特許第6791535号(P6791535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6791535点検装置、点検装置の制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791535
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】点検装置、点検装置の制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/12 20060101AFI20201116BHJP
   G01N 29/04 20060101ALI20201116BHJP
   G01N 29/42 20060101ALN20201116BHJP
【FI】
   G01N29/12
   G01N29/04
   !G01N29/42
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-73041(P2017-73041)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-173390(P2018-173390A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2020年2月13日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)インフラ維持管理・更新・マネジメント技術/維持管理ロボット・災害対応ロボットの開発/橋梁・トンネル点検用打音検査飛行ロボットシステムの研究開発」に関する委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591216473
【氏名又は名称】一般財団法人首都高速道路技術センター
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(74)【代理人】
【識別番号】100168310
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】山下 敏明
(72)【発明者】
【氏名】正沢 道太郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 聡
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/139930(WO,A1)
【文献】 特開2016−50876(JP,A)
【文献】 特開2017−3306(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/162873(WO,A1)
【文献】 米国特許第9605926(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0006658(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/051148(WO,A1)
【文献】 日本電気株式会社,自律飛行のドローンによる打音検査が可能に,wisdom.nec.com,2017年 3月28日,https://wisdom.nec.com/ja/solutions/2017
【文献】 鈴木智,非GPS環境における小型無人航空機の自律制御,計測と制御,2017年 1月,第56巻第1号,第18頁−第23頁
【文献】 MOTONAKA K , et al.,Implementation and Basic Experiments of Kinodynamic Motion Planning for a Quadrotor,IECON2015-Yokohama,2015年11月 9日,P.002759-002764
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
B64B 1/00− 1/70
B64C 1/00−99/00
A63H 1/00−37/00
G05D 3/00− 3/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検対象物の状態を点検するための点検装置であって、
該点検装置は、打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含み、
前記打音検査機は、打検機アームと、該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含み、
該点検装置は、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成する機体位置姿勢推定器と、
打検機ハンマ部誤差信号を生成する打検機ハンマ部誤差信号生成器と、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器と、
生成された機体位置姿勢推定信号を受信し、受信した機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する第1センサデータ周波数特性補間器と、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号を受信し、受信した打検機ハンマ部誤差信号と受信した打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する第2センサデータ周波数特性補間器と、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号を受信し、受信した第1センサデータ周波数特性補間信号と受信した第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する打検機ハンマ部位置姿勢推定器
を含む、点検装置。
【請求項2】
前記打検機ハンマ部誤差信号生成器は、
前記打検機ハンマ部の先端に配設された測距センサであって、該打検機ハンマ部の先端と打検対象物の表面との距離を検出し、検出した距離から測距センサ信号を生成する測距センサと、
前記打検機ハンマ部に配設された力覚センサであって、該打検機ハンマ部に印加された力情報を検出し、検出した力情報から力覚センサ信号を生成する力覚センサと、
前記打検機ハンマ部に配設された先端部位置/姿勢センサであって、該打検機ハンマ部の位置/姿勢情報を検出し、検出した位置/姿勢情報から先端部位置/姿勢センサ信号を生成する先端部位置/姿勢センサ、
を含む、
ここで、前記打検機ハンマ部誤差信号は、前記測距センサ信号と、前記力覚センサ信号と、前記先端部位置/姿勢センサ信号から生成される、
請求項1に記載の点検装置。
【請求項3】
前記打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器は、
前記打検機アームの直動部に配設された直動部変位センサであって、該直動部の変位情報を検出し、検出した変位情報から直動部変位センサ信号を生成する直動部変位センサと、
前記打検機アームの先端部角度駆動部に配設された先端部角度センサであって、先端部角度情報を検出し、検出した先端部角度情報から先端部角度センサ信号を生成する先端部角度センサと、
前記打検機アームのアーム部角度駆動部に配設されたアーム部角度センサであって、アーム部角度情報を検出し、検出したアーム部角度情報からアーム部角度センサ信号を生成するアーム部角度センサ、
を含む、
ここで、前記打検機ハンマ部位置姿勢信号は、前記直動部変位センサ信号と、前記先端部角度センサ信号と、前記アーム部角度センサ信号から生成される、
請求項1に記載の点検装置。
【請求項4】
前記第1センサデータ周波数特性補間器は、前記機体位置姿勢推定信号に対し、前記移動体の位置及び姿勢に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第1センサデータ周波数特性補間信号を生成するよう構成されている、
請求項1に記載の点検装置。
【請求項5】
