(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算出部は、前記特徴量として、前記処理対象時点の前の第1期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合い、前記処理対象時点の後の第2期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合い、前記第2期間の後の第3期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合い、及び前記第1期間の前の第4期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値と前記第2期間の後の第5期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値の少なくとも1つを算出し、
前記判定部は、前記算出部により算出された特徴量が、前記第1期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合いである場合は該変化度合いが第1閾値以上である場合、前記第2期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合いである場合は該変化度合いが第2閾値未満である場合、前記第3期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合いである場合は該変化度合いが前記第1閾値よりも小さい第3閾値以上である場合、及び前記第4期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値と前記第5期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値である場合は前記第5期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値が前記第4期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値よりも小さい場合に、前記対象者が排尿したと判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
前記特徴量は、前記処理対象時点の前の第1期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合い、前記処理対象時点の後の第2期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合い、前記第1期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合いと前記第2期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合いとの違いを示す値、前記第1期間の前記時系列データを近似して得られた直線と前記第2期間の前記時系列データを近似して得られた直線との交差角度、前記第2期間の後の第3期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合い、前記第2期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合いと前記第3期間の前記心拍数又は前記脈拍数の変化度合いとの違いを示す値、前記第2期間の前記時系列データを近似して得られた直線と前記第3期間の前記時系列データを近似して得られた直線との交差角度、前記第1期間の前の第4期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値、前記第2期間の後の第5期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値、前記第4期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値と前記第5期間の前記心拍数又は前記脈拍数の値との違いを示す値、前記第1期間及び前記第2期間の前記時系列データにおける前記心拍数又は前記脈拍数と基準値との差の積算値、前記第5期間の前記時系列データにおける前記心拍数又は前記脈拍数と前記基準値との差の積算値、及び前記第1期間及び前記第2期間の前記時系列データにおける前記心拍数又は前記脈拍数と前記基準値との差の積算値と前記第5期間の前記時系列データにおける前記心拍数又は前記脈拍数と前記基準値との差の積算値との違いを示す値の少なくとも1つである、
請求項2に記載の情報処理装置。
