(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る内燃機関用ピストン及びその製造方法を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関用ピストン1の斜視図である。
図2Aは、同内燃機関用ピストンを
図1のA−A断面で見た断面図である。
図2Bは、同内燃機関用ピストンを
図1のB−B断面で見た断面図である。
図3Aは、同内燃機関用ピストンのピストン上部を
図1のA−A断面で見た断面図である。
図3Bは、同内燃機関用ピストンのピストン上部を
図1のB−B断面で見た断面図である。
図4Aは、同内燃機関用ピストンのピストン下部を
図1のA−A断面で見た断面図である。
図4Bは、同内燃機関用ピストンのピストン下部を
図1のB−B断面で見た断面図である。
なお、各図における符号CLは、内燃機関用ピストン1の中心軸線を示す。
【0024】
内燃機関用ピストン1は、自動車用エンジン、特にディーゼルエンジンへの用途に適したピストンである。
図1〜
図2Bに示すように、内燃機関用ピストン1は、円盤状のピストン上部2(第1部品)と、このピストン上部2の下面に一体に接合された筒状のピストン下部3(第2部品)と、を備えている。
【0025】
図3A及び
図3Bに示すように、ピストン上部2の上面をなす頂部2bには、燃焼室の一部を形成するキャビティ2aが形成されている。キャビティ2aは、中心軸線CLと同軸に形成された略円環状の凹部空間であり、その中央部分2a1が上方に向かって隆起している。
また、ピストン上部2の接合面をなす下面2cには、クーリングチャンネル2d及び凹所2eが形成されている。クーリングチャンネル2dは、中心軸線CLと同軸に形成された円環状の流路である。また、凹所2eも、中心軸線CLと同軸をなすように、前記中央部分2a1の裏面側に形成されている。凹所2eは、
図3Aに示す断面で見た場合と、
図3Bに示す断面で見た場合とで断面形状が異なっており、軸線CLに直交する左右方向の幅寸法が互いに異なっている。
さらに、ピストン上部2の外周面2fには、トップリング溝2f1,セカンドリング溝2f2,サードリング溝2f3が中心軸線CLと同軸をなすように、上から下に向かってこの順に並んで形成されている。
【0026】
図4A及び
図4Bに示すように、ピストン下部3は、スカート部3aを有する。
図1に示すように、スカート部3aは一部が切り欠かれた概略筒状をなしており、一対の円弧外周面3bと、これら円弧外周面3bの両側縁間に形成された一対の切り欠き面3cとを有している。各円弧外周面3bは、
図2Aに示すように、ピストン上部2の外周面2fと同じ外径寸法を有し、面一になっている。
【0027】
一方、
図1に示すように、各切り欠き面3cは、円弧外周面3bよりも凹んでV字状をなす2平面3c1,3c2により形成されている。さらに、これら2平面3c1,3c2より、内燃機関用ピストン1の径方向外方に向かって膨らむボス部3dが形成されている。このボス部3dは、
図2A及び
図2Bに示すように、スカート部3aの内部においても内燃機関用ピストン1の径方向内方に向かって膨らんでいる。このように形成された一対のボス部3dには、図示されないピストンピンを挿通させるピストンピン穴3d1がそれぞれ形成されている。これら一対のピストンピン穴3d1は、共通の軸線PCLを有している。この軸線PCLが、挿通された前記ピストンピンの軸線と一致する。
【0028】
また、
図4A及び
図4Bに示すピストン下部3の上面3eは、ピストン上部2の下面2cに接合する接合面となっている。上面3eには、前記クーリングチャンネル2dと共に流路を形成する環状のクーリングチャンネル3fが形成されている。さらに、上面3eには、ピストン上部2の凹所2eに連なる開口3gが形成されている。この開口3gは、凹所2eの開口と同一形状を有し、そして、スカート部3aの内部空間に連通している。開口3gは、
図4Aに示す断面で見た場合と、
図4Bに示す断面で見た場合とで断面形状が異なっており、軸線CLに直交する左右方向の幅寸法が互いに異なっている。
以上説明のように、上面3eと下面2cは、互いに同一形状を有している。そして、下面2cに対して上面3eが摩擦接合することで、
図2A及び
図2Bに示す太線位置に遷移層a(以下、Fe−Al遷移層と称する)が形成されている。
【0029】
以上説明の構成を有する内燃機関用ピストン1のうち、特にピストン上部2は、シリンダー内部の燃焼によって高温に晒される。内燃機関用ピストン1の燃焼効率は、その燃焼室内において高温かつ高圧縮の燃焼を行うことにより向上する。よって、燃焼効率を高めるためには、ピストン上部2の十分な高温疲労強度が求められる。
【0030】
