特許第6791238号(P6791238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791238
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】可搬型放射線画像撮影装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20201116BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20201116BHJP
   G01T 1/20 20060101ALN20201116BHJP
【FI】
   G01T7/00 A
   A61B6/00 300S
   A61B6/00 300W
   !G01T1/20 L
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-500983(P2018-500983)
(86)(22)【出願日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】JP2016081817
(87)【国際公開番号】WO2017145443
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2019年10月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-31005(P2016-31005)
(32)【優先日】2016年2月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 学
(72)【発明者】
【氏名】三好 浩平
(72)【発明者】
【氏名】角 誠
【審査官】 中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭64−022093(JP,U)
【文献】 特開平09−288184(JP,A)
【文献】 特開平10−065385(JP,A)
【文献】 特開平11−163566(JP,A)
【文献】 特開平11−284909(JP,A)
【文献】 特開2002−131437(JP,A)
【文献】 特開2003−194951(JP,A)
【文献】 特開2007−256176(JP,A)
【文献】 特開2011−043390(JP,A)
【文献】 特開2012−042302(JP,A)
【文献】 特開2012−103062(JP,A)
【文献】 特開2014−025847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 7/00
A61B 6/00
G01T 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放射線検出素子が二次元状に配列されたセンサーパネルを備え、放射線が入射する側のフロント板およびそれとは反対側のバック板で形成される筐体内に前記センサーパネルが収納されて構成される可搬型放射線画像撮影装置において、
前記センサーパネルは、前記放射線検出素子を備えたセンサー基板と、前記センサー基板の放射線入射側と反対側に位置して前記センサー基板を支持する基台とを含んで構成されており、
前記基台の前記バック板側に、前記放射線検出素子内で発生した電荷を信号値として読み出す際に発熱する電子部品が配設されており、
前記電子部品と前記バック板との間に熱伝導部材が配設されており、
前記電子部品と前記基台との間に第二の熱伝導部材が、前記電子部品と前記基台とにそれぞれ接するように配設されており、
前記バック板には、前記熱伝導部材と当接する内面側の位置に、当該バック板が内側に凹むことで前記熱伝導部材側に突出した突出部が形成されており、
前記熱伝導部材は、前記バック板の前記突出部と前記電子部品とで押圧されることで、当該熱伝導部材と前記電子部品、および当該熱伝導部材と前記バック板がそれぞれ密着するように配設されている可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項2】
複数の放射線検出素子が二次元状に配列されたセンサーパネルを備え、放射線が入射する側のフロント板およびそれとは反対側のバック板で形成される筐体内に前記センサーパネルが収納されて構成される可搬型放射線画像撮影装置において、
前記センサーパネルは、前記放射線検出素子を備えたセンサー基板と、前記センサー基板の放射線入射側と反対側に位置して前記センサー基板を支持する基台とを含んで構成されており、
前記基台の前記バック板側に、前記放射線検出素子内で発生した電荷を信号値として読み出す際に発熱する電子部品が配設されており、
前記電子部品と前記バック板との間に熱伝導部材が配設されており、
前記電子部品と前記基台との間に断熱部材が、前記電子部品と前記基台とにそれぞれ接するように配設されており、
前記バック板には、前記熱伝導部材と当接する内面側の位置に、当該バック板が内側に凹むことで前記熱伝導部材側に突出した突出部が形成されており、