前記判定部は、排尿期間及び非排尿期間の各々について取得された前記心拍数又は前記脈拍数を用いて算出された前記特徴量を用いて予め生成された推定モデルを用いて、前記算出部により算出された前記特徴量に基づいて、前記対象者が排尿したか否かを判定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、開示の技術の実施形態の例を詳細に説明する。
【0011】
まず、実施形態の詳細を説明する前に、
図1を参照して、人の排尿と心拍数との関係性に関する知見について説明する。なお、以下では、排尿したか否かの推定対象とする人を「対象者」という。
【0012】
図1に、対象者が排尿した期間を含む前後の所定期間の対象者の心拍数の時系列データを示す。
図1の矢印Y1に示すように、対象者の排尿の開始に伴って心拍数は増加し、矢印Y2に示すように、対象者の排尿の終了に伴って心拍数は減少する。また、矢印Y3に示すように、心拍数の減少の終了後に、心拍数は、所定期間徐々に増加する。また、心拍数の減少の終了後の心拍数S1は、心拍数の増加の開始前の心拍数S2よりも小さくなる。
【0013】
以下の実施形態では、上記の排尿と心拍数との関係性の知見に基づき、対象者が排尿したか否かを判定する。なお、
図1では、排尿と心拍数との関係性について示したが、排尿と脈拍数との関係性についても同様の傾向が見られる。
【0014】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る情報処理システム10の構成を説明する。
図2に示すように、情報処理システム10は、対象者に装着された測定装置12、及び情報処理装置14を含む。測定装置12は無線通信によってネットワーク16に接続され、情報処理装置14は有線通信及び無線通信の少なくとも一方によってネットワーク16に接続される。すなわち、測定装置12及び情報処理装置14は、ネットワーク16を介してデータの送受信が可能とされる。情報処理装置14の例としては、パーソナルコンピュータ、及びサーバコンピュータ等の情報処理装置が挙げられる。
【0015】
測定装置12は、対象者の単位時間当たりの心拍数を所定間隔(例えば、1秒間隔)で測定し、測定により得られた心拍数を、ネットワーク16を介して情報処理装置14に送信する。測定装置12の例としては、対象者の手首、腕、及び胸等に装着されるウェアラブルの心拍センサが挙げられる。
【0016】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置14の機能的な構成を説明する。
図3に示すように、情報処理装置14は、取得部20、算出部22、生成部24、判定部26、及び推定部28を含む。情報処理装置14の所定の記憶領域には、時系列データ40、実績格納部42、モデル生成用格納部44、推定モデル46、及び排尿時刻データ48が記憶される。
【0017】
実績格納部42には、過去の所定期間(例えば、1週間)において、対象者が実際に排尿した期間、及び排尿していない期間の対象者の心拍数が予め記憶される。
図4に、実績格納部42の一例を示す。
図4に示すように、実績格納部42には、対象者が実際に排尿した期間の心拍数の取得日時及び心拍数が、「排尿」というラベルが付与されて記憶される。また、実績格納部42には、対象者が実際に排尿していない期間の心拍数の取得日時及び心拍数が、「非排尿」というラベルが付与されて記憶される。
【0018】
取得部20は、測定装置12から送信された心拍数を取得し、心拍数を取得した時刻と取得した心拍数とを対応付けて、時系列データ40に追加する。すなわち、時系列データ40には、一例として
図1に示した心拍数の時系列データが記憶される。
【0019】
算出部22は、時系列データ40における心拍数の変化の傾向を示す特徴量(以下、単に「特徴量」という)を算出する。本実施形態では、算出部22は、時系列データ40の所定期間毎(例えば、10秒毎)の時刻を特徴量の算出対象とする。以下では、特徴量の算出対象とする時刻を「対象時刻」という。
【0020】
算出部22は、時系列データ40を参照し、対象時刻から所定期間(例えば、3分)前の範囲内の各心拍数の取得時刻から対象時刻までの心拍数の時系列データを直線に近似し、近似して得られた各直線の傾きを算出する。なお、この算出の際、算出部22は、対象時刻の直前の所定期間(例えば数秒)の心拍数を除いて心拍数の時系列データを直線に近似してもよい。そして、算出部22は、一例として
図5に示すように、近似して得られた各直線のうち、傾きが最大である直線L1の起点の時刻を、起点時刻t1と特定する。なお、
図5では、対象時刻を「t2」で示している。また、以下では、直線L1の傾きを「傾きa
u1」という。すなわち、傾きa
u1が起点時刻t1から対象時刻t2までの第1期間における心拍数の変化度合いを示す。
