(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る光トランシーバを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、光トランシーバのネジ止めによる封止構造を示す断面図である。
【
図3】
図3は、ハウジングに中間アセンブリを挿入する状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、ハウジングと内蓋との係合構造を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、ハウジングにシートを挿入する状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、ハウジングにホルダを挿入する状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、ハウジングにスペーサを挿入する状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、ハウジングに内蓋を組み付ける状態を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、ハウジングに外蓋を組み付ける状態を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る溝部を示す側面図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る内蓋とハウジングを示す図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態に係る内蓋とハウジングを示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第5実施形態に係る内蓋とハウジングを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る光トランシーバの実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る光トランシーバ1の内部を示す斜視図である。光トランシーバ1は光通信に用いられる機器であり光信号と電気信号の相互変換を行う。光トランシーバ1は、その長手方向に沿ってホストシステムに用意されたケージに挿入され、光トランシーバ1の後端に設けた電気プラグ6aを、ケージ内に設けた電気コネクタに係合してホストシステムとの間の通信を確立する。光トランシーバ1は、ハウジング2、外蓋3、内蓋4、光レセプタクル5及び回路基板6を備える。
【0011】
図2は、光トランシーバ1の断面図である。ハウジング2は光トランシーバ1の光部品及び電気部品を収容する。
図1及び
図2に示すように、ハウジング2は、底壁2aと、底壁2aの両端から立ち上がる2つの側壁2bを有する。また、ハウジング2の前端には外部の光コネクタを受容する光レセプタクル5を有する。ここで、以下の説明では、光トランシーバ1の前方を光レセプタクル5が形成されている側、後方をその反対側とする。光レセプタクル5の後部であって側壁2bの外面には凹部2cを有し、この凹部2cの内部に外壁3をハウジング2に係合する凸部2dを有する。また、側壁2bの後端は、外蓋3の後端を受容する一対の凹部2jを有する。
【0012】
外蓋3及び内蓋4は矩形の外形を有する。外蓋3の前端に、側壁2bの凹部2cに係合する係合部3aを有する。係合部3aは、外蓋3の幅方向に突き出る突片状であって、また、凸部2dに係合する孔3bを有する。外蓋3の後端から側壁2bの凹部2jに入り込む凸部3dが突出している。
【0013】
ハウジング2及び外蓋3は内部空間Sを形成する。ハウジング2、外蓋3及び内蓋4は、この内部空間S内で誘起される電磁放射ノイズの内部空間S外への漏洩を防止する。ハウジング2と外蓋3の間には弾性を有するガスケットGが挿入される。
【0014】
内蓋4は、樹脂製又は金属製である。金属製の内蓋4は、回路基板6上に搭載された回路素子から外蓋3までの放熱パスを確保する。内蓋4はその中央にネジ孔4bを有し、一方、外蓋3の中央にはネジNの挿通孔3cを有し、内蓋4と外蓋3を重ねた状態で挿通孔3cとネジ孔4bが整合する。ネジNを挿通孔3cからネジ孔4bに挿入し、ネジ孔4bにネジ止めすることにより、外蓋3と内蓋4をハウジング2に固定する。ネジNは、その先端N1が回路基板6上の回路素子から離間する長さとする。また、光レセプタクル5はハウジング2に接続されている。光レセプタクル5は、光トランシーバ1の一端に設けられており、外部の光コネクタを受容する。
