特許第6791331号(P6791331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

特許6791331記録制御装置、記録制御方法、およびプログラム
<>
  • 特許6791331-記録制御装置、記録制御方法、およびプログラム 図000002
  • 特許6791331-記録制御装置、記録制御方法、およびプログラム 図000003
  • 特許6791331-記録制御装置、記録制御方法、およびプログラム 図000004
  • 特許6791331-記録制御装置、記録制御方法、およびプログラム 図000005
  • 特許6791331-記録制御装置、記録制御方法、およびプログラム 図000006
  • 特許6791331-記録制御装置、記録制御方法、およびプログラム 図000007
  • 特許6791331-記録制御装置、記録制御方法、およびプログラム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791331
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】記録制御装置、記録制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20201116BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20201116BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20201116BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20201116BHJP
   H04N 5/76 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G07C5/00 Z
   H04N7/18 J
   H04N5/232 300
   H04N5/232 190
   H04N5/77 200
   H04N5/76
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-171779(P2019-171779)
(22)【出願日】2019年9月20日
(65)【公開番号】特開2020-166812(P2020-166812A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2020年7月20日
(31)【優先権主張番号】特願2019-60184(P2019-60184)
(32)【優先日】2019年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】谷山 紘史
(72)【発明者】
【氏名】酒井 康利
(72)【発明者】
【氏名】林 啓太
【審査官】 松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−76443(JP,A)
【文献】 特開2009−169486(JP,A)
【文献】 特開2011−257934(JP,A)
【文献】 特開2016−223995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C1/00−15/00
G08G1/00−99/00
H04N5/222−5/257
5/76−5/775
5/80−5/956
7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、
前記車両の利用者変更を判断する利用者変更判断部と、
前記撮影データ取得部が取得した撮影データを記録部に記録し、前記イベント検出部がイベントを検出した場合、イベントに対応する撮影データをイベント記録データとして前記記録部に保存し、前記利用者変更判断部が前記車両の利用者の変更を判断したことで前記記録部に記録された撮影データを消去する、記録制御部と、
を備える、記録制御装置。
【請求項2】
前記記録制御部は、利用者変更までの期間にイベントが検出されていない場合、前記利用者変更判断部が前記車両の利用者の変更を判断したことで前記記録部に記録した撮影データを消去する、
請求項1に記載の記録制御装置。
【請求項3】
前記記録制御部は、利用者変更までの期間にイベントが検出されている場合、前記利用者変更判断部が前記車両の利用者の変更を判断したことで前記記録部に保存したイベント記録データを除く撮影データを消去する、
請求項1または2に記載の記録制御装置。
【請求項4】
前記利用者変更判断部は、前記車両の位置情報に基づいて利用者変更を判断する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の記録制御装置。
【請求項5】
前記利用者変更判断部は、前記車両が、前記車両の貸し出しまたは返却を行うための特定の地点に到達した場合に、利用者変更を判断する、
請求項4に記載の記録制御装置。
【請求項6】
前記利用者変更判断部は、前記車両を動作させるスマートキーに基づいて利用者変更を判断する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の記録制御装置。
【請求項7】
前記利用者変更判断部は、前記車両の運転席に着座している人物の顔の認識結果に基づき、利用者変更を判断する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の記録制御装置。
【請求項8】
車両の周辺を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、
前記車両の利用者変更を判断する利用者変更判断ステップと、
前記撮影データ取得ステップで取得した撮影データを記録部に記録し、前記イベント検出でイベントが検出された場合、イベントに対応する撮影データをイベント記録データとして前記記録部に保存し、前記利用者変更判断ステップで前記車両の利用者の変更が判断されたことで前記記録部に記録された撮影データを消去する、記録制御ステップと、
を備える、記録制御方法。
【請求項9】