【0021】
また、算出部22は、時系列データ40を参照し、対象時刻から、対象時刻から所定期間(例えば、3分)後の範囲内の各心拍数の取得時刻までの心拍数の時系列データを直線に近似し、近似して得られた各直線の傾きを算出する。なお、この算出の際、算出部22は、対象時刻の直後の所定期間(例えば数秒)の心拍数を除いて心拍数の時系列データを直線に近似してもよい。そして、算出部22は、一例として
図5に示すように、近似して得られた各直線のうち、傾きが最小である直線L2の終点の時刻を、終点時刻t3と特定する。なお、以下では、直線L2の傾きを「傾きa
d」という。すなわち、傾きa
dが対象時刻t2から終点時刻t3までの第2期間における心拍数の変化度合いを示す。
【0022】
また、算出部22は、第1期間における心拍数の変化度合いと第2期間における心拍数の変化度合いとの違いを示す値として、以下に示す(1)式に従って、傾きa
u1の絶対値と傾きa
dの絶対値との比H1を算出する。
H1=|a
u1|÷|a
d|・・・(1)
【0023】
なお、算出部22は、第1期間における心拍数の変化度合いと第2期間における心拍数の変化度合いとの違いを示す値として、傾きa
u1の絶対値と傾きa
dの絶対値との差(例えば、|a
u1|−|a
d|)を算出してもよい。
【0024】
また、算出部22は、以下に示す(2)式及び(3)式に従って、傾きa
u1の直線L1と傾きa
dの直線L2との交差角度Θ
1を算出する。
【0026】
また、算出部22は、一例として
図6に示すように、終点時刻t3から所定期間(例えば、15分)内の心拍数の時系列データを直線L3に近似し、近似して得られた直線L3の傾きa
u2を算出する。なお、以下では、この終点時刻t3からの所定期間を「第3期間」という。すなわち、傾きa
u2が第3期間における心拍数の変化度合いを示す。第3期間の長さとしては、例えば、対象者が実際に排尿した後の心拍数の実測値が徐々に増加する期間の下限値等を適用することができる。また、第3期間は、第2期間よりも長くすることが望ましい。
【0027】
また、算出部22は、第2期間における心拍数の変化度合いと第3期間における心拍数の変化度合いとの違いを示す値として、以下に示す(4)式に従って、傾きa
dの絶対値と傾きa
u2の絶対値との比H2を算出する。
H2=|a
d|÷|a
u2|・・・(4)
【0028】
なお、算出部22は、第2期間における心拍数の変化度合いと第3期間における心拍数の変化度合いとの違いを示す値として、傾きa
dの絶対値と傾きa
u2の絶対値との差(例えば、|a
d|−|a
u2|)を算出してもよい。
【0029】
また、算出部22は、前述した交差角度Θ
1と同様に、傾きa
dの直線L2と傾きa
u2の直線L3との交差角度Θ
2を算出する。
【0030】
また、算出部22は、一例として
図7に示すように、第1期間の前の心拍数を示す値として、第1期間の前の所定期間(例えば、10分)の心拍数の平均値μ
uを算出する。なお、以下では、この第1期間の前の所定期間を「第4期間」という。また、算出部22は、第2期間の後の心拍数を示す値として、第2期間の後の所定期間(例えば、10分)の心拍数の平均値μ
dを算出する。なお、以下では、この第2期間の後の所定期間を「第5期間」という。第5期間は前述した第3期間と同じでもよい。なお、第4期間の長さ、及び第5期間の長さは、第1期間と第2期間との和より長いことが望ましい。
【0031】
また、算出部22は、第4期間の心拍数と第5期間の心拍数との違いを示す値として、以下に示す(5)式に従って、平均値μ
dと平均値μ
uとの比H3を算出する。
H3=μ
d÷μ
u・・・(5)
【0032】
なお、第4期間の心拍数と第5期間の心拍数との違いを示す値として、平均値μ
dと平均値μ
uとの差(例えば、μ
d−μ
u)を算出してもよい。
【0033】
また、算出部22は、第1期間及び第2期間の心拍数の合計を示す値として、第1期間及び第2期間の各心拍数と平均値μ
uとの差の絶対値の積算値を算出することによって、
図8に示す面積A1を算出する。なお、算出部22は、第1期間及び第2期間の心拍数の合計を示す値として、第1期間及び第2期間の各心拍数と平均値μ
uとの差の積算値を算出してもよい。
【0034】
また、算出部22は、第5期間の心拍数の合計を示す値として、第5期間の各心拍数と平均値μ
uとの差の絶対値の積算値を算出することによって、
図8に示す面積A2を算出する。なお、算出部22は、第5期間の心拍数の合計を示す値として、第5期間の各心拍数と平均値μ
uとの差の積算値を算出してもよい。
【0035】
また、算出部22は、第1期間及び第2期間の心拍数の合計を示す値と第5期間の心拍数の合計を示す値との違いを示す値として、以下に示す(6)式に従って、面積A2と面積A1との比H4を算出する。