前記熱伝導部材は、前記バック板の前記突出部と前記電子部品とで押圧されることで、当該熱伝導部材と前記電子部品、および当該熱伝導部材と前記バック板がそれぞれ密着するように配設されている可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記電子部品には、前記放射線検出素子内で発生した電荷を信号値として読み出す読み出しICが含まれる請求項1又は請求項2に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、その厚みが1mmから3mmの範囲内である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記バック板の前記突出部は、環状の畝状に形成されている請求項4に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記バック板は、金属で形成されている請求項1から請求項のいずれか一項に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記バック板は、外面側に、表面積、熱伝導率、および放射率のうち少なくともひとつを向上させるための表面処理が施されている請求項に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項8】
記基台は、当該基台から前記放射線検出素子に向かう方向よりも、前記方向に直交する面方向への熱の伝導性が高くなるように構成されている請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の放射線検出素子が二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子で、被写体を透過して照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させ、読み出しICで電荷を信号値として読み出す放射線画像撮影装置(flat panel detector。半導体イメージセンサー等ともいう。)の開発が進んでいる。また、複数の放射線検出素子が配列されたセンサーパネルが筐体内に収納された可搬型放射線画像撮影装置(FPDカセッテ等ともいう。)の開発も進められている。
【0003】
そして、従来のフィルム/スクリーンや輝尽性蛍光体プレートでは、それらに放射線を複数回照射すると二重露光や多重露光の問題が生じてしまうが、放射線画像撮影装置では撮影ごとに信号値を読み出して、装置内のメモリーに保存したり外部に転送したりすることができる。そのため、放射線画像撮影装置を用いて、被写体の撮影部位に放射線を複数回照射して動態撮影等の動画撮影を行うことが可能となる。
【0004】
例えば、撮影部位として被写体である患者の胸部に放射線を複数回照射して動態撮影を行うと、例えば図7に示すように、患者の肺野Rの各時間位相T(T=t〜t)の各放射線画像(すなわち動態画像を構成する各フレーム画像)を得ることができ、これらの各フレーム画像を解析することで、肺野Rの最大吸気位や最大呼気位、呼気期、吸気期等を割り出すことができる。そして、このような動態画像をさらに解析して診断に応用する試みがなされるようになってきている。
【0005】
ところで、放射線画像撮影装置で信号値の読み出し処理を行う際、上記の読み出しICや電源回路等の電子部品が発熱する場合がある。そして、例えば読み出しICが発熱すると、上記のように読み出しICで読み出される信号値が熱により変化してしまい、放射線画像を適切に撮影することができなくなる場合がある。また、読み出しICや電源回路等の熱のために、撮影された放射線画像に画像ムラが生じてしまい、画質が悪化してしまう場合もある。
【0006】
そのため、例えば特許文献1では、放射線画像撮影装置内の電子部品に、アルミニウムや銅等の熱伝導率の高い金属材料等で形成された放熱部材の一端側を取り付け、放熱部材の他端側を筐体の内側に取り付けて、放熱部材を介して電子部品から筐体に熱を逃がすことで、電子部品の温度が上昇することを防止する放射線画像撮影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−194951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されている構成では、電子部品と筐体とをつなぐ放熱部材が比較的長いため、電子部品の熱が放熱部材を伝わるうちに、筐体に届く前に放熱部材から筐体内に放熱されてしまい、筐体の内部空間の温度が上昇してしまう可能性があり、電子部品の熱の、筐体外への放熱効率があまり高くない可能性があるといった問題がある。
【0009】
この問題は、単純撮影(すなわち放射線画像撮影装置に放射線を1回照射して1枚の放射線画像を得る撮影)の場合にも生じ得るが、特に上記の動態撮影等の動画撮影では、信号値の読み出し処理が繰り返し行われるため、読み出しIC等の電子部品が、単純撮影の場合に比べて、信号値の読み出し時にさらに発熱するようになる。そのため、上記の問題が顕著に現れるようになる。
【0010】
そのため、動画撮影を行うことが可能な可搬型放射線画像撮影装置では、信号値の読み出し時に、読み出しICや電源回路等の電子部品で生じる熱を効率良く筐体外に放出させて、そのような電子部品の熱の筐体外への放熱効率を向上させることが求められている。
【0011】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、電子部品の熱の筐体外への放熱効率を向上させることが可能な可搬型放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した可搬型放射線画像撮影装置は