車両の周辺を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、
前記車両の利用者変更を判断する利用者変更判断ステップと、
前記撮影データ取得ステップで取得した撮影データを記録部に記録し、前記イベント検出でイベントが検出された場合、イベントに対応する撮影データをイベント記録データとして前記記録部に保存し、前記利用者変更判断ステップで前記車両の利用者の変更が判断されたことで前記記録部に記録された撮影データを消去する、記録制御ステップと、
を記録制御装置として動作するコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録制御装置、記録制御方法、およびプログラムに関し、特に詳しくは、自動車などの移動体の事故を検出して記録したデータを適切に制御する、記録制御装置、記録制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に対する衝撃を検出して検出時点の前後所定期間の映像データを含む撮影データをイベント記録データとして保存するドライブレコーダが普及している。例えば、特許文献1には、メモリカードに撮影データを常時記録し、イベントが検出された場合に、イベントの発生時点の前後所定期間の撮影データをイベント記録データとして保存するドライブレコーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−028763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1のドライブレコーダなどが、例えばカーシェア用の車両など、不特定の利用者が利用する車両において用いられると、事前に利用した他人の走行状況が記録された撮影データが再生されてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、セキュリティ性を高めた、記録制御装置、記録制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る記録制御装置は、車両の周囲を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影データ取得部と、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、前記車両の利用者変更を判断する利用者変更判断部と、前記撮影データ取得部が取得した撮影データを記録部に記録し、前記イベント検出部がイベントを検出した場合、イベントに対応する撮影データをイベント記録データとして前記記録部に保存し、前記利用者変更判断部が前記車両の利用者の変更を判断したことで前記記録部に記録された撮影データを消去する、記録制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る記録制御方法は、車両の周囲を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、前記車両の利用者変更を判断する利用者変更判断ステップと、前記撮影データ取得ステップで取得した撮影データを記録部に記録し、前記イベント検出でイベントが検出された場合、イベントに対応する撮影データをイベント記録データとして前記記録部に保存し、前記利用者変更判断ステップで前記車両の利用者の変更が判断されたことで前記記録部に記録された撮影データを消去する、記録制御ステップと、を備える。
【0008】
本発明に係るプログラムは、車両の周囲を撮影するカメラが撮影した撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、前記車両の利用者変更を判断する利用者変更判断ステップと、前記撮影データ取得ステップで取得した撮影データを記録部に記録し、前記イベント検出でイベントが検出された場合、イベントに対応する撮影データをイベント記録データとして前記記録部に保存し、前記利用者変更判断ステップで前記車両の利用者の変更が判断されたことで前記記録部に記録された撮影データを消去する、記録制御ステップと、を記録制御装置として動作するコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両等で撮影した映像データのセキュリティ性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る撮影データとイベント記録データとの関係を概念的に示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る記録装置の処理例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る記録装置の処理例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第7実施形態に係る記録装置の構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第7実施形態に係る記録装置の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態にかかる記録装置の例として、移動体である自動車において用いられるドライブレコーダの例として説明するが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、オートバイ、自転車などの各種車両、鉄道、船舶、ロボット、さらには人など様々な移動体に対して適用することが可能である。また、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
以下、図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る記録装置1の構成を示すブロック図である。記録装置1は、ドライブレコーダとして、車両のウィンドシールド上部に車両の前方を向いて装着され、事故に相当する衝撃を検出して事故発生時を含む期間の撮影データをイベント記録データとして保存する。ドライブレコーダとしての記録装置1は、単体の装置として車両に装着されるものに限らず、ナビゲーション装置の機能として実現される構成や、車両に予め装着されている構成などにも適用可能である。また、記録装置1は、図1に示す各構成を含んだ一体型の装置であってもよく、複数の装置に分散されて実現されてもよい。