H4=A2÷A1・・・(6)
【0036】
なお、算出部22は、第1期間及び第2期間の心拍数の合計を示す値と第5期間の心拍数の合計を示す値との違いを示す値として、面積A2と面積A1との差(例えば、A2−A1)を算出してもよい。
【0037】
以上説明したように、算出部22は、時系列データ40を参照し、特徴量として、傾きa
u1、傾きa
d、比H1、交差角度Θ
1、傾きa
u2、比H2、交差角度Θ
2、平均値μ
u、平均値μ
d、比H3、面積A1、面積A2、及び比H4を算出する。
【0038】
また、算出部22は、実績格納部42に記憶された各データについても同様に、特徴量として、傾きa
u1、傾きa
d、比H1、交差角度Θ
1、傾きa
u2、比H2、交差角度Θ
2、平均値μ
u、平均値μ
d、比H3、面積A1、面積A2、及び比H4を算出する。そして、算出部22は、算出対象の日時に対応付けられたラベルと、算出対象の日時について算出した各特徴量とを対応付けて、モデル生成用格納部44に記憶する。
図9に、モデル生成用格納部44の一例を示す。
図9に示すように、モデル生成用格納部44には、実績格納部42に記憶されたデータを用いて算出部22により算出された排尿時及び非排尿時の各々の各特徴量が記憶される。また、本モデルは分析者が任意に作成してもよい。
【0039】
生成部24は、モデル生成用格納部44に記憶されたデータを用いて、推定モデル46を生成する。本実施形態では、生成部24は、モデル生成用格納部44に記憶されたデータを用いた機械学習によって、排尿時及び非排尿時の各々の特徴量の平均ベクトル及び共分散行列を算出する。なお、この算出により得られる平均ベクトルは、特徴量の種類の数の次元のベクトルとなり、共分散行列は、特徴量の種類の数×特徴量の種類の数の対称行列となる。
【0040】
そして、生成部24は、算出した排尿時の平均ベクトル及び共分散行列と、非排尿時の平均ベクトル及び共分散行列とを推定モデル46として記憶する。
図10に、推定モデル46の一例を示す。
図10に示すように、推定モデル46は、排尿時及び非排尿時の各々に対応付けられた平均ベクトル及び共分散行列を含む。
【0041】
判定部26は、算出部22により算出された各特徴量に基づいて、対象者が排尿したか否かを判定する。以下では、マハラノビス距離を使った判定方法を例示したが、これ以外にも、サポートベクタマシン、ブースティングやニューラルネットワークなどの任意のアルゴリズムを適用することができる。本実施形態では、判定部26は、特徴量空間において、算出部22により算出された各特徴量と、推定モデル46の排尿時に対応する平均ベクトル及び共分散行列が示す排尿時の特徴量の分布とのマハラノビス距離D
dを算出する。具体的には、判定部26は、以下に示す(7)式に従って、マハラノビス距離D
dを算出する。なお、(7)式におけるv
dは、推定モデル46の排尿時に対応する平均ベクトルであり、Σ
dは推定モデル46の排尿時に対応する共分散行列である。また、(7)式におけるxは、(x
1、x
2、・・・、x
13)
Tであり、このx
1、x
2、・・・、x
13は、算出部22により算出された各特徴量である。
【0043】
また、判定部26は、特徴量空間において、算出部22により算出された各特徴量と、推定モデル46の非排尿時に対応する平均ベクトル及び共分散行列が示す非排尿時の特徴量の分布とのマハラノビス距離D
nを算出する。具体的には、判定部26は、以下に示す(8)式に従って、マハラノビス距離D
nを算出する。なお、(8)式におけるv
nは、推定モデル46の非排尿時に対応する平均ベクトルであり、Σ
nは推定モデル46の非排尿時に対応する共分散行列である。
【0045】
そして、判定部26は、排尿及び非排尿のうち、算出部22により算出された各特徴量とのマハラノビス距離が小さい方に、各特徴量を分類することによって、対象者が排尿したか否かを判定する。具体的には、判定部26は、マハラノビス距離D
dがマハラノビス距離D
nよりも小さい場合に、対象者が排尿したと判定する。すなわち、マハラノビス距離D
dが小さいほど、算出部22により算出された各特徴量と排尿時の各特徴量の分布との類似度が高いと換言できる。また、マハラノビス距離D
nが小さいほど、算出部22により算出された各特徴量と非排尿時の各特徴量の分布との類似度が高いと換言できる。
【0046】
図11に、特徴量が2つの場合のマハラノビス距離D
d、D
nの一例を示す。
図11に示すように、算出部22により算出された特徴量がプロットされた点Pについて、マハラノビス距離D
nは、マハラノビス距離D
dよりも小さい。従って、
図11に示す例では、判定部26は、対象者が排尿していないと判定する。
