特許第6791375号(P6791375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791375
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】X線透視撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/04 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   A61B6/04 332C
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-519519(P2019-519519)
(86)(22)【出願日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】JP2018016137
(87)【国際公開番号】WO2018216408
(87)【国際公開日】20181129
【審査請求日】2019年7月22日
(31)【優先権主張番号】特願2017-101521(P2017-101521)
(32)【優先日】2017年5月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】勝股 亮
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 淳夫
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−125740(JP,A)
【文献】 特開2006−051403(JP,A)
【文献】 特開2015−039384(JP,A)
【文献】 実開平03−024128(JP,U)
【文献】 実開昭53−073874(JP,U)
【文献】 実開昭56−124409(JP,U)
【文献】 実公昭52−020221(JP,Y1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が載置される天板と、
前記被検体にX線を照射するとともに前記被検体を透過したX線を検出してX線透視またはX線撮影を行う撮影部と、
駆動源および駆動伝達部材を含み、前記天板の長手方向である天板長手方向に沿った動作軸に対して前記天板を回動することにより前記天板と前記撮影部との相対位置を移動可能な駆動機構と、
前記駆動機構とは別個に設けられ、前記天板の回動をガイドするガイド部材と、
前記ガイド部材と接するとともに、前記天板長手方向における一方側の面および他方側の面に直交する方向に延びるガイド面を含み、前記天板の下方に設けられた少なくとも1つの保持部材と、
単一の前記保持部材の前記天板長手方向における一方側の面および他方側の面の各々に、前記天板長手方向に前記保持部材を挟み込んで当接するように、少なくとも1個ずつ設けられ、前記天板の水平方向の振れを抑制する複数の振れ止め部材とを備える、X線透視撮影装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記天板が回動する際に、前記保持部材の前記ガイド面と接して回転することにより、前記天板の回動をガイドするガイド用回転体を含む、請求項1に記載のX線透視撮影装置。
【請求項3】
前記保持部材は、前記天板長手方向に互いに離間した第1保持部材と第2保持部材とを有し、
前記複数の振れ止め部材は、前記第1保持部材または前記第2保持部材のいずれか一方のみを挟み込んで当接するように設けられている、請求項1に記載のX線透視撮影装置。
【請求項4】
前記振れ止め部材は、前記第1保持部材または前記第2保持部材のうち、前記駆動機構に近い側の前記保持部材を挟み込むように設けられている、請求項3に記載のX線透視撮影装置。
【請求項5】
前記振れ止め部材は、前記天板の回動範囲の全域にわたって前記保持部材に当接するように設けられている、請求項1に記載のX線透視撮影装置。
【請求項6】
前記振れ止め部材は、前記保持部材の前記天板長手方向における一方側の面および他方側の面の各々に、前記天板の短手方向である天板短手方向に並ぶように2個ずつ設けられている、請求項1に記載のX線透視撮影装置。
【請求項7】
前記天板短手方向に並ぶように設けられた2個の前記振れ止め部材は、それぞれ、前記保持部材における前記天板短手方向の一方端の近傍および他方端の近傍に位置するように設けられている、請求項6に記載のX線透視撮影装置。
【請求項8】
前記振れ止め部材は、前記動作軸に沿った方向から見て前記動作軸を中心とする円の径方向に延びる回転軸を中心に回転可能な振れ止め回転体を含み、
前記振れ止め回転体は、前記振れ止め回転体の外周面が前記保持部材の前記長手方向における一方側の面または他方側の面に当接した状態で、前記天板の回動に伴って回転するように構成されている、請求項1に記載のX線透視撮影装置。
【請求項9】
前記振れ止め部材は、前記振れ止め回転体の前記回転軸の側に配置された内輪と前記内輪の外側に配置された外輪とを有するベアリングであり、
前記振れ止め回転体は、前記振れ止め部材の前記外輪により構成されている、請求項8に記載のX線透視撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線透視撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天板の長手方向に沿った動作軸に対する天板の回動が可能なX線透視撮影装置が知られている。このようなX線透視撮影装置は、たとえば、特開2006−051403号公報に開示されている。
【0003】
