(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置決め機構は、前記第一軸部材と前記第二軸部材との前記一方の前記軸線方向の第一所定位置に設けられた段部と、前記段部に当接可能に設けられた前記ホルダの端面と、前記第一軸部材と前記第二軸部材との前記一方に設けられた装着溝と、前記装着溝に装着され、前記ホルダの前記端面を前記段部に当接させる第一スナップリングと、を備える請求項1に記載の駆動力断接装置。
前記外歯スプラインは、前記第一軸部材で前記軸線方向に隔てて複数設けられ、前記内歯スプラインは、前記スリーブで前記軸線方向に隔てて複数設けられて、その複数の外歯スプラインとその複数の内歯スプラインとが係合可能であり、前記複数の外歯スプラインのうちの一つの外歯スプラインとその外歯スプラインと係合する前記複数の内歯スプラインのうちの一つの内歯スプラインとの前記軸線方向に対する相対距離は、前記複数の外歯スプラインのうちの前記一つの外歯スプラインを除いた残りの外歯スプラインとその残りの外歯スプラインと係合する前記複数の内歯スプラインの前記一つの内歯スプラインを除いた残りの内歯スプラインとの前記軸線方向に対する相対距離よりも短くして、前記残りの内歯スプラインが前記残りの外歯スプラインに飛び込むよりも先行して前記一つの内歯スプラインが前記一つの外歯スプラインに飛込み可能に設けられた請求項1又は2に記載の駆動力断接装置。
前記外歯スプラインは、前記第一軸部材で前記軸線方向に隔てて複数設けられ、前記内歯スプラインは、前記スリーブで前記軸線方向に隔てて複数設けられて、その複数の外歯スプラインとその複数の内歯スプラインとが係合可能であり、前記複数の外歯スプラインのうちの一つの外歯スプラインとその外歯スプラインと係合する前記複数の内歯スプラインのうちの一つの内歯スプラインとの相対距離は、前記複数の外歯スプラインのうちの前記一つの外歯スプラインを除いた残りの外歯スプラインとその残りの外歯スプラインと係合する前記複数の内歯スプラインの前記一つの内歯スプラインを除いた残りの内歯スプラインとの相対距離よりも短くして、前記残りの内歯スプラインが前記残りの外歯スプラインに飛び込むよりも先行して前記一つの内歯スプラインが前記一つの外歯スプラインに飛込み可能に設けられて、前記一つの内歯スプラインを飛込み内歯スプラインとし、前記一つの外歯スプラインを飛込み外歯スプラインとし、前記飛込み外歯スプラインの前記複数の外歯と前記飛び込み内歯スプラインの前記複数の内歯とのうちの一方には、チャンファ部が設けられた請求項1又は2に記載の駆動力断接装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態として、車両へ駆動力断接装置を適用した場合を
図1に基づいて説明する。車両10は、動力源であるエンジン11と、トランスミッション12と、トランスファ13と、フロントプロペラシャフト14と、フロントディファレンシャル機構15と、駆動力断接装置16と、制御装置17と、右フロントドライブシャフト18と、左フロントドライブシャフト19と、前輪20と、リヤプロペラシャフト21と、リヤディファレンシャル機構22と、リヤドライブシャフト23と、後輪24とを備えている。
【0010】
エンジン11で発生した駆動力は、トランスミッション12を介しトランスファ13へ伝達されると、駆動力はフロントプロペラシャフト14とリヤプロペラシャフト21とへ分配される。リヤプロペラシャフト21へ分配された駆動力は、リヤディファレンシャル機構22とリヤドライブシャフト23を経て左右の後輪24へ伝達される。
【0011】
一方、フロントプロペラシャフト14へ分配された駆動力は、フロントディファレンシャル機構15へ伝達される。運転者の操作、あるいは、走行状態により制御装置17にて四輪駆動モード又は二輪駆動モードが選択される構成である。
【0012】
四輪駆動モードが選択されると、駆動力断接装置16は、制御装置17の制御信号に基づいて、フロントディファレンシャル機構15と右フロントドライブシャフト18とを連結する。よって、フロントディファレンシャル機構15へ伝達された駆動力は、左フロントドライブシャフト19と、駆動力断接装置16を介して右フロントドライブシャフト18とへ分配され、左右の前輪20へ伝達されて四輪駆動モードが成立する。
【0013】
また、運転者の操作、あるいは、走行状態により制御装置17にて四輪駆動モードを終了し二輪駆動モードが選択されると、駆動力断接装置16は、制御装置17の制御信号に基づいて、フロントディファレンシャル機構15と右フロントドライブシャフト18とを非連結とする。よって、フロントディファレンシャル機構15は空転して駆動力を伝達せず、二輪駆動モードが成立する。
【0014】
次に、本発明に係る駆動力断接装置16の一実施形態について、
図2乃至
図15に基づいて説明する。
【0015】