【0047】
推定部28は、判定部26により対象者が排尿したと判定された場合、判定に用いられた各特徴量が算出された際の対象時刻を、排尿時刻と推定する。そして、推定部28は、推定した排尿時刻を、排尿時刻データ48に追加する。なお、推定部28は、判定部26により対象者が排尿したと判定された場合、判定に用いられた各特徴量が算出された際の第1期間の起点時刻t1を、排尿時刻と推定してもよいし、第1期間内の所定の時刻を排尿時刻と推定してもよい。
【0048】
情報処理装置14は、例えば
図12に示すコンピュータ60で実現することができる。コンピュータ60は、Central Processing Unit(CPU)61、一時記憶領域としてのメモリ62、及び不揮発性の記憶部63を備える。また、コンピュータ60は、表示装置及び入力装置等の入出力装置64を備える。また、コンピュータ60は、記録媒体68に対するデータの読み込みと書き込みとを制御するRead/Write(R/W)部65、及びネットワークに接続されるネットワークI/F66を備える。CPU61、メモリ62、記憶部63、入出力装置64、R/W部65、及びネットワークI/F66は、バス67を介して互いに接続される。
【0049】
記憶部63は、Hard Disk Drive(HDD)、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現することができる。記憶媒体としての記憶部63には、コンピュータ60を情報処理装置14として機能させるための情報処理プログラム70が記憶される。情報処理プログラム70は、取得プロセス71、算出プロセス72、生成プロセス73、判定プロセス74、及び推定プロセス75を有する。また、記憶部63は、時系列データ40、実績格納部42、モデル生成用格納部44、推定モデル46、及び排尿時刻データ48が記憶される情報記憶領域76を有する。
【0050】
CPU61は、情報処理プログラム70を記憶部63から読み出してメモリ62に展開し、情報処理プログラム70が有するプロセスを実行する。CPU61は、取得プロセス71を実行することで、
図3に示す取得部20として動作する。CPU61は、算出プロセス72を実行することで、
図3に示す算出部22として動作する。CPU61は、生成プロセス73を実行することで、
図3に示す生成部24として動作する。CPU61は、判定プロセス74を実行することで、
図3に示す判定部26として動作する。CPU61は、推定プロセス75を実行することで、
図3に示す推定部28として動作する。これにより、情報処理プログラム70を実行したコンピュータ60が、情報処理装置14として機能することになる。なお、情報処理プログラム70が有するプロセスを実行するCPU61は、ハードウェアである。
【0051】
また、情報処理プログラム70により実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等で実現することも可能である。
【0052】
次に、本実施形態に係る情報処理装置14の作用を説明する。情報処理装置14が情報処理プログラム70を実行することで、
図13に示す生成処理、及び
図14に示す推定処理を実行する。
図13に示す生成処理は、例えば、入出力装置64の入力装置を介して、ユーザにより実行指示が入力された場合にCPU61により実行される。また、
図14に示す推定処理は、例えば、
図13に示す生成処理により推定モデル46が生成された後で、かつ情報処理装置14の電源スイッチがオン状態とされた場合に実行される。
【0053】
図13に示す生成処理のステップS10で、算出部22は、前述したように、実績格納部42に記憶されたデータの各日時について、特徴量として、傾きa
u1、傾きa
d、比H1、交差角度Θ
1、傾きa
u2、比H2、及び交差角度Θ
2を算出する。また、算出部22は、前述したように、実績格納部42に記憶されたデータの各日時について、特徴量として、平均値μ
u、平均値μ
d、比H3、面積A1、面積A2、及び比H4を算出する。
【0054】
次のステップS12で、算出部22は、算出対象の日時に対応付けられたラベルと、算出対象の日時についてステップS10で算出された各特徴量とを対応付けて、モデル生成用格納部44に記憶する。次のステップS14で、生成部24は、ステップS12でモデル生成用格納部44に記憶されたデータを用いた機械学習によって、排尿時及び非排尿時の各々の特徴量の平均ベクトル及び共分散行列を算出する。
【0055】
次のステップS16で、生成部24は、ステップS14で算出された排尿時の平均ベクトル及び共分散行列と、非排尿時の平均ベクトル及び共分散行列とを推定モデル46として記憶する。本ステップS16の処理が終了すると、本生成処理が終了する。