前記第2センサデータ周波数特性補間器は、前記打検機ハンマ部誤差信号と前記打検機ハンマ部位置姿勢信号に対し、前記打検機アームの直動部及び先端部及びアーム部に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第2センサデータ周波数特性補間信号を生成するよう構成されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の点検装置。
【請求項6】
前記打検機ハンマ部位置姿勢推定器は、前記第1センサデータ周波数特性補間信号を伝播信号としかつ前記第2センサデータ周波数特性補間信号を更新信号とするカルマンフィルタ処理を実施することにより前記打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成するよう構成されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の点検装置。
【請求項7】
打検機アーム及び該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含む打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含む、被検対象物の状態を点検するための点検装置の制御方法であって、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成するステップと、
打検機ハンマ部誤差信号を生成するステップと、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成するステップと、
生成された機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成するステップと、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成するステップと、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成するステップ
を含む、
点検装置の制御方法。
【請求項8】
打検機アーム及び該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含む打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含む、被検対象物の状態を点検するための点検装置の制御プログラムであって、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成する処理と、
打検機ハンマ部誤差信号を生成する処理と、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する処理と、
生成された機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する処理と、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する処理
をコンピュータに実行させる、
点検装置の制御プログラム。
【請求項9】
被検対象物の状態を点検するための点検装置であって、
該点検装置は、打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含み、
前記打音検査機は、打検機アームと、該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含み、
該点検装置は、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成する手段と、
打検機ハンマ部誤差信号を生成する手段と、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する手段と、
生成された機体位置姿勢推定信号を受信し、受信した機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する手段と、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号を受信し、受信した打検機ハンマ部誤差信号と受信した打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する手段と、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号を受信し、受信した第1センサデータ周波数特性補間信号と受信した第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する手段
を含む、
点検装置。
【請求項10】
請求項1乃至3及び9の何れかに記載の点検装置と、該点検装置と有線又は無線で通信する通信装置を含む、点検システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点検装置、点検装置の制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁、トンネル等のような検査対象物の損傷や欠陥等を検査する方法の1つに、検査対象物をハンマ等で叩いて打音を確認する打音検査がある。この打音検査に関連して幾つかの技術が提案されている。
【0003】
特許文献1は、検知装置と、該検知装置を遠隔操作する監視・操縦装置を有する、外壁浮き検知システムを記載している。検知装置は、移動飛行体に配設されるとともに、打診器と、移動飛行体操縦受信器と、集音装置と、打診音送信器を有する。監視・操縦装置は、移動飛行体操縦送信器と、打診音受信器と、スピーカを有する。作業者は、移動飛行体を遠隔操縦し、建築物の外壁を打診器により打診する。
【0004】
特許文献2は、トンネルの軸方向へ走行する走行体に配設されたポストと、ポストの上端部に配設されたアームを有する、トンネル覆工コンクリートの打音検査装置を記載している。アームの先端には支持プレートが配設され、支持プレートには2列の間隔保持車輪と、該2列の間隔保持車輪間に配置された1本のハンマが配設されている。この打音検査装置は、2列の間隔保持車輪を、トンネル覆工コンクリートの表面の凹凸に追従して接触させることにより、トンネル覆工コンクリートの表面とハンマの打撃開始位置との間隔を一定に保持している。
【0005】
特許文献3は、構造物の表面を叩いて検査する検査ヘッドと、該検査ヘッドを構造物の検査面に押し付けつつ移動させるヘッド移動手段を有する、構造物打音検査装置を記載している。この構造物打音検査装置は、ヘッド移動手段を備えた自走車輌を移動させつつ所定の検査範囲を連続した一連の動作で打音検査する。
【0006】
特許文献4は、ロボット走行レールに沿って連続的に走行・停止する検査ロボットを有するコンクリート健全度判定装置を記載している。この判定装置は、検査ロボットに配設されたマイクロホンの位置を常に一定とすることによりハンマの打撃音の精度良い採取を図ると同時に、受音解放端部のコンクリート面に対する接合・離間を計測ユニットの上昇下降操作だけで行うことにより検査時間の短縮化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−145346号公報
【特許文献2】特開2004−205216号公報
【特許文献3】特許第3595492号公報
【特許文献4】特開2002−303610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下の分析は、本開示によって与えられたものである。
【0009】
特許文献1に記載の外壁浮き検知システムでは、作業者が移動飛行体を遠隔操縦して適切な点検箇所へ誘導する必要がある。このため、移動飛行体の操縦に作業者の技術を必要とする。作業者が操縦に不慣れな場合、点検作業に想定以上の時間を要し、又は、点検を上手く行えないことになる。
【0010】
