特許第6791379号(P6791379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6791379分析システム、コントローラ及びデータ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791379
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】分析システム、コントローラ及びデータ処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20201116BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G01N30/86 Z
   G01N30/86 V
   G01N30/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-523298(P2019-523298)
(86)(22)【出願日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】JP2017021343
(87)【国際公開番号】WO2018225222
(87)【国際公開日】20181213
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】横井 祐介
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−24560(JP,A)
【文献】 特開平9−274028(JP,A)
【文献】 特開2011−242351(JP,A)
【文献】 特開平7−181187(JP,A)
【文献】 特開2009−186201(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0099782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00−30/96
G01N 35/00−37/00
G01N 1/00− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析に用いられる複数の構成要素と、前記複数の構成要素から受信するデータに基づいて制御を行うコントローラと、前記コントローラから受信するデータを処理するデータ処理装置とを備える分析システムであって、
前記複数の構成要素は、制御に用いられる制御コード、各構成要素に割り当てられる付加コード、及び、各構成要素の名称を表す名称情報を記憶する記憶部をそれぞれ備え、
前記コントローラは、前記複数の構成要素から制御コード、付加コード及び名称情報を受信する第1受信部と、前記第1受信部で受信した制御コードに基づいて制御を行う第1制御部と、前記第1受信部で受信した制御コード及び付加コードに基づいてIDコードを生成するIDコード生成部とを備え、
前記データ処理装置は、前記コントローラからIDコード及び名称情報を受信する第2受信部と、前記第2受信部で受信したIDコードに含まれる制御コードに基づいて制御を行う第2制御部とを備える、分析システム。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記コントローラから受信する名称情報に基づいて前記構成要素の名称を特定する、請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記第2制御部は、前記コントローラから受信するIDコードに基づいて前記構成要素の名称を特定する、請求項1に記載の分析システム。
【請求項4】
前記名称情報はテキストデータである、請求項1に記載の分析システム。
【請求項5】
分析に用いられる複数の構成要素から受信するデータに基づいて制御を行うコントローラであって、
制御に用いられる制御コード、各構成要素に割り当てられる付加コード、及び、各構成要素の名称を表す名称情報を前記複数の構成要素から受信する第1受信部と、
前記第1受信部で受信した制御コードに基づいて制御を行う第1制御部と、
前記第1受信部で受信した制御コード及び付加コードに基づいてIDコードを生成するIDコード生成部とを備える、コントローラ。
【請求項6】
請求項5に記載のコントローラから受信するデータを処理するデータ処理装置であって、
前記コントローラからIDコード及び名称情報を受信する第2受信部と、
前記第2受信部で受信したIDコードに含まれる制御コードに基づいて制御を行う第2制御部とを備える、データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析に用いられる複数の構成要素と、前記複数の構成要素から受信するデータに基づいて制御を行うコントローラと、前記コントローラから受信するデータを処理するデータ処理装置とを備える分析システム、並びに、これに用いられるコントローラ及びデータ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば液体クロマトグラフやガスクロマトグラフなどの各種分析装置では、オートサンプラ、カラムオーブン及び検出器といった複数の構成要素(分析ユニット)を用いて分析が行われる。これらの構成要素には、それぞれ個別の装置ID及び機種名IDが対応付けられている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