<駆動力断接装置の全体構成>
図2に示すように、駆動力断接装置16は、フロントディファレンシャル機構15と右フロントドライブシャフト18との間に、軸線30回りに回転可能に設けられた第一軸部材31と、第一軸部材31と相対回転可能に同軸上に設けられたと第二軸部材50と、を有する。第一軸部材31は、
図2に示す如く、内部の中空状円筒部に、第二軸部材50を軸支する小径の軸受部31aを備える。
【0016】
第一軸部材31は、
図2に示す如く、一端は、フロントディファレンシャル機構15の前輪20へ駆動力を分配する一方のサイドギア15aに接続される。
図3に示す如く、第一軸部材31の外周には、複数の外歯が周方向に配置された外歯スプライン32が設けられる。外歯スプライン32は、第一軸部材31の外周に一つ、又は、
図3に示す如く、第一軸部材31の外周面に軸線30方向に隔てて複数設けられる。
【0017】
外歯スプライン32は、
図3に示す例では、
図3の左方から、第一外歯スプライン33、第二外歯スプライン34、第三外歯スプライン35、第四外歯スプライン36を有する。第一外歯スプライン33には、複数の外歯33aが周方向に配置されている。同様に、第二外歯スプライン34には、複数の外歯34aが周方向に配置されている。同様に、第三外歯スプライン35には、複数の外歯35aが周方向に配置されている。同様に、第四外歯スプライン36には、複数の外歯36aが周方向に配置されている。
【0018】
第二軸部材50は、
図2及び
図4に示す如く、円柱状を呈し、細くなった先端部50aと、大径部50bと、右フロントドライブシャフト18に接続されるドライブシャフト接続部50cを備える。第二軸部材50の大径部50bの外周には、複数のロッキング歯50dが設けられる。この複数のロッキング歯50dは、後述するスリーブ60と常時噛合することにより、第二軸部材50はスリーブ60と軸線30周りに一体的に回転する。
【0019】
第二軸部材50は、後述する係止機構90により、第一軸部材31と相対回転可能に係止され、かつ軸線30方向に対する第一軸部材31との相対移動が規制される。第二軸部材50のドライブシャフト接続部50cの外周に軸受部50eが設けられる。第二軸部材50は、先端部50aがベアリング51を介して第一軸部材31の軸受部31aにて軸支される。第二軸部材50は、軸受部50eがベアリング52を介して軸カバー53に軸支される。
【0020】
図5に示す如く、スリーブ60は環状を呈し、複数の内歯が周方向に配置された内歯スプライン61が設けられる。内歯スプライン61は、スリーブ60の内周に一つ、又は、
図5に示す如く、スリーブ60の内周に軸線30方向に隔てて複数設けられる。内歯スプライン61は、
図3に示す例では、
図5の左方から、第一内歯スプライン62、第二内歯スプライン63、第三内歯スプライン64、第四内歯スプライン65を有する。スリーブ60の外周には、径方向外方に突出したフランジ部66が設けられている。
【0021】
第一内歯スプライン62には、複数の内歯62aが周方向に配置されている。同様に、第二内歯スプライン63には、複数の内歯63aが周方向に配置されている。同様に、第三内歯スプライン64には、複数の内歯64aが周方向に配置されている。同様に、第四内歯スプライン65には、複数の内歯65aが周方向に配置されている。なお、第四内歯スプライン65は、その複数の内歯65aの軸線30方向の長さは、他の第一〜第三内歯スプライン62〜64の複数の内歯62a〜64aの各内歯の軸線30方向の長さよりも長くなる様に設けられている。
【0022】
スリーブ60に設けられた内歯スプライン61は、後述する移動機構70により軸線30方向に移動して、内歯スプライン61の各第一〜第四内歯スプライン62〜65は、第一軸部材31に設けられた外歯スプライン32の各第一〜第四外歯スプライン33〜36と係合する。その係合は、具体的には、各第一〜第四内歯スプライン62〜65の複数の内歯62a〜65aの各々が、第一〜第四外歯スプライン33〜36の複数の外歯33a〜36aの夫々と噛合うことにて行われる。なお、スリーブ60の第四内歯スプライン65の複数の内歯65aは、第二軸部材50に設けられた複数のロッキング歯50dと常時噛合して、スリーブ60と第二軸部材50とを常時連結する。
【0023】
スリーブ60及び移動機構70を内部に取り付けて保持可能とするホルダ79(後述する)が設けられて、後述する位置決め機構80により、ホルダ79即ちスリーブ60の軸線30方向に対する位置決めが行われる。
【0024】
軸カバー53は、
図2に示す如く、中空であり、一端がボウル形状に開口し、フロントディファレンシャル機構15を軸支して収納するキャリアケース15bに接続されるディファレンシャルキャリア接続部53bを備える。軸線30方向に沿って第二軸部材50のドライブシャフト接続部50cから第一軸部材31の外歯スプライン32に至る部分が、軸カバー53にて覆われる。
