【0013】
(テルペンフェノール樹脂)
本発明で使用するテルペンフェノール樹脂は、酸価が30mgKOH/g以上かつ水酸基価が5mgKOH/g以上であることが必要である。酸価が30mgKOH/g未満では、ドライグリップ性能並びに硬度の温度依存性を共に改善することができない。また水酸基価が5mgKOH/g未満では、フェノール量が少なくなり、本発明の効果を奏することができない。
さらに好ましい酸価は、40〜150mgKOH/gである。
またさらに好ましい水酸基価は、45〜120mgKOH/gである。
テルペンフェノール樹脂は、テルペン化合物とフェノール類とを反応させて得られ、公知であり、本発明では前記酸価および水酸基価の条件を満たす限り、任意のテルペンフェノール樹脂を使用することができる。
また、本発明で使用するテルペンフェノール樹脂の軟化点は85〜180℃が好ましい。
なお、酸価および水酸基価は、JIS K 0070:1992に準拠して測定することができる。また軟化点は、JIS K 6220−1:2001に準拠して測定することができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0022】
標準例、実施例1〜5および比較例1〜5
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
【0023】
ドライグリップ性能:JIS K6394に基づき、(株)東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪=10%、振幅=±2%、周波数=20Hzの条件下でtanδ(100℃)を測定し、この値をもってドライグリップ性能を評価した。結果は、標準例を100として指数表示した。指数が大きいほど、ドライグリップ性能が良好であることを示す。
【0024】
硬度:JIS K6253に準拠して20℃および100℃にて測定した。結果は、標準例を100として指数表示した。指数が大きいほど、硬度が高いことを示す。20℃および100℃にて測定した硬度の差が小さいほど、熱ダレ性能に優れることを示す。
【0025】
破断強度:JIS K6251に準拠し、引張試験にて破断伸びを100℃で評価した。結果は標準例の値を100として指数表示した。この指数が大きいほど破断強度に優れ、耐摩耗性にも優れることを示す。
【0026】
【表1】
【0027】
*1:SBR1(ZSエラストマー株式会社製Nipol NS460、スチレン量=25質量%、SBR100質量部にオイル成分37.5質量部を添加した油展品)
*2:SBR2(ZSエラストマー株式会社製Nipol NS522、スチレン量=39質量%、SBR100質量部にオイル成分37.5質量部を添加した油展品)
*3:カーボンブラック1(東海カーボン株式会社製シースト9、窒素吸着比表面積(N
2SA)=142m
2/g)
*4:カーボンブラック2(キャボットジャパン株式会社製ショウブラックN339、窒素吸着比表面積(N
2SA)=94m
2/g)
*5:カーボンブラック3(Columbian Chemicals社製CD2019、窒素吸着比表面積(N
2SA)=340m
2/g)
*6:樹脂1(JXエナジー社製ネオポリマー140S、C9樹脂)
*7:樹脂2(ヤスハラケミカル株式会社製YSポリスターT130、フェノール変性テルペン樹脂、酸価=0mgKOH/g、水酸基価=60mgKOH/g)
*8:樹脂3(ヤスハラケミカル株式会社製YSポリスターS145、フェノール変性テルペン樹脂、酸価=0mgKOH/g、水酸基価=100mgKOH/g)
*9:樹脂4(荒川化学工業株式会社製タマノル803L、テルペンフェノール樹脂、酸価=50mgKOH/g、水酸基価=15mgKOH/g)
*10:樹脂5(荒川化学工業株式会社製タマノル901、テルペンフェノール樹脂、酸価=50mgKOH/g、水酸基価=45mgKOH/g)
*11:液状SBR(Cray Valley社製 RICON 100、重量平均分子量=6,400、スチレン量=25重量%、ビニル量=70質量%)
*12:オイル(昭和シェル石油株式会社製エキストラクト4号S)
*13:ステアリン酸(日油株式会社製ビーズステアリン酸YR)
*14:酸化亜鉛(正同化学工業株式会社製酸化亜鉛3種)
*15:老化防止剤(Solutia Europe社製Santoflex 6PP)
*16:加硫促進剤1(大内新興化学工業株式会社製ノクセラーCZ−G)
*17:加硫促進剤2(大内新興化学工業株式会社製ノクセラーTOT−N)
*18:硫黄(鶴見化学工業株式会社製金華印油入微粉硫黄)
【0028】
表1の結果から、実施例1〜5のゴム組成物は、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴムに対し、特定の窒素吸着比表面積(N
2SA)範囲を有するカーボンブラックと、特定の酸価および水酸基価範囲を有するテルペンフェノール樹脂とを特定量でもって配合したので、標準例に比べて、ドライグリップ性能が向上し、破断強度が高まり耐摩耗性に優れ、かつ硬度の温度依存性も抑制されていることが分かる。
これに対し、比較例1はカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N
2SA)が本発明で規定する下限未満であるので、標準例に比べてドライグリップ性能および破断強度が悪化している。
比較例2はカーボンブラックの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、標準例に比べて破断強度が悪化している。
比較例3および4は、テルペンフェノール樹脂の酸価が本発明で規定する下限未満であるので、標準例に比べて破断強度が悪化している。
比較例5はテルペンフェノール樹脂の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、標準例に比べて硬度の温度依存性および破断強度が悪化している。