特許第6791512号(P6791512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791512
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】リアルタイム流体種質量流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/46 20060101AFI20201116BHJP
   G01F 1/00 20060101ALI20201116BHJP
   G01M 15/10 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G01F1/46
   G01F1/00 W
   G01M15/10
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-542722(P2018-542722)
(86)(22)【出願日】2017年2月12日
(65)【公表番号】特表2019-506608(P2019-506608A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】US2017017579
(87)【国際公開番号】WO2017139719
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2020年2月4日
(31)【優先権主張番号】62/294,956
(32)【優先日】2016年2月12日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518284134
【氏名又は名称】ブレトン、レオ
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】ブレトン、レオ
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0143869(US,A1)
【文献】 特開2010−203846(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1398617(EP,A1)
【文献】 特表2002−516981(JP,A)
【文献】 国際公開第00/08452(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/46
G01P 5/16− 5/165
G01N15/00−15/14
G01N21/00−21/958
G01N33/00−33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管内を流れる流体に挿入するための化学種流量計測プローブであって:
高圧と低圧の別個の検知ポートと、そして流体化学種濃度検出器を同じ場所に設置するための、開口部を備える中空の内部と、を有するピトー管流量計プローブと;
前記流体内の少なくとも1つの流体化学種の濃度を検知し、そして検知された前記流体化学種の濃度を示す信号を出力する、前記流体化学種濃度検出器と;
を有し、
前記流体化学種濃度検出器は前記ピトー管流量計プローブの前記中空の内部から採取された、前記少なくとも1つの流体化学種の濃度を検知する、
ことを特徴とする化学種流量計測プローブ。
【請求項2】
前記中空の内部は、前記高圧のまたは前記低圧の検知ポートと流体連通していない、ことを特徴とする請求項1に記載の化学種流量計測プローブ。
【請求項3】
前記流体化学種濃度検出器は、前記少なくとも1つの流体化学種の前記濃度のスペクトル分析のための、少なくとも1つのレーザベースのガス濃度検出器を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の化学種流量計測プローブ。
【請求項4】
前記流体化学種濃度検出器は、前記少なくとも1つの流体化学種の前記濃度の分析のための、少なくとも1つのソリッドステートまたは電気化学濃度検出器を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の化学種流量計測プローブ。
【請求項5】
前記ピトー管流量計プローブの前記高圧の検知ポートと前記低圧の検知ポートとの間の圧力差を計測し、そして計測された前記圧力差を示す信号を出力するように配置される差圧検出器をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載の化学種流量計測プローブ。
【請求項6】
前記中空の内部の前記流体の温度を検知し、前記温度を示す信号を出力するための、前記ピトー管流量計プローブの前記中空の内部に位置する、温度検出器をさらに有する、ことを特徴とする請求項5に記載の化学種流量計測プローブ。
【請求項7】
前記流体の圧力を検知し、前記圧力を示す信号を出力するための、圧力変換器と;
前記圧力を前記圧力変換器に伝達するため静圧ポートと;
をさらに有する、ことを特徴とする請求項6に記載の化学種流量計測プローブ。