【0025】
<移動機構>
スリーブ60を軸線30方向に移動させる移動機構70について、以下説明する。移動機構70は、例えば、スリーブ60を電磁的に駆動する電磁アクチュエータにて構成される。移動機構70は、
図6に示す如く、内部に電磁コイル71を備え、電磁コイル71の励磁により磁気吸引作用が生じるコア72と、スリーブ60と連結されてコア72の磁気吸引作用により軸線30方向に移動する可動アーマチャ73とを有する。
【0026】
コア72は、
図6に示す如く、電磁コイル71を取り囲む様に、第一コア部72aと第二コア部72b及び第三コア部72cと、にて構成され、第一〜第三コア部72a〜72cは、例えば鉄などの磁性材料にて形成される。可動アーマチャ73とスリーブ60との連結は、
図6に示す如く、可動アーマチャ73に係止されたアーム部74と、軸線30方向の一方(
図6の右方)にばね付勢されたプレート部75とにて、スリーブ60のフランジ部66を挟む様にして、スリーブ60は、軸線30方向に、可動アーマチャ73と一体的に移動可能である。
【0027】
第三コア部72cとプレート部75との間に設けられたばね76のばね力により、プレート部75、スリーブ60のフランジ部66、アーム部74及び可動アーマチャ73は、軸線30方向の一方(
図6の右方)へと変位する様に付勢される。ばね76によるプレート部75、スリーブ60のフランジ部66、アーム部74及び可動アーマチャ73の右方への変位は、第一コア部72aに設けられたストッパリング77に可動アーマチャ73が当接することにより規制される。スリーブ60の軸線30方向における位置を検出するために、アーム部74の先端に磁石74aが設けられている。磁石74aの位置による信号は、軸カバー53に設けたストロークセンサ53aにて検出され、制御装置17に送信される。
【0028】
電磁コイル71が励磁されていない場合は、スリーブ60と連結された可動アーマチャ73が、
図6に示す如く、ばね76の付勢力により、軸線30方向の一方(
図6の右方)へ変位し、ストッパリング77に当接する。これにより、第二軸部材50と連結されたスリーブ60は、内歯スプライン61が、第一軸部材31の外歯スプライン32と係合しない。これにより、第一軸部材31と第二軸部材50とは、非連結となり、エンジン11からの駆動力を伝達できない。
【0029】
制御装置17からの制御信号により、電磁コイル71に励磁されてコア72に磁気吸引作用が生じると、その磁気吸引作用により、スリーブ60と連結された可動アーマチャ73が、ばね76の付勢力に抗して、
図7に示す如く、軸線30方向の他方(
図7の左方)へ変位する。これにより、第二軸部材50と連結されたスリーブ60は、内歯スプライン61が、第一軸部材31の外歯スプライン32と係合する。これにより、第一軸部材31と第二軸部材50とはスリーブ60により連結されて、エンジン11からの駆動力を伝達できる。
【0030】
アーム部74は、軸カバー53の内径部に係止されることにより、移動機構70の軸線30周りの回転が規制される。後述する様に、移動機構70のコア72は、移動機構70の電磁コイル71、可動アーマチャ73、アーム部74、プレート部75及びばね76と、スリーブ60と、を内部に取り付けて保持可能とするホルダ79として機能し、移動機構70とスリーブ60とを、一つのユニットとして取り扱うことができる様になる。
【0031】
<位置決め機構>
移動機構70とスリーブ60とを、内部に取り付けて保持可能とするホルダ79を、スリーブ60の内歯スプライン61と係合する外歯スプライン32が設けられた第一軸部材31に対する軸線30方向の位置決めして、第一軸部材31に装着する位置決め機構80について、以下
図6を参照しながら説明する。移動機構70とスリーブ60とを、内部に取り付けて保持可能とするホルダ79は、スリーブ60の内歯スプライン61と係合する外歯スプライン32が設けられた第一軸部材31の軸線30方向の所定位置に設けられた段部37に、第三コア部72cの端面72c1を当接させる。これにより、ホルダ79即ちスリーブ60の第一軸部材31に対する軸線30方向の位置決めを他の部材を介することなく直接に行う。
【0032】
この様にして、ホルダ79即ちスリーブ60の第一軸部材31に対する軸線30方向の位置決めをし、次いで、スラストワッシャ82を介在して、スナップリング81(第一スナップリングに相当)を第一軸部材31の外周に設けられた装着溝38に装着する。これにより、ホルダ79即ちスリーブ60は、第一軸部材31に対する軸線30方向の位置決めをして、第一軸部材31に装着される。
【0033】
<係止機構>
第一軸部材31と第二軸部材50とを、相対回転可能に係止しかつ軸線30方向に対する相対移動を規制する係止機構90について、説明する。係止機構90は、
図3、
図4及び