複数の放射線検出素子が二次元状に配列されたセンサーパネルを備え、放射線が入射する側のフロント板およびそれとは反対側のバック板で形成される筐体内に前記センサーパネルが収納されて構成される可搬型放射線画像撮影装置において、
前記センサーパネルは、前記放射線検出素子を備えたセンサー基板と、前記センサー基板の放射線入射側と反対側に位置して前記センサー基板を支持する基台とを含んで構成されており、
前記基台の前記バック板側に、前記放射線検出素子内で発生した電荷を信号値として読み出す際に発熱する電子部品が配設されており、
前記電子部品と前記バック板との間に熱伝導部材が配設されており、
前記電子部品と前記基台との間に第二の熱伝導部材が、前記電子部品と前記基台とにそれぞれ接するように配設されており、
前記バック板には、前記熱伝導部材と当接する内面側の位置に、当該バック板が内側に凹むことで前記熱伝導部材側に突出した突出部が形成されており、
前記熱伝導部材は、前記バック板の前記突出部と前記電子部品とで押圧されることで、当該熱伝導部材と前記電子部品、および当該熱伝導部材と前記バック板がそれぞれ密着するように配設されている
【発明の効果】
【0013】
本発明のような方式の可搬型放射線画像撮影装置によれば、電子部品の熱の筐体外への放熱効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
図2】本実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置の構成を示す断面図である。
図3】本実施形態に係る放射線画像撮影装置のセンサーパネルの端部付近の拡大図である。
図4A】バック板の突出部を直線状に形成した場合を表す図である。
図4B】バック板の突出部を環状に形成した場合を表す図である。
図5】電源回路とバック板との間に配設された熱伝導部材等を表す拡大図である。
図6】センサーパネルの基台の構成例等を表す拡大図である。
図7】患者の胸部の動態撮影で撮影される各フレーム画像の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る可搬型放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
なお、以下においても、可搬型放射線画像撮影装置を、単に放射線画像撮影装置という場合がある。また、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
【0017】
[放射線画像撮影装置の回路構成等について]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の回路構成等について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。図1に示すように、放射線画像撮影装置1には、後述するセンサー基板50(後述する図3等参照)上に複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されている。
【0018】
そして、各放射線検出素子7には、バイアス線9が接続されており、バイアス線9やそれらの結線10を介してバイアス電源14から逆バイアス電圧が印加される。また、各放射線検出素子7には、スイッチ素子としてTFT(Thin Film Transistor)8が接続されており、TFT8は信号線6に接続されている。
【0019】
また、走査駆動手段15では、配線15cを介して電源回路15aから供給されたオン電圧とオフ電圧がゲートドライバー15bで切り替えられて走査線5の各ラインL1〜Lxに印加される。そして、各TFT8は、走査線5を介してオフ電圧が印加されるとオフ状態になり、放射線検出素子7と信号線6との導通を遮断して、電荷を放射線検出素子7内に蓄積させる。また、走査線5を介してオン電圧が印加されるとオン状態になり、放射線検出素子7内に蓄積された電荷を信号線6に放出させる。
【0020】
各信号線6は、読み出しIC16内の各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。そして、信号値Dの読み出し処理の際に、ゲートドライバー15bから走査線5のあるラインLにオン電圧が印加されると、TFT8がオン状態になり、放射線検出素子7から電荷がTFT8や信号線6を介して読み出し回路17に流れ込み、増幅回路18で、流れ込んだ電荷の量に応じた電圧値が出力される。
【0021】
相関二重サンプリング回路(図1では「CDS」と記載されている。)19は、増幅回路18から出力された電圧値をアナログ値の信号値Dとして読み出して出力する。このように、本実施形態では、読み出しIC16の各読み出し回路17は、照射された放射線の線量に応じて各放射線検出素子7内で発生した電荷を信号値Dとして読み出すようになっている。
【0022】
そして、増幅回路18から出力された信号値Dはアナログマルチプレクサー21を介してA/D変換器20に順次送信され、A/D変換器20でデジタル値の信号値Dに順次変換されて記憶手段23に順次保存される。そして、本実施形態では、走査駆動手段15のゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧が順次印加しながら上記の読み出し処理を行うことで、全ての放射線検出素子7から信号値Dが読み出されるようになっている。
