(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底部から起立する4つの側壁のうち互いに対向する1対の第1側壁が上下方向の中間位置で2つ折にされて前記底部の上に折り畳まれてから、それら1対の第1側壁の上に残りの1対の第2側壁が重ねられて折畳状態になる箱形容器であって、
前記第1側壁のうち前記中間位置より下側の下側第1側壁部が前記底部から起立した下側起立状態で、前記第1側壁のうち前記中間位置より上側の上側第1側壁部が下端部を中心に回動して側面開口を開閉する箱形容器において、
前記上側第1側壁部を前記下側第1側壁部に回動可能かつ上下動可能に連結するスライドヒンジ部と、
前記上側第1側壁部の両側面から側方に突出するサイド突部の先端部から下方に下向き係止突壁が突出してなる第1フック部と、
前記1対の第2側壁の側部から前記上側第1側壁部側に突出するサイド突部の先端部から上方に上向き係止突壁が突出してなり、前記上側第1側壁部の上下の可動範囲の全域で、前記第1フック部の前記下向き係止突壁に、前記上向き係止突壁が前記上側第1側壁部の横方向で係合する第2フック部と、
前記下向き係止突壁の上部と前記上側第1側壁部の両側面との間に差し渡され、前記下側起立状態で、前記上側第1側壁部が前記スライドヒンジ部による上下の可動範囲の下端位置に配置されたときには、前記上向き係止突壁の上部に前記箱形容器の内側から対向して前記上側第1側壁部の外側への回動を規制し、前記上側第1側壁部が前記可動範囲の上端位置に配置されたときには、前記上向き係止突壁の上部に前記箱形容器の内側から対向しなくなって前記上側第1側壁部の外側への回動を許容する回動干渉壁と、を備え、
前記回動干渉壁の内面は、前記上側第1側壁部の内面と面一に連続し、
前記上向き係止突壁は、前記上側第1側壁部の内面と面一に配置される内面と、その内面の上部を段付き状に陥没させてなり前記回動干渉壁を受容する係合段差部とを有する箱形容器。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を
図1〜
図25に基づいて説明する。
図1に示した本実施形態の箱形容器10は、所謂、「折り畳み式のボックスパレット」であって、パレット11の上縁部に1対の回動側壁20,20と1対の折畳側壁30,30とを組み付けてなる。なお、これら箱形容器10を構成するパレット11、回動側壁20及び折畳側壁30等の容器構成部品は、何れも例えばガラス長繊維を含んだ樹脂の射出成形品になっている。
【0022】
図2に示すように、パレット11は、平面形状が長方形の底板部12(本発明に係る「箱形容器の底部」に相当する)の下面四隅から桁部13が突出した構造をなし、それら桁部13によって底板部12の下方にフォークリフトのフォークが挿入される空間が形成される。また、底板部12は、縦横に延びる溝形状の複数の横梁14と縦梁15とを交差させた格子構造をなし、それら横梁14及び縦梁15の溝開口は、
図3に示すように下側を向いている。さらに、桁部13の下面の内角寄り位置からは角筒突部13Aが突出し、2辺の外縁寄り位置からは下面突起13D,13Dが突出している。
【0023】
図2に示すように、底板部12の上面における1対の長辺側の外縁部からは、1対の長辺土手部16,16が突出し、1対の短辺側の外縁部からは、1対の短辺土手部17,17が突出している。短辺土手部17は、全体に亘って均一な高さをなし、長辺土手部16全体より高くなっている。短辺土手部17及び長辺土手部16の詳細構造は、回動側壁20及び折畳側壁30と併せて後に詳説する。
【0024】
回動側壁20は、
図4に示すように、水平に延びる複数の溝形状の横長部材24と上下に延びる複数の溝形状の縦長部材25とを格子状に交差させた格子構造をなしている。また、横長部材24群の上側には、2つの特別横長部材24Eが備えられ、下側には、1つの特別横長部材24Fが備えられている。そして、上側の2つの特別横長部材24E,24Eと上端の横長部材24とが、隣り合わせに設けられて溝側壁24Aを共有し、これ同様に、下側の特別横長部材24Fと下端の横長部材24とが隣り合わせに設けられて溝側壁24Aを共有している。
【0025】