特開2006−051403号公報には、被検体が載置される長方形形状の天板と、天板のロール動作(天板の長手方向に沿った動作軸に対する天板の回動)が可能なように天板を支持する天板機構部と、X線管装置とX線受像装置とを含むX線装置と、を備えたX線透視撮影装置が開示されている。特開2006−051403号公報のX線透視撮影装置では、上記天板機構部により、天板の長手方向に沿った動作軸に対して所望の角度だけ天板を回動させることが可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−051403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2006−051403号公報のようなX線透視撮影装置では、天板機構部は、天板の長手方向における一方端近傍に配置されている。このため、長方形形状の天板全体を安定的に回動させるために、天板の回動をガイドするガイド機構が設けられることが好ましい。このようなガイド機構としては、天板のガイドを妨げないように天板をガイドする面のみと接するガイド部材が設けられる機構が考えられる。しかしながら、このようなガイド機構は、ガイド部材が天板をガイドする面以外と接しないことにより、ガイド部材と天板との間に回動以外の振れ動作を許してしまう。したがって、天板が天板機構部により所定の回動位置で固定された際に、回動方向以外のガタツキ(振れ)が生じる場合がある。このため、天板に載置された被検体の位置精度が低下してしまうという問題点があると考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、天板の長手方向に沿った動作軸に対する天板の回動をガイドする構成を有する場合において、天板にガタツキが生じるのを抑制することに起因して天板に載置された被検体の位置精度が低下するのを抑制することが可能なX線透視撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるX線透視撮影装置は、被検体が載置される天板と、被検体にX線を照射するとともに被検体を透過したX線を検出してX線透視またはX線撮影を行う撮影部と、駆動源および駆動伝達部材を含み、天板の長手方向である天板長手方向に沿った動作軸に対して天板を回動することにより天板と撮影部との相対位置を移動可能な駆動機構と、駆動機構とは別個に設けられ、天板の回動をガイドするガイド部材と、ガイド部材と接するとともに、天板長手方向における一方側の面および他方側の面に直交する方向に延びるガイド面を含み、天板の下方に設けられた少なくとも1つの保持部材と、単一の保持部材の天板長手方向における一方側の面および他方側の面の各々に、天板長手方向に保持部材を挟み込んで当接するように、少なくとも1個ずつ設けられ、天板の水平方向の振れを抑制する複数の振れ止め部材とを備える。
【0008】
この発明の一の局面によるX線透視撮影装置は、上記のように、天板の回動をガイドするガイド部材と接するガイド面を含み、天板の下方に設けられた少なくとも1つの保持部材と、単一の保持部材の天板長手方向における一方側の面および他方側の面の各々に、天板長手方向に保持部材を挟み込んで当接するように、少なくとも1個ずつ設けられ、天板の回動以外の水平方向の振れ動作を抑制する複数の振れ止め部材とを備える。これにより、ガイド部材が保持部材のガイド面と接しながら天板の回動をガイドするとともに、保持部材が天板長手方向に挟み込まれるように振れ止め部材に当接されながら天板の回動以外の水平方向の振れ動作を抑制することができる。その結果、天板の長手方向に沿った動作軸に対する天板の回動をガイドする構成を有する場合において、天板にガタツキが生じるのを抑制することに起因して天板に載置された被検体の位置精度が低下するのを抑制することができる。また、単一の保持部材の天板長手方向における一方側の面および他方側の面の各々に振れ止め部材が設けられることにより、複数の保持部材の各々に振れ止め部材が設けられる場合と比較して、複数の振れ止め部材の位置合わせを単一の保持部材のみを基準として行うことができる。その結果、天板の回動位置が変化した場合でも、振れ止め部材が天板長手方向に保持部材を挟み込んで当接された状態を容易に維持することができるので、天板の回動以外の水平方向の振れ動作を容易に抑制することができる。
【0009】
上記一の局面によるX線透視撮影装置において、好ましくは、ガイド部材は、天板が回動する際に、保持部材のガイド面と接して回転することにより、天板の回動をガイドするガイド用回転体を含む。このように構成すれば、天板が回動する際に、ガイド面におけるガイド部材と保持部材との摩擦抵抗を低減することができる。その結果、天板長手方向に沿った動作軸に対する天板の回動を効率的にガイドすることができる。
【0010】
上記一の局面によるX線透視撮影装置において、好ましくは、保持部材は、天板長手方向に互いに離間した第1保持部材と第2保持部材とを有し、複数の振れ止め部材は、第1保持部材または第2保持部材のいずれか一方のみを挟み込んで当接するように設けられている。このように構成すれば、天板長手方向に離れた複数の位置において天板の回動をガイドすることができるので、一つの保持部材のみで天板の回動をガイドする場合と比較して、天板の回動を安定的にガイドすることができる。その結果、天板の回動を安定的にガイドしながら、天板の回動位置が変化した場合でも振れ止め部材が天板長手方向に保持部材を挟み込んで当接した状態を容易に維持することができる。
【0011】
上記保持部材が第1保持部材と第2保持部材とを有する構成において、好ましくは、振れ止め部材は、第1保持部材または第2保持部材のうち、駆動機構に近い側の保持部材を挟み込むように設けられている。このように構成すれば、水平方向のガタツキの要因となるモーメントの中心としての駆動源および駆動伝達部材が配置される位置から近い位置に振れ止め部材が配置されるので、振れ止め部材が挟み込む保持部材において、保持部材に生じるモーメントを小さくすることができる。その結果、保持部材および保持部材を挟み込む振れ止め部材に生じる負荷が大きくなるのを抑制することができる。
【0012】
上記一の局面によるX線透視撮影装置において、好ましくは、振れ止め部材は、天板の回動範囲の全域にわたって保持部材に当接するように設けられている。このように構成すれば、天板の回動範囲の全域にわたって、天板にガタツキが生じるのを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面によるX線透視撮影装置において、好ましくは、振れ止め部材は、保持部材の天板長手方向における一方側の面および他方側の面の各々に、天板の短手方向である天板短手方向に並ぶように2個ずつ設けられている。このように構成すれば、天板長手方向における一方側の面および他方側の面の各々に1個ずつの振れ止め部材が設けられた場合と比較して、天板にガタツキが生じるのを効果的に抑制することができる。
【0014】