【0023】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0024】
制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、NAND型フラッシュメモリー等で構成される記憶手段23や、リチウムイオンキャパシター等で構成される内蔵電源24が接続されている。また、制御手段22には、前述したアンテナ29やコネクター27を介して外部と無線方式や有線方式で通信を行うための通信部30が接続されている。
【0025】
また、制御手段22は、上記のように、バイアス電源14から各放射線検出素子7への逆バイアス電圧の印加を制御したり、走査駆動手段15や読み出し回路17等の動作を制御して、上記の放射線検出素子7からの信号値Dの読み出し処理を行わせたり、読み出された信号値Dを記憶手段23に保存したり、或いは、保存された信号値Dを、通信部30を介して外部に転送する等の制御を行うようになっている。
【0026】
[可搬型放射線画像撮影装置の構成等について]
図2は、本実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置の構成を示す断面図である。放射線画像撮影装置1は、図2に示すように、筐体40内にセンサーパネルSP(TFTパネル等ともいう。)が収納されて構成されている。なお、図2では、放射線画像撮影装置1が、放射線が照射される放射線入射面41Aが図中下側になるように配置された状態で表されている。また、以下では、放射線画像撮影装置1における上下方向について、放射線画像撮影装置1を図2の状態に配置した場合に基づいて説明する。
【0027】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1の筐体40は、主に、略矩形状の平板状に形成された放射線入射面41Aとその外周縁に立設された側壁部41Bとを有するフロント板41と、略平板状に形成されたバック板42とで形成されている。そして、本実施形態では、フロント板41は、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等の繊維強化プラスチックで形成されており、また、バック板42は、例えば銅やマグネシウム、アルミニウム、鉄等の金属で形成されている。なお、バック板42の構成等については、後で詳しく説明する。
【0028】
そして、ネジ43で螺着されることにより、バック板42がフロント板41に取り付けられるようになっている。また、本実施形態では、センサーパネルSPの後述する基台50等からバック板42側に向けて支柱44が立設されており、ネジ43でバック板42が支柱44に螺着されることでセンターパネルSPとバック板42とが固定されるようになっている。
【0029】
また、フロント板41の側壁部41Bには、その全周にわたってパッキン41Cが配設されている。そして、上記のようにバック板42がフロント板41にネジ43で螺着される際に、バック板42がパッキン41Cに押し付けられることで、放射線画像撮影装置1の筐体40のフロント板41とバック板42等で形成される内部空間の密閉性が保たれるようになっている。
【0030】
なお、フロント板41の側壁部41Bだけでなく、支柱44に螺着されるネジ43とバック板42との間にも図示しないパッキンが配置されており、支柱44に螺着されたネジ43の部分でも密閉性が保たれている。
【0031】
また、放射線画像撮影装置1の筐体40は、上記のように、側壁部41Bを有するフロント板41と、略平板状のバック板42とで構成される構成とする必要はなく、例えばフロント板とバック板がともに側壁部を有し、フロント板にバック板を取り付ける際に、フロント板をバック板に被せるようにして取り付け、或いはバック板をフロント板に被せるようにして取り付ける構成とすることも可能であり、特定の構成に限定されない。
【0032】
また、本実施形態では、センサーパネルSPが以下のようにして形成されている。図3は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPの端部付近の拡大図である。なお、図3や後述する図5等における基台50や読み出しIC16、センサー基板51、放射線検出素子7、シンチレーター基板54、シンチレーター55等の相対的な大きさや厚さ等は現実の放射線画像撮影装置1における相対的な大きさや厚さ等を反映するものではない。また、以下では、各基板等におけるフロント板41の放射線入射面41Aに対向する側の面(すなわち図中下側の面)を表面、バック板42に対向する側の面(すなわち図中上側の面)を裏面という。
【0033】
センサーパネルSPは、放射線を遮蔽する鉛等の図示しない金属層を有する基台50を備えている。そして、基台50の表面側には、ガラス基板等で構成されるセンサー基板51が配設されている。
【0034】
センサー基板51の表面には、前述した複数の放射線検出素子7等が二次元状に配列されており、各放射線検出素子7等を被覆するようにアクリル樹脂等で平坦化層52が形成されている。また、センサー基板51の表面の周縁部には、複数の入出力端子53が形成されており、前述した各信号線6(図1参照)等が引き出されて入出力端子53にそれぞれ接続されている。
【0035】
