(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
図1を参照しながら、走行制御装置10について説明する。走行制御装置10には、自動運転切替スイッチ20、周辺認知センサ21、降雨センサ22、温度センサ23、湿度センサ24、照度センサ25、及び受信装置26から出力される情報が入力される。
【0012】
自動運転切替スイッチ20が操作されると、自動運転に移行するとの情報又は自動運転を解除するとの情報が走行制御装置10に入力される。周辺認知センサ21は、走行制御装置10が搭載されている自車両周辺の状況を認知するための認知デバイスであって、カメラ、LIDAR、ミリ波レーダ、ソナー等を含むものである。自車両周辺の状況とは、道路や白線の状況や、道路を走行中の他車両の状況を含むものである。周辺認知センサ21は、認知した自車両周辺の状況を認知し、その情報を走行制御装置10に出力する。
【0013】
降雨センサ22は、降雨の有無を検知するためのセンサである。降雨センサ22は、検知した降雨についての情報を走行制御装置10に出力する。温度センサ23は、車外の温度を検知するためのセンサである。温度センサ23は、検知した温度についての情報を走行制御装置10に出力する。湿度センサ24は、車外の湿度を検知するためのセンサである。湿度センサ24は、検知した湿度についての情報を走行制御装置10に出力する。
【0014】
照度センサ25は、車外の照度を検知するためのセンサである。照度センサ25は、検知した照度についての情報を走行制御装置10に出力する。受信装置26は、ネットワークを経由して送信される情報を受信する装置である。受信装置26は、受信した情報を走行制御装置10に出力する。
【0015】
走行制御装置10は、EPS31、EPB32、ECB33、MG34、トランスミッション35と、ワイパ36、デフォッガ37、デフロスタ38、ライト39、発信装置40、及び外部表示装置41に指示信号を出力する。
【0016】
EPS31は、電動パワーステアリング(Electric Power Steering)である。EPS31は、走行制御装置10から出力される指示信号に応じて操舵補助力を発生させる。EPB32は、電動パーキングブレーキ(Electric Parking Brake)である。EPB32は、走行制御装置10から出力される指示信号に応じてパーキングブレーキのロックやリリースを行う。ECB33は、電子制御ブレーキ(Electronically Controlled Brake System)である。ECB33は、走行制御装置10から出力される指示信号に応じて制動力を発生させる。
【0017】
MG34は、モータジェネレータである。MG34は、走行制御装置10から出力される指示信号に応じて駆動力を発生させる一方で、発電を行うこともできる。トランスミッション35は、走行制御装置10から出力される指示信号に応じて変速機の制御を行う。ワイパ36は、フロンドウィンドウ又はリアウィンドウに設けられている雨滴除去装置である。ワイパ36は、走行制御装置10から出力される指示信号に応じて駆動される。
【0018】
デフォッガ37は、リアウィンドウの曇りを除去するための電熱線である。デフォッガ37は、走行制御装置10からの指示信号に応じて通電発熱し、リアガラスの曇りを除去する。デフロスタ38は、フロントウィンドウの曇りを除去するために温風を吹き出すものである。デフロスタ38は、走行制御装置10から出力される指示信号に応じて温風を吹き出す。
【0019】
ライト39は、車両前方を照らす照明装置である。ライト39は、走行制御装置10からの指示信号に応じて点灯/消灯する。発信装置40は、ネットワークを経由して送信される情報を発信する装置である。発信装置40は、走行制御装置10から出力される情報を発信する。外部表示装置41は、車外に向けて情報を表示する装置である。外部表示装置41は、走行制御装置10から出力される情報に基づいた表示を行う。
【0020】
走行制御装置10は、ハードウェア的な構成要素として、CPUといった演算部、RAMやROMといった記憶部、データの授受を行うためのインターフェイス部を備えるコンピュータとして構成されている。
【0021】
続いて、制御装置の機能的な構成要素について説明する。走行制御装置10は、機能的な構成要素として、周囲認識部101と、異常判断部102と、制御部103と、通信切替部104と、を備えている。
【0022】
周囲認識部101は、自車両の周囲の状況を認識する部分である。より具体的には、周辺認知センサ21から出力される情報に基づいて、自車両の周囲の状況を認識する。
【0023】
異常判断部102は、周囲認識部101の認識機能に異常が生じたか否かを判断する部分である。異常判断部102は、周囲認識部101の認識機能に異常が生じた場合に、その情報を制御部103に出力する。
【0024】