特許文献2に記載のトンネル覆工コンクリートの打音検査装置では、この打音検査装置を搭載した2tトラック等の走行体を走行させて、トンネル覆工コンクリートの打音検査装置を移動させる必要がある。従って、この打音検査装置は、走行体が進入できない領域に位置する点検箇所に対しては打音検査を実施できない。
【0011】
特許文献3に記載の構造物打音検査装置では、点検ヘッド及びヘッド移動手段を搭載した自走車輌を走行させる。このため、この打音検査装置は、自走車輌が進入できない領域に位置する点検箇所に対しては打音検査を実施できない。
【0012】
特許文献4に記載のコンクリート健全度判定装置では、検査ロボットを搭載した自走車輛を走行させる。このため、この判定装置は、自走車輛が進入できない領域に位置する点検箇所に対しては、健全度判定が実施できない。
【0013】
本開示は、少なくとも、上記問題点の少なくとも1つを解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の第1の視点により、被検対象物の状態を点検するための点検装置が提供される。
該点検装置は、打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含む。
前記打音検査機は、打検機アームと、該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含む。
該点検装置は、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成する機体位置姿勢推定器と、
打検機ハンマ部誤差信号を生成する打検機ハンマ部誤差信号生成器と、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器と、
生成された機体位置姿勢推定信号を受信し、受信した機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する第1センサデータ周波数特性補間器と、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号を受信し、受信した打検機ハンマ部誤差信号と受信した打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する第2センサデータ周波数特性補間器と、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号を受信し、受信した第1センサデータ周波数特性補間信号と受信した第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する打検機ハンマ部位置姿勢推定器
を含む。
【0015】
本開示の第2の視点により、打検機アーム及び該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含む打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含む、被検対象物の状態を点検するための点検装置の制御方法が提供される。
該制御方法は、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成するステップと、
打検機ハンマ部誤差信号を生成するステップと、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成するステップと、
生成された機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成するステップと、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成するステップと、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成するステップ
を含む。
【0016】
本開示の第3の視点により、打検機アーム及び該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含む打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含む、被検対象物の状態を点検するための点検装置の制御プログラムが提供される。
該制御プログラムは、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成する処理と、
打検機ハンマ部誤差信号を生成する処理と、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する処理と、
生成された機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する処理と、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する処理
をコンピュータに実行させる。
【0017】
本開示の第4の視点により、被検対象物の状態を点検するための点検装置が提供される。
該点検装置は、打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含む。
前記打音検査機は、打検機アームと、該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含む。
該点検装置は、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成する手段と、
打検機ハンマ部誤差信号を生成する手段と、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する手段と、
生成された機体位置姿勢推定信号を受信し、受信した機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する手段と、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号を受信し、受信した打検機ハンマ部誤差信号と受信した打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する手段と、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号を受信し、受信した第1センサデータ周波数特性補間信号と受信した第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する手段と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態による点検装置の信号処理系の主要部のブロック図。
図2図1の打検機ハンマ部誤差信号生成器のブロック図。
図3図1の打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器のブロック図。
図4】本開示の一実施形態による点検装置の駆動用の信号処理系のブロック図。
図5】本開示の一実施形態による点検装置の一例。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の概要について図1図5を参照して説明する。なお、概要に付記する図面参照符号は専ら理解を助けるためのものであり、本開示を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0020】