【0056】
図14に示す推定処理のステップS30で、取得部20は、測定装置12から送信された心拍数を、ネットワークI/F66を介して取得する。次のステップS32で、取得部20は、ステップS30で心拍数を取得した時刻、及び取得した心拍数を対応付けて、時系列データ40に追加する。次のステップS34で、判定部26は、対象者が排尿したか否かを判定する処理の実行タイミングが到来したか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS30に戻り、肯定判定となった場合は、処理はステップS36に移行する。なお、この実行タイミングとしては、例えば、夜間に1日1回等の定期的なタイミングが挙げられる。
【0057】
以下のステップS36からステップS46の処理は、ステップS30からステップS34の繰り返し処理により記憶部63に記憶された時系列データ40におけるステップS36からステップS44の処理が未実行のデータが処理対象とされる。また、以下のステップS36からステップS44の処理は、繰り返し実行されることによって処理対象のデータの所定期間毎の対象時刻の各々について実行される。
【0058】
ステップS36で、
図15に示す特徴量算出処理が実行される。
図15に示す特徴量算出処理のステップS60で、算出部22は、前述したように、時系列データ40を参照し、対象時刻から所定期間前の範囲内の各心拍数の取得時刻から対象時刻までの心拍数の時系列データを直線に近似する。また、算出部22は、近似して得られた各直線の傾きを算出する。そして、算出部22は、近似して得られた各直線のうち、傾きが最大である直線L1の起点の時刻を、起点時刻t1と特定する。また、算出部22は、この直線L1の傾きを傾きa
u1とする。
【0059】
次のステップS62で、算出部22は、前述したように、時系列データ40を参照し、対象時刻から、対象時刻から所定期間後の範囲内の各心拍数の取得時刻までの心拍数の時系列データを直線に近似し、近似して得られた各直線の傾きを算出する。そして、算出部22は、近似して得られた各直線のうち、傾きが最小となる直線L2の終点の時刻を、終点時刻t3と特定する。また、算出部22は、この直線L2の傾きを傾きa
dとする。
【0060】
次のステップS64で、算出部22は、上記(1)式に従って、ステップS60で算出された傾きa
u1の絶対値と、ステップS62で算出された傾きa
dとの比H1を算出する。次のステップS66で、算出部22は、上記(2)式及び(3)式に従って、ステップS60で算出された傾きa
u1の直線L1と、ステップS62で算出された傾きa
dの直線L2との交差角度Θ
1を算出する。
【0061】
次のステップS68で、算出部22は、前述したように、終点時刻t3から所定期間内の心拍数の時系列データを直線L3に近似し、近似して得られた直線L3の傾きa
u2を算出する。次のステップS70で、算出部22は、上記(4)式に従って、ステップS62で算出された傾きa
dの絶対値と、ステップS68で算出された傾きa
u2の絶対値との比H2を算出する。
【0062】
次のステップS72で、算出部22は、前述したように、ステップS62で算出された傾きa
dの直線L2と、ステップS68で算出された傾きa
u2の直線L3との交差角度Θ
2を算出する。次のステップS74で、算出部22は、前述したように、第4期間の心拍数の平均値μ
uを算出する。次のステップS76で、算出部22は、前述したように、第5期間の心拍数の平均値μ
dを算出する。
【0063】
次のステップS78で、算出部22は、上記(5)式に従って、ステップS76で算出された平均値μ
dと、ステップS74で算出された平均値μ
uとの比H3を算出する。次のステップS80で、算出部22は、前述したように、第1期間及び第2期間の各心拍数と、ステップS74で算出された平均値μ
uとの差の絶対値の積算値を算出することによって、面積A1を算出する。
【0064】
次のステップS82で、算出部22は、第5期間の各心拍数と、ステップS74で算出された平均値μ
uとの差の絶対値の積算値を算出することによって、面積A2を算出する。次のステップS84で、算出部22は、上記(6)式に従って、ステップS82で算出された面積A2と、ステップS80で算出された面積A1との比H4を算出する。本ステップS84の処理が終了すると本特徴量算出処理が終了し、処理は
図14に示す推定処理のステップS38に戻る。
【0065】
図14に示す推定処理のステップS38で、判定部26は、上記(7)式に従って、ステップS36で算出された各特徴量と、推定モデル46の排尿時に対応する平均ベクトル及び共分散行列が示す排尿時の特徴量の分布とのマハラノビス距離D