しかしながら、アルミニウム合金は高温疲労強度が低いため、高温及び高圧縮で燃焼室内を燃焼させることができない。そのため、ピストン上部2には高温疲労強度が高い鋼を用いる。具体的には、鋼を、鋳造、熱間鍛造、もしくは冷間鍛造することにより、
図2A,
図3A及び
図3Bに示す形状に成形することで、ピストン上部2を得る。用いる鋼としては、低合金鋼であるSCM435またはSCM440を好適に採用することができる。
【0031】
しかし、ピストン上部2に加えてピストン下部3も鋼製とすると、内燃機関用ピストン1全体としての重量が過度に増す。この場合、内燃機関用ピストン1が上下運動する際の慣性重量が大きくなり、エネルギーロスが増大する。したがって、ピストン下部3はアルミニウム合金製とする。すなわち、アルミニウム合金を冷間鍛造することにより、
図4A及び
図4Bに示すような形状のピストン下部3を得る。アルミニウム合金としては、一般的な4000番系を好適に用いることができる。
【0032】
ピストン上部2を鋼により製造するとともにピストン下部3をアルミニウム合金で製造した後、ピストン上部2に対してピストン下部3を接合することで、軽量化及び高い高温疲労強度を両立した内燃機関用ピストン1を得ることができる。
【0033】
しかし、鋼製のピストン上部2とアルミニウム合金製のピストン下部3との界面を一旦溶融させて接合する方法では、接合界面に鋼とアルミニウム合金からなる脆い合金層が厚く形成され、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合強度を保てない。
そこで、接合界面に合金層が殆ど形成されない固相接合である摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding。以下、単に摩擦接合と言う)を採用することが考えられる。摩擦接合をした場合、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合面では、鋼とアルミニウム合金の母材とが溶け合っているのではなく、両方の母材同士が拡散し合って薄い層を形成することで接合している。この手法によれば、接合面に厚い合金層が生成されず、高い接合強度を実現できる。
摩擦接合によってピストン上部2及びピストン下部3間を固相接合するには、まずピストン上部2を固定し、続いてピストン下部3を回転させながらピストン上部2に押し付ける。
【0034】
しかし、ピストン下部3として用いられる4000番系のアルミニウム合金は、他のアルミニウム合金と比較して融点が低く、しかも表面の酸化膜が厚いという問題がある。酸化膜を除去するために、摩擦接合時の押し付け力及び回転数を高めることも考えられるが、その場合、アルミニウム合金が高温化して一部溶解し、厚いFe−Al遷移層を形成する。このような厚いFe−Al遷移層は、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合強度を著しく損なう虞がある。逆に、厚いFe−Al遷移層の形成を避けるために摩擦接合時の押し付け力及び回転数を抑えると、今度は酸化膜が除去しきれずに残り、その結果として、やはり十分な接合強度が得られないという結果になる。
【0035】
このように、従来の摩擦接合を単純に適用しただけでは、実用に耐えうる接合強度が得られないため、実用化が難しいというのが実情である。本発明者らは、上記状況の中で鋭意検討を進めた結果、摩擦接合により最適な接合強度を得るためのFe−Al遷移層の厚みに関する条件と、その条件を満足するための最適な製造方法とを得るに至った。
【0036】
すなわち、度重なる検討の結果、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合界面におけるFe−Al遷移層の厚さが1.0μm未満または20.0μm超であると、接合強度が低下することが判明した。なお、「Fe−Al遷移層の厚さ」とは、鋼製のピストン上部2とアルミニウム合金製のピストン下部3との接合部において、鋼もしくはアルミニウム合金の濃度が質量%で母材の95%から5%に低下するまでの、軸線CLに沿った長さを意味する。
【0037】
具体的に言うと、Fe−Al遷移層の厚さが1.0μm未満になると、接合面の酸化膜が完全に除去できないため、接合強度が低くなる。逆に、Fe−Al遷移層の厚さが20.0μm以上になると、Fe−Al遷移層が脆いために脆性破壊しやすくなり、接合強度が低くなる。
【0038】