制御部103は、異常判断部102が周囲認識部101の認識機能に異常が生じたと判断した場合に、認識機能に異常が生じた方向である異常認識方向に応じて、自動運転システムにおける自動運転の処置を変更する処置変更制御を実行する。
【0025】
通信切替部104は、他車両との通信手段を切り替える部分である。通信切替部104は、制御部103が処置変更制御を実行するのに伴って、移動体通信を利用した通信を可能とする通信切替処理を実行する。通信切替部104は、通信切替処理の実行にあたって自車両の通信優先度を上げることができる。
【0026】
本実施形態では、このように周囲認識部101の認識機能に異常が生じた場合でも、異常認識方向に応じて自動運転の処置を変更するので、認識機能に異常が生じた方向に応じた機能補完が可能となる。
【0027】
また本実施形態において、制御部103は、異常認識方向と異常認識方向を認識可能な他車両の状況とに応じて、処置変更制御を実行する。異常認識方向を認識可能な他車両の状況を把握することで、異常認識方向に対する認識機能の補完を適切に行うことができる。
【0028】
また本実施形態において、制御部103は、他車両から異常認識方向における認識結果を受信し、この受信した認識結果に基づいて処置変更制御を実行する。異常認識方向を認識可能な他車両の認識結果を受信し処置変更制御を実行するので、異常認識方向に対する認識機能の補完が可能となり、自動運転システムによる走行を継続することができる。尚、他車両から異常認識方向における認識結果を受信するにあたっては、他車両から車車間通信によって直接受信してもよく、ネットワークを介して受信してもよい。ネットワークを介して異常認識方向における認識結果を受信するにあたっては、ネットワークに繋がっている管理センタ等を経由して受信してもよい。
【0029】
また本実施形態において、制御部103は、他車両から認識結果を受信し、受信した認識結果に基づいて異常認識方向における認識を補完し続けられるように、自車両及び/又は他車両の走行態様を制御する。より具体的には、制御部103は、受信した認識結果に基づいて異常認識方向における認識を補完し続けられるように、自車両の走行態様を直接的に制御することができる。また、制御部103は、受信した認識結果に基づいて異常認識方向における認識を補完し続けられるように、他車両に対して走行態様を間接的に制御するための情報を発信することができる。このような制御を実行することで、認識結果を供給してくれる他車両の認識結果を利用可能なように、他車両と自車両との位置関係を保つことが可能となり、自動運転システムによる走行を継続することができる。
【0030】
また本実施形態において、異常判断部102は、異常が生じた自車両が隊列走行を行っているか否かを判断する隊列判断処理を実行し、制御部103は、隊列判断処理の結果に応じて処置変更制御を実行する。隊列走行を行っている場合、隊列走行を構成している他車両の認識結果を利用した認識補完を行うことができる可能性が高まる。この態様では、隊列判断処理の結果に応じて処置変更制御を実行することで、隊列走行を活かした処置変更制御が可能となる。
【0031】
また本実施形態において、隊列判断処理の結果が隊列走行中であることを示す場合に、制御部103は、隊列を組んでいる他車両が異常認識方向に対して認識補完できるように隊列中における自車両の位置を設定する。隊列走行中の他車両に対する自車両の位置設定を、隊列を組んでいる他車両が異常認識方向に対して認識補完できるように行うことで、他車両の認識結果を利用できる可能性をより高めることができる。
【0032】
自車両の位置設定として、自車両が前方認識異常の場合は、隊列の前から2台目以降に設定することが好ましい。自車両が後方認識異常の場合は、隊列の後ろから2台目より前に設定することが好ましい。自車両が側方認識異常の場合は、隊列の前から2台目以降であり、且つ隊列の後ろから2台目より前に設定することが好ましい。
【0033】
また本実施形態において、制御部103は、隊列中における自車両位置を変更する場合、自車両を車線変更せずに他車両に車線変更を行わせる。自車両が車線変更せずに隊列中の位置を変更できるので、認識異常が起きている自車両の安全性を確保しつつ最適な隊列走行を行うことができる。
【0034】
また本実施形態において、制御部103は、隊列中における自車両位置を変更する場合、異常認識方向に応じて自車両を車線変更させる。異常が発生している自車両を車線変更させずに他車両を車線変更させると、場合によっては他車両の乗員が違和感を覚える場合もある。そこで、異常が発生している自車両を車線変更させて隊列中の位置を変更することで、他車両の乗員に違和感を与えずに最適な隊列走行を行うことができる。
【0035】
また本実施形態において、隊列判断処理の結果が隊列走行中でないことを示す場合に、制御部103は、異常認識方向に対して認識補完できる他車両と隊列走行を行うように制御する。隊列走行中でない場合であっても、異常認識方向に対して認識補完できる他車両と隊列走行を行うように制御するので、隊列走行を活かした処置変更制御が可能となる。