図8に示す如く、第一軸部材31における第二軸部材50と対向する対向側に設けた内周溝93(第一係止部に相当する)と、第二軸部材50における第一軸部材31と対向する対向側に設けた外周溝94(第二係止部に相当する)と、内周溝93と外周溝94に係止される係止部材であるスナップリング95(第二スナップリングに相当する)とを有する。
【0034】
スナップリング95は、第二軸部材50に設けられた外周溝94に、嵌入可能である。スナップリング95は、スナップリング95が外周溝94に嵌入された状態(
図9に示す)で、外周部95aの一部に外周溝94よりも径方向外方に突出し、収縮した状態に弾性変形可能な頭部95bを備える。頭部95bは、
図8に示す例では、二股状に形成されている。頭部95bに設けられた溝部95b1は、工具(図示せず)を用いてスナップリング95を拡開して外周溝94に嵌入する際、工具のセットの容易化のために設けられたものである。
【0035】
第一軸部材31に設けられた内周溝93は、スナップリング95の頭部95bの外径よりも深くかつスナップリング95の頭部95bを相対回転可能に包む様に形成されている。内周溝93の全周の一部には、スナップリング95の頭部95bが収縮した状態にて、頭部95bを通過口93aの内部へ通過可能とする通過口93aを備える。通過口93aは、
図3に示す例では、内周溝93に点対称で二箇所が設けられている。
【0036】
次に、係止機構90による第一軸部材31と第二軸部材50との係止について説明する。スナップリング95を、
図9に示す如く拡開して、第二軸部材50の外周溝94に入れ、
図10に示す如くスナップリング95を外周溝94に嵌入して装着する。次いで、第一軸部材31を、
図10に示す如く、第二軸部材50に接近させる。次いで、スナップリング95の頭部95bを収縮即ち二股状の頭部95bの幅を通過口93aの幅よりも狭めて、内周溝93の径方向外方から、スナップリング95の頭部95bが通過口93aを通されることにより、スナップリング95の頭部95bは内周溝93に入る。内周溝93に入ったスナップリング95は、二股状の頭部95bの幅が通過口93aの幅よりも拡がった状態に復帰し、内周溝93からスナップリング95が抜けることが防止される。
【0037】
内周溝93は、スナップリング95の頭部95bの外径よりも深く、スナップリング95の頭部95bを相対回転可能に包む。この様に、係止機構90により、第一軸部材31と第二軸部材50と、が、相対回転可能に係止されかつ軸線30方向に対する相対移動を規制される。また、係止機構90により、第一軸部材31と第二軸部材50と、が、一つのユニットとして取り扱うことができる様になる。
【0038】
<駆動力断接装置の組み付け>
駆動力断接装置16の組み付けについて、以下説明する。先ず、
図3に示す第一軸部材31と
図4に示す第二軸部材50とが、前述の係止機構90により、相対回転可能に係止されかつ軸線30方向に対する相対移動が規制される。次に、第二軸部材50の軸受部50eにベアリング52を装着して、第一軸部材31を係止した第二軸部材50を、軸カバー53に差し込む。
【0039】
次いで、これとは別に予め準備された前述のホルダ79即ち移動機構70とスリーブ60とを、内部に取り付けて保持可能とするホルダ79を、前述の位置決め機構80により、ホルダ79即ちスリーブ60を第一軸部材31に対する軸線30方向の位置決めを行い、そして、第一軸部材31に装着される。
【0040】
なお、以下に示す様に、移動機構70とスリーブ60とを、ホルダ79の内部に取り付けて保持可能とすることができる。
図6の左方から、電磁コイル71をコア72の第一コア部72a内に収納し、可動アーマチャ73をストッパリング77に向けて第一コア部72aの内周側に入れる。次いで、
図6の左方から、アーム部74を可動アーマチャ73の内周側に入れて可動アーマチャ73と係止し、スリーブ60をアーム部74及び可動アーマチャ73の内周側に入れる。
【0041】
次いで、
図6の左方から、プレート部75及びばね76を順次、可動アーマチャ73の内周側とスリーブ60の外周側に入れて、スリーブ60のフランジ部66を、可動アーマチャ73に係止されたアーム部74と、軸線30方向にばね付勢されたプレート部75とにて、スリーブ60のフランジ部66を挟む様にする。これにより、スリーブ60は、軸線30方向に、可動アーマチャ73と一体的に移動可能とされる。
【0042】
次いで、一体化された第二コア部72b及び第三コア部72cを、
図6示す如く、第一コア部72aに固定する。この様にして、移動機構70のコア72は、移動機構70の電磁コイル71、可動アーマチャ73、アーム部74、プレート部75及びばね76と、スリーブ60と、を内部に取り付けて保持可能とするホルダ79として機能する。
【0043】
<駆動力断接装置の作動>