一方、Fe−Al遷移層の厚さが1.0〜20.0μmの範囲内であると、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合強度が著しく向上する。具体的に言うと、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合部における引張強度が、4000番系のアルミニウム合金の母材の引張強度以上(300MPa以上)になる。このように接合部の接合強度が十分に高いときには、内燃機関用ピストン1に対して引張荷重を加えた場合、鋼及び接合部よりも引張強度が低いアルミニウム合金製のピストン下部3で破断する。よって、内燃機関用ピストン1の破断応力は、主にピストン下部3の引張強度によって決まることになる。一方、接合部の接合強度が十分でないときには、引張荷重によって接合部で破断する。この場合には、内燃機関用ピストン1の破断応力は、接合部の接合強度によって決まることになる。
【0039】
なお、内燃機関用ピストン1の破断応力は、以下の手順により測定した。ピストン上部2側を引張試験用治具(不図示)の定位置に固定し、ピストン下部3のピストンピン穴3d1に軸体(不図示)を挿入し、そして前記軸体を保持する治具を前記軸線CLに沿ってピストン上部2から離間する方向に移動させる。このようにして、ピストン上部2及びピストン下部3間の引張荷重を徐々に増していき、破断が生じた際の引張荷重を、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合面積で除算した値を破断応力とする。
【0040】
前記Fe−Al遷移層の厚さの下限は、好ましくは1.7μmであり、より好ましくは5.8μmである。一方、前記Fe−Al遷移層の厚さの上限は、好ましくは19.8μmであり、より好ましくは16.8μmである。
【0041】
Fe−Al遷移層の厚さの測定方法について、
図5を参照して述べる。
図5は、内燃機関用ピストン1のピストン上部2の接合面(下面2c)とピストン下部3の接合面(上面3e)とを同軸に重ね合わせた説明図である。
まず、内燃機関用ピストン1を、軸線CLを含む4断面C1〜C4において切断して4個のピースに分ける。4断面C1〜C4としては、軸線CLに沿った視線で見て等角度間隔(すなわち90°間隔)となるように断面を決める。
4断面C1〜C4のそれぞれにおいて、EPMAによる線分析を行い、アルミニウム成分が95%である点から5%である点にかけての厚みを求める。その際、EPMAのビーム径は、2nmとする。
【0042】
なお、1カ所の断面において互いに接合していた2つの切断面では、Fe−Al遷移層の厚さが互いに同じであるから、それらのどちらか一方を選んで厚みを求める。また、一断面あたりの測定箇所は、内燃機関用ピストン1の外周側1点と内周側1点の計2点である。これら2点の具体的な位置を
図5により説明する。
【0043】
例えば断面C3における外周側においては、内燃機関用ピストン1の外周面よりその径方向内側に向かって20μm深さの位置P1で厚み測定を行う。また、断面C3における内周側においては、まず、凹所2eの開口上の各点と、開口3g上の各点とのうち、中心軸線CLから最も離れた点を定める。そして、定めた点を周上の点としてかつ中心軸線CLを中心とする円を規定する。
図5を用いてより具体的に言うと、凹所2eの開口と開口3gとが同じ形状を有するため、まず開口3gの形状に注目する。開口3g上の各点のうちで中心軸線CLから最も離れた点がP0である。そこで、点P0を周上に含んでかつ中心軸線CLを中心とする円ICを規定する。そして、この円ICと断面C3の交点よりも径方向外方に向かって20μm離れた位置を点P2とする。
【0044】
このようにして求めた点P1,P2のそれぞれにおいて、Fe−Al遷移層の厚さを求める。同様の測定を、他の断面C1,C2,C4においても行う。全断面C1〜C4のそれぞれにおいて2点ずつ厚み測定を行った結果、外周側4点と内周側4点の合計8点の測定結果が得られる。
続いて、外周側である4つの点P1の厚み測定値の平均値を求める。同様に、内周側である4つの点P2の厚み測定値の平均値を求める。このようにして求めた外周側の厚み平均値と、内周側の厚み平均値とのいずれもが、上述した1.0〜20.0μmの範囲内であれば、十分な結合強度が確保される。
【0045】
前記内周側の点P2を規定する際、円ICを基準とした理由について説明する。
摩擦接合においては、ピストン上部2の接合面(下面2c)に対してピストン下部3の接合面(上面3e)を押し付けつつ、回転させる。その際、凹所2e及び開口3gが共に円形ではないため、ピストン下部3の回転と共に摩擦を受けたり受けなかったりを繰り返す部分が、下面2c及び上面3e双方の内周側に生じる。そのような部分が
図5の円ICよりも内周側であり、強固な摩擦接合を得る上では、円ICよりも外側の環状部分におけるFe−Al遷移層の厚さを管理することが求められる。このような理由により、安定した摩擦接合が得られる、円ICよりも外側にある上記環状部分内でFe−Al遷移層の厚さを管理することが求められる。
【0046】
