施形態のトリム屑巻取装置にあっては、
図2(a)に示すように、可動ゲート12を閉止位置にした状態で、固定シュータ2を滑り落ちた一連の細長いトリム屑1を移送装置4のプッシャ4aで塊状トリム屑形成部3に押込んで巻取軸5に巻付け、その細長いトリム屑1を、図では上向きの凹形状になった揺動テーブル9で下から支えるとともに外周を押えローラ6で押えながら巻取軸5でボール形の塊状に巻取る。
【0028】
そして巻取られている塊状トリム屑7の外径が所定の大きさになったら、巻取られていない細長いトリム屑1をトリム屑切断機8によって切断するとともに塊状トリム屑7から巻取軸5を抜取り、
図2(b)に示すように、揺動テーブル9の凹形状によってその揺動テーブル9上に留められている塊状トリム屑7を、ゲート設備のシリンダ14と可動ゲート案内機構とによる可動ゲート12の上昇移動での出口11の開放と、平坦形状への変形を伴う揺動テーブル9の下降揺動とで、塊状トリム屑形成部3の出口11からその揺動テーブル9の先端に密接する排出設備のガイドスロープG上に払い出し、搬送台車Wでその塊状トリム屑7を排出する
【0029】
従って、この実施形態のトリム屑巻取装置によれば、一連の細長いトリム屑1が塊状トリム屑形成部3内の巻取軸5で塊状に巻取られる間に塊状トリム屑形成部3から細長いトリム屑1が流れ出て搬送台車Wに引っ掛かるトラブルの発生を閉じた可動ゲート12で防止でき、しかもゲート設備が可動ゲート12を直線的に昇降移動させて出口11を開閉することから、塊状トリム屑形成部3の出口11の下部と排出設備のガイドスロープGとの間に可動ゲート12や案内レール等の入る隙間Aを設ける必要がないので、その隙間に塊状トリム屑7の一部が引っ掛かって塊状トリム屑7が円滑に移動しないといったトラブルや、塊状トリム屑7から脱落した一部のトリム屑や塊状トリム屑7に巻取られていない細長いトリム屑がその隙間に溜まることでゲート設備に開閉異常が生ずるといったトラブルの発生を防止することができる。
【0030】
図3(a)は、本発明の他の一実施形態のトリム屑巻取装置がトリム屑を巻取っている状態を示す説明図、
図3(b)は、その実施形態のトリム屑巻取装置がトリム屑を排出設備に払い出している状態を示す説明図である。この実施形態のトリム屑巻取装置も、ゲート設備の構成を除けば、
図6に示す従来例および
図1に示す先の実施形態のトリム屑巻取装置と同様の構成を具えているので、以下には主にそのゲート設備について説明する。
【0031】
すなわち、この実施形態のトリム屑巻取装置のゲート設備は、可動ゲート12を上下方向に動かして塊状トリム屑形成部3出口11を開閉するために可動ゲート12を、
図3(a)に示すように出口11に密設する閉止位置と、
図3(b)に示すように出口11から大きく離間する開放位置との間で、例えば揺動テーブル9の先端部9eを揺動させるシリンダ9dと同様にして上下方向に揺動させる図示しないシリンダと、その可動ゲート12の上端部を支持軸で揺動可能に支持する図示ない可動ゲート支持部とを有している。
【0032】
この実施形態のトリム屑巻取装置によっても先の実施形態のトリム屑巻取装置と同様、一連の細長いトリム屑1が塊状トリム屑形成部3内の巻取軸5で塊状に巻取られる間に塊状トリム屑形成部3から細長いトリム屑1が流れ出て搬送台車Wに引っ掛かるトラブルの発生を閉じた可動ゲート12で防止でき、しかもゲート設備が可動ゲート12を上下方向に揺動させて出口11を開閉することから、塊状トリム屑形成部3の出口11の下部と排出設備のガイドスロープGとの間に可動ゲート12や案内レール等の入る隙間を設ける必要がないので、その隙間に塊状トリム屑7の一部が引っ掛かって塊状トリム屑7が円滑に移動しないといったトラブルや、塊状トリム屑7から脱落した一部のトリム屑や塊状トリム屑7に巻取られていない細長いトリム屑がその隙間に溜まることでゲート設備に開閉異常が生ずるといったトラブルの発生を防止することができる。
【0033】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の例に限定されるものでなく、例えばゲート設備は、先の実施形態におけるシリンダ14に代えて例えばモータ駆動のラック・ピニオン機構等で可動ゲート12を上下方向に昇降移動させてもよく、また後の実施形態におけるシリンダに代えて減速機付きモータで可動ゲート12の支持軸を回動させて可動ゲート12を上下方向に揺動させてもよい。さらに、巻取軸5は、上記実施形態では何れも細長いトリム屑1を巻取ってボール形の塊状トリム屑7を形成しているが、これに代えて筒形の塊状トリム屑7を形成してもよい。
【0034】
さらに本発明においては、移送装置4は、上記実施形態ではプッシャ4aで一連の細長いトリム屑1を塊状トリム屑形成部3内に押し込んでいるが、最初の従来例のようにグリッパで掴んで塊状トリム屑形成部3に引き込むもの等を適宜選択することもできる。また、搬出設備は、上記実施形態では搬送台車Wを用いているが、コンベヤ等の搬出装置を用いるものであってもよい。そして揺動テーブル9は、上記実施形態では上向きの凹形状と平坦形状との間で変形可能とされているが、2番目の従来例のように変形せずに揺動するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のトリム屑巻取装置によれば、一連のトリム屑が塊状トリム屑形成部内の巻取軸で塊状に巻取られる間にトリム屑が塊状トリム屑形成部から排出設備へ流れて搬送台車等に引っ掛かるトラブルの発生を閉じた可動ゲートで防止でき、しかもゲート設備が可動ゲートを上下方向に動かして出口を開閉することから、塊状トリム屑形成部の出口の下部と排出設備との間に可動ゲートや案内レール等の入る隙間を設ける必要がないので、その隙間に塊状トリム屑の一部が引っ掛かって塊状トリム屑が円滑に移動しないといったトラブルや、塊状トリム屑から脱落した一部のトリム屑や塊状トリム屑に巻取られていないトリム屑がその隙間に溜まることでゲート設備に開閉異常が生ずるといったトラブルの発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 細長いトリム屑
2 固定シュータ
3 塊状トリム屑形成部
4 移送装置
4a プッシャ
4b,4c シリンダ
5 巻取軸
6 押えローラ
7 塊状トリム屑
8 トリム屑切断機
9 揺動テーブル
10 固定ゲート
11 出口
12 可動ゲート
13 ガイドローラ
14 シリンダ
A 隙間
C 金属帯側部切断機
S 金属帯
W 搬送台車