上記の如く構成された駆動力断接装置16の作動について、説明する。スリーブ60と第二軸部材50とは、前述の如く、スリーブ60の第四内歯スプライン65の複数の内歯65aは、第二軸部材50に設けられた複数のロッキング歯50dと常時噛合して、スリーブ60と第二軸部材50とを常時連結されている。例えば、運転者による四輪駆動への切換操作、あるいは、走行状態に基づいて、制御装置17にて二輪駆動モードである場合を説明する。制御装置17により電磁コイル71が励磁されていないため、スリーブ60と連結された可動アーマチャ73が、
図6に示す如く、ばね76の付勢力により、軸線30方向の一方(
図6の右方)へ変位し、ストッパリング77に当接する。
【0044】
これにより、第二軸部材50と連結されたスリーブ60は、内歯スプライン61が、第一軸部材31の外歯スプライン32と係合しない。具体的には、スリーブ60の内歯スプライン61の第一〜第四内歯スプライン62〜65における各複数の内歯62a〜65aは、第一軸部材31の外歯スプライン32の第一〜第四外歯スプライン33〜36との各複数の外歯33a〜36aと、係合しない。従って、第一軸部材31と第二軸部材50とは、非連結となり、エンジン11からの駆動力を伝達できない。
【0045】
一方、運転者による四輪駆動への切換操作、あるいは、走行状態に基づいて、制御装置17にて四輪駆動モードである場合を以下説明する。制御装置17からの制御信号により、電磁コイル71が励磁されてコア72に磁気吸引作用が生じると、その磁気吸引作用により、スリーブ60と連結された可動アーマチャ73が、ばね76の付勢力に抗して、
図7に示す如く、軸線30方向の他方(
図7の左方)へ変位する。可動アーマチャ73は、
図7に示す如く、第二コア部72bの端面に当接して軸線30方向の左方への変位が規制される。
【0046】
これにより、第二軸部材50と連結されたスリーブ60は、内歯スプライン61が、第一軸部材31の外歯スプライン32と係合する。具体的には、スリーブ60の内歯スプライン61の第一〜第四内歯スプライン62〜65における各複数の内歯62a〜65aは、第一軸部材31の外歯スプライン32の第一〜第四外歯スプライン33〜36との各複数の外歯33a〜36aと、係合する。従って、第一軸部材31と第二軸部材50とはスリーブ60により連結されて、エンジン11からの駆動力を伝達できる。
【0047】
<飛び込み内歯スプラインと飛び込み外歯スプライン>
次に、スリーブ60が軸線30方向に移動してスリーブ60の内歯スプライン61と第一軸部材31の外歯スプライン32とが係合する際、その係合を容易化できる一例を
図13及び
図14に基づいて説明する。複数の第一〜第四外歯スプライン33〜36のうちの一つの外歯スプラインである第一外歯スプライン33の外歯33aとその外歯33aと係合する複数の第一〜第四内歯スプライン62〜65のうちの一つの第一内歯スプライン62の内歯62aとの軸線30方向に対する相対距離L1は、
図13に示す如く、複数の外歯スプラインのうちの第一外歯スプライン33を除いた残りの第二〜第四外歯スプライン34〜36とその第二〜第四外歯スプライン34〜36と係合する第二〜第四内歯スプライン63〜65との軸線方向に対する相対距離L2、L3、L4よりも短く設けられる。
【0048】
なお、具体的には、第二外歯スプライン34の外歯34aとその外歯34aと係合する第二内歯スプライン63の内歯63aとの軸線30方向に対する相対距離をL2とする。第三外歯スプライン35の外歯35aとその外歯35aと係合する第三内歯スプライン64の内歯64aとの軸線30方向に対する相対距離をL3とする。第四外歯スプライン36の外歯36aとその外歯36aと係合する第四内歯スプライン65の内歯65aとの軸線30方向に対する相対距離をL4とする。
【0049】
これにより、第二〜第四内歯スプライン63〜65が第二〜第四外歯スプライン34〜36に飛び込むよりも先行して第一内歯スプライン62が第一外歯スプライン33に飛込み可能になる。この場合、第一内歯スプライン62が飛込み内歯スプラインに相当し、第一外歯スプライン33が飛込み外歯スプラインに相当する。
【0050】
図14を参照しながら、第二〜第四内歯スプライン63〜65が第二〜第四外歯スプライン34〜36に飛び込むよりも先行して第一内歯スプライン62が第一外歯スプライン33に飛込む状態を説明する。
図14の矢印Aの方向は、スリーブ60が軸線30方向に移動して、スリーブ60の内歯スプライン61の内歯62a〜65aが、第一軸部材31の外歯スプライン32の外歯33a〜36aとの係合に向う方向を示す。
図14の左方向の矢印は、第一軸部材31及びスリーブ60の回転により、内歯スプライン61の内歯62a〜65a及び外歯スプライン32の外歯33a〜36aの移動方向を示す。
【0051】
スリーブ60が
