(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記正規化部は、覚醒状態が予め定められた状態にあるときの前記測定対象のユーザの知的能力の試験結果を用いて、互いに異なる複数の覚醒状態での前記知的能力の試験結果を正規化する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
前記推定モデル生成部は、第1の覚醒状態による知的能力の低下と、第2の覚醒状態による知的能力の低下を、別々にモデル化した覚醒度推定モデルを生成する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
前記覚醒度の推定結果に基づき、前記推定対象のユーザに関する、所定の管理情報を提供する管理情報提供手段に接続するか、前記管理情報提供手段を装置内に備えた、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
前記知的能力の試験結果を正規化するにあたり、覚醒状態が予め定められた状態にあるときの前記測定対象のユーザの知的能力の試験結果を用いて、互いに異なる複数の覚醒状態での前記知的能力の試験結果を正規化する、ことを特徴とする請求項8に記載の覚醒度推定方法。
前記覚醒度推定モデルを生成するにあたり、第1の覚醒状態による知的能力の低下と、第2の覚醒状態による知的能力の低下を、別々にモデル化した覚醒度推定モデルを生成する、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の覚醒度推定方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の例示的な実施形態について説明する。
【0017】
<実施形態1>
図1は、本発明の例示的な第1の実施形態の構成を説明するための図である。
図1を参照すると、例示的な第1の実施形態に係る情報処理装置10は、生体情報に基づき少なくとも知的能力の低下を伴う覚醒度の推定を行うための構成として、覚醒度推定モデル生成手段(部)11と、覚醒度推定手段(部)12を備えている。なお、情報処理装置10は、その機能の1部を用いて、例えば「覚醒度推定装置」と称呼してもよい。なお、
図1等において、覚醒度推定モデル生成手段(部)11の表記は、覚醒度推定モデル生成手段11の「手段」が、ユニット、すなわち覚醒度推定モデル生成ユニットとして構成してもよいことを表している。同様に、覚醒度推定手段(部)12は、覚醒度推定手段12が覚醒度推定ユニットとして構成してもよいことを表している。
【0018】
覚醒度推定モデル生成手段(部)11は、測定対象のユーザの互いに異なる複数の覚醒状態での知的能力の試験中の生体情報と前記知的能力の試験結果と、に基づき、覚醒度推定モデル131を生成し、記憶装置13に記憶する。
【0019】
覚醒度推定手段(部)12は、推定対象のユーザから取得した生体情報に対して、記憶装置13に記憶された覚醒度推定モデル131を用いて覚醒度を推定する。なお、記憶装置13は、覚醒度推定モデル生成手段(部)11で生成した覚醒度推定モデル131を覚醒度推定手段(部)12に受け渡すことができれば、覚醒度推定モデル生成手段(部)11又は覚醒度推定手段(部)12内に備えた構成としてもよい。覚醒度推定モデル生成手段(部)11と覚醒度推定手段(部)12は、例えば通信ネットワークを介して接続する別々のノード装置として実現してもよい。この場合、情報処理装置10は、情報処理システム(あるいは「覚醒度推定システム」等)と称呼されてもよい。
【0020】
図2は、本発明の例示的な第1の実施形態を説明する図であり、ユーザに装着される生体情報センサと、測定環境が模式的に示されている。
【0021】
図2を参照すると、覚醒度推定モデル生成フェーズでは、測定対象のユーザ1に、脳波計20−1を装着してもよい。すなわち、脳波計20−1でユーザ1の脳波を測定することで、ユーザ1の覚醒状態をモニタし、ユーザ1の互いに異なる複数の覚醒状態(例えば低覚醒状態、高覚醒状態、中間の状態等)を判別してもよい。例えば低覚醒状態では、後頭部のα波の連続性が認められなくなったり、周波数が遅くなり振幅が低下する等、脳波は覚醒度を表すことが知られている。なお、