【0036】
また本実施形態において、制御部103は、隊列走行可能な他車両を検出すると、その他車両に対して隊列走行を行うように要請する隊列要請情報を出力する。隊列要請情報を出力することで、隊列走行を行う他車両を特定するとともに、その他車両と隊列走行を行うことができる。尚、隊列走行可能な他車両とは、少なくとも自車両との間で車車間通信が可能であって、車車間通信により、駆動の情報、制動の情報、操舵の情報、及び自車両と前車との距離である前車の後方認識機能の情報の内、少なくとも1つ以上を通信可能な他の車両である。
【0037】
また本実施形態において、制御部103は、自車両が走行中のレーンと他車両が走行中のレーンとの関係、及び/又は自車両と他車両との速度差を勘案して隊列要請情報を出力する。自車両と他車両との関係において、それぞれが走行するレーンの関係や、相互の速度差を勘案することで、適当な位置に適当な速度で走行中の他車両と隊列走行を行うことができる。
【0038】
また本実施形態において、制御部103は、隊列走行中の全車両を、隊列を組んだまま停止させ、他車両に隊列を解除するように要請する隊列停止処理を実行する。隊列を組んだまま停止するので、異常が発生している自車両も安全に停止することができる。その後隊列を解除するように他車両に要請するので、他車両の拘束を必要最小限に抑制することができる。
【0039】
また本実施形態において、制御部103は、自車両の複数の認識機能に異常が発生した場合に隊列停止処理を実行する。複数の認識機能に異常が発生すると、他車両に認識機能を補完してもらっていたとしても、走行継続の危険性が高まるので、隊列停止処理を実行することで安全に停車することができる。
【0040】
また本実施形態において、制御部103は、自車両の進行方向と他車両の進行方向とが異なる場合に隊列停止処理を実行する。隊列走行を行っている他車両との進行方向が異なる場合に、隊列停止処理を実行することで、他車両を目的の進行方向に進めさせることができる。また、隊列停止処理を実行し、自車両は隊列から開放されるので、他の進行方向が同じ他車両と隊列を組むことができる。
【0041】
また本実施形態において、制御部103は、異常認識方向に応じて、自車両の挙動を制限する。異常認識方向に応じた自車両の挙動制御を行うことで、異常が発生していない方向における認識結果を活かした自動運転が可能となる。
【0042】
また本実施形態において、通信切替部104は、他車両との通信手段を切り替えるものであって、制御部103が処置変更制御を実行するのに伴って、移動体通信を利用し、移動体通信網と直接通信する通信切替処理を実行する。
【0043】
認識機能に異常が発生すると、通信を利用して対応を行うことになる。通信機能としては、車車間通信に用いられる無線LANがあるが、通信の安定性や広域対応性に課題がある。そこで、無線LANと並行して移動体通信を利用可能とし、冗長性を持たせることで、車車間通信に異常が生じても移動体通信による対応が可能となり、より安全性が高められる。また、車車間通信が届かない離れた車両に対しても隊列を組むといった要請を行うことができる。
【0044】
また本実施形態において、通信切替部104は、通信切替処理の実行にあたって自車両の通信優先度を上げることができる。
【0045】
自車両の通信優先度を上げることで、乗員が使用する携帯端末による通信量が大きかったり、通信回線が混雑したりしている状態でも、通信ができるようになる。それにより、認識機能異常の補完を円滑に行うことができる。
【0046】
続いて、
図2を参照しながら、走行制御装置10の具体的な制御処理について説明する。ステップS101では、周囲認識部101が、道路の状況及び周囲の状況を取得する。ステップS101に続くステップS102では、異常判断部102が、部品・センサの異常情報を取得する。
【0047】
ステップS102に続くステップS103では、異常判断部102が、周辺認識機能が正常か否かを判断する。周辺認識機能が正常である場合、処理を終了してリターンする。周辺認識機能が正常でない場合、ステップS104の処理に進む。
【0048】
ステップS104では、異常判断部102が、発生している異常が単独か否かを判断する。発生している異常が単独の場合、ステップS105の処理に進む。発生している異常が複数の場合、ステップS106の処理に進む。
【0049】
ステップS105では、単独異常処理を実行する。単独異常処理が終了すると、リターンする。ステップS106では、複数異常処理を実行する。複数異常処理が終了すると、リターンする。
【0050】
単独異常処理について、
図3を参照しながら説明する。ステップS151では、制御部103が、自車両が隊列走行中であるか否かを判断する。隊列走行中であれば、ステップS152の処理に進む。隊列走行中でなければ、ステップS153の処理に進む。