【0015】
図3は、光トランシーバ1を備える回路基板6及び光部品を示す斜視図である。内部空間Sは、前述した回路基板6に加えて、TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)7、ROSA(Receiver Optical Sub-Assembly)8、及び2枚のFPC(FlexiblePrinted Circuit)基板9,10を収容する。回路基板6、TOSA7、ROSA8、及び2枚のFPC基板9,10は中間アセンブリMを構成する。TOSA7及びROSA8は、光トランシーバ1の幅方向に並置される。FPC基板9はTOSA7と回路基板6を接続し、他のFPC基板10はROSA8と回路基板6を接続する。
【0016】
ROSA8は、光トランシーバ1の外部から受信した光信号を電気信号に変換する。ROSA8が変換した電気信号はFPC基板10を介して回路基板6に伝送される。回路基板6が搭載する回路は、この電気信号を処理し、ホストシステムに向けて出力する。一方、ホストシステムからは送信電気信号が入力し、回路基板6に搭載された他の回路により処理された後、FPC基板9を介してTOSA7に伝送される。TOSA7は、この電気信号を光信号に変換した後、光トランシーバ1の外部に出力する。
【0017】
TOSA7は、本体7aと、本体7aから突出する円筒状のスリーブ7bと、スリーブ7bの一部であるフランジ7cを有する。ROSA8も上記同様の本体8a、スリーブ8b及びフランジ8cを有する。スリーブ7b,8bの前端が光レセプタクル5の内部に突出し、光レセプタクル5が受容した外部の光コネクタと光結合する。フランジ7c,8cにより、TOSA7、ROSA8とハウジング2との間の相対位置が規定される。
【0018】
図4は、内蓋4のハウジング2への取り付け構造を示す斜視図である。ハウジング2は、その側壁2bの内面に溝20を有する。溝20は、それぞれの側壁2bに設けられており、これらの2つの溝20は、光トランシーバ1の長手方向について対称となる位置に配置されている。
【0019】
図5は、溝20を拡大した図である。
図4及び
図5に示すように、溝20は、全体としてL字状を呈する窪みである。これらの溝20は、側壁2bの頂面2fから延びL字の縦棒を成す第1部分21と、L字の横棒を成す第2部分22とを含む。第2部分22の上面22aは側壁2bの頂面2fに平行である。第1部分21は側壁2bを貫通していない。一方、第2部分22は、側壁2bを半円状開口をもって貫通している。
【0020】
内蓋4は、一対の側面4aと、内蓋4の前端部の側面4aにおいて断面半円状の突起23を有する。突起23の上端の平坦面23bは内蓋4の主面4cに平行である。突起23の下面が半円状に突出した円弧部23aを構成し、その上端の外形が溝20の第2部分22と同一である。突起23の断面積は、溝20の第2部分22の面積と略同一である。また、溝20の第1部分21の幅Bは、突起23の半径Rよりも大きく、且つ、突起23の直径よりも小さい。これにより、各突起23は、その円弧部23aを横向きにして、すなわち円弧部23aを後方に向け頂面2fから各溝20に挿入され、溝20にガイドされて第1部分21の奥端にまで挿入された後、円弧部23aを第2部分22に沿って回転させて、突起23は第2部分22に嵌合する。第2部分22に突起23が嵌め込まれた状態では、突起23の円弧部23aは下方を向く。
【0021】
次に、光トランシーバ1の組み立て手順について説明する。
図6は、ハウジング2、光レセプタクル5及びシートHを示す斜視図である。まず、光レセプタクル5の側壁2bの内面に形成された溝2gにシートHを挿入する。シートHは、例えば、導電性ラバーである。シートHは、TOSA7のスリーブ7b及びROSA8のスリーブ8bのそれぞれが貫通する2つの孔H1を有する。
【0022】
一方、ハウジング2の外部において、予め回路基板6上に回路素子をソルダリングにより搭載し、光学調芯を済ませたTOSA7及びROSA8をFPC9,10基板により回路基板6に接続して中間アセンブリMを作製する。ここで光学調芯とは、TOSA7及びROSA8それぞれに搭載されている半導体光デバイス(LD,PD等)と、スリーブ7b,8bに挿入された光ファイバとの間の光学調芯を言う。そして、回路基板6をハウジング2に収容し、スリーブ7b,8bをシートHの孔H1に挿入し、中間アセンブリMをハウジング2内に搭載する。このとき回路基板6は側壁2bの内面に形成された段差2h上に載置する。
【0023】
続いて、