なお、凹所2e及び開口3gの双方を無くして、下面2c及び上面3eのそれぞれを単純な円形平面とすることも考えられる。しかし、この場合、円形平面の中央部分の周速が外周部分の周速よりも遅いため、適切な接合強度が得られない虞がある。そのため、下面2c及び上面3eとしては、中央部分が開口した略環状面であることが好ましい。
【0047】
一方、上記環状部分内でも、内周側と外周側とでは周速が異なるため、周速の遅い内周側よりも周速の早い外周側の方がFe−Al遷移層の厚さが厚くなる傾向にある。
アルミニウム合金からなるピストン下部3の摩擦接合に際しては、上面3eに形成されている酸化膜を取り除くと共にFe−Al遷移層を適切な厚みにする必要がある。特に、上記環状部分の内周側における酸化膜除去不足とFe−Al遷移層の厚さ不足を生じないようにする必要がある。そのために、ピストン下部3の回転数及び押し付け力(以下、摩擦圧力)の少なくとも一方を単純に増すことも考えられる。しかし、この場合、上記環状部分の外周側で周速が上がりすぎて必要以上に高温化し、Fe−Al遷移層が厚くなりすぎる虞がある。
【0048】
本実施形態では、この問題に対して後述の製造方法を採用することにより、Fe−Al遷移層の厚みを、上記環状部分の内周側と外周側で大きな差を生じず均等な厚み分布を確保できるようにしている。具体的には、Fe−Al遷移層の、外周側における厚みから内周側における厚みを差し引いた差分が、10.0μm以下になっている。そのため、上記環状部分の全体において接合強度の高い遷移層が形成され、接合面全体において十分な結合強度を確保することができる。
【0049】
本実施形態に係る内燃機関用ピストン1の製造装置10を、
図6に示す。また、
図6のA部の拡大断面図を
図7に示す。
図6に示すように、製造装置10は、基台11と、基台11上に固定された固定チャック12と、基台11上に据え付けられた回転駆動部13と、回転駆動部13に保持された回転チャック14と、空気供給源15と、空気供給源15にフレキシブル配管15aを介して接続されたノズル16と、図示されない制御装置と、を備えている。
【0050】
固定チャック12は、ピストン上部2を、その中心軸線CLが水平をなすように保持して定位置に固定する。
回転チャック14は、ピストン上部2と同軸にピストン下部3を保持する。
回転駆動部13は、回転チャック14を中心軸線CL回りに回転させると共に、回転チャック14を固定チャック12に対して接近離間させる。回転駆動部13は、回転チャック14の回転数を測定する第1測定部(不図示)と、回転チャック14の押し付け力(摩擦圧力及びアプセット圧力)を測定する第2測定部(不図示)とを有する。
【0051】
図6及び
図7に示すように、ノズル16は、空気供給源15からフレキシブル配管15aを介して供給される冷却流体である圧縮空気を、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合面(下面2c及び上面3eの合わせ面)よりも所定距離、ピストン下部3側へずれた位置において、このピストン下部3の外周面3Aに対して吹き付ける。この所定距離としては、例えば、前記接合面よりピストン下部3に向かってL1=2mmの位置Pが好ましい。ノズル16は固定されているが、摩擦加熱時のピストン下部3は回転しているため、ピストン下部3の外周面を、位置Pを含む帯状冷却範囲で、周方向において均等に冷却することができる。なお、冷却流体としては、圧縮空気の代わりに、水などの液体を用いてもよい。
前記制御装置は、回転駆動部13の駆動制御と、ノズル16からの圧縮空気の吹き付けのON/OFF制御とを行う。
【0052】
続いて、製造装置10を用いた、内燃機関用ピストン1の製造方法について、
図8A及び
図8Bのフローチャートを用いて説明する。
まずステップS1において、ピストン上部2を固定チャック12に固定し、またピストン下部3を回転チャック14に固定する。そして、凹所2eと開口3gが正しく重なるように、回転方向の位置決めをする。
続くステップS2において、前記制御部が空気供給源15を起動させ、ノズル16からピストン下部3の外周側のみに対して圧縮空気を吹きつける強制冷却を開始する。なお、ピストン下部3の内周側には圧縮空気を吹きつけず、自然放熱となる。
【0053】
続くステップS3において、前記制御部からの指示を受けた回転駆動部13が、ピストン下部3を保持した回転チャック14を回転させる。その際、前記第1測定部が回転チャック14の回転数を測定し、所定の回転数となるようにフィードバック制御を行う。回転チャック14の回転数が安定した後、回転駆動部13は、回転チャック14を固定チャック12に向かって送り出す。
【0054】