点検装置は、一般的に、打検機ハンマ部103を先端に有する打検機アーム102を有する打音検査機101が配設された移動体100である(図5参照)。本開示に係る点検装置は、その信号処理系の主要部として、移動体100の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号20を生成する機体位置姿勢推定器1と、打検機ハンマ部誤差信号21を生成する打検機ハンマ部誤差信号生成器2と、打検機ハンマ部位置姿勢信号22を生成する打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3と、生成された機体位置姿勢推定信号20を受信し、受信した機体位置姿勢推定信号20から第1センサデータ周波数特性補間信号23を生成する第1センサデータ周波数特性補間器4と、生成された打検機ハンマ部誤差信号21と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号22を受信し、受信した打検機ハンマ部誤差信号21と受信した打検機ハンマ部位置姿勢信号22から第2センサデータ周波数特性補間信号24を生成する第2センサデータ周波数特性補間器5と、生成された第1センサデータ周波数特性補間信号23と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号24を受信し、受信した第1センサデータ周波数特性補間信号23と受信した第2センサデータ周波数特性補間信号24から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を生成する打検機ハンマ部位置姿勢推定器6を有する(図1参照)。なお、ここでいう「機体」とは移動体100の機体を意味する。
【0021】
このように構成された点検装置において、打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25は以下のように生成される。即ち、打音検査機101が配設された移動体100の機体位置姿勢推定器1により生成された移動体100の機体位置姿勢推定信号20を、低データサンプリングレート処理系で構成された第1センサデータ周波数特性補間器4において、機体制御系の周波数特性を考慮した重み付け補間を実施することにより、第1センサデータ周波数特性補間信号23を生成する;打検機ハンマ部誤差信号21と打検機ハンマ部位置姿勢信号22(両者を合わせて打検機ハンマ部相対誤差推定信号ともいう)を高データサンプリングレート処理系で構成された第2センサデータ周波数特性補間器5において、打音検査機制御系の周波数特性を考慮した重み付け補間を実施することにより、第2センサデータ周波数特性補間信号24を生成する;打検機ハンマ部位置姿勢推定器6において第1センサデータ周波数特性補間信号23と第2センサデータ周波数特性補間信号24を組み合わせることにより、打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を生成する。
【0022】
かくして、本開示は、機体位置姿勢推定器1が生成する移動体100の機体位置姿勢推定信号20のサンプリング間隔が相対的に長く、その信号から得られる周波数帯域や精度に物理的な制約がある場合であっても、打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25をリアルタイムかつ高精度に生成することができ、その結果、打検機ハンマ部103の位置及び/又は姿勢をリアルタイムかつ高精度に調整することができる。
【0023】
更に、本開示に応じ、打検機ハンマ部誤差信号生成器2は、打検機ハンマ部103の先端に配設された測距センサ7と、打検機ハンマ部103に配設された力覚センサ8と、打検機ハンマ部103に配設された先端部位置姿勢センサ9を含む。測距センサ7は、打検機ハンマ部103の先端と打検対象物の表面との距離を検出し、検出した距離から測距センサ信号26を生成する。力覚センサ8は、打検機ハンマ部に印加された力情報を検出し、検出した力情報から力覚センサ信号27を生成する。先端部位置姿勢センサ9は、打検機ハンマ部103の位置姿勢情報を検出し、検出した位置姿勢情報から先端部位置姿勢センサ信号28を生成する。打検機ハンマ部誤差信号生成器2の打検機ハンマ部誤差信号21は、測距センサ信号26と、力覚センサ信号27と、先端部位置姿勢センサ信号28から生成される(図2参照)。
【0024】
更に、本開示に応じ、打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3は、打検機アーム102の直動部に配設された直動部変位センサ10と、打検機アーム102の先端部角度駆動部に配設された先端部角度センサ11と、打検機アーム102のアーム部角度駆動部に配設されたアーム部角度センサ12を含む。直動部変位センサ10は、直動部の変位情報を検出し、検出した変位情報から直動部変位センサ信号29を生成する。先端部角度センサ11は、先端部角度情報を検出し、検出した先端部角度情報から先端部角度センサ信号30を生成する。アーム部角度センサ12は、アーム部角度情報を検出し、検出したアーム部角度情報からアーム部角度センサ信号31を生成する。打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3の打検機ハンマ部位置姿勢信号22は、直動部変位センサ信号29と、先端部角度センサ信号30と、アーム部角度センサ信号31から生成される(図3参照)。
【0025】
更に、本開示に応じ、点検装置は、生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25から機体位置姿勢駆動指令信号を生成する機体位置姿勢駆動指令信号生成器13と、生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25から先端部アクチュエータ指令信号を生成する先端部アクチュエータ指令信号生成器14と、生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25からアーム部アクチュエータ指令信号を生成するアーム部アクチュエータ指令信号生成器15と、生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25から直動部アクチュエータ指令信号を生成する直動部アクチュエータ指令信号生成器16を含む(図4参照)。そして、移動体100の機体の位置及び/又は姿勢は、機体位置姿勢駆動指令信号に基づいて調整される。他方、打検機ハンマ部103の位置及び/又は姿勢(ないし配向)は、先端部アクチュエータ指令信号、アーム部アクチュエータ指令信号及び直動部アクチュエータ指令信号に基づいて夫々打音検査機101の先端部アクチュエータ、アーム部アクチュエータ及び直動部アクチュエータを駆動することによって調整される。
【0026】
なお、本開示に係る点検装置は、一般的には、橋梁、トンネル等のような被検対象物の状態、とりわけそれらの損傷や欠陥等の劣化状態の点検に使用される。移動体には、マルチロータヘリないしドローンのような飛行体が含まれるが、これに限定されない。例えば、車両も移動体に含まれ得る。また、移動体は、有利には、無人のものであるが、有人のものであってもよい。更に、点検装置と、該点検装置と有線又は無線で通信する通信装置を含む点検システムを構成することも可能である。通信装置は、例えば、被検対象物の目標部位への接近又は当該目標部位からの離脱を点検装置に指示する指令信号を点検装置に送信する機能や、点検装置が撮影した画像情報を受信する機能を有する。点検システムは、更に、このような信号や情報を処理する情報処理装置も含み得る。
【0027】
以下に、本開示の具体的実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態に付記する図面参照符号は専ら理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0028】
図1は、本開示の一実施形態による点検装置の信号処理系の主要部のブロック図である。なお、本実施形態においては、図5に示されているように、点検装置は、打音検査機101と、打音検査機101が配設された移動体100を含んで構成され、打音検査機101は、打検機アーム102と、打検機アーム102の先端に配設された打検機ハンマ部103を含んで構成される。移動体100は、本実施形態においては、マルチロータヘリである。
【0029】
図1に示されているように、点検装置は、機体位置姿勢推定器1、打検機ハンマ部誤差信号生成器2、打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3、第1センサデータ周波数特性補間器4、第2センサデータ周波数特性補間器5及び打検機ハンマ部位置姿勢推定器6を含む。