図7に示すように、ホルダLをハウジング2の内部に収容する。ホルダLは、例えばSUS304又はSUS301製である。ホルダLは、TOSA7及びROSA8のスリーブ7b,8bをハウジング2に対して固定する。このホルダLは、フランジ7c,8cの後部に位置しており、フランジ7c,8cを光レセプタクル5の後壁に押し付けることにより、TOSA7及びROSA8をハウジング2内で固定する。
【0024】
次に、
図8に示すように、スペーサ30を回路基板6上に配置する。スペーサ30は、例えば樹脂製であり弾力を有する。スペーサ30は、内蓋4と回路基板6の間に介在し、内蓋4をハウジング2に組み付けると、内蓋4は、回路基板6を下方に押圧する。これにより、回路基板6は側壁2bの段差2h上に押し付けられてその位置が安定する。また、スペーサ30は、内蓋4と回路基板6上に搭載されている回路素子との間の短絡を防止する。
【0025】
そして、
図9に示すように、内蓋4をハウジング2に搭載する。このとき、回路基板6上の回路素子と内蓋4の間に放熱グリースを塗布する。また、内蓋4の突起23をハウジング2の溝20の直上に位置させ、突起23をその円弧部23aを後方に向けた状態で溝20に挿入する。そして、突起23を溝20の奥端まで挿入し、溝20の第2部分22に固定し、突起23を中心として内蓋4を後方に回転し突起23の円弧部23aを下方に向ける。そして、第2部分22に突起23を整合し側壁2bを貫通している第2部分22を突起23で蓋をし、内蓋4をスペーサ30の上に配置する。
【0026】
その後、
図10に示すように、外蓋3をハウジング2に固定する。具体的には、外蓋3の後端の両側に有する凸部3dを、ハウジング2の側壁2bの後端に位置する凹部2jに挿入し、外蓋3をハウジング2の側壁2bで支持する。そして、凸部3dを中心として外蓋3を前方に回転して外蓋3を内蓋4の上に配置する。このとき、外蓋3の前端に位置する係合部3aの孔3bにハウジング2の凹部2cの凸部2dを係合して外蓋3とハウジング2を固定し、ネジNを外蓋3の挿通孔3cに挿入してネジ孔4bにネジ止めする。これにより、外蓋3と内蓋4が密に接触した状態で外蓋3を内蓋4に固定し、光トランシーバ1の組み立てが完了する。
【0027】
次に、本実施形態に係る光トランシーバ1の効果について説明する。光トランシーバ1は、外蓋3及び内蓋4を備えており、内蓋4はハウジング2の側壁2bと対向する側面4aに突起23を有し、側壁2bは突起23を収容する溝20を有し、外蓋3は内蓋4にネジ止めされる。このように蓋の二重構造を用いて両方の蓋3,4をネジ止めすることによりネジ止めによる封止を確実に行うことができる。
【0028】
また、内蓋4は、その前方側に設けられる突起23を中心として回転し、外蓋3は、その後方側に設けられる凸部3dを中心として回転する。そして、外蓋3がネジNによってネジ止めされている箇所は、外蓋3が側壁2bに支持されている位置(凸部3dの位置)と、内蓋4が側壁2bに支持されている位置(突起23の位置)の間にある。これにより、外蓋3と内蓋4を密に固定することができる。
【0029】
すなわち、外蓋3をその後端を中心として回転させ、内蓋4もその後端を中心として回転させると、回転中心から離れた端部が長くなるため、当該端部のがたつきを防止することができない。これに対し、外蓋3をその後端を中心として回転させ、内蓋4をその前端を中心として回転させる本発明に係る形態では、両端が固定されることになり、回転自由度が確保されず、外蓋3と内蓋4を強固に固定することができ、また固定後の外蓋3及び内蓋4のがたつきを確実に抑えることができる。
【0030】
また、ハウジング2の溝20はL字状に形成されており、突起23は半円状とされている。溝20は、ハウジング2の頂面2fにあり、溝20の奥端には突起23が嵌合する半円部(溝20の第2部分22)を有する。突起23は、その円弧部23aを後方に向けて溝20に挿入され、溝20の奥端(第2部分22)に達したときに第2部分22の円弧状の外周に沿って回転し、第2部分22の半円部と一致する。ここで、突起23の断面と第2部分22の半円部とは整合しているので、内蓋4、あるいは突起23のスムーズな回転が可能になる。また、溝20の幅Bは、突起23の半径Rよりも広く、且つ突起23の直径よりも狭いので、内蓋4を縦にした状態で突起23を溝20内にスムーズに挿入することができる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光トランシーバについて説明する。