続くステップS4では、ピストン下部3の上面3eがピストン上部2の下面2cに対して軽く当接し、その際の反力を、前記第2測定部が検知する。これにより、ピストン上部2とピストン下部3が同軸に接したと判断される。
続くステップS5では、回転チャック14の回転数を前記所定の回転数に維持したまま、所定の摩擦圧力が得られるよう、回転駆動部13が、回転チャック14を固定チャック12に向かってさらに押し付けていく。
【0055】
続くステップS6では、ピストン上部2に対するピストン下部3の押し付け力の強さである摩擦圧力が所定範囲内にあるか否かを、前記第2測定部で測定する。測定の結果、摩擦圧力が不足(ステップS6:NO)であれば、ステップS5に戻ってさらにピストン下部3を送り出す。一方、摩擦力が適切(ステップS6:YES)であれば、それ以上の送り出しは行わずにステップS7へ進む。
【0056】
このようにして、ピストン下部3の上面3eがピストン上部2の下面2cに回転しながら所定の摩擦圧力をもって摺接し、その結果として上面3e及び下面2cの双方が摩擦熱により加熱される。この摩擦熱と摩擦圧力により、ピストン下部3の上面3eを覆う酸化膜が除去される。加えて、ステップS2より継続して圧縮空気の吹きつけを行っているため、ピストン下部3の外周側が冷却され続け、過度の加熱が防げる。その結果、
図5において示した上記環状部分の全面において、その内周側と外周側とで加熱量に大きな差が生じず均等に加熱することができる。
【0057】
続くステップS7では、摩擦圧力の印加開始から所定時間を経過したか否かが判断される。すなわち、ステップS4での当接開始から現時点までの経過時間を確認する。確認の結果、まだ所定の印加時間に達していない場合(ステップS7:NO)には、ステップS6に戻り、再び、摩擦圧力を制御する。一方、確認の結果、所定の印加時間に達した場合(ステップS7:YES)には、ステップS8へと進む。
【0058】
なお、上記ステップS5〜S7では、摩擦圧力を測定することでフィードバック制御を行うものとしたが、この形態のみに限られない。例えば、内燃機関用ピストン1を複数回、試作して、その結果として最適な結果が得られた際の、回転チャック14の回転数、回転チャック14の送り出し量、そして摩擦圧力の印加時間などの各条件を求めておく。そして、以降の実製品の生産では、これら条件を満たすように前記制御部による制御を行えばよい。
【0059】
続くステップS8では、回転チャック14の回転を停止させる。その際、ピストン上部2に対するピストン下部3の中心軸線CL回りの相対回転位置を、ステップS1で位置決めした回転位置と一致させる。その結果、ピストン上部2の凹所2eと開口3gが正しく重なるように、ピストン上部2に対してピストン下部3が位置決めされる。
【0060】
続くステップS9では、回転チャック14に保持されたピストン下部3を、ピストン上部2に対して所定のアプセット圧力をもって押し付ける。この時のアプセット圧力としては、摩擦圧力の2倍以上10倍以下の範囲内であることが好ましい。アプセット圧力が2倍未満では、Fe−Al遷移層が過度に形成され、厚くなりすぎる。さらに、酸化膜が十分に除去されず、接合強度が低下する。逆に、アプセット圧力が10倍を超えるとFe−Al遷移層が薄くなりすぎる。
続くステップS10では、ピストン上部2に対するピストン下部3の押し付け力の強さであるアプセット圧力が所定範囲内にあるか否かを、前記第2測定部で測定する。測定の結果、アプセット圧力が不足(ステップS10:NO)であれば、ステップS9に戻ってさらにピストン下部3を送り出す。一方、アプセット圧力が適切(ステップS10:YES)であれば、それ以上の送り出しは行わずにステップS11へ進む。
【0061】
このようにして、ピストン下部3の上面3eがピストン上部2の下面2cに対して完全に固相接合され、所定厚みの接合層をなすFe−Al遷移層が形成される。このFe−Al遷移層は、アルミニウム合金を溶融させて接合する場合に比べて極めて薄く、接合強度が高い。しかも、上述したように上記環状部分の外周側を冷却によって過度に加熱することを抑えているので、Fe−Al遷移層の外周側部分が脆化してここより破断することを防いでいる。
【0062】
一方、上記環状部分の内周側においては、外周側よりも周速が遅いためにピストン下部3の上面3eを覆う酸化層が除去しきれない事態や、摩擦加熱が不十分なために接合強度が得られない事態などを回避できるよう、ピストン下部3の回転数を増して補うことが可能となっている。その際、上述したように、上記環状部分の外周側においては、適切に冷却され続けているので、ピストン下部3の回転数を増しても問題を生じない。
【0063】
なお、本実施形態では、ステップS10においてアプセット圧力を適正に管理する圧力制御を採用しているが、この形態のみに限らず、変位制御を採用してもよい。この場合、ステップS10において、回転チャック14の送り出し量が規定に達したか否かが判断される。そして、送り出し量が足りていないと判断された場合にはステップS9に戻り、送り出し量が足りていると判断された場合にはステップS11へと進む。