【0013】
図1において、記録装置1は、記録制御装置としての制御部100、撮像部10、記録部20、操作部30、表示部40、センサ50、GPS(Global Positioning System)受信部60を備える。従って、本発明にかかる記録制御装置は、本発明にかかる記録装置としてもよい。
【0014】
制御部100は、各種データ処理を行う単数または複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、バッファメモリ102などで構成され、プログラムによって様々な処理を実行する。制御部100は、その構成および機能として、バスライン120、撮影データ取得部101、撮影データ処理部103、記録制御部104、再生制御部105、操作制御部106、表示制御部107、イベント検出部108、位置情報取得部109、利用者変更判断部110を少なくとも備える。以下、制御部100の各構成要素は、撮影データや制御信号などを、バスライン120を経由して授受することとして説明する。
【0015】
制御部100は、記録装置1における本発明にかかる動作を実行する記録制御装置であり、本発明にかかる記録方法を実行する。また、制御部100は、本発明にかかるプログラムを動作させるコンピュータである。
【0016】
撮像部10は、移動体である車両の周辺を撮影するカメラである。撮像部10は、記録装置1が備える構成として記録装置1に一体的に備えられていてもよく、記録装置1と有線または無線を用いて別体として接続されていてもよい。また、撮像部10および撮影データ取得部101を含むユニットが、有線または無線により別体として記録装置1に接続されていてもよい。
【0017】
撮像部10には、図示しないが、レンズ、撮像素子、A−D(Analog to Digital)変換素子等が含まれる。撮像部10は、撮影した撮影データを、撮影データ取得部101に出力する。ここでいう撮影データとは、撮像部10が撮影した映像データであり、映像データに加えて音声データを含むこととしてもよい。
【0018】
図1においては、撮像部10は単数として示したが、撮像部10は複数のカメラで構成されていてもよい。例えば、車両の前方、後方、側方、車室内などを各々撮影する任意の組合せの複数のカメラであってもよい。
【0019】
撮像部10が撮影する範囲は、車両の周辺であり、例えば、車両の前方を向いたカメラが撮影する車両の前方を中心とした水平方向で約180度前後の範囲、または、車両の前方を撮影するカメラと車両の後方を撮影するカメラの組み合わせで、車両の前方および後方を中心とした水平方向で各々約180度前後の範囲の組み合わせ、さらには、車両の前後左右方向を撮影する複数のカメラが撮影する車両の周囲などである。
【0020】
記録部20は、撮像部10が撮影した撮影データを、記録制御部104の制御によって記録するための不揮発性メモリであり、例えばメモリカードである。記録部20に記録された撮影データは、再生制御部105の制御によって再生される。記録部20は、記録部20に加えて記録制御部104および再生制御部105を備える別体の記録再生装置と置き換えてもよい。記録部20は、記録装置1に対して着脱可能なメモリカード以外に、記録装置1から取り外しできないメモリであってもよく、記録装置1と有線または無線により接続される別体の装置であってもよい。
【0021】
操作部30は、記録装置1に対する操作を受け付けるインターフェースであり、受け付けた操作情報を操作制御部106に出力する。操作部30は、各種スイッチやタッチパネルであり、ユーザによる操作を受け付ける。操作部30は、無線接続された他の装置からの操作を受け付けてもよい。操作部30は、例えば、ユーザによるイベントの記録開始の操作を受け付ける。また、操作部30は、ユーザによるイベント記録データの再生を行う操作を受け付ける。
【0022】
表示部40は、表示制御部107の制御により各種情報を表示する表示装置である。表示部40は、例えば液晶パネルや有機ELパネルなどの表示パネルを備える。表示部40は、記録装置1に一体的に備えられていてもよく、有線または無線により別体として接続されていてもよい。表示部40は、無線により接続され表示制御部107を備える他の装置であってもよい。
【0023】
センサ50は、例えば加速度センサであり、記録装置1または車両に加わった加速度を検出する。センサ50は、例えば3軸の加速度センサであり、x軸方向として車両の前後方向、y軸方向として車両の左右方向、z軸方向として車両の上下方向に加わった加速度を検出する。センサ50は、検出した加速度情報をイベント検出部108に出力する。センサ50は、記録装置1に一体的に備えられていてもよく、有線または無線により別体として接続されていてもよい。また、センサ50は、センサ50およびイベント検出部108を含むユニットとして別体であってもよい。
【0024】
GPS受信部60は、GPS衛星等からの信号を受信するGPSアンテナである。GPS受信部60は、受信した信号を位置情報取得部109に出力する。GPS受信部60は、GPSに限らず、他の方式の測位衛星システムの受信装置などであってもよい。GPS受信部60は、記録装置1に一体的に備えられていてもよく、有線または無線により別体として接続されていてもよい。また、GPS取得部60は、GPS取得部60および位置情報取得部109含む他の装置として別体であってもよい。
【0025】
撮影データ取得部101は、撮像部10が撮影した撮影データを取得する。撮影データ取得部101は、撮像部10から取得した撮影データを、バッファメモリ102へ出力する。
【0026】
バッファメモリ102は、撮影データ取得部101が取得した撮影データを一時的に記憶する制御部100の内部メモリである。具体的には、バッファメモリ102は、撮影データ取得部101が取得した一定時間分の撮影データを、更新しながら一時的に記憶する。
【0027】