【0051】
ステップS152では、処置1を実行する。処置1について、
図4を参照しながら説明する。
【0052】
ステップS201では、制御部103が、他車両が車線変更可能であるか否かを判断する。他車両が車線変更可能であるか否かは、他車両と通信を行って判断してもよく、予め定められていてもよい。他車両が車線変更可能であれば、ステップS202の処理に進む。他車両が車線変更可能でなければ、ステップS206の処理に進む。
【0053】
ステップS202では、
図5(A)に示されるように、制御部103が他車両Aへ配置変え要求を送信する。配置換え要求を受信した他車両Aは、
図5(B)に示されるように車線変更を実行する。
【0054】
ステップS202に続くステップS203では、制御部103が、他車両の車線変更が完了したか否かを判断する。他車両の車線変更完了判断は、他車両と通信を行って判断してもよく、制御部103が自車両の認識機能を用いて自律的に判断してもよい。他車両の車線変更が完了していれば、ステップS204の処理に進む。他車両の車線変更が完了していなければ、ステップS203の処理を繰り返す。
【0055】
ステップS204では、制御部103が車間調整を実行する。具体的には、
図5(C)に示されるように、他車両Aがよけた後の先行車に自車両が近づくように車間調整を行う。
【0056】
ステップS204に続くステップS205では、制御部103が、他車両Aに車線復帰許可を送信する。この車線復帰許可の受信に対応して、他車両Aは車線復帰のための制御を実行する。
【0057】
ステップS206では、制御部103が、自車両の車線変更が完了したか否かを判断する。
図6(A)に示されるように自車両の車線変更が完了してれば、ステップS207の処理に進む。自車両の車線変更が完了していなければ、ステップS206の処理を繰り返す。
【0058】
ステップS207では、制御部103が、他車両Aへ車間確保要求を送信する。ステップS207に続くステップS208では、制御部103が、他車両Aの先行車との車間確保が完了したか否かを判断する。
図6(B)に示されるように、他車両Aの先行車との車間確保が完了していれば、ステップS209の処理に進む。他車両Aの先行車との車間確保が完了していなければ、ステップS208の処理を繰り返す。ステップS209では、制御部103が、
図6(C)に示されるように自車両を車線復帰させる。
【0059】
図3に戻って、ステップS153の処理について説明する。ステップS153では、所定の範囲内に他車両が存在するか否かを判断する。所定の範囲内とは、自車両と隊列走行を組むのに物理的に不可能ではない範囲のことであって、その範囲内に存在する他車両に隊列走行の打診を行うために設定される範囲である。所定の範囲内に他車両があれば、ステップS154の処理に進む。所定の範囲内に他車両がなければ、ステップS158の処理に進む。
【0060】
ステップS154では、制御部103が、他車両が隊列走行可能か否かを判断する。他車両が隊列走行可能であるか否かは、他車両と通信を行って判断する。他車両が隊列走行可能であれば、ステップS155の処理に進む。他車両が隊列走行可能でなければ、ステップS156の処理に進む。
【0061】
ステップS155では、処置2を実行する。処置2の実行が完了すると、ステップS152の処理に進む。処置2について、
図7を参照しながら説明する。
【0062】
ステップS251では、制御部103が、他車両が位置調整可能か否かを判断する。他車両が位置調整可能であるか否かは、他車両と通信を行って判断してもよく、予め定められていてもよい。他車両が位置調整可能であれば、ステップS252の処理に進む。他車両が位置調整可能でなければ、ステップS255の処理に進む。
【0063】
ステップS252では、制御部103が、他車両へ位置調整要求を送信する。
図8の例であれば、
図8(A)において、他車両Aには、他車両Aにとって左前方に位置調整するように位置調整要求を送信する。他車両Bには、他車両Bにとって前方に位置調整するように位置調整要求を送信する。この位置調整要求の送信の結果、位置調整が完了すると
図8(B)の状態となる。
【0064】
ステップS252に続くステップS253では、制御部103が、他車両の位置調整が完了したか否かを判断する。他車両の位置調整完了判断は、他車両と通信を行って判断してもよく、制御部103が自車両の認識機能を用いて自律的に判断してもよい。他車両の位置調整が完了していれば、ステップS254の処理に進む。他車両の位置調整が完了していなければ、ステップS253の処理を繰り返す。ステップS254では、隊列完了情報を保持する。
【0065】
ステップS255では、制御部103が、後方の他車両と隊列を組めたか否かを判断する。
図9の例であれば、
図9(A)から