上記振れ止め部材が天板短手方向に並ぶように2個ずつ設けられている構成において、好ましくは、天板短手方向に並ぶように設けられた2個の振れ止め部材は、それぞれ、保持部材における天板短手方向の一方端の近傍および他方端の近傍に位置するように設けられている。このように構成すれば、保持部材において振れ止め部材を天板短手方向に可能な限り離れた位置に配置することができる。その結果、天板短手方向に2個ずつ設けられることによって天板にガタツキが生じるのを抑制する効果を一層向上させることができる。なお、保持部材における天板短手方向の一方端の近傍および他方端の近傍とは、保持部材における天板短手方向の一方端および他方端の位置そのものと、保持部材における天板短手方向の一方端の位置の近傍および他方端の位置の近傍との両方の意味を含む。
【0015】
上記一の局面によるX線透視撮影装置において、好ましくは、振れ止め部材は、動作軸に沿った方向から見て動作軸を中心とする円の径方向に延びる回転軸を中心に回転可能な振れ止め回転体を含み、振れ止め回転体は、振れ止め回転体の外周面が保持部材の天板長手方向における一方側の面または他方側の面に当接した状態で、天板の回動に伴って回転するように構成されている。このように構成すれば、天板が回動する際に、保持部材の振れ止め回転体が当接する面における、振れ止め回転体と保持部材との摩擦抵抗を低減することができる。その結果、天板長手方向に沿った動作軸に対する天板の回動を妨げることなく、振れ止め部材が保持部材を挟み込むように当接した状態を容易に維持することができる。
【0016】
上記振れ止め部材が振れ止め回転体を含む構成において、好ましくは、振れ止め部材は、振れ止め回転体の回転軸の側に配置された内輪と内輪の外側に配置された外輪とを有するベアリングであり、振れ止め回転体は、振れ止め部材の外輪により構成されている。このように構成すれば、内輪と外輪とを滑らかに相対回転させることが可能なベアリングを用いて、振れ止め回転体と保持部材との摩擦抵抗を一層低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、天板の長手方向に沿った動作軸に対する天板の回動をガイドする構成を有する場合において、天板にガタツキが生じるのを抑制することに起因して天板に載置された被検体の位置精度が低下するのを抑制することが可能なX線透視撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、本発明の一実施形態によるX線透視撮影装置の全体構成を示す側面図である。(b)は、本発明の一実施形態によるX線透視撮影装置の全体構成を示す正面図である。
図2図1(a)の91−91線に沿った断面図である。
図3図2の92−92線に沿った断面図である。
図4図1(a)の93−93線に沿った断面図である。
図5】(a)は、天板を水平位置で固定させた状態を示した図である。(b)は、天板を回動範囲の一方端まで回動させた位置で固定させた状態を示した図である。(c)は、天板を回動範囲の他方端まで回動させた位置で固定させた状態を示した図である。
図6】(a)は、本発明の一実施形態の変形例によるX線透視撮影装置の断面平面図である。(b)は、本発明の一実施形態の変形例によるX線透視撮影装置の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1図4を参照して、本発明の一実施形態によるX線透視撮影装置100の構成について説明する。
【0021】
(X線透視撮影装置の構成)
図1に示すように、本実施形態のX線透視撮影装置100は、被検体Pを載置するための天板1と、天板1を支持するための天板支持部2と、天板1および天板支持部2の下方(Z2側)に設けられた台座3と、被検体PをX線透視またはX線撮影するための撮影部4と、天板1の長手方向(X軸方向)に沿った動作軸A(図4等参照)に対する天板1の回動により天板1と撮影部4との相対位置を移動させるための駆動機構10と、を備えている。
【0022】
天板1は、平面視において、長方形の平板状に形成されている。被検体Pは、被検体Pの頭足方向が長方形の長辺に沿う方向(天板1の長手方向)、かつ、被検体Pの左右方向が長方形の短辺に沿う方向(天板1の短手方向)となるように、天板1上に載置される。なお、本明細書において、天板1の長手方向である天板長手方向をX軸方向とし、天板1の短手方向である天板短手方向をY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向と直交する上下方向をZ軸方向とする。
【0023】
天板支持部2は、天板1の天板長手方向の一方側(X2側)かつ天板1の下方(Z2側)に取り付けられている。天板支持部2は、天板長手方向および天板短手方向への天板1の直線移動、天板1の上下方向の昇降および天板短手方向に沿った動作軸に対する天板1の回動により、天板1と撮影部4との相対位置を移動可能なそれぞれの移動機構などが収納されている。なお、天板短手方向に沿った動作軸に対する天板1の回動により、天板1の天板長手方向の一方端が天板1の他の部分に対して相対的に上下方向に移動するように天板1が傾斜する。
【0024】
台座3は、天板支持部2の下方(Z2側)に配置されており、天板1が回動する際に動作軸Aに対して位置が変化しないように構成されている。台座3は、天板1を回動させるための駆動機構10を介して天板1と接続されている。
【0025】
撮影部4は、X線源を有し、天板1の一方側に配置されたX線管装置4aと、天板1の他方側に配置されたX線受像器4bと、X線管装置4aおよびX線受像器4bを支持するC字形状のアーム部4cとを有する。
【0026】
X線管装置4aは、X線源を有しており、図示しないX線管駆動部によって電圧が印加されることにより、X線を照射することが可能である。X線受像器4bは、FPD(フラットパネルディテクタ)を含み、X線を検出することができるように構成されている。これにより、X線透視撮影装置100は、天板1に被検体Pを載置した状態で、X線管装置4aによりX線を照射して、被検体Pを透過したX線をX線受像器4bで検出することによって、被検体PのX線透視またはX線撮影を行うことが可能である。
【0027】
図2および図3に示すように、駆動機構10は、天板支持部2の下面(Z2側の面)に取り付けられたモータ11と、台座3の上面(Z1側)に取り付けられた扇形ギア12と、を備えている。駆動機構10は、天板長手方向に沿った動作軸Aに対して天板1を回動することにより天板1と撮影部4との相対位置を移動可能に構成されている。なお、モータ11は、特許請求の範囲の「駆動源」の一例である。また、扇形ギア12は、特許請求の範囲の「駆動伝達部材」の一例である。