撮影データ処理部103は、バッファメモリ102が一時的に記憶している撮影データを、例えばH.264やMPEG−4(Moving Picture Experts Group)などの任意の方式のコーデックで符号化された、例えばMP4形式などの任意のファイル形式に変換する。撮影データ処理部103は、バッファメモリ102が一時的に記憶している撮影データから、一定時間分のファイルとした撮影データを生成する。具体例として、撮影データ処理部103は、バッファメモリ102が一時的に記憶している撮影データを、記録順に60秒間の撮影データを1ファイルとして生成する。撮影データ処理部103は、生成した撮影データを記録制御部104へ出力する。また、撮影データ処理部103は、生成した撮影データを表示制御部107へ出力する。ファイルとして生成される撮影データの期間は、一例として60秒としたが、これには限定されない。
【0028】
記録制御部104は、撮影データ処理部103でファイル化された撮影データを、記録部20に記録させる制御を行う。記録制御部104は、イベント検出部108がイベントを検出していない期間は、撮影データ処理部103でファイル化された撮影データを、上書き可能な撮影データとして、記録部20に記録する。記録制御部104は、記録部20の記録容量が上限となった場合、記録部20に記録されている上書き可能な撮影データのうち、古い撮影データが記録されている記録領域から、新しい撮影データを上書きして記録する。
【0029】
記録制御部104は、イベント検出部108が、イベントが発生したと判断したことを受けて、つまり、イベントが検出された場合、イベント発生時点を含む所定の期間の撮影データを、上書きが禁止されたイベント記録データとして記録部20に保存する。記録制御部104は、撮影データ処理部103でファイル化された撮影データを上書きが禁止されたイベント記録データとして記録部20に保存してもよい。記録制御部104は、イベント記録データに加えて、イベント検出時の現在位置情報を保存してもよい。
【0030】
記録制御部104によるイベント記録データの保存方法は任意である。例えば、撮影データにおける上書き禁止とする区間のヘッダもしくはペイロードなどに上書き禁止フラグを付与して、記録部20に保存する。または、撮影データにおける上書き禁止とする区間を、記録部20の上書き禁止エリアに保存する。あるいは、撮影データにおける上書き禁止とする区間を他の装置に送信して保存する。
【0031】
記録制御部104は、記録部20に記録された撮影データを消去する制御を行う。記録制御部104は、利用者変更判断部110が車両の利用者が変更されたと判断した場合、記録部20に記録された撮影データを消去する。記録制御部104は、利用者変更判断部110が車両の利用者が変更されたと判断した場合に消去する撮影データは、記録部20において上書き可能な状態で記録されている撮影データである。記録制御部104は、利用者が変更されるまでの期間にイベントが検出されていない場合に、撮影データを消去する制御を行うこととしてもよい。
【0032】
再生制御部105は、記録部20に記録された撮影データを再生する制御を行う。再生制御部105は、記録部20に記録された、上書き可能な撮影データの再生に加えて、上書き禁止となっているイベント記録データの再生を行い、表示制御部107に出力する。
【0033】
操作制御部106は、操作部30が受け付けた操作情報を取得し、操作情報に基づいた操作指示を、各構成要素に出力する。操作制御部106は、操作部30から再生対象となる各種データの選択指示を取得した場合、再生制御部105に記録部20に記録されているファイルなどを選択させる。操作制御部106は、操作部30から各種データの再生に関する指示を取得した場合、再生制御部105に再生に関する処理を行わせる。各種データの再生に関する指示とは、例えば、再生開始、一時停止、再生停止、拡大表示などである。
【0034】
表示制御部107は、表示部40に対し、様々な情報を表示させる制御を行う。例えば、表示制御部107は、撮像部10が撮影中の撮影データを表示部40に表示させる。また、表示制御部107は、再生制御部105によって再生された記録部20に保存されているイベント記録データ等の撮影データを表示部40に表示させる。また、表示制御部107は、表示部40が操作部30としてのタッチパネル機能を備えている場合、タッチ操作を行うアイコンなどを表示部40に表示させる。
【0035】
イベント検出部108は、加速度センサであるセンサ50が検出している加速度情報を取得し、イベントに該当する加速度が検出された場合、イベントが検出されたと判断する。イベント検出部108は、イベントが検出されたと判断された場合、記録制御部104にイベントが検出された情報を出力する。
【0036】
イベント検出部108は、センサ50から出力された加速度が、車両と、例えば他の車両などの他の物体が衝突したときの加速度に該当する加速度を、イベントに該当する加速度として検出する。イベントに該当する加速度の検出は、x軸方向、y軸方向およびz軸方向の各々で重み付けを行ってもよい。また、イベントに該当する加速度の検出は、加速度の立ち上がりが急峻な加速度を検出対象としてもよい。
【0037】
位置情報取得部109は、例えば、GPS受信部60が受信したGPS衛星からの信号に基づき、時刻毎の現在位置を特定し、時刻毎の現在位置情報を記録制御部104および利用者変更判断部110に出力する。位置情報取得部109は、現在位置情報として、緯度経度を特定する。位置情報取得部109は、GPS受信部60からの信号に加えて、Wi−Fi(登録商標)などの電波を受信し、アクセスポイントの位置情報などを併用して現在位置を特定してもよい。また、位置情報取得部109は、GPSに限らず、他の方式の測位衛星システムに対応していてもよい。
【0038】
利用者変更判断部110は、車両の利用者の変更を判断する。利用者変更判断部110による利用者の変更判断は、車両が特定の地点に配置され、その特定の地点を起点として不特定の利用者が車両を利用することを前提とし、車両が特定の地点に戻ったことによって、車両の利用者が変更されることを判断する。この場合の車両は、例えば、カーシェア用の車両、特定の事業所に配置されている営業車などである。また、この場合の特定の地点とは、カーシェア用の車両を貸し出すために配置されている駐車場、事業所などである。利用者変更判断部110は、車両が配置されている地点の位置情報を予め参照可能となっている。車両が配置されている地点の位置情報は、記録装置1の内部メモリ等に記録されている。