【0030】
図2は、図1の打検機ハンマ部誤差信号生成器2のブロック図である。図示のように、打検機ハンマ部誤差信号生成器2は、測距センサ7、力覚センサ8及び先端部位置姿勢センサ9を含んで構成される。測距センサ7は、打検機ハンマ部103の先端に配設されており、該打検機ハンマ部103の先端と打検対象物の表面との距離を検出し、検出した距離から測距センサ信号26を生成する。力覚センサ8は、打検機ハンマ部103に配設されており、打検機ハンマ部103に印加された力情報を検出し、検出した力情報から力覚センサ信号27を生成する。先端部位置姿勢センサ9は、打検機ハンマ部103に配設されており、打検機ハンマ部103の位置姿勢情報を検出し、検出した位置姿勢情報から先端部位置姿勢センサ信号28を生成する。打検機ハンマ部誤差信号生成器2は、測距センサ信号26、力覚センサ信号27及び先端部位置姿勢センサ信号28から打検機ハンマ部誤差信号21を生成する。
【0031】
図3は、図1の打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3のブロック図である。図示のように、打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3は、直動部変位センサ10、先端部角度センサ11及びアーム部角度センサ12を含んで構成される。直動部変位センサ10は、打検機アーム102の直動部に配設されており、直動部の変位情報を検出し、検出した変位情報から直動部変位センサ信号29を生成する。先端部角度センサ11は、打検機アーム102の先端部角度駆動部に配設されており、先端部角度情報を検出し、検出した先端部角度情報から先端部角度センサ信号30を生成する。アーム部角度センサ12は、打検機アーム102のアーム部角度駆動部に配設されており、アーム部角度情報を検出し、検出したアーム部角度情報からアーム部角度センサ信号31を生成する。打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3は、直動部変位センサ信号29、先端部角度センサ信号30及びアーム部角度センサ信号31から打検機ハンマ部位置姿勢信号22を生成する。
【0032】
打検機ハンマ部位置姿勢推定器6は、機体位置姿勢推定器1で検出した機体位置姿勢推定信号20から第1センサデータ周波数特性補間器4によって生成される第1センサデータ周波数特性補間信号23と、打検機ハンマ部誤差信号生成器2によって生成される打検機ハンマ部誤差信号21及び打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3によって生成される打検機ハンマ部位置姿勢信号22から第2センサデータ周波数特性補間器5によって生成される第2センサデータ周波数特性補間信号24とから、打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を生成する。
【0033】
図4は、本開示の一実施形態による点検装置の駆動用の信号処理系のブロック図である。点検装置は、機体位置姿勢駆動指令信号生成器13と、先端部アクチュエータ指令信号生成器14と、アーム部アクチュエータ指令信号生成器15と、直動部アクチュエータ指令信号生成器16を含む。機体位置姿勢駆動指令信号生成器13は、打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25から機体位置姿勢駆動指令信号を生成する。先端部アクチュエータ指令信号生成器14は、打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25から先端部アクチュエータ指令信号を生成する。アーム部アクチュエータ指令信号生成器15は、打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25からアーム部アクチュエータ指令信号を生成する。直動部アクチュエータ指令信号生成器16は、打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25から直動部アクチュエータ指令信号を生成する。
【0034】
移動体100の機体の位置及び/又は姿勢は、機体位置姿勢駆動指令信号に基づいて調整される。他方、打検機ハンマ部103の位置及び/又は姿勢(ないし配向)は、先端部アクチュエータ指令信号、アーム部アクチュエータ指令信号及び直動部アクチュエータ指令信号に基づいて夫々打音検査機101の先端部アクチュエータ、アーム部アクチュエータ及び直動部アクチュエータを駆動することによって調整される。
【0035】
以下に、打音検査機101の先端に配された打検機ハンマ部103の位置姿勢情報を1kHzの高サンプリング周波数で推定し生成する場合を説明する。
【0036】
まず、第1センサデータ周波数特性補間器4は、2Hz程度に設定された機体制御帯域によって得られる機体挙動を高精度に再現するために、高々10Hzのサンプリング周波数で機体位置姿勢推定器1が生成する機体位置姿勢推定信号20に対し、2Hz付近の周波数特性信号を強調する周波数帯限定強調フィルタ(バンドパスフィルタ/窓関数)処理とデータ補間処理を同時に実施する。その結果、第1センサデータ周波数特性補間器4は、打検機ハンマ部103の位置姿勢情報として取得する1kHzの高サンプリング周波数の推定信号に対応可能な第1センサデータ周波数特性補間信号23を生成する。
【0037】
このとき高々10Hzのサンプリング周波数でしか得られない機体位置姿勢推定信号20から1kHzの高サンプリング周波数の推定信号を導出するために、以下の処理を行う。
【0038】
機体位置姿勢推定信号20に含まれる機体速度及び機体角速度を、それぞれ、
及び
と設定する。更に、機体位置及び機体姿勢
及び
からシステム状態量及び誤差共分散行列を、それぞれ、
及び
と設定する。そして、第1センサデータ周波数特性補間器4では線形確率システム(状態空間モデル)
(1)

は状態遷移行列、
は駆動ノイズ行列、
は駆動入力行列、
は観測行列、


は観測信号)に基づき、以下の計算式を用いてシステム状態量に対する予測値
と、誤差共分散行列予測値
により姿勢予測値/誤差共分散値信号を生成する。
(2)
(3)
但し、式中、上付きの「+」はカルマンフィルタ処理後の推定値、上付きの「−」はカルマンフィルタ処理前の伝播予測値、上付きの「T」は転置行列、下付きの「k」は観測時系列の順序を示す。またシステムノイズ
と観測ノイズ
は互いに独立な白色ノイズを仮定し、さらに
はシステムノイズ
の共分散行列(カルマンフィルタ設計者が飛翔体ダイナミクス特性に応じ設定する設計パラメータ)を示す。
【0039】
更に、第1センサデータ周波数特性補間器4では、機体位置姿勢推定信号20に含まれる位置姿勢を式(1)に対するカルマンフィルタの更新値と見なした上で、観測時系列の順序を下付きの「n」を用いて今回の観測を「n」、次回の観測を「n+1」と記述し、このカルマンフィルタ更新処理を次の式(4)、式(5)、式(6)を用いて実施する。
(4)
(5)
(6)
但し、
は観測ノイズ
の共分散行列(仮想的なカルマンフィルタ設計者が適用するジャイロ特性に応じ設定する設計パラメータ)であり、また上付きの「−1」は逆行列を示す。
【0040】
以上の結果から、最終的に、第1センサデータ周波数特性補間器4から、式(2)と式(5)によって得られる機体位置姿勢推定補間データは、第1センサデータ周波数特性補間信号23として生成される。
【0041】
次に、第2センサデータ周波数特性補間器5は、30Hz程度に設定された打検機制御帯域で駆動する打検機の挙動を高精度に推定可能とするために、打検機ハンマ部誤差信号21と打検機ハンマ部位置姿勢信号22とから1kHzのサンプリング周波数で得られる先端部位置姿勢信号に対し、30Hz付近の周波数成分を中心に取得した信号の重み付けを実施する周波数強調フィルタ(バンドパスフィルタ/窓関数)処理とデータ補間処理を同時に実施する。その結果、第2センサデータ周波数特性補間器5は、第2センサデータ周波数特性補間信号24を生成する。
【0042】