【請求項8】
請求項7に記載の化学種流量計測プローブと;そして
前記差圧検出器の信号と、前記温度検出器の信号と、前記圧力変換器の信号と、そしてそれぞれの検知された化学種の濃度を示す信号と、に基づいて、少なくとも1つの流体化学種の質量流量を計算するためのコンピューティング機器と;
を有することを特徴とする、化学種流量計測システム。
【請求項9】
導管内を流れる流体の、少なくとも1つの化学種の、定常的および過渡的状態での質量流量を計測する方法であって、前記方法は:
流体化学種濃度検出器を同じ場所に設置するための中空の内部を備えるピトー管流量計プローブで、前記流体のバルク流量を測定するステップと;
前記流体の温度と圧力を測定するステップと;
測定された前記温度と圧力に基づいて、前記流体の補正バルク流量を計算するステップと;
前記ピトー管流量計プローブの前記中空の内部に位置する流体化学種濃度検出器を使用して、前記流体の前記少なくとも1つの化学種の濃度を計測するステップと;そして
前記流体の補正バルク流量と前記流体の前記少なくとも1つの化学種の濃度に基づいて、前記流体の前記少なくとも1つの化学種の質量流量を計算するステップと;
を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れる流体混合物の構成化学種の質量流量測定の技術分野に関する。本発明は、パイプ又は他の容器内を流れる流体混合物の対象となる個々の成分の質量流量のリアルタイム検知及び記録のためのシステム及び方法に関する。より具体的には、本発明は、流体種の質量流量を示す出力信号を提供するために流体ストリームに挿入することができる複数種質量流量測定システム、およびシステムを構成する種濃度検出器およびバルクガス流流量検出器から検出された対象種のそれぞれの質量流量を決定する方法に関する。本発明は、産業プロセスおよび自動車排ガス中の汚染物質の測定に幅広く適用可能である。
【背景技術】
【0002】
多くの工業プロセスおよび環境コンプライアンスをテストする目的においては、流体の流れの構成種の質量流量を正確に測定することが望ましい。しかし、対象種の濃度と流体の流速が共に変化する動的条件下では、その種の質量流量を、対称の種の濃度を測定するための第1のプローブと、第1のプローブの上流または下流に位置するバルク流体流量を決定するための別個のプローブの、2つの異なるデバイスの使用を伴う通常の方法で決定することに重大な誤差が生じることはよく知られている。誤差は、プローブがお互いから離れて配置されている場合の、過渡流体流中の濃度データ系列をバルク流体流量データ系列と連続的に同期させることができないことによる可変の時間遅延、および、濃度プローブが流量測定プローブに近接して配置される場合の流量信号の外乱、に起因する。従って、対象種の濃度も変化する過渡的な流れの条件下で、正確な改良された流量測定装置を提供する必要性が存在する。
【0003】
例えば、米国環境保護局(EPA)が1970年代に自動車の排気ガスを規制し始めて以来、実験室での試験設定で内燃機関からの排気ガス質量流量を測定することが望まれていた。より最近では、規制準拠試験のために現実の世界で動作する動く車両上で排気ガスの質量流量を測定することが望ましいようになった(Breton氏、本発明の発明者でもある、による米国特許第6,148,656号(特許文献1);米国特許第6,382,014号B1(特許文献2);米国特許第6,470,732号B1(特許文献3)、これらは以後総称して‘Breton’と呼ばれる)。
【0004】
また、測定されている流れに対する、そして測定されている流れに関連する機械またはプロセスに対する影響、例えば測定装置によって生成された背圧の影響、を最小限に抑えることが望まれている。従って、本発明は、バルクフローへの妨害を最小限に抑えるためにコンパクトな幾何学的フットプリントで実施される必要があり、それによって、流体の流れが測定されているシステムまたは機械上の測定装置に対する影響が最小限に抑えられる。
【0005】
伝統的なEPA排気ガス規制準拠試験は、対象化学種に応じて、特定の測定原理に基づくガスおよび粒子状物質分析器を使用する。これらの測定原理は、EPAが規制機関の規制準拠や認証試験を実施する際に使用されるため、エンジンメーカーと自動車メーカーは、通常、規制当局の試験結果との一貫性を確保するために、同じ分析器または分析原理を採用する、即ち、デファクトスタンダードの分析器技術が存在する。この理由から、‘Breton’は、測定される各化学種について、「リアルタイムオンロード車両排気ガスモジュラ流量計および排出報告システム」を教示し、そこでは排気ガス分析装置はEPA規則で参照されるものと同じ測定原理を採用している。
【0006】
しかし実際にデファクトスタンダードの分析器技術を使用することは多くの欠点を有する可能性があり、これらの欠点はモバイル測定システムの多くの潜在的ユーザにとって重要であり得る。例えば、デファクトスタンダードのガス分析装置は、使用前に「暖機」されなければならない。精度を確実にするために、デファクトスタンダードの分析装置は定期的に校正され、各試験に先立って「ゼロ校正」および「スパン校正」されなければならず、それには、それぞれが大きなガスシリンダーに収容された、多くの種々の既知の濃度の高価な校正ガスの使用を必要とする。これらの要件のために、校正ガスは、しばしば試験される車両と共に運搬される必要がある。