図2には、脳波計20−1として、ユーザ1の頭部にセンサーバンドを装着するだけで脳波をピックアップする構成のものが例示されているが、例えば国際10/20法に従って19個の電極を配置した脳波測定用帽子電極であってもよい。脳波計20―1は検出した脳波をデジタル信号に変換し、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信により、情報処理装置10に送信する構成としてもよい。あるいは、USB(Universal Serial Bus)、RS232C、あるいは光ケーブル等の有線通信によって測定結果を情報処理装置10に送信する構成としてもよい。なお、測定対象のユーザ1の異なる複数の覚醒状態の判別は、脳波計20−1の代わりに、他の生体情報センサを用いてもよい。
【0022】
特に制限されないが、心拍センサ20−2は、例えば腕時計(ウォッチ)型のものが例示されているが、腕巻型であってもよい。腕時計型の心拍センサ20−2はセンシングした心拍データをデジタルデータに変換し例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信により情報処理装置10に送信する。
【0023】
パソコン30のディスプレイの前面のカメラ20−3は、ユーザ1の顔画像を撮像し、画像データを解析して瞬き等を検出するために用いられる。あるいは視線の角度やまばたきの速度などを検出できるメガネ型のセンサ20−4を用いてもよい。カメラ20−3で撮像した画像データは、パソコン30からUSBやEthernet(登録商標)等の有線又は無線で情報処理装置10に送信する構成としてもよい。メガネ型のセンサ20−4はセンシングした瞬きデータ等、Bluetooth(登録商標)等の無線通信により情報処理装置10に送信する。なお、カメラ20−3は、瞬きの検出だけでなく、ユーザ1の姿勢、体動の監視に用いてもよい。
【0024】
あるいは、マイクロ波生体情報センサ20−5を、ユーザ1から離間した位置に配置し、非接触で、ユーザ1の心拍、呼吸をセンシングするようにしてもよい。あるいは、椅子に配設しその上に座っているユーザ1の心拍や呼吸、体動をセンシングするシート型の生体情報センサ20−6を備えてもよい。センサ20−5、20−6はセンシングした心拍データをデジタルデータに変換し有線又は無線通信により情報処理装置10に送信する。あるいは、イヤクリップ式の光電脈波センサ20−7を用いて脈拍信号をセンシングして、Bluetooth(登録商標)等の無線通信により情報処理装置10に送信するようにしてもよい。
【0025】
図2において、センサ20−2、20―5、20−6、20−7や、瞬きセンサとして機能するカメラ20−3、およびセンサ20−4のうちいずれか一つを備えた構成としてもよい。
【0026】
覚醒度推定モデル生成フェーズでは、情報処理装置10は、例えば脳波計20−1を用いて、パソコン30を作業する測定対象のユーザ1の脳波を取得し、測定対象のユーザ1の覚醒状態の判別を行うようにしてもよい。また、ユーザ1の顔表情から覚醒状態を判別してもよい。また、ユーザ1の主観により覚醒状態を判別してもよい。測定対象のユーザ1の覚醒状態が、例えば低覚醒状態であることが検出されると、測定対象のユーザ1は知的能力テストを受ける。その際、知的能力テスト実行中の測定対象のユーザ1の生体情報を、例えば生体情報センサ(
図2の20−2〜20−7の少なくとも一つ)で取得する。ここで、測定対象のユーザ1の異なる複数の覚醒状態の判別は、前述したように、脳波計20−1の代わりに、例えばセンサ20−2〜20−7のいずれかでセンシングされた体動、姿勢、心拍や呼吸データ等のセンシング結果等に基づき行うようにしてもよい。
【0027】
覚醒度推定フェーズでは、推定対象のユーザ1は、例えば実際に仕事をしている状態で、生体情報の取得が行われる。このため、生体情報センサとして、推定対象のユーザ1に対して負担の多い脳波計20−1は用いられず、自然な姿勢で作業が行える腕時計型の心拍センサ20−2や、センサ20−4〜20−7等の少なくとも1つが用いられる。推定対象のユーザ1は、
図2の脳波計20−1が外された状態で、実作業を行う。なお、測定対象のユーザ1と、推定対象のユーザ1は、同一人であっても、異なる人であってもよい。
【0028】
なお、
図2では、単に説明の簡単のため、情報処理装置10を、パソコン30と別の装置として配設した例が示されているが、情報処理装置10をパソコン30に実装するようにしてもよい。あるいは、生体情報センサとのBluetooth(登録商標)等による無線通信は、パソコン30で行い、パソコン30で受信した生体情報の解析等は、パソコン30が接続するサーバ(不図示)で行うようにしてもよい。
