【実施例】
【0019】
以下に図面を参照して、本発明の実施例に係る収納式歯科診療ユニット及びその設置方法について詳細に説明する。
【0020】
本実施例に係る収納式歯科診療ユニット1は、
図1、
図2及び
図6、
図7に示すように、例えば歯科医院等の診療室における床2の床面3上に起立設置され、少なくとも歯科診療椅子を含む歯科診療ユニット21を内部に閉塞状態で、かつ、前記歯科診療ユニット21の前方領域を閉塞解除可能な状態で収納可能なキャビネット構造とした収納体4と、前記床面3に対して前記収納体4内から収納体4前方に至る範囲に設置する直動機構を構成する例えば二本一対で平行配置した構成の直動レール31と、前記歯科診療ユニット21を搭載した例えば四角形平板状に形成した回転ベース41と、前記回転ベース41を回転機構部42を介して回転可能に支持する四角形平板状で前記回転ベース41より大寸法の台車ベース51と、前記台車ベース51に配置され前記直動レール31上を走行する走行ローラ機構部61とを有している。
【0021】
前記収納体4は、収納時において下部側の奥行寸法が上部側の奥行寸法より大きい収納体本体5を有し、この収納体本体5内に詳細は後述するが歯科診療ユニット21の要素を収納し、かつ、所要の要素を前方に移送できるように、その前面下部に左右の少なくとも一辺側、例えば
図2に示すように紙面に向かって左側の左辺側を回動支持部として回動し、内部の収納領域の前面下部側を開閉可能な床面走行用のローラキャスタ7付きの開閉扉6を設け、前記収納体本体5の天板に収納時における収納領域の上部を覆うとともに、上方に開いて収納領域の上部を開放する上部蓋8を回動可能に設け、前記開閉扉6の上辺に、収納時において前記開閉扉6の上辺と前記上部蓋8の下辺との間に生じる隙間を閉塞可能な閉塞蓋9を回動可能に設けている。
【0022】
そして、前記収納体4全体としては、歯科診療ユニット21の収納時において前面側に前記閉塞蓋9による段部が形成される中空箱型状を呈するように構成している。
【0023】
本実施例における歯科診療ユニット21としては、歯科診療椅子の単体で構成する例を挙げて説明する。
本実施例の場合、ドクターカート15、診療用無影灯11、スピットン13及びアシスタントハンガ14は、歯科診療ユニット21に含まずに構成し、床面3上にキャスタを付けて置いたり、前記開閉扉6に取り付けてあるが、これらを歯科診療椅子と共に組み合わせて構成して歯科診療ユニット21としてもよいし、これら単体を歯科診療ユニット21としてもよいし、歯科診療椅子を含まない各単体のいずれかの組み合わせにて歯科診療ユニット21として構成してもよい。
なお、歯科診療椅子には、有線又は無線にて接続され足踏み操作により各種の動作コントロールが可能なフットコントローラ22が付属している。
またドクターカート15に替えてドクターテーブルにしてもよく、ドクターテーブルを歯科診療椅子に組み合わせて構成してもよい。
【0024】
これらのうち、本実施例に係る収納式歯科診療ユニット1による診療時等においては、前記歯科診療ユニット21を前記直動レール31上で収納体本体5を収納位置から診療位置へ直動させるとともに、前記フットコントローラ22、ドクターカート15、ドクターチェア16を収納位置から手動操作にて前記歯科診療ユニット21の周辺位置へと移送するように構成している。
【0025】
本実施例に係る収納式歯科診療ユニット1は、さらに
図7に示すように、少なくとも診療位置又は収納位置にて前記回転ベース41の回転及び前記台車ベース51の直動を防止する直動・回転防止ストッパー機構部71と、前記台車ベース51の直動方向への移動時に、前記回転ベース41の回転に連動して下方変位する押圧体82を床面3に摩擦接触させて台車ベース51の直動を停止させる直動防止ストッパー機構部81とを備えている。
【0026】
次に、前記直動機構を構成する直動レール31、回転機構部42、走行ローラ機構部61、直動・回転防止ストッパー機構部71、直動防止ストッパー機構部81について各々詳述する。
【0027】
まず、前記直動機構を構成する直動レール31、走行ローラ機構部61について
図8乃至
図12を参照して詳細に説明する。
【0028】
前記走行ローラ機構部61は、
図8に示すように、台車ベース51の隅部において、
支持ネジ62aによりこの台車ベース51に固定支持した支持軸62を介して回転可能に支持した走行ローラ63を備え、かつ、この走行ローラ63を走行レール32上で走行させるように構成している。