【0007】
伝統的な分析装置はまた、試験される車両の上または内部に搭載されなければならず、車両内にかなりの空間容積を必要とする。また、一部の車両には取り付けに適したスペースがない。
【0008】
離れて搭載されたガス分析器からの濃度信号は、流量計からの流量信号と比較して時間が大幅に遅れるので、最初に、そしてガスサンプルホースの長さが変更されるときは必ず、時間遅延を測定する必要がある。伝統的な分析装置は、故障を起こしやすいポンプ、チェックバルブ、および他の配管を使用して、排気流からサンプルを採取するので、修理がしばしば必要となる。
【0009】
‘Breton’は、ガス分析計のプローブ先端を流量検知手段に近接して固定することによって測定誤差を最小限に抑える方法を教示しているが、その近くの排気流れの潜在的な外乱のために正確に同じ場所に配置することは不可能である。したがって、従来の測定システムの全体的な精度は、エンジン速度および負荷の急速な変化に伴う、流量信号とガス濃度信号との間の小さな変化する時間シフトによって、低減される。
【0010】
車両のオンボード診断(OBD)システムに入力を提供して、排出ガス規制の健全性、車両の燃費を示すため、および車両の規制準拠レベルを車両の寿命まで継続的に測定するために、現実世界で操作される走行車両の汚染物質の排出ガス質量流量を、車両メーカーにより全ての新車に永続的に設置可能な程コストが十分に低い、埋め込み型測定システムで連続的に測定する能力を有することも有益であろう。
【0011】
本発明は含有ガス流中の構成ガス種のための質量流量測定システムを教示し、それは、上記の欠点の全てを排除し、それによって、車両排出物の試験のための測定システムの使い易さを向上させると共に、過渡流れの流体種の質量流量を測定する際の精度を向上させ、そして自動車や数多くの産業用途のような大容量用途のための質量流量測定装置の単純さと低コストを増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,148,656号
【特許文献2】米国特許第6,382,014号B1
【特許文献3】米国特許第6,470,732号B1
【特許文献4】米国特許第9,000,374号
【特許文献5】米国特許第9,068,933号
【発明の概要】
【0013】
本質量流量計の発明は、パイプまたは他の容器内を流れる流体に挿入するための、理想的には単一のプローブ内に流量測定検出器と同じ位置に配置された濃度検出器または分析器を有する。バルク流体流量測定手段の全ての内部構造を含むがこれらに限定されない構成要素は、特定の用途によって必要とされるニーズを考慮して、任意の材料または寸法に、従来の工作機械で作製されるか、または選択肢として、適切な付加的製造技術を用いて3Dプリントされることが想定されている。
【0014】
2つの検出器の空間内の同じ位置の配置は、それぞれの検出器手段と他の検出器手段との干渉を防止しながら、高度に圧縮されかつ高度に過渡的な流れであっても、バルク流量信号および濃度信号の時間同期を保証する。計算手段は、バルク流量検出器、濃度検出器および対象流体種の既知の密度の積を連続的に計算し、そして過渡および定常流れ条件下の対象種の質量流量に比例する出力信号を提供する。
【0015】
所望の場合、選択肢としての表示手段は、対象種の計算された質量流量を表示する。質量流量計がより大きい測定システムの一部として機能する用途、例えば自動車メーカーが提供する車載診断(OBD)システムの一部としての用途では、別個の表示および計算手段は必要ではない。その場合、本発明は、他の車両機能に使用される他の入力または計算手段へ信号出力を提供する。
【0016】
流量測定原理および濃度測定原理の選択は、意図される用途に依存する。‘Breton’によって教示されているようなEPA規制準拠試験の目的を改善するための一実施形態では、流量測定の原理は、‘Breton’によって以前に証明され、その後業界で採用されている過渡的な排気ガス流量測定に適した、平均化ピトー管である。多くの目的のための改善された濃度測定手段は、多色、多種レーザーレーザー分光プローブであり、それは平均化ピトー管内に物理的に配置され、それによりその分光プローブは、平均化ピトー管によってピトー管サンプリングポートの近傍に形成された流れ構造を変化させず、しかも排気ガス流と連続的に直接接触する。(米国特許第9,000,374号(特許文献4)および米国特許第9,068,933号(特許文献5)参照、以下‘Parks’と呼ばれる。)
【0017】