【0029】
図3は、
図1の覚醒度推定モデル生成手段(部)11の構成例を例示する図である。覚醒度推定モデル生成手段(部)11は、覚醒状態モニタ部111、知的能力テスト実行制御部112、生体情報取得部113、正規化部114、特徴量抽出部115、推定モデル学習部116を備えている。生体情報センサ20A、20Bは、それぞれ、生体情報検出部201A、201Bと、通信制御部202A、202Bを備えている。
【0030】
通信制御部202A、202Bは、前述したように無線通信又は有線通信インタフェースを備え、生体情報検出部201A、201Bでセンシングされた生体情報を、覚醒度推定モデル生成手段(部)11に送信する。通信制御部202A、202Bは無線通信のインタフェースとして例えば不図示の無線アンテナを有する。生体情報センサ20Aは、
図2の脳波計20−1、あるいは他のセンサ20−2〜20−7のいずれか1つ又は複数であってもよい。生体情報センサ20Bは、
図2のセンサ20−2〜20−7のいずれか1つ又は複数であってもよい。生体情報センサ20Aと生体情報センサ20Bを同一とし、
図2のセンサ20−2〜20−7のいずれかであってもよい。
【0031】
覚醒度推定モデル生成手段(部)11の通信制御部110は、生体情報センサ20A、20Bと無線又は有線で通信し、例えば生体情報センサ20A、20Bに対するセンシングの開始/停止の指示やセンシングデータの送信を指示するコマンドの送信や、生体情報センサ20A、20Bから送信されたセンシングデータ(生体情報)を受信する。通信制御部110は、無線通信及び/又は有線通信のインタフェースを有する。通信制御部110は無線通信のインタフェースとして例えば不図示の無線アンテナを有する。
【0032】
覚醒状態モニタ部111は、覚醒度推定モデル生成時に測定対象のユーザ1(
図2)に取り付けた生体情報センサ20Aから生体情報を取得し、生体情報に基づき、測定対象のユーザ1の覚醒状態をモニタする。
【0033】
覚醒状態モニタ部111で、ユーザ1(
図2)の覚醒状態が,低覚醒状態に変化したと判断した場合、覚醒状態モニタ部111からの指示を受け、知的能力テスト実行制御部112は、測定対象のユーザ1に、知的能力テストを実行させる。知的能力テスト実行制御部112は、例えば
図2のパソコン30に、知的能力テストの実行を指示するようにしてもよい。
【0034】
測定対象のユーザ1は、例えば、それまでのパソコン30(
図2)での仕事を停止し、知的能力テストを行う。知的能力テスト実行制御部112は、パソコン30のディスプレイの画面上に、知的能力テストの画面(ウインドウ)を自動的に開き、オンラインで知的能力テストを行うようにしてもよい。あるいは、測定対象のユーザ1が、パソコン30を操作して知的能力テストのアプリケーションプログラムを起動するようにしてもよい。
【0035】
測定対象のユーザ1は、パソコン30の画面に表示される問題に対して、キーボード、マウス等の入力手段から答えを入力する。知的能力テスト実行制御部112による一連の知的能力テスト(例えば、文章理解能力、数的処理能力(計算能力)、論理的推理能力等)の開始とともに、知的能力テスト実行制御部112からの指示に基づき、生体情報取得部113は、測定対象のユーザ1(
図2)が知的能力テスト実行中の生体情報(例えば心拍計からの心拍データ等)を取得する。なお、知的能力テスト実行制御部112は、パソコン30を介して測定対象のユーザ1に、知的能力テストの実行を通知し、測定対象のユーザ1は予め用意されたペーパーテスト(筆記テスト)で知的能力テストを行い、採点結果(回答に要した時間)を、パソコン30を介して知的能力テスト実行制御部112に通知するようにしてもよい。
【0036】
正規化部114は、例えば、低覚醒状態、高覚醒状態(ストレス状態)、その間の状態における測定対象のユーザ1の知的能力テスト結果(得点、回答に要した時間)を、低覚醒状態と高覚醒状態以外の状態における代表点(例えば最高点、回答に要した最短時間等)で正規化するようにしてもよい。あるいは、測定対象のユーザ1の知的能力テスト結果(得点)の最高得点から何%かの得点の平均、ユーザ1の知的能力テスト結果(回答に要した時間)の回答に要した最短時間から何%かの回答時間の平均等で正規化してもよい。
【0037】