【0064】
続くステップS11では、アプセット圧力の印加開始から所定時間を経過したか否かが判断される。すなわち、ステップS9でのアプセット開始から現時点までの経過時間を確認する。確認の結果、まだ所定の印加時間に達していない場合(ステップS11:NO)には、ステップS10に戻り、再び、アプセット圧力を制御する。一方、確認の結果、所定の印加時間に達した場合(ステップS11:YES)には、ステップS12へと進んでアプセット圧力の印加を解く。
続くステップS13では、前記制御部が空気供給源15を停止させ、ノズル16からの圧縮空気の吹きつけを停止させる。
続くステップS14では、固定チャック12及び回転チャック14による固定を解除することで、内燃機関用ピストン1を製造装置10から取り外す。その後、ピストン上部2及びピストン下部3の接合箇所にバリが出るため、旋削によりバリを除去し、製造工程が終了する。
【0065】
本製造工程のうち、ステップS4〜S7においてピストン下部3の上面3eを摩擦加熱している。ピストン下部3の素材である4000番系のアルミニウム合金は、融点が低く、摩擦加熱時に発熱させ過ぎると接合界面の表層が溶けてしまう。このため、発熱量を抑えながら表面の酸化膜を除去する必要がある。
【0066】
摩擦加熱時におけるピストン下部3の回転数が1000rpm未満であると、酸化膜が十分に除去されないため、アプセット後の接合強度が低下する。したがって、摩擦加熱時の回転数は、1000rpm以上であり、好ましくは1032rpm以上であり、さらに好ましくは1054rpm以上である。
一方、摩擦加熱時の回転数が2500rpmを超えると、発熱量が大きくなり、接合界面の温度が高くなるため、アプセット後の遷移層が厚くなって接合強度が低下する。したがって、摩擦加熱時の回転数は、2500rpm以下であり、好ましくは2493rpm以下であり、さらに好ましくは2492rpm以下である。
【0067】
ステップS4〜S7に示した摩擦加熱時の押し付け力が20.0MPaを超えると、接合界面の温度が高くなるので、アプセット後のFe−Al遷移層が厚くなって接合強度が低くなる。したがって、摩擦加熱時の押し付け力(摩擦圧力)は、20.0MPa以下であり、好ましくは19.4MPa以下であり、より好ましくは19.2MPa以下である。一方、摩擦加熱時の押し付け力の上限値としては50.0MPa、より好ましくは40.0MPa、さらに好ましくは35.0MPa、とすることが好ましい。
【0068】
摩擦加熱時の押し付け時間が10.0秒間未満であると、酸化膜が十分に除去されないため、接合強度が低下する。したがって、摩擦加熱時の押し付け時間は、10.0秒間以上であり、好ましくは10.3秒間以上であり、より好ましくは15.9秒間以上である。一方、摩擦加熱時の押し付け時間の上限値としては60.0秒間、より好ましくは50.0秒間、さらに好ましくは40.0秒間、とすることが好ましい。
【0069】
さらに、摩擦加熱時の接合面位置におけるピストン下部3の外周面温度が200℃未満であるとFe−Al遷移層の厚さが1.0μm未満となり、アプセット後の接合強度が低下する虞がある。また、前記外周面温度が550℃超であるとFe−Al遷移層の厚さが20.0μm超となり、脆化によって接合強度が低下する虞がある。
【0070】
したがって、ピストン下部3の外周面温度は、好ましくは200℃〜550℃である。前記外周面温度の下限は、より好ましくは231℃であり、さらに好ましくは307℃である。また、前記外周面温度の上限は、より好ましくは510℃であり、さらに好ましくは500℃である。なお、前記外周面温度は、放射温度計を用いて測定し、最大温度を測定値として採用することができる。
【0071】
本実施形態では、周速の遅い、上記環状部分の内周側の温度も200℃〜550℃となるようにピストン下部3の回転数や摩擦圧力を増している。そのため、周速の速い、上記環状部分の外周側の温度が内周側の温度よりも高めになりがちである。これを防ぐために、本実施形態では、圧縮空気の吹きつけにより、ピストン下部3の外周面温度を200℃〜550℃に抑えている。その結果、上記環状部分の内周側及び外周側の双方の温度を、200℃〜550℃の温度範囲内に制御している。
また、上記環状部分の内周側及び外周側における温度差も生じないので、接合層であるFe−Al遷移層の、外周側における厚みから内周側における厚みを差し引いた差分が10.0μm以下となるように、Fe−Al遷移層を均等な厚み分布にすることができる。よって、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合強度を十分に高めることが出来る。