【0039】
例えば、営業車などは、車両が配置されている事業所など特定の地点に戻る毎に車両の利用者が変更されない場合もあるが、このような場合であっても、利用者が変更されるとみなすこととしてもよい。
【0040】
次に、図2を用いて、第一撮影データとイベント記録データとの関係を説明する。図2は、撮影データとイベントデータとの関係を概念的に示す図である。図2の横軸は時間の経過を示しており、右方向に向けて時間が経過していることを示す。
【0041】
図2(a)は、撮影データ取得部101が撮像部10から取得して、バッファメモリ102に一時的に記憶している撮影データを示している。図2(a)の点線は、時間軸に記載された時刻t−3から時刻t+2に対応しており、撮影データ処理部103がファイルを生成するための期間を示している。バッファメモリ102に一時的に記憶されている状態では、ファイルは生成されていないため、ここでは点線で表示する。
【0042】
図2(b)は、撮影データ処理部103が、バッファメモリ102に一時的に記憶している撮影データをファイル化して、記録制御部104が記録部20に記録した撮影データを示している。例えば、撮影データD−3は、時刻t−3から時刻t−2の間に撮影された撮影データであり、ファイル化されて記録部20に上書き可能な状態で記録されている。また、撮影データD−2も同様に、時刻t−2から時刻t−1の間に撮影された撮影データであり、ファイル化されて記録部20に上書き可能な状態で記録されている。
【0043】
例えば、記録部20の記録容量が上限となった場合、図2(b)に示されている撮影データにおいては、撮影データD−3の前の撮影データが上書きされ、その次に撮影データD―3が上書きされ、その次に撮影データD−2が上書きされる。
【0044】
例えば、時刻t−1から時刻tまでの間の時刻T1でイベントが検出された場合、イベント発生時刻である時刻T1の所定時間前から時刻T1の所定時間経過後までの期間における撮影データを、イベント記録データとして保存する。所定時間とは、例えば、イベント発生時刻である時刻T1の30秒前から時刻T1の30秒後までなどであるが、これに限定はされない。
【0045】
一例としては、時刻t−1から時刻tまでの間の時刻T1でイベントが検出された場合、記録制御部104は、撮影データD−1を、記録部20の上書き禁止エリアにイベント記録データD−1´として保存する。
【0046】
例えば、記録部20の記録容量が上限となった場合、図2(b)に示されている撮影データにおいては、撮影データD−1は撮影データD−2に続き上書きされてしまうが、撮影データD−1は、図2(c)に示すように記録部20の上書き禁止エリアに撮影データD−1´として保存されているため、確実に保存される。
【0047】
時刻t−1から時刻tまでの期間の撮影データがファイル化され、記録部20の上書き禁止エリアに保存された撮影データD−1´は、イベント発生時点である時刻T1を含むイベント記録データである。イベント記録データは、イベント発生時点を含むファイルとして生成された期間の撮影データに限定されない。イベント記録データは、例えば、イベント発生時刻である時刻T1の所定時間前から時刻T1の所定時間経過後までの期間における撮影データを、イベント記録データとして保存することとしてもよい。所定時間とは、例えば30秒などであるが、これに限定はされない。
【0048】
また、イベント記録データの保存は、記録部20の上書き禁止エリアへの保存に限らない。例えば、図示しない通信機能を用いて、予め登録された他の装置が備える記録部に記録することとしてもよい。具体例としては、記録装置1と予めペアリングされ通信が確立されている、運転者や同乗者の保有するスマートフォンへ、イベント記録データを送信してもよい。または、記録装置1に予め登録されている、運転者や運転者の関係者、さらには、保険会社や安全保障会社などが保有するサーバ等の装置へ、イベント記録データを送信してもよい。
【0049】
上述した、撮影データおよびイベント記録データのいずれにおいても、位置情報取得部109が取得した位置情報を対応付けて記録されることが好ましい。
【0050】
次に、図3を用いて、記録装置1が実行する記録処理の流れについて説明する。記録装置1が実行する記録処理は、記録装置1として動作するコンピュータとしての制御部100が、プログラムに基づき実行する。制御部100の機能は、複数の装置または複数のユニットが備える制御装置が分散して実行してもよい。その場合、プログラムも装置毎、またはユニット毎に連携して実行される。
【0051】
図3で、処理の開始とは、例えば、移動体である車両のエンジンまたは電源等がオンとなることで、記録装置1が動作可能となることである。処理の開始は、操作部30において記録再生処理の開始が指示されることによって開始されてもよい。
【0052】
処理の開始に伴い、記録装置1は、撮影データの記録とイベントの検出を開始する(ステップS001)。撮影データの記録の開始とは、撮影データ取得部101による撮像部10からの撮影データの取得、撮影データ処理部103による撮影データのファイル化、記録制御部104による撮影データの記録部20への記録が開始されることである。この場合の撮影データの記録は、記録部20に上書き可能な状態で記録され、通常記録またはループ記録とも呼ばれる。また、イベントの検出開始とは、イベント検出部108がセンサ50からの加速度情報の取得を開始し、取得した加速度情報に基づいてイベントの検出を開始することである。
【0053】
また、図3に示す各処理が実行されている間は、撮影データの記録、加速度情報の取得によるイベント検出、位置情報取得部109による現在位置情報の特定は継続して実行されている。
【0054】
ステップS001で、撮影データの記録およびイベントの検出が開始されると、イベント検出部108は、車両に対するイベントが検出されたか否かを判断する(ステップS002)。イベント検出部108は、センサ50が検出した加速度が、例えば、車両に対する物体の衝突に該当するような加速度である場合に、イベントが検出されたと判断する。車両に対する物体の衝突に該当するような加速度とは、加速度の絶対値が所定の閾値以上の加速度である場合や、加速度の絶対値が所定の閾値以上の立ち上がりの急峻な加速度などである。