図9(B)において、後方の他車両Bと隊列を組めていることになる。後方の他車両と隊列を組めていれば、ステップS256の処理に進む。後方の他車両と隊列を組めていなければ、ステップS255の処理を繰り返す。
【0066】
ステップS256では、制御部103が、前方の他車両と隊列を組めたか否かを判断する。
図9の例であれば、他車両Bと隊列を組んだ状態で自車両が位置調整をすることで、
図9(C)に示されるように前方の他車両Aと隊列を組めていることになる。前方の他車両と隊列を組めていれば、ステップS254の処理に進む。前方の他車両と隊列を組めていなければ、ステップS256の処理を繰り返す。
【0067】
図3に戻って、ステップS156の処理について説明する。ステップS156では、他車両が認識する周囲の情報によって自車両の周囲が認識可能か判断する。他車両が認識する周囲の情報によって自車両の周囲が認識可能であれば、ステップS157の処理に進む。他車両が認識する周囲の情報によって自車両の周囲が認識可能でなければ、ステップS158の処理に進む。
【0068】
ステップS157では、処置3を実行する。処置3の実行が完了すると、ステップS152の処理に進む。処置3について、
図10を参照しながら説明する。
【0069】
ステップS301では、制御部103が、他車両から他車両における認識情報を受信する。ステップS301に続くステップS302では、制御部103が、前方認識不可領域があるか否かを判断する。
図11に示す例では、他車両Aの前方に他車両が存在しないため、前方認識不可領域が存在する例を示している。
図11(A)では、自車両は他車両Bから認識情報を受信しているので、他車両Bの前方に他車両Aが存在するため、前方認識不可領域は無いものと判断する。
図11(B)では、自車両は他車両Aから認識情報を受信しているので、他車両Aの前方に他車両は無く、前方認識不可領域は有るものと判断する。前方認識不可領域があると判断すれば、ステップS303の処理に進む。前方認識不可領域が無いと判断すれば、ステップS304の処理に進む。
【0070】
ステップS303では、制御部103は、追従抑制処理を実行する。追従抑制処理とは、
図11(B)の例では、他車両Aから認識情報を受信可能な範囲から逸脱しないように、車速や走行車線を制御する。ステップS304では、制御部103は、追従抑制無しでの処理を実行する。
【0071】
図3に戻って、ステップS158の処理について説明する。ステップS158では、制御部103は、周辺車両への注意喚起を行う。一例としては、外部表示装置41に、自動運転中であって周囲認識機能に異常が発生している旨表示する。
【0072】
ステップS158に続くステップS159では、処置4を実行する。処置4は、異常が発生した方向への動作を制限しつつ、異常が発生しない方向への動作を許容するものである。処置4の実行が完了すると、処理を終了する。処置4について、
図12を参照しながら説明する。
【0073】
ステップS351では、異常判断部102が、前方認識異常か否かを判断する。前方認識異常であれば、ステップS352の処理に進む。前方認識異常でなければ、ステップS353の処理に進む。
【0074】
ステップS352では、制御部103が、速度制限処理を実行する。尚、前方認識異常の場合であって、カメラによる認識異常の場合は、ワイパ36を作動させて汚れを除去してもよい。ステップS353では、異常判断部102が、後方認識異常か否かを判断する。後方認識異常であれば、ステップS354の処理に進む。後方認識異常でなければ、ステップS355の処理に進む。
【0075】
ステップS354では、制御部103が、後退制限処理を実行する。ステップS354においては、車線変更制限処理を行ってもよい。ステップS355では、制御部103が、車線変更制限処理を実行する。
【0076】
図2のステップS106における複数異常処理について、
図13を参照しながら説明する。ステップS401では、制御部103が、自車両が隊列走行中であるか否かを判断する。隊列走行中であれば、ステップS402の処理に進む。隊列走行中でなければ、ステップS404の処理に進む。
【0077】
ステップS402では、処置1を実行する。処置1については、
図4を参照しながら説明した通りであるので、その説明を省略する。
【0078】
ステップS402に続くステップS403では、処置5を実行する。処置5について、
図14を参照しながら説明する。
【0079】
ステップS451では、制御部103が、自車両の進行方向と、隊列を組んでいる他車両の進行方向とが同じか否かを判断する。進行方向が同じであれば、ステップS452の処理に進む。進行方向が同じでなければ、ステップS455の処理に進む。
図15(A)に示されるように、自車両が左方向に進みたいのに対して、他車両A及び他車両Bが直進方向に進みたい状態であるので、この場合は進行方向が同じでないと判断する。
【0080】