例えば、測定対象のユーザAの知的能力テストの最高得点が70点で、低覚醒状態では49点である場合、最高点で正規化すると、低覚醒状態は49/70=0.7となる。別の測定対象のユーザBの知的能力テストの最高得点が80点で、低覚醒状態では48点である場合、最高点で正規化すると、低覚醒状態は、48/80=0.6となる。測定対象のユーザAとユーザBの低覚醒状態の知的能力テストの得点はそれぞれ49点、48点と同程度であるが、正規化することで、それぞれ、0.7(70%)、0.6(60%)となり、ユーザBの落ち込みの程度がユーザAよりも大きい。このように、正規化部114で、測定対象のユーザ毎に異なる得点の分布を正規化することで、例えば低覚醒状態での落ち込みの程度の判別を共通化することができる。
【0038】
特徴量抽出部115は、生体情報取得部113で取得した生体情報(例えば心拍データ等)から特徴量を抽出する。例えば心拍センサ(
図2の20−2、20−6、20−7等)からの心拍データに基づいて心拍信号の振幅ピークのタイミングを検出し振幅ピークの各タイミングの間隔を検出し、心拍間隔データを周波数領域に変換し心拍間隔の変動に対するスペクトル密度を算出する等、各種手法が用いられる。あるいは、瞬きについて開眼度、閉眼継続時間の平均、分布、PERCLOS (Percent of the time eyelids are closed:目を閉じている時間割合)、瞬き回数等を特徴量としてもよい。マイクロ波非接触呼吸センサ(
図2の20−5)等の場合、呼吸周期等を周波数領域に変換し特徴量を取得してもよいし、呼吸振幅等から特徴量を抽出してもよい。なお、特徴量抽出部115は、生体情報取得部113が、測定対象のユーザ1が知的能力テスト実行中(知的能力テストは例えば5分あるいは10分等の所定の制限時間で実行するようにしてもよい、あるいは全問回答するまでの時間を計時するようにしてもよい)に、生体情報センサから取得した生体情報の特徴量の時系列データを統計処理した値を特徴量(代表値)としてもよい。
【0039】
推定モデル学習部116は、覚醒度推定モデル131を生成する。より詳しくは、推定モデル学習部116は、知的能力テスト結果の正規化された値と、生体情報の特徴量に基づき、覚醒度推定モデル131を学習し、記憶装置13に記憶する。特に制限されないが、覚醒度推定モデル131として、各覚醒状態における生体情報(知的能力テスト実行中の生体情報)の特徴量を説明変数とし、知的能力テスト結果の正規化された値を目的変数(被説明変数)とする回帰分析を行ってもよい。例えば、目的変数を説明変数で1次又は多項式近似し残差を最小化する係数(パラメータ)を導出することで覚醒度推定モデル131を求めるようにしてもよい。なお、覚醒度推定モデル131は、線形回帰モデルに制限されるものでなく、非線形回帰モデルを用いてもよい。
【0040】
さらに、推定モデル学習部116は、低覚醒状態、高覚醒状態、その間の状態において、それぞれ、個別に、覚醒度推定モデル131を生成するようにしてもよい。
【0041】
また、推定モデル学習部116は、ユーザ1の仕事の内容(職種、役職等)に応じて、知的能力テスト結果を重み付けして覚醒度推定モデル131を生成してもよい。例えば、経理部や税務会計事務等の職務では、計算能力の知的能力テスト結果(正規化値)を、文章理解能力等の他のテストの結果(正規化値)よりも、大きな値で重み付けをしてもよい。
得点=W1×(文章理解能力の正規化値)+W2×(計算能力の正規化値)+W3×(論理的推理能力の正規化値)、
W1+W2+W3=1, 0≦W1,W2,W3≦1
【0042】
一方、契約、渉外や特許業務等の職務では、文章理解能力の知的能力テスト結果(正規化値)を他のテストの結果(正規化値)よりも、大きな値で重み付けをしてもよい。
【0043】
図4は、
図1の覚醒度推定手段(部)12の構成例を例示する図である。
図4を参照すると、覚醒度推定手段(部)12は、通信制御部120と、生体情報取得部121と、特徴量抽出部122と、推定部123と、推定結果出力部124を備えている。通信制御部120は、生体情報センサと無線又は有線で通信し、生体情報のセンシングの開始、センシングデータの送信等を指示し、センシングデータを受信する。
【0044】
生体情報取得部121は、推定対象のユーザの生体情報センサ20Bから生体情報を通信制御部120から受け取る。
【0045】
生体情報センサ20B、生体情報取得部121で取得する生体情報、特徴量抽出部122で抽出する特徴量は、
図3の生体情報センサ20B、覚醒度推定モデル生成手段(部)11の生体情報取得部113で取得する生体情報、特徴量抽出部115で抽出する特徴量と同一とされる。例えば