【0055】
ステップS002において、イベントが検出されたと判断された場合(ステップS002:Yes)、記録制御部104は、ステップS002で検出されたイベントの発生時点を含む撮影データを、イベント記録データとして保存する(ステップS003)。記録制御部104は、イベントの発生時点を含む撮影データを、例えば、図2に示すように、記録部20の上書き禁止エリアに保存する。
【0056】
ステップS002において、イベントが検出されていないと判断された場合(ステップS002:No)、ステップS004に推移する。
【0057】
ステップS003において、イベント記録データが保存された場合、または、ステップS002において、イベントが検出されていない場合、利用者変更判断部110は、車両の利用者変更があるか否かを判断する(ステップS004)。具体的には、利用者変更判断部110は、位置情報取得部109から取得した現在位置情報と、予め記録されている特定の地点の位置情報とに基づいて、双方の位置情報が一致または所定範囲内となったか否か、言い換えると、車両が特定の地点に戻ったか否か、または到達したか否かを判断する。所定範囲内とは、予め記録されている特定の地点の位置情報と、現在位置との差が例えば10m未満程度の場合に所定範囲内とする。
【0058】
ステップS004においては、利用者変更判断部110は、車両の利用者変更があるとする判断として、位置情報取得部109から取得した現在位置情報と、予め記録されている特定の地点の位置情報とが一致または所定範囲内となったかの判断に加え、車両が停止したことを条件として加えてもよい。車両の停止の判断は、位置情報取得部109から取得する現在位置情報の変化がないことや、図示しないインターフェースにより車両から、ギヤ選択情報やサイドブレーキ動作情報等を取得することで判断してもよい。
【0059】
ステップS004で車両の利用者変更があると判断される特定の地点の位置情報とは、例えば、車両が不特定多数の人により共有されるカーシェアのために配置されている位置であり、言い換えると、車両の貸し出しまたは返却を行うための地点である。
【0060】
ステップS004で車両の利用者変更があると判断される特定の地点の位置情報とは、1箇所ではなくともよい。例えば、カーシェア用の車両の貸し出しまたは返却を行うための事業所などが複数あり、貸し出しした地点と返却する地点とが異なる地点である場合は、特定の地点として複数の地点が記録されている。
【0061】
また、カーシェア用の車両の貸し出しまたは返却を行う地点は、車両のユーザが任意に設定することも可能である。例えば、車両を利用中のユーザがその車両を返却する予定の地点と時刻を、例えば任意の店舗の駐車場などに設定し、他のユーザがその時刻および地点で車両の貸し出しを予約する場合などである。
【0062】
ステップS004において、利用者変更判断部110が、車両の利用者変更がないと判断した場合、具体的には、現在位置情報と、予め記録されている特定の地点の位置情報とにが一致または所定範囲内ではない場合(ステップS004:No)、ステップS002に推移する。ステップS004において、利用者変更判断部110が、車両の利用者変更があると判断した場合、具体的には、現在位置情報と、予め記録されている特定の地点の位置情報とにが一致または所定範囲内となった場合(ステップS004:Yes)、記録制御部104は、記録部20に記録されている撮影データを消去して(ステップS005)、本処理を終了する。
【0063】
ステップS004における利用者変更とは、車両が特定の地点に戻ったか否か、または到達したか否かにより判断されるため、次の利用者が存在しない場合であっても、利用者変更とみなす。言い換えると、利用者による利用が終了したか否かの判断である。つまり、ステップS004で、利用者による利用が終了したと判断された場合(ステップS004:Yes)、ステップS005に推移し、利用者による利用が終了したと判断されない場合(ステップS004:No)、ステップS002に推移する。
【0064】
ステップS005の処理においては、撮影データの消去前に、ステップS001で開始された撮影データの記録およびイベントの検出を終了する処理を加えてもよい。ステップS005において、撮影データの記録およびイベントの検出を終了してから撮影データの消去を行う場合、車両が停止していることを条件とすることが好ましい。
【0065】
ステップS005の処理においては、利用者変更までの期間、イベントが検出されていないことを条件として、撮影データが消去されることとしてもよい。利用者変更までの期間、イベントが検出されていない場合は、車両の返却時に撮影データが消去されることに支障がないためである。利用者変更までの期間とは、他の利用者が車両を利用後に車両を返却することで撮影データが消去されてから、次の利用者が車両を利用してステップS004でYesと判断されるまでの期間である。また、利用者変更までの期間とは、図3に示す処理が開始されてから、つまり車両の利用が開始されてから、ステップS004でYesと判断されるまでの期間としてもよい。
【0066】
ステップS005で消去される撮影データは、記録部20に記録されている上書き可能な状態で記録されている撮影データである。利用者変更までの期間にイベントが検出されることで、記録部20にイベント記録データが保存されている場合は、上書き可能な状態で記録されている撮影データおよびイベント記録データのいずれも消去しないこととしてもよく、イベント記録データを除く上書き可能な状態で記録されている撮影データを消去することとしてもよい。利用者変更までの期間にイベントが検出されている場合は、少なくとも車両の管理者がイベント記録データを確認する必要があるためである。記録部20に保存されたイベント記録データは、パスワードや既存の認証技術によって、車両の管理者のみが再生、または消去可能としてもよい。
【0067】
このような処理によって、記録装置1は、車両等で撮影された映像データのセキュリティ性を高めることができる。具体的には、車両の利用者の変更があっても、他の利用者が車両を利用中に撮影された映像データが、他の利用者等によって再生、複写等が行われることを防止する。