分析装置には、各構成要素を制御するためのコントローラが備えられている。コントローラは、各構成要素から受信する装置IDに基づいて制御を行う。また、コントローラには、各構成要素の装置IDと機種名IDとが対応付けられたテーブルが記憶されている。コントローラは、各構成要素から受信する装置IDに基づいて、その装置IDに対応する機種名IDをテーブルから取得し、その機種名IDに基づいて各構成要素の名称を特定する。
【0004】
コントローラには、データを解析するためのデータ処理装置として、例えばCDS(Chromatography Data System)が接続されている。CDSは、コントローラを介して受信する各構成要素の装置IDに基づいて制御を行う。また、CDSには、コントローラと同様に、各構成要素の装置IDと機種名IDとが対応付けられたテーブルが記憶されている。CDSは、コントローラを介して受信する各構成要素の装置IDに基づいて、その装置IDに対応する機種名IDをテーブルから取得し、その機種名IDに基づいて各構成要素の名称を特定する。
【0005】
このように、制御の上で装置IDを各構成要素の名称(機種名ID)から切り離し、装置IDを用いてコントローラ及びデータ処理装置における制御を行うことにより、各構成要素の名称を変更した場合などに制御に影響が生じるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−024560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、CDSによっては、装置ID及び機種名IDが一意に決定されている場合がある。このような場合には、CDSにおいて各構成要素の名称を変更しようとすると、別の装置ID及び機種名IDを用いなければならない。そのため、ファームウェアにおいて装置IDを変更しなければならないなどの制御への影響が生じる場合があった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、各構成要素の名称を変更する場合に制御への影響が生じるのを防止することができる分析システム、コントローラ及びデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る分析システムは、分析に用いられる複数の構成要素と、前記複数の構成要素から受信するデータに基づいて制御を行うコントローラと、前記コントローラから受信するデータを処理するデータ処理装置とを備える。
【0010】
前記複数の構成要素は、記憶部をそれぞれ備える。前記記憶部は、制御に用いられる制御コード、各構成要素に割り当てられる付加コード、及び、各構成要素の名称を表す名称情報を記憶する。
【0011】
前記コントローラは、第1受信部と、第1制御部と、IDコード生成部とを備える。前記第1受信部は、前記複数の構成要素から制御コード、付加コード及び名称情報を受信する。前記第1制御部は、前記第1受信部で受信した制御コードに基づいて制御を行う。前記IDコード生成部は、前記第1受信部で受信した制御コード及び付加コードに基づいてIDコードを生成する。
【0012】
前記データ処理装置は、第2受信部と、第2制御部とを備える。前記第2受信部は、前記コントローラからIDコード及び名称情報を受信する。前記第2制御部は、前記第2受信部で受信したIDコードに含まれる制御コードに基づいて制御を行う。
【0013】
このような構成によれば、コントローラにおいて複数の構成要素から制御コードを受信し、その制御コードに基づいて制御が行われる。また、データ処理装置においては、コントローラからIDコードを受信し、そのIDコードに含まれる制御コードに基づいて制御が行われる。これにより、各構成要素の名称から制御コードを切り離して、コントローラ及びデータ処理装置における制御を行うことができるため、各構成要素の名称を変更する場合に制御への影響が生じるのを防止することができる。
【0014】
付加コードを構成要素ごとに異なるコードとすれば、IDコードを構成要素ごとに異ならせることができる。この場合、データ処理装置によっては、コントローラから受信するIDコードに基づいて各構成要素を特定することが可能になる。また、各構成要素の名称を表す名称情報が、コントローラを介してデータ処理装置により受信されるため、データ処理装置によっては、この名称情報に基づいて各構成要素を特定することも可能である。
【0015】
(2)前記第2制御部は、前記コントローラから受信する名称情報に基づいて前記構成要素の名称を特定してもよい。
【0016】