なお、下側の特別横長部材24Fと上から2番目の特別横長部材24Eの溝底壁24Bは、回動側壁20の内面側に配置され、上端の特別横長部材24Eと全ての横長部材24の溝底壁24Bは、回動側壁20の外面側に配置されている。一方、全ての縦長部材25の溝底壁25Bは、回動側壁20の内面側に配置されている。また、特別横長部材24E,24F、横長部材24及び縦長部材25の各溝底壁24B、25Bには、それぞれ複数の丸孔24Cや長孔24D,25Dが形成されている。
【0026】
回動側壁20の横方向の両端寄り位置には、上下方向に延びた第1サイドリブ26A,26Aが備えられ、それら第1サイドリブ26A,26Aより内側には、上下方向に延びた縦リブ29Lが2つずつ設けられている。また、第1サイドリブ26A,26Aにおける回動側壁20の内面側の縁部からは側方に第2サイドリブ26B,26Bが張り出していて、横長部材24の溝側壁24Aから延長された複数の横リブ26Cによって第1サイドリブ26Aと第2サイドリブ26Bとが接続されている。
【0027】
図5に示すように、第2サイドリブ26B,26Bの内面全体は、横長部材24及び縦長部材25からなる回動側壁20の本体部分の内面より突出して、縦長ブロック状の連結ブロック27,27になっている。また、連結ブロック27のうち上下方向の略中央部より上側には、上端部を含む複数位置に係合凹部27Aが形成されている。
図18に示すように、係合凹部27Aは、連結ブロック27を幅方向を横切るように切除してなる。また、
図14に示すように、係合凹部27Aの下面27Cのうち係合凹部27Aの内側面27Dから離れた側の縁部からは係止突壁28が起立している。さらに、
図18に示すように、係止突壁28の上端部のうち縦リブ29L側の上端角部が切除されて係合段差部28Aになっている。そして、本実施形態では、連結ブロック27のうち係合凹部27A以外の部分が、本発明に係る第2フック部80になっている。即ち、連結ブロック27のうち係合凹部27A以外の部分が、折畳側壁30に向かって突出したサイド突部81をなし、各第2フック部80は、サイド突部81の先端部から上方に前述した係止突壁28が突出した構造になっている。
【0028】
図5に示すように、連結ブロック27のうち回動側壁20の本体部分の内面と平行になった面には、上端寄り位置と下端寄り位置とに、それぞれ縦長の係合溝27M,27Nが設けられている。また、連結ブロック27のうち縦リブ29L側を向いた面の下端部には、縦長の長方形の陥没部27Lが形成され、その陥没部27Lに1対の縦長の結合孔27K,27Kが備えられている。1対の結合孔27K、27Kは、上下に並べて設けられ、それぞれ連結ブロック27を幅方向に貫通していている(
図15参照)。
【0029】
図4に示すように、回動側壁20の下面からは、複数のヒンジアーム21,21が垂下されている。各ヒンジアーム21は、下端の特別横長部材24Fの溝底壁24Bから延長された帯板21Bの外面にリブを備えてなり、両側面の下端部にヒンジ突起21A,21Aを備えている。これらヒンジアーム21に対して、
図2に示すようにパレット11の短辺土手部17にはアーム受容部17Aが形成されている。アーム受容部17Aは、短辺土手部17の内面と上面とに開放した溝状をなしかつ、1対の内側面に係合溝17M,17Mを有する。そして、係合溝17M,17Mにヒンジアーム21のヒンジ突起21A,21Aが係合し、ヒンジ突起21Aを中心にして回動側壁20が回動して、
図23に示すように、短辺土手部17上に起立した起立姿勢と、
図24に示すように、パレット11の底板部12上に倒れた折畳姿勢とに変更される。なお、係合溝17Mの上端部は幅狭になっていてヒンジ突起21Aが上方に抜け難くなっている。
【0030】
図4に示すように、回動側壁20の下面からは、ヒンジアーム21,21以外に複数の嵌合突片22が突出している。それら嵌合突片22の回動側壁20から下方への突出量は、ヒンジアーム21より小さくなっている。また、
図2に示すように、短辺土手部17には、嵌合突片22に対応して、複数の嵌合凹部17Bが形成されている。そして、回動側壁20を起立姿勢にして持ち上げ、嵌合突片22を嵌合凹部17Bに上方から凹凸係合させて回動側壁20が起立姿勢に保持される。
【0031】
なお、