新しい自動車用の車載診断(OBD)システムの能力を改善するための別の実施形態では、低コストのプローブは、流量測定のための平均化ピトー管と、健康に関する1つまたは複数の規制された汚染物質のガス濃度測定用、またはエンジン制御用または排気ガス制御システム用の固体または電気化学ガスセンサを有する。流量測定値信号およびガス濃度信号は、エンジンまたは排出物制御システムの制御、および排出物制御装置の望ましくない動作の検出に使用するために、車両またはエンジン制御システムに出力される。
【0018】
産業および他の用途に対して、他の実施形態が考慮される。そこでは特定の用途要件およびコストに基づいて特定の流量測定原理およびガス濃度検出器の動作原理が選択される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】バルク流体の流れの中の化学種の質量流量の測定に使用される、流体種質量流量計の例示的な実施形態の詳細図である。
図2図1に示す流体種質量流量計を用いた、乗用車に搭載するための携帯型排出物測定システムの例示的な実施形態を示す図である。
図3】車両に搭載された、図2の例示的な実施形態を示す図である。
図4】一般的工業用の化学種質量流量計または、車両モニタリングシステムまたはオンボード診断システム(OBD)で使用される車両排気ガス質量流量計の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明を実施するための最良モード)
本発明の特定の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態は、例示的な目的のみのための特定の用途のものであり、本発明は、これらのまたは他の単一の実施形態よりもはるかに広い適用性を有することを理解されたい。複数の種からなる流体に含まれる化学種または汚染物質の質量流量測定は、多くの産業および産業プロセスにおいて広く実施されている。このようなプロセスの全てが本明細書において考慮される。
【0021】
対象流体種の質量流量を測定するための本発明の第1の例示的な実施形態を図1に示す。この実施形態は、多種レーザベースのガス濃度検出器68を含み、それは‘Parks’によって教示されたように構成され、一体型の流体静圧ポート(圧力変換器は図示せず)81を有するラグ80に取り付けられる。静圧ポート81で検知された圧力および熱電対82によって感知された温度は、検知された流量を標準条件に補正するために使用される。
【0022】
レーザベースのガス濃度検出器68および熱電対82は、上流側圧力検出ポート102および下流側圧力検出ポート101を有する平均化ピトー管69内に物理的に取り付けられ、質量流量測定アセンブリ110を形成する。アセンブリ110は取付けラグ80を用いてプロセスパイプ103に半永久的に取り付けられている。
【0023】
1つの好ましい実施形態では、平均化ピトー管69は、工作機械を用いて従来の方法によりステンレス鋼で形成される。別の好ましい実施形態では、平均化ピトー管69は、平均化ピトー管69のすべての内部構造および構成要素の構成を含んで、ステンレス鋼または他の材料の3−D印刷プロセス、または他の付加的製造技術を使用して構成される。付加的製造技術は、ピトー管69に対し、様々な他のガス濃度、温度、または圧力検知構成要素と組み合わせて一体化する際の柔軟性を高め、または、信号の大きさを高めまたは感度を高め、または、小型化、適合性の向上、または他の潜在的利点を生む、改良された形状またはプロファイルを可能にする。
【0024】
ガス濃度検出器68の存在が検知ポート101,102の近傍の流れ場を攪乱するのを防止するため、そしてそれによりガス濃度検出器68の存在がピトー管69による誤った流量測定の原因となるのを防止するため、ガス濃度検出器68の位置は、平均化ピトー管69の長手方向軸に沿って、上流側検知ポート102及び下流側検知ポート101に対して長手方向に変位されている。濃度検出器68は、ピトー管69の外面に設けられた窓または開口200によってバルク流体と連通し、そして対象ガス種1−nに関する濃度X1−Xnを示す出力信号(図示せず)を計算手段170に提供し、そのガス種は限定されないがCH4、CO、CO2、NO、NO2、または粒子状物質番号を含む候補種のセットから選択された任意のサブセットであってもよい。
【0025】
全てのサポートおよび関連する電子機器およびセンサは、測定プローブ110の上に物理的に取り付けられたエンクロージャ150の内に、またはそれに近接して配置される。
【0026】
新規な質量流量測定プローブ110が、工業的または他のプロセスのための流体混合物を運ぶパイプ内に設置される場合、あるいは測定プローブ110が、車両またはエンジンの排気システムに接続された永久的または一時的に取り付けられたチューブまたはパイプ(図示せず)内に設置される場合、それは差圧変換器120により検知される差圧を生じ、その差圧はパイプ103内の平均排出流速度を示す。フローオリフィス(非図示)はノイズの多い差圧信号が差圧変換器120に到達するのを減衰させる働きをする。差圧変換器120は、既知の直径Dのパイプ103内の平均流体流速vを示す信号を計算手段170に出力する。
【0027】