このような構成によれば、データ処理装置は、各構成要素の名称を表す名称情報をコントローラから受信することにより、その名称情報に基づいて各構成要素の名称を特定することができる。この場合、データ処理装置では、コントローラから受信するIDコードを用いずに各構成要素の名称を特定することができる。
【0017】
(3)前記第2制御部は、前記コントローラから受信するIDコードに基づいて前記構成要素の名称を特定してもよい。
【0018】
このような構成によれば、データ処理装置は、コントローラにおいて生成されたIDコードを当該コントローラから受信することにより、そのIDコードに基づいて各構成要素の名称を特定することができる。この場合、データ処理装置では、IDコードごとに対応付けて各構成要素の名称情報を記憶していてもよい。
【0019】
(4)前記名称情報はテキストデータであってもよい。
【0020】
(5)本発明に係るコントローラは、分析に用いられる複数の構成要素から受信するデータに基づいて制御を行うコントローラであって、第1受信部と、第1制御部と、IDコード生成部とを備える。前記第1受信部は、制御に用いられる制御コード、各構成要素に割り当てられる付加コード、及び、各構成要素の名称を表す名称情報を前記複数の構成要素から受信する。前記第1制御部は、前記第1受信部で受信した制御コードに基づいて制御を行う。前記IDコード生成部は、前記第1受信部で受信した制御コード及び付加コードに基づいてIDコードを生成する。
【0021】
(6)本発明に係るデータ処理装置は、前記コントローラから受信するデータを処理するデータ処理装置であって、第2受信部と、第2制御部とを備える。前記第2受信部は、前記コントローラからIDコード及び名称情報を受信する。前記第2制御部は、前記第2受信部で受信したIDコードに含まれる制御コードに基づいて制御を行う。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、各構成要素の名称から制御コードを切り離して、コントローラ及びデータ処理装置における制御を行うことができるため、各構成要素の名称を変更する場合に制御への影響が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る分析システムの構成例を示したブロック図である。
図2】IDコードの具体例を示した図である。
図3】データ処理装置による処理の具体例を示したブロック図である。
図4】データ処理装置による処理の変形例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.分析システムの構成例
図1は、本発明の一実施形態に係る分析システムの構成例を示したブロック図である。この分析システムには、例えば分析装置1及びデータ処理装置2が備えられている。本実施形態では、分析装置1が液体クロマトグラフである場合について説明する。
【0025】
分析装置1には、ポンプ11、オートサンプラ12、カラムオーブン13及び検出器14などの各種分析ユニットが備えられている。これらの分析ユニット11,12,13,14は、分析装置1において分析に用いられる構成要素である。前記構成要素は、複数の部品を備えた機能ごとの機能ユニットであってもよいし、各機能ユニットに備えられたバルブ、セル又はカラムなどの部品であってもよい。すなわち、構成要素は、分析に用いられるものであれば、1つの部品であってもよいし、複数の部品の集合体であってもよい。
【0026】
各分析ユニット11,12,13,14には、各種データを記憶する記憶部111,121,131,141が備えられている。各記憶部111,121,131,141には、制御コード、付加コード及び名称情報などが記憶されている。
【0027】
制御コードは、分析装置1の制御を行う際に用いられるコードとして各分析ユニット11,12,13,14に対応付けて設定されており、分析時に実行される制御プログラムにおいて使用される。付加コードは、分析ユニット11,12,13,14ごとに異なるコードとして割り当てられており、制御コードに付加されて各分析ユニット11,12,13,14から出力される。名称情報は、各分析ユニット11,12,13,14の名称を表す情報であり、例えばテキストデータからなる。
【0028】
各記憶部111,121,131,141は、例えばROM(Read-Only Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などのメモリにより構成されている。例えば、制御コードはROMに記憶され、付加コード及び名称情報はEEPROMに記憶されていてもよい。このように、少なくとも付加コード及び名称情報は、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されていることが好ましい。この場合、各記憶部111,121,131,141に記憶されている付加コード又は名称情報を必要に応じて書き換えることが可能である。ただし、各記憶部111,121,131,141は、バーコード又はICタグなどのように、記憶しているデータを読取装置で読取可能な構成などであってもよい。
【0029】