また、ガラス基板等で構成されるシンチレーター基板54の一方側の面には、シンチレーター55が形成されている。本実施形態では、シンチレーター55として、CsI:Tl等の母体材料内に発光中心物質が付活された蛍光体を柱状に成長させた蛍光体の柱状結晶からなるシンチレーターが採用されているが、シンチレーター55はこれに限定されず、例えばシンチレーター基板54等にペースト状の蛍光体を塗布して形成されるいわゆる塗布型のシンチレーター等であってもよい。
【0036】
そして、本実施形態では、シンチレーター55の先端が、各放射線検出素子7等を被覆する平坦化層52と当接する状態になるようにセンサー基板51とシンチレーター基板54とが配置され、平坦化層52やシンチレーター55等の外側の部分(図3では信号線6が記載されている部分)等でセンサー基板51とシンチレーター基板54とが図示しない接着剤により貼り付けられている。
【0037】
また、入出力端子53には、読み出しIC16等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板56が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料53Aを介して接続されている。フレキシブル回路基板56は、基台50の裏面側に引き回されてPCB基板57等に接続されており、図示を省略するが、フレキシブル回路基板56の各配線とPCB基板57上に形成された各配線とが接続されている。
【0038】
なお、図2図3では、読み出しIC16は、湾曲するフレキシブル回路基板56の内面側に設けられているが、湾曲するフレキシブル回路基板56の外面側に設けられていてもよい。しかし、いずれの場合であっても、読み出しIC16は、フレキシブル回路基板56上の、PCB基板56に近い位置に設けられており、基台50の裏面側(すなわちバック板42に対向する状態)に配置されるように構成される。
【0039】
そして、PCB基板57には、前述した制御手段22や記憶手段23(図1参照)等の回路や電子部材等(以下、まとめて電子機器58という。)が配設されている。なお、電子機器58には、内蔵電源24(図1参照)から供給される電力を、読み出しIC16等の供給先の各機能部に適するように電圧等を適宜変換したり調整したりする電源回路59(後述する図5参照)等も含まれる。なお、図2等では、電子機器58がPCB基板57の一方側の面(本実施形態では表面)側に配置された状態が記載されているが、電子機器58をPCB基板57の裏面側に(或いは表面側と裏面側の両方に)配置してもよい。
【0040】
そして、例えば前述した信号値Dの読み出し処理が行われる際には、各放射線検出素子7内で発生した電荷が、信号線6やフレキシブル回路基板56上を流れてセンサーパネルSPの裏面側すなわちバック板42側に送られ、読み出しIC16で信号値Dとして読み出されてPCB基板57上の記憶手段23に保存される。
【0041】
本実施形態では、以上のようにしてセンサーパネルSPが形成されている。そして、読み出しIC16や電源回路59等の、信号値Dの読み出しの際に発熱する電子部品が、センサーパネルSPのバック板42側に配設されるようになっている。なお、図2に示すように、シンチレーター基板54とフロント板41との間にはスペーサー60が配設されている。
【0042】
[電子部品の放熱に関する構成等について]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1における電子部品の放熱に関する構成等について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
【0043】
ここで、放熱の対象となる電子部品は、撮影の際に放射線検出素子7内で発生した電荷を信号値Dとして読み出すために用いられ、信号値Dの読み出しの際に発熱する電子部品であり、当該電子部品には、読み出しIC16や、電源回路59等の電子機器58等が含まれる。なお、以下では、放熱の対象となる電子部品が読み出しIC16である場合について説明する。
【0044】
本実施形態では、図2等に示すように、放熱の対象の電子部品である読み出しIC16とバック板42との間に熱伝導部材61が配設されている。より具体的に言えば、本実施形態では、熱伝導部材61は、読み出しIC16のバック板42に対向する面とバック板42との間に配設されている。
【0045】
そして、熱伝導部材61は、バック板42がフロント板41に取り付けられる際にバック板42と読み出しIC16とで押圧されることで、熱伝導部材61と読み出しIC16、および熱伝導部材61とバック板42とがそれぞれ密着するように配設されている。
【0046】
このように構成すると、前述したように、ネジ43で螺着されてバック板42がフロント板41に取り付けられる際にバック板42がセンサーパネルSPに接近すると、読み出しIC16とバック板42との間に配設された熱伝導部材61がバック板42により押圧されて、熱伝導部材61と読み出しIC16とが密着する。また、熱伝導部材61とバック板42とも密着する。
【0047】
そして、バック板42のフロント板41に対する螺着が完了した時点では、熱伝導部材61が読み出しIC16とバック板42との間で両者により押し潰された状態になり、熱伝導部材61と読み出しIC16、および熱伝導部材61とバック板42とがそれぞれ確実に密着する状態になる。