図14に示す如く、矢印A方向に移動すると、前述の相対距離L1が相対距離L2、L3、L4よりも短いため、最初に内歯62aが外歯33aに飛び込み、その飛び込みに案内されて、次いで、内歯63a〜65aが外歯34a〜36aに飛び込みことができる。これにより、第一〜第四内歯スプライン62〜65の内歯62a〜65aと第一〜第四外歯スプライン33〜36の外歯33a〜36aとの係合を円滑にできる。
【0052】
なお、
図14には、
図13で示した相対距離L1が、他の相対距離L2、L3、L4の夫々よりも短くした例を示した。しかしながら、これに限らず、相対距離L1〜L4のうちのいずれか一つの相対距離を他の残りの相対距離よりも短くした場合、例えば、相対距離L3が、他の残りの相対距離L1、L2、L4よりも短くした場合も同様な効果を得られることは明らかである。また、
図14には、外歯スプライン32として第一〜第四外歯スプライン33〜36を、また内歯スプライン61として第一〜第四内歯スプライン62〜65を、設けた例を示した。しかしながら、これに限らず、外歯スプライン32と内歯スプライン61とは、同数、例えば二つ又は五つとその個数は必要に応じて選択することは可能である。
【0053】
<チャンファ部>
次に、第一軸部材31と第二軸部材50との相対回転の差が大きい状態において、第二軸部材50と連結されたスリーブ60の内歯スプライン61と第一軸部材31の外歯スプライン32とが係合に陥る誤係合を回避できる一例を、
図5、
図13及び
図15を参照しながら、説明する。前述の如く、第一軸部材31の第一外歯スプライン33は飛び込み外歯スプラインであって、その複数の外歯33aの各々における第一内歯スプライン62の複数の内歯62aとの対向面側には、
図13に示す如く、面取り形状のチャンファ部33a1が設けられている。
【0054】
同様に、前述の如く、スリーブ60の第一内歯スプライン62は、飛び込み内歯スプラインであって、その複数の内歯62aの各々における第一外歯スプライン33の複数の外歯33aとの対向面側には、
図5及び
図13に示す如く、面取り形状のチャンファ部62a1が設けられている。
【0055】
図15を参照しながら、第一軸部材31と第二軸部材50との相対回転の差が大きい状態において、第二軸部材50と連結されたスリーブ60の内歯スプライン61と第一軸部材31の外歯スプライン32とが係合に陥る誤係合を回避できる状態を説明する。
図15の矢印Aの方向は、スリーブ60が軸線30方向に移動して、スリーブ60の内歯スプライン61の内歯62a〜65aが、第一軸部材31の外歯スプライン32の外歯33a〜36aとの係合に向う方向を示す。
図14の左方向の矢印は、第一軸部材31及びスリーブ60の回転により、内歯スプライン61の内歯62a〜65a及び外歯スプライン32の外歯33a〜36aの移動方向を示す。
【0056】
スリーブ60が
図15に示す如く、矢印A方向に移動すると、第一〜第四内歯スプライン62〜65と第一〜第四外歯スプライン33〜36の中で、先ず最初に、スリーブ60の飛び込み内歯スプラインである第一内歯スプライン62と飛び込み外歯スプラインである第一外歯スプライン33が接触し、具体的には、第一内歯スプライン62の内歯62aのチャンファ部62a1が、第一外歯スプライン33の外歯33aのチャンファ部33a1に接触することとなる。
【0057】
しかしながら、第一軸部材31と第二軸部材50との相対回転の差が大きいので、第一内歯スプライン62の内歯62aのチャンファ部62a1が第一外歯スプライン33の外歯33aのチャンファ部33a1に接触しても、その接触により第一内歯スプライン62の内歯62aをはじき出す荷重が作用し、第一内歯スプライン62の内歯62aは、第一外歯スプライン33の外歯33aと係合することなく、第一外歯スプライン33の外歯33aからはじき出される。これにより、第一内歯スプライン62の内歯62aのチャンファ部62a1と第一外歯スプライン33の外歯33aのチャンファ部33a1との接触はトルク伝達に至らず、第一軸部材31と第二軸部材50との相対回転の差が大きい場合における内歯スプライン61と外歯スプライン32との誤係合を回避できる。
【0058】
チャンファ部は、
図5、
図13及び
図15にて、飛び込み外歯スプラインである第一外歯スプライン33の複数の外歯33aと飛び込み内歯スプラインである第一内歯スプライン62の複数の内歯62aとの両方に設けた例を示した。しかしながら、これに限らず、チャンファ部は、飛び込み外歯スプラインである第一外歯スプライン33の複数の外歯33aと飛び込み内歯スプラインである第一内歯スプライン62の複数の内歯62aとのうちの一方にのみ、例えばチャンファ部を第一外歯スプライン33の複数の外歯33aに設けることなく、第一内歯スプライン62の複数の内歯62aのみに設けることも可能であり、同様な効果を得られることは明らかである。
【0059】
なお、飛び込み外歯スプラインまたは飛び込み内歯スプラインを設けない構成においては、互いに係合する一つ又は複数の全ての外歯スプラインの複数の外歯と一つ又は複数の全ての内歯スプラインの複数の内歯のうちの一方にチャンファ部を設けることも可能であり、同様な効果が得られることは明らかである。