図3の覚醒度推定モデル生成手段(部)11において、知的能力テストを実行中の測定対象のユーザ1の5分間分の生体情報を生体情報取得部113で取得し、特徴量抽出部115が該生体情報から特徴量を抽出する場合、特徴量抽出部122は、生体情報取得部121で5分間、推定対象のユーザ1から生体情報センサ20Bで取得した生体情報の特徴量を抽出する。
図4の生体情報取得部121と特徴量抽出部122は、
図3の生体情報取得部113と、特徴量抽出部115と同一であってもよい。
【0046】
推定部123は、特徴量抽出部122によって抽出された特徴量を入力として受け、記憶装置13に記憶されている覚醒度推定モデル131(モデルパラメータ)を用いて覚醒度を推定する。
【0047】
推定部123は、特徴量抽出部122から入力した特徴量から、覚醒度推定モデル131を用いて、知的能力テスト結果の正規化値を推定し、該正規化値に対応する覚醒度を推定するようにしてもよい。
【0048】
推定結果出力部124は、覚醒度の推定結果を、表示装置等に出力する。
【0049】
図5は、本発明の例示的な第1の実施形態の動作を説明する流れ図である。
図5(A)を参照すると、覚醒度推定モデル生成手段(部)11は、複数の覚醒状態i=1〜N(Nは2以上の整数)について、測定対象のユーザ1(
図2)が、知的能力テスト実行中の生体情報を取得し特徴量を抽出し、覚醒状態iに対応して記憶部に格納する(S1)。
【0050】
覚醒度推定モデル生成手段(部)11の知的能力テスト実行制御部112は、知的能力テストの試験結果を収集し、覚醒状態iに対応して記憶する(S2)。
【0051】
覚醒状態i=1〜Nについて、ステップS1、S2を実行した結果、覚醒度推定モデル生成手段(部)11の正規化部114は、例えば低覚醒状態と低覚醒状態以外の状態で取得した知的能力テストの試験結果の得点(例えば最高得点又は代表値(最高点からの第1四分位数やメジアン等の統計値))等に基づき、同一ユーザの各覚醒状態での知的能力テストの試験結果を除算して正規化する(S3)。
【0052】
覚醒度推定モデル生成手段(部)11の推定モデル学習部116は、特徴量抽出部115で抽出された特徴量と、正規化部114からの知的能力テストの試験結果の正規化値と、に基づき、覚醒度推定モデル131を学習し、記憶装置13に記憶する(S4)。
【0053】
図5(B)を参照すると、覚醒度推定手段(部)12は、推定対象のユーザの生体情報を取得し特徴量を抽出する(S11)。
【0054】
覚醒度推定手段(部)12の推定部123は、特徴量を受け、記憶装置13に記憶された覚醒度推定モデル131に基づき、覚醒度を推定する(S12)。覚醒度推定手段(部)12の推定結果出力部124は、覚醒度推定結果を表示装置等に出力する(S13)。
【0055】
<実施形態2>
次に、本発明の例示的な第2の実施形態として、覚醒度推定結果の利用形態の一例を提示する。第2の実施形態において、覚醒度推定結果を得るための基本構成は、
図1等を参照して説明した前記実施形態と同様である。
【0056】
第2の実施形態では、例えば官公庁、企業、各種事務所等の職場において、
図1の情報処理装置10で得られた覚醒度推定値を、従業員にフィードバックし、従業員自身による時間管理や健康管理を支援する情報を提供する。
【0057】
図6は、第2の実施形態の構成の一例を例示する図である。
図6において、生体情報センサ20、覚醒度推定手段(部)12、覚醒度推定モデル131、記憶装置13は、例えば
図4の生体情報センサ20B、覚醒度推定手段(部)12、覚醒度推定モデル131に対応させることができる。なお、
図6において、
図1の覚醒度推定モデル生成手段(部)11は省略されている。
図6において、覚醒度推定モデル131は、前記第1の実施形態で説明した覚醒度推定モデル生成手段(部)11で生成されているものとする。
【0058】
管理情報提供手段(部)31は、覚醒度推定手段(部)12からの覚醒度推定値を受けると、例えば従業員のパソコン(例えば
図2の30)に、当該従業員の現在の覚醒度を表示する画面を提示するようにしてもよい。特に制限されないが、例えば、当該従業員が低覚醒状態にあると判断されたとき、管理情報提供手段(部)31は、当該従業員のパソコン(例えば
図2の30)の画面上に、注意情報(例えば、その場でできる簡単なリフレッシュ体操を勧めたり、あるいは夜十分な睡眠時間を確保するように注意する等)を提示するか、近隣に迷惑を与えない範囲で音響、音声等による注意喚起を行うようにしてもよい。