【0028】
モータ11は、天板1の長手方向の一方側(X2側)の端部に取り付けられている。モータ11は、モータ本体11aと、モータ本体11aからX1方向に突出した回転軸の先端に取り付けられた略円盤形状のギア11bとを有している。モータ本体11aが駆動されると、回転軸の回転に伴い、ギア11bがYZ平面内で回転するように構成されている。
【0029】
扇形ギア12は、X軸方向から見て扇形の凹部を有しており、凹部に形成されたギア歯がギア11bと噛み合うように構成されている。また、扇形ギア12は、台座3の上面(Z1側)に固定されている。これにより、モータ本体11aの駆動によるギア11bの回転に伴って、天板1をYZ平面内で回動させることが可能である。
【0030】
また、図1図4に示すように、本実施形態のX線透視撮影装置100は、天板1の下方(Z2側)に設けられた複数(2個)の円弧型保持部材20(21、22)と、動作軸Aに対する天板1の回動(ロール動作)をガイドするための複数(4個)のガイド用ベアリング40と、動作軸Aに対する天板1の回動以外の水平方向(天板長手方向および天板短手方向)の振れ動作を抑制するための複数(4個)の振れ止めベアリング50(51、52、53、54)と、を備えている。なお、円弧型保持部材20は、特許請求の範囲の「保持部材」の一例である。また、ガイド用ベアリング40は、特許請求の範囲の「ガイド部材」の一例である。また、振れ止めベアリング50は、特許請求の範囲の「振れ止め部材」の一例である。
【0031】
円弧型保持部材20は、図2および図3に示すように、天板長手方向(X軸方向)に互いに離間した円弧型保持部材21と円弧型保持部材22とを有する。円弧型保持部材21は、駆動機構10よりもX1側、かつ、円弧型保持部材22よりもX2側に設けられている。すなわち、2つの円弧型保持部材20(円弧型保持部材21と円弧型保持部材22)のうち、円弧型保持部材21が駆動機構10に近い側に設けられている。また、円弧型保持部材20は、図4に示すように、X軸方向から見て下側(Z2側)の面が動作軸Aを中心とする円の一部(円弧)となるように形成されている。なお、円弧型保持部材21および円弧型保持部材22は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1保持部材」および「第2保持部材」の一例である。
【0032】
円弧型保持部材20は、X軸方向の一方側(X2側)または他方側(X1側)に形成されたガイド溝30(31、32)を有している。ガイド溝30は、図4に示すように、X軸方向から見て動作軸Aを中心とする円の一部(円弧)であり互いに同心円である2つの面(上側の面および下側の面)を有し、下方(Z2側)に凸となるように湾曲しながら天板短手方向に延びるように形成されている。すなわち、ガイド溝30の上側の面および下側の面と、円弧型保持部材20の下側の面とは、X軸方向から見て動作軸Aを中心とする同心円となるように形成されている。ガイド溝31およびガイド溝32は、それぞれ、円弧型保持部材21のX2側、円弧型保持部材22のX1側に形成されている。
【0033】
ガイド溝31は、X軸方向から見て円弧形状の上側(Z1側)の面であるベアリング転動面31aと、X軸方向から見て円弧形状の下側(Z2側)の面31bと、溝の底側(X1側)の面31cと、天板短手方向の一方側(Y2側)の面31dと、天板短手方向の他方側(Y1側)の面31eとを含む。ベアリング転動面31aは、図4に示すように、ガイド用ベアリング41、42と接するように構成されている。また、面31b、31c、31d、31eは、ガイド用ベアリング41、42と接しないように構成されている。なお、ベアリング転動面31aは、特許請求の範囲の「ガイド面」の一例である。
【0034】
ガイド溝32は、X軸方向から見て円弧形状の上側(Z1側)の面であるのベアリング転動面32aと、X軸方向から見て円弧形状の下側(Z2側)の面32bと、溝の底側(X2側)の面32cと、天板短手方向の一方側(Y2側)の面32dと、天板短手方向の他方側(Y1側)の面32eとを含む。ベアリング転動面32aは、図4に示すように、ガイド用ベアリング43、44と接するように構成されている。また、面32b、32c、32d、32eは、ガイド用ベアリング43、44と接しないように構成されている。なお、ベアリング転動面32aは、特許請求の範囲の「ガイド面」の一例である。
【0035】
ガイド用ベアリング41、42は、それぞれ、ベアリング転動面31aと接してX軸方向に延びる回動軸回りに回転する略円盤形状のガイド用ベアリング外輪41a、42aと、図示しないベアリング内輪等を介してガイド用ベアリング外輪41a、42aと接続されたベアリング軸棒41b、42bとを含むベアリングである。また、ガイド用ベアリング43、44は、それぞれ、ベアリング転動面32aと接してX軸方向に延びる回動軸回りに回転する略円盤形状のガイド用ベアリング外輪43a、44aと、図示しないベアリング内輪等を介してガイド用ベアリング外輪43a、44aと接続されたベアリング軸棒43b、44bとを含むベアリング。ガイド用ベアリング40(41、42、43、44)は、ガイド用ベアリング外輪41a、42a、43a、44aとは反対側の端部が台座3に固定されている。なお、ガイド用ベアリング外輪41a、42a、43a、44aは、特許請求の範囲の「ガイド用回転体」の一例である。
【0036】
ガイド用ベアリング41、42は、天板長手方向(X軸方向)に延びる各々の回動軸が天板短手方向(Y軸方向)に平行となるように、天板短手方向に並べて配置されている。ガイド用ベアリング外輪41a、42aの外周面は、図5に示すように、天板長手方向に沿った動作軸Aに対して天板1が回動する際に、ベアリング転動面31aに当接した状態が維持されるように構成されている。
【0037】
ガイド用ベアリング43、44は、天板長手方向(X軸方向)に延びる各々の回動軸が天板短手方向(Y軸方向)に平行となるように、ガイド用ベアリング41、42と同様に、天板短手方向に並べて配置されている。ガイド用ベアリング外輪43a、44aは、図5に示すように、ベアリング転動面32aに当接しながら、天板長手方向に沿った動作軸Aに対する天板1の回動するように構成されている。