【0029】
前記直動機構を構成する直動レール31は、その上面を前記床面3と略同一面になるように設置されるとともに、
図1、
図6、
図7に示すように、前記台車ベース51の下部に例えば二本一対で平行配置されるとともに、前記床面3に対して前記収納体4内から収納体4の前方に至る範囲に配置している。
【0030】
前記直動レール31は、床面3上に設置する走行レール32と、前記走行レール32に沿って、かつ、床2に埋設状態で並設する直動ガイドレール33と、前記直動ガイドレール33に設けた直動ガイド凹溝34にガイドされてまっすぐに直動可能なキャリッジ64と、前記キャリッジ64を前記走行ローラ63の近傍位置で前記台車ベース51に連結するキャリッジ連結部材65と、を具備している。
【0031】
前記直動ガイドレール33は、
図10、
図11、
図12に示すように、床2に埋設する長尺の基部35と、この基部35の長さ方向両上側部に対向配置に一体形成した一対のコ状(又は逆コ状)のキャリッジガイド片部36a、36bと、を具備し、前記基部35の上面と一対のキャリッジガイド片部36a、36bとで画される領域を前記キャリッジ64用の直動ガイド凹溝34としている。
【0032】
前記キャリッジ64は、
図9、
図11、
図12に示すように、前記キャリッジガイド片部36a、36bにより両側部64a1、64b1が挟み込まれる状態でスライド可能に嵌装される四角形平板状の走行基部64aと、この走行基部64aと一体で前記キャリッジガイド片部36a、36bの間に形成される開口部から上方に突出させる平坦突部64bと、この平坦突部64b上において上方に突出するように設けた例えば2個のネジ受筒部64cと、を具備している。
【0033】
前記キャリッジ連結部材65は、上部に大径円板部66aを有する連結筒体66と、連結ネジ67とを具備している。
【0034】
そして、前記走行ローラ63の近傍位置で台車ベース51に設けた連結穴51bに連結筒体66を挿通し、その下部を前記ネジ受筒部64cの外周部に嵌着固定するとともに、前記連結ネジ67を前記鍔部66aの上側から連結筒体66内に挿通しこの連結ネジ67を前記ネジ受筒部64cに設けたネジ部に螺着することにより、前記キャリッジ64を前記走行ローラ63の近傍位置で前記台車ベース51に連結するように構成している。
【0035】
前記直動ガイドレール33の一対のコ状(又は逆コ状)のキャリッジガイド片部36a、36bにより、前記キャリッジ64の走行基部64a、従って連結筒体66の傾きを防止しもさらには台車ベース51及びその上部に設置する歯科診療ユニット21の転倒防止機構を構成している。
【0036】
すなわち、前記台車ベース51、連結筒体66が何らかの原因で傾こうとしても、この連結筒体66と一体化された前記キャリッジ64の走行基部64aの両側部64a1、64b1の
図12に示す上面部P1、P2が前記直動ガイドレール33の一対のキャリッジガイド片部36a、36bの内面上部に接触して位置規制され、これにより連結筒体66の傾きが防止され、台車ベース51及びその上部に設置する歯科診療ユニット21の転倒が防止される。
【0037】
次に、前記直動機構である直動レール31を構成する直動ガイドレール33、走行ローラ機構部61の他例である直動機構部33A、走行ローラ機構部61Aについて
図13、
図14を参照して説明する。
【0038】
尚、他例である直動機構部33A、走行ローラ機構部61Aにおいて、前記直動ガイドレール33、走行ローラ機構部61の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0039】
図13に示す走行ローラ機構部61Aは、前記走行ローラ機構部61と略同様な構成であるが、台車ベース51をピニオンギア連結部材101を用いて直動機構部33Aと連結する構成を採用している。
【0040】
前記直動機構部33Aは、床2に埋設状態で設けたラックギア111Aと、丸棒状の連結体部112の上端に上部突出円板部113を、下部に下部突出円板部114及びピニオンギア軸支部115を具備するピニオンギア連結部材101と、前記ピニオンギア軸支部115により回転可能に軸支したピニオンギア102と、を具備している。
【0041】