分析装置1には、さらにコントローラ15が備えられている。コントローラ15は、通信部151、制御部152及びIDコード生成部153などを備えている。コントローラ15は、分析装置1に備えられた各分析ユニット11,12,13,14及びデータ処理装置2に対して電気的に接続されている。
【0030】
通信部151は、各分析ユニット11,12,13,14とデータ処理装置2との間でデータの送受信を行う。通信部151は、各分析ユニット11,12,13,14から制御コード、付加コード及び名称情報を受信する第1受信部を構成している。ただし、通信部151によるデータ通信は、有線に限らず、無線で行うことも可能である。
【0031】
制御部152は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む構成であり、CPUがソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムを実行することにより、分析装置1の動作を制御する。制御部152は、通信部151で受信した制御コードに基づいて制御を行う第1制御部として機能する。制御部152は、各分析ユニット11,12,13,14から受信した名称情報を制御に使用することはなく、名称情報は、後述するようにそのままデータ処理装置2に送信される。
【0032】
IDコード生成部153は、通信部151で受信した制御コード及び付加コードに基づいてIDコードを生成する。すなわち、IDコード生成部153は、本来別々のコードである制御コード及び付加コードを結合して1つのコードを生成する処理を行う。IDコード生成部153により生成されたIDコードは、通信部151からデータ処理装置2に送信される。IDコード生成部153は、制御部152とは別に設けられた構成に限らず、制御部152がプログラムを実行することによりIDコード生成部153として機能するような構成であってもよい。
【0033】
データ処理装置2は、通信部21及び制御部22などを備えている。データ処理装置2は、コントローラ15に対して電気的に接続されている。データ処理装置2は、例えばCDS(Chromatography Data System)であり、コントローラ15から受信するデータを処理することにより、クロマトグラムデータの解析などを行う。データ処理装置2は、データの解析結果などの各種情報を表示する表示部や、ユーザが入力操作を行うための操作部などを備えていてもよい。このようなデータ処理装置2は、例えばコンピュータにより構成することができる。
【0034】
通信部21は、コントローラ15との間でデータの送受信を行う。通信部21は、コントローラ15からIDコード及び名称情報を受信する第2受信部を構成している。ただし、通信部21によるデータ通信は、有線に限らず、無線で行うことも可能である。
【0035】
制御部22は、例えばCPUを含む構成であり、CPUがソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムを実行することにより、コントローラ15から受信するデータを処理する。制御部22は、通信部21で受信したIDコードに含まれる制御コードに基づいて制御を行う第2制御部として機能する。
【0036】
2.IDコードの具体例
図2は、IDコードの具体例を示した図である。この例では、IDコードが16ビットのデータにより構成されている。より具体的には、12ビットの制御コードと、4ビットの付加コードが結合されることにより、16ビットの1つのコードがIDコードとして生成される。
【0037】
ただし、制御コードは12ビットに限らず、11ビット以下のデータにより構成されていてもよいし、13ビット以上のデータにより構成されていてもよい。同様に、付加コードは4ビットに限らず、3ビット以下のデータにより構成されていてもよいし、5ビット以上のデータにより構成されていてもよい。したがって、IDコードは、16ビットのデータに限られるものではない。
【0038】
3.データ処理装置による処理の具体例
図3は、データ処理装置2による処理の具体例を示したブロック図である。コントローラ15は、各分析ユニット11,12,13,14から制御コード、付加コード及び名称情報を受信し、制御コード及び付加コードに基づいてIDコードを生成する。データ処理装置2は、コントローラ15から通信部21を介してIDコード及び名称情報を受信する。
【0039】
このデータ処理装置2では、コントローラ15から受信したIDコードに含まれる制御コードは制御部22の制御に用いられるが、当該IDコードに含まれる付加コードは制御部22の制御に用いられない。この場合、制御部22は、コントローラ15から受信する名称情報に基づいて、各分析ユニット11,12,13,14の名称を特定する。特定された各分析ユニット11,12,13,14の名称は、例えばデータ処理装置2の表示部に対する表示などに用いられる。
【0040】