図1に示すように、回動側壁20の上面における横方向の両端寄り位置には、上面の外面とに開放した上面凹部20K,20Kが形成されている。また、次述する折畳側壁30の上面における横方向の両端寄り位置にも同様の上面凹部30Kが形成されている。
【0032】
図6に示すように、折畳側壁30は、上側折畳側壁3
1と下側折畳側壁32とをヒンジ部材33にて連結してなる。上側折畳側壁31及び下側折畳側壁32は、
図8に示すように、前述した回動側壁20と同様に複数の横長部材24と複数の縦長部材25とが交差した格子構造をなしている。また、上側折畳側壁31の縦長部材25と下側折畳側壁32の縦長部材25とは、同一直線上に配置されている。さらに、
図6に示すように、折畳側壁30においても、回動側壁20と同様に、全ての横長部材24の溝底壁24Bが折畳側壁30の外面側に配置され、全ての縦長部材25の溝底壁25Bが折畳側壁30の内面側に配置されている。さらには、折畳側壁30の上部と下部とに特別横長部材24E,24Fが備えられている点、溝底壁24B,25Bに丸孔24C、長孔24D,25Dが形成されている点等も回動側壁20と共通している。
【0033】
下側折畳側壁32の下面からは、回動側壁20と同様に、複数のヒンジアーム40が垂下され、各ヒンジアーム40の下端部から側方に突出したヒンジ突起40A,40Aが、
図2に示したパレット11の長辺土手部16に形成されているアーム受容部16Aの係合溝16M,16Mに係合している。そして、下側折畳側壁32が、ヒンジ突起40Aを中心にして回動し、
図22に示すように、パレット11の長辺土手部16上に起立した起立姿勢と、パレット11上に重ねられた折畳姿勢(
図23参照)とに変更され、起立姿勢から外側には回動できないようになっている。また、
図6に示すように折畳側壁30の下面からも、複数の嵌合突片41が突出している。これに対し、
図2に示すように、長辺土手部16には、内面と上面とに開放した複数の嵌合凹部16Cが形成され
ていて、折畳側壁30を起立姿勢にしたときに、嵌合突片41が嵌合凹部16Cに長辺土手部16の内面側から収まる。
【0034】
図6に示すように、上側折畳側壁31及び下側折畳側壁32の横方向の両端部には、それぞれ上下方向に延びた1対のサイドリブ36,36が備えられ、それらサイドリブ36,36より内側に上下方向に延びた縦リブ37が備えられている。また、縦リブ37と縦長部材25との間、又は、縦リブ37とサイドリブ36との間に横方向から挟まれかつ、横長部材24,24に上下方向から挟まれた各セルには、折畳側壁30の内面側から覆う補強壁38が備えられ、それら補強壁38にそれぞれ貫通孔38Aが形成されている。
【0035】
図8に示すように、下側折畳側壁32においては、後述する連結梁60が最上部に配置されて左右方向に延びている。また、
図6に示すように、下側折畳側壁32の横方向の両端部には、上端寄り位置に、縦リブ37及びサイドリブ36と連結梁60及び横リブ24Vとに四方を囲まれた矩形のスライダ収容部屋30Rが設けられ、その内部にロック部材34(本発明の「第2ロック部材」に相当する)が収容されている。
【0036】
図15に示すように、ロック部材34は、縦長の筐体部34Aからサイドリブ36側に係合突片34Bが突出した構造をなしている。そして、サイドリブ36に形成された縦長のスリット30S(
図10参照)に係合突片34Bが挿入され、スライダ収容部屋30R内の上下の両面に形成されたガイド突条46T,46Tにロック部材34が係合して横方向にスライドする。なお、スリット30Sの開口縁からはスライダ収容部屋30Rの内側に補強突壁30Uが張り出している。
【0037】
また、
図10に示すように、スライダ収容部屋30Rの内面側を閉塞している補強壁38には、その一部を片持ち梁状に切り離して係止突片45が形成され、その係止突片45の先端部の突起がロック部材34と係合して、ロック部材34が、可動範囲のサイドリブ36側に位置したロック位置と、縦リブ37側に位置したロック解除位置とに係止される。そして、
図15に示すように、ロック部材34がロック解除位置に配置されると、係合突片34Bがサイドリブ36より内側に引っ込んだ状態になり、ロック部材34がロック位置に配置されると、係合突片34Bがサイドリブ36から外側に突出する。
【0038】