ステップS452では、制御部103が隊列走行を継続する。ステップS452に続くステップS453では、制御部103が目的地に到着したか否かを判断する。目的地に到着していれば、ステップS454の処理に進む。目的地に到着していなければ、ステップS453の処理を繰り返す。
【0081】
ステップS454では、制御部103が、隊列維持のまま自車両を停車させる。制御部103は、他車両に対して同期して停車するように要請する。ステップS454の処理が終了すると、
図13の処理に戻り、リターンする。
【0082】
ステップS455では、制御部103が、暫定停車場所があるか否かを判断する。暫定停車場所とは、隊列走行を維持して停車した後、進行方向が異なる車両を分離することが可能な場所である。暫定停車場所があれば、ステップS456の処理に進む。暫定停車場所が無ければ、ステップS455の処理を繰り返して暫定停車場所を探す。
【0083】
ステップS456では、制御部103が、隊列維持のまま自車両を停車させる。制御部103は、他車両に対して同期して停車するように要請する。
図15(B)に示されるように、自車両及び他車両A,Bは、隊列を維持した状態で停車する。
【0084】
ステップS456に続くステップS457では、他車両が離脱する。
図15(C)に示されるように、離脱した他車両は隊列を組んで進行してもよい。ステップS457の処理が終了すると、
図13の処理に戻り、リターンする。
【0085】
自車両が完全に認識異常でなく、所定の距離まで認識可能な異常の場合には、その所定の距離に応じた速度での単独での自動走行が可能である。その場合、ステップS456の隊列走行は完全に停車しなくても良い。停車による減速中に、自車両が自動運転可能な速度になったら、次のステップS457に進み、他車両が離脱しても良い
【0086】
図13に戻って、ステップS404の処理について説明する。ステップS404では、所定の範囲内に他車両が存在するか否かを判断する。所定の範囲内とは、自車両と隊列走行を組むのに物理的に不可能ではない範囲のことであって、その範囲内に存在する他車両に隊列走行の打診を行うために設定される範囲である。所定の範囲内に他車両があれば、ステップS405の処理に進む。所定の範囲内に他車両がなければ、ステップS410の処理に進む。
【0087】
ステップS405では、制御部103が、他車両が隊列走行可能か否かを判断する。他車両が隊列走行可能であるか否かは、他車両と通信を行って判断する。他車両が隊列走行可能であれば、ステップS406の処理に進む。他車両が隊列走行可能でなければ、ステップS407の処理に進む。
【0088】
ステップS406では、処置2を実行する。処置2の実行が完了すると、ステップS152の処理に進む。処置2については、
図7を参照しながら説明済みであるので、その説明を省略する。
【0089】
ステップS407では、他車両が認識する周囲の情報によって自車両の周囲が認識可能か判断する。他車両が認識する周囲の情報によって自車両の周囲が認識可能であれば、ステップS408の処理に進む。他車両が認識する周囲の情報によって自車両の周囲が認識可能でなければ、ステップS410の処理に進む。
【0090】
ステップS408では、処置3を実行する。処置3の実行が完了すると、ステップS409の処理に進む。処置3については、
図10を参照しながら説明済みであるので、その説明を省略する。
【0091】
ステップS409では、処置6を実行する。処置6の実行が完了すると、複数異常処理を終了する。処置6について、
図16を参照しながら説明する。
【0092】
ステップS501では、制御部103が、路肩側にレーンチェンジ可能か否かを判断する。路肩側にレーンチェンジ可能であれば、ステップS502の処理に進む。路肩側にレーンチェンジ可能でなければ、ステップS501の処理を繰り返す。
【0093】
ステップS502では、制御部103が、路肩側へのレーンチェンジを実行する。ステップS502に続くステップS503では、制御部103が、停車処理を実行し、処置6を終了する。
【0094】
図13に戻って、ステップS410の処理について説明する。ステップS410では、制御部103は、周辺車両への注意喚起を行う。一例としては、外部表示装置41に、自動運転中であって周囲認識機能に異常が発生している旨表示する。
【0095】
ステップS410に続くステップS411では、処置4を実行する。処置4の実行が完了すると、ステップS412の処理に進む。処置4については、
図12を参照しながら説明済みであるので、その説明を省略する。
【0096】
ステップS412では、処置7を実行する。処置7の実行が完了すると、複数異常処理の処理を終了する。処置7について、
図17を参照しながら説明する。処置7は、処置4で対応した異常発生箇所に加えて、他の異常発生があった場合の対処を行うものである。
【0097】