【0038】
振れ止めベアリング50(51、52、53、54)は、図2および図3に示すように、円弧型保持部材21の天板長手方向(X軸方向)における一方側(X2側)の面21aおよび他方側(X1側)の面21bの各々に、天板長手方向に円弧型保持部材21を挟み込むように当接した状態で、天板短手方向(Y軸方向)に並ぶように2個ずつ設けられている。
【0039】
具体的には、振れ止めベアリング51、52は、円弧型保持部材21の一方側の面21aに当接するように設けられている。そして、振れ止めベアリング51、52は、それぞれ、天板短手方向の一方側(Y2側)の近傍および他方側(Y1側)の近傍に設けられている。
【0040】
また、振れ止めベアリング53、54は、円弧型保持部材21の他方側の面21bに当接するように設けられている。そして、振れ止めベアリング53、54は、それぞれ、天板短手方向の一方側(Y2側)の近傍および他方側(Y1側)の近傍に位置するように設けられている。
【0041】
振れ止めベアリング51、52、53、54は、それぞれ、天板1が回動する平面(YZ平面)に略直交する面内で回転可能な振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aと、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aの内側に配置された図示しない内輪と、内輪と接続されるとともに振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aの回転軸に相当するベアリング軸棒51b、52b、53b、54bとを含む。すなわち、振れ止めベアリング50(51、52、53、54)は、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aの回転軸の側に配置された内輪と、内輪の外側に配置された外輪である振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aとを有するベアリングである。なお、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aは、特許請求の範囲の「振れ止め回転体」の一例である。
【0042】
図4に示すように、振れ止めベアリング50(53、54)は、振れ止めベアリング外輪53a、54aが、円弧型保持部材20(21)に形成されたガイド溝30(31)の下方(Z2側)で円弧型保持部材20(21)のX軸方向における他方側(X1側)の面21bと接するように構成されている。具体的には、振れ止めベアリング外輪53a、54aは、ガイド溝30(31)の下側の面31bと円弧型保持部材20(21)の下側の面との間で、円弧型保持部材20(21)と接するように構成されている。このため、振れ止めベアリング外輪53a、54aの外周面は、X軸方向から見て振れ止めベアリング外輪53a、54aの回転軸が動作軸Aに向かう方向となるように傾斜している。
【0043】
振れ止めベアリング外輪53a、54aは、図5に示すように、天板長手方向に沿った動作軸Aに対して天板1が回動する際に、ガイド溝30(31)の下側の面31bと円弧型保持部材20(21)の下側の面との間で面21bに当接した状態が維持されるように構成されている。すなわち、振れ止めベアリング50は、天板1の回動範囲の全域にわたって円弧型保持部材20に当接するように設けられている。
【0044】
また、図4には図示されていないが、振れ止めベアリング50(51、52)も、振れ止めベアリング50(53、54)と同様に、振れ止めベアリング外輪51a、52aが、円弧型保持部材20(21)に形成されたガイド溝30(31)の下方(Z2側)で円弧型保持部材20(21)のX軸方向における一方側(X2側)の面21aと接するように構成されている。
【0045】
(天板の回動におけるガイドおよび振れ止め)
次に、図5を参照して、天板長手方向に沿った動作軸Aに対する天板1の回動におけるガイド用ベアリング40によるガイドおよび振れ止めベアリング50による振れ止めについて詳細に説明する。
【0046】
駆動機構10により、天板1を動作軸Aに対して所望の角度だけ回動させると、図5(a)の状態から、図5(b)または図5(c)の状態のように、天板1と天板支持部2と円弧型保持部材20とが、YZ平面内で反時計回りまたは時計周りに回動する。
【0047】
ガイド用ベアリング41、42は、天板1がYZ平面内で回動する際に、ガイド用ベアリング外輪41a、42aがベアリング転動面31aに当接しながら回転する。すなわち、ガイド用ベアリング41、42は、駆動機構10とは別個に設けられた円弧型保持部材21と接しながら、天板1の回動をガイドする。また、ガイド用ベアリング外輪41a、42aがベアリング転動面31aに当接しながら回転するので、ガイド用ベアリング外輪41a、42aが回転しない場合と比較して、ガイド用ベアリング41、42と円弧型保持部材21との摩擦抵抗が低減される。
【0048】
また、ガイド用ベアリング43、44は、天板1がYZ平面内で回動する際に、ガイド用ベアリング外輪43a、44aがベアリング転動面32aに当接しながら回転する。すなわち、ガイド用ベアリング43、44は、駆動機構10とは別個に設けられた円弧型保持部材22と接しながら、天板1の回動をガイドする。また、ガイド用ベアリング外輪43a、44aがベアリング転動面32aに当接しながら回転するので、ガイド用ベアリング外輪43a、44aが回転しない場合と比較して、ガイド用ベアリング43、44と円弧型保持部材22との摩擦抵抗が低減される。
【0049】
なお、上述したように、ガイド用ベアリング41、42は、それぞれ、ガイド溝31において、ガイド溝31の底側の面31cと接しない(すなわち、水平方向に隙間がある)ように構成されているので、円弧型保持部材21(ひいては天板1)に水平方向のガタツキが生じやすい。また、ガイド用ベアリング43、44は、それぞれ、ガイド溝32において、ガイド溝32の底側の面32cと接しない(すなわち、水平方向に隙間がある)ように構成されているので、円弧型保持部材22(ひいては天板1)に水平方向のガタツキが生じやすい。
【0050】