【0072】
以上説明の本実施形態の内燃機関用ピストン1及びその製造方法によれば、耐熱性が高いピストン上部2と軽量なピストン下部3とを有し、なおかつこれらピストン上部2及びピストン下部3間の接合強度が高い内燃機関用ピストン1を得ることができる。この内燃機関用ピストン1としては、自動車用エンジン、特にディーゼルエンジン等に好適に用いることが可能である。
【実施例】
【0073】
本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
上述の
図3A,
図3Bに示すピストン上部2をSCM435で製造するとともに、
図4A,
図4Bに示すピストン下部3をA4032のアルミニウム合金で製造した。そして、ピストン上部2に対してピストン下部3を摩擦接合して内燃機関用ピストン1を製造した。この摩擦接合の際、摩擦加熱時回転数、摩擦加熱時押し付け力、摩擦加熱時押し付け時間、強制空冷の有無、の各条件を変え、アプセット直前におけるピストン下部3の外周面温度を測定した。外周面温度は、放射温度計を用いて、
図7に示すように、接合面よりピストン下部3側に向かってL2=2mmの位置P’を測定した。
【0074】
さらに、アプセット時の押し付け力、押し付け時間、の各条件を変え、アプセット後に得られたFe−Al遷移層の外周側厚さt1、内周側厚さt2、厚みの差分(t1−t2)、そして破断応力を求めた。
以上の結果を、表1にまとめる。
なお、接合界面のピストン下部3の外周面温度、Fe−Al遷移層の各部厚さは、いずれも、上述の方法により測定した。また、引張試験での破断箇所が接合面でなくピストン下部3である場合には、接合面の接合強度が十分であると判断し、破断箇所が接合面である場合には、接合面の接合強度が十分でないと判断した。
【0075】
【表1】
【0076】
表1において、No.1〜13が上述の条件を全て満足する本発明例であり、No.14〜27が上述の条件を満足しない比較例である。
本発明例であるNo.1〜13は、遷移層の厚さが内周側及び外周側の双方において1.0〜20.0μmの範囲内であり、引張試験での破断応力が300MPa以上と高く、破断箇所が接合面以外のピストン下部であった。
【0077】
これに対し、No.14は、摩擦加熱時の回転数が上述の下限値を下回るため、ピストン下部3の外周面温度が198℃と低かった。その結果、Fe−Al遷移層の厚さが0.2μmと薄く、破断応力が190MPaと低かった。引張試験では接合箇所で破断した。
【0078】
No.15は、摩擦加熱時の回転数が上述の範囲の上限を上回るため、Fe−Al遷移層の厚さが21.3μmと厚くなりすぎ、破断応力が298MPaと低かった。引張試験では接合箇所で破断した。
【0079】
No.16は、摩擦加熱時の押し付け力が上述の範囲の上限を上回る上に、摩擦加熱時の押し付け力がアプセット時の押し付け力よりも高いため、Fe−Al遷移層の厚さが25.3μmと厚くなりすぎ、破断応力が265MPaと低かった。引張試験では接合箇所で破断した。
【0080】
No.17は、摩擦加熱時の押し付け時間が上述の範囲の下限を下回るため、ピストン下部3の外周面温度が196℃と低かった。その結果、Fe−Al遷移層の厚さが0.3μmと薄く、破断応力が156MPaと低かった。引張試験では接合箇所で破断した。
【0081】
No.18は、摩擦加熱時の回転数が高く、摩擦接合面の外側からの強制空冷を行わなかった。そのため、ピストン下部3の外周面温度が563℃となり、Fe−Al遷移層の厚さが27.6μmと厚くなりすぎ、破断応力が123MPaと低かった。引張試験では接合箇所で破断した。
【0082】
No.19は、強制空冷を行わなかった以外の条件は満たされているものの、やはりピストン下部3の外周面温度が557℃と高くなった。その結果、Fe−Al遷移層の厚さが21.6μmと厚くなりすぎ、破断応力も257MPaと低かった。引張試験では接合箇所で破断した。
No.20は、Fe−Al遷移層の外周側厚みt1が適切であるものの、内周側厚みt2が薄すぎるために十分な接合強度が得られなかった。本比較例では、強制空冷なしの条件下でFe−Al遷移層の外周側厚みt1を適正にするために摩擦加熱時回転数を適正範囲外まで下げている。しかし、Fe−Al遷移層の内周側の温度が上がらず、内周側厚みt2が薄くなったものと推察される。引張試験では、接合箇所で破断した。
【0083】
No.21は、アプセット時の押し付け時間が適切であるものの、押し付け力が低すぎるためにFe−Al遷移層の外周側厚みt1が厚くなりすぎ、その結果、十分な接合強度が得られなかった。すなわち、本比較例ではアプセット押し付け力が弱すぎるため、Fe−Al遷移層の外周側にある余分な部分を外部に押し出せず、Fe−Al遷移層の外周側厚みt1が厚くなった。その結果、引張試験では接合箇所で破断した。