【0048】
そのため、読み出しIC16と熱伝導部材61とバック板42とが互いに密着して読み出しIC16からバック板42への熱の伝導経路が確実に形成されるため、読み出しIC16で発生した熱が読み出しIC16からバック板42に確実に伝導する。また、それとともに、熱の伝導経路(すなわち熱伝導部材61の厚さ)が短くなるため、読み出しIC16で発生した熱をバック板42から放射線画像撮影装置1の筐体40の外に放熱させることが可能となる。
【0049】
そのため、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、読み出しIC16で発生した熱が放射線画像撮影装置1の筐体40内にこもることなく、装置外に的確に放熱させることが可能となり、読み出しIC16の熱の筐体40外への放熱を非常に効率良く行うことが可能となる。
【0050】
熱伝導部材61としては、例えばクールプロバイド(登録商標)等の、エチレンプロピレンゴム(EPRやEPDM)やシリコン系、アクリル系熱伝導層等を含んで構成される熱伝導シートや熱伝導性両面粘着テープ、熱伝導スペーサー等を用いることが可能である。
【0051】
なお、熱伝導部材61がある程度可撓性を有するように構成すれば、熱伝導部材61に衝撃吸収性を持たせることが可能となり、放射線画像撮影装置1の筐体40に衝撃が加わった場合でも熱伝導部材61が衝撃を吸収するため、読み出しIC16や電源回路59等の電子部品に衝撃が伝わらないようにする(或いは読み出しIC16に伝わる衝撃を軽減する)ことが可能となる。
【0052】
一方、本実施形態では、バック板42には、熱伝導部材61と当接する内面側の位置に、熱伝導部材61側に突出された突出部42Aが形成されている。そして、熱伝導部材61は、バック板42がフロント板41に取り付けられる際に、バック板42の突出部42Aと読み出しIC16とで押圧されるようになっている。
【0053】
このように構成することで、熱伝導部材61を平らなバック板42で押圧する場合に比べて、バック板42の突出部42Aで押圧する方が、熱伝導部材61に押す力がより的確に伝わる。そのため、熱伝導部材61が、平らなバック板42で押圧される場合に比べて、バック板42の突出部42Aで押圧される場合の方が、読み出しIC16とバック板42との間でより大きく押し潰された状態になり、熱伝導部材61と読み出しIC16、および熱伝導部材61とバック板42とがそれぞれさらに密着する状態になる。
【0054】
そのため、熱の伝導経路(すなわち熱伝導部材61の厚さ)がより短くなるとともに、熱伝導部材61と読み出しIC16やバック板42とをより密着させることが可能となり、読み出しIC16で発生した熱の筐体40外への放熱効率をより向上させることが可能となる。
【0055】
なお、バック板42の内面側への突出部42Aを、図2に示すようにバック板42を内側に凹ませて形成することが可能であり、このように構成すれば、突出部42Aを容易に形成することが可能となるが、この他にも、例えば、バック板42の当該位置を肉厚にすることで突出部42Aを形成することも可能である。
【0056】
また、例えば、複数の読み出しIC16が図2の左側の部分に、紙面に垂直な方向に並ぶように並設される場合がある。そのような場合には、例えばバック板42を外側から見た図4Aに示すように、複数の読み出しIC16(図4A図4Bでは図示省略)が並設されている部分に対応するバック板42の位置を内側に直線状に凹ませるようにして突出部42A(バック板42の内側から見た場合には1本の畝状の突出部42A)を形成し、各読み出しIC16に取り付けられた全ての熱伝導部材61(図4A図4Bでは図示省略)を1本の突出部42Aで押圧するように構成することが可能である。
【0057】
また、その際、図4Bに示すように、突出部42Aをバック板42の周縁部の全周にわたって環状に(方形環状に)形成する(すなわちバック板42の内側から見た場合にバック板42の突出部42Aを環状の畝状に形成する)ことも可能である。なお、環状の突出部42Aを1本だけでなく、複数本設けるように構成することも可能である。
【0058】
このように構成すると、例えば鉄板の強度を向上させるために鉄板に凹凸を設ける場合と同様に、略平板状のバック板42の強度(特に曲げやねじりに対する強度)を向上させることが可能となり、放射線画像撮影装置1自体の強度を向上させることが可能となる。また、バック板42を内面側に突出させた距離だけ熱伝導部材61の厚みを減らすことができる。熱伝導部材61の密度は一般にアルミニウムやマグネシウムなどの軽金属と同程度であり装置重量に影響するが、薄くすることにより装置全体の軽量化が可能となる。また、熱伝導部材61を薄くすることにより発熱源である読み出しIC16からバック板42までの熱抵抗が小さくなり、放熱効率が向上する。また、放射線画像撮影装置1の持ち運び時のように読み出しIC16が発熱していない場合には、放射線技師等がバック板42の内側への突出部42Aに指を引っ掛ける等して、放射線画像撮影装置1を持ち運びやすくなるといったメリットもある。
【0059】
熱伝導部材61の厚みとしては、0.5mm〜6mmとすれば、放熱性能を保ちつつ、JISZ4095のようなカセッテサイズの規格に適合する厚みの放射線撮影装置を構成することができる。しかしながら、薄いと外部の衝撃が読み出しIC16に伝わりやすくなって、画像ムラ発生やICの破損につながり、厚いと前述のように装置重量を増加させ、可搬型であるメリットを損ねてしまうため、1mm〜3mmの範囲が好ましい。