そして、前記台車ベース51の連結穴51bに連結体部112を挿通し、その下部の前記ピニオンギア102をラックギア111Aに噛合させ、これにより、前記ピニオンギア102、ラックギア111AによるZ軸方向(鉛直方向)に耐荷重がないラック・ピニオン構造で前記台車ベース51を直動させるように構成している。
【0042】
また、前記直動機構部33Aは、前記ピニオンギア連結部材101における下部突出円板部114に各端部下面が接するようにした転倒防止機構を構成する平坦な一対の転倒防止板116A、116Bを設けている。
【0043】
すなわち、前記台車ベース51、ピニオンギア連結部材101が何らかの原因で傾こうとしても、ピニオンギア連結部材101の下部突出円板部114の上面部P3、P4が前記一対の転倒防止板116A、116Bの下面に接触して位置規制され、これにより、ピニオンギア102の脱落防止が図れるとともに、ピニオンギア連結部材101の傾きが防止され、台車ベース51及びその上部に設置する歯科診療ユニット21の転倒が防止される。
【0044】
次に、前記直動機構である直動レール31を構成する直動ガイドレール33、走行ローラ機構部61のさらに別の例である直動ガイドレール33B、走行ローラ機構部61Bについて
図15乃至
図18を参照して説明する。
【0045】
尚、別の例である直動ガイドレール33B、走行ローラ機構部61Bにおいて、前記直動ガイドレール33、走行ローラ機構部61の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0046】
図15に示す走行ローラ機構部61Bは、前記走行ローラ機構部61と略同様な構成であるが、台車ベース51を連結部材121を用いて直動ガイドレール33Bと連結する構成を採用している。
【0047】
前記直動ガイドレール33Bは、
図15、
図18に示すように、床2にリニアスライドレール131を埋設状態で配置し、このリニアスライドレール131の上部を、連結部材121にて台車ベース51の下面に連結されるキャリッジ141により覆う構造としたことが特徴である。
【0048】
図16に直動機構を構成するキャリッジ141の外観を、
図17にリニアスライドレール131の外観を示す。
【0049】
さらに詳述すると、リニアスライドレール131は、長尺のレール本体132を具備し、このレール本体132の上面に接合平坦部133を設け、レール本体132の両側面に側面凹陥部134a、134bを設け、その下側を設置基部135としている。
【0050】
一方、前記キャリッジ141は、略直方体状に形成したキャリッジ本体142を具備し、このキャリッジ本体142下面中央から内方にわたって前記リニアスライドレール131の側面凹陥部134a、134bから接合平坦部133にわたる領域を覆うようなスライド用凹部143を長さ方向に貫通する状態で設けている。
【0051】
前記スライド用凹部143の上面側は前記リニアスライドレール131の接合平坦部133に接合するスライド接合面144とし、また、スライド用凹部143の開口部側の両端部には前記側面凹陥部134a、134bに各々係合するスライド係合部143a、143bを設けている。
【0052】
前記キャリッジ141の上面には連結部材121用のネジ穴145を設けている。
【0053】
前記連結部材121は、前記台車ベース51の連結穴51bに嵌め込む筒状のボス122と、このボス122に挿通しかつ前記ネジ穴145に螺着して台車ベース51と前記キャリッジ141とを一体化するネジ123とにより構成している。
【0054】
上述した側面凹陥部134a、134bと、スライド係合部143a、143bとにより既述した場合と同様な機能を発揮する転倒防止機構を構成している。
【0055】
すなわち、前記台車ベース51が何らかの原因で傾こうとしても、前記キャリッジ141のスライド係合部143a又は143bが、前記リニアスライドレール131の側面凹陥部134a又は134bにより位置規制され、これにより、台車ベース51及びその上部に設置する歯科診療ユニット21の転倒が防止される。
【0056】
前記リニアスライドレール131の製品例としては、例えばTHK社のリニアスライドレール(SHS−C)等の例を挙げることができる。
【0057】
前記回転機構部42は、
図6、
図7に示すように、台車ベース51と回転ベース41との間に配置され、台車ベース51上で前記歯科診療ユニット21を搭載した回転ベース41を360度にわたって円滑に回転可能に支持するように構成している。