ステップS551では、異常判断部102が、前方認識異常が発生しているか、前方認識異常が発生していないか発生していても処理済みか否かを判断する。前方認識異常が発生していれば、ステップS552の処理に進む。前方認識異常が発生していないか発生していても処理済みであれば、ステップS555の処理に進む。
【0098】
ステップS552では、異常判断部102が、前方認識異常が複数発生しているか否かを判断する。前方認識異常が複数発生していれば、ステップS553の処理に進む。前方認識異常が複数発生していなければ、処置7の処理を終了する。
【0099】
ステップS553では、制御部103が、車線変更制限処理を実行する。ステップS553に続くステップS554では、制御部103が、停止処理を実行し、処置7の処理を終了する。
【0100】
ステップS555では、異常判断部102が、後方認識異常が発生しているか、後方認識異常が発生していないか後方認識異常が発生していても処理済みか否かを判断する。後方認識異常が発生していれば、ステップS556の処理に進む。後方認識異常が発生していないか後方認識異常が発生していても処理済みであれば、ステップS557の処理に進む。
【0101】
ステップS556では、制御部103が、後退制限処理を実行し、処置7の処理を終了する。
【0102】
ステップS557では、制御部103が、側方認識異常が発生しているか、側方認識異常が発生していないか側方認識異常が発生していても処理済みか否かを判断する。側方認識異常が発生していれば、ステップS558の処理に進む。側方認識異常が発生していないか側方認識異常が発生していても処理済みであれば、処置7の処理を終了する。
【0103】
ステップS558では、制御部103が、車線変更制限処理を実行し、処置7の処理を終了する。
【0104】
続いて、
図18を参照しながら、自動運転移行要求が入力された場合の、走行制御装置10の制御処理について説明する。ステップS601では、制御部103が、自動運転移行要求があったか否かを判断する。自動運転移行要求があれば、ステップS602の処理に進む。自動運転移行要求がなければリターンする。
【0105】
ステップS602では、周囲認識部101が、道路の状況及び周囲の状況を取得する。ステップS602に続くステップS603では、異常判断部102が、部品・センサの異常情報を取得する。
【0106】
ステップS603に続くステップS604では、異常判断部102が、周辺認識機能が正常か否かを判断する。周辺認識機能が正常である場合、ステップS605の処理に進む。周辺認識機能が正常でない場合、ステップS606の処理に進む。
【0107】
ステップS605では、制御部103が、自動運転の許可処理を実行し、リターンする。ステップS606では、自動運転の制限処理を実行し、リターンする。
【0108】
続いて、
図19を参照しながら、通信切替の概要について説明する。
図19に示されるように、移動体通信網NWには、通信管理サーバ50及び車両管理サーバ60が繋がれている。
【0109】
通信管理サーバ50は、個々の移動体(携帯端末)の識別番号(電話番号)、認証情報といった情報を管理するためのサーバである。車両管理サーバ60は、車両に設けられている通信装置と、車両の使用者との対応関係を管理するためのサーバである。
【0110】
図19に示される例では、自車両CAに、通信切替部104を含む走行制御装置10及び通信手段12が設けられている。携帯端末TMは、自車両CAの使用者が保持する携帯端末である。携帯端末TMには、通信手段40が設けられている。
【0111】
通信手段12,40は、移動体通信網NWの加入者を特定するための情報(例としては、加入権情報、通信装置に割り当てられた固有ID)を保持し、この保持した情報に基づいて移動体通信網NWを利用した通信を可能とするものである。加入者を特定する情報は、SIMカードに記録されていてもよく、その場合はSIMカードに記録された情報に基づいて認証が行われる。加入者を特定する情報を保持する態様としては、SIMカードに限定されるものではなく、SIMカードをソフトウェア化して記憶領域に保持し、通信によって加入者を特定する情報を書き込んだり消去したりといった、バーチャルSIM若しくはe−SIMといった態様も採用されうるものである。以下、SIMカード、バーチャルSIM、e−SIMを含め、加入者を特定する情報を保持する態様をSIMと称して説明する。
【0112】
図21に示されるように、通常状態では、携帯端末TMの通信手段40のみがアクティベートされており、携帯端末TMが移動体通信網と直接通信する。自車両CAは通信手段12を用いるものの、携帯端末TMの通信手段40のテザリング機能等を使って間接的に移動体通信網と通信を行うことができるようになっている。また、近隣の他車両とは車車間通信を用いて通信を行っている。
【0113】
続いて、
図20を参照しながら、通信手段の切り替えについて説明する。ステップS701では、異常判断部102が認識機能の異常を検出する。ステップS701に続くステップS702では、連携車両の状況を検出する。ステップS702に続くステップS703では、認識機能に異常が発生しているか否かを判断する。