図11に示すように、第2実施形態に係る光トランシーバは、その溝40及び突起が第1実施形態の溝20及び突起23と異なっている。以下では、第1実施形態と重複する説明を省略する。溝40は、その全体がハウジング2の側壁2bを貫通している。また、第2実施形態の突起は、第1実施形態の突起23よりも大きく突出しており、第1実施形態よりも深く溝40に係合する。すなわち、第2実施形態に係る突起は、ハウジング2の側壁2bの全厚さに相当する高さ、突き出し量を有する。このように、第2実施形態では、溝40に突起を深く係合させることができるので、溝40に対する突起の係合力を一層高めることができる。
【0032】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る光トランシーバについて
図12を参照して説明する。第3実施形態では、第1実施形態の内蓋4とは異なる形状の内蓋54を有し、ハウジング2は溝20と異なる形状の溝50を有する。内蓋54は、樹脂製であり、突起23とは異なる形状の突起53を備える。突起53は、突起23と同様に半円形であるが、平坦面53aは内蓋54の主面54aに対して傾斜している。溝50は、側壁2bの頂面2fから延びL字の縦棒部を成す第1部分51と、第1部分51の奥端でL字の横棒部を成す第2部分52を含んでおり、第2部分52の上面52aは、光トランシーバ1の後方に向かうに従って下方に傾斜している。
【0033】
以上のように、突起53の平坦面53a及び溝50の上面52aが傾斜していることにより、溝50に突起53を深く係合させることができる。また、内蓋54が樹脂製である場合には、突起53の平坦面53aの傾斜角を溝50の第2部分52の上面52aの傾斜角よりも緩やかに設置することもできる。この構造により、溝50に突起53を係合させたときに、突起53のねじれによる弾性力を生じさせ、内蓋54の後端を下方に向かわせる効果を生むことができる。
【0034】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態に係るハウジング62と内蓋64を示している。
図13に示すように、内蓋64は、ハウジング62の長手方向について前後にそれぞれ一対の突起64aを備えており、ハウジング62は突起64aが係合する孔62aをハウジング62の長手方向について前後にそれぞれ一対備えている。各突起64aは、下方に向かうに従って、その突出高が低くなる。また、内側面62bの孔62aの上方部分は、頂面2fに向かうに従って厚みが減少している。これにより、孔62aに内蓋64を係合するときに、突起64aの傾斜面が内側面62b上を摺動し、内側面62bを当該傾斜面が乗り越えて突起64aが孔62aに嵌合して、ハウジング62に内蓋64が支持される。
【0035】
以上、第4実施形態では、ハウジング62及び内蓋64が共に金属製であったとしても突起64aを確実に各孔62aに係合させることができる。また、孔62a及び突起64aが共に前後に設けられることによって、内蓋64をハウジング62に一層確実に固定させることができる。
【0036】
(第5実施形態)
図14は、第5実施形態に係るハウジング72と内蓋74を示している。
図14に示すように、ハウジング72は、その内側面72aにL字状の溝80を備えている。溝80は、L字の縦棒部である第1部分81と、第1部分81の奥端から延びるL字の横棒部である第2部分82を含んでおり、第1部分81はハウジング72を貫通していないが、第2部分82はハウジング72を貫通している。第1部分81及び第2部分82は共に矩形である。
【0037】
内蓋74は、一対の側面74aのそれぞれに矩形の突起74bを備えている。突起74bの形状及び大きさは、溝80の第2部分82の形状及び大きさと同一である。また、突起74bの長手方向の長さは、溝80の第1部分81の長手方向の長さよりも短い。これにより、各溝80の第1部分81に各突起74bを挿入することができる。また各第1部分81に各突起74bを挿入し、内蓋74を前方にスライドして第2部分82と突起74bを整合することによって、ハウジング72と内蓋74を係合することができる。そして、内蓋74のネジ孔74cにネジNを挿入して外蓋3を内蓋74にネジ止めして、第2部分82に突起74bを当接して、外蓋3と内蓋74とを密に固定することができる。
【0038】
以上、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。
【0039】
前述の実施形態では、半円状である突起23、及び半円状の第2部分22を有する溝20を備えた例について説明したが、突起及び溝の形状は前述の例に限定されない。例えば、
図14の突起74bの形状は、円形状、楕円形状又は三角形状であってもよく、溝部に係合可能な形状であれば適宜変更可能である。