【0059】
また、管理情報提供手段(部)31は、従業員の覚醒度推定値を、例えば推定時刻情報(あるいは時間帯情報)や従業員の識別情報(ID)等と関連付けて、記憶装置32に格納される従業員データベース321に記録し、例えば、職場やリモート職場での従業員管理や業務管理(スケジューリング管理、業務の効率性管理等)などに利用するようにしてもよい。また管理情報提供手段(部)31は、管理者の端末(不図示)等に通知するようにしてもよい。このように、第2の実施形態によれば、従業員の覚醒度推定値を、職場やリモート職場での従業員管理等に利用することを可能としている。なお、管理情報提供手段(部)31は、単体装置として実装してもよいし、また、
図1の情報処理装置10と通信ネットワークを介して接続するサーバ上に実装してもよい。あるいは、管理情報提供手段(部)31を
図1の情報処理装置10内の組み込み一体の装置構成としてもよい。
【0060】
<実施形態3>
図7は、例示的な第3の実施形態として、
図1等を参照して説明した情報処理装置10を、コンピュータプログラムで実現する一例を説明する図である。
図7を参照すると、情報処理装置10を構成するコンピュータ装置300は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、データ処理装置)301、半導体メモリ(例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、又は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等)、HDD(Hard Disk Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の少なくともいずれかを含む記憶装置302と、表示装置303と、通信インタフェース304を備えている。記憶装置302に記憶された覚醒度推定プログラムをプロセッサ301で実行することで、前記した情報処理装置10の機能を実現するようにしてもよい。なお、記憶装置302は、覚醒度推定モデルを記憶する記憶装置13と同一の記憶装置としてもよい。また、記憶装置302は、知的能力テスト実行結果とその正規化値や、生体情報、及び生体情報から抽出した特徴量を記憶する記憶装置として用いてもよい。通信インタフェース304は、プロセッサ301とともに、生体情報センサ(
図2のセンサ20−1、20−2、20−4〜20−7、カメラ20―3)のいずれかに無線又は有線で接続し、生体情報を取得する通信制御装置(
図3、
図4)を構成してもよい。なお、コンピュータ装置300の覚醒度推定プログラムを、
図2のパソコン30にインストールし、パソコン30を情報処理装置10として機能させる構成としてもよい。
【0061】
なお、上記の特許文献1の開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0062】
上記実施形態において方法の特徴は例えば以下のように付記される。
(付記1)
測定対象のユーザの互いに異なる複数の覚醒状態での知的能力の試験中の生体情報と前記知的能力の試験結果とを用いて覚醒度推定モデルを生成する第1の手段と、
推定対象のユーザから取得した生体情報に対して、前記覚醒度推定モデルを用いて前記覚醒度を推定する第2の手段と、
を備えた、ことを特徴とする情報処理装置。
【0063】
(付記2)
前記第1の手段は、
前記試験中の生体情報から特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
前記測定対象のユーザの前記知的能力の試験結果を正規化する正規化部と、
前記特徴量と前記知的能力の試験結果を正規化した値に基づき覚醒度推定モデルを生成する推定モデル生成部と、
を備えたことを特徴とする付記1記載の情報処理装置。
【0064】
(付記3)
前記正規化部は、覚醒状態が予め定められた状態にあるときの前記ユーザの知的能力の試験結果を用いて、互いに異なる複数の覚醒状態での前記知的能力の試験結果を正規化する、付記2記載の情報処理装置。
【0065】
(付記4)
前記推定モデル生成部は、第1の覚醒状態による知的能力の低下と、第2の覚醒状態による知的能力の低下を別々にモデル化する、付記2又は3記載の情報処理装置。
【0066】
(付記5)