【0058】
前記回転機構部42としては、例えば、大阪ダイユー(株)製の型番MRB−45等の回転機構部を採用する例を挙げることができる。
【0059】
前記直動・回転防止ストッパー機構部71は。
図6、
図7、
図19に示すように、前記回転ベース41の隅部に起立配置に設けられるとともに、回転ベース41の隅部に起立配置したシャフト支持筒部72と、このシャフト支持筒部72により上下動可能に支持されその上端部側をシャフト支持筒部72に設けた上部貫通穴73を貫いて上方に突出させ、常時の下端部を回転ベース41に設けた回転ベース穴41a内に臨ませる例えば丸棒状で上端に踏板74aを備えるシャフト74と、前記シャフト支持筒部72の上面隅部に設けた固定ペダル支持部75により一端側が回動可能に支持され、固定ペダル支持部75の近傍位置で長穴状に形成したシャフト位置規制穴77を貫通させ、他端側をシャフト支持筒部72の側方に突出させた固定ペダル76と、前記固定ペダル支持部75の近傍位置でシャフト支持筒部72の上面と固定ペダル76の下面との間に配置され、前記固定ペダル76を前記固定ペダル支持部75を支軸として上方に付勢する例えば弾性ゴム等により形成した付勢用弾性体78と、を具備している。
【0060】
そして、常時においては、
図19(a)に示すように、前記付勢用弾性体78により上方に付勢される固定ペダル76のシャフト位置規制穴77の内壁部を、前記シャフト74の外周部に強制的に接触させてこのシャフト74が下方に下がらないように位置するように構成している。
【0061】
また、前記固定ペダル76を付勢用弾性体78の弾性に抗して足踏みすることで、前記シャフト74の外周部に対するシャフト位置規制穴77の内壁部の接触を解除し前記シャフト74を下方に所望量シャフト移動し、この後、前記固定ペダル76に対する足踏みを解除し付勢用弾性体78の弾性により前記固定ペダル76を元の位置に復帰させてシャフト移動後の前記シャフト74の位置規制をすることで、前記シャフト74を当初の位置から下方に下げた所望の位置にとどめることを可能としている。
【0062】
このような直動・回転防止ストッパー機構部71の構成によって、
図19(b)に示すように、前記シャフト74の先端を台車ベース51に設けた台車ベース穴51a内に臨ませて(台車ベース穴51aとのシャフト係合)、回転ベース41の回転を確実に防止したり、
図19(c)に示すように、前記台車ベース穴51aを貫通させたシャフト74の先端を床面3の所定の位置に設けた床面穴3a内に臨ませて(床面穴3aとのシャフト係合)、前記回転ベース41の回転と前記台車ベース51の直動を確実に防止したりすることを可能としている。
【0063】
前記床面穴3aを設ける床面3の所定の位置とは、基本的には、前記収納体4内における歯科診療ユニット21の収納位置での前記直動・回転防止ストッパー機構部71の直下位置、前記歯科診療ユニット21の直動終了位置での前記直動・回転防止ストッパー機構部71の直下位置等であるがこれらに限定されるものではない。
【0064】
さらには、
図19(c)に示す場合のように台車ベース穴51aを貫通させたシャフト74の先端を床面3の所定の位置に設けた床面穴3a内に臨ませること以外に、図示しないが、床面穴3aが存在しない位置において、シャフト74の先端を床面3に摩擦接触させることにより、前記回転ベース41の回転を防止しつつ前記台車ベース51の直動を簡易的に防止することができる。
【0065】
次に、
図7及び
図20乃至
図25を参照して、前記直動防止ストッパー機構部81について説明する。
【0066】
前記直動防止ストッパー機構部81は、
図7及び
図20乃至
図23に示すように、前記台車ベース51の一方の辺部の隅において台車ベース51により固定支持された外観が2段円筒状で内部上側に大径孔83aを内部下側に小径孔83bを同心に形成し両者の境界部に段部83cを有する支持ベース83と、前記支持ベース83内において前記段部83c上に配置したコイルバネ状の第1弾性体84と、この第1弾性体84内に上下動可能に嵌装されるとともに、上部に円錐台状の受圧部85aを設け、下部に円柱部85bを設け、前記第1弾性体84により上方に付勢される受圧部85aを前記回転ベース41に設けたプランジャー受穴41b内に臨ませ、前記円柱部85bを前記小径孔83b内に臨ませたプランジャー85と、前記支持ベース83の下部に配置され、常時においては