そして、打検機ハンマ部位置姿勢推定器6は、第1センサデータ周波数特性補間信号23と第2センサデータ周波数特性補間信号24を組み合わせることにより、1kHz及び10Hzのサンプリング周波数によって打検機ハンマ部位置姿勢推定信号25を生成することができる。なお、第1センサデータ周波数特性補間信号23は、第1センサデータ周波数特性補間器4において機体位置姿勢推定信号20に対し機体位置姿勢挙動の制御帯域に基づいた周波数重み付けにより強調処理すると同時にデータ補間処理により1kHzのサンプリング周波数相当として生成した機体の位置姿勢推定信号である。また、第2センサデータ周波数特性補間信号24は、1kHzのサンプリング周波数によって打検機ハンマ部103の誤差信号を生成する打検機ハンマ部誤差信号生成器2と1kHzのサンプリング周波数によって打検機ハンマ部103の位置姿勢信号を生成する打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3とからの生成信号に対し、打検機制御帯域に基づき周波数重み付けで強調処理すると同時にデータ補間処理した打検機ハンマ部先端の位置姿勢信号である。
【0043】
従って、本実施形態によれば、サンプリング周波数や制御特性の異なる機体位置姿勢推定器1と打検機ハンマ部誤差信号生成器2と打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器3とから取得したデータ同士の最適な組合せが、第1センサデータ周波数特性補間器4と第2センサデータ周波数特性補間器5とを同時に適用することで容易に可能になる。このため、打検機ハンマ部位置姿勢推定器6による打検機ハンマ部位置姿勢推定が理想状態に近い形での適切な処理となる。その結果、本実施形態による打検機ハンマ部位置姿勢推定は、単なるデータ補間処理と比較して更に高精度化される。
【0044】
なお、ここで示した第1センサデータ周波数特性補間器4と第2センサデータ周波数特性補間器5における補間処理は、それぞれ機体と打検機ハンマとの動特性をそれぞれの制御系による制御周波数特性として適切に評価した結果として実現するフィルタリング処理とデータ補間処理との組合せで構成する独自技術であり、公知技術の単なる組合せからは予期し得ない顕著な効果を奏するものである。
【0045】
以下に、本明細書、図面に開示した本発明に関する好ましい形態を付記する。
[形態1]
被検対象物の状態を点検するための点検装置であって、
該点検装置は、打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含み、
前記打音検査機は、打検機アームと、該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含み、
該点検装置は、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成する機体位置姿勢推定器と、
打検機ハンマ部誤差信号を生成する打検機ハンマ部誤差信号生成器と、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器と、
生成された機体位置姿勢推定信号を受信し、受信した機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する第1センサデータ周波数特性補間器と、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号を受信し、受信した打検機ハンマ部誤差信号と受信した打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する第2センサデータ周波数特性補間器と、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号を受信し、受信した第1センサデータ周波数特性補間信号と受信した第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する打検機ハンマ部位置姿勢推定器
を含む、点検装置。
[形態2]
前記打検機ハンマ部誤差信号生成器は、
前記打検機ハンマ部の先端に配設された測距センサであって、該打検機ハンマ部の先端と打検対象物の表面との距離を検出し、検出した距離から測距センサ信号を生成する測距センサと、
前記打検機ハンマ部に配設された力覚センサであって、該打検機ハンマ部に印加された力情報を検出し、検出した力情報から力覚センサ信号を生成する力覚センサと、
前記打検機ハンマ部に配設された先端部位置姿勢センサであって、該打検機ハンマ部の位置姿勢情報を検出し、検出した位置姿勢情報から先端部位置姿勢センサ信号を生成する先端部位置姿勢センサ、
を含む、
ここで、前記打検機ハンマ部誤差信号は、前記測距センサ信号と、前記力覚センサ信号と、前記先端部位置姿勢センサ信号から生成される、
形態1の点検装置。
[形態3]
前記打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器は、
前記打検機アームの直動部に配設された直動部変位センサであって、該直動部の変位情報を検出し、検出した変位情報から直動部変位センサ信号を生成する直動部変位センサと、
前記打検機アームの先端部角度駆動部に配設された先端部角度センサであって、先端部角度情報を検出し、検出した先端部角度情報から先端部角度センサ信号を生成する先端部角度センサと、
前記打検機アームのアーム部角度駆動部に配設されたアーム部角度センサであって、アーム部角度情報を検出し、検出したアーム部角度情報からアーム部角度センサ信号を生成するアーム部角度センサ、
を含む、
ここで、前記打検機ハンマ部位置姿勢信号は、前記直動部変位センサ信号と、前記先端部角度センサ信号と、前記アーム部角度センサ信号から生成される、
形態1又は2の点検装置。
[形態4]
前記第1センサデータ周波数特性補間器は、前記機体位置姿勢推定信号に対し、前記移動体の位置及び姿勢に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第1センサデータ周波数特性補間信号を生成するよう構成されている、
形態1乃至3の何れかの点検装置。
[形態5]
前記第2センサデータ周波数特性補間器は、前記打検機ハンマ部誤差信号と前記打検機ハンマ部位置姿勢信号に対し、前記打検機アームの直動部及び先端部及びアーム部に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第2センサデータ周波数特性補間信号を生成するよう構成されている、
形態1乃至4の何れかの点検装置。
[形態6]
前記打検機ハンマ部位置姿勢推定器は、前記第1センサデータ周波数特性補間信号を伝播信号としかつ前記第2センサデータ周波数特性補間信号を更新信号とするカルマンフィルタ処理を実施することにより前記打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成するよう構成されている、
形態1乃至5の何れかの点検装置。
[形態7]
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から機体位置姿勢駆動指令信号を生成する機体位置姿勢駆動指令信号生成器と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から先端部アクチュエータ指令信号を生成する先端部アクチュエータ指令信号生成器と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号からアーム部アクチュエータ指令信号を生成するアーム部アクチュエータ指令信号生成器と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から直動部アクチュエータ指令信号を生成する直動部アクチュエータ指令信号生成部
を含む、
形態1乃至6の何れかの点検装置。
[形態8]