【0114】
認識機能に異常が発生していれば、ステップS704の処理に進む。認識機能に異常が発生していなければ、処理を終了する。
【0115】
ステップS704では、通信管理サーバ50に対して通信手段の切り替え要求を行う。この切り替え要求を受けて、ステップS711において通信管理サーバ50は、通信切替を実行する。通信手段の切り替えは、様々な手法でSIMを切り替えてアクティベートすることにより実行される。一例として、
図20では車両管理サーバは携帯端末TMと関連付けられる機器の情報を管理する。車両管理サーバ60から自車両CAに関連付けられている携帯端末TMの情報を取得し、携帯端末TMに設けられている通信手段40が有するSIMを一時的に停止し、自車両CAに設けられている通信手段12が有するSIMをアクティベートする。アクティベートの手法としては、SIMに書き込まれるべき情報を通信で取得し書き込むことや、携帯端末と同じ、又は異なるSIMに書き込まれるべき情報を予め通信手段12が有しており、移動体通信のON,OFFを制御することで予め記録されているSIMで認証し、アクティベートが実現されることを含め、様々な手法が用いられる。
【0116】
ステップS704に続くステップS705では、自車制御情報を携帯端末TMに送信する。この送信を受けて、ステップS721において携帯端末TMは、自車両の情報を通知する。本実施形態の場合、携帯端末TMは、SIMが切り替えられたことを通知する。
【0117】
ステップS705に続くステップS706では、自車両CAに関する通信の優先度を向上させる処理を実行する。これにより、携帯端末TMが例えばテザリング機能を利用して通信する場合に、携帯端末TM側の優先度を相対的に下げることができる。
【0118】
ステップS706に続くステップS707では、通信を活用して認識機能を補完する車両制御を実行する。
【0119】
図22に示されるように、通信切り替えを実行すると、自車両CAの通信手段12がアクティベートされ、通信手段12により移動体通信網と直接通信する通信が可能となる。通信内容としては、他車両やインフラからの認知情報(地図、カメラ、渋滞、車速)、他車両への要請(隊列要請、位置関係の要請)、自車両への運転指示(ナビゲーション情報、車線変更、駆動、制動、操舵)といった情報が含まれる。
【0120】
このような処理を実行することで、携帯端末TMによる通信で負荷の重い処理をしていたとしても、優先度を高くした自車両CAの処置が優先される。認知機能異常の対応に必要な情報を迅速に受信することができ、異常が生じてもより安全に対応するこができる。認知機能と自動運転制御に関係する制御等安全な処置をするための通信に限定し、通信の優先度を上げてもよい。
【0121】
優先度を上げる手法としては、パケットに優先順位をつけてもよく、通信のある期間のトランザクションに優先順位をつけてもよい。
【0122】
自車両CAの通信手段12を通信可能とする方法例としては、携帯端末TMのSIM機能を移動することに限られるものではない。予めストックされているSIMの権利を自車両CAに設定することも可能であり、異常発生時にSIMの権利を購入することも可能である。これらの場合には、携帯端末TMの通信手段40は有効に通信を行える状態を継続できる。
【0123】
また、周囲に他車両が存在しない場合にのみ、認識異常が発生したら通信手段12のアクティベートを行っても良い。周囲に他車両が存在しない場合、車車間通信では認識機能の補完ができないので、通信手段12をアクティベートし移動体通信網を通じた認識機能の補完を行うことができる。
【0124】
また、車両が機能停止(Ready-Off)したり、異常が修復されたら、非アクティベート化処理(移動体通信をOFF)し、携帯端末TMが移動体通信網と直接通信する元の状態に戻す制御をしても良い。
【0125】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0126】
周囲の状態の認識することを補助する装置、例えば、ワイパ36、降雨センサ22、デフォッガ37、デフロスタ38、及びライト39のいずれかに異常が発生した場合は、特定の条件に合致した場合に上記処理を行うことが好ましい。
【0127】
ワイパ36又は降雨センサ22に異常が発生した場合には、降雨中であってワイパ36が動かない時に上記処理を実行する。ワイパ36の異常時であって、ワイパ36が周辺認知センサ21を構成するカメラの認識を阻害する位置で停止したときに上記処理を実行する。デフォッガ37及びデフロスタ38の少なくとも一方の異常の場合、曇り発生中であって、デフォッガ37及びデフロスタ38の少なくとも一方が異常時の場合に上記処理を実行する。ライト39に異常が発生した場合は、照度センサ25による照度検出値が閾値以下である場合に上記処理を実行する。