しかしながら、本実施形態のX線透視撮影装置100では、複数の振れ止めベアリング50(51、52、53、54)が、円弧型保持部材21の天板長手方向における一方側の面21aおよび他方側の面21bの各々に、天板長手方向に円弧型保持部材21を挟み込むように当接した状態で、2個ずつ設けられている。したがって、天板1の回動以外の水平方向の振れ動作が抑制される。
【0051】
図5(b)に示すように、天板1は、天板短手方向の他方側(Y1側)のガイド用ベアリング40が、ガイド溝30のY1側の面31eと接する状態まで反時計回りに回動できる。この状態で、Y1側の振れ止めベアリング50は、円弧型保持部材20の一方側(X2側)または他方側(X1側)の面において、Y1側の端部近傍に位置している。
【0052】
また、図5(c)に示すように、天板1は、天板短手方向の一方側(Y2側)のガイド用ベアリング40が、ガイド溝30のY2側の面31dと接する状態まで時計回りに回動できる。この状態で、Y2側の振れ止めベアリング50は、円弧型保持部材20の一方側(X2側)または他方側(X1側)の面において、Y2側の端部近傍に位置している。
【0053】
すなわち、天板短手方向(Y軸方向)に並ぶように設けられた2個の振れ止めベアリング50が、円弧型保持部材20においてを天板短手方向に可能なかぎり離れた位置に配置されている。したがって、2個の振れ止めベアリング50が相対的に離れていない場合と比較して、天板1が水平方向に旋回するような動作が生じるのを抑制される。したがって、天板1に水平方向のガタツキが生じるのを抑制する効果が一層向上する。
【0054】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
本実施形態では、上記のように、X線透視撮影装置100は、天板1の回動をガイドするガイド用ベアリング40(41、42、43、44)と接するベアリング転動面31a、32aを含み、天板1の下方(Z2側)に設けられた2つの円弧型保持部材21、22と、円弧型保持部材21の天板長手方向(X軸方向)における一方側(X2側)の面21aおよび他方側(X1側)の面21bの各々に、天板長手方向に円弧型保持部材21を挟み込んで当接するように、少なくとも1個ずつ設けられ、天板1の回動以外の水平方向の振れ動作を抑制する複数の振れ止めベアリング50(51、52、53、54)とを備える。これにより、ガイド用ベアリング40が円弧型保持部材20(21、22)のベアリング転動面31a、32aと接しながら天板1の回動をガイドするとともに、円弧型保持部材20が天板長手方向に挟み込まれるように振れ止めベアリング50に当接されながら天板1の回動以外の水平方向の振れ動作を抑制することができる。その結果、天板1の長手方向に沿った動作軸Aに対する天板1の回動をガイドする構成を有する場合において、天板1にガタツキが生じるのを抑制することに起因して天板1に載置された被検体Pの位置精度が低下するのを抑制することができる。また、単一の円弧型保持部材21の天板長手方向における一方側の面21aおよび他方側の面21bの各々に振れ止めベアリング50が設けられることにより、複数の円弧型保持部材20(21、22)の各々に振れ止めベアリング50が設けられる場合と比較して、複数の振れ止めベアリング50の位置合わせを単一の円弧型保持部材20(21)のみを基準として行うことができる。その結果、天板1の回動位置が変化した場合でも、振れ止めベアリング50が天板長手方向に円弧型保持部材20を挟み込んで当接された状態を容易に維持することができるので、天板1の回動以外の水平方向の振れ動作を容易に抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、ガイド用ベアリング40(41、42、43、44)は、天板1が回動する際に、円弧型保持部材20(21、22)のベアリング転動面31a、32aと接して回転することにより、天板1の回動をガイドするガイド用ベアリング外輪41a、42a、43a、44aを含む。これにより、天板1が回動する際に、ベアリング転動面31a、32aにおけるガイド用ベアリング40と円弧型保持部材20との摩擦抵抗を低減することができる。その結果、天板長手方向(X軸方向)に沿った動作軸Aに対する天板1の回動を効率的にガイドすることができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、円弧型保持部材20は、天板長手方向(X軸方向)に互いに離間した円弧型保持部材21と円弧型保持部材22とを有し、複数の振れ止めベアリング50(51、52、53、54)は、円弧型保持部材21のみを挟み込んで当接するように設けられている。これにより、天板長手方向に離れた複数の位置において天板1の回動をガイドすることができるので、一つの円弧型保持部材20のみで天板1の回動をガイドする場合と比較して、天板1の回動を安定的にガイドすることができる。その結果、天板1の回動を安定的にガイドしながら、天板1の回動位置が変化した場合でも振れ止めベアリング50が天板長手方向に保持部材を挟み込んで当接した状態を容易に維持することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、振れ止めベアリング50(51、52、53、54)は、円弧型保持部材21または円弧型保持部材22のうち、駆動機構10に近い側の円弧型保持部材21を挟み込むように設けられている。これにより、水平方向のガタツキの要因となるモーメントの中心としてのモータ11および扇形ギア12が配置される位置から近い位置に振れ止めベアリング50が配置されるので、振れ止めベアリング50が挟み込む円弧型保持部材21において、円弧型保持部材21に生じるモーメントを小さくすることができる。その結果、円弧型保持部材20および円弧型保持部材20を挟み込む振れ止めベアリング50に生じる負荷が大きくなるのを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、振れ止めベアリング50は、天板1の回動範囲の全域にわたって円弧型保持部材20に当接するように設けられている。これにより、天板1の回動範囲の全域にわたって、天板1にガタツキが生じるのを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、振れ止めベアリング50は、円弧型保持部材20の天板長手方向(X軸方向)における一方側(X2側)の面21aおよび他方側(X1側)の面21bの各々に、天板1の短手方向である天板短手方向(Y軸方向)に並ぶように2個ずつ設けられている。