図6に示すように、下側折畳側壁32には、横方向の両端の下端角部を、略長方形に切除してコーナー凹部32N,32Nが形成されている。また、各コーナー凹部32Nの上隣には、下側折畳側壁32の側面下端部から側方に突出した角筒状のサイド下端突部42が備えられている。これらに対し、
図2に示すように、長辺土手部16の両端部では、下側突部16Dが段付き状に上方に突出すると共に、短辺土手部17から下側突部16Dの上方に上側突部16Eが張り出している。また、下側突部16Dと上側突部16Eとの間に突部受容部16Bが形成されている。そして、
図15に示すように、下側折畳側壁32が起立姿勢になると、コーナー凹部32Nに下側突部16Dが嵌合し、突部受容部16Bにサイド下端突部42が収まる。
【0039】
また、
図10に示すように、下側折畳側壁32の側面のうちサイド下端突部42とスリット30Sとの間には、サイド係合部43が設けられている。サイド係合部43は、下側折畳側壁32の側面の内縁部から側方に張り出す縦長の突片43Bの外面に、1対の縦長突部43A,43Aを縦並びに備えた構造をなしている。そして、
図15に示すように、回動側壁20と下側折畳側壁32とが起立姿勢になったときに、サイド係合部43の縦長突部43A,43Aが回動側壁20における連結ブロック27の結合孔27K,27Kに嵌合しかつ、
図21に示すように連結ブロック27の陥没部27Lにサイド係合部43の突片43Bが収まる。また、この状態で、ロック部材34をロック位置に配置すると、係合突片34Bが連結ブロック27の係合溝27Nに凹凸係合する。
【0040】
図6に示すように、上側折畳側壁31においては、一部の縦長部材25,25の上端寄り位置を切除して1対の持手部30H,30Hが形成されている。また、上側折畳側壁31の横方向の両端部にも、上端寄り位置に下側折畳側壁32と同様のスライダ収容部屋30Rが設けられ、そこにロック部材34(本発明の「第1ロック部材」に相当する)が収容されている。
【0041】
また、上側折畳側壁31の両側面には、回動側壁20の複数の第2フック部80に対応して複数の第1フック部44が設けられている。第1フック部44は、上側折畳側壁31の両側面から側方に突出したサイド突部44Tの先端部から下方に係止突壁44Aが突出してなる。また、
図7に示すように、係止突壁44Aとサイドリブ36との間には、回動干渉壁44Bが備えられている。また、回動干渉壁44Bは、補強壁38から延設されて、上側折畳側壁31の内面側の端部に位置すると共に、
図18に示すように、回動干渉壁44Bの下端部が、係止突壁44Aの下端部より上側に位置している。そして、回動側壁20及び折畳側壁30が共に起立姿勢となった状態で、
図15に示すように、第1フック部44が連結ブロック27の係合凹部27Aに受容され、係止突壁44Aが係合凹部27Aの内側面27Dと係止突壁28との間に受容される。即ち、第1フック部44と第2フック部80とが折畳側壁30の横方向で係合した状態になる。
【0042】
このとき、上側折畳側壁31が下側折畳側壁32に対して後述する下端位置に配置されていると、
図19に示すように回動干渉壁44Bが係止突壁28の係合段差部28Aに内側から対向して、上側折畳側壁31の外側への回動が規制される。即ち、第1フック部44と第2フック部80とが上側折畳側壁31の回動方向で対向する。つまり、本実施形態では、本発明に係る第1フック部44と第2フック部80とが、本発明に係る「回動干渉部」を兼ねている。そして、第1フック部44と第2フック部80とが係合した状態で、ロック部材34をロック位置に移動すると、係合突片34Bが回動側壁20の係合溝27Mに凹凸係合し、上側折畳側壁31が起立状態にロックされる。
【0043】
また、
図19に示すように、上側折畳側壁31が下端位置に配置された状態で第1フック部44が係合凹部27Aに受容されると、第1フック部44とその上側の第2フック部80との間には、本発明に係る移動許容空間Eが形成される。これにより、ロック部材34をロック解除位置に配置して、上側折畳側壁31を下端位置からその上方の後述する上端位置に移動することができる。すると、上側折畳側壁31が上端位置に移動すると、互いに対向していた回動干渉壁44Bと係止突壁28が、
図20に示すように上下に隙間δを空けて離間し、それら回動干渉壁44Bと係止突壁28との係合が解除される。これにより、