前記第1の手段は、前記知的能力の試験として、文章理解能力、数的処理能力、論理的推理能力のうち少なくとも一つを測定する、付記1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【0067】
(付記6)
前記第1の手段は、前記測定対象のユーザの属性に応じて、前記知的能力の試験結果に重み付けする、付記1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【0068】
(付記7)
前記覚醒度の推定結果に基づき、前記推定対象のユーザに関する、所定の管理情報を提供する管理情報提供手段に接続するか、前記管理情報提供手段を装置内に備えた、ことを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。
【0069】
(付記8)
コンピュータにより生体情報に基づき覚醒度を推定する方法であって、
測定対象のユーザの互いに異なる複数の覚醒状態での知的能力の試験中の生体情報と前記知的能力の試験結果とを用いて覚醒度推定モデルを生成し、
推定対象のユーザから取得した生体情報に対して、前記覚醒度推定モデルを用いて前記覚醒度を推定する、ことを特徴とする覚醒度推定方法。
【0070】
(付記9)
前記覚醒度推定モデルの生成にあたり、
前記試験中の生体情報から特徴量を抽出し、
前記測定対象のユーザの前記知的能力の試験結果を正規化し、
前記特徴量と前記知的能力の試験結果を正規化した値に基づき前記覚醒度推定モデルを生成する、ことを特徴とする付記8記載の覚醒度推定方法。
【0071】
(付記10)
前記知的能力の試験結果を正規化するにあたり、覚醒状態が予め定められた状態にあるときの前記ユーザの知的能力の試験結果を用いて、互いに異なる複数の覚醒状態での前記知的能力の試験結果を正規化する、付記9記載の覚醒度推定方法。
【0072】
(付記11)
前記覚醒度推定モデルを生成するにあたり、第1の覚醒状態による知的能力の低下と、第2の覚醒状態による知的能力の低下を別々にモデル化する、付記8乃至10のいずれかに記載の覚醒度推定方法。
【0073】
(付記12)
前記知的能力の試験として、文章理解能力、数的処理能力、論理的推理能力のうち少なくとも一つを測定する付記8乃至11のいずれかに記載の覚醒度推定方法。
【0074】
(付記13)
前記測定対象のユーザの属性に応じて、前記知的能力の試験結果に重み付けする、付記8乃至12のいずれかに記載の覚醒度推定方法。
【0075】
(付記14)
前記覚醒度の推定結果に基づき、前記推定対象のユーザに関する、所定の管理情報を提供する、ことを特徴とする付記8乃至13のいずれかに記載の覚醒度推定方法。
【0076】
(付記15)
コンピュータに、
測定対象のユーザの互いに異なる複数の覚醒状態での知的能力の試験中の生体情報と前記知的能力の試験結果とを用いて覚醒度推定モデルを生成する第1の処理と、
推定対象のユーザから取得した生体情報に対して、前記覚醒度推定モデルを用いて前記覚醒度を推定する第2の処理と、
を実行させるプログラム。
【0077】
(付記16)
前記第1の処理は、
前記試験中の生体情報から特徴量を抽出する特徴量抽出処理と、
前記測定対象のユーザの前記知的能力の試験結果を正規化する正規化処理と、
前記特徴量と前記知的能力の試験結果を正規化した値に基づき覚醒度推定モデルを生成するモデル生成処理と、
を実行する付記15記載のプログラム。
【0078】
(付記17)
前記正規化処理は、覚醒状態が予め定められた状態にあるときの前記ユーザの知的能力の試験結果を用いて、互いに異なる複数の覚醒状態での前記知的能力の試験結果を正規化する、付記16記載のプログラム。
【0079】
(付記18)
前記モデル生成処理は、第1の覚醒状態による知的能力の低下と、第2の覚醒状態による知的能力の低下を別々にモデル化する、付記16又は17記載のプログラム。
【0080】
(付記19)
前記第1の処理は、前記知的能力の試験として、計算能力、読解力、記憶力のうち少なくとも一つを測定する、付記15乃至18のいずれかに記載のプログラム。
【0081】
(付記20)
前記第1の処理は、前記測定対象のユーザの属性に応じて、前記知的能力の試験結果に重み付けする、付記15乃至19のいずれかに記載のプログラム。
【0082】
(付記21)
前記覚醒度の推定結果に基づき、前記推定対象のユーザに関する、所定の管理情報を提供する処理を前記コンピュータに実行させる付記15乃至20のいずれかに記載のプログラム。