図14に示すように下面側を前記床面3aとの間に空間を有しつつ臨ませる円板状の押圧体82と、前記小径孔83b内に上下動可能に嵌装されるとともに、上部側が前記円柱部85bの外周部に嵌着され、下端部を押圧体82の中央部に固着した有底円筒状のプランジャーガイド筒86と、前記プランジャーガイド筒86内において前記円柱部85bの下面と、このプランジャーガイド筒86の内底部との間に配置したコイルバネ状の第2弾性体87と、を有している。
【0067】
このような直動防止ストッパー機構部81の構成により、前記回転ベース41の回転操作に連動させて前記押圧体82を床面3に押圧接触させて前記台車ベース51の直動を停止させることができる。
【0068】
すなわち、前記受圧部85aを前記回転ベース41に設けたプランジャー受穴41b内に臨ませた
図14に示す位置から、前記回転ベース41を例えば90度回転させ(歯科診療ユニット21を例えば90度回転させ)、この回転ベース41の下面で前記プランジャー85の受圧部85aを下方に押し下げた位置に変位させることにより、前記プランジャー85に作用する押し下げ力をプランジャーガイド筒86、第2弾性体87を介して前記押圧体82に伝達し、この押圧体82の下面を、
図25に示すように、床面3に押圧接触させることによって、前記回転ベース41の回転操作に連動させて前記押圧体82を床面3に押圧接触させ、これにより、前記回転ベース41の回転操作に連動する前記押圧体82と床面3との間の摩擦接触により前記台車ベース51の直動を停止させることを可能としている。
【0069】
図26は本実施例に係る収納式歯科診療ユニット1における歯科診療ユニット21の収納位置(
図2に示す位置に対応)の状態を、
図27は本実施例に係る収納式歯科診療ユニット1における歯科診療ユニット21の直動位置の状態を、
図28は本実施例に係る収納式歯科診療ユニット1における歯科診療ユニット21の直動位置での回転状態(
図3に示す位置に対応)を各々示すものである。
【0070】
上述した本実施例では歯科診療ユニット21が
図4に示す診療位置以外(直動中、回転中等)においては歯科診療ユニット21の少なくとも一部が作動しないように構成している。
【0071】
すなわち、本実施例では、歯科診療ユニット21が
図4に示す診療位置で例えば患者用の背もたれ板21aが傾倒されたことを図示しないが例えばマイクロスイッチ等のセンサにより検出し、このセンサの検出信号を基に図示しない制御手段により前記歯科診療ユニット21が診療位置に配置されたとき、前記歯科診療ユニット21を構成する単体、又は、前記各単体のいずれかの組み合わせからなる要素、例えば、前記歯科診療椅子、診療用無影灯11、ディスプレイ12、スピットン13、アシスタントハンガ14、ドクターカート15等を作動可能とし、前記センサの検出信号が無いときには前記各要素が作動しないように制御する構成として、必要時以外の前記各要素の作動を停止し安全性の向上を図っている。
【0072】
次に、
図29乃至
図32を参照して、床2に対する直動レール31の設置工程について説明する。
【0073】
まず、
図29に示すように、床2の所定の位置においてトリマー加工機91にストレートビット92を取り付け、このトリマー加工機91を作動させて床2に溝加工を実施し、床2に
図30に示すような所定の長さを有する敷設溝93を二条平行配置に形成する。
【0074】
次に、
図31に示すように二条の敷設溝93内に各々予めキャリッジ64をスライド可能に配置している直動ガイドレール33、33を敷設する。
【0075】
次に、
図32に示すように、二本の直動ガイドレール33、33に各々添設するようにして走行レール32、32を配置しこれらを床面3上にネジ等により固定する。
【0076】
以上の一連の工程により、本実施例における直動レール31、31の設置工程が終了する。この後、前記直動レール31、31上に台車ベース51、回転ベース41、歯科診療ユニット21等を組み込むものである。
【0077】
これにより、床2に設置する直動機構を構成する直動ガイドレール33を、床2のトリマー加工による敷設溝93の加工により施工するものであるから、低廉な施工コストの基に前記直動レール31を床面3に敷設し、その後、台車ベース51、回転機構部42、回転ベース41、歯科診療ユニット21等を組み込む収納式歯科診療ユニット1の設置方法を実現できる。