これにより、天板長手方向における一方側の面および他方側の面の各々に1個ずつの振れ止めベアリング50が設けられた場合と比較して、天板1にガタツキが生じるのを効果的に抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、天板短手方向(Y軸方向)に並ぶように設けられた2個の振れ止めベアリング50は、それぞれ、円弧型保持部材20における天板短手方向の一方端(Y2側)の近傍および他方端(Y1側)の近傍に位置するように設けられている。これにより、円弧型保持部材20において振れ止めベアリング50を天板短手方向に可能な限り離れた位置に配置することができる。その結果、天板短手方向に2個ずつ設けられることによって天板1にガタツキが生じるのを抑制する効果を一層向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、振れ止めベアリング50(51、52、53、54)は、天板1が回動する面に略直交する面内で回転可能な振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aを含み、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aは、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aの外周面が円弧型保持部材21の天板長手方向(X軸方向)における一方側(X2側)の面21aまたは他方側(X1側)の面21bに当接した状態で、天板1の回動に伴って回転するように構成されている。これにより、天板1が回動する際に、円弧型保持部材21の振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aが当接する面における、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aと円弧型保持部材21との摩擦抵抗を低減することができる。その結果、天板長手方向に沿った動作軸Aに対する天板1の回動を妨げることなく、振れ止めベアリング50(51、52、53、54)が円弧型保持部材21を挟み込むように当接した状態を容易に維持することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、振れ止めベアリング50(51、52、53、54)は、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aの回転軸の側に配置された内輪と内輪の外側に配置された外輪とを有するベアリングであり、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aは、振れ止めベアリング50(51、52、53、54)の外輪により構成されている。これにより、内輪と外輪とを滑らかに相対回転させることが可能なベアリングを用いて、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aと円弧型保持部材21との摩擦抵抗を一層低減することができる。
【0064】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0065】
たとえば、上記実施形態では、振れ止めベアリング50を、円弧型保持部材20の天板長手方向(X軸方向)における一方側(X2側)の面21aおよび他方側(X1側)の面21bの各々に、天板短手方向(Y軸方向)に並ぶように2個ずつ(同数)設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、振れ止めベアリング50を、円弧型保持部材20の天板長手方向における一方側の面21aおよび他方側の面21bの各々に、天板短手方向に並ぶように3個以上設けてもよいし、天板短手方向(Y軸方向)に1個ずつ設けてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、振れ止めベアリング50を、円弧型保持部材20の天板長手方向(X軸方向)における一方側(X2側)の面21aおよび他方側(X1側)の面21bの各々に、天板短手方向(Y軸方向)に並ぶように2個ずつ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、振れ止めベアリング50を、円弧型保持部材20の天板長手方向における一方側の面21aおよび他方側の面21bの各々に、一方側の面21aと他方側の面21bとで異なる個数を設けてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、振れ止めベアリング50を、複数の円弧型保持部材21、22のうち、駆動機構10に近い側の円弧型保持部材21のみを挟み込むように設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、振れ止めベアリング50を、駆動機構10から遠い側の円弧型保持部材22のみを挟み込むように設けてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、円弧型保持部材20として、天板1の長手方向(X軸方向)に互いに離間した円弧型保持部材21と円弧型保持部材22との2つを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、3つ以上の円弧型保持部材20を設けてもよいし、1つの円弧型保持部材20を設けてもよい。なお、1つの円弧型保持部材20を設ける場合は、たとえば、図6に示す変形例のように、上記実施形態のX線透視撮影装置100(図2参照)における円弧型保持部材21、22が一体的に形成されたような円弧型保持部材220を設けるようにしてもよい。ここで、円弧型保持部材220は、長手方向の一方側(X2側)および他方側(X1側)にそれぞれ、ベアリング転動面231aを含むガイド溝231、ベアリング転動面232aを含むガイド溝232を有する。また、円弧型保持部材220は、円弧型保持部材220の一方側の面220aに当接する振れ止めベアリング51、52と、円弧型保持部材220の他方側の面220bに当接する振れ止めベアリング253、254とに挟まれるよう構成されている。なお、円弧型保持部材220は、特許請求の範囲の「保持部材」の一例である。また、ベアリング転動面231a、232aは、特許請求の範囲の「ガイド面」の一例である。また、振れ止めベアリング253、254は、特許請求の範囲の「振れ止め部材」の一例である。