図21に示すように、上側折畳側壁31の外側への回動が許容される。そして、
図22に示すように、上側折畳側壁31によって箱形容器10の一部が、本発明に係る側面開口10Kとして開放される。
【0044】
上側折畳側壁31と下側折畳側壁32との結合部分は、以下のようになっている。
図8に示すように、上側折畳側壁31の下端部においては、縦長部材25、サイドリブ36及び縦リブ37が下端の横長部材24より下方に突出している。また、上側折畳側壁31には、全部で例えば8つの縦長部材25が備えられていて、それら複数の縦長部材25の下端部の隣に1つおきにヒンジ凹部47が設けらている。具体的には、上側折畳側壁31の下端部のうち両端の縦長部材25と縦リブ37との間、両端から2番目と3番目の縦長部材25,25の間、中央の2つの縦長部材25,25の間のぞれぞれにヒンジ凹部47が設けられている。
【0045】
図9(A)に示すように、各ヒンジ凹部47には、横方向で対向する対向面から1対のヒンジピン48,48が突出している。また、ヒンジピン48は、丸棒における180度離れた2位置に平面を形成した形状をなし、上側折畳側壁31が起立した状態でそれら平面が上下に配置される。また、
図9(B)に示すように、上側折畳側壁31の内面側においては、ヒンジ凹部47の上端部の間に補強壁47Aが差し渡されている。
【0046】
図8に示すように、上側折畳側壁31の下端部のうちヒンジ凹部47が設けられていない部分、即ち、サイドリブ36と縦リブ37との間、両端から1番目と2番目の縦長部材25,25の間、両端から3番目と4番目の縦長部材25,25の間のぞれぞれが回動規制部49になっている。
【0047】
図9(A)に示すように、縦長部材25,25同士の間の回動規制部49は、それら縦長部材25,25の間の空間の下面と内面とが壁で閉塞されたセル構造部分を有し、その下面を閉塞する壁のうち内面寄り位置から矩形の上側結合突部50が突出した構造をなしている。また、
図9(B)に示すように、各縦長部材25の下端寄り位置で溝底壁25Bが溝側壁25A,25Aの間へと直角曲げされてからさらに下方に直角曲げされてL形補強壁49Aが形成されている。これにより、各縦長部材25の下端部に、上側結合凹部51が備えられている。また、
図8に示すように、サイドリブ36と縦リブ37との間の回動規制部49は、サイドリブ36と縦リブ37の間の空間の下面と内面とが壁で閉塞されたセル構造部を有し、その下面を閉塞する壁のうち内面寄り位置から上側結合突部50が突出した構造をなしている。
【0048】
図11に示すように、ヒンジ凹部47には、ヒンジ部材33の上端部が受容されている。
図9(B)に示すように、ヒンジ部材33は、上下方向に延びた直方体状の本体部33Hを備え、その本体部33Hの両側面における上端部から1対のヒンジスリーブ54,54が突出すると共に、本体部33Hの両側面における下端部から1対のヒンジピン55,55が突出した構造をなしている。ヒンジスリーブ54は、円筒体の周方向の一部を切除して折畳側壁30の内面側に向かって開放した側面開口54Aを設け、その側面開口54Aの上下の開口縁から1対の突片54B,54Bを突出させた形状をなしている。そして、
図11に示すように、ヒンジ凹部47のヒンジピン48が側面開口54Aからヒンジスリーブ54内に受けれられてヒンジ部材33の上端部が上側折畳側壁31の下端部に回動可能に連結されている。なお、突片54B,54Bの対向面には、ヒンジピン48を抜け止めするための突起54C,54C(
図11参照)が形成されている。
【0049】
図9(B)に示すように、ヒンジピン55は、丸棒における180度離れた2位置に平面を形成した形状をなし、ヒンジスリーブ54の真下にヒンジピン55が位置した状態で、ヒンジピン55の2つの平面は、水平方向に対して傾斜した方向に並んだ状態になる。
【0050】
図8に示すように、下側折畳側壁32の上端部を横切る連結梁60は、断面四角形の部材に前述した上側折畳側壁31の上側結合突部50、上側結合凹部51、ヒンジ凹部47に対応する下側結合凹部53、下側結合突部52及びヒンジ凹部56を備えた構造をなしている。
図10に示すように、下側折畳側壁32の下側結合凹部53は、折畳側壁30の上面と内面とに開口していて、