【0068】
次に、図4および図5を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る記録装置の構成や処理において、第1実施形態に係る記録装置の構成や処理と共通する内容は、説明を省略する。
【0069】
図4は、本発明の第2実施形態に係る記録装置1Aの構成を示すブロック図である。記録装置1Aは、第1実施形態に係る記録装置1と異なる点として、車両情報I/F70をさらに備える。また、本発明の第2実施形態に係る制御部100Aは、第1実施形態に係る制御部100と異なる点として、利用者変更判断部110に代えて利用者変更判断部110Aを備える。
【0070】
車両情報I/F70は、記録装置1Aが車両からの情報を取得して、利用者変更判断部110Aに送信するためのインターフェースである。 車両情報I/F70は、車両の解錠や利用を行うためのスマートキーに関する情報を車両から取得するためのインターフェースであり、例えばCAN(Controller Area Network)インターフェースである。車両情報I/F70は、例えば、車両が予め登録されたスマートキーとして利用可能なスマートフォンによる操作で解錠や利用が可能である場合、スマートフォンの利用者情報やID等が取得可能なインターフェースである。
【0071】
利用者変更判断部110Aは、車両の利用者の変更を判断する。利用者変更判断部110Aによる利用者の変更判断は、車両情報I/F70を介して取得したスマートキーに関する情報に基づき、異なる利用者や異なるIDのスマートキーによって車両の解錠や利用開始されたことにより、車両の利用者が変更されたことを判断する。
【0072】
次に、図5を用いて、記録装置1Aが実行する記録処理の流れについて説明する。記録装置1Aが実行する記録処理は、記録装置1Aとして動作するコンピュータとしての制御部100Aが、プログラムに基づき実行する。
【0073】
図5で、処理の開始とは、具体的に処理を開始するトリガを特定しないが、少なくとも車両が利用されていない状態で、車両の利用開始を待機している状態である。この状態で、車両に対してスマートキー等によって利用開始または解錠の操作が行われると、利用者変更判断部110Aは、車両情報I/F70を介してスマートキー等の利用者情報やID等を取得する。または、図5の処理は、車両の利用開始に基づき処理が開始される。車両の利用が開始されると、利用者変更判断部110Aは、車両情報I/F70を介してスマートキー等の利用者情報やID等を取得する。
【0074】
先ず、利用者変更判断部110Aは、スマートキー等の利用者情報やID等が取得されたか否かを判断する(ステップS101)。ステップS101において、スマートキー等の利用者情報やID等が取得されていないと判断された場合(ステップS101:No)、ステップS101の処理を再度実行する。ステップS101において、スマートキー等の利用者情報やID等が取得されたと判断された場合(ステップS101:Yes)、利用者変更判断部110Aは、取得したスマートキー等の利用者情報やID等が、前回取得したスマートキー等の利用者情報やID等と一致するか否か、言い換えると、スマートキー等の利用者情報やID等に基づいて、今回の利用者が前回の利用者と異なるか否かを判断する(ステップS102)。ステップS101の判断は、利用者情報等が取得されたか否かの判断に加えて、車両が停止していることを条件として加えてもよい。
【0075】
ステップS102において、今回の利用者が前回の利用者と異なる利用者ではない、つまり今回の利用者が前回の利用者と同一と判断した場合(ステップS102:No)、記録装置1Aは、撮影データの記録とイベントの検出を開始する(S104)。つまり、今回の利用者が前回の利用者と同一である場合は、記録部20に記録されている撮影データの消去を行わずに撮影データの記録とイベントの検出が開始される。ステップS102において、今回の利用者が前回の利用者と異なると判断した場合(ステップS102:Yes)、記録制御部104が、記録部20に記録されている撮影データの消去をおこなった上で(ステップS103)、撮影データの記録とイベントの検出が開始される(ステップS104)。
【0076】
図5におけるステップS105およびステップS106は、図3におけるステップS002およびステップS003と同一であるため、説明は省略する。
【0077】
ステップS105がNoの場合、またはステップS106の後、記録装置1Aは、ステップS104で開始された撮影データの記録とイベントの検出を終了するか否かを判断する(ステップS107)。ステップS107の判断は、車両の利用が終了したことや車両の施錠が行われたことを利用者変更判断部110Aが取得して判断される。ステップS107の判断は、位置情報取得部109から取得した現在位置情報と、予め記録されている特定の地点の位置情報とに基づいて、双方の位置情報が一致または所定範囲内となったことを条件として加えてもよい。
【0078】
ステップS107において、撮影データの記録とイベントの検出を終了しないと判断された場合(ステップS107:No)、ステップS105に推移する。ステップS107において、撮影データの記録とイベントの検出を終了すると判断された場合(ステップS107:Yes)、本処理を終了する。
【0079】
ステップS102における、今回の利用者が前回の利用者と同一であるか否かの判断は、利用者変更判断部110Aが取得したスマートキー等の利用者情報やID等が異なる場合であっても、同一の利用者によって複数のスマートキー等が登録されている場合、同一の契約者によるスマートキー等の変更があっても、前回の利用者と今回の利用者とは同一の利用者とすることとしてもよい。
【0080】
このような処理によって、記録装置1Aは、車両等で撮影された映像データのセキュリティ性を高めることができる。具体的には、車両の利用者の変更があっても、他の利用者が車両を利用中に撮影された映像データが、他の利用者等によって再生、複写等が行われることを防止する。
【0081】