【0069】
また、上記実施形態では、天板短手方向(Y軸方向)に並ぶように設けられた2個の振れ止めベアリング50を、それぞれ、円弧型保持部材20における天板短手方向の一方端(Y2側)の近傍および他方端(Y1側)の近傍に位置するように設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、天板短手方向に並ぶように設けられた2個の振れ止めベアリング50を、それぞれ、円弧型保持部材20における天板短手方向の中央部に設けてもよい。また、天板短手方向に並ぶように設けられた2個の振れ止めベアリング50のうち一方の振れ止めベアリング50を、天板短手方向の一方端の近傍または他方端の近傍に位置するように設けるとともに、他方の振れ止めベアリング50を、天板短手方向の中央部に設けてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、モータ11と扇形ギア12とを有する駆動機構10により天板1を回動するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、天板長手方向に沿った動作軸Aに対して天板1を回動することが可能な構成であれば、駆動機構10とは異なる機構を設けてよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ガイド部材として、ベアリング転動面31a、32aと接してX軸方向に延びる回動軸回りに回転する略円盤形状のガイド用ベアリング外輪41a、42a、43a、44aと、図示しないベアリング内輪等を介してガイド用ベアリング外輪41a、42a、43a、44aと接続されたベアリング軸棒41b、42b、43b、44bとを含むベアリングであるガイド用ベアリング40(41、42、43、44)を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、天板1が回動する際に円弧型保持部材20のガイド面と接して回転することにより天板1の回動をガイドするならば、たとえば、ベアリング以外のガイド部材を設けるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、ガイド用ベアリング外輪41a、42a、43a、44aを、天板1が回動する際に、円弧型保持部材20のベアリング転動面31a、32aと接して回転するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、天板1が回動する際に、円弧型保持部材20のベアリング転動面31a、32aと接するならば、回転しないガイド部材を設けるようにしてもよい。この場合、ベアリング転動面31a、32aとガイド部材とは、互いの摩擦抵抗を低減するように表面加工されていることが望ましい。
【0073】
また、上記実施形態では、振れ止め部材として、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aの回転軸の側に配置された内輪と、内輪の外側に配置された外輪である振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aとを有するベアリングである振れ止めベアリング50(51、52、53、54)を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、天板1が回動する面に略直交する面内で回転可能な振れ止め回転体を有するならば、たとえば、ベアリング以外の振れ止め部材を設けるようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aを、天板1が回動する際に、振れ止めベアリング外輪51a、52a、53a、54aの外周面が円弧型保持部材20の天板長手方向(X軸方向)における一方側(X2側)の面または他方側(X1側)の面に当接した状態で、天板1の回動に伴って回転するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、天板1が回動する際に円弧型保持部材20の天板長手方向(X軸方向)における一方側(X2側)の面または他方側(X1側)の面に当接するならば、振れ止め回転体に代えて回転しない部材を設けるようにしてもよい。この場合、円弧型保持部材20の天板長手方向(X軸方向)における一方側(X2側)の面または他方側(X1側)の面と振れ止め回転体とは、互いの摩擦抵抗を低減するように表面加工されていることが望ましい。
【0075】
また、上記実施形態では、天板長手方向および天板短手方向への天板1の直線移動、天板1の上下方向の昇降および天板短手方向に沿った動作軸に対する天板1の回動により、天板1と撮影部4との相対位置を移動可能なそれぞれの移動機構を天板支持部2に収納させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、天板1の天板長手方向の一方側(X2側)かつ天板1の下方(Z2側)に取り付けられる天板支持部2以外の位置に、上記移動機構を配置させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 天板
4 撮影部
10 駆動機構
11 モータ(駆動源)
12 扇形ギア(駆動伝達部材)
20、220 円弧型保持部材(保持部材)
21 円弧型保持部材(第1保持部材)
21a、22a、220a (保持部材の長手方向における)一方側の面
21b、22b、220b (保持部材の長手方向における)他方側の面
22 円弧型保持部材(第2保持部材)
31a、32a、231a、232a ベアリング転動面(ガイド面)
40(41、42、43、44) ガイド用ベアリング(ガイド部材)
41a、42a、43a、44a ガイド用ベアリング外輪(ガイド用回転体)
50(51、52、53、54)、253、254 振れ止めベアリング(振れ止め部材)
51a、52a、53a、54a 振れ止めベアリング外輪(振れ止め回転体)
A 動作軸
P 被検体
図1
図2
図3
図4
図5
図6