【0060】
上述のように、本発明の実施形態に係る駆動力断接装置によれば、動力源11からの駆動力を伝達する伝達経路に設けられて、軸線30回りに回転可能である第一軸部材31と、第一軸部材31と相対回転可能に同軸上に設けられた第二軸部材50と、第一軸部材31と第二軸部材50とのうちのいずれか一方の外周に設けられ、複数の外歯が周方向に配置された外歯スプライン32と、外歯スプライン32と係合可能であり、内周に複数の内歯が周方向に配置された内歯スプライン61と、軸線30方向に移動して、外歯スプライン32と係合される内歯スプライン61を内周に設け、第一軸部材31と第二軸部材50とのうちのいずれか他方と連結されて、第一軸部材31と第二軸部材50とを駆動力を伝達可能に連結するスリーブ60と、スリーブ60を軸線30方向に移動させる移動機構70と、スリーブ60と移動機構70とを取り付けて保持可能とするホルダ79と、ホルダ79を第一軸部材31と第二軸部材50との一方に当接させてその一方に対し軸線方向に対する位置決めをし、ホルダ79を第一軸部材31に装着する位置決め機構80、を備える。
【0061】
これにより、第一軸部材31と第二軸部材50とのうちの外歯スプライン32が設けられた一方に対し、軸線30方向に移動して外歯スプライン32と係合する内歯スプライン61が設けられたスリーブ60とそのスリーブ60を軸線30方向に移動させる移動機構70とを取り付けたホルダ79は、位置決め機構80により、第一軸部材31と第二軸部材50とのうちの一方に当接されてその一方対し軸線30方向に対する位置決めをされて、第一軸部材31と第二軸部材50との一方に装着される。従って、第一軸部材31と第二軸部材50とのうちの一方へのホルダ79の当接にて、ベアリング等他の部材を介在させることなくホルダ79即ちスリーブ60の軸線30方向の位置決めが直接できる。その結果、軸線30方向に移動して外歯スプライン32と内歯スプライン61との係合をするスリーブ60の軸線30方向に対する位置決めの精度を向上できる。
【0062】
上述のように、本発明の実施形態に係る駆動力断接装置16によれば、位置決め機構80は、第一軸部材31と第二軸部材50との一方の軸線30方向の第一所定位置に設けられた段部37と、段部37に当接可能に設けられたホルダ79の端面72c1と、第一軸部材31と第二軸部材50との一方に設けられた装着溝38と、装着溝38に装着され、ホルダ79の端面72c1を段部37に当接させる第一スナップリング81と、を備える。これにより、第一所定位置に設けられた段部37にホルダ79を当接させて、第一スナップリング81を装着溝38に装着することにより、ホルダ79即ちスリーブ60の第一軸部材31と第二軸部材50との一方の軸線30方向に対する位置決め及び装着ができ、容易となる。
【0063】
上述のように、本発明の実施形態に係る駆動力断接装置16によれば、第一軸部材31における第二軸部材50と対向する対向側に設けた第一係止部93と、第二軸部材50における第一軸部材31と対向する対向側に設けた第二係止部94と、第一係止部93及び第二係止部94に係止された係止部材95と、を有し、第一軸部材31と第二軸部材50とを相対回転可能に係止しかつ軸線30方向に対する移動を規制する係止機構90を備える。これにより、第一軸部材31と第二軸部材50とは、相対回転可能に係止されかつ軸線30方向に対する移動を規制されて一つのユニットとして構成できる。そのため、取り扱いが容易となり、第一軸部材31と第二軸部材50との位置決めも同時に行うことができ、簡単となる。
【0064】
上述のように、本発明の実施形態に係る駆動力断接装置16によれば、係止機構90は、第一係止部93と第二係止部94とのうちのいずれか一方は外周溝94とし、外周溝94に嵌入可能であり、その嵌入された状態で外周部95aの一部に外周溝94よりも径方向外方に突出し、収縮した状態に弾性変形可能な頭部95bが設けられた第二スナップリング95と、第一係止部93と第二係止部94との他方は内周溝93とし、内周溝93は第二スナップリング95の頭部95bの外径よりも深くかつ第二スナップリング95の頭部95bを相対回転可能に包む様に形成され、一部に第二スナップリング95の頭部95bの収縮した状態にて頭部95bが、内周溝93の内部へ通過可能とする通過口93aを備える。これにより、係止機構90は、外周溝94と、内周溝93と、外周溝94と内周溝93に嵌る第二スナップリング95にて構成できるため、部品点数も少なく、構造簡単となる。
【0065】