dを算出する。次のステップS40で、判定部26は、上記(8)式に従って、ステップS36で算出された各特徴量と、推定モデル46の非排尿時に対応する平均ベクトル及び共分散行列が示す非排尿時の特徴量の分布とのマハラノビス距離D
nを算出する。
【0066】
次のステップS42で、判定部26は、ステップS38で算出されたマハラノビス距離D
dが、ステップS40で算出されたマハラノビス距離D
nよりも小さいか否かを判定することによって対象者が排尿したか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS46に移行し、肯定判定となった場合は、処理はステップS44に移行する。
【0067】
ステップS44で、推定部28は、ステップS42の判定に用いられた各特徴量がステップS36で算出された際の対象時刻を、排尿時刻と推定する。そして、推定部28は、推定した排尿時刻を、排尿時刻データ48に追加する。次のステップS46で、判定部26は、ステップS36からステップS44の処理が、時系列データ40の処理対象とされたデータの全ての対象時刻について完了したか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS36に戻り、肯定判定となった場合は、処理はステップS30に戻る。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、対象者の心拍数の時系列データ40における心拍数の変化の傾向を示す特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、対象者が排尿したか否かを判定する。従って、対象者が排尿したか否かを精度良く判定することができる。また、本実施形態によれば、特別な装置を用いずに、対象者が排尿したか否かを判定することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、判定部26により対象者が排尿したと判定された場合、判定に用いられた特徴量が算出された処理対象時点を対象者による排尿時点と推定している。従って、情報処理装置14のユーザが排尿時点を把握することができる。
【0070】
なお、上記実施形態において、対象者の心拍数に代えて、対象者の脈拍数を用いる形態としてもよい。
【0071】
また、上記実施形態において用いた各特徴量は全て用いなくてもよい。各特徴量のうち、2つ以上を用いる場合、上記実施形態と同様に、対象者が排尿したか否かを判定することができる。また、各特徴量の何れか1つを用いる場合、実績格納部42から排尿時及び非排尿時の各々の特徴量の平均値を算出する。そして、この場合、時系列データ40を用いて算出した特徴量が、算出した排尿時及び非排尿時の各々の特徴量の平均値の何れに近いかによって、対象者が排尿したか否かを判定する形態が例示される。
【0072】
また、上記実施形態では、機械学習によって得られた推定モデル46を用いて対象者が排尿したか否かを判定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1期間の心拍数の変化度合いを示す傾きa
u1が0より大きい第1閾値以上である場合に、対象者が排尿したと判定する形態としてもよい。また、例えば、第2期間の心拍数の変化度合いを示す傾きa
dが0より小さい第2閾値未満である場合に、対象者が排尿したと判定する形態としてもよい。また、例えば、第3期間の心拍数の変化度合いを示す傾きa
u2が0より大きく第1閾値より小さい第3閾値以上である場合に、対象者が排尿したと判定する形態としてもよい。また、例えば、第5期間の心拍数の平均値μ
dが第4期間の心拍数の平均値μ
uよりも小さい場合に、対象者が排尿したと判定する形態としてもよい。また、例えば、これらの傾きa
u1、傾きa
d、傾きa
u2、平均値μ
d、及び平均値μ
dを用いた条件のうちの複数の条件の各々を満たす場合に、対象者が排尿したと判定する形態としてもよい。これらの条件は、前述した知見を特徴的に表す条件であるため、比較的少ない演算量で、対象者が排尿したことを精度良く推定することができる。
【0073】
また、上記実施形態において、情報処理装置14により実現される機能を測定装置12が実現してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、情報処理プログラム70が記憶部63に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム70は、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリ、メモリカード等の記録媒体に記録された形態で提供することも可能である。