図11に示すように、この下側結合凹部53に上側折畳側壁31の上側結合突部50が凹凸係合する。
【0051】
また、
図10に示すように、下側折畳側壁32の下側結合突部52は、連結梁60の上面から突出し、下側折畳側壁32の内面側が開口した直方体構造をなし、
図11に示すように、この下側結合突部52に上側折畳側壁31の上側結合凹部51が凹凸係合する。
【0052】
さらに、
図10に示すように下側折畳側壁32のヒンジ凹部56は、連結梁60の内面と上面とに開放し、1対の内側面に係合溝56M,56Mを有する。また、係合溝56Mの上端部には、突部56T,56Tが備えられている。そして、それら係合溝56M,56Mに、ヒンジ部材33のヒンジピン55,55が上下動可能かつ回動可能に係合して本発明に係るスライドヒンジ部79が構成されている(
図11〜
図13参照)。また、
図11に示すように、ヒンジピン55が、係合溝56M内で突部56T,56Tから離間して、上側折畳側壁31がスライドヒンジ部79による上下の可動範囲の下端位置に配置された状態となり、
図12に示すように、ヒンジピン55が、係合溝56M内で突部56T,56Tに近接して、上側折畳側壁31がスライドヒンジ部79による上下の可動範囲の上端位置に配置された状態となる。
【0053】
本実施形態の箱形容器10の構成に関する説明は以上である。次に、この箱形容器10の作用効果について説明する。本実施形態の箱形容器10は、
図1に示した組立状態にして、全てのロック部材34をロック位置に配置すると、回動側壁20と折畳側壁30とが、互いに結合した状態に固定される。なお、組立状態の箱形容器10が段積みされると、上側の箱形容器10の角筒突部13A(
図3参照)が、下側の箱形容器10の角部内側に嵌合され、上側の箱形容器10の下面突起13D,13Dが下側の箱形容器10の上面凹部20K,30Kに凹凸係合する。
【0054】
図1に示した組立状態から上側折畳側壁31のロック部材34と下側折畳側壁32のロック部材34とを共にロック解除位置に配置すると、
図17に示すように、折畳側壁30全体を下端部を中心して箱形容器10内に倒すことができる。そして、折畳側壁30全体を内側に倒す過程で、
図23に示すように、折畳側壁30を外側に折り曲げ、2つ折りにして寝かせることで、2つの折畳側壁30,30をパレット11の底板部12上に並べて配置することができる。即ち、本実施形態の箱形容器10では、組立状態から、逐一、上側折畳側壁31を上端位置に移動しなくても折畳側壁30を折り畳むことができる。そして、その上に回動側壁20,20を順次倒して重ねれば、箱形容器10全体が折畳状態になる。なお、この状態で、
図25に示すように、上側の回動側壁20の第2フック部80が、下側の回動側壁20における側縁部に備えた受容凹部30Vに収まる。
【0055】
また、折畳状態の箱形容器10(
図24参照)の上に別の箱形容器10が段積みされた際には、上側の箱形容器10の角筒突部13A(
図3参照)が、下側の箱形容器10の短辺土手部17と上側突部16E(
図24参照)との角部内側に嵌合され、上側の箱形容器10の下面突起13Dが下側の箱形容器10の嵌合凹部17Bに凹凸係合する。即ち、嵌合凹部17Bが回動側壁20の嵌合突片22(
図4参照)との嵌合相手と下面突起13Dの嵌合相手とに兼用されている。
【0056】
さて、組立状態の箱形容器10において、上側折畳側壁31のロック部材34をロック解除位置に移動すると、上側折畳側壁31が上下動可能になる。このとき、上側折畳側壁31が上下の可動範囲の下端位置に配置されているときには、
図15に示すように、第1フック部44と第2フック部80とが上側折畳側壁31の横方向で係合しているので、回動側壁20,20の間の拡張変形、即ち、側面開口10K(
図22参照)の幅方向の拡張変形が防がれる。これに加えて、
図19に示すように、第1フック部44と第2フック部80とが上側折畳側壁31の回動方向で互いに対向しているので、詳細には第2フック部80の係止突壁28が第1フック部44の回動干渉壁44Bに外側から対向しているので、上側折畳側壁31の外側への回動が規制される。
【0057】
これに対し、上側折畳側壁31を可動範囲の上端位置に移動すると、