打検機アーム及び該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含む打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含む、被検対象物の状態を点検するための点検装置の制御方法であって、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成するステップと、
打検機ハンマ部誤差信号を生成するステップと、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成するステップと、
生成された機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成するステップと、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成するステップと、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成するステップ
を含む、
点検装置の制御方法。
[形態9]
前記打検機ハンマ部の先端と打検対象物の表面との距離を検出し、検出した距離から測距センサ信号を生成するステップと、
前記打検機ハンマ部に印加された力情報を検出し、検出した力情報から力覚センサ信号を生成するステップと、
前記打検機ハンマ部の位置姿勢情報を検出し、検出した位置姿勢情報から先端部位置姿勢センサ信号を生成するステップと、
前記測距センサ信号と、前記力覚センサ信号と、前記先端部位置姿勢センサ信号から前記打検機ハンマ部誤差信号を生成するステップ
を含む、
形態8の制御方法。
[形態10]
前記打検機アームの直動部の変位情報を検出し、検出した変位情報から直動部変位センサ信号を生成するステップと、
先端部角度情報を検出し、検出した先端部角度情報から先端部角度センサ信号を生成するステップと、
アーム部角度情報を検出し、検出したアーム部角度情報からアーム部角度センサ信号を生成するステップと、
前記直動部変位センサ信号と、前記先端部角度センサ信号と、前記アーム部角度センサ信号から前記打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成するステップ
を含む、
形態8又は9の制御方法。
[形態11]
前記機体位置姿勢推定信号に対し、前記移動体の位置及び姿勢に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第1センサデータ周波数特性補間信号を生成するステップ
を含む、
形態8乃至10の何れかの制御方法。
[形態12]
前記打検機ハンマ部誤差信号と前記打検機ハンマ部位置姿勢信号に対し、前記打検機アームの直動部及び先端部及びアーム部に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第2センサデータ周波数特性補間信号を生成するステップ
を含む、
形態8乃至11の何れかの制御方法。
[形態13]
前記第1センサデータ周波数特性補間信号を伝播信号としかつ前記第2センサデータ周波数特性補間信号を更新信号とするカルマンフィルタ処理を実施することにより前記打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成するステップ
を含む、
形態8乃至12の何れかの制御方法。
[形態14]
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から機体位置姿勢駆動指令信号を生成するステップと、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から先端部アクチュエータ指令信号を生成するステップと、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号からアーム部アクチュエータ指令信号を生成するステップと、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から直動部アクチュエータ指令信号を生成するステップと、
生成された機体位置姿勢駆動指令信号に基づいて、前記移動体の機体の位置及び/又は姿勢を調整するステップと、
生成された先端部アクチュエータ指令信号と、生成されたアーム部アクチュエータ指令信号と、生成された直動部アクチュエータ指令信号に基づいて、前記打検機ハンマ部の位置及び/又は姿勢を調整するステップ
を含む、
形態8乃至13の何れかの制御方法。
[形態15]
打検機アーム及び該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含む打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含む、被検対象物の状態を点検するための点検装置の制御プログラムであって、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成する処理と、
打検機ハンマ部誤差信号を生成する処理と、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する処理と、
生成された機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する処理と、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から機体位置姿勢駆動指令信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から先端部アクチュエータ指令信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号からアーム部アクチュエータ指令信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から直動部アクチュエータ指令信号を生成する処理と、
生成された機体位置姿勢駆動指令信号に基づいて、前記移動体の機体の位置及び/又は姿勢を調整する処理と、
生成された先端部アクチュエータ指令信号と、生成されたアーム部アクチュエータ指令信号と、生成された直動部アクチュエータ指令信号に基づいて、前記打検機ハンマ部の位置及び/又は姿勢を調整する処理
をコンピュータに実行させる、
点検装置の制御プログラム。
[形態16]
前記打検機ハンマ部の先端と打検対象物の表面との距離を検出し、検出した距離から測距センサ信号を生成する処理と、
前記打検機ハンマ部に印加された力情報を検出し、検出した力情報から力覚センサ信号を生成する処理と、
前記打検機ハンマ部の位置姿勢情報を検出し、検出した位置姿勢情報から先端部位置姿勢センサ信号を生成する処理と、
前記測距センサ信号と、前記力覚センサ信号と、前記先端部位置姿勢センサ信号から前記打検機ハンマ部誤差信号を生成する処理
をコンピュータに実行させる、
形態15の制御プログラム。
[形態17]
前記打検機アームの直動部の変位情報を検出し、検出した変位情報から直動部変位センサ信号を生成する処理と、
先端部角度情報を検出し、検出した先端部角度情報から先端部角度センサ信号を生成する処理と、
アーム部角度情報を検出し、検出したアーム部角度情報からアーム部角度センサ信号を生成する処理と、
前記直動部変位センサ信号と、前記先端部角度センサ信号と、前記アーム部角度センサ信号から前記打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する処理
をコンピュータに実行させる、
形態15又は16の制御プログラム。
[形態18]
前記機体位置姿勢推定信号に対し、前記移動体の位置及び姿勢に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する処理
をコンピュータに実行させる、
形態15乃至17の何れかの制御プログラム。
[形態19]
前記打検機ハンマ部誤差信号と前記打検機ハンマ部位置姿勢信号に対し、前記打検機アームの直動部及び先端部及びアーム部に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する処理
をコンピュータに実行させる、