このように、図3の例では、コントローラ15において各分析ユニット11,12,13,14から制御コードを受信し、その制御コードに基づいて制御が行われる。また、データ処理装置2においては、コントローラ15からIDコードを受信し、そのIDコードに含まれる制御コードに基づいて制御が行われる。これにより、各分析ユニット11,12,13,14の名称から制御コードを切り離して、コントローラ15及びデータ処理装置2における制御を行うことができる。したがって、各分析ユニット11,12,13,14の名称を変更する場合に制御への影響が生じるのを防止することができる。
【0041】
特に、図3の例では、データ処理装置2は、各分析ユニット11,12,13,14の名称を表す名称情報をコントローラ15から受信することにより、その名称情報に基づいて各分析ユニット11,12,13,14の名称を特定することができる。この場合、データ処理装置2では、コントローラ15から受信するIDコードを用いずに各分析ユニット11,12,13,14の名称を特定することができる。
【0042】
さらに、OEM製品や、一部の機能又は部品の変更により、制御コードを変更する必要はないものの名称情報のみ変更する必要がある場合に、従来では装置ID全体を変更していたので、コントローラにおいて装置IDと機種名IDとを対応付けたテーブルやファームウェアを変更する必要があり、開発工数の増加につながっていた。しかし、本実施形態では、名称情報(テキストデータ)を変更するだけでよく、IDコード(制御コード及び付加コード)の変更の必要性がないので、コントローラやCDSのソフトウェアやファームウエアを変更する必要がなく、開発工数を削減できる。さらに、コントローラ15が従来技術において必要であった各構成要素の装置IDと機種名IDとが対応付けられたテーブルを不要とすることができる。
【0043】
4.データ処理装置による処理の変形例
図4は、データ処理装置2による処理の変形例を示したブロック図である。コントローラ15は、各分析ユニット11,12,13,14から制御コード、付加コード及び名称情報を受信し、制御コード及び付加コードに基づいてIDコードを生成する。この変形例においても、図3の場合と同様に、データ処理装置2は、コントローラ15から通信部21を介してIDコード及び名称情報を受信する。
【0044】
このデータ処理装置2では、コントローラ15から受信したIDコードに含まれる制御コードが制御部22の制御に用いられるとともに、当該IDコード(制御コード及び付加コード)に基づいて各分析ユニット11,12,13,14の名称が特定される。この場合、コントローラ15から受信する名称情報は制御部22の制御に用いられない。
【0045】
このデータ処理装置2には、記憶部23が備えられている。記憶部23には、各分析ユニット11,12,13,14の名称を表す名称情報がIDコードに対応付けて予め記憶されている。記憶部23は、例えばハードディスクにより構成されており、各IDコードに対応付けられた各分析ユニット11,12,13,14の名称情報を書き換え可能となっている。制御部22は、コントローラ15から受信したIDコードに基づいて、そのIDコードに対応する名称情報を記憶部23から読み出すことにより、各分析ユニット11,12,13,14の名称を特定する。特定された各分析ユニット11,12,13,14の名称は、例えばデータ処理装置2の表示部に対する表示などに用いられる。
【0046】
このように、図4の例では、図3の場合と同様に、コントローラ15において各分析ユニット11,12,13,14から制御コードを受信し、その制御コードに基づいて制御が行われる。また、データ処理装置2においては、コントローラ15からIDコードを受信し、そのIDコードに含まれる制御コードに基づいて制御が行われる。これにより、各分析ユニット11,12,13,14の名称から制御コードを切り離して、コントローラ15及びデータ処理装置2における制御を行うことができるため、各分析ユニット11,12,13,14の名称を変更する場合に制御への影響が生じるのを防止することができる。
【0047】
特に、図4の例では、データ処理装置2は、コントローラ15において生成されたIDコードを当該コントローラ15から受信することにより、そのIDコードに基づいて各分析ユニット11,12,13,14の名称を特定することができる。したがって、データ処理装置2が、装置ID及び機種名IDが一意に決定された従来のCDSである場合においても、本発明を適用することができる。各分析ユニット11,12,13,14において名称を変更した場合には、記憶部23に各IDコードに対応付けて記憶されている各分析ユニット11,12,13,14の名称情報を書き換えればよい。
【0048】
5.その他の変形例
以上の実施形態では、分析装置1が液体クロマトグラフである場合について説明した。しかし、このような構成に限らず、本発明は、ガスクロマトグラフなどの他の分析装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 分析装置
2 データ処理装置
11 ポンプ
12 オートサンプラ
13 カラムオーブン
14 検出器
15 コントローラ
21 通信部
22 制御部
23 記憶部
151 通信部
152 制御部
153 IDコード生成部
図1
図2
図3
図4