図16に示すように、互いに対向していた第1フック部44の回動干渉壁44Bと第2フック部80の係止突壁28が、
図16に示すように上下に隙間δを空けて離間し、それら回動干渉壁44Bと係止突壁28との係合が解除される。これにより、
図21に示すように、上側折畳側壁31の外側への回動が許容される。また、第1フック部44とその上の第2フック部80との間の移動許容空間E(
図19参照)は、
図20に示すように隙間εとなって残る。よって、上側折畳側壁31を回動したときには、第1フック部44と第2フック部80とが隙間δ、εを空けた状態ですれ違うことになり、上側折畳側壁31を容易に外側に開くことができる。そして、
図22に示すように、上側折畳側壁31によって箱形容器10の一部が、本発明に係る側面開口10Kとして開放されて、荷物の出し入れを容易に行えるようになる。
【0058】
上記したように本実施形態の箱形容器10によれば、上側折畳側壁31の外側への回動を確実に禁止しかつ、上側折畳側壁31を上に持ち上げてから倒すという簡単な操作で上側折畳側壁31の外側への回動が可能になる。しかも、上側折畳側壁31を上端位置に配置して外側に回動したときには、上側折畳側壁31の第1フック部44と、側面開口10Kの
開口縁の第2フック部80との間に隙間δ,εが形成されるので、上側折畳側壁31を回動操作をスムーズに行うことができる。そして、上側折畳側壁31を回動蓋のように利用して箱形容器10の側面の一部を側面開口10Kとして開くことができる。また、上側折畳側壁31と下側折畳側壁32とにそれぞれロック部材34を設けたので、上側折畳側壁31と下側折畳側壁32の両方を回動側壁20に固定した使用形態と、下側折畳側壁32のみを回動側壁20に固定して上側折畳側壁31を開く使用形態との両方で箱形容器10全体を安定させることができる。
【0059】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0060】
(1)前記実施形態では、折り畳み式のボックスパレットに本発明を適用した例を示したが、折り畳み不能なボックスパレットや、底部がパレット構造になっていない、通常の箱形容器に本発明を適用してもよい。
【0061】
(2)前記実施形態の第1フック部44及び第2フック部80は、サイド突部44T,81の先端部から上方又は下方に係止突壁28,44Aが突出した構造になっていたが、第1フック部44及び第2フック部80を、サイド突部44T,81の先端部から内側又は外側に係止突壁28,44Aを突出させた構造にして、第1フック部44及び第2フック部80が上側折畳側壁31の横方向で互いに係合するようにしてもよい。
【0062】
(3)前記実施形態における「回動壁」として上側折畳側壁31は、スライドヒンジ部79により下側折畳側壁32に対して外側への回動が許容される一方、内側への回動は規制されていたが、スライドヒンジ部により内側への回動が許容される一方、外側への回動が規制された回動壁や、内側と外側の両方の回動が許容された回動壁に本発明を適用してもよい。具体的には、前記実施形態の箱形容器10において、上側折畳側壁31を下側折畳側壁32に対して内側にも回動可能とていてもよい。また、例えば、特開2014−43252号公報に開示されているように、対向する1対の第1側壁を内側に倒してから、残りの1対の第2側壁を内側に倒して折り畳むタイプの所謂、「折畳コンテナ」において、第1側壁の両側部から側方に回動干渉部を突出させておくと共に、第2側壁の両側部から第1側壁側に回動干渉部を突出させておき、第1側壁を上端位置に持ち上げて起立姿勢になる位置まで回動すると、第1側壁の回動干渉部が第2側壁の回動干渉部とすれ違い、そこで第1側壁を下端位置に移動すると、第1側壁の回動干渉部が第2側壁の回動干渉部に外側から対向して、第1回動側壁の内側への回動を規制する構成としてもよい。
【0063】
(4)前記実施形態の箱形容器10では、回動壁である上側折畳側壁31を上端位置に移動しても第1フック部44と第2フック部80が上側折畳側壁31の横方向で係合している状態が維持されていたが、その係合が回動壁を上端位置に移動したときに解除されるようにしてもよい。
【0064】
(5)また、回動壁と側面開口の両側部とに回動干渉部のみを備え、第1フック部と第2フック部とを備えない構成にしてもよい。