ガス濃度検出器68の信号と対応する差圧変換器120の出力信号との間の時間遅延は、種濃度検出器68と平均化ピトー管69のバルク流体流路に沿った共配置に起因して、種濃度と過渡流条件との任意の組み合わせについてゼロに等しいかまたはほぼゼロに等しい一定又は固定の値である。
【0028】
計算手段170は、図示のように取り付けられてもよいし、または特定の用途において所望されるように、遠隔に取り付けられてもよい。計算手段170は、‘Breton’に教示されている式および方法論に従って、対象流体種1−nに関する質量流量(Mdot)1−(Mdot)nを計算し、そして他の装置とのインタフェース、またはユーザ表示装置とのインタフェースのために、これらの質量流量に対応する出力信号を提供する。対象流体種iの質量流量Mi(t)は、測定されたバルク流体体積流量Q(t)および対象流体種iの測定濃度Xi(t)を使用して、計算手段170によって既知の以下の関係を使用して計算される:
Q(t)=c*FAA*(hw)1/2*P1/2/(T+273)1/2
【0029】
ここで、cは、標準条件での既知のバルク流体流量で校正することによって決定される定数であり、FAAは、熱電対82によって測定されるバルク流体温度の変化に起因するパイプの流れ面積変化を補正するための熱膨張係数であり、hwは、差圧センサ120によって測定される差圧であり、Pは静圧ポート81を用いて測定された絶対流体圧力であり、Tは熱電対82によって測定される流体バルク温度であり、そして
Mi(t)=k*pi*Xi*Q(t)
である。
【0030】
ここで、Mi(t)は化学種Iの質量流量、kは使用される物理単位に依存する定数、piは種iの既知の密度、Xiは化学種iの測定濃度であり、Q(t)は上記で与えられる。
【0031】
図2は、種測定システム全体を車両の排気管に容易に取り付けるため、および異なる車両間の効率的な移動のために流量計モジュール10として特に適合された本発明の例示的な実施形態を示す。この実施形態は、排ガス汚染物質の質量流量を測定し、そしてエミッションデータと、他のシステムおよびデータ源例えばスキャン装置、GPSシステム等からの他の診断データ、との選択肢としての融合を含む、‘Breton’により教示される他の利点を有する。
【0032】
直線パイプ部11は、一体の熱電対および静圧ポート81を用いた静圧検出器(図示せず)を備えた流量測定プローブ110のためのハウジングとして機能する。直線パイプ部11はまた、‘Breton’によって教示されているような流量測定プローブ110の上流と下流に必要な直線パイプ経路を提供するように機能する。
【0033】
図3は、乗用車の後部に搭載された、図2に詳細に示される流量計モジュール10を示す図である。本発明のモジュール10を車両100の排気管4に接続するための接続手段の一例が、エルボーの上流端に接続されたエラストマーブーツ90として示され、そのエラストマーブーツは、モジュール10のエルボー17の上流端と、ホースクランプ91,92により排気管4に接続される。エラストマーブーツは、排出物試験に使用される従来の(静止した)テストスタンドに車両の排気管を接続するのに使用されるタイプの、耐高温シリコンゴムチューブであってもよい。流量計モジュール10の支持は‘Breton’によって既に教示されている。
【0034】
導管99は、流量計モジュール10がより大きなシステムとして使用され、他の機器と通信する必要があるときはいつでも、通信手段を担持する。あるいは、無線通信手段を用いることができる。
【0035】
(発明を実施するためのモード)
図4を参照して、別の例示的な実施形態150は、先の例示的な実施形態110で特定されたレーザベースの濃度検出器68の代わりに固体または電気化学的な濃度検出器140を使用する。固体または電気化学的な濃度検出器140は周辺の流体と直接通じている。この実施形態は、センサの清掃または保守が不可能な用途、または本発明の低コストで高生産量の用途、例えば新車または新車のエンジンに含まれる原装置要素としての用途により適しており、それらの目的は、車両のオンボード診断(OBD)検知および報告、エンジン排気制御のフィードバックまたは他の制御、または限定されないが、稼働中の車両から遠隔地のデータ収集場所へのトランスポンダベースの報告を含む、将来の政府規制で望まれているかまたは想定される排気ガスコンプライアンス報告を含む。
【0036】
他の潜在的な用途には、産業用流体の流れの中の対象化学種の質量流量の測定、例えば製造工場や製油所での用途が含まれる。
【0037】
あるいは、または上記出力信号を提供することに加えて、計算手段(図示せず)は、対象流体種の質量流量を表示する目的で、選択肢としてディスプレイ(図示せず)に出力信号を提供する。
【0038】
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。したがって、本発明の実施形態はすべての点で例示的であって限定的ではなく、本発明の範囲は上記の記載ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に入るすべての変更は、その中に包含されることを意図している。
図1
図2
図3
図4