上述のように、本発明の実施形態に係る駆動力断接装置16によれば、外歯スプライン32は、第一軸部材31で軸線30方向に隔てて複数設けられ、内歯スプライン61は、スリーブ60で軸線30方向に隔てて複数設けられて、その複数の外歯スプラインとその複数の内歯スプラインとが係合可能であり、複数の外歯スプラインのうちの一つの外歯スプライン33とその外歯スプライン33と係合する複数の内歯スプラインのうちの一つの内歯スプライン62との軸線30方向に対する相対距離L1は、複数の外歯スプラインのうちの一つの外歯スプラインを除いた残りの外歯スプラインとその残りの外歯スプラインと係合する複数の内歯スプラインの一つの内歯スプラインを除いた残りの内歯スプラインとの軸線方向に対する相対距離L2、L3、L4よりも短くして、残りの内歯スプラインが残りの外歯スプラインに飛び込むよりも先行して一つの内歯スプライン62が一つの外歯スプライン33に飛込み可能に設けられる。
【0066】
これにより、先ず最初に一つの内歯スプライン62が一つの外歯スプライン33に飛び込み、その飛び込みに案内されて、次いで、他の残りの内歯スプライン63〜65が外歯スプライン34〜35aに飛び込みことができる。従って、第一〜第四内歯スプライン62〜65と第一〜第四外歯スプライン33〜36との係合が円滑にできる。
【0067】
上述のように、本発明の実施形態に係る駆動力断接装置16によれば、外歯スプライン32の複数の外歯33a〜36aと内歯スプライン61の複数の内歯62a〜65aとの一方には、チャンファ部33a1,62a1が設けられる。これにより、第一軸部材31と第二軸部材50との相対回転の差が大きい状態において、内歯スプライン61と外歯スプライン32とがチャンファ部33a1,62a1で接触しても、その接触により内歯スプライン61をはじき出す荷重が作用し、内歯スプライン61は、外歯スプライン32と係合することなく外歯スプライン32からはじき出される。従って、内歯スプライン61と外歯スプライン32とのチャンファ部33a1,62a1による接触はトルク伝達に至らず、第一軸部材31と第二軸部材50との相対回転の差が大きい場合における内歯スプライン61と外歯スプライン32との誤係合を回避できる。
【0068】
上述のように、本発明の実施形態に係る駆動力断接装置16によれば、外歯スプライン32は、第一軸部材31で軸線30方向に隔てて複数設けられ、内歯スプライン61は、スリーブ60で軸線30方向に隔てて複数設けられて、その複数の外歯スプライン33〜36とその複数の内歯スプライン62〜65とが係合可能であり、複数の外歯スプラインのうちの一つの外歯スプライン33とその外歯スプライン33と係合する複数の内歯スプラインのうちの一つの内歯スプライン62との相対距離L1は、複数の外歯スプラインのうちの一つの外歯スプラインを除いた残りの外歯スプライン34,35,36とその残りの外歯スプラインと係合する複数の内歯スプラインの一つの内歯スプライン62を除いた残りの内歯スプライン63,64,65との相対距離L2,L3,L4よりも短くして、残りの内歯スプライン63〜65が残りの外歯スプライン34〜36に飛び込むよりも先行して一つの内歯スプライン62が一つの外歯スプライン33に飛込み可能に設けられて、一つの内歯スプライン62を飛込み内歯スプライン62とし、一つの外歯スプライン33を飛込み外歯スプライン33とし、飛込み外歯スプライン33の複数の外歯33aと飛び込み内歯スプライン62の複数の内歯62aとのうちの一方には、チャンファ部33a1,62a1が設けられる。
【0069】
これにより、第一軸部材31と第二軸部材50との相対回転の差が大きい場合、第一内歯スプライン62の内歯62aのチャンファ部62a1が第一外歯スプライン33の外歯33aのチャンファ部33a1に接触しても、その接触により第一内歯スプライン62の内歯62aをはじき出す荷重が作用し、第一内歯スプライン62の内歯62aは、第一外歯スプライン33の外歯33aと係合することなく、第一外歯スプライン33の外歯33aからはじき出される。これにより、第一内歯スプライン62の内歯62aのチャンファ部62a1と第一外歯スプライン33の外歯33aのチャンファ部33a1との接触はトルク伝達に至らず、第一軸部材31と第二軸部材50との相対回転の差が大きい場合における内歯スプライン61と外歯スプライン32との誤係合を回避できる。従って、チャンファ部33a1,62a1は、飛込み外歯スプライン33の複数の外歯33aと飛び込み内歯スプライン62の複数の内歯62aとのうちの一方に設けるのみで足りる。その結果、飛込み外歯スプライン又は飛び込み内歯スプラインのうちのいずれも設けない構成では、全ての外歯スプラインの複数の外歯あるいは全ての内歯スプラインの複数の内歯にチャンファ部を設ける必要がある場合と比較して、構造簡単となり製作容易となる。
【0070】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、四輪駆動車のトランスファに本発明を適用して四輪駆動と二輪駆動の切換が可能となる。また、車両に限らず、駆動力伝達軸の断接が必要な種々の装置や機械に適用可能である。