【0060】
また、前述したように、バック板42を金属で形成すれば、一般的に金属はプラスチック等よりも熱伝導性が高いため、読み出しIC16からの熱をパック板42で速やかに拡散させて放熱することが可能となり、読み出しIC16で発生した熱の筐体40外への放熱効率をより向上させることが可能となる。
【0061】
その際、バック板42の外面側に細かな凹凸を形成して表面積を増やしたり、外面側に熱伝導率および放射率の高い放熱塗料を塗装したりすることにより、読み出しIC16で発生した熱の筐体40外への放熱効率をより向上させることが可能となる。金属よりも放射率の高い樹脂製フィルムを貼る等の表面処理により放射率を上げて、放熱効率を向上させてもよい。なお、バック板42の外面側に表面処理を施すことで、放射線画像撮影装置1を持ち運ぶ際に滑りにくくなり持ち運び易さが向上するというメリットもある。
【0062】
一方、放射線画像撮影装置1において、放射線検出素子7内で発生した電荷を信号値Dとして読み出すために用いられ、信号値Dの読み出しの際に発熱する電子部品としては、上記のような読み出しIC16だけでなく、例えば読み出しIC16等の各機能部に電力を供給する電源回路59等も含まれる。そして、例えば電源回路59で発生した熱をバック板42から外に放射する場合も、上記の読み出しIC16の放熱に関する構成と同様に構成される。
【0063】
具体的には、図5に示すように、センサーパネルSPの基台50のバック板42の、例えばPCB基板57上に配設された電源回路59(或いは電源回路59のバック板42に対向する面)とバック板42(或いはバック板42の突出部42A)との間に熱伝導部材61が配設される。そして、熱伝導部材61は、バック板42がフロント板41に取り付けられる際にバック板42と電源回路59とで押圧されることで、熱伝導部材61と電源回路59、および熱伝導部材61とバック板42(或いはその突出部42A。以下同じ。)とがそれぞれ密着するように配設される。
【0064】
そして、バック板42がフロント板41に取り付けられると、熱伝導部材61が電源回路59とバック板42との間で両者により押し潰された状態になり、熱伝導部材61と電源回路59やバック板42とがそれぞれ確実に密着する。そのため、熱伝導部材61を介して電源回路59からバック板42に熱が確実に伝導するようになる。また、それとともに、熱の伝導経路(すなわち熱伝導部材61の厚さ)が短くなるため、電源回路59で発生した熱をバック板42から放射線画像撮影装置1の筐体40の外に放熱させることが可能となる。
【0065】
そのため、上記のように構成することにより、電源回路59等の電子部品で発生した熱が放射線画像撮影装置1の筐体40内にこもることなく、装置外に的確に放熱させることが可能となり、読み出しIC16の熱の筐体40外への放熱を非常に効率良く行うことが可能となる。なお、図5では、フロント板41等の図示が省略されている。
【0066】
ところで、図2等に示したように、バック板42がフロント板41に取り付けられる際に、センサーパネルSP側に接近してくるバック板42(或いはその突出部42A。以下同じ。)に押されて、読み出しIC16等がセンサーパネルSP側に移動してしまわないようにするために、読み出しIC16等とセンサーパネルSPの基台50との間に支持部材62を配設するように構成することが可能である。
【0067】
なお、図5では電源回路59とPCB基板57との間に支持部材62が配設されていないが、電源回路59とPCB基板57や基台50等との間(或いはPCB基板57の電源回路59が取り付けられた部分と基台50との間)等に支持部材62を配設するように構成することも可能である。
【0068】
そして、その際、支持部材62を、断熱性を有する断熱部材で構成することが可能である。そして、支持部材62を断熱部材とすることで、支持部材62により読み出しIC16等の電子部品とセンサーパネルSPとの間での熱の伝導を遮断することが可能となり、読み出しIC16等の電子部品で発生した熱がセンサーパネルSPの基台50等に伝わることを防止することが可能となる。
【0069】
また、基台50を面方向への熱伝導が高くなるように、例えば金属や、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の繊維強化プラスチック等で構成することで、基台に伝わった熱も面方向に拡散することが可能である。
【0070】
そのため、例えばセンサーパネルSPの読み出しIC16等の近傍の部分が熱せられ、その部分に対応する放射線画像の部分に画像ムラが生じる等の問題が発生することを的確に防止することが可能となる。
【0071】
また、逆に、支持部材62を、熱伝導性を有する熱伝導部材とすることも可能である。そして、前述のようにセンサーパネルSPの基台50が、面方向(図3等における左右方向)への熱の伝導性が高くなるように構成されていれば、読み出しIC16等で発生し支持部材62を介してセンサーパネルSPの基台50に伝導された熱がセンサーパネルSPの基台50の面方向に拡散する。そのため、基台50の読み出しIC16等の近傍部分のみが局所的に熱で温められて放射線画像に画像ムラが生じる等の問題が発生することを的確に防止することが可能となる。
【0072】