【0078】
前記トリマー加工機91、ストレートビット92としては、例えば、リョービ(株)製の型番TR−51のトリマー加工機及び対応するストレートビットを採用する例を挙げることができる。
【0079】
尚、上述した
図29乃至
図32においては、トリマー加工により床2に敷設溝93を形成する場合について説明したが、例えば床2が二枚板構造である場合、下段の板張りをした後その上面に敷く上段の板の形状を前記敷設溝93に相当するような長溝形状を有するように組み合わせ、このような上段の板を下段の板張り上に敷設することで、トリマー加工機によるトリマー加工を施すことなく、二枚板構造で直動ガイドレール33を敷設し、さらには走行レール32を敷設した直動レール31を施工することができる。
【0080】
また、上述した実施例では、前記直動機構は直動レール31を二本一対で平行配置する構成とする例を示したが、この他、ガタ付きの少ない幅広のレールや、軸と軸受とを組み合わせて構成した直動機構等を採用し、直動機構をレール一本構成とすることも可能である。
【0081】
以上説明した本実施例によれば、不使用時においては、歯科診療椅子を含む歯科診療ユニット21を収納体4内に収納して不使用時の省スペース化を図ることができ、また、使用時においては歯科診療椅子を含む歯科診療ユニット21を簡略容易に所定の位置に配置することができて使用時における歯科診療ユニット21の利便性の向上を実現できる収納式歯科診療ユニット1を提供することができる。
【0082】
本実施例における直動・回転防止ストッパー機構部71によれば、歯科診療ユニット21が所望の位置に存在する状態で、簡略操作の基に回転ベース41の回転を確実に防止したり、回転ベース41の回転と台車ベース51の直動とを同時に確実に防止したり、さらには、床面穴3aが存在しない位置において、シャフト74の先端を床面3に摩擦接触させることにより、回転ベース41の回転を防止しつつ台車ベース51の直動を簡易的に防止したりすることができ、診療位置又は収納位置において歯科診療ユニット21が誤って移動することが無くなり、安心して診療を行ったり、安定した状態で歯科診療ユニット21を収納保管したりすることができる。
【0083】
また、診療位置や収納位置とは別のカウンセリング位置や任意の位置で歯科診療ユニット21を固定することもできる。
【0084】
本実施例における直動防止ストッパー機構部81によれば、簡略安価な構造の基に前記回転ベース41の回転操作に連動させて前記押圧体82を床面3に押圧接触させて前記台車ベース51の直動を停止させることができ、これにより、歯科診療ユニット21を押しながら直動動作させる場合に、誤って歯科診療ユニット21が回転してしまい操作者が振り回されたり、周囲の装置等にぶつかったりするという不都合、かつ、危険な事態発生を未然に回避することができる。
【0085】
本実施例において、前記走行レール32と、キャリッジ64を備える直動ガイドレール33とを有する直動レール31によれば、走行ローラ63を取り付けた台車ベース51、さらには、その上部の回転ベース41、歯科診療ユニット21を安定してかつ真っすぐに直動させることが可能となる。
【0086】
本実施例において、収納体4は、その下面を前記直動レール31の端部に対向させて床面3から起立設置するとともに、その内部に歯科診療椅子を含む歯科診療ユニット21を省スペースの態様で収納可能であり、かつ、必要時には開閉扉6を開け、歯科診療ユニット21を直動レール31上で容易に前方に移送したり、歯科診療ユニット21における所要の単体等を所定の位置に展開したりすることができ、不使用時の省スペース化を図りつつ使用時における歯科診療の利便性の向上を実現することができる。
【0087】
本実施例によれば、前記歯科診療ユニット21を
図4に示す診療位置としたときのみ歯科診療ユニット21を構成する要素のうち少なくとも一部の要素を作動可能とし、それ以外では作動停止とするように構成しているので、歯科診療における安全性確保を実現することができる収納式歯科診療ユニット1を提供することができる。
【0088】
また、本実施例によれば、トリマー加工による直動ガイドレール33用の敷設溝93の形成を含む前記直動レール31の床2に対する設置工程を採用することによって、低廉な施工コストの基に歯科診療室の既存の床2等に収納式歯科診療ユニット1自体を設置できる設置方法を提供することができる。