No.22は、アプセット時の押し付け時間が適切であるものの、押し付け力が高すぎるためにFe−Al遷移層の内周側厚みt2が薄くなりすぎ、その結果、十分な接合強度が得られなかった。すなわち、本比較例ではアプセット時の押し付け力が強すぎたため、Fe−Al遷移層の内周側の部分を余計に押し出しすぎてしまい、内周側厚みt2が薄くなりすぎた。その結果、引張試験では接合箇所で破断した。
【0084】
No.23は、アプセット時の押し付け力が適切であるものの、押し付け時間が短すぎるためにFe−Al遷移層の外周側厚みt1が厚くなりすぎ、その結果、十分な接合強度が得られなかった。すなわち、本比較例ではアプセット時の押し付け時間が短すぎたため、Fe−Al遷移層の外周側にある余分な部分を外部に押し出せなかった。そのため、Fe−Al遷移層の外周側厚みt1が厚くなった。その結果、引張試験では接合箇所で破断した。
No.24は、アプセット時の押し付け力が適切であるものの、押し付け時間が長すぎるためにFe−Al遷移層における内周側厚みt2が薄くなりすぎ、その結果、十分な接合強度が得られなかった。すなわち、本比較例ではアプセット時の押し付け時間が長すぎたため、Fe−Al遷移層の内周側の部分を外部に押し出しすぎた。そのため、Fe−Al遷移層の内周側厚みt2が薄くなった。その結果、引張試験では接合箇所で破断した。
【0085】
No.25は、摩擦加熱時の押し付け力が低すぎたためにFe−Al遷移層の外周側厚みt1及び内周側厚みt2の双方が薄くなりすぎ、その結果、十分な接合強度が得られなかった。すなわち、本比較例では摩擦加熱時の押し付け力が弱すぎたためにFe−Al遷移層の温度が十分に上がらず、Fe−Al遷移層の外周側厚みt1及び内周側厚みt2の双方が薄くなった。その結果、引張試験では接合箇所で破断した。
No.26は、摩擦加熱時の押し付け時間が長すぎたためにFe−Al遷移層の外周側厚みt1が厚くなりすぎ、その結果、十分な接合強度が得られなかった。すなわち、本比較例では摩擦加熱時の押し付け時間が長すぎたためにFe−Al遷移層の外周面温度が高くなりすぎ、Fe−Al遷移層の外周側厚みt1が厚くなった。その結果、引張試験では接合箇所で破断した。
【0086】
No.27は、摩擦加熱時の回転数が高すぎたためにFe−Al遷移層の外周側厚みt1及び内周側厚みt2の双方が厚くなりすぎ、その結果、十分な接合強度が得られなかった。すなわち、本比較例では摩擦加熱時の回転数がかなり速いため、Fe−Al遷移層の温度が高くなりすぎ、Fe−Al遷移層の外周側厚みt1及び内周側厚みt2の双方が厚くなった。その結果、引張試験では接合箇所で破断した。
【0087】
以上のことから、強制空冷を行うとともに上述した各種条件を満たすことで、高温耐久性に優れた鋼製のピストン上部2と軽量なアルミニウム合金製のピストン下部3とを備え、そしてこれらピストン上部2及びピストン下部3間の接合強度が高い内燃機関用ピストン1を得られることが確認された。
【0088】
以上に説明した、本実施形態の内燃機関用ピストン1の骨子を以下に纏める。
(1)本実施形態の内燃機関用ピストン1は、鋼製のピストン上部2と、ピストン上部2に対し環状のFe−Al接合層を介して接合されたアルミニウム合金製のピストン下部3とを備え、Fe−Al接合層の厚さが、Fe−Al接合層の内周側及び外周側の双方とも1.0μm以上20.0μm以下である。
【0089】
(2)前記接合層の、前記外周側における前記厚みから前記内周側における前記厚みを差し引いた差分が、10.0μm以下である。
【0090】
(3)本実施形態の内燃機関用ピストン1の製造方法は、ピストン上部2を定位置に固定する工程と、ピストン下部3を回転させながらピストン上部2に対し押し付けて摩擦加熱する工程と、ピストン下部3の回転を停止させた後、ピストン下部3をピストン上部2に対し押し付けてFe−Al接合層を形成する工程と、を有する。そして、前記摩擦加熱する工程では、ピストン上部2及びピストン下部3間の接合位置よりもピストン下部3側の位置におけるピストン下部3の外周面に対し、圧縮空気を吹き付ける。
【0091】
(4)前記摩擦加熱する工程で、ピストン下部3を1000rpm〜2500rpmの回転数で回転させながらピストン上部2に対し2.0MPa以上20.0MPa以下の押し付け力で10.0秒以上60.0秒以下、押し付ける。さらに、Fe−Al接合層を形成する工程で、ピストン下部3をピストン上部2に対し10.0MPa以上50.0MPa以下かつ前記摩擦加熱する工程よりも大きい押し付け力で1.0秒以上10.0秒以下、押し付ける。
【0092】
(5)前記摩擦加熱する工程では、ピストン下部3の外周面の温度を200℃以上550℃以下にする。