この場合、さらにセンサーパネルSPの基台50の面方向への熱の伝導性が的確に高くなるように構成するために、例えば、図6に示すように、基台50を、熱伝導性が高い層50A、50Cを熱伝導性が低い層50Bで挟むようにして(すなわち各層を積層して)形成することが可能である。
【0073】
そして、基台50の層50A、50Cは、熱伝導性を高めるとともに基台50の剛性を維持するために、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の繊維強化プラスチック等で構成することが可能である。また、基台50の熱伝導性が低い層50Bは、例えば非常に硬質の発泡体であるロハセル(ROHACELL(登録商標):PMI(ポリメタクリルイミド)をベースとした硬質プラスチック独立気泡(クローズドセル)発泡体)等で構成することが可能である。
【0074】
このように構成すれば、読み出しIC16等で発生し熱伝導性を有する支持部材62を介してセンサーパネルSPの基台50に伝導された熱は、センサーパネルSPの基台50の熱伝導性が低い層50Bに阻まれて基台50から放射線検出素子7に向かう方向(図6では上下方向)にはほとんど伝導しなくなり、それに直交する方向(図6では左右方向)に延在する基台50の層50Aに沿って基台50の面方向に拡散する。
【0075】
そのため、センサーパネルSPの基台50を例えば図6のように構成すると、基台50から放射線検出素子7に向かう方向よりも、その方向に直交する基台50の面方向への熱の伝導性を的確に高くすることが可能となり、熱が基台50の面方向に拡散するようになる。そのため、基台50の読み出しIC16等の近傍部分のみが局所的に熱で温められて放射線画像に画像ムラが生じる等の問題が発生することを的確に防止することが可能となる。
【0076】
なお、図6では、シンチレーター55や筐体40等の図示が省略されている。また、熱伝導部材61だけでなく支持部材62もある程度可撓性を有するように構成すれば、支持部材62に衝撃吸収性を持たせるように構成することも可能である。このように構成すれば、放射線画像撮影装置1の筐体40に衝撃が加わった場合でも熱伝導部材61や支持部材62が衝撃を吸収するため、読み出しIC16や電源回路59等の電子部品に衝撃が伝わらないようにする(或いは読み出しIC16に伝わる衝撃を軽減する)ことが可能となる。
【0077】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置1によれば、センサーパネルSPの筐体40のバック板42側に、放射線検出素子7からの信号値Dの読み出しの際に発熱する読み出しIC16や電源回路59等の電子部品を配設するとともに、電子部品16、59とバック板42との間に熱伝導部材61を配設する。そして、バック板42がフロント板41に取り付けられる際にバック板42と電子部品16、59とで熱伝導部材61を押圧することで、熱伝導部材61と電子部品16、59、および熱伝導部材61とバック板42とがそれぞれ密着するように熱伝導部材61を配設するように構成した。
【0078】
そのため、電子部品16、59と熱伝導部材61とバック板42とが互いに密着して電子部品16、59からバック板42への熱の伝導経路が確実に形成されて、電子部品16、59で発生した熱が電子部品16、59からバック板42に確実に伝導するようになる。また、それとともに、熱の伝導経路(すなわち熱伝導部材61の厚さ)が短くなるため、電子部品16、59で発生した熱をバック板42から放射線画像撮影装置1の筐体40の外に放熱させることが可能となる。
【0079】
そのため、電子部品16、59で発生した熱が放射線画像撮影装置1の筐体40内にこもることなく、装置外に的確に放熱させることが可能となり、電子部品16、59の熱の筐体40外への放熱を非常に効率良く行うことが可能となる。
【0080】
そして、特に動画撮影の場合には、信号値Dの読み出し処理が繰り返し行われるため、読み出しIC16や電源回路59等の電子部品での発熱量が単純撮影の場合よりも多くなるが、本実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置1では、動画撮影の場合にも、読み出しIC16や電源回路59等の電子部品で発生した熱を放射線画像撮影装置1の筐体40の外に効率良く放熱させることが可能となるため、放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPや筐体40内の温度が上昇して信号値Dが異常な値になる等の問題が発生することを的確に防止することが可能となり、動画撮影における各フレーム画像を的確に撮影することが可能となる。
【0081】
なお、本発明が上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
放射線画像撮影を行う分野(特に医療分野)において利用可能性がある。
【符号の説明】
【0083】
1 放射線画像撮影装置(可搬型放射線画像撮影装置)
7 放射線検出素子
16 読み出しIC(電子部品)
40 筐体
41 フロント板
42 バック板
42A 突出部
50 基台
59 電源回路(電子部品)
61 熱伝導部材
62 支持部材(熱伝導部材、断熱部材)
D 信号値
SP センサーパネル
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7