次に、図6および図7を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る記録装置の構成や処理において、第1実施形態に係る記録装置の構成や処理と共通する内容は、説明を省略する。
【0082】
図6は、本発明の第3実施形態に係る記録装置1Bの構成を示すブロック図である。記録装置1Bは、第1実施形態に係る記録装置1と異なる点として、撮像部10に代えて第一撮像部10Aおよび第二撮像部10Bを備える。また、本発明の第3実施形態に係る制御部100Bは、第1実施形態に係る制御部100と異なる点として、撮影データ取得部 101に代えて撮影データ取得部101Bを備え、利用者変更判断部110に代えて利用者変更判断部110Bを備える。また、制御部100Bは、認識処理部111を備える。
【0083】
第一撮像部10Aは、第1実施形態に係る撮像部10と同様であり、移動体である車両の周辺を撮影する、様々な形態のカメラである。
【0084】
第二撮像部10Bは、車両の運転者の顔を撮影するカメラであり、車室内に運転者の顔の方向を向いて配置される。第二撮像部10Bは、可視光を撮影するカメラまたは赤外光を撮影するカメラのいずれであってもよい。第二撮像部10Bが、赤外光を撮影するカメラである場合は、車両の運転者の顔に向けて赤外光を照射する赤外光照射部を備えていてもよい。
【0085】
撮影データ取得部101Bは、第一撮像部10Aおよび第二撮像部10Bが撮影した撮影データを取得する。撮影データ取得部101Bが、第一撮像部10Aから取得した撮影データを第一撮影データとして取得し、第二撮像部10Bから取得した撮影データを第二撮影データとして取得する。
【0086】
認識処理部111は、撮影データ取得部101Bが取得した第二撮影データから人の顔を認識する。認識処理部111は、第二撮影データから人の顔を検出し、検出した人の顔の範囲における、目、鼻、口等の特徴部を検出する。認識処理部111は、検出した目、鼻、口等の特徴部の大きさの比や位置関係のパラメータを、顔認識結果として利用者変更判断部110Bに出力する。
【0087】
利用者変更判断部110Bは、車両の利用者の変更を判断する。利用者変更判断部110Bによる利用者の変更判断は、認識処理部111が認識した、車両の運転者の顔を認識した顔認識結果に基づき、車両の利用者が変更されたことを判断する。利用者変更判断部110Bは、例えば、車両の停止毎や、車両の動力停止毎などの任意のタイミングで、認識処理部111から車両の運転席に着座している人物の顔認識結果を取得する。利用者変更判断部110Bは、認識処理部111から取得した顔認識結果が同一人物であることを示している場合、車両の利用者が変更されていないと判断し、異なる人物であることを示している場合、車両の利用者が変されたと判断する。
【0088】
認識処理部111による顔認識処理、利用者変更判断部110Bによる人物の同一性判断処理は、公知の任意の手法が適用可能である。
【0089】
次に、図7を用いて、記録装置1Bが実行する記録処理の流れについて説明する。記録装置1Bが実行する記録処理は、記録装置1Bとして動作するコンピュータとしての制御部100Bが、プログラムに基づき実行する。図7におけるステップS203からステップS207の処理は、図5におけるステップS103からステップS107の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0090】
先ず、利用者変更判断部110Bは、認識処理部111から顔情報を取得する(ステップS201)。認識処理部111は、車両の運転席に着座している人物の顔を認識する。このため、ステップS201の処理で顔情報が取得できない場合は、運転席に人物が着座してない。このような場合、本処理を終了するか、顔情報が取得されるまで待機していてもよい。また、利用者変更判断部110Bは、取得した顔情報を、図示しない内部メモリや記録部20などに記憶する。
【0091】
ステップS201で顔情報を取得した後、利用者変更判断部110Bは、直近に記憶された顔情報と、ステップS201で取得した顔情報とを比較し、前回とは異なる利用者であるか否か、言い換えると、前回の運転者とは異なる運転者であるか否かを判断する(ステップS202)。ステップS202の判断は、認識処理部111から取得した顔の特徴部の特徴部の大きさの比や位置関係のパラメータの類似度から、同一人物であるか否かを判断する。
【0092】
ステップS202において、今回の利用者が前回の利用者と異なる利用者ではない、つまり今回の利用者が前回の利用者と同一と判断した場合(ステップS202:No)、ステップS203に推移する。ステップS202において、今回の利用者が前回の利用者と異なると判断した場合(ステップS202:Yes)、ステップS204に推移する。
【0093】
このような処理によって、記録装置1Bは、車両等で撮影された映像データのセキュリティ性を高めることができる。具体的には、車両の利用者の変更があっても、他の利用者が車両を利用中に撮影された映像データが、他の利用者等によって再生、複写等が行われることを防止する。
【0094】
なお、本発明は上述した実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上述した各々の実施形態は、実質的に同一の形態を含み、適宜組み合わせることも可能である。また、上述した処理をコンピュータに実行させるためのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、記録装置として動作するコンピュータに供給することができる。
【符号の説明】
【0095】
1、1A、1B 記録装置
10 撮像部
10A 第一撮像部
10B 第二撮像部
20 記録部
30 操作部
40 表示部
50 センサ
60 GPS受信部
70 車両情報I/F
100、100A、100B 制御部(記録制御装置)
101 撮影データ取得部
102 バッファメモリ
103 撮影データ処理部
104 記録制御部
105 再生制御部
106 操作制御部
107 表示制御部
108 イベント検出部
109 位置情報取得部
110、110A、110B 利用者変更判断部
111 認識処理部
120 バスライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7