形態15乃至18の何れかの制御プログラム。
[形態20]
前記第1センサデータ周波数特性補間信号を伝播信号としかつ前記第2センサデータ周波数特性補間信号を更新信号とするカルマンフィルタ処理を実施することにより前記打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する処理
をコンピュータに実行させる、
形態15乃至19の何れかの制御プログラム。
[形態21]
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から機体位置姿勢駆動指令信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から先端部アクチュエータ指令信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号からアーム部アクチュエータ指令信号を生成する処理と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から直動部アクチュエータ指令信号を生成する処理と、
生成された機体位置姿勢駆動指令信号に基づいて、前記移動体の機体の位置及び/又は姿勢を調整する処理と、
生成された先端部アクチュエータ指令信号と、生成されたアーム部アクチュエータ指令信号と、生成された直動部アクチュエータ指令信号に基づいて、前記打検機ハンマ部の位置及び/又は姿勢を調整する処理
をコンピュータに実行させる、
形態15乃至20の何れかの制御プログラム。
[形態22]
被検対象物の状態を点検するための点検装置であって、
該点検装置は、打音検査機と、該打音検査機が配設された移動体を含み、
前記打音検査機は、打検機アームと、該打検機アームの先端に配設された打検機ハンマ部を含み、
該点検装置は、
前記移動体の位置姿勢情報を推定し機体位置姿勢推定信号を生成する手段と、
打検機ハンマ部誤差信号を生成する手段と、
打検機ハンマ部位置姿勢信号を生成する手段と、
生成された機体位置姿勢推定信号を受信し、受信した機体位置姿勢推定信号から第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する手段と、
生成された打検機ハンマ部誤差信号と生成された打検機ハンマ部位置姿勢信号を受信し、受信した打検機ハンマ部誤差信号と受信した打検機ハンマ部位置姿勢信号から第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する手段と、
生成された第1センサデータ周波数特性補間信号と生成された第2センサデータ周波数特性補間信号を受信し、受信した第1センサデータ周波数特性補間信号と受信した第2センサデータ周波数特性補間信号から打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する手段
を含む、
点検装置。
[形態23]
前記打検機ハンマ部誤差信号生成手段は、
前記打検機ハンマ部の先端と打検対象物の表面との距離を検出し、検出した距離から測距センサ信号を生成する手段と、
前記打検機ハンマ部に印加された力情報を検出し、検出した力情報から力覚センサ信号を生成する手段と、
前記打検機ハンマ部の位置姿勢情報を検出し、検出した位置姿勢情報から先端部位置姿勢センサ信号を生成する手段、
を含む、
ここで、前記打検機ハンマ部誤差信号は、前記測距センサ信号と、前記力覚センサ信号と、前記先端部位置姿勢センサ信号から生成される、
形態22の点検装置。
[形態24]
前記打検機ハンマ部位置姿勢信号生成手段は、
前記打検機アームの直動部の変位情報を検出し、検出した変位情報から直動部変位センサ信号を生成する手段と、
先端部角度情報を検出し、検出した先端部角度情報から先端部角度センサ信号を生成する手段と、
アーム部角度情報を検出し、検出したアーム部角度情報からアーム部角度センサ信号を生成する手段、
を含む、
ここで、前記打検機ハンマ部位置姿勢信号は、前記直動部変位センサ信号と、前記先端部角度センサ信号と、前記アーム部角度センサ信号から生成される、
形態22又は23の点検装置。
[形態25]
前記第1センサデータ周波数特性補間信号生成手段は、前記機体位置姿勢推定信号に対し、前記移動体の位置及び姿勢に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第1センサデータ周波数特性補間信号を生成する、
形態22乃至24の何れかの点検装置。
[形態26]
前記第2センサデータ周波数特性補間信号生成手段は、前記打検機ハンマ部誤差信号と前記打検機ハンマ部位置姿勢信号に対し、前記打検機アームの直動部及び先端部及びアーム部に対する制御系の周波数特性を考慮した重み付け処理とサンプリング周波数間の補間処理とを組み合わせて適用することにより、前記第2センサデータ周波数特性補間信号を生成する、
形態22乃至25の何れかの点検装置。
[形態27]
前記打検機ハンマ部位置姿勢推定信号生成手段は、前記第1センサデータ周波数特性補間信号を伝播信号としかつ前記第2センサデータ周波数特性補間信号を更新信号とするカルマンフィルタ処理を実施することにより前記打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を生成する、
形態22乃至26の何れかの点検装置。
[形態28]
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から機体位置姿勢駆動指令信号を生成する手段と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から先端部アクチュエータ指令信号を生成する手段と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号からアーム部アクチュエータ指令信号を生成する手段と、
生成された打検機ハンマ部位置姿勢推定信号を受信し、受信した打検機ハンマ部位置姿勢推定信号から直動部アクチュエータ指令信号を生成する手段と、
生成された機体位置姿勢駆動指令信号に基づいて、前記移動体の機体の位置及び/又は姿勢を調整する手段、
を含み、
先端部アクチュエータは、生成された先端部アクチュエータ指令信号を受信する手段を有し、
アーム部アクチュエータは、生成されたアーム部アクチュエータ指令信号を受信する手段を有し、及び、
直動部アクチュエータは、生成された直動部アクチュエータ指令信号を受信する手段を有する、
形態22乃至27の何れかの点検装置。
[形態29]
形態1乃至7及び22乃至28の何れかに記載の点検装置と、該点検装置と有線又は無線で通信する通信装置を含む、点検システム。
【0046】
なお、上記特許文献の各開示を引用を以って本書に繰り込むものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の特許請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1 機体位置姿勢推定器
2 打検機ハンマ部誤差信号生成器
3 打検機ハンマ部位置姿勢信号生成器
4 第1センサデータ周波数特性補間器
5 第2センサデータ周波数特性補間器
6 打検機ハンマ部位置姿勢推定器
7 測距センサ
8 力覚センサ
9 先端部位置姿勢センサ
10 直動部変位センサ
11 先端部角度センサ
12 アーム部角度センサ
13 機体位置姿勢駆動指令信号生成器
14 先端部アクチュエータ指令信号生成器
15 アーム部アクチュエータ指令信号生成器
16 直動部アクチュエータ指令信号生成器

20 機体位置姿勢推定信号
21 打検機ハンマ部誤差信号
22 打検機ハンマ部位置姿勢信号
23 第1センサデータ周波数特性補間信号
24 第2センサデータ周波数特性補間信号
25 打検機ハンマ部位置姿勢推定信号
26 測距センサ信号
27 力覚センサ信号
28 先端部位置姿勢センサ信号
29 直動部変位センサ信号
30 先端部角度センサ信号
31 アーム部角度センサ信号

100 移動体
101 打音検査機
102 打検機アーム
103 打検機ハンマ部
図1
図2
図3
図4
図5